ちぢむ!!(ブラック・ジャック)

ページ名:ちぢむ

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更新日:2026/03/06 Fri 17:08:07NEW!
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ブラック・ジャック 手塚治虫 鬱回 どろろ ちぢむ!! 医者はなんのためにあるんだ


「ちぢむ!!」とは、『ブラック・ジャック』第51話のエピソードである。
コミックス6巻、文庫3巻に収録。
手塚治虫特有のスターシステムにより「どろろ」から寿海が登場。


「医者はなんのためにあるんだ」という作品中一二を争う重い結末と名言から非常に人気の高いエピソードである。



かつての恩師、戸隠先生から呼び出されたBJは戸隠の助手に連れられアフリカの奥地へ。


倒れ伏す村人達を見たBJは「噂には聞いたが、ひどいもんですねえ」と呟く。
ここでは大飢饉で毎日三千人もの人間が死んで行くという。


研究所に着いたBJを戸隠はまず一休みしてくれと出迎えるが、すぐ話を伺いたいと答えるBJ。


研究所の一室で、小さな箱を見せる戸隠。
そこに入っていたのはBJの手よりも小さい二つの生首だった。


「フーン…見るのは初めてです、ここらの風習で作るいわゆる「干し首」でしょう?」


驚きもせず、冷静に答えるBJ。


戸隠は次に剥製を見せた。何の剥製だと思う?という戸隠の問いにBJは山猫の剥製でしょう、と答える。


「レッキとしたライオンじゃ」



驚愕するBJ。最初は発育異常だと思ったと言う戸隠。


この木彫りの熊のように小さなライオンも、二つの生首も、組織萎縮症、体が縮んでいく病気の一種に犯されたものの成れの果てなのだ。
その上この病気は感染する。始めは動物だけだったが人間にも感染し始め、多くの村で患者が出た。


戸隠は必死に治療法を探した。しかしその戸隠までもが病気に感染してしまった。



BJはふと、戸隠の身体が小さくなっている事に気づいた。


「この一週間わしの背たけはどんどん縮んでいくんじゃ。ある程度…そうだ、二分の一か三分の一くらい縮むと死ぬらしい」


わざわざグラフで説明してくれる戸隠。
死期を悟り、自分の力ではこの病気を治す事はできないと知った戸隠は自分の代わりに奇病の治療法を解明するため自身の優秀な教え子であるBJを呼んだのだ。


「どうして世界中に発表なさらないんです!?」


「発表などしてみろ、世界中は恐怖に巻き込まれるぞ、恐らく恐慌が起こるだろう」


「たのむ、せめてわしのそばにいてこの病気の治し方を調べてくれ!たのむ……」


「せっかくですが先生…私は医者で学者じゃないのでして…それは無理です」


「ブラック・ジャックくん!」


「この病気の正体を知ることは人類を、いや地球の生物を救う事になるんだぞ!ほっとけば世界中が滅亡してしまうぞっ」
しかし「私には研究ってやつは興味がないのです」とBJは去ろうとする。


二十万ドル、三千万円で引き受けると言うBJ。


「き、きみはわしにも金をふっかけるのか……う、うわさどおりの男だな」


「そうです、先生から病気が移る危険もありますのでね」


ニヤリと微笑み、立ち去るBJ。しかし戸隠はBJは既に奇病に感染していると告げる。この奇病は毛から空気感染する。BJもまた、小さなライオンに手を触れた時感染していたのだ。


「この病気の潜伏期は一ヶ月!一ヶ月たって君は身体が縮んでいく、その時はもう遅い!移ってなければおなぐさみじゃ」


自分が感染してしまった以上、残された道は自ら治療法を見つけ出すしか無い。BJは戸隠の依頼を引き受けた。



診療と研究を始めて5日、その間に戸隠の身体は30センチも縮んでいた。組織検査、レントゲン、どう調べてもその正体は掴めない。


「これは病気じゃない……何か別の原因です、細胞の一つ一つは原型のまま縮んでいるのですよ!しかも古い細胞が新しくなって……」


手がかりを探し、ジープを走らせるBJ。
こんな所逃げ出したいと愚痴をこぼす助手。
感染したサイを調べようとしたが、怒ったサイは助手の腹を突く。
感染したと思い込みパニックに陥る助手。


「先生、逃げましょう!我慢できませんっ、このままジープで町へ……」


「だめだよ」


「じゃあこの車をよこせっ おれは逃げたいっ」


BJに銃口を向ける助手。BJは拳銃を叩き落とす。


「三千万円の仕事だ最後まで私は逃げんぞ、いったん約束したら必ずやりとげるのが私の信条だ…!」


「……その前にあなたが縮んで死んでしまっても知らないぞ……」



そして7日目、恐怖で助手は逃げ出した。


BJの手に握られた小さな象、これも感染し縮んで死んだ大人の象だった。


「ゾウ思う?」


「ゾウもこうもないですな」



それから数日、近くの黒人の村が全滅した。
死体はたった三十センチにまで縮んでいた。
病気が広がるのは決まって飢饉の酷い所、BJにわかったのはたったそれだけだった。


「何もかも縮んでいく なぜだ!!わけがわからない!恐ろしい!逃げ出したい!このアフリカの奥地にいったいどんな死に神が潜んでいるのだ!!」



BJには、ただ恐怖に怯えるしかなかった。
BJは戸隠の手術を開始した。戸隠はすでに子供のように小さくなっていた。
失敗は許されない、どんなことをしても治すのだと決意するBJ。



しかし手術は失敗に終わった。二回目の手術さえも。


そしてとうとう戸隠の身体は赤ん坊ほどのサイズに縮んでしまい、昏睡状態に陥ってしまった。


午後になってフッと意識を取り戻した戸隠はBJに語りかける。


「きみ……なぜ飢饉の地域に限ってこの症状が起こるか考えてみたかね」


「いいえ」


「野ネズミは餌が不足してくると、生まれる子は小さくて生き延びるのも少ないじゃろう」


「しかしそれは病気じゃないです 自然現象です」


万策尽きたとばかりに頭を抱えるBJ。


「自然の仕組みなんじゃ。それと同じなんじゃアないかとね」


「原因もわからない、身体にも異常がない、それなのに死んでいくんだ、なんともないのに死ぬのを………先生は自然の仕組みとかたづけられるのですか?それじゃ解決になりませんっ」



「ヒントをくれっ ヒント!ヒント!ヒントだ おれにヒントをくれたやつには三千万円どころか一億円くれてやるぞ」


追い詰められ汗をかき、苛立つBJ。そして彼はあることに気づく。


「待てよ もし動物の間に病気がはびこるならもっと大群が死んでいいはずだ ほかが健康なわけはなぜだろう?」


「ウーム 動物は何かで予防してるんだな」


「なぜそこに気づかなかったのだろう」


予防策を探しジープを走らせるBJ。


「おい……教えてくれ、お前はなぜ健康なんだい?わけを教えてくれよ」


動物と言葉が通じる筈もない。
だが、BJはついに最後のヒントを掴んだ。草食動物であるゼブラが、病気で死んだ仲間の死体を貪り食っていたのだ。


「もしかしたら病死した組織の毒素から免疫を取ることを本能的に知ってるのでは……?そうか、わかったぞ!」


「血清だ!免疫血清を作るのだーっ」


大急ぎで研究所に戻り、作った血清を注射しようとするBJ。だが戸隠はそれを拒否した。


「も もう無駄だろうブラック・ジャックくん…………わしは………死は もうか 覚悟しとるよ」


「先生っ!私は先生を助けたいのですっ」


「わ わ わしが死んだらわしの血清で免疫血清を作ってくれ、君が一番に注射するがいい、君はそれで死ななくてもすむのだ」


「先生ーっ!!ここまで頑張って突き止めようとしたのですっ、私は敗北はしたくないっ、いま少し時間をっ!」


焦りと恐怖を表すかのように、ブラックジャックの姿が怒り狂うヒョウタンツギに変わる。


「ブラック・ジャックくん、もうよい」


「この病気にはもともと正体などなかったのだよ……もし何のせいだというのなら――これは……神の…警告だ…」


「神ですって」


「ブラック・ジャックくん、わしには神さまのおぼしめしが見えるようだ……この飢饉の中でい 生き物が小さくなくなるということは……限られたこの この地球の食糧を生き物全部に…わ わかち合うには…体を縮小しなければだめだという意味…かも……」


戸隠はそのまま静かに息を引き取っていった。


その人形のように小さな遺体を抱え、夜空に吠えるBJ。


「神様とやら! あなたは残酷だぞ」


「医者は人間の病気を治して命を助ける!その結果世界中に人間がバクハツ的に増え、食糧危機がきて何億人も飢えて死んでいく………そいつがあなたのおぼしめしなら………」



医 者 は な ん の た め に あ る ん だ ! !




星空は何も答えない。彼の腕の中の戸隠もまた、答えない。夜空にこだまするブラックジャックの叫びに、誰も答える者はなかった。



追記修正は30センチほどに縮む前にお願いします。

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