aklib_story_帰還密林の長_RI-EX-1_東に声して西を撃つ_戦闘後

ページ名:aklib_story_帰還密林の長_RI-EX-1_東に声して西を撃つ_戦闘後

このページでは、ストーリー上のネタバレを扱っています。

各ストーリー情報を検索で探せるように作成したページなので、理解した上でご利用ください。

著作権者からの削除要請があった場合、このページは速やかに削除されます。

帰還!密林の長_RI-EX-1_東に声して西を撃つ_戦闘後

車がエネルギー切れとなり、AUSは補給のためにやむなくジャングルに踏み入った。 AUSとその音楽は、ジャングル中で大きな反響を呼んだ。


[Dan] 烈日、荒野、黄砂、熱風! よっしゃー! 新曲が心の底から湧き上がってくるぜー!

[Frost] (solo)

[Aya] 二人ともうるさいよ。

[Alty] そうよ。せっかくこんな広くて誰もいない場所なのよ。追われる心配もないんだし、少しは静かに休んだらどう?

[Aya] でもAlty、ここでも海の匂いがするよ。本当に安全なの?

[Alty] Ayaは相変わらず夢がないわね。

[Alty] この大地に安全な場所なんてないわ。でも私たちだって、たまにはリラックスしなきゃ。そうでしょ?

[Aya] そうかもしれないけどさ。

[Aya] それで、次はどうやって道を拓くの? 手ぶらで帰るわけにもいかないでしょ。

[Alty] 今回は、あの医者が答えをくれたわ。

Altyは手に握った「鍵」を見やった。

[Dan] おいおいマジか? そりゃどー見ても普通の代物には見えねーんだけど、ホントに貰ったのか? 何かと交換したのか?

[Alty] ええ、知識とね。

[Dan] 知識とそいつで、釣り合いが取れんの?

[Alty] さあね。でもあの医者はまるで、私たちにその知識を駆使するよう促してるみたいだったわ。

[Aya] 知識って、あの人が知らないこと?

[Alty] いいえ、私たちが知ってることなら、恐らく彼女も……

[Alty] ……そうね。よくよく考えてみれば、今回の取引で彼女は、好奇心を利用することで私たちを動かしたのかもしれない。

[Dan] つまり、アイツは実質何も差し出してねーってこと?

[Aya] うん……

[Alty] そうなるわね……

[Aya] 騙されたね。

[Alty] いいえ、誘導されたと言ったほうが正しいわ。

[Dan] 操られたってことじゃねーの?

[Frost] 導かれた。

[Aya] あの医者って、そんなに重要な人なの?

[Alty] いいえ。あの医者が伝えたかったのはまさにそれだと思うわ。彼女の言動は重要じゃないということをね。

[Alty] そう、重要なのは、私たちがどう考えて、どう動くか……

[Aya] じゃあ鍵はどうするの? 放っておく? それともやっぱり行く?

[Dan] めんどくせーよ。行かなきゃダメか?

[Alty] これって音楽と同じだと思うわ……私たちは、他人を無理やり変えてしまうほどの力を持つべきじゃないの。ただ自分たちの歌を歌うだけでいい。

[Aya] みんなに歌を聴かせて、それがいい歌なら――

[Dan] 人々も歌ってくれるってやつか。

[Frost] (solo)

[Alty] はぁ。じゃあさらなる知識とこの鍵を、準備が整った人に渡してあげましょ。

[Aya] それって誰になるの?

[Alty] わからないわ。

[Aya] まだ生まれてきてないのかもね。

[Dan] そりゃーいいな! まだ生まれてないでくれよー!

[Alty] そんなこと期待しないで、Dan。私たちはね……あら?

[Aya] どうしたの、Alty。

[Alty] 車のエネルギーが切れたわ。

[Aya] ちゃんと準備してなかったの?

[Alty] してたわよ。だけど寄り道しちゃったでしょ。

[Alty] それに正直に言うと、こういう公道も標識もない荒野をずっと運転してると、簡単に方向感覚がなくなっちゃうのよね。

[Aya] それって私たち、迷子になっちゃったってこと?

[Alty] そうは言いきれないわ。おおよその方向は合ってるだろうし、新たな道を切り拓いていると言うべきね。

[Frost] 迷子。

[Dan] 迷子! いいネタになるねぇ!

[Aya] あーあ。Danのポジティブさは時々本気で見習いたくなるよ。それで、これからどうするの?

[Alty] 向こうにジャングルがあるみたいだから、行ってみましょう。

[Aya] それはいいんだけど、誰が車を推すの?

[Alty] 順番に推すのもいいかもしれないわね。

[Aya] Alty.

[Alty] なにかしら。

[Aya] 周りに人がたくさん集まってきてるよ。

[Alty] そうね。

[Alty] でも、何言ってるかわからないわ。

[Aya] だからって、ついてくるのをこのまま放っとくの?

[Alty] 何かアイデアでもあるの?

[Aya] 全部やっつけちゃったら?

[Alty] あなたがFrostとDanを説得できるならね。

[Frost] (弾き歌い)

[アダクリス人A] &*……%¥……&(なんだこの音! すげえいい響きだな!?)

[アダクリス人B] &%……%(こんなすごい音、聞いたことない……)

[Dan] よう! みんな!

[Dan] 何喋ってるかアタシにも教えてくれねー?

[Dan] あっ、教えてくれても聞き取れねーか。

[アダクリス人C] ……%&¥(この人たち、どこから来たの!?)

[アダクリス人D] ¥……&#(こいつ、すげぇ変な恰好してんなぁ!)

[Aya] ま、いっか。少なくともここは、無人地帯じゃないみたいだね。

[Alty] どこか補給できる場所があればいいんだけど。

[Aya] Alty、そんな夢みたいなこと言わないで。

[ユーネクテス] お前たち、異郷人か?

[Alty] あら? あなたが話してるのってサルゴン語?

[ユーネクテス] ふむ、確かに異郷人のようだな。

[ユーネクテス] ここに何の用だ?

[Alty] 私たちの車、エネルギー切れしちゃったの。だから補給させてほしいと思ってね。アーツがわかる人はいるかしら?

[ユーネクテス] ……ついてこい。

[Alty] ほらね、Aya。希望が見えたわ。

[Aya] へぇ、ホントこの大地って不思議がいっぱい。

[Dan] おいおいおい、おいおいおいおいおい、なんだよこれ、いったいどういうことなんだ!

[Dan] どっからどー見ても原始的なジャングルに、こんな村があんのか!

[Frost] (鼻歌)~♪

[Aya] 確かにびっくりだね。どの建物も現代建築の面影がありながら、原始的な美しさを残してる。

[Alty] 変だけど、ユニークね。

[ユーネクテス] 私はこの部族の族長、ズゥママだ。この部族では大半の者が、お前たちの言葉を理解できる。

[ユーネクテス] 部族の祭司たちに車のエネルギーを補給させてやってもいいが、一つ条件がある。

[Alty] なに?

[ユーネクテス] 車の内部構造が見たい。

[Alty] ……それだけでいいの?

[ユーネクテス] ああ。

[Aya] 車を壊さないって保証はあるの?

[ユーネクテス] 壊さない。たぶん。

[Aya] Alty?

[Alty] 背に腹は代えられないわ。

[ユーネクテス] それでどうなんだ?

[Alty] 取引成立よ。

[ユーネクテス] わかった。じいや。

[大祭司] なんじゃ! ……ん?

[大祭司] むむむ?

[大祭司] お前さんたちは……

[Alty] あなたは……

[Alty] まさかこんなところで、あなたみたいな存在と出会えるなんてね。

[大祭司] ふむ、正直に言うと、わしも同じことを思ったぞ。

[大祭司] じゃがわしは、お前さんたちより、お前さんたちの車のほうに興味があるぞい!

[Alty] それじゃ、お好きにどうぞ。

[Aya] さっきも言ったけど、ホントこの大地って不思議がいっぱいだね。

[Alty] 珍しく同意見よ。

一方、Frostはギターを祭祀用のスピーカーに繋ぎ、即興のソロを演奏し始めた。

[Alty] いい曲ね、Frost。

[Frost] この不思議な村から、インスピレーションを貰った。

[Dan] イケてんねー、Frost。メロディーに変化を取り入れてみたんだな。

[Frost] 灼熱、抑圧……

[Frost] この曲の名前は……『D』!

[アダクリス人A] なんだこの音?

[アダクリス人B] 一体なんの音なんだ? 全身から力が湧いてくるぜ!

[アダクリス人C] さっき来た異郷人たちがやってるみたいだ! 見に行こうぜ!

[Aya] 人がどんどん集まって来たよ、Alty……

[Alty] まずいわね。

[Frost] 生命たちが渇望してる! 音楽を! 力を! そして……

[アダクリス人B] この音は!

[アダクリス人C] なぁ異郷人、もっと音を残していってくれ!

[Aya] Alty……この雰囲気良くない?

[Aya] いっそのこと、私たちのスピーカーも運び出してさ、一曲演奏してあげようよ。

[Alty] 反対はしないわ。

[Dan] いいじゃんいいじゃん! こんなサイッコーのアレンジを聞かされたら、アタシだって我慢できねぇーよ!

[Dan] Frostだけにいい恰好はさせねーぞ!

[Alty] そうね。ここの人たちに、AUSの音楽を感じてもらいましょう!

[アダクリス人A] ただ変な音が並んでるだけなのに、興奮が止まんねぇ!

[アダクリス人B] まさかこれも祭司たちが使ってる祭楽と同じ、「楽曲」ってやつなのか?

[アダクリス人C] こんな楽曲、今まで聞いたことねぇ! あいつらは一体何モンだ!

[アダクリス人D] わかった、きっとあいつらは「クイカヨーティ」なんだ!

[Dan] 「クイカヨーティ」? なんだそれー?

[大祭司] ふむ、彼らの言語で「歌う人」という意味じゃ。

[大祭司] ここは長きに渡って「クイカヨーティ」が不在じゃったからのう。お前さんたちの音楽が、皆の心を完全に虜にしてしまったんじゃ。

[大祭司] まあ正直に言ってしまうと、お前さんたちの音楽は、わしが昔に聞いた「クイカヨーティ」とはまったく違うがの!

[大祭司] じゃが大丈夫じゃ、お前さんたちの音楽の方が面白い!

[アダクリス人E] 「クイカヨーティ」、もう一曲聞かせてくれ!

[アダクリス人F] 欲しいものは全部やるから、どうかもう一曲!

[Aya] Alty、どうするの?

[Dan] しばらく残ろうぜー、Alty!

[Alty] 私たちの目的を忘れないでって言いたいけれど……

[Alty] まあいいわ、時間はたっぷりあるし。

[Aya] こんなところにもトランスポーターがいるんだね。

[イナム] そっちこそ……雑誌でしか見たことないAUSがここに来るとは思わなかったわ。

[Alty] ズゥママは?

[イナム] あんたたちが使いたいって言ってたスピーカーを作ってる。代わりに私が道案内をしてあげるわ。

[イナム] ここにはどのくらい滞在するつもり?

[Alty] 一週間、ううん、一か月。いや、もしかしたら一年になるかもしれないわ。

[Alty] すっかりこの場所に焚き付けられちゃったの。だから、最後まで楽しまないとね。

[イナム] だったら、ライブをするのに最適な場所があるわ。

[Dan] イカした場所じゃねーか!

[Alty] ここは……霊殿かしら?

[イナム] そうよ。昔は全部族がここに集まって「マヒゾッティア」を開いていたの。だけど、ガヴィルが出て行ってから、もう長い間使われていないわ。

[Aya] 「マヒゾッティア」?

[Alty] それに、ガヴィルですって? ロドスでも同じ名前を見たような気がするけど……まあきっと、同じ名前の別人でしょう。

[イナム] ここで演奏すればいいわ。

[Frost] 最高の音楽を、ここの人たちに楽しんでもらおう。

[Dan] ハハ、そうだな。ここにAUSの痕跡を残してくっきゃねーな!

二か月後

[イナム] AUSって本当に不思議な人たちね……

[イナム] まさか二か月もここに滞在するなんて。

[イナム] いつかガヴィルが帰ってきたら、驚くでしょうね。こんな辺鄙な場所に、音楽の概念が生まれたことに。

[イナム] そしてここの人たちが、ロックに心酔してしまったことに。

[イナム] さてさて、今日はどんな演奏をしてくれるのかしら?

[イナム] ……一番夢中になってるのは、私自身なのかもね。

[イナム] AUSのみんな、今日は……

[イナム] あれ?

部屋には誰もいなかった。生活用品や寝具はきれいに片づけられ、部屋のテーブルの上には、一枚の紙が置かれている。

[イナム] まさか、出て行っちゃったの?

[イナム] これは手紙かしら、ええっと……

[イナム] 「もう行くわ、さようなら。どうかお構いなく。音楽があなたたちに喜びをもたらしてくれますように。私たちのアルバムは全部ここに残していくから、心ゆくまで楽しんで。――AUS」

[イナム] ……ふふ、本当に不思議な人たちね。

[Alty] 私はあのアカフラって場所をきっと忘れないわ。

[Frost] (鼻歌)~♪ 忘れられない経験。

[Aya] でもあの人たち、うるさくて乱暴だったじゃない。

[Dan] そうか? アタシゃー気に入ったぜ!

[Aya] あんた、あそこに残っても上手くやっていけそうだったもんね。

[Dan] まーな。出てくるのだってすげー迷ったし。

[Dan] あそこのヤツらってさー、天然っていうか、原始的な活力に満ちてる感じがしねー?

[Dan] 今までいろんな国や都市を回ってきたけど、こんなヤツらに会ったのは初めてだろ?

[Dan] だからアタシも気に入ったんだ!

[Aya] そうね、それは否定できないわ。

[Frost] みんな私たちの音楽を理解してくれた。みんな最高の観客。

[Alty] Frostも気に入ってるみたいね。

[Alty] だけど、やっぱり他人の生活をめちゃくちゃにするのは良くないことよ。私たちはただ歌を歌うだけでいいわ。

[Aya] みんなに歌を聴かせて、それがいい歌なら――

[Dan] 人々も歌ってくれるってやつか。

[Aya] あれ、前にも同じことを言わなかったっけ?

[Alty] さあね。もしかしたら何度も言っているのかもしれないわ。

[Alty] さあ、私たちの旅を続けましょう。

[Alty] 私たちの歌に、大地は耳を傾けてくれるかしら?

車に揺られながら、彼女たちは冗談で話題を締めくくった。

手に握った鍵を見て、Altyは思う。ねえケルシー先生、あなたたちロドスは、この大地が求める答えを出せるのかしら?

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧