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更新日:2024/05/16 Thu 12:52:55NEW!
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『魔女(英:witch)』とは、欧州の古い俗信に依る、魔術を行使する人、または悪魔の遣いや眷属とされる人のこと。
また、中世には教会により異端、邪悪な存在と認定された過去があるが、後述の様に現在の魔女のイメージの大半は、この時に創出されたものである。
15~18世紀頃*1には、僅かでも疑いのある人物が引き出されて拷問の末に処刑される、悪名高い“魔女狩り(witch-hunt)”が行われたことでも知られる。
創作世界でも人気のジャンル、カテゴリーであり、日本でも魔法少女/魔女っ子物が数十年に渡り支持を集めている等、現代に於いては、西欧でも嘗てのような暗いイメージは薄れている。
【呼び名】
日本語の“魔女”の字面の通りに殆どは女性がイメージされており、魔女を示す、
- 英:witch(ウィッチ)
- 独:Hex(ヘックス)
- 仏:sorcière(ソルシエール)
は、確かに女性を示す語であるが、witchは男性の“魔女”にも用いるのが一般的であるそうである。
一方、近代ヨーロッパ語では“魔男”と訳せる語として、
- 独:Hexer/Hexenmeister(ヘクサー/ヘクセンマイスター)
- 仏:sorcier(ソルシエル)
……といった語が登場しており、男性の魔法使いを指す語として、ここから米国英語:sorcerer(ソーサラー)、女性形はsorceress(ソーサレス)も誕生している。
また、男性の魔法使いを指す語としては英:wizard(ウィザード)の方がより一般的であるが、他にも英語だけでも、女性形を含むとmagic user(マジックユーザー)、enchanter(エンチャンター)、enchantress(エンチャントレス)、
mage(メイジ)、magus(メイガス)、magi(マギ)、magician(マジシャン)、warlock(ウォーロック)……等の由来やニュアンスを異にする、ほぼ同一の物を指す語が存在する。
何れにせよ、日本では“魔男”という概念は定着しておらず、男性の魔術の使い手は魔法使いやら魔術師と訳されるのが普通である。
また、日本では魔女は専らwitchであり、魔女っ子や魔法少女としてディフォルメしない場合には、妖怪的で後ろ暗いイメージを想起される為か、女魔法使いの場合にはsorceressやenchantressやmagus等と訳されたり分類されていることがある。
実際、後述の魔女宗の信奉者である“魔女”達は、暗黒時代を想起させ、言葉自体も暗いイメージがあるとしてwitchという語を嫌い、自分達の信仰をwicca(ウイッカ)と称し、信徒はwiccan(ウイッカン)と呼ばれている。
【魔女の俗信】
- 死に際の魔女の手を握ると魔力が移る。
- サバトで悪魔と交わった女が魔女となる。
- 魔女は悪魔の力を借りて作物や家畜に害を与える。
- 魔女は水中に沈められても悪魔の力で浮かび上がる。このことで、水に沈められて浮いて来なければ死亡。浮いたら処刑というトンでも論法が罷り通った。
- 魔女は体の何処かに全く痛みを感じない“契約の印”がある。小さな痣でもあれば印と認定され、全身をチクチクと針で刺されて感覚がマヒした辺りに刺して痛みが無ければ認定というムチャな論法が罷り通った。
- 不吉な黒猫は魔女の遣いである。
- 魔女狩りによって猫を殺し過ぎて鼠が増えすぎたことが黒死病の流行の原因とするのは誤りである。
- 12月25日の夜に生まれた女の子は魔女となる。
─魔女狩りに用いられたマニュアルより。
【魔女とは】
魔女といえば、魔法少女とは似てもつかないボロボロの黒い衣に三角帽子の、空を飛ぶための箒なんかに乗ったりしてる尖った鉤鼻をした不気味な妖怪ババア……といったイメージがあるが、実は、この邪悪なイメージ自体も暗黒時代に作られた捏造想像に基づく姿でしかない。
以下に、現代に於いて“魔女”と分類される存在のおおよその分類について纏める。
類型的魔女
サバトで悪魔と交わり力を得て、
魔術や魔法の薬で人心を惑わす……とされた魔女は、現代では類型的魔女と呼ばれている。
繰り返すが、類型的魔女とは、異端審問を請け負った聖職者や学者等の識字層の知識人が、自分達の勝手で都合のいいイメージの中のみで15世紀頃に作り上げた存在でしかない。
類型的魔女とは、一言で言うと“悪魔の遣い”のことである。
その、仕える相手である悪魔も教会の都合のいいイメージで纏められた存在か訳だが。
(類型的)魔女は、当時の社会不安や教会の力でもどうにもならない悪天候や飢饉、流行り病といった諸々の凶事の元凶とされた。
そのイメージは、後の創作世界に於ける悪い魔女その物であり、不吉の象徴である。
そして、魔女を狩り出し、追及し、処刑してる間に凶事が収まれば、それは神を信じる善き人々の勝利となったのだ。
魔女にはキリスト教が“異端”と断じた、教会から外れた知識や旧世界の多神教的信仰に基づく信仰や呪術への一方的で誤った認識や、それ等を操るマイノリティへの差別意識も込められている。
特に、ユダヤ人への差別がイメージの原型としてあり、グリム童話が類型的魔女の像を民間にも膾炙させることになったとも分析される。
因みに、サバトで悪魔と交わり魅惑の肉体で人を誘惑すると語られていることがあるにもかかわらず、魔女が多くは老婆の姿で描かれるのは、身も蓋も無い言い方をすれば魔女を大義名分として邪魔になった老人を殺せるようにしたからだと云う。
魔女狩りの詳細。
折り畳みでは“魔女狩り”の詳細を述べる。
魔女狩りとは、唐突にこうした概念が生まれた訳ではなく、当時の人々の根底には古代ローマ帝国時代から引き継がれたマレフィキウム=悪行/加害魔法と訳される旧世界から引き継がれた呪術的な概念があったとされる。
古代ローマでは刑罰として、このマレフィキウムに基づく呪術的な作法も用いられていたとのことだが、
一方では、疫病や不作で多数の市民に犠牲が出た時には、呪術を使ったとの嫌疑をかけられた者達が処刑された
……つまりは、こうした考え方や行動がキリスト教社会にも引き継がれた結果、矢張り自分達が生み出した悪魔の概念と合わさって人間社会に潜む悪魔として魔女が生み出され、ローマ帝国時代と全く同じ構図で魔女狩りが行われたと云うことになる。
この時期に過激化した一因としては14世紀のペストの流行や14世紀半ばから19世紀半ばにかけて続いた小氷期により、疫病や不作が慢性的に起こったことも挙げられる。
実際、多くの“魔女”は下層階級の貧民や老人が多かったが、それよりも数はずうっと少ないとはいえ、高い身分の者や上流階級の子女や子息も魔女として裁かれた。
そこには妬みや保身による密告があり、悪名高い異端審問官は疑いのある人物を捕らえた場合には拷問にかけて強引に証言を引き出したり、無理に隣人や知人から証言を引き出して刑罰の理由としたと云う。
魔女というだけあってか、全体の8割が女性であったとされているが、前述の様に初期には男性の魔女も居た。
更には、魔女の他にも吸血鬼や狼男として裁かれた人々も居た。
……ぶっちゃけ、当時はあんまり区別の無い呼び名である。
比率は土地によって違うとはいえ、アイスランドでは9割が男性だったらしいが、後には魔女=女性のイメージが固まっていったので最終的には女性の犠牲者が遥かに多くなった。
15世紀末にはドイツで悪名高い『魔女に与える鉄槌(魔女の槌)』が1486年に出版されて各地に出回り、魔女狩りを促進させているが、此の書は如何に女性が害悪であり魔女となるかを尤もらしく網羅した実用性の高いトンでも本であった。
この書は、ドミニコ会の異端審問官で、非人道的な魔女狩りにより糾弾された過去を持つハインリヒ・クラーマーが、それまでのキリスト教会の定めていた“異端”の例を、巧みに都合の良いように纏め上げた物である。
共著として挙げられているドミニコ会士ヤーコプ・シュプレンガーの名や、クラーマーが受けたと喧伝したケルン大学神学部教授による学術書としての承認を受けたとする鑑定結果はクラーマーが本書に箔を付ける為に利用し、捏造した物だと断じられている。
クラーマー自身は、本書を出版してから僅か3年余り後の1490年に異端審問部より弾劾を受けているというが、しかして本書はその後も版を重ね続けて各地の魔女狩りを促進させ、1669年までには30版近くを重ねたとされる。
また、清教徒革命真っ只中の17世紀のイギリスでは“魔女狩り将軍”こと悪名高きマシュー・ホプキンスが現れている。
彼が活動していたのは1644年から1646年の僅か2年程だというが、その間にイギリスで“魔女”として告発された約1000人の内の1/3にもなる300人以上の“魔女”を見つけ出して殺したとされ、彼女達は凡て彼と、彼の率いたチームの老婆は私腹と名声の為に、若い女性は財産もそうだが性欲を満たす為の犠牲となったとされる。
上記の様に、僅か2年程で告発を受けて国が混乱する隙を見て自称していたとすら言われる“魔女狩り将軍”の任を解かれることになったが、その彼が1647年に出版したのが『魔女の見分け方』で、この本では拷問の中で次の魔女を告発させるホプキンスのやり口が解説された、此方も魔女狩りの実用的な指南書として読まれてしまったとも言われる。
尚、魔女狩りといえば、かつては「中世ヨーロッパにおいて12世紀のカタリ派の弾圧やテンプル騎士団への迫害以降にローマ教皇庁の主導によって異端審問が活発化し、それに伴って教会の主導による魔女狩りが盛んに行われるようになり、数百万人が犠牲になった」と纏められていたが、こうした考え方は70年代以降は改められている。当時の人口比率からすると多すぎるし、処刑された亡骸はどう処理したんだという話ではあったが。
これは、正確な記録を集めるのに苦労する中で、19世紀の小説家ラモト=ランゴンなる人物の妄想も入った記述を歴史家が信じすぎた結果であったとして、後に訂正されている。
よって、以前は数世紀もの間“暗黒時代”が続いたとされていたが、実際には1590年代、1630年頃、1660年代がピークと呼べる時期であり、それ以外の期間も魔女狩りが無い訳ではなかったが比較的に緩やかで、実際の刑罰も処刑までは行かずに鞭打ち程度で放免されたケースは少なくなかったという。
現在は、魔女狩りによる犠牲者数はヨーロッパ全土でも4~6万人程度と、大幅に下方修正されている。
……まあ、実数に関しては尚も考察の余地があるとはいえ、如何に審判から拷問、処刑の流れが適当だったとしても、一々工程を踏んでから処刑していたと考えるのならば、数世紀に渡るスパンだったと考えても妥当な数と言えるのではないだろうか?
上記の魔女狩りの最盛期の時代とは、プロテスタントが勃興し、同時にガリレオやデカルトやニュートンが生きていた時代でもあった。
……つまり、徐々に社会的な基盤が宗教的な迷信から抜け出して自然科学に移ろうとしていた時代であった。
実際に17世紀に入ると、パタリと魔女狩りの狂気は収まっていくことになる。胸糞な話だが、当初は魔女として告発された者の財産を容赦なく没収出来ていたので私腹を肥やす目的で次々と“魔女”を告発していたのが、後には財産の没収が出来なくなったので減っていったという面もあるらしい。
……ただし、一部で言われているようにガリレオやニュートンの研究や著作がいきなり世の中を変えて暗黒時代を終わらせた訳ではなく、そうした人物が出てくるようになった程に世の中が変わり、特に15世紀には類型的魔女を生み出した側であった聖職者や学者の知識階級の認識が変化し、当の教会本部が主導した場合の審問では、時代が降る毎に悪魔の存在等を抜きにして理性的に処理されるようになったので、法廷に無理矢理に引き出された哀れな魔女に対して、実刑が降されることは殆ど無くなっていったからだという。
また、この時期になっても、本部の了解を得ない地方の教会を指導する下級の聖職者や、彼等に従う小さな共同体では、相変わらず各地で惨たらしい“魔女狩り”という名の私刑が行われ続けていたのは確かであった。
この為、正式な記録には残っていない私刑も中にはあったと考えられるが……それでも、犠牲者の数ををいきなり二倍、三倍と出来るものでは無いだろう。
“魔女狩り”の原型が見られるのは前述の通り古代ローマであったが、根拠とされたのは旧約聖書『出エジプト記』22章18節の“女呪術師を生かしておいてはならない”だが、この女呪術師は決して教会が定めたばかりの悪魔の遣いたる魔女(witch)のことでは勿論なかったのだが、これをねじ曲げてでも“魔女を生かしておいてはならない”として都合良く広めたのである。
しかして、たとえそれを大義名分としても、どうして此れ程に大規模で人命の尊重されない行為が横行してしまったのかと云えば、現在では無知な時代の集団ヒステリーによる恐慌が原因であると断じられおり、狼男の有力な原因の一つと考えられる麦角菌による狂気も恐慌に一役買っていたのではないか?とも考察されている。
また「魔女狩りが盛んな時期」と「欧州が寒冷化に見舞われた時期」が重なることから、不作による社会不安もこうした動きに拍車をかけたとされる。
アイルランドでは元々の文化もあったのか、最盛期でも魔女狩りは殆ど行われなかった。
新大陸への移民達は、元々が迫害から逃れた人々だったということもあってか魔女狩りは行われなかった……と思っていたら、1692年にセイラム魔女裁判が起きて移民達をドン底に突き落とした。
……詳細については当該項目を参照。
記録上、最後の魔女裁判は1782年のスイスで、処刑まで行われている。
しかし、それに類する大規模な冤罪事件や霊能を理由とする逮捕、勾留等はその後も絶えていない。
何れにしても、類型的魔女は“魔女のテンプレ”なれど、中世に都合良く生み出された存在ということである。
それでも、裁かれた“魔女”達が何かしらの邪悪な儀式に関与していた、とする意見もあるが、それは下記の原型的魔女像で語られるキリスト教に由来しない伝統的な多神(自然神)教に基づく宴や民間医療のことだったのであろう。
原型的魔女
類型的魔女が創作された存在であるとするのならば、本来の“魔女”と呼ばれていたものが何なのかと云えば、旧世界~中世前期までは表向きにも存在が語られて社会構造にも組み入れられていた、キリスト教以前のペイガニズム(多神教信仰)やシャーマニズム(精霊信仰)に基づく、民間伝承として根付いていた諸々の占いや専門的知識の使い手達のこととなる。
原型的魔女の信仰とは、ユダヤ~キリスト教により排斥された自然神崇拝であり、月の女神や大地母神を優位とする女権社会の構図も含まれた。
彼女達は現代では原型的魔女と分類されており、上記のリアリティーの無い類型的魔女とは明確に別の概念とされている。
彼女達は民間医療の担い手でもあり、産婆なんかも含んだと考えられている。
彼女達は“賢い女性達”と呼ばれる、村程度の社会生活には欠かせざる存在であり、現代では黒魔術の徒たる(類型的)魔女に対して、白魔女とも称される。
ケルトのドルイドの文化等、旧世界からの記憶を色濃く残すイングランドでは、教会が彼女達を異端として審問にかけようとしても住民から無視されることが殆どだったそうである。後には異端=魔女として裁くべき相手の矛先がカトリックvsプロテスタントになっていたという事情もあるのかもしれない。
一方、ユダヤ人への悪意あるイメージが類型的魔女像に込められたように、原型的魔女の姿も本質を歪められて類型的魔女像の造形に用いられている。
前述の様に、(類型的)魔女は魔宴、魔女の夜宴や夜会と訳されるサバトにて山羊の頭をしたレオナルド(仏:レオナール)やバフォメットとも呼ばれる“悪魔”と交わり力を得るとされていたが、サバトとは言葉が歪められただけでユダヤ教でいうシェバト(シャバット)=休息日のことであるのは確実であるし、出版物では散々に邪悪な物として喧伝しておきながら、実際の魔女裁判では大した実害を感じさせる証言が得られなかった宴の内容の真相も、単なる片田舎の異教の祭りに対する悪意のある見方や、完全なる想像の産物であろうとして現在では断じられている。
バフォメットの語源も、イスラムの開祖であるムハンマド(マホメット)を歪めた物とも予想されており、もう何かやりたい放題である。
教会が悪しき者として広めた山羊の頭をした悪魔とは、本来の伝統的、或いはその教義を引き継ぐと自称されるウイッカや魔女宗では有角神(Horned God)と呼ばれ、神の女性相である月の三相の女神(処女、母、老婆)か大地母神の王配となる、神の男性相である。
そもそも、一神教の神にも女性相があったと言われるが、教会が男権社会に移行すると共に排除されたとの説もあり、本質的には欧州でも“神”は男女両性か配偶神として祀られていたことが解る。
下記のウイッカや新異教主義は、こうした原型的魔女の復活や後継を自称する活動となっており、主神として女神(月の女神と大地母神)と、その配偶神となる有角神に祈りを捧げる。
創作世界の魔女
暗黒時代を抜け出すと、近世以降の魔女は原型的魔女と類型的魔女の双方のイメージを伴って創作の世界に登場するようになる。
昔話の中のメルヘン的魔女、19世紀以降の創作では ロマンチックな魔女像が生まれた。
善き魔女は光の魔術を使い願いを叶えるが、悪しき魔女は願いと引き換えに犠牲を強いる……的なテンプレも結構以前の作品から見られる共通のルールであり、こうしたイメージの大元は神話世界の女神であろう。
日本でも、世界の流行を敏感に感じ取ったかのようにして、芥川龍之介等が早速に題材としている。
とはいえ、魔法使いと同じく、魔女は舞台装置や重要な脇役とはされつつも単独で主役とされることは殆どなかった訳だが、エポックメイキングとなったのが日本では1966年より放送が開始された海外ドラマ『奥さまは魔女』であり、それにインスパイアされて同年に横山光輝が原作漫画を描いてアニメ化されたのが、アニメ『魔法使いサリー』である。
この2作のヒットを受けて、日本ではアニメでもドラマ(特撮)でも“魔女っ子”物が一大ジャンルとして確立することになる。
特に東映動画の主導した一連の“魔女っ子”物は女児をメインターゲットとした、明るく夢のある作品であった訳だが、80年代に入ると“魔女っ子”のフォーマットを引き継ぎながらもリアリティーのある視点を持ち込んだ東映動画の正統派の“魔女っ子”物から外れた『魔法のプリンセスミンキーモモ』を始祖とする作品群が誕生し、基本的には変わらず女児向け作品として制作されつつも、マニア層の男性アニメファン(オタク、ヲタク)にも注目されるようになる。
90年代に入ると“魔女っ子”とは名乗っていないながらもフォーマットは引き継ぎ、それでいながら男児向けアニメや特撮のような悪と戦うヒーローとしての要素を加えた『美少女戦士セーラームーン』が誕生。
実際には米国の女児向け魔法ヒロインが直接的な元ネタと分析されつつも、此所で“魔法少女”物が確立されたとされる。
尚、魔法で何でも出来るは日本に限らず……というか、それも西欧の創作から引き継がれたものなのかも知れないが、アメコミ作品等でも魔法使いキャラは強さの本質が計れない程のワイルドカード的な扱いをされていることが殆どであり、つまりは魔法サイコー。
近年では『ハリー・ポッター』シリーズ等、伝統的な魔術やドルイド的価値観の影響下にある新世代のファンタジー作品が市民権を得ると共に、新しい潮流を生んでいる。
現代の魔女
20世紀に入ると、前述の様に中世の暗黒時代には全て異端とされて、白魔女すらも公には存在を語れなくなっていたのに対し、世代を跨いで知識を引き継いできた人々が“魔女”を自称して表に出てくるようになった。
たまに日本のTVなんかの取材を受けているのが彼女達である。
特に、日本でいえば市井の民俗学の徒である税関職員のイギリスのジェラルド・ガードナーは、引退後に本物の魔女に師事して自らが魔女となると、かの20世紀最大の魔術師の異名で知られた、晩年のアレイスター・クロウリーの協力まで得て、古より魔女達が筆者して引き継いできたと称した『影の書』を創作。
この、ガードナーの元に集っていた人々から、日本では魔女宗と訳されるウイッカ(wicca)が勃興した。
因みに、日本に支部があるし、ちゃんと正統派の魔女として活動している人もいる。
これに類する思想として、一神教以外の宗教、特に古代のケルト的な多神教信仰(主にケルト、北欧、ローマ神話の神々が信仰対象として挙げられ、一部で“魔女の女神”として知られるアラディアの名前も挙がる。)に傾倒した新異教主義(ネオペイガニズム)や、純粋に魔女の持つ技術や知識に目を向けたウィッチクラフト等のムーブメントが起きている。
魔女宗の中のスカイクラッドと呼ばれる宗派では、魔女達は“伝統に倣う”として、全裸で活動している。
それこそ、類型的魔女を思わせるスキャンダラスな姿として捉えられることもあるが、実際には禁欲的で清浄を尊ぶが故の姿であり、これを性的な活動に結びつけたり、それを“売り”とするような不心得な集団は本来の魔女からすれば、それこそ黒魔術を用いる、謂わば“邪教”であるとして批判されて廃されている。
こうした姿が、前述のサバトでの悪魔との乱行のイメージに繋がったのだろうが、古代バビロニアの神聖娼婦の実態が研究が進んだ結果、それまで常識とされてきたものとは違うと解ってきたように、実態も知りもせずに排斥されて大袈裟に喧伝された結果だということなのだろう。
【関連項目】
各作品固有の用語としての「魔女」。
追記修正は箒で飛べてからお願いします。
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▷ コメント欄
- 魔法少女 -- 名無しさん (2020-03-06 19:55:44)
- 中世の魔女の箒は前後逆で、どうやら「飛ぶ」の意味が違うとかなんとか -- 名無しさん (2020-03-06 20:22:39)
- 魔女に対応する男性の魔法使いなら魔人がいい感じがするな。魔男だと間男みたいで間抜けだ -- 名無しさん (2020-03-06 20:24:17)
- 大抵は出鱈目だけど、中には「卵を酢漬けにすれば柔らかくなる」とか言う微笑ましい「魔術」の記録がある -- 名無しさん (2020-03-07 02:10:57)
- 「まおとこ」じゃなくて「まなん」「まだん」の方が自然?でもカッコ悪いし伝わりにくいな -- 名無しさん (2020-03-07 17:27:42)
- うまい! \テーレッテレー/ -- 名無しさん (2020-03-07 20:00:14)
- ↑2「魔漢」ならどうだ? -- 名無しさん (2020-03-08 10:39:06)
- 魔羅持ってそう -- 名無しさん (2020-03-09 09:49:57)
- ハリポタブームの時に現代の魔女さんがクイズ番組で解説してくれたことがあったが、民間療法のお医者さんや伝統知識を受け継いできた人って感じだった。「そもそも黒い服なんて当時も着てないわよ」とのこと。まあそうですわな。 -- 名無しさん (2020-03-09 13:07:35)
- >1630年頃、1660年代がピーク >17世紀に入ると、パタリと魔女狩りの狂気は収まっていく ここの記述矛盾していないか? セイラム魔女裁判も1692年だし… 識者の修正求む -- 名無しさん (2020-03-09 15:11:16)
- 善き魔女は「仙女」と呼ばれることもあるな。 -- 名無しさん (2020-03-09 15:43:28)
- ↑2 冷静になったのは本部だけで、相変わらず地方では続いて立ってたことかもしれない。後、セイラムの場合は欧州ではない。 -- 名無しさん (2020-03-09 16:18:30)
- シナモンは魔女!?(マシュマロ通信) -- 名無しさん (2021-08-05 22:04:15)
- アンパンマンまじょのくにへ(それいけ!アンパンマン) -- 名無しさん (2021-08-05 22:07:27)
- ばいきんまんと魔法のホウキ(それいけ!アンパンマン) -- 名無しさん (2021-08-09 22:13:58)
- 「魔男」は普及しないし(そもそも創作でもロクに採用されない)、「魔人」はまた別のジャンルに使われてるし -- 名無しさん (2021-08-10 05:59:19)
- 日本だと魔女でも若い綺麗なねーちゃんや、可愛い女の子ってイメージが強くて国によっては困惑するそうな -- 名無しさん (2022-03-09 18:49:53)
- 極黒のブリュンヒルデは打ち切られなければもう少し魔女の設定掘り下げられたんだろう -- 名無しさん (2022-11-13 02:16:11)
- ↑3「魔者(まじゃ)」とか語感も魔女に似ていてアリだと思うんだけどな -- 名無しさん (2022-11-13 07:15:50)
- カナダ出身のALTの先生によると「『ウォーロック』はヴォルデモートみたいな魔法使い」、少なくとも英語圏では魔法使いの中でも特に邪悪な者を指す印象が強いらしい -- 名無しさん (2022-11-13 08:19:57)
- キリ糞定期 -- 名無しさん (2023-12-13 12:42:28)
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