登録日:2016/12/01 (木) 18:59:00
更新日:2026/03/07 Sat 21:26:11NEW!
所要時間:約 7 分で読めます
▽タグ一覧
サザエさん サザエさんエピソード項目 1つの時代の終焉 ある意味最終回 その時歴史が動いた アニメ史に残る回 サインポール ネジリン棒 ノリスケ無双 床屋 意味がわかると泣ける話 散りゆく者への子守唄 散髪屋 理髪店 終焉 雪室俊一 音羽さん
「まわれネジリン棒」とは、2013年9月29日放送の『サザエさん』のCパートで放送された話である。作品Noは7008。脚本は雪室俊一。
いつもながら7分間とは思えないほど起伏に富んだ話で、雪室ワールド全開ながらも、基本的にはいつものサザエさんのノリの話である。
が、ある理由により、日本アニメ史上極めて重要な位置を占める回である。
ちなみにタイトルの「ネジリン棒」とは床屋の店先にあるサインポールのこと。これが物語のキーとなる。
あらすじ
髪が伸び散らかしてきたため床屋に行くことにしたカツオ。
しかし近場の床屋は臨時休業だったり喧嘩中の奴がいたりしたため、わざわざバスに乗って隣町にまで行くことに(この導入部は原作ネタ)。
帰宅したカツオはサザエやフネから金の無駄遣いだと責められるが(磯野家は基本的に十円単位の金銭に大しても容赦ない統制主義である)、刈り具合を見た波平は「腕のいい床屋じゃないか」と絶賛。
今度ワシも連れて行ってくれとカツオに頼む。
次の休日、カツオは波平と一緒にその店を訪れる。
路地裏にある人目につかない店で、カツオもバスがたまたま渋滞してここで降りたたため偶然発見したのだった。
そこの下唇が特徴的な店主の音羽さんは、「今日は誰も来ないかと思ってました」と、一見さんに向かってぶっちゃける。
ここのところ若い人は美容院に行ってしまうため、商売あがったりだと嘆く音羽さん。
さらには店先のサインポールの調子が悪いため、この際もしサインポールが完全に故障したら廃業するつもりだと告げる。
なおカツオのことは覚えており、(波平が父親とは知らずに)「先日来た小学生の男の子は、とってもハキハキして礼儀正しくて感心しました」と褒める。
息子を褒められてご満悦の波平であったが、実は音羽さんに散髪代をサービスしてもらったこともバレてしまう。
怒られるかと思ったカツオであったが、波平は「このことは三人だけの秘密だ」とニッコリ。
カツオに続いて波平が絶賛するのを見たタラちゃんも行きたがり、サザエに連れられて来訪する。
一方、カツオは浮いた散髪代で喫茶店で波平にコーヒーを奢るという粋な真似を見せる。
しかしそこで音羽さんに偶然会い、「ついにサインポールが壊れたので廃業する」という言葉を聞く。
カツオと波平は残念がるが、その後、その情報を知らないご存じハイエナノリスケが評判を聞きつけてマスオと一緒に来店。
店は当然閉まっているのだが、気が収まらないノリスケ。「動けばいいんだろ!!」とばかりに、
なんとサインポールに全力タックル。
一歩間違えば全壊ものだが、打ちどころが良かったのか、サインポールは息を吹き返し再び周り始める。
それを見たノリスケ、店の前に立って
「たのもー!!」
いやアンタ何しに来たんだよ。
中から困惑顔で出てくる音羽さん。
「もう閉店しまして……」と説明するが、「ネジリン棒はまだ動いてますよ」と指摘されてびっくり。
唖然とした音羽さんに対して、「大人二人お願いします」と、マスオとノリスケが頭を下げるというオチであった。
……と、ここまで見ると、波平が珍しく優しいとか、音羽さんの顔のインパクトとか、ノリスケ自由過ぎとかいう雪室回らしい要素はあるものの、
基本的には普段のサザエさんの回と変わらないと思われるだろう。
だがこの話、実は日本史上最後のセルアニメ、すなわち日本の通常放送アニメにおいて、彩色が手塗り・完成画が撮影台*1で仕上げられたセル画で描かれた最後の話なのである。
日本のセルアニメの歴史は、1927年に作成された大藤信郎の「鯨」まで遡る。
戦時中の1943年に政岡賢三によって製作されたアニメーション映画「蜘蛛とチューリップ」は日本初のフルセルアニメーションと言われる。
日本初の本格的テレビアニメであった1963年の「鉄腕アトム」ももちろんセルアニメ。
これ以降、日本のアニメの歴史はセルアニメの歴史であった。
しかし時代と共にデジタルアニメの技術が発達。
90年代末から2000年代初頭にかけて多くのアニメがセルからデジタルに切り替わる。
長寿アニメも、ちびまる子ちゃんが1999年、それいけ!アンパンマンが2000年、クレヨンしんちゃん・ドラえもん・ポケットモンスター・名探偵コナンが2002年にデジタルに移行。
2007年の時点で、すでにセルアニメは「サザエさん」しか残っていなかった。
そして2013年9月29日をもって、サザエさんも完全にデジタルに移行。
これにより、鉄腕アトム以来続いてきたセル画によるテレビアニメーションの時代は終焉を迎えた。
今後も本格的にセル画技法が復活するということは考えにくく、本話は実質日本史上最後のセルアニメとなる可能性が高い。
上記の事情を知ったうえで見てみると、ストーリーも「1つの時代の終焉、去りゆく者への哀歌」というテーマに沿って作られているようにも見える。
しかしラストは、KYなノリスケの力技によって、時を止めた筈の床屋が再び動き出すというシーンになっている。
深読みすれば、ここからは「セルアニメという時代は終わっても、サザエさんという番組、ひいては日本のアニメーションの歴史はまだまだ終わらない」というメッセージを読み取ることも可能かもしれない。
ちなみに、この日のAパート「雨の夜の忘れもの」(雪室俊一)は、タラちゃんがひょんなことから忘れた手に入れた誰のだかわからない野球のボールを、
ノリスケが「これは大リーグの名選手ジョニー・バークリーのサインボールで、一千万の価値がある」などと口から出まかせをを言い、磯野家を振り回した挙句
バレて波平に雷を落とされて、毎度お馴染み出入り禁止処分を受けるという、これまた雪室脚本っぽい話。
Bパート「男にまかせていられない」(城山昇)は男たちが家事に奮起するも失敗ばかり、という城山脚本っぽい話であった。*2
すなわち日本のセルアニメ史上最後の回は、ノリスケの駄法螺で始まり、ノリスケのタックルで終わったということになる。
主な登場人物
- 磯野カツオ
磯野家と音羽さんの接点を作ったキャラ。
彼がたまたま隣町まで行かなければ、音羽さんはそのまま引退していたかもしれない。
音羽さんの腕前を絶賛。
カツオが散髪代をごまかしたことは咎めなかった。
普段は金銭面や隠し事に対しては厳しく、2016年11月20日に放送された「カツオとノリスケ」などでは、カツオがポケットに入れていた600円の出所を言わないという理由だけで、
全額没収、さらには白状するまで夕飯禁止という下手したら虐待レベルの対応まで行っているのだが。
今回はおそらくカツオを褒められて喜んだことに加え、経営が苦しいのにカツオの料金をサービスしてくれた音羽さんに対して感謝の念があったからだろう。
- 波野ノリスケ
毎度おなじみゴーイングマイウェイハイエナ。
結果的にはよかったものの、店先の備品に全力タックルというのは傍から見たら完全にヤバい人である。
「たのもー!!」ってのも……
- 音羽さん
穴子さんの上唇と下唇を交換して全体に薄くしたような顔をしている。
ラスト、閉店を決めた後で強引にやってこられても却って困るだろうと思えなくもないが、きっちり仕事着を着ていたところから見ると、
かなり閉店には未練があったのだろう。
追記・修正は壊れたネジリン棒を手を触れずに修理してからお願いします。
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
- 手描きアニメが終焉を迎えた時か・・・・アニメーター的には楽になるものの色々寂しいものがあるよね・・・・ -- 名無しさん (2016-12-01 21:17:30)
- 撮影がデジタルになっただけで原画は手描きだぞ。こういう勘違いしてる人って多いのよね -- 名無しさん (2016-12-02 00:57:48)
- 今でも次回のサブタイトルが出てきてる場面だけセル画っぽいよね -- 名無しさん (2016-12-02 18:23:19)
- ノリスケに始まり、ノリスケに終わる -- 名無しさん (2016-12-07 08:12:37)
- 知るかぁ? -- 名無しさん (2018-02-22 08:44:27)
- ゼロ年代の話かと思った。2013年までセルアニメがあったことのほうがビックリだ -- 名無しさん (2018-10-05 09:35:34)
#comment()
*2 余談ながら、Aパートでは波平の「お前は当分出入り禁止だ!!」、Cパートではマスオの「一味違いますね」というセリフが聞け、「父さん発明の母」のファンならニヤリとできる

コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧