登録日:2022/07/19 Tue 22:31:57
更新日:2024/06/24 Mon 13:07:26NEW!
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暁佳奈 小説家 作家 ライトノベル 北海道 ヴァイオレット・エヴァーガーデン ソードアート・オンライン kaエスマ文庫 電撃文庫 春夏秋冬代行者
経歴
第5回京都アニメーション大賞小説部門において史上初(そして2022年時点で唯一)の大賞を受賞した『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』で2015年に作家デビュー。
同作は2018年にアニメ化され、劇場映画まで製作される京都アニメーションの代表作に。原作小説もおよそ5年かけて完結を迎える。
2020年にはゲーム作品『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』の配信分シナリオを手掛け、
その縁もあって2021年に電撃文庫より第2作『春夏秋冬代行者』シリーズの展開を開始。
同作で『このライトノベルがすごい!2022』(宝島社)の新作部門第1位に選ばれた。
2023年には同年発売予定のゲーム作品『ソードアート・オンライン ラスト リコレクション』の本編シナリオを担当することが報じられた。
人物
京都アニメーション大賞に応募した理由は、同社が過去製作したアニメ『CLANNAD ~AFTER STORY~』が好きだったためで、
本当に自身の作品が映像になったら面白いだろうと思い、京都アニメーションで実現したら素敵だろうな、と夢見たのが切っ掛け。
実際アニメ化された自身の作品については、アニメ製作側とも対話を通してお互いの描きたいものを共有していたため、
映像を見て自身の作品というより「本当に京アニさんはやってくれた!」という想いで感動したという。
いざ大賞を受賞した際には「人生面白くなってきたな」と思い、また記憶する限り父親に初めて褒められ「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉を賜ったとのこと。
執筆活動は、本人曰く「大人になって、すごく遠回りして書き始めた」。
専業作家となったのは『春夏秋冬代行者 春の舞』リリース直近で、それ以前は周囲にはあまり作家業を公言してなかったそう。
家の環境もあって子供の頃から読書好きだったとの事で、好きなジャンルの文学は勿論の事、暇な時は国語辞典すらあ行から読んでいたくらいらしい。
商業作家を志した理由は「ひとりで生きていくためにはどうしたら良いか」と考えて行きついた結果で、
作家デビュー前には北海道神宮とご先祖様に「小説家になれるなら今後一切誰から愛されなくても構わない」と願掛けしていた事も言及している。
また夢を目指した頃には色々あり打ちひしがれていたとのことで、最後の人生への挑戦状として「自分の運命と戦う武器が欲しかった」というのも理由として挙げている。
しかし実際に作家になると、いざ作品を世に出すに際しては装丁家に装画家、担当編集者、営業の人物、印刷所、書店の人間、読者etc……と、
多くの人間の労力と情熱が必要とされてる事を痛感し、2021年頃にはかつての考え方を「大変傲慢な考え方だったと現在は反省してます」と省みている。
後述する『夜明けの吟遊詩人』のパンフレット寄稿でも朗読劇を「複数分野の『つくる人』の縁が紡がれて生まれた総合芸術」と看做すコメントをしており、
『春夏秋冬代行者』の「このラノ2022」新作部門第1位受賞についても自分一人では無く「すべての方々の努力と優しさで紡がれた誉」と評するなど、
こういった「作品は自分一人ではなく皆で作り世に出すもの」という考え方が現在の暁佳奈の根底に根差す思想である模様。
趣味は映画観賞。
作品のアイデアも映画館などで他人が作った素晴らしいものに触れる事で琴線を刺激させて、家に帰宅している内に小説の女神様が勝手に降りてくると言及している。
作家になる上で多大な影響を受けたのは少女小説と海外児童文学で、それに加えて映画の物語構成を加えた上で現在の作風に繋がっているとのこと。
実際に影響を受けたお気に入りの作品としては、少女小説では『ゴーストハント』や『十二国記』に荻原規子作品全般、
海外児童文学では『モモ』『ハリー・ポッター』『やかまし村のこどもたち』『トム・ソーヤーの冒険』『くまのプーさん』などを挙げており、
映画の分野ではエドガー・ライト監督作品からの影響と類似点を自認している。
作風
執筆環境はWord。
文庫頁の白黒反転の演出を『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の頃からちょくちょく多用しているが、
これは自身がかつて油絵を描いていた経験を基に、Wordをキャンパスに見立てて「下地は別に白じゃなくても良いだろう」という自由発想によるもの。
本人曰く、作品執筆は「頭の中の映像を文字に起こすように書いています」とのことで、
作品を創る上では、最初と最後は美しく、読後の余韻、そして読者が没入出来るよう頁と頁に文章が跨らないようにする事を心掛けている。
自身の著作も含め作品のことを「恋文」「文」など“手紙”になぞらえる事が多い。
作風は、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のアニメ版の印象を持っている人からは、受け手の感情を動かす静謐な物語……とも思われがちで実際間違いでもないのだが、
同作の原作小説も含めた実際の暁佳奈の作風は、それらの上でバリバリのアクション武闘派であり、特にシリーズ第2弾『春夏秋冬代行者』はその傾向がより顕著。
自身も「書いてて一番楽しいのは戦闘描写」と言及している。
具体例を挙げれば、アニメ版では極力戦いから身を遠ざけようとしていたが故に列車襲撃事件でも上手く立ち回れなかったヴァイオレットは、
原作小説の方では襲撃犯たちを一切容赦なく列車から叩き落して撃退している、と言えばそこら辺の差異が分かるだろうか。
他、劇場映画での登場に際して少なからず人間的な弱さが描かれたギルベルト・ブーゲンビリアについても、原作小説ではどちらかと言えば「人として頼れる男性」であり、
『春夏秋冬代行者』の男衆の描かれ方も含めて「著者にとっての男性観が見える」という読者の意見も。
ぶっちゃけ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』だけでも、それこそ原作小説版とアニメ版のキャラクター性や方向性の違いは、
『サザエさん』の原作漫画版とアニメ版くらいの差があると思ってもらっても良いかもしれない。
暁佳奈本人は原作小説とアニメ版の方向性の相違について、
「小説とは情報量が圧倒的に多い、作者一人による統率された世界です。勿論、編集さんの助言や素敵な挿絵による世界観の肉付けがされますが基本孤独な作業です。
対してアニメはあらゆる分野の仕事人が織りなす総合芸術。戦う土壌、シェフの数が違います。私の世界観をよりたくさんの方に伝える為にどうしたらいいのかと悩んで下さった結果です」
とコメントしており、「系譜の違う物語」として概ね肯定的に捉えている模様。
著作リスト
小説作品
KAエスマ文庫にて2015年から2020年にかけて展開された暁佳奈のデビュー作にして、TVアニメ・劇場アニメ化もされた、言うまでもなく代表作。
文庫後書きによると、「それでも生きる」という意志を持った人を応援する想いも込めた作品とのこと。
京アニ大賞応募時の原稿は半年かけて執筆、北海道の寒い時期にカーディガンを引きずりながら、湯を沸かし紅茶を飲みつつ書いていたと述懐している。
本編全4巻の他、劇場アニメの特典冊子として配布された短編なども幾つか存在し、それらを纏めた単行本『ラスト・レター』も完全受注生産でリリースされた。
詳細は作品項目も参照。
- 『春夏秋冬代行者』
電撃文庫にて2021年から展開中のシリーズ第2弾。2021年に第一章『春の舞』、2022年に第二章『夏の舞』、2023年に第三章『暁の射手』が刊行。
前述の通り、ゲーム『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』の追加シナリオ製作に関わった縁で、
ストレートエッジからの小説依頼が電撃文庫預かりという形で同レーベルからの出版となった。
文庫後書きでは作品の事を、小さな自分を抱えて生きるすべての人に宛てた「また戦おう」と思える希望を届けたかった“文”と表現している。
本編の他、文庫の店舗特典として配布された短編や、WEBサイト「カクヨム」掲載の掌編なども執筆されており、
前者の特典も新刊発売に際して定期的に再販される機会がある他、こちらも本編に繋がる一部の重要な外伝は「カクヨム」の方に再掲載されることも。
2022年7月からは小松田なっぱによるコミカライズ版が「LaLa」(白泉社)誌にて2022年9月号より連載されている他、
それとはまた別のコミカライズとして浅見百合子による『春夏秋冬代行者 百歌百葉』も企画進行中とアナウンスされている。
ちなみに暁佳奈は個人のブログやSNSは持っていないが、本作『春夏秋冬代行者』はTwitterにて公式アカウントが運営されており、
そちらで季節の節目に際して春夏秋冬にちなんだメッセージが登場人物の台詞という形で定期的に発信されている。
- 『オールドローズ世界職業全集』
WEBサイト「小説投稿エブリスタ」にて投稿されていた非商業の小説作品。
残念ながら2021年頃に作品がページごと削除されてしまった模様で、現在は閲覧不可能。
その他
- 『石川由依 UTA-KATA Vol.1 ~夜明けの吟遊詩人~』
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のアニメ版で主演を担当した石川由依の朗読劇で、2020年1月に開催。
2021年にアニメイト流通限定でCD+映像ソフト化されており、Amazonでも映像・楽曲ともに配信限定で販売されている。
暁佳奈は脚本を担当しており、朗読劇開催に併せて販売されたパンフレットには脚本も丸ごと掲載されている。
- 『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』
『ソードアート・オンライン』を原作としたゲーム作品。
暁佳奈は2020年12月~2021年6月配信の無料アップデートにおける追加シナリオ第1弾「古の使徒 -森林の死神-」の脚本、
並びに2021年11月配信の追加シナリオ第2弾「Myosotis」のプロット・全体脚本・シナリオを担当。
本作に関わった縁で『春夏秋冬代行者』が電撃文庫よりのリリースとなった事情もあり、暁佳奈曰く「川原礫先生がご縁とも言えます」とのこと。
追記・修正は、北の国より湯を沸かし紅茶を飲みながらお願いします。
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