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プロファイル
基礎情報
【コードネーム】マゼラン
【性別】女
【戦闘経験】なし
【出身地】クルビア
【誕生日】10月17日
【種族】リーベリ
【身長】160cm
【鉱石病感染状況】
体表に源石結晶の分布は見られない。非感染者に認定。
能力測定
【物理強度】標準
【戦場機動】標準
【生理的耐性】優秀
【戦術立案】優秀
【戦闘技術】普通
【アーツ適性】標準
個人履歴
ライン生命の外勤専門員。提携協定の下で、しばらくの間ロドスを拠点とし、新たな探索活動を開始している。高度モジュール化したドローンの操縦に長け、様々な状況に応じて攻撃や支援を行う。
健康診断
造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。
【源石融合率】0%
鉱石病の兆候は見られない。
【血液中源石密度】0.14u/L
常に未知の地域で活動しているため、関連防護措置を必ずしっかり取ること。
第一資料
【アーツ概要】
「マゼラン式探検セットは、汎用型多機能セオドライトと支援型ドローンDDFを含めた、ラボ・ルトラとライン生命医科学研究所設備開発課による共同開発された製品です!」
汎用型多機能セオドライト
高温、厳寒、高圧、あらゆる環境で安定して動作します。
長い連続動作時間と高効率充電で、稼働時間を保証します。
誤差範囲は1mm未満、トップクラスの測量のニーズにお応えします。
レーザー照射口を改良し、測量・攻撃・照射と様々な使い分けが可能。
内蔵された各種ソフトウェアを使いこなすことで、心身ともに積極的な効果が得られます。
支援型ドローンDDF(ドローン・ドラゴンフライ)
搭載済モジュール数:4
通常モード時コントロール可能なドローン数上限:2
【シークレット】モード時コントロール可能なドローン数上限:5
予備用ドローン数:3
実際の状況に応じたドローンの設置と使用をお願いします。
以下モジュールリスト:
R23モジュール:タイプF・フリーズ。散開時はターゲットの動きを鈍らせ、認証後は直接目標を凍結する。
LRBDモジュール:タイプL・レーザー。起動時は下方に工業レベルのレーザーを照射、認証後は短時間出力を増強する。
66号モジュール:タイプA・アタック。セオドライトの攻撃ポートとターゲットを共有しており、起動時は即範囲内の目標に攻撃を行い、認証後は全ての攻撃ポートが大幅にパワーアップする。
【シークレット】モジュール:効果はまだ不明。詳しい情報については当モジュールをインストールした者にご連絡ください。
え、私は今何を見てたの?私って術師オペレーターなんだよね?何なのこれ?
——術師オペレーターZ.Rによる報告書の最後の注釈により
第二資料
ライン生命の外勤専門員として、マゼランは早い段階から各種実地踏査に参加している。人家もまばらな大氷原はずっとマゼランにとって重要な研究対象だ。これは興味によるものかもしれないし、習性によるものかもしれない。
通常、彼女は初夏に任務を開始し、初冬の前には帰ってくる。北方の未踏の地から持ち帰った資料をライン生命に集積するために。この前の人事異動で、マゼランは派遣駐在オペレーターの任命書を受け取った。仕事での必要性から、彼女は近日中に観測基地をロドスに移転しようと考えている。
ロドスに加入する前、安全性と機密性への考慮から、マゼランの補給作業は主に経験のあるトランスポーターに任せていた。そのため、マゼランも多くの物流会社とのパイプを持っている。気になるのは、彼女はペンギン急便の主宰「コーテー」とは大の仲良しのようで、一部の職員たちに嫉妬するされるほどだということだ。
その理由は何なのか、実は誰も知る者はいない。
第三資料
マゼランの部屋には隠された小さなロフトがある。これは該当通路建築担当者に申請した拡張工事の許可が下りたもので、決してロドス艦船の構造を改造するわけではなく、メイヤーの仕事場のような違法建築問題はない。
ロフト自体は広くないが、研究に使うならば余裕だ。壁の一枚は大きなスクリーンに改造され、マゼランの探検成果と疑問点が列挙されており、重要なところには現地で撮影した写真も添付されている。標本や測量結果はあちこちに置いてあり、彼女によって一つ一つ整理されているが、隙のない圧迫感を感じさせるのは免れない。
ライン生命の研究プロジェクトには多くの先端技術が含まれており、一部の研究成果はロドスの研究者たちですら解析できないものだ。このような状況で、もし食堂で声高々に「ライン生命のやつはみんな天才か」と叫んでも、驚いて振り向くオペレーターはさほどいないだろう。しかし、マゼランのロフトに入ってみれば、成果を生み出すのは天賦の才能だけではなく、この部屋丸々一つ分の努力だと気づくはずだ。
あるいはそれ以上だ。
第四資料
ボリバルの黒流樹海、カジミエーシュの環山高地平原、イベリアの水中火山……大地には探索すべき場所が無数にあるが、人々は目下の紛争で好奇心に蓋をされてしまった。
マゼランは独り、荒涼たる氷雪地帯で足を止めた。家族と友人から遠く離れ、過酷な環境の中に身を置いていた彼女は、手につかめるものは雪以外に何もないように見えた。極めて研究価値の高い考察成果を多く持ち帰ったとしても、多くの人は彼女の選択を理解できないままだ。それでも、マゼランの心の中では、追い求める目標はいつも明々白々としており、少しも変わったことはない――
子供の頃の歌が耳から離れない。かつての幼かった彼女に、人々に忘れ去られた極北の過去を訴え続けている。しかし、覆滅がそのフィナーレとなり、最後の歌詞のように全てが失われ、深い氷の奥に閉ざされた。古い事実は伝説となり、それを書き記す者を腕を広げて迎えることもない。
夢のような歌は小さいマゼランの夢となった。幼い頃、人々は彼女をほめた。少女の頃、人々は彼女を訝しんだ。大人になってからは、人々は彼女を批判した。自身の選択が理解されずとも、マゼランが探検し続ける原動力は、全ての知識への熱意と夢への揺るぎない想いから来ている。
ライン生命はそんな彼女に門を開いた。申請書を受け取り、彼女が選んだ、そして今も使い続けているコードネームは――「マゼラン」。
昇進記録
「マゼラン?あの研究員か……覚えてますよ。すごく明るい人で、同僚たちにも親切です。でもご存じでしょう、観測員の任務期間って相当長いんですよ。彼女のことをずっと覚えてられる人はあまり多くないんですよね。イフリータとミュルジスは例外でしょうけど。」
「彼女たちは本当に仲が良いんですよ。だってほら、ライン生命の全体を見ても、あのイフリータを落ち着かせられる人はめったにいませんから。」
「それからミュルジス、あのミュルジスですよ……マゼランとイフリータにどう呼ばれてるか想像できますか?ははは……コホン。ミューちゃんって呼ぶんですよ。」
「イフちゃん、ミューちゃん……ぷっ。」
「マゼラン研究員……なんていうか、本当に不思議です。」
「彼女は本当に我々のような科学野郎とは少し違う、のかもしれませんね。」
ボイス
ボイス(デフォルト) | |
---|---|
秘書任命 |
次の探検に出るまではずっとドクターのそばにいるよ。何か手伝ってほしいことがあったら、遠慮なく言ってね! |
会話1 |
ドクターのことは前から知ってるよ!そうそう、メイヤーちゃんやミューちゃんたちから話をいっぱい聞かされてるから。だからどんな人なのか自分の目で見てみたくて、ロドスに来ちゃった……あ、あとおみやげも持ってきたよ!ほら! |
会話2 |
このペンダント?これはね、コーテーちゃんからもらったの。えっ?あのコーテーちゃんだよ、ペンギン急便の。あそこに行ったとき何回も会ってるんだけど、これがめちゃくちゃかわいいの!ついいっぱいモフモフしちゃうんだよね。え、モフモフはしたことない?こわい?なんで? |
会話3 |
イフちゃん、もう元気になったかな?この前ライン生命から出てきたときは、なんだか調子が悪そうだったから、すごく心配だよ……。 |
昇進後会話1 |
メイヤーちゃんの新作メカは出てるかな?最近この手の研究が全然できてなくてさ、そろそろ一緒に何か作りたいなーって思ってるんだ。そうだドクター、いいこと教えてあげるよ。メイヤーちゃんはね、仕事中に邪魔されると噛み……え?もう噛み付かれたことあるの?! |
昇進後会話2 |
あたしのドローンはミーボ、シーシュポス、ココシュカなんかとはそもそも操縦原理が違うから、一度にたくさん飛ばせないのはしょうがないんだよ。でも新しいシステムも開発中だから、そのうちね。ふっふーん、お楽しみに! |
信頼上昇後会話1 |
極北ね…あそこは寒くて過酷だけど、きっと私の夢と理想がどこかに眠ってるんだ。夢を叶えるためなら、努力を惜しむつもりなんてないんだから! |
信頼上昇後会話2 |
「軒下に佇む小さな庭師と小さな花。目に止める人は誰もいません……」この本、イフちゃんが昔好きだったなぁ。主人公と自分の名前が同じだからかな?でもイフちゃん……本のことを何も覚えてないみたい。うーん、どうしたのかなー。 |
信頼上昇後会話3 |
北の地はね、とても神秘的で美しい場所だよ。たっかーい崖に、雪に覆われた大きな木に、光輝く源石の結晶、それから地の果てまで広がる雪……ドクター、一緒に行こっ?あたしと一緒に!ねぇ、いいでしょ? |
放置 |
ドクター?寝ちゃダメっ!ここで寝たら死んじゃうよ!……このセリフ、一回言ってみたかったんだー。 |
入職会話 |
ライン生命観測員マゼラン、未知なる探査船を発見……って、うわっ、き、君はロドスのドクターだよね?えーっと……あたしの探検隊に入る気はない?毎日わくわくが待ってるよ! |
経験値上昇 |
効率改善! |
昇進Ⅰ |
アップデート完了!システムの反応速度がこれまでの倍になったよ! |
昇進Ⅱ |
ドクターがあたしの研究成果を見たいっていうなら、ちゃんとあたしの実力を見せてあげなくちゃね!ふっふーん、先に言っとくけど、あたしのすごさに腰を抜かさないでね! |
編成 |
探索と支援ならあたしに任せて! |
隊長任命 |
みんなー、密に連絡を取り合って行動するんだよ!ピピー! |
作戦準備 |
設備の調整があとちょっとで……よし! |
戦闘開始 |
ドローンの調整もオッケー!いつでも飛ばせるよ。 |
選択時1 |
おー! |
選択時2 |
あたしの技術が必要でしょ? |
配置1 |
お仕事スタート! |
配置2 |
システムオールグリーン! |
作戦中1 |
ターゲットが位置についたね?よし、ドローン起動! |
作戦中2 |
いけーっ!雪の照り返しで目眩ましだよっ! |
作戦中3 |
3……2……1!いっけー! |
作戦中4 |
お花ちゃんたち!咲き誇れ! |
高難度作戦クリア |
気をつけて!スキャン範囲外のエリアはまだ危な……え、もう片付けた?さっすがドクター、頼もしいねっ! |
★3で戦闘終了 |
周囲に敵反応ナシっ! |
★2以下戦闘終了 |
まだ敵が残ってるけど、追いかけたほうがいーい? |
作戦失敗 |
か、囲まれてるっ……あたしのせいだね……ごめん……。 |
基地配属 |
ん?床暖房まであるの!?あーもうサイコー! |
タッチ1 |
あれっ? |
信頼タッチ |
ねぇドクター、スケート行こうよ!あたしがついてるから怖くないよ! |
タイトルコール |
アークナイツ。 |
挨拶 |
ん?なーに? |
逆理演算
尽きることなく / 龍門・氷雪地帯
"科学技術は研究者の武器である。目の前の若い娘を見くびってはいけない。彼女は孤軍奮闘しているわけではないのだ。
その背後には、知恵の結晶である頼りになる助手がいる。機能の一つ一つが、彼女自ら経験した危険から生み出されている。彼女が進む道を、より遠くまで導いてくれるのだ。"
コーデ
デフォルト(昇進0)
オペレーターの普段着。
実用性は制服に劣る部分もあるが、オペレーターが最も着慣れているコーディネート。
デフォルト(昇進2)
昇進後調整された服装。
オペレーターの経験に基づき細部の改善が図られ、より作戦に特化したものとなっている。戦闘向きでありながら、オペレーターが着慣れている服装を極力再現した。
R.Kitchen - やみつきかき氷
マゼランの私服。
ロドスキッチンシリーズ/やみつきかき氷。マゼランがグルメフェスでかき氷を作るときの作業服で、極東の伝統とラインの特色を兼ね備えている。動きやすく通気性や保温効果に優れており、マゼランがかき氷店の営業に専念できる。
科学技術が人力に取って代わってから、マゼランは涼めるスイーツの新境地を発見した。
モジュール
ORIGINAL / マゼランの記章
マゼランは自身で開発したドローンモジュールを用いての作戦参加に秀でている。
外勤部門の決定に基づき
外勤任務においては補助オペレーターとして区分し、召喚師の責務を担う。
特別に本記章を授与し、
その証明とする。
SUM-X / ドローン操作専門モジュール
一度目の果てなき氷原の探索。直近の観測基地から二十五日の位置にて:
先ほど雪原から木の枝を一本発掘。
具体的なデータはデータ表参照。簡単に説明すると、あたしの腕とほぼ同じ長さの木の枝だよ。
かなり長い時間を掛けてケイ化したって断言できる。今あたしが持ってるこれは、完全にケイ化するまで少なくとも90%は分解されたはず。
だとすると、元々はどのくらい太い枝だったんだろうね!
きっと……こないだ見たあの一本木の幹くらいなんじゃないかな?
そしたら木全体はライン生命本部ビルほど高くなるんじゃない?
わー、すっごいよね。
そんなに重くはないし、できるだけ原型を留めたまま持ち帰りたいいから、ウルサスの国境検査の警官さんがあんまり意地悪しないといいんだけど。
二度目の果てなき氷原の探索。直近の観測基地から二十八日の位置にて:
今は洞窟で避難中。外は吹雪がひどくて今日はもう進めなそうだし、ここでしっかり休もう。
予備のドローンも全部使っちゃてるから、計画通りに進めるなら、あと一機でもドローンが壊れたら帰らないと。
理論上の探索限界だと、氷原奥地に向かって一か月半は進めたはずなんだけど、現実は残酷だったよ。一か月でもう限界だなんて……
吹雪が止んで、これ以上発見がなければ、あたしは……
ねぇ!何を見つけたと思う?!
花畑、しかも洞窟の中で!
植物は氷層の中から水分と養分を得てるみたいで、あんまり丈は伸びてないけど、元気に成長してるみたい。
一株だけ完全な状態で採取して培養ポットに入れて、観測基地で初歩的な性質分析を行ってからラインに持ち帰ることにしたよ。
吹雪が止んだら、あと二日ほど進んでみよう。二日だけ進んで、そこでもう撤退。
衝動は命取りになるから気をつけないと。
二度目の果てなき氷原の探索。直近の観測基地から三十日の位置にて:
源石氷晶がまるまるひとかたまり!あたし三人分くらいの高さがありそう!
しかも完璧な菱形だから、もし今吹雪いてなかったら、きっと光を反射して輝く最高の光景が見れたのに!
はぁ、吹雪の中であのまま無造作に転がってるなんて、可哀想すぎるよ。
ここの位置座標をマーキングして、撮影もしといた。次に来るときも目印を手がかりに見つけられるといいんだけど。
氷晶が完全な状態で残っていることの意義を考えたら、直接標本採取するわけにはいかないけど、幸い、地面には欠片がたくさん転がってた。十分な量もあるから、持ち帰れば一年分の分析にも困ることはなさそう。
今回の調査の目標は達成できたから、そろそろ帰ろう!
前回と同じ警官さんに会えるかな?
三度目の果てなき氷原の探索。直近の観測基地から十五日の位置にて:
本部の提案により、進行方向を調整。
だけど十五日も進んだ後に、急に止められちゃった!
相手はウルサスの公式トランスポーター。
この先は軍事管制区だから、これ以上進むのはやめろって言ってきたんだ。
だからあたしは、ウルサス政府が発行した探索許可証、探索ルート確認書と氷原地図作成委託書を見せて、ここを通る権利があるって主張したんだ。
それでも相手はあたしに引き返すように強く命令してきた。自分にはより強い権限があって、あたしが持つ文書の有効性を一時的に無効にできるなんて言ってさ。
その言い方自体はキツかったんだけど、なんだか言葉の裏には、乞い願っているような感情があるように感じてさ。
ここを進めば、きっとすっごく探索に値するものがあるって感じはしたけど、よその領土での探索中に公務員と衝突を起こすのは賢いやり方じゃないことも分かってる。
だから、了承したことを表明して、鱗獣の干し物をひと包みプレゼントしたんだ。
そしたらその人も気取るのをやめて、あたしが引き返すのに必要なサポートを提供してくれるって言ってくれたよ。
予報によれば、明日明後日くらいにここでは大きな吹雪が吹き荒れるみたいだから、こんな時に助けをもらえるなんて願ったり叶ったりだったよ。
探検の目標には到達できなかったけど、ほかの成果はそれなりに喜んでいいものだったかな。
何より、ここで新しい友達ができたからね。
空から黒い雪が降ってきた。天災が起こる予兆なのかな?
彼が気付かないように、雪を一片だけ採取しといた。
この雪から、何か面白い発見ができるといいな。
SUM-Y / 教育用ドローン・DDF
大学で受けた初めての授業で、校内を歩き回った時のことは今でも覚えてる。
その日、あたしたちは高名な教授が入ってきて自己紹介をし、授業を始めてくれるのを待っていた。
――だって、みんな「授業」っていうのはそういうものだと思ってたから。
でも、あの「教授」は教室に入ってくるや否や、荷物をまとめてついてきなさい、って言ったんだ。
学生たちは言われた通りにしたし、あたしももちろんそうした。
「教授」は歩きながら、クルビアの地質構造や、探査機生産メーカー、考古学の発見なんかの話をしてくれたんだけど、彫像や肖像画の前を通る時には必ず立ち止まって、クルビアの科学事業に大きく貢献したその偉人や卒業生たちを紹介していた。
そうしてやっと一通り回り終えて、あたしたちが教室へ戻された時、その授業の本当の先生がやってきた。
先生は「教授」を教室から送り出すと、みんなに軽い自己紹介をして、今日の授業はこれでお終いだと言った。
一斉にひそひそ話を始める同級生たちには、今のはいたずらじゃないかと言う人から、大学の伝統だろうと言う人、あのおじいさんが権力に物を言わせて勝手にやってるんだろうなんて言う人までいて……
そうなると、さっきおじいさんが話していた内容なんてもう誰も気に留めていなかった。
……
ある日、キャンパスに流れる小川のほとりでお昼ご飯を食べていたら、偶然そのおじいさんに会った。
向こうはまだあたしのことを覚えていたようで、君は熱心にメモを取っていた子だね、なんて言ってくれた。
「この大学の先生なんですか」って聞いたら、おじいさんは「いいや」と答えて、こう続けた。
「私はここにあぶく銭を出資しているだけの人間さ。」
そこでようやく気が付いた。目の前にいる人は、この学校の理事なんだって。
本人曰く、おじいさんはもう一線から身を退いていて、家業も全部子供たちに任せた結果、やることがなくなったらしい。
それで、時々学校へ来てはぶらぶらしているんだとか。
そんな話をしたあと、「君はこれからどうするつもりなんだい」と聞いてきたので、あたしは「観測員になりたいです」って答えた。
すると、おじいさんはこう言った。
「何年か観測員をしたあとは、環境保護団体のシニアコンサルタントになるのかな。人生計画がしっかりしているね。」
そこで、あたしはこう答えた。
「そうじゃなくて……身体が持たなくなるまで、ずっと観測員でいたいんです。」
その言葉を聞いたおじいさんの目は少し輝いたようだった。
「では幸運を祈ろう、観測員さん。成果を上げたらここへ戻って、後輩たちに先人の物語を聞かせてあげるのを忘れないようにな。」
おじいさんはそう言うと去っていき、あたしたちの人生はそれ以来二度と交わりはしなかった。
実際この仕事に就くまでは、このやりとりをお年寄りから学生への単なる激励だと思っていた。
でも今は、あの言葉に含まれていた期待の気持ちがはっきりと理解できる。
どんな学問も、一朝一夕にして成果を上げられるようなものじゃない。
人々は一部の天才だけを記憶に留め、すべての功績は、奇跡を生み出した人間の手柄にされてしまうものだ。
それでも、ゆったりと流れる歴史の中で、それぞれの学問が人々に忘れ去られないようにするためだけに、多くの人はすべてを投げ打っている。
命というのは限られたもので、次の世代の人々は常に一から学ばなければいけない。
あたしたちにできることは、絶え間なく積み重ねを作り続け、のちの人たちのために道を切り拓くことだけだ。
あたしの発見は、この大地を変えるに足るものになるだろうか。
今わかっていることは――あたしが学び、求めたものはこれからのちの人たちに受け継がれるだろうということくらいだ。
そうすれば、その人たちはあたしがつまずいた穴にひっかからずに済むし、あたしが流した血を流さずに済む。
彼らはあたしより一歩遠くまで進み、一歩先の景色を眺められる。
それは小さな一歩かもしれないけれど、新たな歴史を作り出すことができるものだ。
あたしはその日が来るのを楽しみに待っている。
――マゼランの教育用ドローン・DDFの開発ファイル、そのはしがきにて
印
マゼランの潜在能力強化に用いられる。
氷雪に覆われた木の枝の化石。かつてはこの大地に天を貫くほどの巨大な樹が根を下ろしていたが、今となっては残されているのはこの短い枝のみ。昔々の物語をか細い声で伝えている。
指名券採用
彼女がボタンを押すと色々な事が起こるが、爆発だけはしないだろう。
ライン生命観測員・マゼラン、新たな冒険に向けて日々準備を怠らない。
紹介文
省略
登場ストーリー
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