推理小説家殺人事件(Q.E.D. 証明終了)

ページ名:推理小説家殺人事件

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更新日:2026/03/01 Sun 11:10:50NEW!
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3人しか知らない事故に見せかけたトリック…

それにそっくりな状況で東中さんは死んだ

そもそも これは事故なのか?殺人なのか?


殺人です




「推理小説家殺人事件」とは、Q.E.D. 証明終了のエピソードの一つ。単行本第33巻に収録。同時収録作は「パラドックスの部屋」。
以下、ネタバレにご注意ください。




【ストーリー】

人気推理小説家の東中和夫が自宅の浴室で溺死体で発見される。
警察は事件性はないと判断したがその数日後、同じく推理小説家である友人が水原警部を訪ねてきた。
彼が言うには以前、東中は新しく考えた「事故死に見せかける殺人トリック」を自分たちに明かしたのだが、東中の死はその状況とそっくりだったらしいのだ。
彼は本当に殺されたのか。そうならば犯人は何故そんなトリックを使ったのだろうか。





【事件関係者】


実はさ!
いい殺人方法を思いついたんだ

  • 東中和夫(ひがしなか かずお)

推理小説家。4人組の中で最も成功して恋人もいる勝ち組。
ただし彼の作風は残虐描写が売りでそれで世間に認められた節があり、推理小説のいわゆる本道という訳ではない。
図星だからか本人もその辺を指摘されるのは嫌いだったようだ。


自宅の風呂場で溺死していたのを恋人の森野により発見される。
側頭部にぶつけた跡が残っていた事から、警察は入浴中に立ち上がった時にふらついて壁に頭をぶつけて昏倒し、そのまま溺死したと判断した。
しかしその数日前に友人たちと居酒屋で飲んでいた時に語っていたトリックと今回の事故の状況が同じだったため他殺の可能性が浮上した。
他の登場人物にはキノコの名前が入っている事から名前の由来は恐らく冬虫夏草。



あのトリックを聞いたのはおれ達3人だけです
どう考えても疑われる

  • 榎木貞行(えのき さだゆき)

推理小説家。東中の友人。
1作目「緊張の夏」は賞も取り話題になったが、それ以降は鳴かず飛ばずのいわゆる「2作目が書けない」タイプ。
それ故に生活が苦しく東中からよく借金をしていた。
しかも借金を返してないうちからローンで新車を買っていたため、業を煮やした東中から「半年以内に返さないと裁判にかける」と言われていた。


東中の葬式で聞いた彼の死の状況が、自分たちに語ったトリックと似ていたらしい。
そこで2年前に警察の仕事を取材した時に知り合った水原警部を頼り、やましい事がないのを証明するつもりで水原家に"出頭"しに来た。
ただし借金の件については舞竹や締地が話すまでは黙っていた。それはやましいと言わんのか。
舞竹か締地、その2人でもないなら他の誰かが犯人であり自分は殺してない、と弁明する。



どう考えてもオレ達容疑者だよ
刑事さんは「事故かもしれない」って言ってくれたけど…

  • 舞竹敏広(まいたけ としひろ)

推理小説家。東中の友人。
活躍の場をラノベ界隈に移してそれなりに成功していたが、ネタが切れた時に東中の作品のトリックを盗用したことがある。
最終的に和解して今も問題なく活動しているが、それ以降も飲み会ではその事を何度となくいじられていた。
それでも自分が書いた小説について東中に意見を求めるなど本人曰くいい関係ではあったらしい。


彼もまた出頭してきた口で、榎木が水原家に来た翌日には彼も警察署にやって来ていた。
しかし締地が出頭していないと可奈から聞いて「あいつバカか!?疑われるぞ!?」と呆れていた。



え?オレだけが警察に行ってない?
じゃあ疑われてんだろうなァ…

  • 締地守(しめじ まもる)

推理小説家。東中の友人。
バリバリの本格志向で、他作品のトリックの荒唐無稽さや描写のリアリティの薄さをよく批評していた。
東中の作品も例外でなくこの2人は小説論ではソリが合わなかったそうだ。
ただ他人の批判ばかりしたせいでハードルを上げすぎてしまい、今度は自分が「バカにされるかも」と思って書けなくなってしまったそうだ。
「批判を恐れて何も書かない弱腰」「ブーメランが返って来たと考えれば当然の結果」
「他人が書いたら批判するような物を自分の時には平然と書くようなダブスタになるよりはマシ」など読者によって彼の評価は分かれるだろう。


榎木と舞竹のうち警察が行かなかった方が犯人と予想していたようだが、
2人とも警察に行ったと可奈に聞かされ、それならばトリックにたまたま似てしまっただけの事故だと結論付けていた。
ちなみに彼が出頭しなかったのは殺人とバラしてしまえば犯人に報復されると考えたかららしい。



  • 森野木乃子(もりの きのこ)

化粧品会社営業部。東中の恋人。
東中の公演をきっかけに知り合い1年ほど前から交際していた。
東中の遺体の第一発見者。
毎週土曜日に彼の自宅に通っていたのだが、彼はリビングにおらず電灯もつけっ放し。
取材旅行中かと思いメールの見落としがないか確認したがそれも無し。
そこへ浴室の電気がついているのに気づいて遺体を発見した。
死亡推定時刻の2日前から出張で都内を離れていたため容疑者から外されている。


また以前東中が誰かと言い争っているのを見た事があったらしい。
相手の顔は見てないようだが、内容が金銭がらみだった事から見るにおそらく榎木と考えられる。




…こいつの名前は燈馬想 私に数学を押しつける極悪人である
そして私 水原可奈は世界平和と数学の撲滅を願う正義の女子高生です
今 すごく業腹な人物紹介しませんでしたか?
被害妄想じゃない?

  • 燈馬想

この漫画の主人公兼ホームズ役。
警察署に行った時に遺体の足側を取った現場写真を1枚見ただけで、今回の事件を殺人と見抜く。


  • 水原可奈

この漫画のヒロイン兼ワトソン役。
自宅で燈馬に宿題を教わっていた時に出頭してきた榎木の話を聞き、その翌日には燈馬と共に水原警部に弁当を届けた時に舞竹も出頭していた事を知る。
その後違和感を感じていた燈馬の頼みで、森野を含めた4人にそれぞれ話を聞きに行った。




【キーワード】

  • トリック

事件の1週間前、居酒屋で東中が3人に語っていたというトリック。新聞を読んでいて新しく思いついたらしい。
殺したい相手の家の浴室の壁を調べておき、それと同じ素材のブロックで殴って気絶させたら風呂で溺死させれば事故死に見せかけられるというもの。
そのトリックを聞かされた時、締地は舞竹を「またパクるなよ」とからかいつつも、自分は素直に感心していた。
一方で榎木は「そのまま出て行けば家の鍵が開いたままだから他殺と疑われる」と欠点を指摘していた。
だが今回の事件ではドアも窓も施錠されていた上に、鍵はリビングのテーブルの上に置かれていた。


  • 現場写真

浴槽内の東中の遺体を撮影した警察の捜査資料。
水原警部に弁当を届ける可奈の付き添いで警察署に行った燈馬は、捜査一課でたまたまこの写真を目にした。
「子供が見る物じゃない」と即座に止められてしまったが、足側を写した写真に風呂の栓が写ってなかった事から燈馬は今回の事件を殺人と断定した。
(足側に栓がないという事は栓は尻側にあった事になるが、そうなるとわざわざ栓を尻に敷くおかしな入り方をしていた事になる。
風呂の蓋は足側にあるため倒れた時にたまたま逆向きになった可能性もない。
これは犯人が被害者を浴槽に沈めて溺死させる時に栓の存在を見落とし、間違えて逆向きに入れてしまったからである。)






犯人はこのトリックを使う理由のあった人物です

いいアイデアだったんだ…
面白いミステリーが書けるはずだったんだ…
オレ…自信あったんだ
舞竹敏広
東中を事故に見せかけて殺害した真犯人。


東中が語ったトリックは3人しか知らないためそのトリックを使えば警察に疑われるはずである。
それでもなお、「警察は事故死と断定する」と思うだけの自信を舞竹は持っていた。
しかし他人の考えたアイデアをここまで信用するなど普通は無理である。
ではこのトリックに対する絶対的な自信と執着心が意味するものは何か…


そう、このトリックを本当に考えたのは舞竹だったのだ。東中は舞竹から聞かされたトリックを自分が考えたかのように2人にバラしたのである。
しかし舞竹は黙らざるを得なかった。何故なら"前科"のある彼が「自分のアイデアだ」と言えばこう言い返されるからである。「またパクる気か?」と。
だから自分が考えた渾身のトリックを同業者である友人たちにバラされながらも、それを自分のトリックだと言い出せなかったのだ。
そしてその恨みが動機に繋がったのである。


燈馬が彼を怪しんだきっかけは主張と言動のちぐはぐさ。
今回の犯人は事故死と断定させる事を前提としているため、一貫して他殺説を主張し続けた榎木はまず容疑から外れる。
また締地は「2人のうち出頭しなかった奴が犯人、2人とも出頭したら事故」と主張していたが、彼が犯人なら2人とも出頭するのは最初から充分予想できる。
ならば有りもしない報復を恐れて出頭しなかったと言い訳するよりも、自分も出頭した上で自説を主張した方が合理的である。
では舞竹はどうか。彼は榎木と同様出頭したが、締地が警察に行ってないと可奈から聞いた時に彼を疑わずにむしろ呆れていた。
だがもし本当に他殺と思っているのならば、動機を持ちつつ出頭もしていない締地を疑っていないのは何故なのか。
締地を犯人でないと確信していた理由、それは自分こそが犯人だからである。
因みに締地が出頭していない事を可奈は舞竹にしか話していなかったが、他殺説を取る榎木に話していれば彼は即座に締地を疑っただろう。
そうなれば他殺説を取っているはずなのに締地を疑っていない舞竹の不自然さはより強いものとなっていただろう。


「殺人の動機になるぐらいこのトリックに思い入れがあるならば、自宅のパソコンにもデータが残っているだろう」と証拠を隠滅していない事を燈馬に言い当てられ、
項垂れて泣きながら無念を口にしつつ、自らの罪を認めたのだった。



  • 森野木乃子

リビングの電気が昼間なのにつけっ放しだったとはいえ、何故彼女は東中が「他の部屋にいるか、ちょっと出かけているだけ」とは思わずに、取材旅行か何かで長く留守にしていると思ったのか。
それは玄関のドアの所に新聞が数日分溜まっていたからである。
舞竹はそれを利用して家を密室にしたのだ。
事件の夜、彼はトリック通り浴室の壁と同じ素材のブロックで東中を殴って気絶させ、浴槽に沈めて殺害。
洗面所にタオルや下着を置くなど事故死に見せかける偽装を施し、自分がトリックについて東中に相談していた手紙を回収した上で外に出て鍵をかけ非常階段である物を待った。
それは配達される新聞。舞竹はその新聞の中に鍵を忍び込ませてからその場を立ち去ったのだ。
そして土曜日、森野は溜まった新聞を手に中へと入り、テーブルの上に新聞が置かれた時に鍵はテーブルの上に転がり出て、密室は完成したのである。


因みにナレーションによると榎木が水原家を訪れたのは犯行の4日後だが、そこで彼は事件の日(=遺体が発見された土曜日)を「3日前」と言っている。
つまり犯行から遺体発見まで1日程度しか経っていない。しかし回想では森野が来た時に新聞は4部も溜まっていた。
一応犯行日を木曜の深夜とすれば、鍵を突っ込んだ金曜分と森野の来る土曜分の2日分にはなるが、それでも2社と契約してる事になる。
ネタ集めのためかもしれないが結構なセレブである。



  • 東中和夫

上記の通り、彼が居酒屋で語ったトリックは実は舞竹が考えた物であった。
ただし元を辿れば、そもそも東中は舞竹にトリックをパクられた経験がある。
彼もまた「自分の作品を未読の読者」にトリックをバラされてしまっているのだ。
未発表のトリックをバラされたがその相手は同業者の友人2人である舞竹と、自分の作品を未読の大勢の読者にトリックをバラされたがそのトリックは既に発表済の物である東中。
どちらの方がショックが大きいと言い切れるものではないが、少なくとも舞竹に一方的に恨まれる筋合いはないだろう。
何より舞竹に殺されてしまったため、彼が本当にトリックを乗っ取るつもりだったのか、それとも舞竹のアイデアだと後から2人に説明するつもりだったのか、はもう分らなくなってしまった。
(一応、燈馬は冗談半分だったと推測している)


普段の素行についても、「作風について指摘されるのが嫌い」というのはやや大人気ないが、それ以外ではそこまで問題のある行為は見られない。
締地とは喧嘩ばかりしてたそうだが、締地本人曰く「自分が喧嘩してたのは東中だけじゃないし、そいつらみんな殺したら死体の山ができる」との事なので、喧嘩はむしろ通常運転だったようである。
榎木に至っては新車のローンの件を知ってからも訴えるまでにあと半年も待ってくれているのである。
そう考えると、割と気の毒な被害者と言えるだろう。




以上……証明終了です。

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