第22章 若年層の柳川弁で
王子くんが「こんにちは」ちゆうたら、ポイントがかりも「こんにちは」ちゆわした。
王子くんが「ここでなんばしよっと?」ち聞いたら、ポイントがかりは「お客さんば100人ずつに分けよっと」ち答えらした。
「機関車にお客さんの乗っとらすけん、そん人たちに「あんたは右」、「あんたは左」ちゆうていくとたい」
そしたら、機関車のピカーッ、ビューン、雷んごとゴロゴロ、ゴロゴロちゆうて来た。
ポイントがかりのおるたてもんも揺れた。
「えらい急ぎよるね」ち王子くんは※1ゆうた。「なんか探しよっと?」
「そりゃあ動かしよる人でっちゃ知らんばい」ちポイントがかりはゆわした。
そしたら、今度は逆向きにピカーッ、ビューン、ゴロゴロゴロ
「もう戻ってきたとね。」ち王子くんが聞いたら…
「おんなしとやなかばい。」ちポイントがかりのゆわした。
「入れ替えたい。」
「自分がおっとこが好かんとね?」
「人はどげんしたっちゃ自分のおっとこが気にいらんと」ちポイントがかりのゆわした。
そしたら、まーた、ピカーッ、ビューン、ゴロゴロゴロ。
王子くんは「さっきのお客さんば追いかけよっと?」ち聞いた。
「誰も追いかけよらんばい。」ちポイントがかりはゆわした。
「中で寝とるか、欠伸しよる。子どもだけが窓ガラスに鼻ば押し付けてから……」
「子どもだけが自分の探しものば知っとっとたいね。」ち王子くんはゆうた。
「ぼろか人形と一緒におって、むぞらしゅうなって、やけん、そればとられたらないてしまうっちゃろう……」
「うらやましかばい」ちポイントがかりはゆわした。
[注釈]
- 高年層の話す柳川弁では、「王子くん」のように「ん」で終わる言葉に「は」が続くと連声が生じ、「王子くんな」のように発音される。
※編集者注:[翻訳者紹介]ならびに[ことばの解説]はあのときの王子くん 第23章 若年層の柳川弁でをご覧ください。

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