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帰還!密林の長_RI-EX-1_東に声して西を撃つ_戦闘後
車がエネルギー切れとなり、AUSは補給のためにやむなくジャングルに踏み入った。 AUSとその音楽は、ジャングル中で大きな反響を呼んだ。
[Dan] 烈日、荒野、黄砂、熱風! よっしゃー! 新曲が心の底から湧き上がってくるぜー!
[Frost] (solo)
[Aya] 二人ともうるさいよ。
[Alty] そうよ。せっかくこんな広くて誰もいない場所なのよ。追われる心配もないんだし、少しは静かに休んだらどう?
[Aya] でもAlty、ここでも海の匂いがするよ。本当に安全なの?
[Alty] Ayaは相変わらず夢がないわね。
[Alty] この大地に安全な場所なんてないわ。でも私たちだって、たまにはリラックスしなきゃ。そうでしょ?
[Aya] そうかもしれないけどさ。
[Aya] それで、次はどうやって道を拓くの? 手ぶらで帰るわけにもいかないでしょ。
[Alty] 今回は、あの医者が答えをくれたわ。
Altyは手に握った「鍵」を見やった。
[Dan] おいおいマジか? そりゃどー見ても普通の代物には見えねーんだけど、ホントに貰ったのか? 何かと交換したのか?
[Alty] ええ、知識とね。
[Dan] 知識とそいつで、釣り合いが取れんの?
[Alty] さあね。でもあの医者はまるで、私たちにその知識を駆使するよう促してるみたいだったわ。
[Aya] 知識って、あの人が知らないこと?
[Alty] いいえ、私たちが知ってることなら、恐らく彼女も……
[Alty] ……そうね。よくよく考えてみれば、今回の取引で彼女は、好奇心を利用することで私たちを動かしたのかもしれない。
[Dan] つまり、アイツは実質何も差し出してねーってこと?
[Aya] うん……
[Alty] そうなるわね……
[Aya] 騙されたね。
[Alty] いいえ、誘導されたと言ったほうが正しいわ。
[Dan] 操られたってことじゃねーの?
[Frost] 導かれた。
[Aya] あの医者って、そんなに重要な人なの?
[Alty] いいえ。あの医者が伝えたかったのはまさにそれだと思うわ。彼女の言動は重要じゃないということをね。
[Alty] そう、重要なのは、私たちがどう考えて、どう動くか……
[Aya] じゃあ鍵はどうするの? 放っておく? それともやっぱり行く?
[Dan] めんどくせーよ。行かなきゃダメか?
[Alty] これって音楽と同じだと思うわ……私たちは、他人を無理やり変えてしまうほどの力を持つべきじゃないの。ただ自分たちの歌を歌うだけでいい。
[Aya] みんなに歌を聴かせて、それがいい歌なら――
[Dan] 人々も歌ってくれるってやつか。
[Frost] (solo)
[Alty] はぁ。じゃあさらなる知識とこの鍵を、準備が整った人に渡してあげましょ。
[Aya] それって誰になるの?
[Alty] わからないわ。
[Aya] まだ生まれてきてないのかもね。
[Dan] そりゃーいいな! まだ生まれてないでくれよー!
[Alty] そんなこと期待しないで、Dan。私たちはね……あら?
[Aya] どうしたの、Alty。
[Alty] 車のエネルギーが切れたわ。
[Aya] ちゃんと準備してなかったの?
[Alty] してたわよ。だけど寄り道しちゃったでしょ。
[Alty] それに正直に言うと、こういう公道も標識もない荒野をずっと運転してると、簡単に方向感覚がなくなっちゃうのよね。
[Aya] それって私たち、迷子になっちゃったってこと?
[Alty] そうは言いきれないわ。おおよその方向は合ってるだろうし、新たな道を切り拓いていると言うべきね。
[Frost] 迷子。
[Dan] 迷子! いいネタになるねぇ!
[Aya] あーあ。Danのポジティブさは時々本気で見習いたくなるよ。それで、これからどうするの?
[Alty] 向こうにジャングルがあるみたいだから、行ってみましょう。
[Aya] それはいいんだけど、誰が車を推すの?
[Alty] 順番に推すのもいいかもしれないわね。
[Aya] Alty.
[Alty] なにかしら。
[Aya] 周りに人がたくさん集まってきてるよ。
[Alty] そうね。
[Alty] でも、何言ってるかわからないわ。
[Aya] だからって、ついてくるのをこのまま放っとくの?
[Alty] 何かアイデアでもあるの?
[Aya] 全部やっつけちゃったら?
[Alty] あなたがFrostとDanを説得できるならね。
[Frost] (弾き歌い)
[アダクリス人A] &*……%¥……&(なんだこの音! すげえいい響きだな!?)
[アダクリス人B] &%……%(こんなすごい音、聞いたことない……)
[Dan] よう! みんな!
[Dan] 何喋ってるかアタシにも教えてくれねー?
[Dan] あっ、教えてくれても聞き取れねーか。
[アダクリス人C] ……%&¥(この人たち、どこから来たの!?)
[アダクリス人D] ¥……&#(こいつ、すげぇ変な恰好してんなぁ!)
[Aya] ま、いっか。少なくともここは、無人地帯じゃないみたいだね。
[Alty] どこか補給できる場所があればいいんだけど。
[Aya] Alty、そんな夢みたいなこと言わないで。
[ユーネクテス] お前たち、異郷人か?
[Alty] あら? あなたが話してるのってサルゴン語?
[ユーネクテス] ふむ、確かに異郷人のようだな。
[ユーネクテス] ここに何の用だ?
[Alty] 私たちの車、エネルギー切れしちゃったの。だから補給させてほしいと思ってね。アーツがわかる人はいるかしら?
[ユーネクテス] ……ついてこい。
[Alty] ほらね、Aya。希望が見えたわ。
[Aya] へぇ、ホントこの大地って不思議がいっぱい。
[Dan] おいおいおい、おいおいおいおいおい、なんだよこれ、いったいどういうことなんだ!
[Dan] どっからどー見ても原始的なジャングルに、こんな村があんのか!
[Frost] (鼻歌)~♪
[Aya] 確かにびっくりだね。どの建物も現代建築の面影がありながら、原始的な美しさを残してる。
[Alty] 変だけど、ユニークね。
[ユーネクテス] 私はこの部族の族長、ズゥママだ。この部族では大半の者が、お前たちの言葉を理解できる。
[ユーネクテス] 部族の祭司たちに車のエネルギーを補給させてやってもいいが、一つ条件がある。
[Alty] なに?
[ユーネクテス] 車の内部構造が見たい。
[Alty] ……それだけでいいの?
[ユーネクテス] ああ。
[Aya] 車を壊さないって保証はあるの?
[ユーネクテス] 壊さない。たぶん。
[Aya] Alty?
[Alty] 背に腹は代えられないわ。
[ユーネクテス] それでどうなんだ?
[Alty] 取引成立よ。
[ユーネクテス] わかった。じいや。
[大祭司] なんじゃ! ……ん?
[大祭司] むむむ?
[大祭司] お前さんたちは……
[Alty] あなたは……
[Alty] まさかこんなところで、あなたみたいな存在と出会えるなんてね。
[大祭司] ふむ、正直に言うと、わしも同じことを思ったぞ。
[大祭司] じゃがわしは、お前さんたちより、お前さんたちの車のほうに興味があるぞい!
[Alty] それじゃ、お好きにどうぞ。
[Aya] さっきも言ったけど、ホントこの大地って不思議がいっぱいだね。
[Alty] 珍しく同意見よ。
一方、Frostはギターを祭祀用のスピーカーに繋ぎ、即興のソロを演奏し始めた。
[Alty] いい曲ね、Frost。
[Frost] この不思議な村から、インスピレーションを貰った。
[Dan] イケてんねー、Frost。メロディーに変化を取り入れてみたんだな。
[Frost] 灼熱、抑圧……
[Frost] この曲の名前は……『D』!
[アダクリス人A] なんだこの音?
[アダクリス人B] 一体なんの音なんだ? 全身から力が湧いてくるぜ!
[アダクリス人C] さっき来た異郷人たちがやってるみたいだ! 見に行こうぜ!
[Aya] 人がどんどん集まって来たよ、Alty……
[Alty] まずいわね。
[Frost] 生命たちが渇望してる! 音楽を! 力を! そして……
[アダクリス人B] この音は!
[アダクリス人C] なぁ異郷人、もっと音を残していってくれ!
[Aya] Alty……この雰囲気良くない?
[Aya] いっそのこと、私たちのスピーカーも運び出してさ、一曲演奏してあげようよ。
[Alty] 反対はしないわ。
[Dan] いいじゃんいいじゃん! こんなサイッコーのアレンジを聞かされたら、アタシだって我慢できねぇーよ!
[Dan] Frostだけにいい恰好はさせねーぞ!
[Alty] そうね。ここの人たちに、AUSの音楽を感じてもらいましょう!
[アダクリス人A] ただ変な音が並んでるだけなのに、興奮が止まんねぇ!
[アダクリス人B] まさかこれも祭司たちが使ってる祭楽と同じ、「楽曲」ってやつなのか?
[アダクリス人C] こんな楽曲、今まで聞いたことねぇ! あいつらは一体何モンだ!
[アダクリス人D] わかった、きっとあいつらは「クイカヨーティ」なんだ!
[Dan] 「クイカヨーティ」? なんだそれー?
[大祭司] ふむ、彼らの言語で「歌う人」という意味じゃ。
[大祭司] ここは長きに渡って「クイカヨーティ」が不在じゃったからのう。お前さんたちの音楽が、皆の心を完全に虜にしてしまったんじゃ。
[大祭司] まあ正直に言ってしまうと、お前さんたちの音楽は、わしが昔に聞いた「クイカヨーティ」とはまったく違うがの!
[大祭司] じゃが大丈夫じゃ、お前さんたちの音楽の方が面白い!
[アダクリス人E] 「クイカヨーティ」、もう一曲聞かせてくれ!
[アダクリス人F] 欲しいものは全部やるから、どうかもう一曲!
[Aya] Alty、どうするの?
[Dan] しばらく残ろうぜー、Alty!
[Alty] 私たちの目的を忘れないでって言いたいけれど……
[Alty] まあいいわ、時間はたっぷりあるし。
[Aya] こんなところにもトランスポーターがいるんだね。
[イナム] そっちこそ……雑誌でしか見たことないAUSがここに来るとは思わなかったわ。
[Alty] ズゥママは?
[イナム] あんたたちが使いたいって言ってたスピーカーを作ってる。代わりに私が道案内をしてあげるわ。
[イナム] ここにはどのくらい滞在するつもり?
[Alty] 一週間、ううん、一か月。いや、もしかしたら一年になるかもしれないわ。
[Alty] すっかりこの場所に焚き付けられちゃったの。だから、最後まで楽しまないとね。
[イナム] だったら、ライブをするのに最適な場所があるわ。
[Dan] イカした場所じゃねーか!
[Alty] ここは……霊殿かしら?
[イナム] そうよ。昔は全部族がここに集まって「マヒゾッティア」を開いていたの。だけど、ガヴィルが出て行ってから、もう長い間使われていないわ。
[Aya] 「マヒゾッティア」?
[Alty] それに、ガヴィルですって? ロドスでも同じ名前を見たような気がするけど……まあきっと、同じ名前の別人でしょう。
[イナム] ここで演奏すればいいわ。
[Frost] 最高の音楽を、ここの人たちに楽しんでもらおう。
[Dan] ハハ、そうだな。ここにAUSの痕跡を残してくっきゃねーな!
二か月後
[イナム] AUSって本当に不思議な人たちね……
[イナム] まさか二か月もここに滞在するなんて。
[イナム] いつかガヴィルが帰ってきたら、驚くでしょうね。こんな辺鄙な場所に、音楽の概念が生まれたことに。
[イナム] そしてここの人たちが、ロックに心酔してしまったことに。
[イナム] さてさて、今日はどんな演奏をしてくれるのかしら?
[イナム] ……一番夢中になってるのは、私自身なのかもね。
[イナム] AUSのみんな、今日は……
[イナム] あれ?
部屋には誰もいなかった。生活用品や寝具はきれいに片づけられ、部屋のテーブルの上には、一枚の紙が置かれている。
[イナム] まさか、出て行っちゃったの?
[イナム] これは手紙かしら、ええっと……
[イナム] 「もう行くわ、さようなら。どうかお構いなく。音楽があなたたちに喜びをもたらしてくれますように。私たちのアルバムは全部ここに残していくから、心ゆくまで楽しんで。――AUS」
[イナム] ……ふふ、本当に不思議な人たちね。
[Alty] 私はあのアカフラって場所をきっと忘れないわ。
[Frost] (鼻歌)~♪ 忘れられない経験。
[Aya] でもあの人たち、うるさくて乱暴だったじゃない。
[Dan] そうか? アタシゃー気に入ったぜ!
[Aya] あんた、あそこに残っても上手くやっていけそうだったもんね。
[Dan] まーな。出てくるのだってすげー迷ったし。
[Dan] あそこのヤツらってさー、天然っていうか、原始的な活力に満ちてる感じがしねー?
[Dan] 今までいろんな国や都市を回ってきたけど、こんなヤツらに会ったのは初めてだろ?
[Dan] だからアタシも気に入ったんだ!
[Aya] そうね、それは否定できないわ。
[Frost] みんな私たちの音楽を理解してくれた。みんな最高の観客。
[Alty] Frostも気に入ってるみたいね。
[Alty] だけど、やっぱり他人の生活をめちゃくちゃにするのは良くないことよ。私たちはただ歌を歌うだけでいいわ。
[Aya] みんなに歌を聴かせて、それがいい歌なら――
[Dan] 人々も歌ってくれるってやつか。
[Aya] あれ、前にも同じことを言わなかったっけ?
[Alty] さあね。もしかしたら何度も言っているのかもしれないわ。
[Alty] さあ、私たちの旅を続けましょう。
[Alty] 私たちの歌に、大地は耳を傾けてくれるかしら?
車に揺られながら、彼女たちは冗談で話題を締めくくった。
手に握った鍵を見て、Altyは思う。ねえケルシー先生、あなたたちロドスは、この大地が求める答えを出せるのかしら?
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