ペネロピ(映画)

ページ名:ペネロピ_映画_

登録日:2020/06/27 (土曜日) 16:16:07
更新日:2024/05/20 Mon 11:08:19NEW!
所要時間:約 17 分で読めます



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映画 ラブロマンス コメディ 魔女 呪い クリスティーナ・リッチ おとぎ話 ネタバレ項目 ジェームズ・マカヴォイ ペネロピ 豚の鼻 マーク・パランスキー




この呪いを解く方法はただ一つしかない…

お前達の''仲間”が娘に永遠の愛を誓う事だ!



【概要】

2008年に公開されたイギリス・アメリカのラブロマンス映画。
現代版のおとぎ話とも、現代版の逆美女と野獣ともいえる。
監督はマーク・パランスキー。
主演はアダムス・ファミリーのウェンズデー役で有名なクリスティーナ・リッチと、「X-MEN」シリーズで若きプロフェッサーXを演じているジェームズ・マカヴォイ。



【あらすじ】

貴族の名家ウィルハーンには、不気味な言い伝えが残されていた。
かつて一族を恨んだ魔女に「ウィルハーン家に産まれる女は豚の顔を持つ」という呪いを掛けられたのだという。
幸いというべきか、それ以降のウィルハーン家は男児に恵まれ続けていた。


…そして現代。
フランクリン・ウィルハーンとその妻ジェシカの娘が、豚の鼻と耳を持って誕生した。


ペネロピと名付けられた女の子は産まれてからずっと家の中で過ごし、蝶よ花よと育てられた。やがて結婚できる年齢となりお見合いを繰り返すが、その容姿ゆえ相手に逃げられる日々が続く。
果たしてペネロピは永遠の愛を手に入れ、呪いを解く事ができるのか。


一方、逃亡した見合い相手の一人エドワードは警察へ「人食い豚に食われそうになった 」と訴えに行くが、当然問題にならず逆に一晩拘留させられ、更に妄想癖ありと一面に載せられた事で今度は新聞社に乗り込むが、そこで出会ったのが記者のレモン。彼からペネロピの写真を撮り、自分はスクープを、エドワードは名誉を取り戻す為に手を組むが、エドワードはペネロピの幻覚を見るほどビビっていたので別の人間を雇ってウィルハーン家に潜入させる計画を立てる。しかしペネロピと会えるのはお見合い相手だけ、しかもその全員が名家の金持ちで雇われる奴はいない。
そこで白羽の矢が立ったのが、僅か一代で先祖代々の財産をギャンブルにスッたという暴落名家のマックス・カンピオンだった。



【登場人物】

  • ペネロピ・ウィルハーン

演:クリスティーナ・リッチ/吹き替え:甲斐田裕子
ウィルハーン家の御息女。25歳。呪いにより豚の鼻と耳を生やして産まれてきた。しかしそれ以外のパーツは普通の少女であり、鼻耳はリアルピッグだが全体的に醜悪というわけでもない。
軟禁されており外の世界を知識しか知らず、憧れてはいるものの自分の容姿が異様と理解しジェシカの説得もあって思い留まっているが、部屋に設置されたブランコを一人で漕ぐ姿は物悲しく映る。
鼻に頚動脈が通っていて手術もできないため、唯一の解呪方法「仲間(名家の子息)から永遠の愛を誓われる」事を目指し、幼少時より英才教育を多分に受けて育てられた。
性格は非常に前向き。博識で記憶力も抜群、音楽・芸術センスも極めて高い、ピアノや折り紙、チェスも嗜み、フランス語も話せるなど何処に出しても恥ずかしくない可憐で気品のある18歳になってお見合いを始めるが、貴族のボンボン達には刺激が強過ぎる容姿により物凄い勢いで逃げられる日々をもう7年間も過ごしている。
流石にいい加減嫌気がさしており、自室横の部屋へ集合させた見合い相手達に顔を見せて一蹴、「豚だから」ヤケ食いするなどでジェシカと大喧嘩勃発かと思いきや、顔を見ていなかったマックスがただ一人残っていた。
彼の飄々とした、だがどこか真摯な態度に心を奪われていくペネロピだったが…


  • マックス・カンピオン

演:ジェームズ・マカヴォイ/吹き替え:竹若拓磨
無精で気怠げな雰囲気の青年。数年で財産をギャンブルにスッたが、今でも場末のカジノでポーカーに明け暮れている。同じテーブルの太った男と老婆によれば、「負け犬」「引き際を知らない」「ギャンブルをやめられない」との事で、つまりいい鴨らしい。
レモンの話を最初はそっけなく断るが報酬目当てに乗り、隠しカメラ付きコートを着てウィルハーン家へ潜入。見合い相手達が詰められた部屋のソファー裏でカメラを弄ってる時にペネロピがやってきてすぐ去ったので顔を見ておらず、そのまま一人残ったところをマジックミラーとマイク越しにペネロピと会話し、運命めいたやりとりの末に打ち解けていく。
音楽経験があり何らかの楽器を奏でられるようだが、ペネロピがわざわざバンドグループを雇ってギター、ドラム等を弾かせるも悉く外している。


  • ジェシカ・ウィルハーン

演:キャサリン・オハラ/吹き替え:安達忍
ペネロピの母。娘を深く愛しており、幼い頃から常に寄り添って愛情を注ぐ一方、「今のあなたは本当のあなたじゃない」と言い聞かせたり、偽の葬式を上げて娘の存在を抹消させたり、何かあればすぐ引っ越しを決めたり、見合い相手が逃げだすとペネロピに泣き付いたりとかなりヒステリック。
ペネロピの非凡な教養や実直に育ったのは彼女の賜物だが、娘を真に理解しているとは言えない。


  • フランクリン・ウィルハーン

演:リチャード・E・グラント/吹き替え:内田直哉
ペネロピの父親。ジェシカと違って落ち着いているが、自分の先祖の呪いで妻子が苦労しているのを気に病んでおり、ペネロピの好きにさせてやりたい反面、ジェシカには負い目から強く反発できないでいる。


  • ジェイク

ウィルハーン家の執事。ペネロピが産まれてすぐ雇われた、彼女を赤子から知る人物。寡黙で命令を従順にこなすが、やはりというべきかジェシカの我儘にはうんざりしている。破談したお見合い相手へペネロピを他言しない念書を書かせる為、逃走する相手へ追いつける用に赤いスニーカーを支給されている。


  • ワンガ

名家専門の結婚相談員。ペネロピを知る一人。彼女へ見合い相手を見繕うが7年も上手く行っておらず、ジェシカに口出しされてイラついたり、集めた見合い相手達が一人残らず逃げ出しても気にしてなかったりと、半ば諦めていた模様。
しかしマックスが現れた事で遂に相手が見つかったと大興奮し、以後は二人の様子を監視カメラでフランクリン達と覗くようになる。


  • レモン

演:ピーター・ディンクレイジ/吹き替え:チョー
小人症の新聞記者。嘗て赤子のペネロピを撮影する為にウィルハーン家に忍び込み、ジェシカに撃退された際に右眼を失った過去を持ち、現在は眼帯を付けている。一瞬だけ見たペネロピの顔を幻だと思っていたが、エドワードの証言で本物だったと確信し、彼と組んでスクープを狙う。
ジェシカが偽装葬儀に加え引っ越した元凶であり、彼女は未だに根強く覚えている。


  • エドワード・ヴァンダーマン

演:サイモン・ウッズ/吹き替え:川島得愛
名家ヴァンダーマン家の一人息子。甘やかされて育った、見栄っ張りで自惚れ屋で思い込みの激しいマザコンのお坊ちゃん。冒頭でマジックミラー越しにペネロピとお見合いしており、「僕もずっと束縛されている」などと調子の良い台詞を言っといていざペネロピが姿を現すと激しく取り乱して「人食いブタ」と叫びながら逃走。凄まじい脚力にジェイクは追い付けず物語の発端となった。
その後は名誉挽回の為に凡ゆる方法を財力・行動力で畳み掛けるも、全てが裏目に出てしまうコメディリリーフ兼・彼の行動が節目の事由となる重要なポジションとなっていく。


  • アニー

演:リース・ウィザースプーン/吹き替え:芝原チヤコ
配達員の女性。愛車はベスパ。ひょんな事からペネロピと知り合い、友達になる。
因みに本作製作者の一人。


  • 魔女

ペネロピから5代前のラルフ・ウィルハーンが手を出した召使いの母親。身篭った娘を捨てて自殺に追い込んだウィルハーン家に復讐する為に呪いを掛けた。
因みにフランクリンの兄弟のウィルハーン家に女の子が誕生していたが、ペネロピ誕生と共に浮気がばれて夫は飛び降り自殺している。



以下、ストーリーのネタバレ




ペネロピは毎日会いに来てくれるマックスに恋と、姿を現せば逃げてしまうだろう事に恐れを抱き始めた。
マックスも想いを寄せ始めたのか、「外に出よう」とミラー越しに真っ直ぐ告げたり、エドワードの彼女への侮辱の言葉に食ってかかる程になっていた。


程なくして。
マックスの奏でられる楽器はピアノの筈だとペネロピは彼にピアノを弾かせる。マックスはぎこちなく弾き始めるが、そこに後ろから現れたペネロピが手を添えた。
遂に対面する二人…だがマックスはペネロピの姿に後ろの家具へ激突する程の衝撃を覚え、ペネロピもそのリアクションで事の次第を見守る。恐る恐るマックスがペネロピの鼻へ触れ、「クソっ」と何かへ怒りを込めたが、ペネロピは自分の顔の事だと思い込んだ。
「化け物なのね…!」
慌てて逃げ出すペネロピ。マックスもウィルハーン家と自分を監視していたレモン達のバンへ戻ってくると隠しカメラを取り出して破壊。
「彼女は化け物なんかじゃない。そっとしといてやれっ」
そこをジェシカに見られるが、マックスは門を乗り越えてウィルハーン家に戻り、ペネロピと階段の上下で会話。
「彼はスパイよ!」とジェシカ。
「彼の家柄なら呪いを解く力は十分あります!」とワンガ。
そしてペネロピは、マックスへ恐らく初めて
「結婚してほしい」「結婚すれば呪いが解ける」と涙ながらに懇願する。
マックスは「ダメだったら?」「もし呪いが、永遠に解けなかったらどうする?」と尋ねるが、ペネロピの答えは、「その時は死ぬ」だった。





マックスは「できない」と答え、何か言わんとしてジェシカ達に家から叩き出された。



まるで千回分の失恋を味わった気分…


泣き崩れたペネロピは、一人、またブランコを漕ぐ。
絶対に呪いを解くのを諦めないというジェシカの叫びが屋敷に響いた。


だがマックスに振られた事が契機となり、その夜ペネロピは目から下をロングマフラーで隠したとてもお洒落な姿でウィルハーン家を飛び出す。
初めての外の世界に混乱しつつも、ペネロピは少しずつ順応していった。


その事を知ったエドワードは、人食い豚が野放しにされたら大変と、イメージしていた醜悪な豚女を絵師に描かせて新聞一面に載せ、情報提供者へ報奨金を出してパパに「正気とは思えん!」と怒られるのだった。


ジェシカのカードでホテル生活していたペネロピだったが、財布がない事に気づいたジェシカ達が追ってきたので逃走。一文無しとなった彼女は、エドワードの新聞広告を見て自分の顔写真を売り付ける事を思いついた。
早速エドワードに電話するも恐怖心で速攻切られたのでレモンがコンタクトを取り、橋の上から証明写真と金一封を交換した。
写真とはいえようやくペネロピの顔をまともに見る事が出来たレモン。しかし鼻が豚のものだけで、エドワードが言っていたように醜くも何ともない。ペネロピ本人が提供した事もあり、レモンは憑き物が落ちたようにこれ以上は止めようと言うが、エドワードは自分の名誉回復の為、嬉々として写真を新聞一面へ載せるのだった。


翌日、ジェシカが娘の顔が一面に乗せられた朝刊を見て気絶していた頃。
ペネロピはマックスが最高だと言っていたパブ「クローバーディリー・パブ」へ足を運び、ストローでビールを飲んでいた。そこへ配達員のアニーが品物を届けに来て、酔っ払った異様な雰囲気のペネロピへ話し掛ける。
「警察に追われてるの? それとも整形手術で失敗?」
「鼻の手術で失敗したの」
世間知らずなペネロピを「マフラーちゃん」と呼び気に入るアニー。新聞に載っていたペネロピだと気付かないまま、ペネロピは自身の素性を一切語らないまま意気投合し、アニーの仕事を手伝うようになる。


新聞を見たマックスは、レモンの元に報酬の半分を払い戻しに来た。「彼女を売り物にするなんて」と憤っていたが、彼女の方から写真を売りに来た事、そして今この街で自分の力で暮らしている事をレモンから話されると、ペネロピが変わった事に喜ぶマックス。
自分も変わらなければと彼はギャンブルをきっぱりと止め、小さなピアノホールを営むサムという男を尋ねる。二人は顔見知りだが、嘗ての仲間がバンドの前座で世界を回っている事、そして裏切ったマックスに今更と怒るが、マックスは心から謝罪して和解。
掃除を真面目にする条件で調律されたピアノを弾かせてもらうが、その腕前は「モーツァルト」と揶揄される程だった。


数ヶ月後。
ウィルハーン家にはペネロピから手紙や写真が届いており、ジェシカとフランクリンが娘の足跡を辿るため写真の撮影場所を巡っていると、偶然ペネロピに遭遇。奔走した彼女はクローバーディリー・パブへ逃げ込むが、走り回ったうえマフラーで酸欠となり意識を失う。慌ててアニー達はマフラーを外し…


「まさか……ペネロピだったの………?」





目を覚ましたペネロピは、どこかの病室にいた。傍らには座ったまま眠るジェシカがいる。徐に人々の声と光が漏れるカーテンを開くと、そこには大勢の医師や記者が詰めかけていた。


「…誰も逃げない」


無遠慮な人達を見て、ペネロピはそう思った。


直後、ペネロピは街の人気者になる。エドワードの新聞記事により噂がヒートアップしていた所へ本人が登場したのだから当然だった。
記者団に囲まれながら退院、家に帰ろうと促すジェシカへ「地下室で鎖に繋がれた…っていうわよ」とペネロピは脅し、大爆笑したフランクリンから軍資金を貰ってアニーとベスパで去っていった。
それからあれよあれよという間に市長と会見したり、学校でブタ真似が禁止になったり、記念樹を植えるイベントが開かれる等、新聞に彼女の記事が途切れる事はなかった。


エドワードは記者団からペネロピを警察に訴えようとした件を尋ねられるが、空気の読めない彼は「ああいう奇妙な生き物はちゃんと檻に入れておくべきだ」と人気絶頂の彼女へありえない暴言を吐き、記者団と重役達、そしてパパを凍りつかせた。
自分でなんとかして名誉を回復させろとパパから突きつけられたエドワードは、ペネロピに婚約を申し込むという恥も外聞もない行為に打って出る。思惑を知らぬジェシカは大手を振って喜ぶが、ペネロピはエドワードにではなく結婚に戸惑いを感じていた。


二人の婚約記事を放り、仕事をするレモン。彼の汚いやり口にむしゃくしゃしていた所へ、記者仲間から信じ難いネタを聞かされ…


結婚式前、ウィルハーン家とヴァンガーマン家の劇場帰りにマックスが現れる。
エドワードと2人きりとなり「最低だな」というマックスにエドワードは、彼女の願いを叶えてやっている、他に結婚しようとする奴なんていない、それともマックスが結婚するか、とまくしたて、
「彼女にこう言うつもりか? 婚約者は結婚式の誓いのキスを想像するだけで吐きそうで堪らなくなるって。言ってみろよ。傷付くのは僕じゃない、彼女だ」
と罵詈雑言を畳み掛けるが、マックスは何も言い返せなかった。


式当日。
名家のお偉方やアニー達が集まる中、ジェシカとワンガはレモンへ秘密裏に呼び出され、ある資料を叩きつけられた。



レモンがリークされた衝撃的な内容、それはマックス・カンピオンが強盗で逮捕され、しかも自供した、というものだった。
何があったのか確かめるべく刑務所へ面会に行くレモン。


しかしガラス越しに現れたのは、見た事も無い男。人違いだと言うが、男は自身をマックス・カンピオンだと告げ、レモンの事を弁護士だと思っていた。


ふと、レモンは思い出す。
目の前の男は、マックスとテーブルでポーカーをしていた男ではなかったか…






  • ジョニー・マーティン

マックス・カンピオンを名乗っていた、元ピアニスト。配管工の息子で、当然名家出身ではない。
レモンが彼を間違えたのは、
マックス・カンピオンの入り浸るカジノへ行く→店主にマックスを尋ね、ポーカーテーブルを指される→そのテーブルから帰宅するジョニーに声を掛けて「人違いだよ」と告げられる→自嘲したリアクションに見えて報酬の話を持ち掛ける…という流れによる。


当初は高額で変なバイトくらいしか思っていなかったウィルハーン家潜入、しかしペネロピに少しずつ惹かれていったジョニーは、結婚して呪いが解けなかったら自殺するとまで言われ、真実を告げる前にNOとしか言えなかったのだ。


ジョニーの経歴を調べ上げた資料にジェシカとワンガは激しく動揺。特にワンガは「だから急ぎ過ぎないでと言った」「ジョニーは本気でペネロピに惚れており、呪いを解けないからこそ結婚を断った」「考え直して下さい」とアドバイザーとしての意地をぶつけるが、ジェシカは呪いを解く為と口止めさせ、式を強行させた。


サムのピアノホールへレモンが訪れ、ジョニーと二人の婚約について話す。レモンは呪いなんて解ける筈はないと懐疑的であり、「結婚するならお前でもいいんじゃないか」と言うが、「僕は名家の息子じゃないんだ」とジョニー。
ふと、ペネロピを追っていた理由を聞くと、レモンは寂しそうに答えた。
「さあな。自尊心と失った右眼への執着だな…」


恙無く進む結婚式。
誓いの祝詞にエドワードはぎこちなく「Yes」と答え、遂にペネロピの番となる。
「誓いますか」という神父の声。
ペネロピは来場の方々、アニーや両親、ジェイク、エドワードを見て…





「…いいえ」



神妙な顔で告げ、走り去った。
自室へ飛び込んだペネロピに、追い付いたジェシカが扉を叩きながら叫ぶ。
「あなたの新しい人生は目の前にあるのよ! 生まれ変わるのよ!」


ペネロピはヴェールを投げ捨て、自然と呟いた。


「私は今の自分が好きなの…」


その瞬間………












ペネロピは消えてしまった。



新聞では連日ペネロピの行方を追う記事が掲載されたが、暫くすると落ち着き、別のゴシップに行き着いたりした。


勿論、ペネロピが消滅した訳ではなく、その特徴的な鼻を持つ女性が居なくなったというだけ。


そう、ペネロピの呪いは解けたのだった。


自室の鏡でじっと顔を見るペネロピに、ジェシカは「戻ったりしないわ」と柔らかく告げる。その表情を少しずつ曇らせながら、今までのペネロピへの酷い言動を泣きながら謝り、ペネロピは母の愛情を感じて抱き締めた。そこへフランクリンも現れ、こうして彼らは真に本当の家族となるのだった。




…が、直後にジェシカが「これで整形ができる」「もう少し鼻を高くしてみる?」とマジに言ってきたので二人は呆れ果ててしまった。


数日後。
使用人のジェイクが何も言わずに辞表を提出した。最後まで寡黙な彼にジェシカは辞める理由をキンキンに尋ねるが、ジェイクの一瞥で声が出なくなってしまう。


そしてジェイク…いや、赤いスニーカーを履いた魔女は何処かへ去っていった。



ペネロピも自立するため家を出て、小学校の教師となる。


また、エドワードに謝罪の手紙と、婚約指輪を送付した。名誉は帰ってきたが、「もしちゃんと話をしていたら」という言葉を添えられた手紙を読んだ彼も流石に何か思う所があったらしく、指輪を握りしめた。


そしてペネロピはワンガからジョニーの資料を渡され…





その年のハロウィーン。
ジョニーが引っ越しの準備をしていると、二人組の来客があった。一人は蜂の仮装をした女性、もう一人は今年大人気の仮装アイテム『ペネロピの仮面』を付けた女性。
トイレを貸して欲しいという要望を快く受けるジョニーだったが、蜂女の方は飲み物を取ってくると去る。
ペネロピ女がトイレから出てくると、閑散とした部屋へ言葉を向けた。


「引っ越すの? 」
「人込みを避けたいんだ。ポーカーテーブルのね」


ギャンブルを止めたジョニーへ、ペネロピ女はある友達の事を話す。
ギャンブルに溺れてがんじがらめになり、現実から逃げていたという、友達の事を。


「…仮面を取って」


ここでジョニーはペネロピ女の正体に勘付くが、彼女がここへ来る筈はないと思いつつ、もしかしたらと気付かない振りを続ける。


「ハロウィーンの騒ぎである人を思い出したんだ」
「その人は大切な人だったの?」
「ああ。とても……望みを叶えてやれなかった」


「望みって?」
「…………自由だ」


悔むようなジョニーの台詞に、ペネロピ女は指を突きつけた。


「ウソつき!




あの時ピアノが弾けないフリをしてたのね! やっぱりね!!」


ジョニーの後ろのピアノに。
刹那、ジョニーは手を取って抱き寄せ、唇を合わせた。ペネロピ女、いやペネロピも熱く、ジョニーを求める。


「…ペネロピ ごめん」
「いいの」


互いの気持ちを確認した後、ジョニーは謝った。


「でも、僕には呪いを解く力はない…」
「それなら大丈夫。自分で解いたから」


マスクを取った素顔に驚き、そしてジョニーは笑った。


「私よ、マックス…!」
「…ジョニーだ」


「そうだったわね、ジョニー…私は私よ!」





こうして2人はとても幸せに暮らしました



「…少なくとも今の所はね」


丘の上、巨大な大木の下で。
今までの経緯を教え子達に語ったペネロピとジョニー。
子ども達の様々な意見を聞いた後、お菓子を食べたら予定していた探検へ出掛ける事を告げる。
二人きりとなり、ペネロピは枝からぶら下げたブランコへ乗り、ジョニーは後ろから押して加速を付けさせた。


そこへボートを漕いできたレモンが現れ、遠くの方から二人を眺めた彼はカメラを取り出してズームさせる。


そこには、とびっきりの笑顔でブランコを楽しむ、ペネロピとジョニーの姿があった。



このクソ項目を良項目にする方法はただ一つしかない…

Wiki篭りの''仲間”が追記・修正する事だ!


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  • この記事を見て初めて知ったけど、面白そうだなあ -- 名無しさん (2020-06-28 15:28:02)
  • 「一族」への呪いは解けたけど、こんどは「個人」への呪いですか… -- 名無しさん (2021-01-17 12:59:40)
  • 終盤に流れるシガーロスのHOPPIPOLLAで泣かせるのがズルい(いい意味で) -- 名無しさん (2021-01-29 10:11:36)
  • ペネロピの母を演じてるのはキャスリン・オハラ(ホームアローンのケビンノママ)で今作でも顔芸が見れるw ジェームズ・マカヴォイがイケメンすぎるんだよなぁ -- 名無しさん (2021-04-06 09:41:19)

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