aklib_story_ウォルモンドの薄暮_TW-4_復讐の魂_戦闘前

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ウォルモンドの薄暮_TW-4_復讐の魂_戦闘前

フォリニックに問い詰められたセベリンは、一行を臨時の死体安置所へ案内する。そして、フォリニックはそこで親友との再会を果たした。その最中、市民の中で見え隠れする冬霊人の影を捉えた一同は、彼らが暴動を扇動した真犯人であるという疑いを強める。


[グレースロート] ……どうしてこんな……

[カシャ] ……ホントに……ひどい……

[エアースカーペ] 火災が処理されてから、かなり時間が経っているようだ。だが……

[エアースカーペ] これは、ロドスの物資箱だ。識別コード、日付、全て揃っている……

[カシャ] ここだけホコリが薄い。四角い何かが箱の上に置いてあったみたいだね。

[グレースロート] ……アントのIDカードかもしれない。彼女はカードを身につけるのが嫌いだったから。

[グレースロート] カシャ、エアースカーペ、状況が変わったわ。

[カシャ] そ、それくらいあたしにもわかるよ!

[カシャ] あたしにはグレースロート姉さんとエアースに山で助けてもらった恩があるから、絶対力になってみせる!

[エアースカーペ] 俺をエアースなんて呼ぶな……はぁ、レオンハルトはアンタたちに何を言ったんだか……

[エアースカーペ] 天災の影響は深刻だ。ウォルモンドはかなり苦しい状況だろう。それにしても、ここの天災トランスポーターは何をしていたんだ?

[エアースカーペ] もしレオンハルトかアーススピリットさんがいたなら、ここまでの事態にはなっていなかったはずだ……

[グレースロート] もしもの話をしたってしょうがない……私たちは最悪の事態に備えておいた方がいい。

[グレースロート] 街の外に駐在するとしたら、二人は問題ある?

[カシャ] 全然大丈夫!

[エアースカーペ] ……俺は元より天災トランスポーターの護衛が仕事だから、慣れている。ただこいつは、動画素材を撮るために冬霊山脈に登って一瞬で遭難した「天才少女」だ。

[カシャ] ちょっと! こんなときまであたしを馬鹿にするの!?

[エアースカーペ] ただの冗談だ。つまり……グレースロートは俺たちが今すぐ街に侵入して、議事堂の門を破壊することは望んでないということか?

[グレースロート] ……ええ、ごめんなさい。少しだけ我慢して。私がアントの状況を確かめてくるまで。

[グレースロート] すぐに戻る。

[フォリニック] ……飢饉?

[セベリン] ああ、飢饉だ。飢饉がこの街を滅ぼすだろう。

[セベリン] 君が何故と問いたいのはわかる。確かにウォルモンドほどの規模の街となれば、自給自足は可能だ――

[セベリン] 大裂溝が起きた日に、源石結晶にインフラエリアの地下を貫かれ、田畑や供給施設が破壊されていなければ、の話だがな。

[住民代表] 実際、商業エリアと街の中心で爆発が起きなかったのは不幸中の幸いでした。ですが、かなりの損害を受けたことには変わりません……

[セベリン] 季節も良くなかった。すでに秋を迎え、冬霊山脈へ向けて運行しているところだったからな。今年の冬は足が早かった。

[住民代表] 住民が不安に陥ることを避けるために、この件に関しては発表を控えていました。

[セベリン] そうしたら我々は事情を知らない仲間たちに、後ろから刺されたというわけさ。

[住民代表] あの裏切り者たちは……どうしますか?

[セベリン] タチヤナが若い連中を連れて調査をしている。ウォルモンドの事情に通じている先導者がいなければ、誰も動力炉に触れることなどできなかったはずだ。

[セベリン] ところで、街ごとに予備の牽引設備があったはずだが、そちらの状況は?

[住民代表] ……それで市街全体を移動させるのでは遅すぎます。最大速度でも他の移動市街の八分の一程度しか出ませんので、山脈を離れる前に冬が来てしまうでしょう。

[セベリン] そうか……。食料庫だけはなんとしてでも死守しなくてはな。人員を増やせ。

[住民代表] 不可能です。……老人も子供も、武器を持つ勇気のある者たちはもう全員……

[住民代表] それに食料庫に手を出すとなれば、ウォルモンドの全員を殺すことになるということくらい、裏切り者たちもわかっているはずです! 彼らが、彼らがどれだけ非道であってもさすがにそこまでは……

[セベリン] 希望など持たないほうがいい。

[スズラン] あの……

[セベリン] ――なんだ、言ってみなさい。

[スズラン] ドデカフォニー通り――隔離エリアがあそこまで厳しい状況になっている原因は、つまり……?

[セベリン] ……ただ単純に、感染者の母数が増えたことにより、一人あたりの配給が縮小されたから……と言ったら信じてくれるか?

[セベリン] いや、君たちが信じようが信じまいが関係ない。そう説明して、彼らは納得してくれると思うか?

[セベリン] 食料庫の扉を破壊し、備蓄の穀物を一粒一粒精査して初めて、彼らは我々の言葉が事実だとわかるのだろう。

[セベリン] とは言え、彼らが食料庫を暴くのを黙って見ているのが正解とは、私には思えない。

[スズラン] ……

[セベリン] もし彼らが本当に中の食料を精査するだけなら、私も喜んで扉を開けよう。だが皆が皆、中を見て満足するわけではあるまい。

[セベリン] 我々からの公式通達がなくとも、賢い者であれば、運行ルートと季節の推移から、ウォルモンドが冬に大飢饉を迎えることは予測できるはずだ。

[セベリン] 彼らの扇動や略奪、そして今日やったことの全ては、彼ら自身が生き延びるために、他者を餓死させるための口実に過ぎない。

[セベリン] ロドスが感染者問題対策の専門家だということは、もちろん私も信じている。アント先生の専門性と君たちの戦いぶりを見れば、疑う余地はないからな。

[セベリン] だが――

[セベリン] ――この地に蔓延る難題は、鉱石病だけなのか?

[フォリニック] ……

[フォリニック] ……こんな状況ですが、アントのためにも言わせてもらいます。

[フォリニック] あれは殺人でした。

[住民代表] ――関係ない者は皆外へ出ろ! 憲兵長とロドスのお二人がここを使う。

[住民代表] セベリンさん。

[セベリン] ……わかっている。

[住民代表] では、お任せします。

[フォリニック] ……どうやら、人の前で話せるような話題ではないようですね。

[セベリン] さすがに、殺人とまで言われてしまえばね。

[フォリニック] あなたたちの隠蔽が招いた結果です――礼儀正しい言い方ではありませんが言います。あなたたちを見ているだけでムカつきます。

[フォリニック] ロドスのオペレーターであるアントが、ウォルモンドでの殺人事件に巻き込まれて殉職したんです。納得のいく説明をしてください。

[フォリニック] ……あの一命をとりとめた感染者の証言によると、彼らも「犯人」を探しているとのことでした。

[セベリン] もしかすると犯人は彼らの中にいるのかもしれない。よくある罪のなすりつけ合いさ。

[フォリニック] ……そうかもしれませんね。

[フォリニック] ですが殺人犯の話をする前に、私は――

[セベリン] ――それ以上は、君の口から言わなくていい。

[セベリン] 私でも、良心の呵責に苛まれることがある。もし君から言われてしまえば、こちらもやるせない気持ちになる。

[セベリン] ウォルモンドがこの窮地を乗り切るためには、まだ君たちの力が必要だ。全てを知った君たちを、これ以上闇雲に困らせることはしないと約束する。

[セベリン] ……私についてきてくれ。

[フォリニック] ここは……

[スズラン] ……

[セベリン] こんなぞんざいな扱いで申し訳ない。だが彼らはほとんど感染者だからな。地下に安置しないと、他の者たちを安心させられん。

[フォリニック] ……寒いですね。

[セベリン] いついかなるときも、この冷却装置だけは滞りなく動くようにしている。

[フォリニック] とても繊細で精確なアーツです。さすがリターニアに籍を置く憲兵長ですね。

[セベリン] ……犠牲者は、八名。

[セベリン] ウォルモンドの住民四名、アント先生、そして街の外からやって来た感染者が三名。

[スズラン] ……セベリン憲兵長の息子さん……トールワルドさんもこの中にいるんですね。

[セベリン] ……タチヤナから聞いたのだな。

[セベリン] そうだ。

[セベリン] 私の失策のせいで……

[フォリニック] アント……こんなところにいたのね。

[フォリニック] もっと……見つけやすいところにいなさいよ……バカ猫。

[セベリン] 彼女は……どうしてあれがアント先生だと……

[スズラン] (セベリン憲兵長……しばらく一人にしてあげましょう?)

[セベリン] ……そうだな。

[セベリン] ……彼女も努力し、もがきながら前に進んでいる少女なのだな。あの強気の姿勢に、そんな当たり前のことも忘れてしまいそうになった。タチヤナと同じくらいの年齢だろうに。

[スズラン] タチヤナさんも……すごく無理をしています。

[セベリン] わかっている。

[スズラン] あっ――! もうタバコは止めてください! 言いましたよね!

[セベリン] ……そうすべきかもしれんな。

[スズラン] タバコはあなたの気管支疾患をさらに――

[スズラン] ――

[スズラン] ま、まさかあなたは――?

[セベリン] ……キツネのお嬢さん、君は私が思っていたよりも、ずっと鋭いようだ。

[セベリン] だが今は、秘密にしておいてくれないか。

[フォリニック] ……

[スズラン] フォリニックお姉さん……気分はいかがですか?

[フォリニック] ……ええ、大丈夫。

[セベリン] 君の年齢でこんな……なんと立派なことだ。

[フォリニック] 私の目の周りが腫れているから、皮肉を言っているんですか?

[セベリン] 友人を失ってなお、冷静であろうとしている君を、嘲笑うことなどない。

[フォリニック] ……

[フォリニック] ……まだ終わっていません。

[セベリン] そうだな、まだ終わっていない。ここからは、共に今回の事件に向き合えるといいのだが。

[フォリニック] これは?

[セベリン] 市街防衛用アーツ発生装置だ。正式名称はL-44「蓄音機」自律式アーツユニット……要するに、凶器はこいつだ。

[セベリン] 高等教育を受けたリターニア人ならば、誰でもこいつのコアを駆動させることができる。破壊力は、民間では違法レベルだ。

[セベリン] とは言え、駆動させたところで、誰にでも扱いきれるという訳ではないがな。過負荷、温度上昇、爆炎……市街防衛設備の一部であるこいつには、複雑なアーツ制御が必要になる。

[フォリニック] ……つまり誰かがこれを使って、アントを……

[スズラン] ……

[フォリニック] ……絶対犯人を見つけてやる。

[セベリン] 犯人が見つかったら、どうする?

[フォリニック] ……代償を払わせます。

[セベリン] ……意外だな、不安と悲しみを乗り越えた君が、復讐を選ぶとは。

[スズラン] フォリニックお姉さん……私たちは復讐なんて……

[フォリニック] わかってる。

[フォリニック] もちろんわかってる。ロドスのオペレーターとして、ケルシー先生の学生として、そんなこと誰よりもはっきりとわかってる。

[フォリニック] でもこの犯人だけは――裁きを受けなきゃいけないの!

[フォリニック] アントが何をしたって言うの? あの子は感染者を助けてただけ! それなのに、どうしてこんな目に遭わなきゃいけなかったの!?

[フォリニック] 少なくとも――

[フォリニック] 少なくとも……これだけは犯人に聞きたい……なんでこんなことをしたのか……なんでこんなことが許されると思ったのかって。

[セベリン] ……わかった。

[タチヤナ] セベリン憲兵長、スズランさん、フォリニックさ――

[タチヤナ] あ……フォリニックさんにはもう……

[セベリン] ああ、もう会わせたよ。……そんなに慌てた様子で、また何かあったのか?

[タチヤナ] はい。捜査の最中、感染者が一般住民と争いになって……

[セベリン] またか。

[タチヤナ] ですが今回は……代表たちが出ていっても事態を収めることはできませんでした。皆あの武装した感染者たちに、宣戦布告すべきだと騒ぎ立てて……

[セベリン] 街の移動手段が大幅に制限を受けている状況だ、それが意味することは皆わかっている……我慢の限界だったのだろう。

[タチヤナ] 新たな発見もありました……感染者と結託した住民の多くは、感染者ではなく……

[セベリン] ……察しはついている。

[タチヤナ] えっ?

[セベリン] 冬霊人、あの忌むべき部族だろう。またウォルモンドに取り憑くつもりか。

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