小田急ロマンスカー

ページ名:小田急ロマンスカー

登録日:2012/03/16 Fri 15:41:30
更新日:2023/12/08 Fri 13:50:31NEW!
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きょう、ロマンスカーで。



小田急おだきゅうロマンスカーとは、小田急電鉄の特急列車およびその使用車両の名称である。同社の登録商標(第3321840号)。



概要

小田急電鉄の看板列車であり、東武鉄道日光鬼怒川線特急、近畿・中部圏をネットワークする近鉄特急と並んで有料の私鉄特急列車としては屈指の知名度と人気を誇る。


2023年現在は小田急小田原線江ノ島線、箱根登山鉄道線のほか、東京メトロ千代田線、JR御殿場線への直通列車も運行される。かつては多摩線東京メトロ有楽町線でも運行されていた。


私鉄特急の中でも流線型をいち早く導入したり、連接台車*1を採用したり、日本国有鉄道(国鉄)へ貸し出されて狭軌における世界最高速度を記録し新幹線の開発に多大な影響を与えたり、地下鉄に乗り入れたりと、常に時代の最先端の技術を導入しており、運用も観光からビジネスまで幅広い運用が設定されている。


何かと車両の統一化が図られる傾向にある他社路線とは違い、コンセプトが異なる複数の車両が運用されており、バラエティ豊かな点も特徴として挙げられる。


技術面での評価も高く、グッドデザイン商品などのさまざまな賞を受賞している。
特に「鉄道友の会」が毎年優れた車両に送る「ブルーリボン賞」はEXEを除く歴代の全形式が受賞しており、受賞回数8回は近畿日本鉄道の9回に次いで2位の記録を持つ。
もっとも、このブルーリボン賞が創設されるきっかけになったのも、小田急ロマンスカーが由来である。


そもそも「ロマンスカー」は本来、2人がけの座席である「ロマンスシート」を備えた車両であり、1920年代以降はそれぞれの会社が「我が社のロマンスカー」とアピールしてきたが、1950年代以降は列車呼称や車両形態が多様化し、各社が独自のネーミングを用いるようになっていったため、やがて過去の流行と化していった。
しかし、小田急電鉄だけは唯一、特急列車の愛称に「ロマンスカー」という名前を使い続けたため、一般にも広く定着するようになり、最終的には商標登録するまでに至った。


一部の列車には、運転席を2階に上げることで車両の最前列まで座席を設置する「展望席」を設けており、最高の眺望性を楽しむことができる。事前予約なしでは座席の確保が難しいほどで、ロマンスカーといえば展望車はもはや代名詞でもある。



種別

2018年3月17日から2022年3月12日までは、展望席を備えるLSE(同年7月10日まで)・VSE・GSEは「展望付き車両」として日替わりで共通運用になっており、公式サイトにてあらかじめ運行ダイヤが発表されていた。
かつては小田原線内だけで16種類もの愛称があった時期もあり、現在はかなり整理されているといえよう。


列車番号については、下りは奇数・上りは偶数の番号になっている。併結運転を行う「(メトロ)はこね」と「さがみ」「(メトロ)えのしま」については、原則として併結先の種別と番号を共有している(一部例外あり)。
ただし、2012年3月17日のダイヤ改正までは「ホームウェイ」も併結運転を行っていたが、こちらは共通ではなかった。


2022年11月15日以降は本厚木駅にホームドアが設置された関係で、千代田線を除く全ての停車駅にてEXE・MSEの4・7号車がドアカットされている。


箱根登山線内は単線になっており、列車交換のために途中駅で運転停車することがある。
また、箱根湯本駅は20m車7両編成分(約140m)のホーム有効長であるため、10両編成のEXE・MSEで運行される列車は新宿方の後ろ4両は小田原止まりになっており、下りは小田原で切り離しを行い、前6両のみ箱根登山線に直通する*2
逆に上りは小田原で箱根湯本発の後ろ6両と併合を行う。



小田急線内種別

  • はこね

1950年から登場した伝統ある種別で、新宿~箱根湯本間を走る、特急ロマンスカーの主力列車。停車駅はおおむねパターン化されている。かつては途中駅発着の列車が存在したが、現在は全列車が新宿~箱根湯本間を通して運行している。
一部列車は新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する列車がある。


  • スーパーはこね

1996年3月23日から登場。上記の「はこね」のうち、小田原線内を無停車で走行するロマンスカー最速の種別。かつては上り列車も存在したが現在は下りのみの設定で、土休日9:00・10:00発の2本のみ運行。
2018年3月17日のダイヤ改正からは、土休日の5号~9号は小田原線内を59分で走破しており、SE開発当時の悲願だった「新宿~小田原間60分以内」という小田急の60年越しの夢が実現した*3
2020年3月14日のダイヤ改正以降、土休日の5号は10両編成のEXEに変更され、久しぶりにEXE10による「スーパーはこね」が復活したが、代わりにVSEの小田原線内59分走破が消滅した*4
しかし、2022年3月12日のダイヤ改正からは土休日2本の運行に削減され、平日は全て廃止になった。


  • さがみ

「はこね」を補う特急で、小田原線内完結の列車。停車駅は「はこね」より比較的多い傾向にあるが、小田原線内完結であれば全てこの名称が与えられるため、上りの途中駅始発や下りの途中駅止まりなど、区間運転を行う列車も多い。「はこね」が観光向けなら「さがみ」はビジネス向けといったところ。
前述の通り、10両編成のEXE・MSEで運行される「はこね」は、新宿方の後ろ4両は小田原止まりになっており、実質「はこね」と「さがみ」を併結しているとも言えるが、あくまで全列車「はこね」として運行される。
1963年から登場した古参の種別ではあるが、1999年7月17日のダイヤ改正から2004年12月11日のダイヤ改正までは廃止されており、代わりに「サポート」という種別があった。
「はこね」と同じく、一部列車は新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する。


  • えのしま

新宿から相模大野駅を経由し、江ノ島線に直通する特急。新宿に到着したロマンスカーの車両を利用した「納涼ビール電車」という特殊急行の運行が起源である。
1964年3月21日より土休日のみの種別として初登場し、翌年3月1日から毎日運転*5されるようになる。
しかし本数はあまり多くなく、平日は下り1本・上り3本のみの運転。一方で土休日は観光需要により大幅に本数が増加し、2時間に1本ペースで運転される。
2018年3月17日のダイヤ改正後、「はこね」「さがみ」との併結列車は一部を除いてほとんどが廃止されたが、2022年3月12日のダイヤ改正で再び増加している。


  • ホームウェイ

1997年7月17日から登場。17時以降に新宿を発車する下りロマンスカーは、行き先に関係なく全て「ホームウェイ」という名称になる。名前からも分かるように、JRの「ホームライナー」を意識して命名されているが、あくまで他の種別と同様に純然たる特急列車である。
日中時間帯の「はこね」「さがみ」(以下「小田原線系統」)と「えのしま」にあたる列車が存在する。
愛称は公募によって決定。ちなみに第1位は「ホームタウン」だったが、JR東日本がすでに「ホームタウンとちぎ」「ホームタウンさざなみ」「ホームタウンわかしお」でその名を使用していたため、「ホームウェイ」になった経緯がある。


終電に近づくごとに行き先がどんどん短くなっていくのが特徴で、小田原線系統については最初の数本のみ箱根湯本まで乗り入れているが、以降はほとんどが小田原止まりになっており、さらに遅くなると秦野・本厚木までしか行かなくなる。「えのしま」系統についても、最初の数本は片瀬江ノ島まで乗り入れるが、残りは全て藤沢止まりである。
かつては多摩線に乗り入れる数少ない種別でもあったが、2016年3月26日のダイヤ改正で廃止された。また、平日の最終列車は61号相模大野行きになっていたが*6、2020年3月14日のダイヤ改正で廃止された。
2022年3月12日のダイヤ改正からは17時より運行開始になり、小田原線系統の全列車が海老名に停車する。
ちなみに、以前は日中時間帯の「はこね・えのしま」などと同じように、相模大野まで小田原線系統と「えのしま」系統を併結する列車が存在していたが、2012年3月17日のダイヤ改正で廃止された。


  • モーニングウェイ

2018年3月17日のダイヤ改正より運行開始。「ホームウェイ」の対になる列車で、午前9時30分までに新宿に到着する上りの全列車がこの名前を名乗る。
こちらもホームウェイと同様に公募が行われ、「朝の通勤に、座って快適な時間を過ごしていただけることが想起できること」「現在夕夜間に運転している特急ロマンスカー「ホームウェイ号」と対になり、分かりやすいこと」「応募名称数第1位で、お客さまから多くのご支持があったこと」という理由により選定された。
「さがみ」系統と「えのしま」系統が存在する。



他社路線に直通するロマンスカー

全列車がMSEによる運行である。


  • ふじさん

2018年3月17日のダイヤ改正までは「あさぎり」という名前だった。
新宿から新松田付近の連絡線を経て松田駅に入り、御殿場線に直通して御殿場駅まで走る。1~6号の3往復が運行されており、2022年3月12日のダイヤ改正までは土休日のみ4往復+不定期運行の臨時列車1往復(駿河小山通過)の計5往復が設定されていた。
ロマンスカーの中では唯一、全列車がMSEによる6両編成で運転される。「あさぎり」時代は土休日のみ新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する列車があったが、「ふじさん」に変更してからは全て単独運転である。
片乗り入れという形ではあるが、関東の大手私鉄がJR東海の路線に乗り入れる唯一の事例。ただし、小田急線はPASMOエリア・御殿場線はTOICAエリアであることから、ICカードは小田急線と御殿場線にまたがる利用はできない点に注意。
なお、松田駅は運賃計算上新松田駅と同一駅扱いであることから、窓口には当列車を利用する乗客専用のICカード処理機が備えられており、新松田駅入場・出場の処理を受けることで利用できる。



●メトロ特急
2008年3月15日のダイヤ改正より登場。代々木上原駅から東京メトロ千代田線に直通して北千住駅まで向かう列車で、MSEの独壇場。いずれも「メトロ○○」という名前で案内されており、行先や運行時間帯は小田急線内の同名の種別に準ずるが、やはり「スーパーはこね」「ふじさん」にあたる列車はない。
地下鉄に特急が乗り入れるというのは日本初の事例である。当初は湯島駅を起点し、平日夕方に湯島~町田・相模大野間の運行を行う予定だった*7
千代田線内の停車駅は、いずれも表参道・霞ケ関・大手町の3駅である。ただし千代田線内のみの乗車はできず、下りは乗車・上りは降車のみ取り扱っている。
代々木上原には乗務員交代のために運転停車するほか、千代田線には待避線がないことから前後の列車に挟まれての運行になっており、駅では時間調整のために数分間停車している。
また、これまで新宿発着のロマンスカーは全て通過していた成城学園前に「メトロはこね」「メトロえのしま」「メトロホームウェイ」全列車と土休日の「メトロモーニングウェイ」が停車しており、快速急行は通過するので千鳥停車とも言える。
千代田線内ではホームドアの関係上、1・4・5・7・8・9号車のみドアが開く。
北千住到着後すぐに列車がない場合は、北綾瀬駅を経由して綾瀬検車区に入庫、あるいは綾瀬駅の留置線で待機するか折り返し喜多見検車区まで回送する。


  • メトロはこね

2008年3月15日のダイヤ改正で登場。運行区間は北千住~箱根湯本。平日は1往復、土休日は3往復走る。EXEによる「はこね」と同じく、箱根登山線には前6両のみが直通する。
土休日の1.5往復(90号・91号・93号)は北千住~相模大野間を「メトロえのしま」と併結して運行しており、こちらは相模大野に停車する代わりに町田と本厚木は通過する。


  • メトロえのしま

2018年3月17日のダイヤ改正より登場。土休日のみの運転で、下り2本・上り1本運行される。運行区間は北千住~片瀬江ノ島。「えのしま」と違って成城学園前にも停車するが、新百合ヶ丘と大和は通過する。
後者については、2020年9月5日・6日に市内で開催された女子スポーツ試合開催に合わせ、下り列車が初めて臨時停車した*8
全列車が相模大野以東を「メトロはこね」と併結して運行。江ノ島線内は「はこね」「さがみ」と併結する「えのしま」と同じく4両編成で運転する。
列車番号は90号・91号・93号。


  • メトロホームウェイ

2008年3月15日のダイヤ改正で登場。「ホームウェイ」と同じく、17時以降に北千住・大手町を発車する下りロマンスカーは、全て「メトロホームウェイ」になる。運行区間は北千住・大手町(平日のみ)→本厚木。列車番号は41号~49号。
全列車が本厚木行きで、「メトロはこね」「メトロえのしま」系統は存在しない。
平日5本・土休日2本運転され、平日の43号と土休日は北千住、平日の他4本は大手町から発車する。
「えのしま」系統の「ホームウェイ」と同じく、平日のみ新百合ヶ丘には3番ホームに到着し、各駅停車唐木田行きと接続する。
大手町始発の列車については、千代田線の配線の関係上、湯島駅の留置線で折り返してから戻ってくる。
2022年3月12日のダイヤ改正より、「ホームウェイ」ともども17時から運行開始になり、さらに全列車が成城学園前に停車する。


  • メトロモーニングウェイ

2018年3月17日のダイヤ改正より運行開始。「メトロホームウェイ」の対になる列車で、午前9時30分までに大手町に到着する上り全列車がこの名前を名乗る。運行区間は本厚木→北千住。列車番号は平日が40号・42号、土休日が30号。
「メトロさがみ」から改称しつつ、停車駅に海老名を追加して平日に1本増発する形で登場し、全列車が本厚木始発北千住行きである。
平日2本・土休日1本運転され、土休日のみ新百合ヶ丘と成城学園前にも停車する。このため、平日に新宿方面へ向かう場合は町田で乗り換える必要がある。
停車駅自体は「メトロホームウェイ」と同じだが、パターンが異なる。



臨時種別

  • 初詣号→ニューイヤーエクスプレス

通称「ニューイヤー号」「NYE」(New Year Express)。
大みそかの12月31日深夜から、年が変わった元日の早朝にかけて運行される臨時列車。1969年1月1日未明に新宿~新原町田(現:町田)間で臨時特急「初詣号」が1往復運行されたのが始まりであり(途中停車駅は参宮橋と向ヶ丘遊園)、以降も毎年運行されるようになる。
2001年1月1日には、新宿→町田・伊勢原・片瀬江ノ島間で運行されており、途中停車駅は参宮橋(一部)・代々木上原・向ヶ丘遊園・町田・大和・藤沢だった。
また、1990年度からは「初詣&初日の出号」も設定されており、1000形を使用して千代田線と直通していたが、2008年度をもって運行を終了した*9
その後、2001年12月31日からは現在の名称に変更された。
2009年度以降は北千住→片瀬江ノ島間の下りのみ、千代田線直通の「メトロニューイヤー」も運転されている。他のメトロ特急と同じくMSEでの運行で、千代田線内では降車できない。


近年では12月31日に運行されるのは上りのみで、大半は1月1日の深夜から早朝に運行されている。
大半が新宿・北千住→片瀬江ノ島間の運行で、小田原行きは1本のみである。


下り列車については、片瀬江ノ島行きの途中停車駅は2003年1月1日以降、新百合ヶ丘・町田・大和・藤沢になっており、通常の「えのしま」とは違って町田に停車し相模大野を通過するのが特徴。2002年1月1日の運行では向ヶ丘遊園に停車する列車もあったが、翌年以降は設定がない。
また、登場時は唐木田発片瀬江ノ島行きという、新百合ヶ丘でスイッチバックを行って多摩線から江ノ島線に向かう珍しい列車が設定されていたが、2004年1月1日を最後に運転が行われていない。途中停車駅は小田急多摩センター・小田急永山・新百合ヶ丘・大和・藤沢だった。
「メトロニューイヤー」の途中停車駅は大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→大和→藤沢で、「メトロえのしま」と似ている。
小田原行きの途中停車駅は2005年1月1日以降、新百合ヶ丘・町田・伊勢原・秦野になっており、2008年までは伊勢原が終点だった。その後、成城学園前・相模大野・海老名・本厚木が順次追加されていったが、町田は現在通過になっている。


上り列車については、かつては12月31日の深夜に運転される列車と、1月1日の早朝に運転される列車で運行系統が異なっていた。
前者は、明治神宮最寄り駅で普段は各駅停車しか停車しない参宮橋駅に臨時停車する列車が運行されていた。運行区間は実施年により異なっており、小田原・本厚木・町田のいずれかを始発とし、参宮橋に臨時停車をして新宿へ向かう形になっていた。2002年1月1日には元日に本厚木発で運転されたが、翌年より設定がない。
現在は、2018年12月31日の運行からは新宿23:29~31着の「はこね72号」が参宮橋に臨時停車する形になっており、NYE自体が停車しているわけではない。
後者は片瀬江ノ島を始発とし、途中藤沢・大和・町田に停車する列車である。現在の途中停車駅は通常の「えのしま」と同じく、藤沢・大和・相模大野・新百合ヶ丘になっている。


車内販売は深夜ということもあって基本的に実施されない。ただし、1987年度の運転においては、12月23日にデビューしたばかりのHiSEで「走る喫茶室」のサービスが実施されていた。


2020年度は世界情勢を考慮してか、当初はNYEも「メトロニューイヤー」も下り1本ずつの運行になる予定だったが、予想以上の感染者数急増により、12月18日に急きょ運休になってしまった。
翌2021年度には2年ぶりにNYEのみ復活し、引退の決まったVSEが使用された。



過去の主な種別

  • あしがら

1950年から登場。1966年に一度は消滅したものの、翌1967年10月1日より復活し、新原町田(現:町田)に停車しつつ朝と夜の時間帯に運行されるという小田急初の「通勤特急」で定期乗車券の使用もできるようになり、全国的に見ても「通勤客用の着席確保列車」の先駆けになった。
登場以来長年に渡って親しまれてきたものの、1999年7月17日に廃止され、「さがみ」と統合されて後述の「サポート」になった。
その後、2018年5月3日~5日の3日間限定で臨時列車「あしがら61号」が運行され、19年ぶりの復活を果たした。車両は登場したばかりのGSEが使用され、最新の車両で親しみのある種別を運転するという、ロマンスカーの新旧を感じてほしいとの思いで企画された。


  • 準特急

1953年4月1日のダイヤ改正より、料金不要ながら座席定員列車である「サービス急行」を格上げする形で登場。当時は特急用車両が不足していたため、文字通り特急ロマンスカーを補完する目的で土休日に運用された。
1959年4月21日の改正で「準特急」に改められ、100円の座席指定券を発行するようになった。
当時の特急ロマンスカーと同様に新宿~小田原間は無停車だった。車両は2扉のセミクロスシートで、特急用から格下げされた2300形と新規に登場した2320形が使用され、準特急の運行がない平日には一般列車にも充当されていた。
後に近畿日本鉄道や京王線に登場する同名の種別とは異なり、その違いは接客設備の格差によるもので、あちらが全席指定だったのに対し、こちらはセミクロスシートで無料の列車指定券を発行しての座席定員制であった。
1963年にNSEが登場し、特急列車の増発が可能になったことで廃止された。


余談だが、近鉄においては1960年1月20日のダイヤ改正の登場から半年も経たない6月15日に廃止されており、小田急での廃止後は2001年3月27日に京王線で登場するまで、「準特急」の種別は日本には存在しなかった。
その京王線においても、2022年3月12日のダイヤ改正で特急に統合される形で廃止されたため、再度「準特急」の種別は姿を消したが、阪急電鉄が同年12月17日のダイヤ改正で京都線の「快速急行」を改称する形で復活させている。


  • サポート

1999年7月17日より、廃止された「あしがら」と「さがみ」に代わる種別として登場。しかし、2004年12月11日のダイヤ改正をもって廃止され、「さがみ」が復活した。


  • ベイリゾート

東京ディズニーランドシーへの利用者をターゲットとして、2008年3月15日のダイヤ改正で登場。千代田線を経由して有楽町線に直通し、新木場駅まで運行されていた列車で、年間30日程度設定されていた臨時特急。豊洲駅にも停車し、臨海副都心エリアへの利用者にも配慮されている。
運行の性質上、本厚木発着として朝上りと夜下りの1往復が設定されており、運行日は当該時間帯の「メトロさがみ」と「メトロホームウェイ」がそれぞれ運休になった。
霞ケ関駅と有楽町線の桜田門駅の間にある連絡線を利用し、スイッチバックを駆使して進んだのが特徴。
しかし、臨時列車で宣伝も消極的だったことから利用者数は今ひとつで、2011年10月をもって運行を休止し*10、2012年3月17日のダイヤ改正を最後に設定が消滅した。
表向きの理由としては有楽町線にホームドアが設置されたことになっているが、新木場駅で京葉線りんかい線に乗り換えなければならなかったことから中途半端に不便で、スイッチバックの兼ね合いもあって所要時間も長く、東京メトロにとっては運行面でも煩雑な存在だった。
ホームドアは現在千代田線・小田急両線でも稼働していることから技術的な問題はないが、上述した運行上の問題から今後復活する可能性は極めて低いだろう。


  • ホームウェイ・メトロホームウェイ(多摩線)

「ホームウェイ」は、2000年12月2日のダイヤ改正より登場。毎日1本、新宿発の「ホームウェイ」が新百合ヶ丘から多摩線に乗り入れており、2002年3月23日のダイヤ改正で1日2本、2003年3月29日のダイヤ改正で平日は3本に増発された。
「メトロホームウェイ」は、2008年3月15日より平日のみ、新宿発の1本を北千住駅発に置き換える形で登場した。
しかし、2012年3月17日のダイヤ改正からは平日のみの運行になり、2016年3月26日のダイヤ改正をもって、多摩線内のロマンスカー運行は終了した。
現在は新百合ヶ丘に停車する平日の「(メトロ)ホームウェイ」は多摩線の3番ホーム発着になっており、各駅停車唐木田行きと対面乗り換えが可能である。


多摩線内の途中停車駅は小田急永山と小田急多摩センターのみ。当時の急行は栗平駅を通過していたため、登場時点では急行と同じ停車駅だったが*11、あちらは2003年の改正から停車するようになったため、現時点では同駅を通過した最後の種別でもある。
なお、「はこね」や「えのしま」といった線名に由来する列車は存在せず、現在の「モーニングウェイ」にあたる唐木田発の上り定期列車が運行されたこともなかった。


  • メトロさがみ

2008年3月15日のダイヤ改正より登場。毎日朝方の上り1本のみ設定され、本厚木→北千住間を運行。2018年3月17日のダイヤ改正より「メトロモーニングウェイ」に変わったため、「メトロさがみ」としては廃止された。
途中停車駅は町田→(新百合ヶ丘→成城学園前)→表参道→霞ケ関→大手町。「メトロモーニングウェイ」と停車駅のパターンは同じだったが、こちらは海老名には停車しなかった。


  • あさぎり

「ふじさん」の前身。新宿から御殿場線を経由して御殿場に向かう、箱根や江ノ島に続く第3の観光特急*12。元々は1955年10月1日のダイヤ改正で運行が始まった、気動車による特別準急「銀嶺」「芙蓉」を起源としており、1968年7月1日の御殿場線電化によるSSE導入とともに名称が「あさぎり」に変わり、いわゆるヨンサントオという同年10月1日のダイヤ改正からは準急という列車種別が急行に統合される形で廃止になったため、国鉄としては急行列車化し、小田急線内でも「連絡急行」扱いになるが特急列車並みの扱いはそのままだった。1978年10月2日のダイヤ改正より、それ以前は上下線関係なく1号からの連番だった列車番号が、下りは奇数・上りは偶数という現行のパターンになった。
1964年以降は沼津までの延伸要望もあったようだが、当時の御殿場線には御殿場~裾野間の約15㎞に渡って列車交換設備がなく、財政問題もあって国鉄時代には進展しなかった。


そして、1987年4月1日に国鉄がJRに移行したことで、翌年には小田急がJR東海に対してSSEの置き換えについて申し入れた。さらに、1989年10月には御殿場線の利用者が増加したことで富士岡駅と岩波駅に列車交換設備が新設されたこと、沿線からも運転区間延長の要望が強くなっていたことから「あさぎり」の運行を抜本的に見直す協議が開始され、数年経った1991年3月16日のダイヤ改正より、SSEの置き換え車両としてRSEと371系が登場。さらに特急へと昇格し、小田急とJR東海による相互直通運転になり、運行区間が沼津まで延長された。
この方針により、編成・性能・定員・構造などをほぼ共通とし、それ以外の点で独自の個性を出す設計になったため、7両編成で3・4号車を2階建て車両、2階にグリーン席を設置する構造になった。
その他、御殿場~沼津間のみ6号車は自由席になっている。


当時のバブル景気を背景に利用者数は好調で、御殿場線沿線に点在するゴルフ場利用の乗客で満席になることも多かった。沿線からは静岡までの延伸要望もあったが、JRは「新宿~静岡間では3時間程度の所要時間になってしまい、新幹線よりも時間がかかりすぎる」ということで否定的だった。
これに合わせて、東海バスでは中伊豆・西伊豆方面に直通する特急バス「スーパーロマンス号」の運行が始まり、このために開発された車両は、右側を371系・左側をRSEと同じデザインの塗装で塗り分けられていた。


しかし、バブル崩壊による景気の低迷とともに駿東地域でのリゾート開発が頓挫したことや、東伊豆や中伊豆と違って西伊豆には鉄道路線がなく、道路交通を含めても高速で移動できる手段に恵まれない状況もあって観光地としての西伊豆自体の知名度もそれほど高くならなかったことなどの状況により、特に御殿場~沼津間の利用が低調になっていった。
そのため、2012年3月17日のダイヤ改正をもって相互直通運転は終了し、RSEと371系が引退。運行区間も連絡急行時代と同じく御殿場に短縮され、車両もMSEになって再び片乗り入れの形になり、2階建て車両・グリーン席・御殿場~沼津間の自由席も廃止された。さらに定期列車は3往復になり、土休日には臨時列車1往復が設定され、停車駅と運行時間帯も変更された。
長らく「あさぎり」の名称で親しまれてきたが、2018年3月17日のダイヤ改正をもって「ふじさん」に改称されたため、1968年7月1日のSSE乗り入れ開始以来50年続いてきた「あさぎり」の名は役割を終えた。


しかし、MSE運行開始10周年を記念して、同年12月2日に団体臨時列車「メトロあさぎり」号が運行され、1日限りの復活を果たした。初となる綾瀬駅始発で、運転停車を除き御殿場までノンストップで運行した。すなわち、今までありそうでなかった、千代田線・小田急線・御殿場線の3路線全てを通る列車になった。


ちなみに、今でこそ松田駅で乗務員交代を行っているものの、乗り入れ当初は小田急の乗務員の中でも国鉄の考査に合格した人が御殿場まで乗務するという、今では考えられないことをやっていた。これは、当時の御殿場線の列車は全て蒸気機関車牽引の客車で、御殿場線に気動車の乗務員はいなかったためである。
その後、相互直通運転開始とともに松田で乗務員交代が行われるようになり、現在に至る。



多層建て列車

一部の「(メトロ)はこね」「さがみ」と「(メトロ)えのしま」は、車両によって異なる行先になっている多層建て列車である。いずれも、「(メトロ)はこね」「さがみ」が小田原方6両、「(メトロ)えのしま」が新宿方4両になっており、相模大野で分割・併合を行う。
4両側は実質「さがみ」であるEXE・MSEの「はこね」「ホームウェイ」においても同様で、分割案内板Aを境に、小田原から前6両は「はこね」号箱根湯本行き、後ろ4両は小田原止まりであるとの放送が入る。
2020年3月14日のダイヤ改正以降は運用の都合上か、他種別同士の併結ではないのに相模大野で分割・併合を行う「はこね」「えのしま」が登場しており、後ろ4両は同駅発着になる。


2018年3月17日のダイヤ改正以前は「あさぎり」と「えのしま」の併結列車も存在しており、「はこね」「さがみ」と同様に「あさぎり」が6両側を、「えのしま」が4両側を担当していた。



車両

SE以前の車両は特急運用終了後も通勤用に格下げ改造されて使用されたこともあったが、同形式以降は最初から特急専用車両として開発された。
一部は地方の鉄道事業者に譲渡され、第2の人生を送っている車両もある。


2018年4月27日、小田急は海老名駅の隣に「ロマンスカーミュージアム」を開業することを決定。2年後の2021年4月19日に開業し、車両ではSE~RSEまでの歴代ロマンスカーと開業当初の電車であるデハ1形、小田急沿線のジオラマ・電車運転シミュレーターなどといった設備が展示されている。


色はあくまでイメージである。



現行車両

●30000形「EXE」(Excellent Express)


(出典:Wikipedia


概要
1996年3月23日に運行開始。1996年グッドデザイン商品選定車両。
若干ではあるが減少傾向にあった箱根特急の利用者数を増加していたビジネス・日常利用で補完するため、そして老朽化したNSEを置き換えるために登場したロマンスカーで、現行車両では最古参。
この時点ではまだ複々線化工事がそれほど進展しておらず、これ以上の増発やスピードアップが困難だったため、新型車両は「量より質」ということで定員数を増やす方針にシフトしていった。
定員数の増加や柔軟な運用を行うべく、今までのロマンスカーに採用されていた展望席・連接構造を廃止し、20m級ボギー車の6両編成+4両編成にした初めての車両。10編成だけでなく6両編成・4両編成単独での運転も可能で、6号車と7号車は自動ほろ装置を備えた貫通型になっており、通り抜けが可能。
これまでの観光向けから一転、ビジネス向けの車両になっている。


製造数は70両とNSEに次ぐ多さで、座席数は578名とMSEと並んでロマンスカーNo.1を誇る*13
パンタグラフがシングルアーム形になった初のロマンスカーでもある。



塗装・機能
オレンジや赤をベースに白・グレーなどで塗り分けられたデザインがメインだったこれまでの車両とは違い、ロマンスカーでは初めて1色だけの塗装になっており、全体をハーモニックパールブロンズで彩った以外はアッパーレッドのワンポイントが入っているのみである。
また、SEからRSEまで続いてきた補助警報音が廃止されており、そもそも名前に唯一「SE」(Super Express)を名乗らないなど、文字通り今までの車両とはかなり異彩を放つ存在である。LSEからRSEまでの3代に渡って使われてきたヤマユリのロゴマークもなくなったが、代わりに初めて愛称のロゴマークが描かれた車両になり、VSE以降も受け継がれている。
ロマンスカーでは初めて側面の行先表示器に列車番号を表示しており、3色LEDで表示されるが、日中時間帯は晴れているとかなり見えづらい。ドアも今までの折戸式から引戸式になっている。


なお、ハーモニックパールブロンズは金と銀の中間のような色合いの金属光沢でかなり派手なように見えるが、いざ使用してみると特に曇り空の日には風景に溶け込んでしまうなど、むしろ地味な色だったと判明した。



内装・車内設備
シートピッチは1000mm。各シートのひじ掛けにはリクライニングのボタンと収納式のテーブルが備えられており、シートを向かい合わせにした時も各自使用できるようになっている。当初は6両編成側と4両編成側でモケットが異なり、それぞれ緑色と青色だったが、1999年の増備車ではグレーと茶色のものに統一され、既存車も同様に変更されたが、1・2次車にあったアームレストは設置されておらず、リクライニングの角度も浅くなっている。ヘッドカバーには小さいながらもロゴマークが入っている。窓枠は2席に1枚ずつ割り当てられている。
座席の座り心地は良好で、座面・背もたれともに柔らかく、重厚感あるデザインになっている。
照明は間接照明を採用し、さらに荷物棚下には蛍光灯の直接照明が設置されている。
客室とデッキの仕切りドアの幅は700mmで、「EXE」のロゴマークが描かれている。5号車と8号車はバリアフリー対応車両で、車いす対応座席が設けられているが、この近くのドアは両開き・幅900mmになっており、ロゴマークは描かれていない。


トイレ・洗面台は2・5・8号車に設置。2・8号車は男女共用和式トイレと男子小用トイレ・ベビーベッドつき女子トイレ、5号車は男女共用和式トイレとベビーベッドつき車いす対応トイレになっている。
3・9号車には売店とロマンスカー初の自動販売機、6・7号車のデッキにはAEDが設けられている。
かつては3・4・9号車に公衆電話が設置されていたが、現在は撤去されている。



唯一のブルーリボン賞を逃した車両
1996年3月23日に2編成が運用を開始して以降、他形式よりも定員数が多いEXEは輸送力増強に貢献しており、検査時はHiSE車で代走する「スーパーはこね」にも運用され、初日は箱根湯本駅で到着式も行なわれた。
1999年までに残り5編成も増備され、これによってNSEは「ゆめ70」を除いて引退することになった。


ビジネス向けとしては申し分ない本形式だったが、これまでの伝統だった展望席が廃止されていたり、分割・併合を前提とした車両なのに途中駅無停車でそれらを行わない「スーパーはこね」に一時期使われたりするなど*14、その外観や矛盾した運用からファンからの評価は今ひとつで、ロマンスカーで唯一ブルーリボン賞を逃してしまっているほか*15、当形式を見た子どもから「こんなのロマンスカーじゃない」と言われたという逸話もあるほどである。
しかしながら、運用的に扱いやすく、座席数も多いため現在のロマンスカーの主力と言えるだろう。特に平日の小田原線「ホームウェイ」においてはフル稼働状態で、他の車両がほとんど見られないほど。
外観はいまいちながらも、内装についての評価は高く、VSEやMSEを差し置いてロマンスカーの中で最もいいという声もちらほら。
実際に、1996年には当時の通商産業より「グッドデザイン商品」、2007年には日本デザイン振興会より「ロングライフデザイン賞」に選ばれているだけあり、車両の完成度自体は高い。
2002年2月1日から3月31日までは1号車でIPv6を用いた無線LANインターネット接続実験が行われ、2012年からはWiMAXをバックボーンとする「au Wi-Fi SPOT」と「Wi2 300」を私鉄の有料特急としては初めて導入した。




(出典:Wikipedia)


リニューアル
2017年からは、塗装・内装を一新したリニューアル車「EXEα」が登場。全面的な大規模改修が施され、形式名まで変わるほどの別車両になるのはSE→SSE以来である。
デザインはVSE・MSEに引き続き岡部憲明アーキテクチャーネットワークが担当し、3月1日の新宿16:30発「はこね41号」より運行を開始した。
その後も第2編成・第4編成・第6編成の順にリニューアルされている。ちなみに、第1編成は直前で塗装デザインが変更されたため、帯の部分が間に合わずに中途半端な状態で輸送されたという。


車体色をムーンライトシルバーとディープグレイメタリックのツートンとし、側面にロマンスカーの伝統であるバーミリオンオレンジとVSEと同色のシルキーホワイトのラインを添え、愛称のロゴマークも一新されており、VSEなどと同様に形式名*16も描かれている。
なお、車体前面に設置されていた行先表示器は撤去されており、側面のものについてはMSEと同じくフルカラーLEDで種別・列車番号と行先が交互に表示される。また、現行の車両では唯一ツートンカラーの塗装でもある。


内装についても大きく改良されており、全体的に薄暗かったEXEから一転、直接照明と間接照明の採用・木目調・仕上げ材・床カーペットなどが施され、格段に明るい雰囲気を醸し出している。モケットはベージュと紺色で配色したものになっており、その座り心地のよさも健在。ヘッドカバーも青色で、やはり形式名のロゴが入っているほか、第1編成のみカーテンの固定器具のところにもロゴがあり、こちらは車体帯2色のストライプも入っている。
座席背面にはコートなどをかけられるフックと、網ポケット脇に傘入れが設置されており、座席肩部には点字表示も兼ねた握り手が新設された。
収納式テーブルも一新され、木目調の素材が使われている。ブーメラン状だったMSEよりもサイズが大きくなり、四角形に近い形になっていて使いやすさが向上している。ただし、ひじ掛けについては表面が布で覆われていたオリジナルとは違い、MSEのように金属がむき出しになっており、固くて冷たい。
増加する観光客への対応として、2号車の1A・1B席と5号車・9号車の15A・15B席は撤去されてラゲージスペースになっており、スーツケースやその他荷物を置くことが可能であるほか、3・9号車のデッキにも同様のスペースが設けられている。


客室とデッキの仕切りドアは白を基調としており、変わらず車いす対応の5・8号車は両開き・それ以外は片開きになっているが、いずれもロゴマークは描かれていない。また、ドアチャイムとドアランプも新設された。
デッキは全体的に暗かったオリジナルとは違い、グレーや白のデザインになっており、こちらもかなり明るくなっている。
トイレ・洗面台は引き続き2・5・8号車に設置。共通して男子小用トイレを備え、大用は全て洋式トイレである。5・8号車は男女共用トイレがVSE・MSEと同様の「ゆったりトイレ」になっており、車いすでも入ることが可能である。和式から洋式に変更されており、ベビーベッドが設置され、オストメイトに対応している。2号車については、ベビーベッド・ベビーチェアを完備した女子トイレと男女共用トイレの構成になっている。
売店は撤去されて車販準備室になっており、3・9号車デッキのラゲージスペース隣には多目的室が設けられている。これはEXE時代では空きスペースになっていた空間を有効活用したものと言える。自動販売機は荷物置き場の隣には移動しており、ICカードも使用できるようになった。
AEDの配置号車も変更され、6・7号車から3・9号車になったほか、客室とデッキには防犯カメラの設置も行われており、第2編成以降は窓側の全座席にコンセントも備えつけられている。


運用上はEXEと共通になっており、たとえEXEα充当列車であっても切符・時刻表・各駅のディスプレイなどでは単にEXE表記であるため、どちらになるかは乗ってみるまで分からない。
2019年1月12日~14日には「スーパーはこね9号」など一部列車にて、初となる全区間4両編成で運行された。
本厚木駅のホームドア設置の関係で、2022年11月15日以降は全ての停車駅で4・7号車がドアカットされる。


●50000形「VSE」(Vault SuperExpress) ※イベント専用列車(定期運用終了)


(出典:Wikipedia)


概要
低迷するロマンスカーブランドの復権をかけて、「ロマンスカーの中のロマンスカー」をコンセプトに、10000形「HiSE」以来久々に観光向けに作られた展望席付きロマンスカー。交通バリアフリー法の施行で存続できなくなった同形式を置き換える目的も兼ねて導入された。第49回ブルーリボン賞受賞車両。
2005年3月19日に登場し、長らくロマンスカーのイメージリーダーを飾っていたが、GSEの登場後は同形式にその座を譲ることになった。
ロマンスカーでは初めて外部のデザイナーにデザインを依頼し、ポンピドゥーセンターや関西国際空港の設計などで知られる岡部憲明氏が担当。彼は以降登場した全てのロマンスカーに加え、通勤車両の2代目4000形(前面)、箱根登山鉄道3000形「アレグラ」といった小田急グループ車両のデザインを担当するようになった。
製作費用は2編成で35億円。
真っ白な車体とドーム型の天井が特徴で、展望席の他にロマンスカーでは唯一「サルーン」を設けている。
1号車と10号車のドアは非常用になっており、通常は使用されない。


乗務員も専任の運転士や車掌が担当しており、社内で実施される筆記試験と面接試験を突破し、外部講師によりホスピタリィマインド教育を受けた人だけが乗務していた。アテンダントも含めて制服も専用のものが用意され、後者のスカーフは季節に応じて5種類の色がある*17
GSEが登場した2018年3月17日のダイヤ改正からは、乗務員・アテンダントも含めて制服がリニューアルされている。



塗装・機能
シルキーホワイトをメインに、側面にはSE・NSE・LSEと3代連続で使われ、ロマンスカーのイメージカラーとして位置づけられているバーミリオンオレンジの帯が描かれている。また、小さいながらもグレーの細帯が添えられており、「バーミリオンストリーム」という呼び名がある*18。EXEと同様に愛称のロゴも描かれているが、当形式からは「ODAKYU―SUPER EXPRESS 50000 ROMANCECAR VSE」というような表記に変わり*19、MSE以降の車両にも受け継がれている。
客用扉は371系と同じくプラグドアになっている。


歴代の展望付き車両と同じく連接台車を採用。編成は岡部氏の「左右対称のほうが安定感が増す」という理由で偶数の10両編成になったため、LSEやHiSEに比べて1両当たりの長さは長くなっている。
これを実現すべく、軸重の制約条件をクリアしつつ車体長を延長する必要があったため、車体は全てアルミニウム合金製になっており、展望席部分のみシングルスキン構造、それ以外の部分は台枠も含めてダブルスキン構造になっている。
また、3・8号車では屋根上にパンタグラフや列車無線アンテナを装備しているが、それ以外の機器は全て床下に設けられたため、他の号車では天井裏には空調装置のダクトと車内放送のスピーカーしかない。行先表示器は縦に設置されている。
10両編成の連接車の構想はNSEの時からあったものの、軸重の関係でなかなか導入できておらず、車体の軽量化によって晴れて実現した。


乗り心地の向上を図るため、空気ばねによる車体傾斜制御や台車操舵制御が採用されている。1960年代から1970年代にかけて、3回に渡って車体傾斜制御の試験を行なっていたが、当時の技術不足や輸送力増強への集中を理由に実用化は見送られていた。
しかし、時代の流れによって技術が発達したため、晴れて導入が決まった。


また、SEからRSEまでに使われていた補助警報音と同じメロディのミュージックホーンが初めて搭載されており、後輩のMSE・GSEでも使われている。当形式ならではの機能として、車内放送の前後にはCMで使われている「ロマンスをもう一度」のチャイムが流れる。



内装
「Vault」の名の通りドーム状の天井が特徴で、天井の高さはHiSEよりも45cm高い2.55mになり、あたたかみのある間接照明が用いられている。床にはカーペットが敷かれている。シートピッチは1050mm。
岡部氏の提案により、座席は全て窓側に5度向いた状態で配置されている*20。一見5度だけではほとんど変わらないように思われるかもしれないが、実際に見てみると思った以上に窓を向いているのがわかる。窓枠は4席に1枚ずつ。
鉄道車両としては初の「アンクルチルトリクライニング機構」を導入。リクライニングすると座面が沈み込む設計になっている。座面は柔らかいものの、背もたれはやや硬い。モケットはオレンジ色で、ヘッドカバーには金色で「VSE」の刺繍が入る。
EXEとは異なり、テーブルは観光バスのように座席の背面に設置されている。やはり座席と座席の間にひじ掛けはない。
また、窓側にはハードメイプル製の折りたたみ式テーブルが設けられているが、座席を向かい合わせにした時しか使用できない。


目玉の展望席は、LSE・HiSEでは14席だったが、VSEでは2席増えて16席になった。ただし、HiSEのように段差があるわけではないので、3・4列目ではほとんど展望は望めない。構造上、景色は窓側よりも通路側の方が見えやすい。
ここでは全て正面を向いており、一般席のように5度曲がっているわけではない。一般席とは形状が微妙に異なっており、背もたれの上半分が少しだけ狭まっている。
1列目は足元がやや狭いものの、最高の眺めを望めるのでそれほど問題ではない。テーブルは窓側席のみにテーブルがあったHiSEとは違い、前方のカウンターに収められており、通路側も利用できる。
2列目以降は1150mmのシートピッチを有しており、RSE・371系グリーン席をも上回る広さを持っている。テーブルは一般席と同じく座席背面と窓側に備えられているが、後者については配置の関係上、回転しなくても利用することができる。
ちなみに、4列目の座席以外は回転することが可能で、さらにグループ利用も配慮してか、通路側を向いたまま固定することもできる。ただし、展望を望める中であえて別の方向を向く必要があるかどうかは謎であり、後に登場したGSEでは、展望席は全席回転不可能になった。
展望席以外の1・10号車については、シートピッチは1010mmである。その境界にあたる5A~5D席と8A~8D席については、足元だけは非常に広いものの、テーブルは窓側に小さいものが設置されているのみで、網ポケットおよびそこに入っている車内販売メニューやるるぶfreeはドアを隔てた向こう側にある。


デッキとの仕切り扉の上には液晶ディスプレイが設置されており、停車駅や接続路線といった各種情報のほかにも「多摩川を通過」などの案内も表示される。



車内設備
トイレや洗面台・カウンターブース・AEDといった各車内設備は3・8号車に集約されて設置されており、これらの号車には座席がほとんどない。そのため、車体にはロゴが描かれている。
サルーンとカフェカウンターについては後述する。


トイレ・洗面台は3号車の新宿方と8号車の下り方に設置。共通して男子小用トイレとベビーベッド・ベビーチェアを完備した女子トイレを備え、大用は全て洋式トイレである。
男女共用トイレについてはロマンスカー初の「ゆったりトイレ」になっており、ベビーベッドとオストメイトを備え、車いすでも十分入れる大きさを有する最新型になっている。


3号車のサルーンS3前と8号車のカウンターブース前には、当初は喫煙ルームが設置されていたが、2007年3月18日のダイヤ改正からはロマンスカーは全面禁煙になったたことから使用を終了し、以降はAEDとパンフレットが置かれたスペースになっている。


デッキには情報端末ディスプレイが設置され、箱根の天気や観光情報・ロマンスカー紹介・全面展望映像などを閲覧することができる。


ちなみに、EXE以降のロマンスカーでは唯一自動販売機が設置されていない。当初は「スーパーはこね」「はこね」の運用が大半で、車内販売も行われていたことからそれほど問題はなかったが、2018年3月17日のダイヤ改正以降は車内販売がない「さがみ」や「ホームウェイ」などでの運用も増加し、さらには頼みの車内販売すら終了してしまったため、これが引退の遠因になったという見方もある。



サルーン
3号車に4人がけで3区画(南側に2区画、北側に1区画)、計12人分設けられているセミコンパートメント席。利用には運賃に加えて、人数に関係なく特急料金の4倍のサルーン料金が必要である。座席番号はS1~S3になっている。
パーテーションガラスで仕切られており、RSEとは違って1区画ごとの販売であることから、見知らぬ人と相席になることはない。
背もたれはほぼ完全に壁と接しており、くつろぐと言うよりは複数人で集まってワイワイ楽しむことに適していると言える。座席については一般席とほぼ同様で、座面がやや柔らかく、背もたれがやや硬い。中央には展開式のテーブルが、座席上には荷物置き場があり、テーブル下にはコンセントが2つずつ設置されている。



ロマンスカーカフェ
VSEは他の車両とは異なり、かつての「走る喫茶室」と同様のシートサービスを復活させた。コーヒーマシン・電子レンジ・ビールサーバーなどを備えた3・8号車のカフェカウンター*21を拠点とし、HiSEと同じくオーダーエントリーシステムを用いて営業していた。飲み物はVSEオリジナルのグラスで提供されており、購入することもできた。
もちろん、カフェカウンターで商品を購入することも可能である。
しかし、2016年3月26日のダイヤ改正をもってシートサービスは終了し、通常のワゴンサービスに戻った。カフェカウンターの営業も廃止され、以後は2021年3月12日の車内販売終了まで車販基地として使用された。



運用
第1編成は2004年11月23日に入線。この時まだ車体全体が保護シールで覆われた状態で、11月29日には大野総合車両所で「お披露目式」が行なわれた際に初めて一般公開された*22。12月24日から試運転を開始し、定期運用では入線しない江ノ島線や多摩線にも乗り入れた。
2005年2月6日には第2編成も配備され、3月19日より運行を開始。1番列車の「スーパーはこね9号」は予約開始5分で完売し、新宿駅では出発式・小田原と箱根湯本では到着式が執り行われ、車内では乗車証明書・箱根寄木細工・オリジナル鉛筆が配布された。
そして、2006年9月10日には有効得票総数3420票中1005票をマークする形で鉄道友の会が贈る第49回ブルーリボン賞に輝き、「スーパーはこね13号」の一部を会員が貸し切る形で記念列車を運行した。


また、2005年には照明学会の「照明普及賞優秀施設賞」と日本産業デザイン振興会の「グッドデザイン賞」、2006年には香港デザインセンターの「アジアデザイン大賞」、2007年にはドイツ・ハノーファー工業デザイン協会の 「iFデザイン賞」をそれぞれ受賞している。


当初は「箱根専用特急」という差別化から、原則「(スーパー)はこね」のみで運用されており、充当列車もほとんど固定されていた。そのため、臨時列車や他形式の代走などを除いて他の種別では使用されなかった。
しかし、2016年3月26日のダイヤ改正からは平日のみ「ホームウェイ85号」に1本充当されて江ノ島線での定期運用が始まり、GSEの登場以後は「展望付き車両」として共通運用化され、「さがみ」「えのしま」および「ホームウェイ」「モーニングウェイ」でも運行されるなど幅広い活躍を見せた。
なお、2020年3月14日のダイヤ改正からは、ロマンスカーの中では唯一小田原線内59分走破の「スーパーはこね」の充当が消滅してしまった。前述の通り土休日の5号~9号が対象列車だが、以前より7号はGSE・9号はEXE6かMSE6の固定運用になっており、残された5号も同改正にてEXE10の固定運用に変更されたため*23


日本でのラグビーワールドカップ開催に合わせ、2019年9月10日から11月3日まで第1編成が「ワラビーズ号」として運転されることになり、9月10日の「さがみ70号」より運転を開始した。これは小田原でキャンプを行うオーストラリア代表チーム「ワラビーズ」の応援企画の一環で、車体にロゴステッカーが掲載されるほか、運行初日(9月10日)とワラビーズの試合日(9月21・29日、10月5日・11日)には座席ヘッドカバーが特別仕様になる。
なお、日によっては運行されないこともある。


2020年1月10日から、箱根が舞台になっている新世紀エヴァンゲリオンとの大々的なコラボレーションイベントが行われており、その一環として1・3・8・10号車の側面に特別仕様デザインステッカーを掲出し「Romancecar VSE feat. EVA」として運行された。
また、車内販売でドリンクを購入すると、ロマンスカーとコラボしたオリジナルデザインのコースターがプレゼントされる。種類は乗車した車両によって異なっており、2回に分けて行われるため、計8種類がある。
1期は1月10日から3月31日までで、GSEでは2号機、VSEでは零号機、MSEでは初号機、EXEではMark.06である。
2期は4月1日からで、GSEでは惣流・アスカ・ラングレー、VSEでは綾波レイ、MSEでは碇シンジ、EXEでは渚カヲルである。
当初の予定では6月30日までだったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で9月30日まで延長された。



引退
長らくロマンスカーの顔として多くの人々に親しまれてきたVSEだったが、2021年12月17日、車両の経年劣化や主要機器の更新が困難であることなどの理由から、2022年3月12日のダイヤ改正をもって定期運用を終了し、イベント列車での使用後に2023年秋を目途に引退することが発表された。
小田急によれば、リニューアルや更新計画については以前から検討されていたものの、アルミ合金押出形材のダブルスキン構造という特異かつ高価な材質ゆえ、修理には高度な技術や経験が必要で手間がかかってしまうことや、連接構造や車体傾斜制御といった他の車両にはない特殊な構造を多く採用していることから経年劣化に伴う主要機器の更新も難しく、性能を維持できないことからリニューアルを断念し、EXEとは違ってそのまま引退させることになったという。


元々は時代に取り残されたHiSEに代わって登場したこの形式だったが、わずか17年での引退は歴代ロマンスカーでも最短の期間で、皮肉にも置き換えた当のHiSEより短命に終わる結果になってしまった。
人気に反して短命に終わった理由としては上記の他に、車内販売の終了によってカウンターブースがデッドスペースになった上に自動販売機も未設置だったことなどの原因が挙げられる*24
2編成でのべ600万km以上を走行し、この間に約2000万人の乗客が利用したという。


定期運用離脱に際し、2022年1月29日からは両先頭車両と3・8号車側面に記念装飾を車体へ掲出するほか、3月11日までは一部駅にて「小田急ロマンスカー・VSE(50000形)定期運行終了記念乗車券」が10000セット限定(1人5セットまで)で販売された。
そして、2022年3月11日の「ホームウェイ87号」をもって定期運用を終了した。
その後はイベント列車専用で使用され、第2編成は2023年9月24日の「ありがとう50002編成 ~VSE2編成最後のランデブーミステリーツアー~」を最後に引退した。第1編成は12月10日の引退を予定している。
このうち先頭車1両はロマンスカーミュージアムでの保存が決定していることがミュージアム内の掲示で明らかにされている。


後継車両については現時点では計画されておらず、SEから長らく続いてきた連接車両の歴史がいったん幕を閉じることになる。


●60000形「MSE」(Multi Super Express)


(出典:Wikipedia)


概要
2008年3月15日に登場。日本初の地下鉄特急の実現をめざして、小田急が東京メトロの協力を得て開発した青いロマンスカー。第52回ブルーリボン賞受賞車両。
EXEと同様に20m級のボギー車両かつ6+4両編成のため、さまざまな運用に就くことができる。
RSEの引退後は「あさぎり→ふじさん」の運用にも就き、東京メトロ千代田線やJR東海御殿場線といった他社路線に乗り入れる唯一の車両になっており、文字通りマルチな活躍を見せている。
前述の通り、千代田線内での乗降口は1・4・5・7・8・9号車のみである。
6両編成5本と4両編成3本、計42両が在籍しており、EXEとは違って編成によって製造数が異なっていることから、必ずしも6両編成と4両編成の番号が一致するとは限らない。
本厚木駅のホームドア設置の関係で、2022年11月15日以降はEXEともども千代田線を除く全ての駅で4・7号車がドアカットされる。



塗装・機能
地下鉄内でも明るく見えるようにフェルメールブルーの塗装が施されており、ロマンスカーの伝統色であるバーミリオンオレンジとホワイトの帯も健在。VSEに引き続き愛称と形式名のロゴも添えられており、ミュージックホーンも搭載されているが、御殿場線内ではJR東海の規定により使用されることはない。


ロマンスカー伝統の流線型を残しつつ、非常時のための貫通扉を設置している。同じく地下鉄に乗り入れる4000形とは共通点も多い。


側面の行先表示器はフルカラーLEDで種別・列車番号と行先が交互に表示されるようになっているが、御殿場線直通運用時には「特急」の文字も表示される。ロマンスカーでは初めて愛称・行先の文字を自由に設定できる機能が追加された。



内装・車内設備
シートピッチは983mm。EXEの1000mmよりは狭くなっているものの、背もたれが薄いので足元は逆に広くなっている。
2.3mの天井は丸型で、照明・カーペット・ヘッドカバーなどを見てもVSEを彷彿とさせるデザインに仕上がっているが、モケットはEXEのような茶色になっており、2形式のいいとこどりをしたような感じになっている。窓枠はEXEと同じく2席に1枚ずつ。
座席は人間工学に基づいた薄型設計であるが、座り心地は背もたれ・座面ともに板のようにかなり固いと言われている。
テーブルはEXEと同じようにひじ掛けに収納されており、シートを向かい合わせにした時も各自使用でき、出したまま回転することも可能。ただし、ブーメラン型の形状になっており、他の車両よりも少し小さいので使いづらい。ひじ掛けにはEXEのように布で覆われてはおらず、金属がむき出しなので触ると冷たい。
車端部には1枚板のテーブルが設けられ、ひじ掛けのテーブルとセットで使える。
座席背面には傘立てとフックを設置。肩部には「MSE」のロゴが入った握り手が備えられている。
仕切り扉の上にはフルカラーLEDで表示される車内案内表示器があり、2段式で日本語・英語と中国語・韓国語の組み合わせで流れる。


車内設備の配置は基本的にEXEに準拠しており、トイレ・洗面台は2・5・8号車、カウンターブース・自動販売機・AEDは3・9号車、車いす対応座席は5・8号車に設置(この近くのドアは両開きで幅が850mm)。
トイレは共通して男子小用トイレとベビーベッド・ベビーチェアを完備した女子トイレを備えており、大用は全て洋式トイレである。
5号車・8号車の男女共用トイレは、VSEと同様にベビーベッドとオストメイトに対応した「ゆったりトイレ」になっており、車いすにも対応している。
2号車の男女共用トイレにはベビーベッドとベビーチェアがある。洗面台のカーテンには「MSE」のロゴもあしらわれている。


客室とデッキの仕切り扉は車体色と同じくフェルメールブルーになっており、2009年の増備車ではデッキに防犯カメラも設置された。



運用
2007年9月に第1編成の6両が入線。10月には「ファミリー鉄道展」でお披露目され、営業運行開始前に展示され大きな話題を呼んだ。
2008年3月15日より運行を開始し、「青いロマンスカー」と大きく宣伝された。この時点では6両編成が2本と4両編成が1本のみで平日では予備の車両がなかったことから、「メトロさがみ70号」で北千住駅に到着後は綾瀬駅で折り返し、喜多見検車区まで回送していた。土休日は6両編成と4両編成を各1編成ずつ使用。
その後は多くの臨時列車もこなし、2008年にはワトフォード会議の第10回ブルネル賞「車両部門・奨励賞」に輝き、さらにVSEに続いて日本産業デザイン振興会の「グッドデザイン賞」も受賞。
そして2009年9月13日には、前述した車両運用・デザイン・居住性など多くの点が評価され、有効投票総数2668票中797票を得る形で第52回ブルーリボン賞を受賞。新宿駅で記念式典が行われた後、RSEの「はこね」運用を一部代走する形で記念列車が運転され、初の「はこね」運用および10両編成の新宿乗り入れを果たした。


当初の予定では、土休日に新宿~箱根湯本間の「はこね」運用に就くに使用する予定だったものの、実際には臨時列車や他形式の代走を除いて以外新宿発着の運用はなかったが、2012年3月17日のダイヤ改正より「あさぎり」全列車をはじめとする新宿発着列車の定期運用に加わった。
2009年には6両編成が1本、2011年と2015年11月には6両編成・4両編成がそれぞれ1本ずつ戦列に加わり、6両5本・4両3本になってMSEの配備は完了した。


●70000形 「GSE」(Graceful Super Express)


(出典:Wikipedia)


概要
LSEの置き換えのため、2018年3月17日のダイヤ改正より登場。
VSE以来約10年ぶりの展望席付き車両である。V第62回ブルーリボン賞受賞車両。
箱根につづく時間ときを優雅に走るロマンスカー」をコンセプトに、観光向けの「非日常性」と、ビジネス向けの「日常性」を兼ね備えた車両になっている。2編成14両が在籍。
デザインはVSE・MSE・EXEαに引き続き、岡部憲明氏が担当。



塗装・機能
バラを思わせるローズバーミリオンの塗装が特徴で、屋根はルージュボルドー、床下台枠覆部はEXEαと同じくムーンライトシルバーで彩られている。ロマンスカーおなじみのバーミリオンオレンジの帯も描かれており、VSE・MSEと同様に愛称と形式名のロゴも描かれ、ミュージックホーンも搭載されている。
VSEと同様に展望席を備えているが、将来のホームドア設置を考慮してか、連接台車ではなく20m級ボギー車7両編成になっており、展望席とボギー構造というロマンスカーでは史上初の組み合わせになった*25。行先表示器は側面の窓上に設置されており、MSEやEXEαと同じくフルカラーLEDで種別・列車番号と行先を交互に表示するほか、MSEと同様の任意愛称表示機能と、駅発着前後にアニメーションを表示する機能もある。
ボギー台車になったことと、サルーンやカフェカウンターといった設備を廃止したことで定員数の増加が図られており、VSEよりも42席多い400席になった。



内装・車内設備
座席は展望席1列目を除き475mmの幅になっており、これはロマンスカー最大の大きさである。前面窓には大型の1枚ガラスを、車体側面には高さ1mの連続窓を採用しており、歴代の展望付き車両よりも窓が大きいため眺望性が高い。窓枠はEXEやMSEと同じく2席に1枚ずつ。
なお、VSEとは違って展望席は回転することができない。


シートピッチはMSEと同じく983mmだが、海外からの大荷物を抱えた乗客を考慮し、座席下と前席の間には国内線の旅客機用の荷物を置ける十分な広さが設けられており、4号車を除くデッキ付近にも荷物置きスペースが確保されている。そのため、展望車には荷棚が設置されておらず、他の車両以上に眺望性が高いのが特徴。
モケットは従来の単色調から一転、モザイク調になっている。座席背面には、ドリンクホルダー・マガジンラックを備えたボードと、傘立て・3つのフックが設けられている。例によってヘッドカバーには「GSE」の文字が入っており、肩部の手すりにも工夫がなされているが、やはりひじ掛けは金属の部分がむき出しになっている。
テーブルは従来通りひじ掛けに収納されており、MSEの反省を生かしてか十分な大きさを有している。そして、ロマンスカーでは初めて全座席にコンセントを完備した車両になり、ひじ掛け下に設置される。
また、窓側には小さなテーブルも設置されている。


トイレを除く車内設備は4号車に集約されており、車いす対応座席・AED・自動販売機などが設けられている。EXEαと同じくカウンターブースは撤去されており、代わりに多目的室が設けられているほか、デッキには防犯カメラも設置されている。
トイレと洗面台は2・6号車にも設置している。共通して男子小用トイレとベビーベッド・ベビーチェアを備えた女子トイレを有し、4号車の男女共用トイレはVSEやMSEと同じく「ゆったりトイレ」になっており、オストメイト対応でベビーベットも完備し、さらに改良型ハンドル型車いすに対応している。


VSEと同じく「ロマンスをもう一度」のチャイムが流れるが、あちらよりも若干音が高い。また、これとは別に、始発駅発車前や終着駅到着前には「tea for two」と「moon light serenade」のBGMが流れる。


さらに、Wi-Fiによるインターネット接続環境も整備されている。このGSE車内限定無料サービスである「Romancecar Link」を接続すると、なんと中間車両からでも現在走行中の前面・後面展望の映像をスマホから見ることができるというサービスが導入されている。



運用
第1編成は2018年3月17日のダイヤ改正より運行開始。初運行の「スーパーはこね5号」はわずか2秒で特急券が売り切れた。
5月3日から5日には、19年ぶりに復活した臨時列車「あしがら61号」として新宿→箱根湯本間を運行した。LSEが引退した7月11日以降は第2編成も戦列に加わっている。


10月3日には「グッドデザイン・ベスト100」、10月31日には「グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)」を受賞。
そして2019年5月23日には、有効得票数の62.8%をマークする形で第62回ブルーリボン賞を受賞。26日・27日の「小田急ファミリー鉄道展」ではSEと新旧ロマンスカー夢の競演を果たした。


現在はVSEとともに「展望付き車両」として共通運用になっているが、2019年3月16日のダイヤ改正の時刻表では、土休日のみ車型に「展G」と表記され、固定運用の扱いになっていた。


ちなみに、2019年1月3日の箱根駅伝では1位の選手が箱根湯本駅を通過する時にちょうど駅にいたが、これはダイヤ担当者の粋な計らいで、選手の通過時間に近い列車にGSEが充当されたためである。
この3年後には同じ方法で引退の決まったVSEが使用された。



過去の車両

●1600形
特急ロマンスカーの前身である「週末温泉特急」に1948年から運用に入った形式。有料・座席定員制としては小田急初だが通勤車両のため、3扉のオールロングシートだった。
1976年の廃車後は他社に譲渡されており、関東鉄道に譲渡された車両は後述するキハ5000形とコンビを組んで運用された。



●1910形→2000形(初代)
一般的に初代ロマンスカーと言えばSEが連想されるが、「特急ロマンスカー」の名を冠して走り始めた専用車両はこの形式が初である。ロマンスカーの代名詞のひとつ、「走る喫茶室」のサービスを開始したのもこの形式。
1949年から1952年まで特急運用に就いていたが、ロマンスカー以外の運用も念頭に置いていたため、2扉セミクロスシートだった。その後は通勤車両に改造され、1976年に引退している。



●1700形
1951年に登場。初の2扉オールクロスシートの特急専用車両で、特急ロマンスカー人気を高めた車両として名高い。
SEが全て揃うまでに特急運用から離脱し、通勤車両へ改造され、1974年に引退した。
ちなみに、ロマンスカーで初めて「ヤマユリ」*26のシンボルマークを取りつけた車両である。その後、通勤車両に改造された際に外されたが、1980年にはLSEの自動ドアに貼りつけられる形で復活し、後輩のHiSE・RSEにも受け継がれた。いずれの車両もリニューアル後からは車体側面にも描かれた。



●2300形
SEを開発する一方で、高まるロマンスカー人気に対応するためのつなぎとして1955年に登場した車両。小田急の特急車両としては初の直角カルダン駆動方式の高性能車両で、初のリクライニングシートを備えている。
1959年にSEが出揃うまで特急運用に就き、その後は2扉セミクロスシート車の準特急用車両に改造された。
準特急の廃止後は通勤車両に改造され、1982年に引退。その後は富士急行に譲渡され、同社5700形として1997年2月まで使用された。
小田急では初めて他社路線に譲渡された特急用車両であるが、格下げ後だったということもあって一般列車として運用された。



●2320形
特急ロマンスカーを補完するための準特急用車両として1958年に登場。両開きの客用扉を2か所に持つセミクロスシート車である。
2300形とは共通運用が組まれており、土休日の準特急を中心に、平日には一般列車としても使用されていた。しかし、1963年のNSE増備によって準特急が廃止になったことで通勤車両へと改造され、2200形・2220形とも共通で運用されることになった。
1983年の引退後は一緒に富士急行に譲渡され、同社5700形として1997年2月まで使用された。



●キハ5000形・5100形
5000形は1955年10月1日から登場。小田急初の気動車で、「ふじさん」の起源である特別準急「銀嶺」「扶養」を運行した形式である。1956年6月10日からは、一部の仕様を変更した5100形が増備された。
御殿場線の電化により、乗り入れ車両としてSSEが登場することになり、1968年6月30日をもって運行を終了。全車両が関東鉄道に売却され、ロングシート・3扉化などの改造を経て同年12月より常総線で運行を開始し、1988年9月30日の全廃まで使用された。廃車後も常総線新塗装デザインの検討用モデルとして使用されている。
なお、関東鉄道では前述したクハ1650形と併結して運用されるという小田急時代には決して見られなかった編成で使用された。



●3000形(初代)「SE」・「SSE


(出典:Wikipedia)


概要
1957年7月6日より運行開始。ロマンスカーの元祖車両であり、連接台車・流線型を取り入れた初の列車である。学生時代にスペインのタルゴの存在を知って以来連接車に関心を抱いていた山本利三郎氏主導のもと、戦争で疲弊した輸送施設の復旧と改善のために「新宿と小田原を60分で結ぶ」ことを目標に、国鉄との共同開発の末、「画期的な軽量高性能新特急車」として誕生した。
Super Express」(略して”SE”)という愛称が設定され、以降ロマンスカーはEXEを除いて「SE」を共通ワードに、それぞれの特徴を表した言葉の頭文字を先頭につけて、「○SE」という名称で呼ばれることが恒例になる。
8両編成4本、計32両が導入された。


「電車といえば四角い箱」という認識が当たり前だった当時においては非常に画期的な車両であり、多くの人々の注目を集めた。初代ブルーリボン賞受賞車両…というより、ブルーリボン賞は元々当形式を表彰するために始まったといっても差し支えない。
国鉄へ貸し出されて当時の狭軌世界最高速度145km/hを記録し、新幹線の開発に多大な影響を与えたため、「新幹線の親」ともいわれる、鉄道史に残る名車。


現物をご覧になった方はお気づきかと思われるが、上記の通り軽量・高速化を前提に設計されたため、一般的な鉄道車両に比べて車高が低く極めて小さいのが特徴。当初こそ画期的な形状や性能を誇っていたが、次第に国鉄や私鉄各社も負けじとさまざまな特急列車をデビューさせていったこともあり、小田急としては軽量化に徹しすぎたSEではやや物足りなく感じていったという。


ちなみに、映画『007』の原作者であるイアン・フレミング氏も来日した際に本形式に乗車した経験があり、「まるで火星上を走る列車を思わせた」と大絶賛している。



塗装・機能
塗装はバーミリオンオレンジをベースに、グレーとホワイトの帯で塗り分けられたものになっており、テントウムシのような明るい警戒色である。このデザインは続くNSE・LSEにも引き継がれ、特にバーミリオンオレンジはやがて「ロマンスカーの伝統カラー」と位置つけられるようになり、VSE以降の全ての車両で側面の帯として彩られている。


ちなみに、ロマンスカーとしては初めて補助警報音を搭載した車両で、RSEまで引き継がれたほか、「小田急ピポーの電車」というCMソングも作られるほど、ロマンスカーのイメージとして定着した。EXEでいったん途絶えたものの、VSEからは同じメロディのミュージックホーン(警笛と兼用)を搭載するようになり、続くMSE・GSEでも実装されている。



内装・車内設備
座席は回転式クロスシートで(車端部はスペースの都合上回転不可能)、リクライニング機能はない。シートピッチは1000mm。モケットは青色で、一時期1編成が茶色のチェック模様になっていたが後に戻され、1984年の車体修理以降はLSEに準じたオレンジとイエローのツートンになっている。窓側には折りたたみ式のテーブルが設置される。
当時はそういうスタイルが主流だったのか、デッキが一切設置されておらず、客室に直接ドアが備えられており、むしろ通勤型車両に近い構造である。仕切り扉も設置されていない。


3・6号車には喫茶カウンター、2・7号車には男女共用和式トイレと洗面台が設けられており、いずれも通路を挟んだ反対側は座席が置かれている。
1962年以降は冷房の設置に伴う改造により、各号車とも定員が4名ずつ減少し、316人になった。



運用開始と国鉄試験
1957年5月20日に第1編成、6月上旬に第3編成が入線。試運転では最高速度127km/hを記録したものの、曲線の多い小田急線ではこれが限界だったため、小田急と開発にも携わった鉄道技術研究所は当初より国鉄での高速試験を希望していた。
7月6日に運行を開始して以降、連日満席になる好成績をおさめ、箱根湯本駅前には「祝 超特急車運転開始」という歓迎アーチも立てられた。


当時、後の新幹線になる高速電車の開発を練っていた国鉄は、山本氏から試験で収集されたデータを小田急と国鉄の双方で利用する条件でSEの国鉄線上での高速試験を打診され、「絶対に145km/h以上出さない」ことを条件に受諾した。
こうして、私鉄の車両が国鉄線上で高速試験を行うという、日本の鉄道史上で初めての事例になった。
なお、後述するように1982年にはLSEも試験を行っており、国鉄の路線上で私鉄の車両が走行試験を行なった、ただ2つの事例になっている。


試験には8月8日に入線し、すぐには営業運転されていなかった第2編成が充当された。9月19日に小田原から自力で東海道線に入り、翌日より試験を開始。初日は日中時間帯に藤沢~平塚間、9月21日以降は深夜に大船~平塚間を走行した。
最初は95km/hで走行し、5km/hずつ速くしていった。9月24日深夜には小田急線での記録を上回る130km/hをマークし、9月26日午前3時34分30秒、当時の狭軌鉄道世界最高速度である143km/hを打ち立て、「東京と大阪を結ぶ特急電車計画の見通しがついた」と新聞各紙で報道された。


しかし、ここで終わらない試験関係者たち。SEの設計上の最高速度である145km/hを出すべく、9月27日からは長い直線区間とゆるい下り勾配がある函南~沼津間で日中時間帯に試験を開始。午前11時ごろから2往復してウォーミングアップを行い、午後に函南駅を発車。三島駅を100km/hで通過した後も加速を続け、午後1時57分に145km/hに到達。この瞬間、昨日の記録を更新する形で狭軌鉄道世界最高速度が達成された*27
なお、150km/hまで速度を上げることも想定されていたが、実現することなく終わっている。


この波及はすさまじく、国鉄では新幹線開発が本格化し、小田急でもロマンスカーの利用者数が急増した。
また、鉄道友の会はこれを契機に「ブルーリボン賞」を創設し、SEに対して無投票で第1回ブルーリボン賞を授与した。


9月28日に速度試験は終了し、SEは小田急線に戻ったため、1700形は一般車に改造された。1959年2月12日には第4編成が入線し、2月28日から運行を開始*28。これにより、ロマンスカーは全てSEでの運用が可能になったため、2300形は準特急に格下げされた。




(出典:Wikipedia)


SSEへ
御殿場線が電化されたことで直通運転を行うための電車が必要になり、新型車両を製造する案やNSEで置き換える案もあったものの、当時の国鉄では組合闘争が激しく、「NSEが乗り入れてくれば反対する」という噂もあったため、SEを転用して対応することになった。しかし、そのままでは「えのしま」「さがみ」に加えて御殿場線直通列車まで使用するのは輸送力不足なことから、1編成あたりの両数を減らしてその分編成数を増やす方法が採られた。
その結果、8両編成から5両編成に短縮改造され、1968年7月1日から特別準急(後に連絡急行)「あさぎり」として乗り入れを開始。5両編成になった当形式を「SSE」(Short Super Express)と呼ぶこともある。多客時や団体輸送時は2編成を連結した「重連運転」も行われたが、最初から連結しての運用を想定していたわけではなく、連結時は1号車から5号車が2両ずつ存在してしまうため、「A号車」「B号車」として区別した。
改造により、先頭車両の形状の変更・連結器の設置・冷房装置の強化などが行われ、塗装デザインもNSEに準じたものに変わった。トイレ・洗面台は2号車、喫茶カウンターは3号車に変更された。
既存の4編成は旧1・2・3・7・8号車からなる5両編成にし、新規の2編成は既存の5・5・6・4・4号車で組成し、中間車両を先頭車両に改造して対応した*29
なお、余った旧第1編成・旧第3編成3号車の2両の車体は廃棄された。


しかし、元々耐用年数10年で設計されており、1987年で車齢30年になるなどかなり老朽化が進んでいた。1980年代以降はLSEに置き換える案もあったものの、当時の国鉄側の情勢や現場の反応などを考慮し、結果車体修理工事を実施して運用していた。
NSEの検査中はSSEが代走することもあったが、後継車両のLSEが登場したことでそれはなくなり、もっぱら「あさぎり」専属の車両になった。


LSEの増備が進んだことで1983年3月に引退した第1編成(旧第1編成の1・2・3・7・8号車)は、動態保存車両として大井川鉄道(現:大井川鐵道)に譲渡され、4月15日付で竣工。動態保存という見地から外観はほとんど変わっておらず、客室・運転室内のカーテン交換や保安装置関連、電動車の記号が「デハ」から「モハ」に改められた点など、内装や走行機器の変更点にとどまり、ミュージックホーンも残されている。同社初の冷房車両でもある。
同社の固定編成車両では最長となる5両編成で、当初は3両編成に改造する案があったが、技術的な問題があったことや、小田急が先頭車両に乗客用扉を設置することに了承せず、3両では中間車両の扉片側1箇所のみで使用できなかったことなどから、結局5両のまま譲渡された経緯がある。


試乗会に先立って大井川鉄道・鉄道友の会・小田急の関係者による出発式が行われ、8月よりロマンス急行「おおいがわ」として運行を開始。車内では緑茶のサービスも行われたが、5両編成(実際にはボギー車3両分)という供給過多であることやSL急行ほどの人気は得られなかったこと、ワンマン運転に改造することもできなかったことから1987年7月のダイヤ改正以降は運用がなくなり、休車扱いになった。
同社Twitterの公式アカウントでは後年、トップナンバーたる第1編成だったことから残せるように努力したものの、老朽化や軽量・連接車体という整備の難しさなどを考慮し、1992年にやむなく廃車にしたと述べている。その後は千頭駅構内に留置された後、同年4月に新金谷駅構外の側線(大代川側線)に移動し解体された。
特急用車両の譲渡は2300形以来2例目で、引き続き優等列車に使用されたのは初のケースである。


1987年からの車体修理工事に含まれなかった第2編成(旧第2編成の1・2・3・7・8号車)は、運用に入らず経堂検車区で留置され、1987年3月27日をもって廃車された。
この編成は国鉄を走行して世界最高速度を記録した車両だったため、廃車後もしばらく海老名検車区で保存されていたが、車両増備による留置線不足などを理由に、1989年5月に大野工場で解体されてしまった。



運用終了・保存
それ以降も残った4編成が何とか生きながらえてきたが、後継車両であるRSE・371系の登場が決定したことでようやく引退の目途が立ち、1991年3月15日の定期運用終了が発表された。1991年に入ってからは「さよなら運転」のタイトルが入った愛称板も用意された。
そして迎えた定期運用最終日、最後の「あさぎり8号」は重連運用になり、新宿駅には多くの人々が押し寄せた。これをもってSSEは全ての運用を終了した。
小田急の特急用車両が一般車両に格下げされることなく引退するのは初の事例であった。


その後もしばらくは波動用として残されていたものの、翌年3月8日の「さよなら3000形走行会」で最初で最後となる唐木田駅へ入線。これをもって全車両が廃車された。
その日は奇しくも、以前の0系100系とは全く異なるデザインになった300系新幹線の試乗会でもあり、新旧の節目と報じられた。


生みの親である山本氏は「特急車は10年もすれば陳腐化する」「丈夫に長く使える車両と考えるから鉄道車両の進歩が遅れる」という理由から耐用年数10年で設計していたが、実際には彼の意志に反して約35年にも渡って使われたのである。


当初は保存の計画はなかったが、日本鉄道史および産業考古学上重要な存在ということもあり、役員会で1編成の永久保存が決定。第3編成(旧第3編成の1・2・3・7・8号車)が選ばれ、新宿方2両を登場当時のデザインに復元した上で海老名検車区の専用格納庫で眠っているが*30、内装はSSE時代のままになっており、モケットはNSEとほぼ同様のデザインである。
通常は非公開だが、毎年行われるファミリー鉄道展で展示されることがあり、2007年10月開催時には保存以来初となる屋外展示が行われた。
また、1992年11月10日には大野工場の構内にSEのモニュメントも設置された。


しかし、2018年4月27日にスペース確保の観点で中間車両2両(2・3号車)の解体が告知されてしまう。そして、最後の5両での屋外展示になった翌年5月26日・27日のファミリー鉄道展ではブルーリボン賞を受賞したばかりのGSEと夢の共演を果たし、終了後は大野総合車両所へ回送され、8月に解体されてしまった。
その後、残った3両(1・7・8号車)はロマンスカーミュージアムに展示されており、ドア付近しか入れないもののそこから座席や連接部を見学することが可能。
また、2023年8月には一般社団法人日本機械学会の「機械遺産」に認定されている。


●3100形「NSE」(New Super Express)


(出典:Wikipedia)


概要
SEをフル稼働してもなお不足する観光需要と、迫る東京オリンピックに対する輸送力増強のため、1963年3月16日に登場した2代目ロマンスカーで、初めて展望席を設けた車両である。第7回ブルーリボン賞受賞車両。年配の方はロマンスカーといえば当形式をイメージする人が多いだろう。
「安全」「経済」「デラックス」「魅力」「快適」「高速」という6つのコンセプトがあり、『鉄道ピクトリアル アーカイブス1』の記述によると、当初はこれらの項目の頭文字(Safety, Economy, Deluxe, Attractive, Comfortable, Speed)から「SEDACS Car」という愛称にする案もあったとのこと。


最大の特徴は何と言っても展望席で、運転席を2階に上げることで車両の先端まで座席を置くことが可能になり、乗客に眺望性を楽しんでもらえるようになっている*31
同じく運転席を2階に移動することで展望席を確保した、展望付き車両の先輩である名鉄の「パノラマカー」とよく比較されているが、あちらの方が先に登場したため、少なからず参考にした部分も多いと思われる。
徹底的に軽量化を追求したSEで問題視されていた全体の貧弱さも解消され、車幅は2900ミリに拡大、鋼板もやや分厚いものが使用されている。


ロマンスカーでは初の11両編成で、以後HiSEまで受け継がれている。しかし、1両あたりの長さが短いため、編成長は144.47mと通勤型車両換算で7両ちょいの長さしかない。
7編成77両が導入され、歴代ロマンスカーでは最大数になった。
当初は10両編成で開発する計画だったが、軸重軽減のため11両編成に変更された経緯があり、VSEになるまで10両編成の連接車は登場していない。


知っている人はかなり年配かマニアックかもしれないが、ウルトラQの第28話に登場したいわゆる「異次元列車」は当形式がモチーフになっており*32ウルトラセブン第2話にも登場している。
その他、東映の「ジャイアントロボ」にも登場しているほか、活躍範囲が首都圏であったことや近未来を思わせるスタイリッシュな外見であったことなどから、テレビドラマなどに登場する機会にも恵まれていたようである。



塗装・機能
塗装はSEと同じく、バーミリオンオレンジをベースにグレーとホワイトの帯で塗り分けられたものだが、デザインは若干異なる。補助警報音もSEと同様だが、当形式以降はエンドレステープからトランジスタ発振器に変更された。
種別幕は正面に設置され、列車ごとに五角形のアクリル板を交換する仕組みだった。



内装・車内設備
座席はSEと同様にリクライニング機能のない回転式クロスシートで、シートピッチは970mmになっている。窓側には折りたたみ式のテーブルが備えつけられている。
室内の配色については、編成長の増加による単調さを避けるため、4~8号車とそれ以外の号車で天井やカーテンなどが異なるようになっている。
ちなみにモケットは、1・2・3号車は金茶色、9・10・11号車は赤紫色、それ以外の車両は灰青色である。


初採用の展望席は10席で、南側に4席・北側に6席が配置されている。


3・9号車には喫茶カウンターが設置され、SEよりも面積が拡大している。トイレ・洗面台は4・8号車にあり、男女共用和式トイレ・男子小用トイレになっている。


SEと同じく客用ドアは手動になっており、やはりデッキがなく客室に直接備えつけられているが、あちらと違いトイレの両側にのみ仕切り扉が設置されている。3代目のLSEからは全て自動ドアになり、デッキが設けられるようになったため、SEともども貴重な手動ドアのロマンスカーである。


1977年から1980年にかけて改造が施され、号車によって異なっていた車内のデザインが編成全体で統一されるようになり、モケットはワインレッド1色になり、天井やカーテンの色も統一された。また、通路にカーペットも敷かれている。


LSEの登場により運用に余裕ができたことから、1984年~1988年にかけて日本車輛製造で更新工事が行われた。この工事では種別幕が電動字幕式になり前面に変化が生じたほか、喫茶カウンターの面積拡大により3・9号車の定員数が4名ずつ減って456人になった。また、モケットもLSEと同様のオレンジとイエローのデザインになったが、1987年以降はダークレッドになっている。



運用
1963年1月から2月にかけて2編成が入線。運転開始2日前の3月14日には、試運転ながら130km/hの速度を記録し、当時の最高速度を記録した。
1963年にはさらに2編成が戦列に加わり、SEともども4編成体制になった。そのため、11月のダイヤ改正からは30分間隔での運行が可能になり、同時に新宿~小田原間の所要時間は62分にまでスピードアップした*33
1964年には、総票数1485票中684票をマークする形で第7回ブルーリボン賞を受賞。
その後、1966年から1967年3月までにもう3編成が増備され、箱根特急は検査時以外を除いてNSEだけでの運用が可能になった。


ちなみに、当時目標として設定されていた「新宿~小田原間60分」が実現した場合を想定し、1編成が折り返し時間を含めて1往復するのに180分かかり、30分間隔で運行した場合は6編成あれば足りることから、車両点検時の予備車を考慮して7編成が製造された経緯がある。
ただし、通勤輸送の需要予測の誤りや新宿駅改良工事などの影響で、以降は最速でも69分にスピードダウンしてしまうことになった。



運用終了・保存
その後、置き換え車両であるEXEが登場したことで、1996年から廃車が始まり次々と淘汰が進められていく。
そして、1999年7月17日のダイヤ改正をもって引退することが発表されると、この頃にはすっかり使われなくなっていた補助警報音が再び鳴らされるようになったほか、車体には「The last running Odakyu RomanceCar 3100形」というロゴも表記され、メモリアルロマンスカードをはじめとして、形式名にちなんで3100個限定の腕時計やプラレールなどが発売された。
運用終了直前の7月11日には、事前招待制の「さよなら走行会」が相模大野~唐木田間で運転された。
そして迎えた定期運用最終日、最後の運行になる「あしがら80号」は特別に箱根湯本発に変更され、出発式では箱根町長から感謝状を贈呈された。この運行をもってNSEは36年の歴史に幕を閉じ、翌日付で第5編成・第7編成も廃車された。


その後、6両に短縮された第7編成が喜多見検車区で保存されていたが*34、複々線完成に際して通勤時間帯に増発する列車の収容や緊急時における車両の収容場所の確保のために中間車両が一部解体されて3両になり、ロマンスカーミュージアムに展示されている(SEと同じくドア付近のみ立ち入り可能)。
また、開成駅前には第5編成の11号車が保存されており、「ロンちゃん」という愛称を持つ。毎月第2・第4日曜日には車内の公開も行われており、夏季シーズンには土日やお盆でも公開される。



(出典:Wikipedia)


1997年からは小田急開業70周年を記念して、話題性と新しいサービスの提供を狙うべく、第4編成を団体列車用に改造した「ゆめ70」が登場。ロマンスカーでは初となる青色を含めた、ホワイトをベースにダークブルーとレッドのトリコロールになっており、ダークブルーとレッドについては、編成の中心である6号車を境にデザインが逆になっている。また、車体全体に大量の棒人間が描かれている。
内装は宇宙空間をコンセプトとし、室内の腰板と幕板はダークブルーのメタリックとし、座席のモケットはダークブルーに黄と青を散りばめたデザインとした。また、両先頭車両は展望席以外を撤去してラウンジスペースになっており、波打つようにソファーが設置され、展望席についても出入台寄りの座席を1脚撤去して荷物置き場を設置した
次の定期検査までの期間限定で、主に団体列車や臨時列車を中心に運用されたほか、1999年7月までは定期運用にも就いており、時刻表にも「ゆめ70」使用のマークが記載された。


オリジナルのNSEが全て引退した後も「ゆめ70」は残っていたが、1999年7月17日のダイヤ改正からはロマンスカーは乗降扱い時に全ての扉を自動扱いすることになったため、全ての扉が手動ドアの「ゆめ70」は団体列車のみの運用になった。
そして、定期検査切れ直前の2000年4月23日に新宿~小田原間を1往復した「さよなら運転」*35をもって「ゆめ70」は引退し、3日後に廃車され、数日後に解体された。
車両自体が他社に譲渡されたことはないものの、冷房装置が高松琴平電気鉄道へ、座席が一畑電車へそれぞれ譲渡され、車両に搭載されたことがある。
また、東京都新宿区の新宿歴史博物館には、座席・扉・運転席が保存されている。


●7000形「LSE」(Luxury Super Express)


(出典:Wikipedia)


概要
老朽化するSEの後継車両として、1980年12月27日に登場した3代目ロマンスカー。NSEから展望席と連接台車を継承しつつ、さまざまな面で改良がなされ、より洗練されたデザインになった*36。第24回ブルーリボン賞受賞車両。
展望席を設けた車両としてはNSE以来2代目、連接台車を採用した車両としてはSE以来3代目である。
NSEに引き続き11両編成で、4編成44両が導入された。



塗装・機能
先頭車両の形状がNSEよりもシャープになっており、ライトや種別幕を車体に埋め込む構造になっている。種別幕は当初から電動字幕式で、正面に設置される。


塗装デザインも先輩2形式にならって、バーミリオンオレンジをベースにホワイトとグレーで塗り分けられたもので、多少の違いこそあれど大きく変わる部分は少ない。
なお、SEから当形式までのメイン色になったバーミリオンオレンジは「ロマンスカー伝統のカラー」として定着することになり、VSE以降の全ての車両の側面に帯として添えられることになる。
補助警報音も健在。


将来の御殿場線入線にも同一機器で対応できる設計になっており、「あさぎり」への転用も示唆されていたが、結局最後までSSEが使われたため、LSEの御殿場線入線は幻に終わった。



内装・車内設備
2300形以来久しぶりにリクライニングシートが設置され、NSEと同じくシートピッチ970mmで配置。リクライニングシートはひじ掛けにあるレバーを押し込んで傾く仕組みになっている。モケットはオレンジとベージュのツートンカラー。
引き続き窓側には折りたたみテーブルを備える。
折り返しの車内整備を簡素化するため、鉄道車両では初めてにスイッチ操作による回転式リクライニングシートの自動転換機構を装備した。


展望席はNSEの10名から4名増えて14人になっており、南側に8席・北側に6席設けられている。


ロマンスカーでは初めて自動ドアが採用され、デッキも設置されたほか、1・2号車と10・11号車の間を除いた全ての車両間に仕切り扉も設置された。1700形の特急時代に描かれていた「ヤマユリ」のブランドマークが復活し、扉に貼りつけられている。


3・9号車には喫茶カウンター、4・9号車にはトイレ・洗面台が設けられ、NSEと同じく男女共用和式トイレと男子小用トイレである。1985年以降は9号車に公衆電話も設置されている。



運転開始
第1編成は1980年12月27日より営業運転を開始。その2日前には新宿駅で完成記念式典が行われ、ひと足早く臨時列車が運行されている。
1981年9月13日には、総票数9822票中2233票をマークして第24回ブルーリボン賞を受賞。新宿駅の地下ホームで記念式典が行われ、受賞記念列車が運行された。
同年度中に第2編成も運用を開始し、1982年11月には第3編成も戦列に加わった。


1982年の11月から12月には国鉄からの依頼で貸し出され、東海道線で試験走行が行われた。
これは、新型特急用車両の計画を進めていた国鉄は開発にあたり、ボギー車と連接車の比較を行おうとしていたが、当時の国鉄には試験に使用できそうな連接車がなかったためである*37
LSEが選ばれた理由については、ボギー車側の183系と重心の高さや輪重などの数値が似通っていたからだという。
貸し出された第2編成は各種調整を行った後、1982年12月10日から15日にかけて大船~熱海間で最高速度130km/hでの走行試験が行われた。
SE以来の「国鉄の線路で試験を行った私鉄の車両」であり、沿線には多くの鉄道ファンが訪れた。


この試験により連接車の特性が定量的に把握されたが、結論としては「ボギー車と連接車で乗り心地の差は見られず、同程度の性能」ということになった。ただし、「台車構造の差が測定結果に強く認められたため、十分に違いを把握したとはいえない」とも述べており、曲線の通過性能については「今後さらに検討を要する」とした。車両ごとの振動の差が少ない点には「連接構造による車両間の拘束が強いため」と認めている。
そのため、国鉄は連接車両の導入を見送り、JRに代わってからも少数が生産されるにとどまり、現在も連接台車の本格的な導入は行われていない。


その後、1983年12月に第4編成が入線し、LSEの増備は完了した。




(出典:Wikipedia)


HiSEカラーへ
1996年から1998年までにリニューアル工事が実施され、塗装がバーミリオンオレンジ基調から、HiSEと同様の濃淡ワインレッドとパールホワイトで塗り分けられたものに変更され、前述のヤマユリのマークも車体側面に追加された。
また、座席モケットの変更や車いす対応座席の設置なども行われている。


その後、2007年7月6日からは小田急開業80周年およびSE登場50周年を記念し、4編成中1編成が登場当時のバーミリオンオレンジ基調に復元された。翌年3月31日までの期間限定だったものの、好評によりそれ以降も継続されている。
ただし、先頭部分の窓枠が黒色に変更されていたり、パンタグラフがシングルアーム式になったり、側面に小田急のブランドマークが掲出(2008年3月以降)されたりしている点に違いが見受けられる。また、両先頭車両の座席が1席ずつ撤去され、定員数が2名減っている。2010年1月4日をもって第2編成は引退した。
そして、2012年2月19日をもってHiSEカラーによる運行は終了し、第1編成も引退した。



運用終了・保存
後輩のHiSE・RSEが引退してからもなお活躍し続けたLSEだったが、置き換え車両であるGSEの登場により引退が決定。6月までに第3編成も引退し、6月23日からは3・4・8・9号車の各側面に「ラストラン記念ロゴマーク」が掲出され、5月29日には定期運用終了日が発表された。
迎えた最終日の7月10日、LSEで使用される各列車(はこね23・22・41・34号、ホームウェイ83号)に乗車した人全員に記念乗車証明書がプレゼントされた。そして、新宿駅15:40発「はこね41号」と箱根湯本駅17:25発「はこね34号」の出発時には出発式が行われ、新宿19:15発の「ホームウェイ83号」*38をもって、LSEは定期運用を終了した。


その後は臨時列車の運行に就き、2018年10月13日の「特急ロマンスカー・LSE(7000形)さよならツアー」を最後に引退した。


運行期間はSEをも上回る38年間で、これはロマンスカー最長の記録である。
ラストランの終了後、最後まで走り続けた第4編成は全車両が解体された。残った第3編成は両先頭車両が保存されていたが、このうち1号車が2019年2月に解体され、残った11号車はロマンスカーミュージアムに展示されている(唯一車内には入れず、外から見学することしかできない)。
また、解体された第3編成1号車の運転席がシミュレーターとして活用されている。


●10000形「HiSE」(High Super Express)*39


(出典:Wikipedia)


概要
小田急開業60周年を記念して、1987年12月23日に登場した4代目ロマンスカー。第31回ブルーリボン賞受賞車両。
NSE・LSEから続く展望席と連接構造を受け継ぐとともに、この時期はレジャーの多様化から新しい要素が求められており、これに応えるべく、当時話題になっていた高床構造(ハイデッカー)をロマンスカーで初めて取り入れ、展望席以外の乗客にも高所からの眺望性を楽しんでもらえるようにした車両である。形式名は10000形で、ロマンスカーでは初めて5桁の番号になった。
NSE・LSEに引き続き、11両編成と補助警報音を受け継いでおり、後者と同じく4編成44両が導入された。


5桁の車両形式・高床構造・赤白基調の塗装などから分かるように、ロマンスカーにとっては初になる要素が多く詰め込まれており、今までのロマンスカーのイメージを大きく変えた車両であると言える。



塗装・機能
NSEやLSEとは違い、運転席を前面に移動させて展望席との傾斜が一体化するようになっており、角度も上がってさらにシャープな感じになっている。


種別幕は展望席の出入口上部脇に設置され、LSEと同様に電動字幕式である。


そして最大の特徴は何と言ってもハイデッキ構造で、乗車口に階段を設けることで他の車両よりも座席を高い位置に配置することができ、見事な眺望性を誇る。展望席の部分はこれまで通り平屋構造である。


バーミリオンオレンジをベースにホワイトとグレーで塗り分けられたカラーリングだった先代たちとは違い、パールホワイトと濃淡のワインレッド2色を基調としたロマンスカー初のツートンカラーになっており、リニューアル工事後はLSEで復活したヤマユリのマークが側面にデザインされた。
1998年から2012年までは、LSEが当形式と同じくワインレッドとパールホワイトの塗装に変更されて運行していた。



内装・車内設備
シートピッチはLSEと同様の970mmだが、座席は単なる回転式クロスシートなのでリクライニングできない。ただし、角度自体はLSEをリクライニングさせた時と同じで、背もたれ高さが50cm高くなっている。足元にはフットレストバーが設置される。
例によって窓側席には折りたたみテーブルが設置されており、その下にはなぜか栓抜きも備えられている。1989年の増備車以降は座席背面にもテーブルが設置された。


座席モケットは江の島・芦ノ湖をイメージした青系と、太陽をイメージした赤系になっているが、両端の6両(1・2・3・9・10・11号車)と中間5両(4・5・6・7・8号車)で異なっている。
この配色は編成によって異なっており、日本車輛製造製の第1編成・第3編成は両端6両が赤系・中間5両が青系で、川崎重工業製の第2編成・第4編成は両端6両が青系・中間5両が赤系と反転している。


展望席はLSEに引き続き14名でシアター状に段差がつけられており、最前列でなくても景色が望めやすい。モケットは赤系と青系が1席ずつ交互に配置されており、前述の通り編成によって組み合わせが反転している。
ちなみに、2・3列目は回転することが可能。


LSEと同様に、1・2号車と10・11号車の間を除いた全ての車両間に仕切り扉も設置されており、ヤマユリのブランドマークが描かれている。


3・9号車には喫茶カウンターが設置されている。日本の鉄道車両としては初めてオーダーエントリーシステムが導入されており、注文から提供までの迅速化が図られている。また、コーヒーマシンが設置された初の車両になった。
また、4・8号車にはLSEと同様に男女共用和式トイレ・男子小用トイレと洗面台が設けられた。



運用
第1編成は1987年12月23日の「はこね7号」よりデビューし、翌年元日の「初詣号」では深夜であるにもかかわらず「走る喫茶室」の営業も行われていた。これが同列車での最初で最後の営業で、以降は現行のNYEも含めて全く行われていない。
1988年1月14日には第2編成も運用を開始。LSEは登場当初よりNSEと共通運用だったため、「あさぎり」以外の全列車で運用されていたが、当形式に関しては登場後しばらくの間は「はこね」でのみ運用された*40。1989年には残りの2編成も増備され、「あさぎり」を除く全列車が11両連接車である当形式とNSE・LSEで運行されるようになった。
9月11日には、総票数5352票中1570票を獲得して第31回ブルーリボン賞を受賞。新宿→小田急多摩センター間で記念列車が運行された。


2001年4月からは1年間、「日本におけるイタリア2001」を記念して、1編成が各車両にイタリアの国旗のカラーである緑・白・赤のストライプ帯を追加し、正面と側面にはステッカーを貼りつけて運用された。


登場してしばらくはロマンスカーのイメージリーダーを飾っていたが、後輩のRSE・EXEの登場後はそちらに座を譲った。しかし、いずれもロマンスカーの代名詞でもある展望席を持たなかったことで利用者数が伸び悩んだため、登場から15年目になる2002年に再びイメージリーダーに返り咲いた。


ところが、交通バリアフリー法の施行により鉄道車両のバリアフリーが義務化されてしまう。しかしながら、当形式はハイデッカー構造がバリアフリーの観点で仇になってしまい、苦肉の策としてやむなく新型車両を投入することで置き換える形をとることになり、2005年3月19日に後継車両のVSEが登場したことで第2編成・第4編成が引退に追い込まれた。
また、当時建設が進められていた複々線では地下線化も同時に進められていたが、274tという歴代車両でも重量級の当形式では地下の急勾配の走行に支障が出るという問題も生じるようになった。
それでも残った編成が何とか運行を続けていたが、2011年6月16日をもって第3編成が引退し、唯一残った第1編成も2012年3月17日のダイヤ改正をもって引退することが12月16日に発表された。その後、一緒に引退する5000形やRSEとともに運行終了記念特設サイトが開設され、RSEともどもダイヤも発表されたほか、2012年2月1日から車体に「『ラストラン』ステッカー」も掲出された。
そして迎えた定期運用最終日、最後の下り列車である「はこね35号」の出発式が新宿駅で行われ、箱根湯本で折り返して戻ってきた「はこね36号」の到着時に到着式が行われた。これをもって、HiSEは引退になった。
ハイデッカーによる眺望性自体は利用者からは好評だったものの、予想だにしない情勢の変化で25年という比較的短い期間で終わった。
当初は第1編成の両先頭車両と中間車両1両(9号車)が保存されていたが、2017年7月頃に複々線完成を見越した車庫の収容スペースの確保を理由に1号車と9号車が解体され、残った11号車1両がロマンスカーミュージアムに保存されており、これまでの3形式とは違って車内全体の見学が可能。




(出典:Wikipedia)


長野の地へ
VSEに置き換えられた川崎重工業製の第2編成・第4編成は、2005年8月12日付で長野電鉄に無償で譲渡され、日本車輛豊川製作所で改造工事が行われた。
甲種輸送される際、車高の関係で篠ノ井線を通ることができなかったため、東海道線~中央西線~篠ノ井線経由の最短経路ではなく、東海道線~武蔵野線高崎線上越線信越本線しなの鉄道線という、首都圏や日本海を経由する大回りなルートになった。
2006年3月17日に2992通の応募から「ゆけむり」の愛称が与えられた。編成記号は「S」。
その後、11月3日・4日の長野~湯田中間での試乗・内覧会や、12月2日の長電観光主催「ゆけむり貸切特別ツアー」の実施を経た上で、同社1000系として12月9日より営業運転を開始した。
登場以来特急料金はずっと100円(子どもは50円)のままで、展望席も含めて全車自由席になっており、小田急時代では困難だった展望席の確保もここでは早い者勝ちである。
展望席やハイデッカー構造も変わらず残っているが、ハイデッキではない展望席がバリアフリー化されており、小田急時代からの問題が解決されている*41
小田急電鉄からの他社への車両譲渡は20年ぶり、ロマンスカーとしてはSEに続いて2例目となった。


譲渡にあたり、1編成は4両(旧1・2・10・11号車)へと短縮され、塗装もワインレッドから長野電鉄のシンボルカラーである赤に変更されたが、塗り分けはそのままなのでぱっと見の変化は見られない。また、旧6号車に設置されていた補助電源装置は2号車に移動されているほか、信州中野~湯田中間の急勾配に対応するための抑速ブレーキの強化や、寒冷地の長野でも走れるように暖房装置・降雪ブレーキ・ドアレールヒーターなどの設置・強化が行われている。
なお、登場初期は連結器をむき出しにして走行していたことがあったようで、その当時の写真が権堂駅に飾られている。


車内は基本的にHiSE時代の面影を残しているが、一般席のモケットは全て青系のものに統一されている。展望席も含め、窓側のテーブル・フットレストバー・栓抜きといった設備は健在で、S2編成(旧第4編成)の座席背面テーブルも存置されている。
ヘッドカバーはビニール製のものに変更されている。


展望席の人気は健在で、早くに並ばないとなかなか座れないという。モケットはそのままになっており、引き続き赤系と青系が交互に配色される。
ここのみ平屋構造であるため、スペースそのものが車いす対応になっており、介助者用のジャンプシートも設置されている。
ドア脇にはマガジンラックが置かれている。


2015年9月以降は車内放送も行われるようになり、日本語放送はSBC信越放送のアナウンサーで大の鉄道ファンでもある山崎昭夫アナウンサーが担当している。これに合わせ、日本語と英語の交互に停車駅や列車情報などをスクロール表示するLED車内案内表示器も新設された。
ブルーリボン賞のプレートも健在だが、一部は車内案内表示器の設置に伴って掲載場所の移動が行われている。なお、ミュージックホーンは撤去されたらしい。


なお、長野電鉄にはトイレの対応設備がなく、小田急時代にそれを備えていた4・8号車は前述のように譲渡前に解体されたため、利用することはできない。
運転席が2階にある本形式の登場により、湯田中駅のスイッチバックは廃止されている。


現在は「A特急」「B特急」「特急ゆけむり~のんびり号~」(S特急)として運用されている。前述の通り特急料金は区間を問わず大人100円・子ども50円で、全車自由席である。定期券の利用も可能。
基本的に長野~湯田中間を全区間通して運行するが、入出庫の関係で途中駅発着の列車もあり、下りB特急の3本は長野→信州中野間、上りはA特急1本が須坂→長野間・B特急2本が信州中野→須坂・長野間で運行されている。
A特急のみ車内販売が行われており、長野電鉄オリジナルグッズの購入が可能。
車両検査などで運行できない場合は2100系による代走が行われ、「特急スノーモンキー~のんびり号~」として運行される。


登場当初はA特急専任になっており、B特急および間合い運用の普通列車は2000系の担当だった。
しかし、2100系登場を控えた2011年2月13日のダイヤ改正より、B特急の信州中野~湯田中間が無停車になり、特急券不要の特例も廃止された。同時に使用車両による種別区分も廃止され、B特急でも運用されるようになっている。


●20000形「RSE」(Resort Super Express)


(出典:Wikipedia)


概要
老朽化を迎えながらも何とか生きながらえているSEを成仏置き換えるべく、「あさぎり」相互直通運転計画の一環として、1991年3月16日に登場したロマンスカー。第35回ブルーリボン賞受賞車両。
5両編成になったSSEは、連絡急行「あさぎり」として老朽化を迎えながらも運用されていた。その後JR東海が発足すると、1988年7月に小田急はJRにSSE置き換えの提案を行い、御殿場線の利用者が増加したことで1989年10月に富士岡駅と岩波駅に列車交換設備が新設されたこと、沿線からも運転区間延長の要望が強くなっていたことから、「あさぎり」の運行を抜本的に見直す協議が開始された。
その結果、特急へと昇格させて運行区間を御殿場から沼津へと延伸する方針が固まり、両社がそれぞれ新型車両を開発したうえで相互直通運転を行う計画が進められることになり、当形式は小田急側のSSE置き換え車両として登場した。
JR東海が開発した371系とは姉妹車にあたり、同形式とは編成・定員・構造などでほぼ共通設計になったため、それまでの伝統だった展望席や連接構造は廃止され、2300形以来のボギー車両になったほか、代わって2階建て車両やグリーン席が設置されるなど、今までの車両とは全く異なる構造が話題になった。
2編成14両が導入されており、本形式以降の非分割構造列車(EXE・MSE以外)は2編成のみ導入されるのが原則になっている。



塗装・機能
ロマンスカー初の7両編成。3号車と4号車はこちらも初となる2階建て車両になっており、さらに2階席はこれまた初となるグリーン車になっている。グリーン席は小田急線内(箱根登山線含む)運用では「スーパーシート」と呼称されており*42、特急券だけでなくグリーン券も必要になっており、ロマンスカーでは初めて普通席とグリーン席の2クラス制料金になっていた。
それ以外の号車には、HiSEで好評を博したハイデッカー構造が引き続き搭載されている。


ドアの上にはLED式行先表示器が設置され、基本的に種別のみ表示されるが、「あさぎり」運用時のみ行先も表示される。
最後の折戸式ドアの車両で、EXE以降は引戸式になった。


カラーリングは、スーペリアホワイトとオーシャンブルーのツートンをベースに、側面にはオーキッドレッドの帯が添えられており、オレンジや赤といった暖色系のこれまでの車両とは違って爽やかなデザインになっている。LSE・HiSEと同じく、自動ドアと車体側面(1996年以降)にはヤマユリのマークも描かれており、補助警報音も搭載されているが、いずれも本形式で最後になっており、EXE以降では使われていない(後者については、VSEよりミュージックホーンとして復活した)。



内装・車内設備
車両によって内装のコンセプトが決められており、1・2号車と3号車1階席は「海」、3号車2階席と4号車は「山・樹木」、5~7号車は「都会」がそれぞれテーマになっている。


全車両に共通して、ダブルデッカー1階以外は間接照明を採用している。座席背面にはテーブルが備えられ、車端部にはLED式の車内案内表示器と折りたたみテーブル(普通車のみ)が設けられている。また、モケットはいずれもグレー基調だが、車両ごとに若干デザインが異なり、床にはカーペットが敷かれる。リクライニングはボタン式で、足元にはフットレストがあり、HiSEのようなパイプ式から四角形で幅のあるサイズになっている。


1・2号車と3号車1階席は「海」がテーマで、ブルーを基調としている。カーペットは波をデザインしたものになっている。
シートピッチはSE以来の1000mm。
3号車の1階席については2+1配置になっており、眺望性が悪い分シートピッチはスーパーシートと同様に1100mmで配置される。


3号車2階席と4号車のテーマは「山・樹木」で、カーペットはローズを基調としている。グリーン席の詳細については下記を参照。
371系にはない特徴として、4号車1階席は4人がけのセミコンパートメントが3区画設置されている。富士山麓を思わせるグリーン系のモケットが特徴。
1席ごとの販売になっているため、知らない人と相席になる可能性もある。切符には「セミコン」のマークが入っている。


5・6・7号車は「都会」がテーマになっており、暖色系のカーペットが敷かれている。座席については1・2号車と同様。


車内設備については、2・6号車にトイレ・洗面台、3・4号車の平屋部分に車販基地を兼ねた喫茶コーナーを設置している。
トイレについては、2号車は身体障害者でも使える洋式トイレ、6号車は男女共用和式トイレになっている。3・4号車のデッキには公衆電話ルームがある。
また、車内専用の車いすが喫茶コーナーに常備されている。


スーパーシート・セミコンパートメントと一部の普通席のデッキにはラゲージスペースが設置される。ピクトグラムにも描かれているように、ゴルフバッグを収納できるスペースを有しており、御殿場線沿線に多いゴルフ場に配慮したものと言える。



スーパーシート(グリーン席)
小田急初のグリーン席は「山・樹木」と「小田急のファーストクラス」がテーマになっており、「走る喫茶室」と同様のサービスも行われていた。
シートピッチはロマンスカー最高クラスの1100mm。座席は3列になっており、1人がけは660mm・2人がけは1300mmの幅になっている大型シートである。2人がけの間にはロマンスカーとしては珍しくひじ掛けが設置されており、2つあるのでそれぞれが利用できる。


座席のひじ掛けにはテーブルが収納されており、背面にも備えられているので1人で2つも利用できる。
かつては液晶テレビも設置されていたが、後に撤去された。オーディオパネルやスチュワーデスコールボタンは残っているが、いずれも実質機能していない。
天井には読書灯があり、間接照明が採用されている。


なお、ダブルデッカーは2階部分でのみつながる構造になっている(371系も同様)。



運用
第1編成は1990年12月24日、第2編成は1991年1月26日に竣功し、3月16日の「あさぎり1号」より運行を開始。基本運用は「あさぎり1号」→「あさぎり4号」→「あさぎり5号」→「あさぎり8号」で、検査時以外は予備運用として「はこね」や「あしがら」にも充当されていた。
1992年1月1日には「初詣号」にも充当され、営業運転では初めて江ノ島線に乗り入れた。
8月29日には、有効投票数7320中1894票を獲得して第35回ブルーリボン賞を受賞。新宿→唐木田間で記念列車が運行された。
10月25日には団体臨時列車「カントリーハートインアサギリ」号として、沼津から東海道線を経由して身延線の富士宮駅まで運行。小田急電鉄が富士宮で営業を行っていたゴルフ場のイベントのために設定されており、営業列車では唯一の沼津以西への入線になった。


2002年3月23日のダイヤ改正からは多摩線の「ホームウェイ」が増発されたため、「あさぎり8号」の折り返しで唐木田行きの「ホームウェイ71号」に使用されるようになり、「あさぎり」以外では初の定期運用で、営業運転では初の多摩線乗り入れを果たした。
なお、平日の「ホームウェイ71号」は2008年3月15日のダイヤ改正で「メトロホームウェイ」に置き換えられたため、平日の「あさぎり8号」の折り返し運用はなくなった。7月25日には臨時特急「湘南マリン号」として16年ぶりの江ノ島線入線を果たした。


やがて予備運用は土休日のみになり、平日は「あさぎり」専属で運用された。また、371系は1編成しか製造されていないため、検査時は当形式が「あさぎり」全列車を担当していた。なお、あくまで小田急の車両ということからかJRの「ホームライナー」に充当されたことはなく、代走は165系や313系などといった一般車両で行われた。


御殿場~沼津間の利用者数の減少とHiSEと同様のハイデッカー構造、および重量級から来る複々線の地下急勾配の対応への難しさから、翌年3月17日のダイヤ改正をもって引退することが2011年12月16日に発表された。
その後、一緒に引退する5000形やHiSEとともに運行終了記念特設サイトが開設され、HiSEともども運行ダイヤも発表されたほか、2012年2月1日からは車体に「『ラストラン』ステッカー」も掲出された。


そして迎えた定期運用最終日、最後の下り列車である「あさぎり5号」の出発式が新宿駅で行われ、沼津で折り返して戻ってきた「あさぎり8号」の到着時には到着式が行われた。その後に引退記念イベントを行った後8月に第1編成が、翌年11月11日に第2編成が廃車され引退となった。


その後、第1編成の先頭車両2両とダブルデッカー1両が保存されていたが、2018年11月に複々線完成による車両スペースの確保を理由に1号車が解体され、残った7号車とダブルデッカーはロマンスカーミュージアムに展示されている。HiSEと同様に車内全体(グリーン車はデッキのみ立ち入り可能)を見学でき、構造上運転席を中から撮影できる唯一の車両でもある。
展示にあたって整備された際、ドア横にあったグリーン車のマークが消されている(車内はそのまま)。


ロマンスカーミュージアムの工事が着々と進み、展示車両が続々と海老名駅に搬送される中、2020年10月25日未明に事件は起きた。相模大野の車庫から出発して海老名へ向かう最中の座間駅で、カメラを持った3人の男がホームに無断で侵入し、回送中の姿を撮影しようとするも乗務員に発見されて逃走するトラブルが発生。このために列車は緊急停止を余儀なくされてしまった。
同駅の他にも、踏切に侵入して車両が緊急停止する同様のトラブルが50分間に3件発生しており、このうち相武台前駅近くの踏切に侵入した1人は警察に引き渡された。
一連のニュースは各社の報道番組で取り沙汰され、「人気列車撮影」「緊急停止」といった関連ワードが一時トレンド入りする事態になるとともに、意外な形で陽の目を浴びることになったRSEであった。




(出典:Wikipedia)


富士急行へ
2013年11月11日、富士急行が「フジサン特急」2000形(元JR東日本165系「パノラマエクスプレスアルプス」)の後継車両として、先頭車両2両と平屋の中間車両1両(第2編成の旧1・6・7号車)を購入。
2014年7月12日から同社8000系として「フジサン特急」での運用が始まった。
SSEやHiSEに続いて他社線に譲渡されたロマンスカーである。
塗装デザインは初代「フジサン特急」を踏襲し、白をベースに公募によって選ばれた大量の「フジサンクン」が描かれているものになっており、車内のいたるところにも「フジサンクン」が描かれている。


小田急時代に引き続きハイデッカー構造で、1号車のみ座席指定の展望車両になっており、特急券に加えて200円の指定席券が必要。それ以外は自由席になっているが、他社線の自由席と同様に販売に制限はないため、着席できない場合もある。
1号車の運転席後方の座席はソファーが並ぶラウンジになっており、最前列部分には子ども向けの運転台も設置されていて、運転士気分を味わえるようになっている。座席は基本的に2+1配置で、1列部分はRSE時代の3号車の1階にあった1人がけの座席を流用している。
2号車寄りにはセミコンパートメント区画があり*43、2区画計8席と中央にテーブルが備えつけられているが、向きは固定されており、パーテーションがあるためリクライニングはできない。また、その後ろには2~3人が座れるほどのちょっとしたロングシートもある。
普通車は共通で2+2配置になっている。2号車は、約3分の1のスペースが床面を下げたノーマルデッキになってバリアフリーに対応できるようになり、デッキやトイレも車いすでも利用できるように改装され、ドアも引戸式に変更された。
3号車は特に変更点はない。ブルーリボン賞プレートも変わらず残されており、車内販売も行われている。
なお、解体された4両についても、座席や冷房装置などといった各種部品は予備用として保管されている。


毎日2往復(3・4・7・8号)が運行されており、全列車が大月でJR中央線特急「あずさ」「かいじ」号と接続している。
世界情勢を考慮して2020年4月25日から運休中だったが、2022年3月12日のダイヤ改正で土休日2往復のみながら約2年ぶりに運転が再開し、2023年3月の改正で完全復活を遂げた。


●JR東海371系


(出典:Wikipedia)


概要
JR東海から参戦。同社が初めて開発した特急用車両であり、ロマンスカーでは史上初の乗り入れ車両でもある。1991年3月16日より登場。
登場経緯はRSEと同じで、「あさぎり」を特急へと昇格させて沼津まで延伸すべく、両社がそれぞれ新型車両を開発したうえで相互直通運転を行う計画が進められることになり、JR側のSSE置き換え車両として登場した車両である。
当時のJR東海では優等列車の車両を置き換えるというイメージチェンジに合わせ、イベントや観光開発の推進によって路線の改善を図ることを行っており、高山本線で実績を上げていたことから、御殿場線でも広域観光の振興・需要喚起・イメージアップと活性化という期待をかけ、近代的なイメージの車両にすることになり、「ソフトで洗練されたデザイン」をコンセプトに開発された。
1編成7両のみが製造されており、JRの特急用車両では東日本のE655系(1編成6両のみ)に次いで少ない。
1991年グッドデザイン商品選定車両。編成記号は「X」。



塗装・機能
姉妹車であるRSEと同様に編成・定員・構造などでほぼ共通設計になったため、7両編成で3・4号車をダブルデッカーとし、2階にはグリーン席を設けた点は同じ。
ただし異なる点もあり、ドアが引戸式かつプラグドアになっているほか、ハイデッカー構造ではないため2号車はバリアフリー対応になっている。
また、小田急線との連絡線にあるデッドセクション(無電区間)に備えてインバータ付直流蛍光灯を採用しており、RSEとは違ってセクション内を通過中でも車内灯は消えない。
行先表示器はいずれも列車名と座席種別が案内されているが、1・5・7号車は横に、2・3・4・6号車では縦に並べて表示されている。


カラーリングは同じく自社製の100系新幹線を思わせる、白3号をベースに窓周りが青20号で縁取られたデザインになっている。



内装・車内設備
全車両に共通して、全ての座席に間接照明を採用している。座席背面にはテーブルが備えられ、車端部にはLED式の車内案内表示器が設けられている。リクライニングはボタン式で、足元にはフットレストがある。
「ワイドビュー」の名の通り、窓は1650mm×1020mmと非常に大きく、底辺はひじ掛けよりも下にあるほど。


普通席はグレーがベースで、ひじ掛けはレザー張りになっていて、落ち着いた雰囲気になっている。座席の縦列でモケットが若干異なる。シートピッチは1000mm。
車端部には1枚板のテーブルが設けられる。


RSEとは違ってセミコンパートメント席は設けられておらず、1階席は3・4号車とも2+1配置である。シートピッチはグリーン席と同じく1100mmで1段の段差がつけられており、窓側には細長いテーブルが設置され、床との間にスペースがあるのでバッグなどを置くこともできる。


車いす座席対応座席は当初設置されていなかったが、2006年までに2号車に設置された。これにより、定員数が2名減少した。


デッキとグリーン席をつなぐ階段は横幅1m以上というビッグなサイズになっており、脇には公衆電話が設置されている。
両先頭車両以外のデッキ寄り(グリーン車は貫通路寄りも含めた2か所)には荷物置き場も設置されており、ゴルフバッグも収納できるほどの高さと広さを備えているが、スーツケースは若干厳しい。


車内設備については、こちらもRSEと同様2・6号車にトイレ・洗面台、3・4号車の平屋部分に車販基地を兼ねた喫茶コーナーを設置している。
トイレについては、2号車は身体障害者でも使える洋式トイレ、6号車は男女共用和式トイレになっている。
また、車内専用の車いすが2号車に常備されている。



グリーン席
グリーン席はRSEと同様に3列になっており、1人がけは660mm・2人がけは1250mmの幅になっている。シートピッチが1100nmmで、2人がけの間にひじ掛けが設置されているのも同様。
モケットはオレンジがベースになっている。


座席のひじ掛けにはテーブルが収納されており、背面にも備えられているので1人で2つも利用できる。車端部には折り畳み式テーブルがある。
落成当初は液晶テレビやオーディオパネル、乗務員コールボタンも設置されていたが、後に撤去された。
天井には読書灯とスポット式空調吹き出し口がある。



運用
1991年1月6日にダブルデッカーが、翌日に1・2号車がそれぞれ出場し、1月12日に落成。同年3月16日のダイヤ改正より運行開始。
371系は静岡駅から「ホームライナー沼津2号」で沼津まで向かい、沼津~新宿間を「あさぎり2号」→「あさぎり3号」→「あさぎり6号」→「あさぎり7号」の順で2往復した後、いったん三島駅に回送されてから「ホームライナー浜松5号」で浜松まで向かい、折り返し「ホームライナー静岡8号」で静岡に戻るというサイクル運用で、東は新宿から西は浜松まで、1日約700km以上もの長距離を走行しており、1編成しかない割にかなり酷使されていた。
ただし、土休日は「浜松5号」と「静岡8号」が運休になっていた関係上、「あさぎり7号」の次は「ホームライナー静岡35号」で直接静岡へ向かう運用になっており、浜松までの乗り入れはなかった。
あくまでJR東海の車両なので「はこね」などの小田急線内運用にも使用されなかった。
登場以来ほとんど変更はなかったが、2009年3月14日のダイヤ改正からは「浜松5号」が沼津発になったため、回送とはいえ三島への乗り入れが消滅した。
なお、「ホームライナー」ではグリーン席は締め切り扱いになっており、乗車はできなかったが通り抜けは可能だった。


1編成しか存在しないため、車両検査の際ははRSEが「あさぎり」全列車を担当。「ホームライナー」では臨時の快速として165系や313系などといった一般車両が代走を担当した。
検査は名古屋工場で行われていたため、冒頭で記した近鉄特急と顔を合わせる機会もあった。
また、 故障やダイヤ乱れ時は一部区間を運休し、小田急線内のみを他のロマンスカー車両で代走していた。


2003年4月6日に小田急の座席予約システムが更新された際、それまで連番方式だった座席番号の表示が変更され、窓側をA席・D席、通路側をB席・C席としたため、車内の座席番号表示も変更された。
2006年までにパンタグラフが菱形からシングルアーム式に交換され、2号車の15番座席が車いす対応の1人がけ座席に変更されたため、定員が2名減少した。


RSEとは違ってハイデッカー構造は持たなかったものの、ダブルデッカーやグリーン席といった他のロマンスカーとは異なる構造だったことから共通運用ができず、半ば道連れになる形で5000形・RSE・HiSEともども引退が発表され、一部メディアでは団体専用列車に転用されるとの報道もなされた。
そして迎えた3月16日の定期運用最終日、最後の「あさぎり7号」の新宿出発時には出発式が行われ、松田・沼津到着時、および最後の定期列車である「ホームライナー静岡8号」の静岡到着時には乗務員によるさよなら放送も行われた。
これをもって、371系は21年間の運用に幕を下ろした。


その後は長らく沼津運輸区にて留置されていたが、以降は団体・臨時列車として再び運行を開始し、2014年11月まで使用された。



(出典:Wikipedia)


富士急行へ
運行終了後の12月吉日、富士急行が老朽化した2000形の後継車両として3両(旧1・2・7号車)購入した上で2015年度からの営業運転を予定することが発表され、廃車された2015年3月20日以降に同社に引き取られた。
2015年9月30日に整備を終えて真っ白な塗装になって出場、長野~パリ大月~富士山経由で納入された。2015年度中の運行開始には至らなかったものの、同社の車両技術センターで内外装改造を施した後、同社8500系として2016年4月23日より新設された「富士山ビュー特急」での営業運転を開始。富士急行創立90周年を記念した事業の一環でもある。取得・改造を含めた総工費は4億7069万9000円。
デザインは水戸岡鋭治氏が担当し、車内は彼の作品が展示されており、車内販売でも売られている。
前述の通り、旧RSEも富士急行に引き取られて運行を開始したため、小田急とJR双方の元「あさぎり」の車両が再び同じ線路上で走る姿が見られることになった。かつて富士山の南側で活躍していた車両が、外観は全く変わりながらも富士山の北側で再会し、第2のスタートを切ることになる。


塗装は同社1000系「富士登山電車」にも似たさび朱色になり、洋風な印象を受ける。各種ロゴなども金色で書かれており、371系時代よりもかなり派手になっている。
フジサン特急と同様に2階建て車両はなくなっており、同じく3両編成である。こちらも1号車は特別車両になっており、特急券のほかに900円の特別車両券が必要。それ以外は自由席になっているが、他社線の自由席と同様に販売に制限はないため、着席できない場合もある。
特に1号車の車内はかなり豪華な雰囲気になっており、木材がふんだんに使われていて温かみを感じさせるとともに、テーブル席やカウンターも設置されており、カフェテリアを連想させるつくりになっている。さらにウェルカムドリンクのサービスもあり、一部を除いて無料でおかわりすることが可能。なお、料金体系が異なる関係上、1号車と2・3号車の間には貼り紙が設置されているので通り抜けはできない。フジサン特急と同じく車内販売も行われている。
普通車は2・3号車でそれぞれ赤と青のモケットが使われており、2列ごとにデザインが異なる仕様になっている。なお、窓枠には木材が設置されている。


現在、毎日2往復(1・2・5・6号。「フジサン特急」との連番)が運行されており、「フジサン特急」と同様に全列車が大月で「あずさ」「かいじ」と接続している。


利用料金は「フジサン特急」と同一だが、特筆すべきサービスとして、「スイーツプラン」が設定されている。土休日は特別車両が「スイーツプラン」専用車両になり、富士急ハイランドオフィシャルホテルである「ハイランドリゾートホテル&スパ」のパティシエが手がける、山梨の味覚を取り入れた「富士山ビュー特急特製スイーツ」がふるまわれる。
ただし、「富士急トラベル」が主催するツアーとして全席指定の完全予約制*44になり、通常の特別車両料金では乗車できない。
また、利用区間も大月~河口湖線内各駅(富士山・富士急ハイランド・河口湖)間に限定され、都留文科大学前・下吉田での乗降や河口湖線内のみの利用はできない。
「フジサン特急」と同じく2020年4月25日より無期限運休中だったが、こちらは2021年3月13日のダイヤ改正より運用復帰した。ドリンクサービスやスイーツプランはしばらく見送られ、同年12月18日より再開している。



一般車両

ほとんどが車両故障などによる臨時代走である。


●2400形(HE車)
1965年前後の数年間、特急需要のピーク時や検査時などで特急車両が不足していたため、一部の「えのしま」を担当。特急料金は不要だったものの座席定員制であり、「サービス特急」と呼ばれた。


●8000形
1987年1月、NSEとLSEが1編成ずつ検査中だった時期に、踏切事故によりSEが1編成使用不能になったため、同形式が運用される「さがみ」の一部列車を代走した。


●1000形
2016年12月12日、本来運用予定だったEXEの故障により、6+4両編成が「えのしま74号」を代走。駅の発車標では「臨時特急」と表示されており、車内放送では「臨時特急新宿行き」と案内されたが、車両の種別幕では無表示新宿行きとして表示された。事前予約していた人のみ乗車でき、当日券は発売されなかった。



座席

前述の通り、現在は全車普通指定席で、自由席・グリーン席は存在しない。座席も左右2列ずつの回転式クロスシートで、複数人で利用する場合は回転させて向かい合わせにすることもできる。いずれもリクライニング機能が備えられているが、後ろの座席に人がいる時は注意。


車両によっては以下のような特別席が設けられている場合もあるが、現在利用可能なのは展望席のみである。


展望席

GSEにそれぞれ4列ずつ、計16席設けられている特別席。運転席を2階に上げることで、車両の最前面まで座席が配置されており、最高の眺望性を楽しむことができる。過去にはNSE・LSE・HiSE・VSEにも設けられていた。
もっとも、前がよく見えるのはせいぜい2列目までで、3~4列目ではなかなか見えづらいという声もちらほら。GSEの全座席は非回転構造になっている。
料金は一般席と同額だが、やはりロマンスカーの醍醐味だけあってすぐに完売することが多く、入手は容易ではない。


サルーン

VSEの3号車に4人がけで3区画、計12人分設けられているセミコンパートメント席。利用には運賃に加えて、人数に関係なく特急料金の4倍のサルーン料金が必要になる。座席番号はS1~S3で、切符に「サルーン」のマークが入る。
パーテーションガラスで仕切られており、RSEとは違って1区画ごとの販売になっていて、見知らぬ人と相席になることはない。
背もたれはほぼ完全に壁と接しているため、くつろぐことにはあまり期待できず、どちらかと言うと複数人で楽しむことに適していると言える。中央には展開式のテーブルが、座席上には荷物置き場があり、テーブル下にはコンセントが2つずつ設置されている。
箱根登山線(小田原~箱根湯本間)のみの利用はできない。


スーパーシート(グリーン席)

RSEと371系の2階席に設置されていた特別席。RSEのみ名称が異なり、「はこね」「ホームウェイ」といった小田急線運用ではスーパーシート、「あさぎり」ではグリーン席と呼称されており、切符でも種別に応じて「特別急行券・スーパーシート券 / グリーン券」と表記され、下の運賃内訳でも「合計・スーパー / グリーン・特急料金」と区別されていた。
利用には通常の特急券に加えてスーパーシート料金 / グリーン料金が必要で、普通席と比較すると約2倍程度の料金が必要になるが、その分座席が豪華なものになっており、高所からの眺めも味わうことができる。2011年3月11日までは普通席のワゴンサービスに対して、スーパーシート / グリーン席では「走る喫茶室」と同様のシートサービスも行われており、普通席よりも特権が多く受けられるのが特徴だった。


セミコンパートメント

RSEの4号車1階席に設けられていたセミコンパートメント席。4人がけで3区画、計12人分設けられていた。座席番号は51~56のCD席で、切符には「セミコン」のマークが入る。
VSEのサルーンとは違い、1人分の特急料金で利用できるが、1席ごとの販売になっているので見知らぬ人と相席になることがあった。


自由席

相互直通運転時代の「あさぎり」は、御殿場~沼津間のみ6号車が自由席になっていた。当初は全区間指定席だった。



予約システム

特急券は1か月先までの予約・購入が可能である。インターネットでの予約には、大きく分けて「e-Romancecar」と「ロマンスカー@クラブ」の2種類がある。
前者は会員登録なしで利用でき、クレジットカードでの購入はもちろん、とりあえず予約だけして発券は駅の窓口や券売機で行うというやり方も可能で、比較的手軽に利用することができる。
一方、後者は会員登録が必要になっているが、利用実績に応じてポイントが付与されるという特典があり、発券することなく乗車できる。
公式サイトでは空席照会も可能。発着駅欄にはこれまでロマンスカーが停車したことのある駅全てが列記されており、以前より定期的な臨時停車がある参宮橋や開成に加え、向ヶ丘遊園・新松田・小田急永山・小田急多摩センター・唐木田といった過去の停車駅も、今後の臨時停車を考慮して削除されずに残っている。さらに、「ベイリゾート」の豊洲駅と新木場駅も残されているが、かつて「あさぎり」が乗り入れていた裾野駅と沼津駅は含まれていない。
2021年3月13日の午前4時より、発車時刻の45分前までとしていた一般席のシートマップによる座席指定可能時間が発車時刻の3分前まで利用できるようになる。予約時のシートマップによる座席指定可能時間は変わらない。


1967年6月23日(御殿場線直通列車は1985年)以降は定期乗車券でも乗車できるようになっており、通勤・通学で少しの贅沢をする利用者も多い。
他社路線とは違って乗降や区間の制限はなく、座席状況が許せば好きな区間だけ乗車することができる。
前述している通り千代田線内のみの利用だけは唯一不可能だが、「ホームウェイ」の途中駅乗車や「モーニングウェイ」の途中駅降車はもちろん、果てには相模大野→町田間・海老名~本厚木間・本厚木~伊勢原間といった短距離利用も可能である。
箱根登山線(小田原~箱根湯本間)については、2005年10月1日より当日座席に余裕がある場合に限って両駅のホームで「座席券」が発売される(満席および満席が想定される場合は発売されない)。
現在は正式に特急券になっているが座席は指定されず、この区間のみの予約・購入やサルーン利用もできない。


なお、特急券を購入しないで乗車した場合、車内で特急料金+310円(サルーンは1240円)を加算した料金を徴収される。座席の指定は行われない。千代田線に連絡する区間を乗車した場合、さらに100円が加算される。
かつてはホーム上で検札を行っていたが、1999年7月17日のダイヤ改正以降は車掌が持っている携帯端末で特急券の発売状況を確認できるシステムが導入されたため、特急券を購入しないで乗り込んだとしても全てお見通しである。
必ず特急券を購入してから乗車すること。


ホームの特急券券売機で購入する場合、座席の指定はできないので注意。



車内サービス

いわゆる「走る喫茶室」と呼ばれるサービスが始まったのは1949年8月20日からで、1910形がその祖になった。続く1700形・2300形にも受け継がれ、SEからは喫茶室が設けられるようになる。やがてロマンスカーのイメージとして定着するようになり、HiSEでは日本の列車としてはじめてオーダーエントリーシステムが導入された。
しかし、次第にロマンスカーの運用が多様化し、通勤通学や買い物利用など観光以外の用途も増えてきたため、「走る喫茶室」のサービスは1995年3月を最後に終了しており、以降はワゴンサービスのみになった。


御殿場線直通列車でも特別準急時代から行われており、全区間で小田急サービスビューロー(1957年からは小田急商事)の車内販売員が1~2名乗務していた。SSEに変更後は、森永エンゼルによって小田急線内列車と同様の「走る喫茶室」のシートサービスが行なわれている。
1991年3月16日から相互直通運転になった「あさぎり」では、RSEと371系とで異なるシートサービスを行うようになり、
RSEによる1・4・5・8号では小田急レストランシステム6名、371系による2・3・6・7号ではジェイダイナー東海5名と、それぞれ自社のアテンダントが担当。各座席にはスチュワーデスコールボタンも備えられていた。
また、朝上りを走る2号のみモーニングセットが提供されており、運行開始当初はサンドイッチ・季節の果物・コーヒーの洋風セット、沼津駅の駅弁・緑茶・味噌汁の和風セットから選択でき、果物は車内でカットして盛りつけを行なっていたが、1994年頃からは洋風セットの果物と和風セットの味噌汁が省略され、その分価格も下げられていた。
ただし、いずれもグリーン車のみの営業で、普通車ではワゴンによる車内販売サービス(以後、ワゴンサービス)だった。なお、2011年3月11日をもってシートサービス・ワゴンサービスともに終了した。


しかし、2005年3月19日に登場したVSEでは同形式限定でシートサービスが復活。HiSEと同じくオーダーエントリーシステムを採用し、10年に渡って親しまれてきたが、2016年3月26日のダイヤ改正で再び廃止され、他の車両と同じくワゴンサービスに戻った。カフェカウンターの営業も終了し、以後は車販基地として使われている。
なお、各メニューの予約は可能であり、3日前の12時までに注文すれば座席まで届けてくれる。


現在は小田急電鉄の子会社「小田急レストランシステム」のアテンダントにより、車両を問わずワゴンサービスによる車内販売を行っている。主な販売品目は弁当・軽食・おつまみ・飲み物・ロマンスカーグッズで、季節によっては限定メニューもある。
そのラインナップは私鉄有数であり、JR各社で車内販売縮小が相次ぐ昨今では貴重な存在でもあるため、展望席と並んでロマンスカーの代名詞とも言える。
また、EXEとMSEでは売店による販売も行われているほか、VSEを除く全列車に自動販売機が設置されており*45、車内販売非営業列車でも飲み物の購入は可能。
ただし、車内サービスの提供は基本的に「スーパーはこね」全列車と一部を除く「はこね」「メトロはこね」のみになっており、それ以外の列車では原則非営業である。そのため、サービスがあるか否かは事前に時刻表でおき*46、非営業の列車に乗る時は必要に応じて駅構内の売店などであらかじめ購入しておくのが望ましい。
もっとも、行楽シーズンなどの繁忙期についてはこの限りではなく、普段は営業されない「さがみ」や「えのしま」などでも臨時で行われる場合がある。
併結列車については、「はこね」部分(6両)も含めて行われないこともあれば、同列車でのみ営業する場合もある。


新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年4月8日から当面の間全列車で車内販売が中止されており、さらに5月中の土休日は全ロマンスカーが運休する事態にもなったが、6月よりメニューと対象列車を縮小しつつもようやく再開された。
しかし、2021年3月12日の17時00分をもってJR各社に続く形で車内販売は正式に終了し*47、「走る喫茶室」から長年続いてきた小田急の車内サービスはついにその幕を閉じた。
代替として、新宿駅西口地上改札では3月6日~12日の10時00分~17時00分、小田原駅の改札内では3月6日・7日の10時00分~16時00分の期間にて、アテンダントによるロマンスカーグッズの特別販売が実施され、数量限定でメッセージカードが1枚プレゼントされた。



ロマンスカー停車駅

特定の種別は、停車駅がワンパターンのみか特定の駅に停車するか否かの違いしかなく覚えやすいが、それ以外は多くのパターンが存在しており、停車駅が一定していない。
上記の通り、2022年11月15日以降は本厚木駅のホームドア設置工事の関係で小田急線内の全ての停車駅にてEXE・MSEの4・7号車がドアカットされる。


小田急線内の種別

「スーパーはこね」「えのしま」は停車駅がほぼ固定されているが、「はこね」「さがみ」および「ホームウェイ」「モーニングウェイ」の停車駅は一定していない。


●はこね・さがみ
ロマンスカーの中でも最も停車駅のパターンが多く、さまざまな種類がある。さらに「さがみ」は途中駅発着も存在するため、全てを数えるのは難しい。
しかしながらある程度の傾向はあり、日中時間帯の小田原線内の途中駅は


1.町田・海老名
2.町田・本厚木
3.新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・秦野*48


のいずれかがメインになっており、各1本ずつ運行される傾向にある。よって、町田と本厚木は毎時2本、それ以外は毎時1本の停車になる。
すなわち、町田と相模大野、海老名と本厚木は互換関係にあり、原則両方停車することはない(一部例外あり)。海老名はほとんど「はこね」である。
3.の場合は全列車が秦野に停車するほか、海老名・本厚木の選択は存在せず、全列車が本厚木に停車し海老名は通過する。そのため、相模大野・海老名の停車パターンは1つも存在しない。


この他、伊勢原に停車する場合、


1.町田・海老名・伊勢原
2.新百合ヶ丘・町田・海老名・伊勢原・秦野
3.新百合ヶ丘・町田・本厚木・伊勢原・秦野


の3種類のパターンがあり、新百合ヶ丘・町田といった急行と同じ停車の仕方をすることもある。
2018年3月17日のダイヤ改正以降、1966年6月1日から少数ながらも停車していた向ヶ丘遊園と新松田は全列車が通過になり、ホームに設置されていた特急券券売機は撤去され、ガムテープで封鎖されたり、シャッターが下りていたりする。足元の乗車位置も剥がされているが、名残は残っている。そして、翌年にはついに券売機の台も撤去された。



●ホームウェイ
小田原線系統のパターンは以下の通り。ポイントとしては、町田・海老名・本厚木には全ての列車が停車し、それ以東止まりでない限り秦野・小田原にも必ず停車する点。箱根湯本は17:00~18:00台の一部列車が停車。
一方で、「はこね」「さがみ」系統の2.にあたる列車は存在せず、小田原線系統は全列車が新百合ヶ丘を通過する。
日中時間帯ではあまり見られない、海老名・本厚木のように急行と同一の停車駅になっている。


1.新宿→町田→海老名→本厚木→秦野→小田原→箱根湯本
2.新宿→町田→海老名→本厚木→秦野→小田原
3.新宿→町田→海老名→本厚木→秦野
4.新宿→町田→海老名→本厚木



「えのしま」系統のパターンは以下の通り。片瀬江ノ島まで乗り入れるか、藤沢止まりかの違いのみ。平日のみ新百合ヶ丘には多摩線の3番ホームに到着し、各駅停車唐木田行きと接続する。
2018年3月17日のダイヤ改正までは同駅を通過する列車があった。


1.新宿→新百合ヶ丘→相模大野→大和→藤沢→片瀬江ノ島
2.新宿→新百合ヶ丘→相模大野→大和→藤沢



●モーニングウェイ
「さがみ」系統は以下の通り。「ホームウェイ」よりパターンが多い。平日では相模大野は始発のみで、小田原・秦野・本厚木・海老名はそれ以東発でない限り必ず停車していたが、土休日では平日のような傾向は見られない。


平日
1.相模大野→町田→新百合ヶ丘→新宿
2.本厚木→海老名→町田→新宿
3.秦野→本厚木→海老名→新宿
4.小田原→秦野→本厚木→海老名→新宿
5.秦野→本厚木→海老名→町田→新宿


土休日
1.相模大野→町田→新百合ヶ丘→新宿
2.本厚木→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
3.本厚木→海老名→町田→新宿
4.小田原→秦野→本厚木→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
5.小田原→秦野→本厚木→町田→新宿



「えのしま」系統は以下の通り。片瀬江ノ島か藤沢始発で分かれ、さらに後者は新百合ヶ丘に停車するか否かでも分かれる。


1.藤沢→大和→相模大野→新宿
2.片瀬江ノ島→藤沢→大和→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
3.藤沢→大和→相模大野→新百合ヶ丘→新宿



●スーパーはこね
停車駅は以下のパターンに固定。ロマンスカーでは最も停車駅が少ない。


新宿→小田原→箱根湯本



●えのしま
停車駅は以下のパターンに固定。一部列車は新宿~相模大野間で「はこね」「さがみ」と併結して運行される。


新宿・新百合ヶ丘・相模大野・大和・藤沢・片瀬江ノ島



他路線直通種別

「メトロえのしま」のみ停車駅は固定。それ以外は2パターン以上が設定されている。


●ふじさん
パターンは以下の通り。違いは駿河小山に停車するか否かのみ。2012年3月17日のダイヤ改正より停車駅から町田・裾野・沼津が消え、代わって新百合ヶ丘・相模大野・秦野が加わった。
また、土休日には臨時列車1往復が運行される。


1.新宿・新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・秦野・松田・駿河小山・御殿場
2.新宿・新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・秦野・松田・御殿場



●メトロはこね
パターンは以下の通り。成城学園前~小田原間の停車駅は「メトロえのしま」と併結するか否かで異なり、単独運転の場合は町田・本厚木に、併結する場合は相模大野に停車する。それ以外は変わらない。


1.北千住・大手町・霞ケ関・表参道・成城学園前・町田・本厚木・小田原・箱根湯本
2.北千住・大手町・霞ケ関・表参道・成城学園前・相模大野・小田原・箱根湯本



●メトロえのしま
メトロ特急では唯一停車駅が固定されている。「えのしま」との違いは、成城学園前に停車し新百合ヶ丘と大和を通過する点。


北千住・大手町・霞ケ関・表参道・成城学園前・相模大野・藤沢・片瀬江ノ島



●メトロホームウェイ
パターンは以下の通り。不確定なのは北千住で、同駅か大手町始発かで分かれる。それ以外の停車駅は共通。
「えのしま」系統の「ホームウェイ」と同じく、平日のみ新百合ヶ丘には3番ホームに停車する。


1.北千住→大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→海老名→本厚木
2.大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→海老名→本厚木



●メトロモーニングウェイ
パターンは以下の通り。平日と土休日で異なり、新百合ヶ丘・成城学園前に停車するか否かで分かれる。それ以外の停車駅は共通。


1.本厚木→海老名→ 町田→表参道→霞ケ関→大手町→北千住
2.本厚木→海老名→ 町田→新百合ヶ丘→成城学園前→表参道→霞ケ関→大手町→北千住


なお、「(メトロ)えのしま」と併結する「(メトロ)はこね」「さがみ」は分割・併合の関係上必ず相模大野停車になり、町田は通過する。



臨時の種別

●ニューイヤーエクスプレス・メトロニューイヤー
2018年度の停車駅を表記する。


  • ニューイヤーエクスプレス

パターンは以下の通り。ほとんどが下りかつ「えのしま」系統で、小田原発着および上り列車はそれぞれ1本ずつのみ。メトロ特急でないにもかかわらず成城学園前に停車したり、「えのしま」系統なのに町田に停車したりと、通常ではなかなか見られない列車が多い。
2.は町田を除く現行のロマンスカー停車駅全てに停車する。


1.新宿→新百合ヶ丘→町田→大和→藤沢→片瀬江ノ島
2.新宿→成城学園前→新百合ヶ丘→相模大野→海老名→本厚木→伊勢原→秦野→小田原
3.片瀬江ノ島→藤沢→大和→相模大野→新百合ヶ丘→新宿



  • メトロニューイヤー

停車駅は以下のパターンで固定。「メトロえのしま」に似ているが、新百合ヶ丘・町田・大和に停車し、相模大野を通過する点で異なる。


北千住→大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→大和→藤沢→片瀬江ノ島



停車駅一覧

凡例
S…スーパー
M…メトロ
HW…ホームウェイ
MW…モーニングウェイ


●…停車
○…一部停車
▼…下りのみ停車(上り列車の設定はない)
▲…上りのみ停車(下り列車の設定はない)
▽…下りのみ一部停車(上り列車は停車しない or 設定がない)
△…上りのみ一部停車(下り列車は停車しない or 設定がない)
緑色…下りは乗車、上りは降車のみの取り扱い(逆は不可)
|…通過
↓…下りのみ通過(上り列車の設定はない)
↑…上りのみ通過(下り列車の設定はない)
※…運転停車(乗客の乗り降り不可)
空欄…運行なし


◇小田原線系統

駅番号駅名S






H
W
M
W
接続路線備考
OH 01新宿新宿駅のページを参照。
OH 23新百合ヶ丘多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面)
OH 27町田JR横浜線
江ノ島線(下りのみ)
多摩線(上りで新百合ヶ丘通過の場合。要同駅乗り換え)
全列車が相模大野を通過するため、下りは事実上の江ノ島線乗り換え駅。
上りで新百合ヶ丘を通過する場合、多摩線は同駅経由での乗り換えが必要。
OH 28相模大野江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面)
OH 32海老名相鉄本線、JR相模線
江ノ島線(上りのみ。要相模大野乗り換え)
多摩線(平日の一部の「MW」のみ。要新百合ヶ丘乗り換え)
全列車が相模大野を通過するため、上りの江ノ島線は同駅経由での乗り換えが必要。
さらに平日の70号・78号以外のMWは新宿まで無停車のため、多摩線も新百合ヶ丘経由での乗り換えが必要。
OH 34本厚木江ノ島線(上りで相模大野通過の場合。要同駅乗り換え)上りで相模大野を通過する場合、江ノ島線は同駅経由での乗り換えが必要。
OH 36伊勢原
OH 39秦野
OH 47小田原東海道新幹線、JR東海道線上野東京ライン湘南新宿ライン
伊豆箱根鉄道大雄山線
箱根登山線内は単線のため、途中駅で列車交換のための運転停車あり。
OH 51箱根湯本箱根登山線(強羅方面)


◇江ノ島線系統

駅番号駅名


H
W
M
W
接続路線備考
OH 01新宿新宿駅のページを参照。
OH 23新百合ヶ丘多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面)平日の「HW」は多摩線ホーム(3番ホーム)到着。
平日の「MW50号」のみ通過。
OH 28相模大野小田原線(小田原・箱根湯本方面)
多摩線(平日の「MW50号」のみ。要新百合ヶ丘乗り換え)
一部の「えのしま」は当駅で「はこね」「さがみ」と分割・併合を行う。
平日の「MW50号」は新百合ヶ丘を通過するため、多摩線は同駅経由での乗り換えが必要。
OE 05大和相鉄本線
OE 13藤沢JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)、江ノ島電鉄線
OE 16片瀬江ノ島


◇御殿場線直通

駅番号駅名


接続路線
OH 01新宿新宿駅のページを参照。
OH 23新百合ヶ丘多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面)
OH 28相模大野江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面)
OH 34本厚木
OH 39秦野
松田駅(新松田駅)付近の連絡線経由で御殿場線へ。
CB04松田御殿場線(国府津方面)
CB08駿河小山
CB10御殿場御殿場線(沼津方面)


◇千代田線直通
全列車とも千代田線内のみの乗車はできず、下りは乗車・上りは降車のみ取り扱う(逆は不可)。いずれも1・4・5・7・8・9号車のみドアが開く。
また、代々木上原駅で乗務員交代のため運転停車する(乗客の乗り降り不可)。

駅番号駅名M


M
H
W
M
M
W
接続路線備考
C 18北千住千代田線・常磐緩行線(綾瀬・北綾瀬・取手方面)、JR常磐線快速
東京メトロ日比谷線東武スカイツリーラインつくばエクスプレス
下りは乗車、上りは降車のみ可(逆は不可)。
C 11大手町丸ノ内線・東西線半蔵門線
都営地下鉄三田線
C 08霞ケ関丸ノ内線・日比谷線
C 04表参道銀座線・半蔵門線
C 01
OH 05
代々木上原乗務員交代のための運転停車(乗客の乗降不可)。
OH 14成城学園前多摩線(下り「Mはこね」のみ)
小田原線・新宿方面(上りのみ)
「Mはこね」は全列車が新百合ヶ丘を通過するため、下りは事実上の多摩線乗り換え駅。
代々木上原で降車できないため、上りは事実上の新宿方面乗り換え駅。
「MMW」は土休日(30号)のみ停車。
OH 23新百合ヶ丘多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面)平日の「MHW」は多摩線ホーム(3番ホーム)到着。
「MMW」は土休日(30号)のみ停車。
OH 27町田JR横浜線
江ノ島線(下りのみ)
小田急小田原線・新宿方面(平日の「MMW」のみ)
全列車が相模大野を通過するため、下りは事実上の江ノ島線乗り換え駅。
平日の「MMW」は表参道まで無停車のため、事実上の新宿方面乗り換え駅。
「Mえのしま」併結の「Mはこね」は通過。
OH 28相模大野江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面)
多摩線(「Mえのしま」併結の上り「Mはこね」のみ。要新百合ヶ丘乗り換え)
「Mえのしま」併結の「Mはこね」のみ停車。当駅で分割・併合を行う。
全列車が新百合ヶ丘を通過するため、上りの多摩線は同駅経由での乗り換えが必要。
OH 32海老名相鉄本線、JR相模線
小田急江ノ島線(「MMW」のみ。要相模大野乗り換え)
「MMW」は全列車が相模大野を通過するため、江ノ島線は同駅経由での乗り換えが必要。
OH 34本厚木江ノ島線(単独運転の上り「Mはこね」のみ。要相模大野乗り換え)単独運転の上り「Mはこね」は全列車が相模大野を通過するため、江ノ島線は同駅経由での乗り換えが必要。
「Mえのしま」併結の「Mはこね」は通過。
OH 47小田原東海道新幹線、JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)
伊豆箱根鉄道大雄山線
箱根登山線内は単線のため、途中駅で列車交換のための運転停車あり。
OH 51箱根湯本箱根登山線(強羅方面)

駅番号駅名M



接続路線備考
C 18北千住千代田線・常磐緩行線(綾瀬・北綾瀬・取手方面)、JR常磐線快速
日比谷線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレス
下りは乗車、上りは降車のみ可(逆は不可)。
C 11大手町丸ノ内線・東西線・半蔵門線
都営地下鉄三田線
C 08霞ケ関丸ノ内線・日比谷線
C 04表参道銀座線・半蔵門線
C 01
OH 05
代々木上原乗務員交代のための運転停車(乗客の乗降不可)。
OH 14成城学園前多摩線(下りのみ)
小田原線・新宿方面(上りのみ)
全列車が新百合ヶ丘を通過するため、下りは事実上の多摩線乗り換え駅。
代々木上原で降車できないため、上りは事実上の新宿方面乗り換え駅。
OH 28相模大野小田原線(小田原・箱根湯本方面)
多摩線(上りのみ。要新百合ヶ丘乗り換え)
当駅で「Mはこね」との分割・併合を行う。
全列車が新百合ヶ丘を通過するため、上りの多摩線は同駅経由での乗り換えが必要。
OE 13藤沢JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)、江ノ島電鉄線
OE 16片瀬江ノ島

この他、イベントなどにより臨時列車が運行されることもあり、普段は停車しない新松田駅や開成駅などに臨時停車することもある。



豆知識

乗車位置

ロマンスカー停車駅のホームには足元にドアの位置を示す表示があり、車両ごとに色分けされている。EXEとMSEについては共用で、編成数ごとに色分けされている。青色はホーム中央に停車するように配置されており、茶色とはドアの位置が異なる場合がある。併結列車については、相模大野を境に東側は茶色・西側はそれぞれの両数の色(小田原線は青色、江ノ島線は灰色)で案内される。
基本的に「(メトロ)はこね」「さがみ」と併結する「(メトロ)えのしま」を除いて4両編成単独の運転はないため、小田原線内で灰色乗車位置が案内されることはないが、2019年1月12日~14日に運行された「スーパーはこね9号」「はこね52号」「さがみ71号」はEXEαによる初の4両編成で運行されたため、珍しく灰色で案内された。


2018年3月17日のダイヤ改正以降、マークが一新され、これまでの車両の正面を写していたものから側面を写したものになった。共用マークについては2つまとめて描かれるようなっている*49。また、新たに4両編成の灰色乗車位置が追加されたが、位置自体は茶色の7~10号車に準拠している。
ちなみにEXEのマークについては、茶色と青色においてはブラウンとブラックのツートンにバーミリオンオレンジの帯が入っているという、EXEとEXEαをミックスしたようなデザインになっている。一方、灰色ではブラウンの部分がグレーになっており、EXEαになっている。
また、青色においてはMSEの方が前に表示されており、細かいこだわりも感じられる。


上記の通り、2022年11月15日以降は本厚木駅のホームドア設置工事の関係で千代田線を除く全ての停車駅でEXE・MSEの4・7号車がドアカットされる。


GSE:赤色
VSE:白色
LSE:オレンジ色(7月10日まで)
EXE・MSE10(10両編成):茶色
EXE・MSE6(6両編成):青色
EXE・MSE4(4両編成):灰色


HiSE・RSE・371系引退後から2018年3月17日のダイヤ改正までは以下の通り。
VSE:白色
LSE:赤色
EXE・MSE10:黄色
EXE・MSE6:青色


2012年3月17日のダイヤ改正までは以下の通り。なお、MSEの登場直後は青色マークには同形式のみが描かれていたが、これは当時EXEの全区間6両運転がなかったためである。
VSE:白色
EXE・MSE10:黄色
HiSE・LSE:赤色
RSE・371系:緑色
EXE・MSE6:青色



4両編成

前述の通り、EXEとMSEは6両編成+4両編成の構造になっており、10両編成以外にも6両編成単独による運転も多く見られる一方で、「(メトロ)はこね」と併結する「(メトロ)えのしま」を除いて基本的に全区間4両編成での運行はなく、MSEの4両編成側には千代田線・御殿場線の保安装置も備えられていない*50。下りの「はこね」では小田原で切り離されるため、4両側で「箱根湯本」の表示が見られることはなく、箱根登山線に入線することもない。
しかし、2019年1月12日~14日に運行された「スーパーはこね9号」「はこね52号」「さがみ71号」は初めて全区間4両編成(EXEα)で運転され、ネットで話題になった。前述の灰色乗車位置をはじめ、先頭車両が貫通型・7~10号車で「箱根湯本」の表示・4両編成の箱根登山線への入線など、普段はなかなか見られないような光景が相次いだ。
それ以降も、EXE4による運行は連休やトラブル時による代走が生じた際に適宜行われている。



ロマンスカー関連施設

ロマンスカーカフェ

かつてVSEで営業していたものと同名のカフェテリアが新宿駅構内(西口地上改札)にある。2006年3月31日から小田急レストランシステムによって運営されており、VSE以降の車両と同じく岡部憲明アーキテクチャーネットワークがデザインを担当。ロマンスカー伝統のバーミリオンオレンジで彩られている。
しかし、新宿駅西口の再開発の関係で2023年2月25日をもって惜しまれつつ閉店した。


ロマンスカーシートボックス

海老名駅に隣接している「ビナウォーク」のフードコートには、HiSEとRSEで実際に使われていた運転席と普通席・スーパーシートが置かれており、座って食事を楽しむことができる。運転席は1席ずつ2人がけで、それ以外はセミコンパートメントのように2席ずつ4人がけで向い合せに設置されている。
いずれも人気席になっており、食後は速やかに移動するようにとの注意書きがある。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で使用を休止し、現在は撤去されている。



キャラクター

●渋沢あさぎ
トミーテックが開発している鉄道事業者の制服を模したフィギュアシリーズ『鉄道むすめ』のキャラクターの1人で、VSEやGSEでロマンスカーアテンダントをしている設定。名前の由来は渋沢駅と「あさぎり」から。
ちなみに車内販売限定は色違いである。この他、新宿駅員の「船橋ちとせ」やロマンスカー車掌の「石田あいこ」もいる。



作品

楽曲

●「ロマンスカー」
1992年に発売された「ロマンスカー」という楽曲がある。作詞・作曲は村下孝蔵氏。シングル「名もない星」のトラック1に収録されている。
失恋を切なく歌ったフォークソングであり、村下氏が最も好きだった曲だという。彼の葬儀においてもこの曲が流れた。
また、浜田省吾氏のバックバンドの1人、町支寛二氏も半音下でこの楽曲をカバーしている。
どちらも高い歌唱力を持つ歌手であり、非常に完成度の高い楽曲になっている。


窓の外を光る電車が
街並み抜けて走った
夢を乗せたロマンスカーを
何度も見てた 寄り添って

●「ロマンスをもう一度」
CMでは、「ロマンスをもう一度」という曲をBGMに、旅行・同窓会の様子や箱根湯本などの情景を背景に放送されることが多く、テレビで見たことがある人も多いだろう。また、VSE・GSEでは車内放送前後のチャイムでも流れる。
今ではロマンスカーのみならず、小田急のテーマソングになっている。


あなたはいま どの空を見ているの
虹の向こうの 遠い日を見ているの
水平線がゆっくりと ひとつに重なれば
また会えますか 新しい日のなか

●「小田急ピポーの電車」
「ロマンスをもう一度」より以前の時代では、SEの警笛をイメージした「小田急ピポーの電車」というソングが使われていた。かなり中毒性があるので、聞いてみるのもいいかもしれない。
なお、このSEの警笛はその後のRSEまで補助警報装置として搭載されていたが、列車本数の増加により騒音とみなされるようになってしまい、HiSEが登場した1987年ごろにはほとんど使わなれなくなったといい、実際に1972年には沿線住民だった外国人から抗議により、相模大野以東での使用が禁止された記録がある。
これを受けてか、続くEXEでは採用は見送られたものの、VSE以降では警笛と共用のミュージックホーンとして復活しており、再び耳にすることができるようになった。


速いなピポーの電車 小田急小田急 ピポピポー
特急着いた 箱根に着いた 昇るロープウェー 空を行こ
小田急小田急 ピポピポー
お船で渡ろ 湖渡ろ 伸びるハイウェイ バスで行こ
小田急小田急 ピポピポー
小田急 小田急 ピポピポー ピポピポー

●「Myself ~風になりたい~」
1989年にリリースされた、徳永英明氏が歌う「Myself ~風になりたい~」という曲がある。彼の8枚目のシングルでもあり、CMソングに抜擢されていた。彼にとっては男女の恋愛をテーマとしない初めての曲である。
当時イメージリーダーを飾っていたHiSEが映っており、キャッチコピーも現在の「きょう、ロマンスカーで。」「新宿から、箱根へ」ではなく「新宿のとなりに夏がある」「新宿から、55マイル」といったものだった。



映像作品

●テレビドラマ
1981年に放送されたTBSのテレビドラマ「想い出づくり。」では、主人公の一人である古手川祐子氏がロマンスカーの乗務員・吉川久美子を演じており、1980年代当時の新宿駅やロマンスカーの映像が登場する貴重な作品になっている。
こちらはCSや配信サービスで視聴可能。


●映画
2015年には、小田急電鉄全面監修のもと、MSEを舞台にした映画『ロマンス』が公開された。主演は元AKB48大島優子氏で、グループ卒業後初の主演作になった。ロマンスカーのアテンダントとして働く主人公・北條鉢子を演じており、クランクイン前から役作りに励んでいたという。



あさぎ「追記・修正は今日、アニヲタWikiで。」



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  • 3100形はウルトラセブンの「緑の恐怖」にも石黒隊員に化けたワイアール成人が正体を現した電車ですな。 -- 名無しさん (2014-05-16 11:01:22)
  • グリーンに一度乗ったらガラガラで、アテンダントさんがやたら世話焼きに来るのが嬉しいやら恥ずかしいやら。 -- 名無しさん (2014-09-11 09:03:37)
  • 来年3月から海老名と伊勢原にも停車するはこねが登場。 -- 名無しさん (2015-12-22 18:48:59)

#comment

*1 車両と車両の間に台車を取り込むこと。それに対して、1車両に2つずつ設置される一般的な台車をボギー台車という。
*2 連接構造の車両は1両約13m程度と短く、11両編成であっても20m車の7両分しかないため入線できる。
*3 小田原では3分間停車し、12分かけて箱根湯本まで向かうため、全体の所要時間は73分である。
*4 小田原で後ろ4両を切り離すことから、箱根湯本までの所要時間は1分遅い74分である。
*5 定期列車扱いになったのは11月15日のダイヤ改正以降。
*6 当初は終点まで無停車の25号町田行きだったが、2018年3月17日のダイヤ改正で相模大野に延長するとともに、61号と独自の番号になった。
*7 ただし、毎年2月に湯島天満宮で開催される梅まつりに合わせ、臨時列車「メトロおさんぽ」号が臨時停車することがある。
*8 また、同列車を含めた始発~14時20分までに同駅に到着するロマンスカー(「えのしま 1・2・3・5・21号」「モーニングウェイ60号」)の特急券を持っている人は、駅改札の特設コーナーでロマンスカーオリジナルノベルティがプレゼントされた。
*9 上りは2007年度以降、「初詣号」という名称で唐木田→綾瀬間において運転された。途中停車駅は多摩急行と同じ。
*10 実際には3月11日に東日本大震災が起きて以降は運用がなかった。
*11 多摩急行は当初より停車しており、多摩線内に限れば一時期急行よりも停車駅が多かったことになる。
*12 元々は戦争中に東海道線が爆撃を受けた際に迂回路線として活用するという構想が由来だとされる。
*13 当初は588席だったが、リニューアルの関係で座席はEXEαに合わせており、あちらでラゲージスペースになっている2号車の1A・1B席と5号車・9号車の15A・15B席は利用できなくなり、10席減少した。
*14 やがて同列車はVSE専属の運用になっていったが、2018年3月17日のダイヤ改正で車両を問わず運行されるようになり、2020年3月14日のダイヤ改正からは久しぶりにEXE10の運用が復活した。
*15 厳密には1997年の選考で最多の得票数を得たものの、「該当なし」票がそれを上回ったため。つまり、得票数自体は他の車両に負けておらず、「該当なし」票があったがゆえの悲劇であった。
*16 当初は「ODAKYU―SUPER EXPRESS・30000 ROMANCECAR EXEα」とSEを名乗らないのに「Super Express」の表記になっていたが、運行開始までに「Excellent Express」に修正された。
*17 4種類は岡部氏のデザインで、残りの1種類はアテンダントからの提案によって採用された、アジサイの季節で使用されるデザイン。
*18 この「バーミリオンオレンジ・ホワイト・グレー」という色使いは、結果的には同3形式のカラーリングと同じ組み合わせになった。
*19 EXEでは「EXE Excellent Express 30000」という表記だった。
*20 当初は10度の予定だったが、かえって落ち着かなかったとのこと。
*21 通称「ロマンスカーカフェ」。なお、新宿駅構内に同名のカフェテリアが実在する。詳細は後述。
*22 工場建屋のシャッター付近にスモークがたかれ、その中からミュージックホーンを鳴らしたVSEが登場するという演出だった。
*23 11号は所要時間が61分なので含まれない。
*24 この他、一部では「ホームドアへの対応が困難なため」という噂も流れたが小田急は否定しており、乗降口の位置は他形式とそこまで変わらないため、ホームドア設置後のEXE・MSEのように一部号車をドアカットすれば事足りる。
*25 7両編成のロマンスカーは、RSE・371系が廃止された2012年3月17日のダイヤ改正以来6年ぶり。
*26 神奈川県の県花であり、相模の山野を走るロマンスカーにはふさわしい花とされていたため。
*27 この時、沼津駅で停止できなかった場合に備えて隣の原駅まで線路を空けており、沼津では停止時に車両の横揺れがあってもプラットホームに接触しないように縁石を一部撤去していたが、杞憂に終わっている。
*28 竣功届は3月2日付で事後的に提出。
*29 小田原方から順に、新第5編成は「旧第2編成5号車・旧第1編成5号車・旧第2編成6号車・旧第1編成4号車・旧第2編成4号車」。新第6編成は「旧第4編成5号車・旧第3編成5号車・旧4第編成6号車・旧第3編成4号車・旧第4編成4号車」で組成。
*30 ヘッドマーク(種別)はそれぞれ「乙女」と「あさぎり」。
*31 構想自体は1700形の段階ですでにあったものの、なかなか採用には至らなかったという。
*32 ただし、両先頭車両と中間車両2両(パンタグラフから考えて5・7号車)の4両という、実在しない短編成になっている。
*33 なお、これが複々線完成前の最高記録であり、以降は年々所要時間が増加している。
*34 登場間もない1964年2月から3月には、6両編成に改造されて運行した記録がある。
*35 途中、下り1号は町田・上り2号は本厚木に停車。特急券には「ゆめ70-1」「ゆめ70-2」と印刷され、乗客にオリジナルポストカードがプレゼントされた。
*36 計画の段階ではSEの後継車両という位置づけで、NSEを6両編成にしてそれまで同形式で使用されていた列車に新型を投入する案や、20m級のボギー車4両編成にするという案、展望席をサロンルームにする案や座席を外に向けたりする案など、実に多様な意見が飛び交ったという。
*37 試作車両として591系とキハ391系気動車があったが、前者はすでに解体されており、後者も休車状態だった。
*38 普段は藤沢行きだが、この日に限って片瀬江ノ島まで延長運転された。
*39 先頭の“Hi”は、「High decker」「High grad」「High level」などから連想される、上級という意味の「High」という言葉を表したもので、ロマンスカーとしては珍しく特定の単語の頭文字からとられたわけではない。
*40 当形式の導入で特急用車両の運用に余裕が生じたため、1988年3月からはロマンスカーの増発も行なわれた。
*41 ただし、ドア幅は62 cmとやや狭い上に乗車時にスロープを使用できないため、車椅子によっては利用できない点には注意。
*42 「あさぎり」運用では371系と同じくグリーン席と呼称された。
*43 この直前の2列だけは2+2配置の組み合わせになっている。
*44 運賃・特急料金込みで大人4000円・子ども3000円。乗車日の前月1日より予約が開始され、3日前に受付終了。
*45 EXE・MSEは3号車と9号車に、GSEは4号車に置かれている。
*46 車内販売・売店が行われる列車は、時刻表にコーヒーのマークが描かれている。
*47 実際には2021年1月8日から中止しており、状況次第では一時的な復活も予定されたものの、結局再開の目途が立つことなく終了したため、その前日の1月7日が実質的な最終日になってしまった。
*48 時間帯によっては、「ふじさん」および「さがみ」で運行される。土休日は「えのしま」の場合もあり。
*49 同改正以前の共用マークは、一覧のボードにおいては黄色はEXE、赤色はHiSE(引退後はLSE)、緑色はRSEのみが描かれており、どちらかの車両しか描かれていないことが多かった。
*50 前者は正確には、上りでは先頭車両になる関係上10号車は千代田線の保安装置を有しているが、7号車については4両編成単独での運行を想定していないので備えられていない。

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