aklib_story_ウォルモンドの薄暮_TW-1_黙して語らず_戦闘前

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ウォルモンドの薄暮_TW-1_黙して語らず_戦闘前

リターニアの街、ウォルモンドに到着した後、フォリニックとスズランは憲兵長のセベリンと出会った。彼はロドスに何か隠し事をしているようだったが、その疑念を追求する間もなく、市内で感染者たちの暴動が起こる。


p.m. 2:10 天気/晴天

リターニア移動市街ウォルモンド。かつては栄えた商業街だが、今は見る影もない。

市街議事堂

[住民代表] セベリン・ホーソーン憲兵長、どこへ行っていたんですか?

[住民代表] 決議会にあなた不在で、何を決めろというのですか?

[セベリン] ……では君たちが我が息子の命運を決定したとき、私はその場に居たというのか?

[住民代表] あっ……その件は、タチヤナが既に……

[セベリン] ああ、聞いている。君たちがタチヤナを寄越したからな。私はただ君たちの行いを改めて提起しただけさ。

[セベリン] 状況は?

[住民代表] ……感染者たちは未だに抗議を続けています。しかも新たにコミュニティに加わった感染者を排除しようとしています。

[セベリン] 彼らの目的は?

[住民代表] 彼らは……あの火災は誰かが「意図的に」起こしたものだと主張しています。アント先生と死んでいった感染者のために、納得のいく説明が欲しいと。

[セベリン] ……意図的に……説明が欲しい、か。

[セベリン] 彼らの多くはウォルモンドの住人だった者たちだ。誇り高きウォルモンドの民ならば、他人に濡れ衣を着せるような低劣な行いはしない。……誰かが彼らを扇動しているのだろう。

[セベリン] 彼らが例の不審な武装集団と接触した形跡は?

[住民代表] ……今の所ありません。

[住民代表] ですが、あの集団は街の周囲を徘徊し続けています。抗議する者たちに影響を与える可能性も懸念されます。

[住民代表] すみません、見張りからの連絡です。報告してもよろしいですか――

[セベリン] 構わん。

[住民代表] ……二人? 感染者か?

[住民代表] ロドス? その名前は記憶にある――

[セベリン] ……ああ、アント先生の所属する会社だったな。ふぅ、遅かれ早かれ来るものは来るというわけか。

[住民代表] で、ではどうしましょう?

[セベリン] その二人は、アント先生の足取りを調査しに来たのかもしれん。先生は、尊敬に値する感染者だった……

[セベリン] よって彼らには、真相を知る権利がある。入れて構わない。

[住民代表] ……聞こえただろう、憲兵長の言う通りに。

[住民代表] ふぅ、本当にこれでいいんですか? もしその二人が、あの武装集団の関係者だったら?

[セベリン] 大裂溝、火災、感染者。私たちが、これ以上何かに疑心暗鬼になっている余裕はあるのか?

[住民代表] ですが、ロドスが全て知ったらどうなると思いますか? もし賠償など求められたら、ウォルモンドにとってかなりの痛手です!

[セベリン] ……だったらどうしろと言うのだ?

[セベリン] 彼らを門前払いするのか? それとも騙すのか? アント先生は鉱石病患者を連れて遠足に行ったとでも言うつもりか?

[住民代表] 隠しきれないのはわかっていますが、この件に関してはあなたの一存で決められることではありません。私たちは、あらゆる可能性に備えなければ。

[セベリン] 私であれ君たちであれ、真相は誰かが決めるものではないだろう? だが……まぁいい、君たちの好きにしろ。

[セベリン] 私はもう行く。

[住民代表] 行く? またどこへ行くつもりですか?

[セベリン] ……問題の解決に。

[セベリン] 私はこの街を、無事正規の運行ルートに戻すことだけを考える。決議に関しては……君たちでままごとを続ければ良いさ。私は興味ないのでな。

[住民代表] 待ってください!

[住民代表] あなたが辛い思いをしているのはわかっています、我々がたくさん過ちを犯したことも……ですが、仕方がなかったんです!

[セベリン] それは私も承知している。だからこそ私は、君たちとまだこうして会話ができているんだ。

[セベリン] ロドスの件は君たちに任せる。この手のことは君たちの得意分野だろうからな。私は他の区画の状況を見てこよう。

[セベリン] ではこれで。

[住民代表] セベリンさん! セベリン・ホーソーン! 今のあなたはウォルモンドのトップなんです。あまり勝手に歩き回られては――

[住民代表] チッ――あの人はいつも――

[住民代表] ――はぁ。

[住民代表] ……まぁいい。みんな気の毒な人たちなんだ。タチヤナも、セベリンも、トールも、みんな。

[住民代表] すぐにここを片付けるぞ、そろそろロドスの二人が到着する。

[スズラン] ウォルモンドは八つ目の月という意味だそうです。周囲の七つの街と共に商業集落を形成していて、リターニア北部で異彩を放つ存在だと――

[スズラン] 本にはそう書いてありました。

[フォリニック] でも目に見える様子は「商業集落」とは似ても似つかないわね。

[スズラン] 「大裂溝」のせいでしょうか?

[フォリニック] そうね。あれだけの規模の天災はなかなかないもの。岩盤上にむき出しになった活性源石、千メートルにも達しようかという深度……うーん、思い出しただけでもショッキングな光景だわ。

[スズラン] でもフォリニックお姉さん……当時は砲弾を投げ込んだらどうなるかなんて言っていたじゃないですか……

[フォリニック] あれは活性源石に対する探究心からよ。本当にやってみれば、高地が麓まで割れて、真っ二つになるかもしれないじゃない。

[フォリニック] 私たちは大裂溝を避けながらなんとかここまでこれたけど、この街規模になると、なかなか身動きが取りづらいでしょうね。

[住民] こんなときに観光客か? 変わった服装だな、危ない奴らじゃないだろうな?

[住民] あの尻尾を見ろよ、それにあの肩の結晶は、感染者か?

[住民] でもあの服、どこかで見たことが……ある……気がする?

[スズラン] ……フォ、フォリニックお姉さん、私たち、こんな堂々と道を歩いて本当に大丈夫なんでしょうか?

[フォリニック] リターニアはアーツが普及しているおかげで、他の街とは違う特色が二つあるわ。一つ目は音楽とアートが盛んなこと、もう一つは感染者に対して寛容なことよ。

[フォリニック] 感染者は完全に自由って訳にはいかないけど、少なくとも、対価を払うことで生活の権利を得られる。

[スズラン] ……対価?

[フォリニック] ええ、感染者にも払える対価よ。

[フォリニック] ウォルモンドは中心部から離れれば多少の衝突や諍いはあるけど、感染者にも住む場所を与えてくれる街だって……少なくともあの子は、私にそう教えてくれたわ――

[フォリニック] ――あっ、誰か来た。

[セベリン] ……ん?

[スズラン] (えっ? あのおじさんの服装は……)

[フォリニック] (ウォルモンドの憲兵かしら? 道を聞いてみる?)

[スズラン] (こちらに歩いてきます、私たちを迎えに来たんでしょうか?)

[フォリニック] (わからないわ……)

[スズラン] (あっ、タバコに火を点けました。)

[スズラン] (ライターをポケットにしまって、タバコをもう片方の手に持ち替えて、また持ち替えて――)

[スズラン] (――あれ? そのまま行ってしまいましたよ! フォリニックお姉さん!)

[フォリニック] あのっ――!

[セベリン] ん?

[フォリニック] こんにちは、私たちは――

[セベリン] ああ、ロドス、だろう?

[セベリン] 市街議事堂はこの先だ。あの一番高い塔の足元にある。見えるか? そこまで行けば、誰かが迎え入れてくれるはずだ。

[フォリニック] は、はい、ありがとうございます。あの、あなたは……?

[セベリン] 私はもう退勤したのでな。

[フォリニック] えっ、何と?

[セベリン] 私の勤務時間はもう過ぎている。それに今は、公務以外ではあまり話をしたくないんだ……急ぎの用事があるのでな。

[セベリン] では、失礼する。

[フォリニック] ……えっ、それで終わり?

[スズラン] ちょっと失礼な態度でしたが、あのおじさん、何か心配事がありそうでしたね……

[フォリニック] はぁ……そうだとしても、私たちだって疲れてるのよ!

[フォリニック] まぁ道を教えてくれたのはせめてもの救いね、でもやっぱり他の現地の人にも聞いて――

[タチヤナ] 憲兵長! こちらにいらっしゃったんですか!

[タチヤナ] 感染者たちがまた抗議活動を始めました。他の憲兵たちはもう向かいましたが、憲兵長の指揮が必要になります――

[タチヤナ] あ! またタバコ! 店長たちに何か言われたんですか? お身体もですが、イメージも大切にしてください。そうでないと住民たちの信頼が――

[タチヤナ] あの……どうされたんですか?

[セベリン] ……

[フォリニック] ……

[スズラン] ……憲兵長と、言いましたよね?

[タチヤナ] あの、どうされたんですか、憲兵長?

[セベリン] ……なんでもない。君はいつでも真面目だな、タチヤナ。素晴らしいと思うぞ。

[タチヤナ] えっ? お褒めに預かり光栄です――

[タチヤナ] あ、そちらのお二人は、服装から見るに外から来られた方ですね? もしかして、ロドスのお医者様でしょうか?

[フォリニック] えっ? ……あ、そうです。私たちはロドスの医師です。

[スズラン] (医師?)

[フォリニック] (まぁ……間違いじゃないでしょ。)

[スズラン] (私もですか?)

[フォリニック] (私は医療部に所属してる正式なオペレーターだし、リサちゃんの場合は……ケルシー先生のもとで勉強してるから、見習い医師と呼べると思うわ、たぶん。)

[タチヤナ] そうだったんですね……あっ! お二人は議事堂へ向かうところですね? お邪魔してしまい、申し訳ございません!

[タチヤナ] 本来なら憲兵長にお二人のご対応をいただくべきなのですが、ドデカフォニー通りの方でも憲兵長の力が必要な状況ですので……その……

[フォリニック] いや、その憲兵長さんはさっき――

[セベリン] コホン! よし、タチヤナ、彼女たちを案内してあげなさい。私は感染者の状況を見に行ってこよう。

[セベリン] お二方。

[フォリニック] ――はい?

[セベリン] ……君たちの目的はわかっている。だが今は、急務があるんだ。

[セベリン] 君たちは、今のウォルモンドの状況を知っているのか?

[フォリニック] 大裂溝。

[セベリン] ……賢い方が相手だと、余計なやり取りがいらなくて助かる。

[セベリン] そう、今ウォルモンドでは感染者住民たちの反発が、これまでにない程高まっている。もし巻き込まれたくなければ、ドデカフォニー通りに近づかないことだ。

[フォリニック] 私たちは、感染者問題対策の専門家ですよ。

[セベリン] それはわかっている。御社のアント先生とは、かつて深い業務関係にあったからな。

[フォリニック] ならば、私たちが力になれるということもおわかりでしょう。

[セベリン] ああ。だがその必要はない。街に来たばかりの客人を巻き込んだりしたら、我々にとっても面倒なことになる。

[フォリニック] ……では、アントはここで何を任されているんですか?

[タチヤナ] あっ……

[セベリン] ……彼女は今、街にはいない。

[フォリニック] ではどこに?

[セベリン] 彼女は――

[住民] ま、まずい! ケンカが始まっちまってる!

[住民] あ、あの感染者たちは武器を持ってるぞ! 一体どういうことだ?

[住民] ま、まさか剣も使うのか!? 死人が出るぞ!?

[タチヤナ] 憲兵長!

[セベリン] ……ああ。

[セベリン] 君たちは、感染者問題対策の専門家、そうだったな?

[セベリン] 私と来てくれ。

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