登録日:2021/03/12 Fri 17:08:00
更新日:2024/05/27 Mon 09:24:08NEW!
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愛する人へ送る、最後の手紙
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、京都アニメーション制作の劇場アニメ作品。
TVアニメ版の続編であり、物語を締めくくる完結編でもある。
概要
TVアニメ版の完結編として2020年1月10日に世界同時公開予定と発表されたが、
2019年7月に発生した京アニ放火事件による制作上の困難、さらには新型コロナウイルス流行による外出自粛延期を受けて公開延期が続き、先が危ぶまれたが、
2020年6月、再放送されていたアニメ最終回の本編終了後のCMにて本予告動画が解禁。同年9月18日に公開予定と発表され、無事予定通りに公開された。
いざ公開されると、あの災禍の前に劣らない安定の京アニクオリティな神作画や、やや賛否あるものの感動的なストーリーなどから大好評となった*1。
メディアには少年誌原作で子どもからの人気も高い同時期に公開されたこの作品が主に取り上げられたため、一般への知名度では幾分差があったものの、
映画ランキングでは無限列車編と並んでこちらもトップ10をしばらくキープ。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』という作品を、京都アニメーションの作品をどれだけの人が愛して待ち望んでいたかがうかがえるだろう。
その内容が評価され、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞や第24回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞等を受賞している。
あらすじ
人々に深い傷を負わせた戦争が終結して数年。
新しい技術の開発によって生活は変わり、人々は前を向いて進んでいこうとしていた。
しかし、ヴァイオレットはどこかでギルベルトが生きていることを信じ、ただ彼を想う日々を過ごす。
──親愛なるギルベルト少佐。また今日も少佐のことを思い出してしまいました。
ヴァイオレットの強い願いは、静かに夜の闇に溶けていく。
ギルベルトの母親の月命日に、
ヴァイオレットは彼の代わりを担うかのように花を手向けていた。
ある日、彼の兄・ディートフリート大佐と鉢合わせる。
ディートフリートは、ギルベルトのことはもう忘れるべきだと訴えるが、
ヴァイオレットはまっすぐ答えるだけだった。「忘れることは、できません」と。
そんな折、ヴァイオレットへ依頼の電話がかかってくる。依頼人はユリスという少年。
一方、郵便社の倉庫で一通の宛先不明の手紙が見つかり……。
(公式サイトより引用)
登場人物
※この先、ネタバレが多く含まれます
C.H郵便社
[[ヴァイオレット・エヴァーガーデン>ヴァイオレット・エヴァーガーデン(キャラクター)]]
ご存知主人公。
アニメ版終了後からドールとして更に大きく成長し、3か月先まで予約が埋まるほどの人気ドールとなった。
その一方で、未だギルベルトの生存を信じ、再会を望んでいて、彼のことを思い出すたびにひとり彼への手紙を書いている。
本作では(・ω・)bグッをやったり(ただし真顔)、ギルベルトを訪問するにあたってカチコチに緊張したり、冗談を言ったりと昔からは考えられないほど人間味を帯びてきた彼女を拝むことができる*2。
アニメ版第1話ではからっきしだったテーブルマナーもバッチリ。
その後
最後にはギルベルトと再会を果たし、溜まっていた仕事をすべて片付けてC.H郵便社を退職、そのままエカルテ島に移住した。そして島の郵便局の代筆者として生涯を全うしたと語られている。また、彼女の死後にはその功績をたたえて記念切手が発行されている。
入場者特典第2弾の短編小説において本作の後日談が語られているのだが、なんとギルベルトと結婚したようだ。
クラウディア・ホッジンズ
C.H郵便社の社長。
ヴァイオレットに娘のような感情を抱いている節があり、ディートフリートと接触した彼女の身を案じたり、
ヴァイオレットの気持ちを考えず彼女と向かい合おうとしないギルベルトに啖呵を切ったりと、心からヴァイオレットを大切に思っている描写が目立つ。
…やや過保護っぽさもあるが。
カトレア・ボードレール
C.H郵便社1番人気のベテランドール。
ヴァイオレットのことについて悩むクラウディアに的確な助言をしたり、ギルベルトへの想いを抱え続けるヴァイオレットのことを案じたりと、本作ではよき先輩、アドバイザーとしての立ち回りが多い。
ベネディクト・ブルー
C.H郵便社の配達員。
クラウディアとテニスに興じたり、郵便局を訪れたディートフリートにこっそりあかんべーをしたりと、なかなか愉快なキャラとなっている。
終盤では後述のヴァイオレットの依頼人のために大立ち回りを見せる。
アイリス・カナリー
C.H郵便社3番人気のドール。
電話の普及によってドールの仕事がなくなることを懸念しており、作中でもたびたび文句を言っている。
電話の顧客対応の態度がめちゃくちゃ悪く、現代だったらクレームもの。
…なのだが、そんな「いけすかない機械」も手紙と同じように人の想いを届けることができるということを彼女は知ることとなる。
エリカ・ブラウン
C.H郵便社の元ドール。
現在は小説家になる夢を叶えるためアニメ本編でも登場した劇作家オスカーに弟子入りしているため、本作にはほとんど登場しない。
オスカーの仕事を手伝いながらも、小規模の芝居の脚本を書くなど、夢に向かって少しずつ歩んでいるようだ。
ブーケンビリア家
ギルベルト・ブーケンビリア
ヴァイオレットが想い続ける少佐その人。おそらくアニメ版からイメージが激変した人*3。
アニメ版では死亡したものとして扱われていたが、本作で右目と右腕こそ失ってはいたものの生存が確認された。
現在は一切の過去を捨て「ジルベール」を名乗り、かつての敵領地であるエカルテ島にて、島民の生活を支えつつ島の学校の教師として生活している。
ちなみに左利きであるらしく回想シーンにて左で文字を書いてる描写がある。
ヴァイオレットを結局「兵器」として扱ってしまったことを悔いており、自分は彼女と接する資格はないと思っているようだが…。
ディートフリート・ブーケンビリア
ギルベルトの兄。アニメ版から評価が爆上がりした人。
相変わらず郵便社の面々からは警戒されているが、ヴァイオレットが落としたヘアリボンを届けに来たり、ギルベルトの幼少期の思い出の品を渡すといったりと、本作ではヴァイオレットに対する態度がずいぶん軟化している。
なにかと言葉足らずだったり、ギルベルトのことは忘れるべきと言いながらちっとも忘れられてなかったりと、ヴァイオレットとは案外似たりよったりである。
終盤では弟であるギルベルトを叱咤し、彼の背中を押す役目を担った。ある意味本作最大の功労者である。
その他
ユリス(CV:水橋かおり)
本作の依頼人にして涙腺破壊兵器。
病気で長期間入院している少年。自分の身を案じてくれる家族や親友のリュカに素直になれないお年頃。
だが、本当はそんな自分をもどかしく思っている。
両親は交渉人やその真ヒロイン兼先輩病…ではない。
▷依頼内容
自分に残された時間がわずかだと知り、手紙で自分の本当の想いを家族やリュカに伝えるため、ヴァイオレットに代筆を依頼。
「口には出せない想いも、手紙なら伝えられる」というヴァイオレットの言葉を信じ、ヴァイオレットと共に両親、弟、リュカへ宛てた4通の手紙を書きあげた。
しかし、病魔は確実に彼の身を蝕んでおり…。
リュカ(CV:佐藤利奈)
ユリスの親友。ユリスが入院する前はよく一緒に遊んでいた。
ユリスに「もう会わない」と拒絶された後も彼を心配して毎日病院を訪れ、外から様子をうかがっている。間違っても新しい火星のクーデレヒロインではない。
デイジー・マグノリア(CV:諸星すみれ)
神回と名高いTVアニメ第10話に登場したアン・マグノリアの孫。
本作はアンが亡くなった後のマグノリア邸に佇むデイジーの姿から始まる。
祖母とは仲が良かったらしく、両親が仕事に追われて彼女の死に際にも立ち会えなかったことを非難するが、医療従事者である両親の仕事の大変さや彼らが祖母を大切に思っていたことも理解しており、素直になれずに刺々しい対応をしてしまう自分に自己嫌悪している。
祖母の遺品を整理する中で大切に保管されていた古い手紙を見つけ、自動手記人形の存在を初めて知る。
50年以上という時を経た彼女の時代には自動手記人形という職は技術の発展とともに廃れており、既に過去のものとなっていたのだ。
祖母のために多くの手紙を代筆したヴァイオレット・エヴァーガーデンがどういう人物だったのかを知ろうと、ライデンを訪れる。
歴史を辿るデイジーの旅と、テレビ・配信版及び外伝映画の後のヴァイオレットの行動、2つの時間軸を行き来する形で物語は進んでいく。
音楽
「みちしるべ」
テレビ・配信版のエンディングテーマ。第10話の放映版では本編映像に重ねる特殊エンディングの形で間奏から2番以降が流れた。
この劇場版では挿入歌の形で使用。劇中の使用場面に合わせて尺を整えつつ壮大な形になるようアレンジが施されている。
「WILL」
「未来のひとへ ~Orchestra ver.~」
どちらもTRUEが歌う本作のエンディングテーマ。
石立監督としてはテレビ版放映後にイメージソングとして作られた「未来のひとへ」をそのまま映画のエンディングに使うつもりであったが、
TRUE側は「監督の言葉は嬉しいけど、これはあくまでテレビ版用に作った曲なので劇場版には新しい歌を作りたい」と答え、
両者の意見を合わせた結果、新曲「WILL」が作られた上でエンドロールの中で2曲続けて流す形にしたという。
余談
公開初期には入場者特典として原作者の暁佳奈氏による書き下ろし短編小説が配布された。
アニメではあまり語られなかったベネディクトの物語や、「もしディートフリートがヴァイオレットを捨てずに自ら育て上げたら」というifの物語などが書かれており、ファン必見である。
3種からランダム配布だったため、コンプするために何回も劇場に足を運んだというファンも多い。
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▷ コメント欄
- どちらかというと原作小説派だけど、こちらのアニメ版軸の締めもすっごく良かった……ブルーレイはいつ発売になるかな? -- 名無しさん (2021-03-12 18:07:31)
- 終盤の「皆傷ついた」って台詞は今まで罪悪感で苦しんでたヴァイオレットと少佐を赦す台詞だよね -- 名無しさん (2021-03-12 18:49:44)
- 兄貴と社長がすごくカッコよかった。DVDやらが出たらまた見たいなぁ。。。 -- 名無しさん (2021-03-12 21:31:03)
- 兄貴はあの後灯台に泊まったのだろうか。 -- 名無しさん (2021-03-12 22:03:37)
- 良かったけど、ギルベルトが死んだ状態で続編作って物語をどう締めるのかのストーリー構成に興味があったのでその意味ではがっかり感もあった。
まあTV版で「遺体が見つかった」とは一言も言ってなかったから冷静に考えれば生存可能性はあったし、吉田玲子氏の「続編作るならこのエンドしか思いつかなかった」とのコメントから考えるにTV版制作の段階から生存と決めてたわけではなさそうだけど。 -- 名無しさん (2021-03-12 23:22:14) - 映像作品で泣くことなんかほぼ無いのにユリスの最期には大泣きしたなぁ -- 名無しさん (2021-03-12 23:30:59)
- ヴァイオレットは現代パートでも健在なら、80歳前後じゃないかって考察もあるよね… -- 名無しさん (2021-03-13 07:17:49)
- 愛娘を嫁に出す父の様な心境だからこそ、俺は劇中の社長と感情がシンクロしちまった。そりゃ馬鹿野郎ぐらいは言いたいよ -- 名無し (2021-03-13 21:12:22)
- 何千万部も売れてる人気漫画の劇場版でも10億20億はいかないこともあるし凄いわな -- 名無しさん (2021-03-13 21:22:14)
- ヴァイオレットの記事なのに鬼滅推しだな -- 名無しさん (2021-03-13 21:56:09)
- ↑興行収入とメディア露出の話があったので鬼滅側の収入とかを自分が書き足した。同時期公開の作品として比較するのが無理筋とは思わないし、鬼滅を特別推したつもりはない。 -- 名無しさん (2021-03-13 22:45:08)
- ↑同時期の映画ならFateHF3章があるけど、比較対象にするなら知名度からして鬼滅のほうが分かりやすくっていいと思います -- 名無しさん (2021-03-13 23:46:24)
- 鬼滅関連の話題まるっといらないくないかな?わざわざ書く必要を感じない。数字や受賞歴なら単にそれを書けばいいだけで比較する意味ないし。書いた人にそんなつもりはないんだろうけど、「鬼滅はもっとすごい」「ヴァイオレットは鬼滅に及ばない」みたいな意味に見える。鬼滅ファンの自分がそう思うんだから、ヴァイオレットファンの方はなおさらだと思う。 -- 名無しさん (2021-03-14 16:32:59)
- 原作厨だけどギル坊が女々しすぎたなあって感じがした -- 名無しさん (2021-03-14 16:55:15)
- ↑2 自分がターゲット層が違うからと割り切れるので気にせず書いちゃいましたがそうもいかないか。もう一つ比較用に書き足したガルパン劇場版の話も邪魔ですかね? -- 名無しさん (2021-03-14 17:02:37)
- ↑個人的にはいらないと思う。自分がガルパンは人気作品だったくらいしか知らないからかもしれないけど、比較対象として出されても「ふーん」としか思えない -- 名無しさん (2021-03-14 20:16:47)
- ヴァイオレット「これ(帽子)ももらってもいいでしょうか?ドキドキ」大佐「あ、それ俺の」ヴァイオレット「失礼しました(スン」笑ったw -- 名無しさん (2022-07-20 01:36:58)
- 本作はNetflixにて全世界独占配信中ですよ。 -- 名無しさん (2022-09-24 19:29:52)
#comment(striction)
*2 これはキャストインタビューでも触れられており、今までとは違ったより人間らしい心の揺らぎを見せる演技を心掛けたらしい。
*3 アニメ版のヴァイオレットの思い出の中のギルベルトは補正がかかって美化されているのに対し、本作では実際登場させるにあたってより人間臭さや情けなさを強調したという。
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