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マリア・ニアール_MN-6_ブルーイヤー酒造_戦闘後
久しぶりにバーへとやってきたゾフィアだが、マリアの対戦相手を知らされて驚く。そしてマリアは、左腕騎士の圧倒的な実力を前に過去最大のピンチを迎えるのだった。
[代弁者チャルニー] 前任の「プラチナ」は、あろうことか標的に好意を抱いてしまい、その想い人を守るために他の無冑盟メンバーの手にかかりました。
[代弁者チャルニー] その穴を埋めるように、あのお嬢さんが急遽そのポジションに抜擢されたのです。史上最年少の「プラチナ」として……
[代弁者チャルニー] 天才射手であることは確かですし、実力的にもその名前に相応しくないわけではありませんが……他の「クロガネ」や「ラズライト」に比べたら、未熟な面が多いのは否めませんね。
[企業職員] そ、そうかもしれませんが……どうして今私にそのような話を? 無冑盟の存在自体が機密であるはず……まさか――!?
[代弁者チャルニー] ああ、いえいえ、それは考え過ぎですよ。近頃ずっとこれについて考えておりまして。まあ私がこの位置まで上り詰めていなければ、これを考える機会すらなかったわけですが……
[代弁者チャルニー] ご存知でしたか? 彼女を「プラチナ」の座に推薦したのは、前任の「プラチナ」だそうですよ。それも瀕死の状態の時に……
[代弁者チャルニー] 興味深いと思いませんか……? 無冑盟がなぜ裏切り者の言う事を聞いたかはともかく、前任者は、あのお嬢さんを推薦したところで自分の運命は変わらないと知っていたはず……なら、何のために?
[代弁者チャルニー] 彼が同僚の弓で胸を貫かれる直前、他にも何か言おうとしていたのでは? だとしたら、誰に、何を言おうとしていたのでしょう?
[企業職員] ……
[代弁者チャルニー] たしか、あなたはスウォマーの社員でしたよね?
[企業職員] は、はい……試合期間中は、各企業及び騎士協会の交渉業務などを担当しております……
[代弁者チャルニー] あちこちを走り回っているのですね。さぞかし苦労をなさっていることでしょう。
[企業職員] いえ、そんな苦労というようなものでは……会社に貢献するのが、私の役目ですので――
[代弁者チャルニー] いえいえ、あなたの仕事は収入のためですから、そんなに腰を低くする必要はありませんよ。
[代弁者チャルニー] あなたは昔、起業していらっしゃったそうですね。なぜ続かなかったのです?
[企業職員] あ……それは、私の力不足で――
[代弁者チャルニー] 結果を決めるのは能力だけではありませんよ。選んだ道が悪かっただけで、正しい選択をしていれば今あなたは私と同じ位置にいたかもしれません。
[企業職員] わ、私のようなものが、そんな……あり得ません……
[代弁者チャルニー] いいえ、カジミエーシュでは、何もかもがあり得るのですよ。
[ゾフィア] ……
[禿頭マーティン] ゾフィア……顔を合わせるのは久しぶりだね。
[ゾフィア] マーティンおじさん……
[ゾフィア] ……マリアは来てた?
[禿頭マーティン] 少しトラブルがあってね、今日は家に帰したよ。
[ゾフィア] そう――
[ゾフィア] ――血の匂いがする。待って、この包帯はどういうこと?
[ゾフィア] マリアが怪我を? 相手は誰? 何があったの!?
[ゾフィア] だからこれ以上はやめろとあれほど……あの子はなぜこんな――
[禿頭マーティン] 落ち着きなさい、怪我をしたのは別の子だ。
[ゾフィア] ……どういうことなの?
[禿頭マーティン] 灰毫騎士と焔尾騎士が何者かに襲われてな……灰毫が負傷して、たまたまここに逃げ込んできたというわけだ。
[禿頭マーティン] 二人は今朝、これ以上ニアールに迷惑をかけるわけにはいかないと言い残して出ていったよ。
[ゾフィア] ……そんな偶然ってあるのかしら?
[禿頭マーティン] さあね……だがあの二人は確かに危ない状況に追い込まれていた。どうあれ、私たちが裏を取るのは不可能だ。
[禿頭マーティン] ところで、今朝のニュースはもう見たか?
[ゾフィア] ……
[ゾフィア] マリアは今、どこに?
[禿頭マーティン] 試合中だな。
[ゾフィア] 種目は何? 相手は誰?
[禿頭マーティン] イングラの時と同じ、ルール無用のタイマン勝負だよ。
[禿頭マーティン] 相手は“レフティ”タイタス・トポラ。
[ゾフィア] 待って――今、誰って言った?
[禿頭マーティン] ブレイドヘルム騎士団の主将、貴族騎士、上位商業騎士……そして過去にベスト16の成績を持つ競技騎士、タイタス・トポラだ。
[ゾフィア] で……でも、今のマリアの競技ポイント数じゃ、どうやったって彼とはマッチングしないはずよ。だって、彼の順位はもう――
[禿頭マーティン] ああ、それに面倒な奴までマリア目当てにこのバーに来たよ。
[禿頭マーティン] 今の彼女は昔のマーガレットと同じで、前しか見えてないからな。企業のあしらい方をまったく心得ていない。
[ゾフィア] あの子が……マリアがマーガレットと同じ?
[ゾフィア] マーガレットは自分が何をしていたか、ちゃんと理解していたわ。ただ、自分の理想に執着し過ぎてしまっただけで……
[ゾフィア] でも、マリアは自分の相手が何なのか、自分が何をしているのかがわかっていない。これ以上進むのは危険過ぎるわ!
[ゾフィア] 本来、マリアはもっと平穏な日々を過ごせたはずなのに……あの子は私やあなたのような競技騎士になる必要なんてなかったのに……
[禿頭マーティン] たしかにそれは、君の言う通りかもしれない。しかし、彼女に覚悟があるかないかは、君が判断することじゃないだろう。
[禿頭マーティン] 彼女はまだ若いし、不安も感じているだろう……余裕がありそうに振舞っていたが、それも君を心配させないためだ。
[ゾフィア] ……
[禿頭マーティン] もちろんマリアはまだまだ未熟だ。だが、全く見込みのない騎士が合成樹脂騎士に勝利し、錆銅騎士と引き分け、団体混戦で三位に入賞できると思うか?
[ゾフィア] 一回ぐらい負けて、ちゃんと頭を冷やしたほうがいいわ。
[禿頭マーティン] 本当にそう思ってるのなら、何も言わないが。
[ゾフィア] ……
[ゾフィア] ……どこの競技場なの?
[ビッグマウスモーブ] レディース、アンドジェントルメン! ファイヤブレード競技場、本日のスペシャルマッチへようこそ――!
[ビッグマウスモーブ] この試合は、選抜開始以来最大級の注目を浴びているようです! なんと今! この場には、ローズ新聞連合十二社の報道陣が揃い踏み致しております!
[ビッグマウスモーブ] それだけではありません! 我らがファイヤブレード競技場は! カジミエーシュで三番目の規模を誇るファイヤブレード競技場は! 本日なんと、空席ゼロ、まさに満員御礼の状態です!!
[ビッグマウスモーブ] これは対戦者双方の人気の高さゆえか!? それとも、肝心の結果に注目が集まっているからでしょうか!?
[ビッグマウスモーブ] その問いに対し、私が責任を持ってお答えしましょう。答えは――その両方ともに決まってる!
[ビッグマウスモーブ] こんな夢のような対戦のMCを務めさせていただくとは――なんて光栄なことでしょう!
[ビッグマウスモーブ] 本日のスペシャルマッチ! もはや説明の必要などありませんが、あえてご紹介しましょう! まずは熱狂的なファンが後を絶たない今を時めく美少女騎士――マリア・ニアール!
[ビッグマウスモーブ] そしてもう一方は! 息を潜めし鋭い刃、その身に背負う価値は値千金! 伝説の騎士の名を授けられたブレイドヘルム騎士団の寵児“レフティ”タイタス・トポラ!
[ビッグマウスモーブ] おお! 両者がまだ姿も見せていないのに、賞金プールがもうこのような数字に!? どうやらこれ以上の言葉は不要のようです! さては皆様、とっくに私のMCに飽き飽きしていますね!?
[ビッグマウスモーブ] いいでしょう……それではお待ちかね! 今すぐに、二人の騎士にご登場していただきましょう!
[マリア] ……
[ビッグマウスモーブ] まず、先に競技場に現れたのはマリア・ニアール! 相変わらずの純白の鎧! そして相変わらずの可憐な姿!
[ビッグマウスモーブ] “プラスティック”シェブチックに勝利して以来、破竹の勢いでここまで突き進んできました! どんな試合でも不屈の精神を見せてくれたあのマリア・ニアールです!
[ビッグマウスモーブ] 今日再びこの場に舞い降りた彼女、もはやメジャー進出は確実だと公言しています! 果たしてこの一戦を踏み台に、カジミエーシュ騎士の頂点に立てるのか? 乞うご期待!
[マリア] (そんなこと、一言も言ってないんだけどな……)
[ビッグマウスモーブ] そしてその行手を阻むのは――
[左腕騎士] 黙れ、鬱陶しい道化師が。
[左腕騎士] 貴様のような輩は、私の戦場に相応しくない。とっととこの場から失せろ。
[ビッグマウスモーブ] ――そうです、この毒舌こそタイタス・トポラの真骨頂! だから私は言ったんです、選手にはマイクを着けさせるべきだと! そうすれば観客の皆様も、この殺伐とした緊張感に浸れるのに……
[ビッグマウスモーブ] それでは、お知らせです。この対戦は――ミェシュコ、ローズ新聞連合、スウォマー食品、ロアーガード、各社の提供でお送りしております!
[ビッグマウスモーブ] ご来場の皆様は、いつでも四社の提供する商品の割引券を獲得できます! そして、ここで本日の観戦には欠かせないドリンクのご紹介をさせてください――ブルーイヤービールです!!
[左腕騎士] ……ニアール。
[左腕騎士] 醜いな。騎士の家名を守るために必死にもがくその姿、水から出された鉗獣にも等しい。
[左腕騎士] 騎士の名を背負う力がないのなら、無様にしがみつく必要などないだろう?
[マリア] ……それは、あなたが決めることじゃない。
[左腕騎士] まあ、どうでもいいことだがな。今日、ニアール家の最後の騎士は私の手によって倒されるのだから。
[左腕騎士] 安心しろ、私はあの役立たずのイングラとは違う……武器さえ持てば騎士を名乗れるわけではないことを、きっちり教えてやろう。
[ビッグマウスモーブ] これはまるで火薬庫です! まさに一触即発――!
[ビッグマウスモーブ] この私でさえ、これ以上皆様を焦らすのを躊躇するほどです! それではこれより、対戦を――開始します!
[マリア] ――!?
[左腕騎士] フンッ!
[ビッグマウスモーブ] ――な、何が起こった!? まさに一瞬! 開始合図の次の瞬間、マリアの剣が弾け飛びました! そして続くのは、重い一蹴!
[ビッグマウスモーブ] これが実力差というものなのでしょうか――!
[左腕騎士] 剣を拾え。
[マリア] (くっ……! 一体どうやって……?)
[左腕騎士] 早くしろ。
[マリア] ……
[マリア] (槍騎兵のスタイルだ……攻撃範囲が広い。それに動きは速いし、力も強い……隙が見つからない)
[マリア] ……もう一度。
[左腕騎士] いいだろう。
[マリア] させるか――!
[左腕騎士] 弱いな。
[マリア] うっ!
[マリア] 光を……割った?
[左腕騎士] ……驚くようなことか?
[左腕騎士] その剣ごと真っ二つにしてやるつもりだったのだがな……フン、それがニアール家の剣か。
[左腕騎士] 貴様は己の信仰を握りしめていながら、その本質を全く理解していない。幼稚で、無力で、考えも軟弱だ。貴様は――
[左腕騎士] 私の相手に相応しくない。
[ビッグマウスモーブ] 余裕綽々な左腕騎士、再び襲い掛かった――! あえてマリアが武器を拾い上げるのを待ってから、猛攻を繰り出しました!
[ビッグマウスモーブ] これぞまさしくカジミエーシュの頂点に君臨する騎士団の実力! これがメジャー本戦に出場する騎士の実力だ! 初めてご覧になるというお客様は、瞬き厳禁です!
[ビッグマウスモーブ] 勝負は、一瞬で決まるかもしれませんよ!?
[マリア] くっ、あぁ……!
光は踏みにじられ、破壊され、冒涜された。
眼前に迫る“レフティ”タイタスの影に向かって、マリアは剣を掲げた。
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