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ウォルモンドの薄暮_TW-2_反乱の前哨_戦闘後
ウォルモンドに潜入した部外者が暴動を煽ったようだったが、ロドスの助けもありなんとかその場は収まる。ウォルモンドとロドスの溝を埋めるために、タチヤナは二人をアントが設立した臨時拠点へ案内する。
[セベリン] ――彼らはいつの間に、街に潜り込んだんだ?
[住民代表] わかりません。ですが「蓄音機」は起動しなかったようです……
[セベリン] あの類の実験的な自律式アーツユニットは、頼りにならないと言っただろう。
[セベリン] あの感染者たちの中に高等教育を受けたリターニア人がいるなら、その制御権を奪うことは容易い……
[住民代表] 今さらそんなことを言っても仕方ありません。感染者居住区のそこら中で、彼らの痕跡が確認されています。間違いなく、彼らが感染者を煽っているんです。
[セベリン] ……ウォルモンドの住民たちはそう簡単にはのせられんさ。
[住民] で、でも抗議する者は増え続けています。彼らは一つに集まって――
[セベリン] 何を要求している?
[住民] ドデカフォニー通りの物資供給の回復と……同地区の隔離措置の撤廃です。
[セベリン] ……馬鹿げたことを。
[住民] 一番の要求は……あの火災に対する公式な声明が欲しいと……
[セベリン] それは大義名分だろう。彼らはもうほとんど火災など気にしていないさ……そんな当初の目的など、皆すぐに忘れる。
[住民] どうしますか? ロドスの方もいらっしゃってますし、公になるのは時間の問題です。
[セベリン] わかっている。でなければ、タチヤナを彼女たちに付き添わせはしない。
[セベリン] ただ手の内を晒す前に、ロドスがどんな会社なのか確かめる必要がある……アント先生のような感染者の集団か、それとも「彼ら」のような者たちかをな。
[住民] ですが……彼女たちに何か隠していると勘付かれたら、余計に話がこじれるのでは?
[セベリン] 不安か? 牙を剥く奴は何をしようと、いつかは牙を剥くものだ。今のウォルモンドの状況を考えれば、言わずもがなだろう。
[住民] それはわかりますが――
[セベリン] ――では「良い人」を演じようとするな。重要なのは結果だ。良い人が良い結果をもたらせるとは限らない。
[セベリン] ゴホッ、ゴホゴホッ……それよりも真に面倒な奴らはどうした? 魔族の奴らは何をしている?
[住民] まだ接触してきませんね……
[セベリン] 火事場泥棒を企む輩が、住民を煽ってスキを狙うのは、よく見るやり口だ。
[セベリン] 魔族は今頃、慎重に探りを入れているのだろう。もし今のウォルモンドに憲兵隊がいないことが露呈すれば……
[住民] こちらは戦う準備ができています。それに我々には、L-44「蓄音機」防御システムがあります。
[セベリン] だが君たちが本物の憲兵ではない以上……はぁ、私はただ少しでも死傷者を減らしたいだけ、ゴホゴホッ――ゴホゴホゴホッ――
[住民] お身体を大切にしてください。ウォルモンドはまだ、あなたを失うわけにはいきませんから。
[セベリン] ほう、そうなのか? 私自身ですら、私の命にそれほどの価値があるとは思っていないが……
[住民] 憲兵が一人もいない状況で、ウォルモンドの治安を崩壊させずに保つことができるのは、あなた以外にいません。
[セベリン] それは皆の屈強な血統に支えられているだけだ。プライドある高貴なリターニア人は、汚らわしい行為を働かない。とはいえ、今の状況で後押しされたらわからないがな。
[セベリン] 早く対策を考えなければ……ウォルモンドが暴乱に飲み込まれるまでに、それほど時間はかからないだろう。
[セベリン] 少なくとも冬になるまでには、正常な運行ルートに戻らなければ。こんな荒れ果てた地に長くいたのでは、飢饉と暴動が街を破壊し尽くしてしまう。
[住民] 確かに、はい……その通りです。
[セベリン] もう涼しくなり始めている、ゴホッ――
[セベリン] ……ウォルモンドが生き残る手が、残されていればいいのだが。
[反乱する住民] あ、あんたたち二人は一体どこから来たのよ!?
[反乱する住民] そいつらに手を貸すの? 私たちをここに閉じ込めて飼い殺しにするのね!?
[タチヤナ] 落ち着きなさい!
[タチヤナ] さっきは誰の話を聞いていたんですか? その人と何を話したんですか?
[反乱する住民] ふーん、私たちを怖がってるのね? それでいいのよ!
[反乱する住民] あんたたちお偉いさんが無能だから、ウォルモンドは今みたいにひどいことになった!
[反乱する住民] こんなことになるなら、私たちがこの街を治めたほうがよっぽど良いわ!
[タチヤナ] ウォルモンドがこうなったのは、誰のせいでもありません! 天災が……
[反乱する住民] 責任を天災になすりつけて、それで終わり!? 元々はあんたたちのせいで、私たちが逃げ遅れたのに!
[フォリニック] ……それは勝手ってものよ、感染者のあなた。
[フォリニック] 他の都市に行ったことはある? そこで感染者がどんな生活をしてるか、見たことはある?
[フォリニック] ウォルモンドの状況が苦しいのは、私でもわかるわ。でも辛いのは感染者だけじゃない。非感染者も同じように生活してるんだから、今こそ手を取り合って、瀬戸際を乗り切るときじゃないの?
[反乱する住民] はぁ? あんたは何なのよ?
[フォリニック] ロドスのオペレーター、そして感染者医師。私たちも感染者がこの苦境を乗り超える手助けをするわ。前提として、あなたたちが大人しく協力してくれればだけど。
[スズラン] こ、こんにちは。もしよければ、抵抗を止めていただけませんか……
[反乱する住民] チッ! 相も変わらず権威を振りかざして私たちを苦しめるってわけね。私たちが敵わないからって――!
[反乱する住民] それに、手助け? 手を取り合って? 聞こえがいい言葉を並べてるけど、今回の件で先に手を出したのはどっちか、その女に聞いてみなさいよ!
[タチヤナ] それは……
[反乱する住民] ……ちょっと、あんた、あんたも感染者でしょ?
[スズラン] はい。
[反乱する住民] ――七、八、九……しっぽが九本もあるヴァルポなんてなかなかいないわ。そのうちあんたも私たちみたいに迫害されるでしょうね。
[スズラン] そんなことありません……皆さん良くしてくれてます……
[反乱する住民] 今じゃなくても、ここでじゃなくても、遅かれ早かれそうなるわ。
[反乱する住民] もしアント先生がいてくれれば――
[反乱する住民] ちょっと――! 何するのよ、放して!
[フォリニック] 今、何て言ったの?
[スズラン] フォリニックお姉さん、落ち着いてください!
[フォリニック] 今、今、アントって言った?
[フォリニック] あの子はどこにいるの? 一体何があったの?
[反乱する住民] どこにいるって何よ、あの火事が全部焼き尽くしたのよ!
[反乱する住民] 大裂溝が起きてから、お偉いさんたちは何を恐れてか、私たちを迫害し始めたわ!
[反乱する住民] 災害を逃れてきた感染者たちまで隔離エリアに放り込んで……どうして私たちを無理に押さえつけるの。あいつらは偽物のヒューマニズム精神を満足させるために、私たちを飼いならしてるだけよ!
[タチヤナ] セベリン憲兵長は、そんなことを考えていません!
[反乱する住民] チッ、好きに言ってなさい。でももしそれだけだったら……それだけだったら私たちも我慢してた。
[反乱する住民] アント先生も、仲間もいたから。あんたたちがこの街を諦めても、私たちには住める場所だって残ってたし……
[反乱する住民] でもあいつらは――アント先生を、そして仲間たちを殺したのよ!
[反乱する住民] あの火事を利用して!
[反乱する住民] ――な、何するのよ?
[フォリニック] ……アントはその火災からは逃れたはずよ。
[反乱する住民] はぁ!?
[反乱する住民] ああ、わかった。そういうことね、あんたもあいつらに騙されてるのよ。そうよ、あいつらはみんなに嘘をついてる。
[反乱する住民] あれは事故なんかじゃない、放火だったの。殺人よ! 普段は人格者みたいな顔してるあいつらが見せた本性なのよ!
[フォリニック] そんな感情的な恨み言なんて必要ないわ――
[反乱する住民] フンッ、あんたは知らないのね――
[タチヤナ] まっ、待ちなさい! それ以上は……
[反乱する住民] ――火事が起きたあの日、焼かれたテントから逃げられた人は、一人もいないのよ!
[フォリニック] ……!
[スズラン] つまり……
[反乱する住民] やっと、どちら側につくべきかわかった?
[フォリニック] ……もういい。
[反乱する住民] ううっ! 少しは優しくできないの――!?
[タチヤナ] ……おとなしくしてください、あなたを逮捕します。
[反乱する住民] あんたは憲兵じゃないでしょ! あんたたちはみんな違う! ここには法律なんてないのよ! 移民たちの食べ残しくらいしか残ってないわ!
[タチヤナ] セベリン憲兵長があなたの処遇を決めます、申し訳ありません。
[反乱する住民] フンッ、どうせあんたたちに私を殺す勇気なんてないでしょう。私を殺せば、ここの感染者全員を敵に回すことになるもの!
[反乱する住民] 私を荒野に放逐するといいわ。そうすれば正式に彼らの仲間になれる――
[タチヤナ] ……あなたも、あなたの仲間も、私たちが全ての元凶だと考えているんですね。
[タチヤナ] 私たちは同じくウォルモンドの一員なのに、何年も何事もなくやってこれたのに――
[タチヤナ] あの荒野を徘徊する怪しい感染者を信じて、私たちを信じてくれないんですね。
[タチヤナ] 私たちに、何か及ばないところがあったんですか?
[反乱する住民] ……あんたは「冬霊」の一員じゃない。それに感染者でもない。だから何事もなくやってこれたってだけよ。あんたみたいに平和ボケしたお嬢さんにわかるか知らないけどね。
[反乱する住民] 感染者がどんなものか、鉱石病がどんなものか……私はあんたよりもハッキリ理解してる、それだけよ。
[民兵] 見つけたぞ! タチヤナはここだ!
[民兵] それにロドスの二人もいる! 無事ですか?
[スズラン] はい、私たちは大丈夫です。
[タチヤナ] 彼女たちを連れて行ってください、お願いします。
[反乱する住民] チッ、またセベリンに会わなきゃいけないのね……
[民兵] 彼女たちには、もう面倒事を起こさせないようにします。タチヤナさん、ロドスのお二人さん。
[タチヤナ] お願いします。あとは私が責任を持ちますから。
[民兵] ――わかりました、では私たちはこれで失礼します。
[フォリニック] ……もう、説明してもらえませんか?
[スズラン] フォリニックお姉さん……
[タチヤナ] す……全てお話します。
[タチヤナ] セベリン憲兵長と各代表たちが何を考えているかはわかりませんが……私は、フォリニックさんとスズランさんには、真相を知る権利があると思いますので。
[タチヤナ] さっき、私を助けてくださいましたし……
[フォリニック] ……そんな取り繕った言葉はいりません。一つだけ答えてくれればいいんです……アントは、生きているんですか?
[タチヤナ] わ……わかりません……
[フォリニック] わからない!?
[スズラン] フォリニックお姉さん、落ち着いて。
[スズラン] タチヤナさん……あなたたちは、どうして嘘をついたんですか?
[タチヤナ] ……私たち自身も、全てを受け入れる準備ができていないんです。
[タチヤナ] ご理解ください、私たちはロドスがどのような会社なのかも知りません。ですからまずは、信頼できる相手だと確信しないことには――
[フォリニック] 私たちが冷血で無情な集団だったとしても、ウォルモンドの状況をさらに悪くする存在だったとしても――それはあなたたちが、私の仲間に起きたことを隠す言い訳にはなりません!
[タチヤナ] ……本当に、申し訳ございません。私たちも……
[タチヤナ] 私たちもずっと隠しておくつもりはありませんでした……! それに私たちだって、あの怪しい感染者たちの調査に尽力しているんです!
[タチヤナ] ……いえ、わかっています。そんなの保身のための言い訳に過ぎませんよね……
[フォリニック] ……そうですね。ですが……あなたたちの状況を考えたら、強く責めることもできません。
[フォリニック] 私はただ……真相を知りたいだけです。どのみちロドスはあなたたちを……感染者問題によって苦境に陥った一つの街を、見捨てることはありません。
[タチヤナ] ――!
[フォリニック] そうじゃなきゃ、アントが怒りますから。あの子は感情的になるとすぐにぐずるんですよ。私、あの子の泣き顔はもう見たくありません。
[フォリニック] 今さら遅いなんてことはありません。お互いに。
[スズラン] 感染者を助け、感染者の問題を解決する。それが私たちロドスのオペレーターの仕事です。
[スズラン] タチヤナさん、もしお互いの信頼関係が築ければ、私たちはもっと多くのことができるはずです!
[タチヤナ] ……あ、ありがとうございます。
[タチヤナ] 天災が起きる前、憲兵長がアント先生に一度提案したこともあるんです。難民たちと共にここを離れないかって……
[タチヤナ] 当時のアント先生も同じ様に――「ロドスはあなたたちを見捨てません」と仰っていました。
[タチヤナ] ――ついてきてください。
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