aklib_story_光冠残蝕_10-15_砲火より逃れる_戦闘前

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光冠残蝕_10-15_砲火より逃れる_戦闘前

自救軍の撤退を援護するため、アーミヤは城壁に登り都市防衛砲を停止させることを提案する。その途中、アーミヤたちは再びヘドリーに遭遇するも、フェイストの策によって、アーミヤとドクターは昇降機に乗り込むことに成功した。

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[クロヴィシア] 状況はどう？

[自救軍戦士] ――DエリアとEエリアが深刻な損害を受けています。他のエリアの上部構造もそれぞれ被害あり！

[自救軍戦士] 軽傷者が十九名、今のところ重傷者なしです。

[自救軍戦士] 幸い指揮官とあのドクターの指示に従い、ほとんどの者が事前に安全エリアへと移動していたので――

[クロヴィシア] いや、安全ではない。

[クロヴィシア] 区画全体が危険だ……我々の拠点は完全に敵に露見した。

[クロヴィシア] ここを徹底的に爆破し、我々の逃げ場がなくなるまで、奴らが手を止めることはない。

[クロヴィシア] 我々に残された時間はどれくらいだ？

[クロージャ] 三十分、いや、もっと短いかも。

[クロージャ] この近くの区画は結構年季が入ってるし、前に見た防衛砲の威力からして、そこに出力値の理論倍数をかけ合わせて――

[クロージャ] 三十分もかからずに、あたしたちの頭上の基礎構造層は全部崩れちゃうよ！

[クロヴィシア] ハマーに知らせてくれ、すぐに列車を起動させる。

[アーミヤ] 列車？

[クロヴィシア] キミたちも見ただろう。私たちの頭上数キロ先には、駅がある。

[アーミヤ] 駅はすでにサルカズに占領されていると思っていましたが……

[クロヴィシア] ならば、取り戻さないといけない。

[クロヴィシア] 今サルカズは他の区画へ通じるすべてのルートを遮断している。これはサディアン区から撤退する最後の希望だ。

[クロヴィシア] ハイディ、サディアン区を離れた後、サルカズの視線を避ける方法はあるか？

[ハイディ] はい、ずっと準備してきましたから。

[ハイディ] 次の駅に着いたら、中央区へ侵入するまで、偽装と援護をしてくれる仲間がいます。

[クロヴィシア] よし。

[クロヴィシア] であれば最大の問題はやはり、無事に列車に乗り込めるかどうか――

[アーミヤ] ……

[アーミヤ] クロヴィシアさん、私たちの現在地は城壁からどれくらい離れていますか？

[クロヴィシア] 地下通路を行くのであれば、とても近い。

[アーミヤ] 下から城壁を登ってみようと思います。

[クロヴィシア] アーミヤ、キミ……

[アーミヤ] 自救軍が撤退できるよう、私たちが時間を稼ぎます。

[マンフレッド] 目標区画のすべての出口を封鎖し、駅を監視しておくのだ。追い出した獣たちを次の暗渠に逃げ込ませるな。

[マンフレッド] 地上の移動目標に対する追跡機能を設定せよ。万一奴らが諦めようとせず、地面まで這い上がり他の乗り物を用いようとしたならば、より激しい砲火を浴びることになるだろう。

[マンフレッド] 城壁内のあらゆる要所の防御を強化しておきなさい。

[マンフレッド] ……それと、都市防衛砲の制御パスワードの変更を。私以外に、停止できないようにするのだ。

[？？？] 素晴らしい、賞賛すべき慎重さだ。

[マンフレッド] 殿下！？ なぜこちらに……

[テレシス] もうしばらくすると、うっとうしいムシケラどもには身を隠す場がなくなる。全ロンディニウムの反対勢力は、これ以上軽率な行動をとれなくなるだろう。

[テレシス] さらに重要なのは、我々の目の届かぬ抜け道を出入りする者がいなくなるのだ。外の公爵部隊は我々がふるいにかけた後の情報しか手に入らなくなる。

[テレシス] 我々の計画に影響を与えられる者はいなくなるのだ。

[テレシス] マンフレッド、言祝ぐに値する瞬間を私と迎えるのがよもや嫌とは言うまい？

[マンフレッド] ……

[マンフレッド] どうか冗談はおやめください。

[テレシス？] ほう？ また進歩したな。わずかに言葉を交わしただけで、僕たちがテレシスではないと見抜くとは。

[マンフレッド] ……殿下があなたを咎めることはないでしょうが、聴罪師の者が今のあなたのお姿を見れば、きっとまた殿下にあなたの行動制限を申し出るでしょう。

[テレシス？] そうか、マンフレッドの言う通りであるな。軍事委員会に命を下す者が二人もいてはならぬ――

[？？？] なら僕たちはもっと楽な姿にさせてもらうね。

[マンフレッド] ……珍しいですね、あなたが王庭会議に出席する際の姿で私に会ってくださるとは。

[？？？] 約束したしね～。もう死者の顔を使ったり、君や君の戦士を驚かせたりはしないよ。

[マンフレッド] 予定よりも早いお戻りですね。

[マンフレッド] あなたは反乱軍の根城を特定してくださいましたが、奴らはまだ私の気付けていない退路を残しているやもしれません。

[マンフレッド] もし事前の手はず通り、反乱軍が我々の手に落ちるまで、あなたが奴らについていってくれたら……

[？？？] あのドクターが僕たちをのんびりさせてくれると思う？

[？？？] それにさぁ、マンフレッド、忘れないでよ。君、僕たちに指図する立場じゃないから。

[マンフレッド] ……

[マンフレッド] 出過ぎた真似を、どうかお許しくださいませ。

[？？？] 赤目の死にぞこないに話す言い方で、僕たちにしゃべるのもやめてよ。前に言ったじゃん、その手には乗らないよ。

[マンフレッド] 承知いたしました。

[マンフレッド] 一足早くこちらに戻られたのなら、お望みのものは地下で見たのですね？

[？？？] うーん……あの「魔王」は、僕たちが想像してたよりもたくましくはあった。でもまだまだ未熟だね。

[？？？] 彼女さ、自分が何に直面しようとしてるのかまだわかってないんだよね。もっと見極めたいなら、少なくとも彼女があの殿下に会ってからだね。

[マンフレッド] ……今のお言葉は、くれぐれも聴罪師には聞かれないように。

[？？？] 聞いたからってどうなるっていうのさ？

[マンフレッド] 彼らは変形者の王庭を……風見鶏だと思いますので。

[？？？] 僕たちがそんなの気にすると思う？

[？？？] マンフレッド、君と約束したことはもうしてやったから、残りの後始末は、君とブラッドブルードで何とかして。

[？？？] そうそう、次もやるなら、今度は生きてる人にしてちょうだい。

[モーガン] ヴィーナ、アーミヤちゃんとドクターはもう出発したよ。

[シージ] わかった。

[モーガン] 第一陣の自救軍が地上の駅へと向かってる……

[ロックロック] 急いで、早く、みんな続いて！

[モーガン] 戦士たちが駅の奪還に成功したら、怪我人や非戦闘要員の民間人を優先して列車に乗せるよ。

[ハイディ] バリンさん、あなたと医療オペレーターたちで移動が困難な怪我人の面倒を見ていただけますか。皆様通路両側の信号灯に注意してください、どうかはぐれませんように！

[モーガン] 司令部のほとんどの人が怪我人や民間人と一緒に移動してるよ。一人だけ除いて――

[クロヴィシア] 全員撤退通路に入ったか？

[自救軍戦士] 上部構造の安定性が低下しています！ 指揮官、すぐにここから離れてください！

[クロヴィシア] 全員が通路に入り終われば、私も行く。

[クロヴィシア] 第十二隊、状況報告を！

[自救軍戦士] 指揮官、この地下にはもう誰もいられません。本当に敵が下りてくるのでしょうか？

[クロヴィシア] 報告を！

[モーガン] ヴィーナ、吾輩たちはバリンたちについていく？

[シージ] 私たちは残る。

[モーガン] 残る？ クロヴィシア指揮官と一緒にってこと？

[シージ] 予感がするんだ……彼女も感じているだろう。

[シージ] 最も強大な敵は、今我々の頭上にはいないのかもしれない。

[ホルン] ……都市防衛砲ね。

[ロッベン] はい、ホルンさん、防衛砲がまた起動しています！ 今回の奴らの標的は城壁から最も近い区画です。現状、爆撃の中心はここではないようですね……

[ホルン] でも誰も付近の安全は保証できないわ。

[ロンディニウム市民] 逃げろ、早く逃げろ――

[ロンディニウム市民] うちの娘はどこへ行ったの……娘を見た人はいないかしら？

[ホルン] 危ない！

[ホルン] すぐに頑丈な建物に避難してください――いえ、即座に城壁から離れてください！

[ロンディニウム市民] わ……わかったわ……

[ホルン] ……ロンディニウムの都市防衛砲ね。

[ホルン] 今の状況からすると、砲火が地面を貫いて、一番下の基礎構造を破壊するまで、それほど長くはかからないわね。

[ロッベン] 忌々しいサルカズめ。あいつらはこの瞬間をずっと待っていたんですか？ この都市を徹底的に破壊しようとしているんですか？

[ホルン] いいえ。彼らは少数の大砲を起動しただけ。目標も明確よ。

[ホルン] 彼らは私たちを……そして私たちの友を滅ぼそうとしているわ。

[ロッベン] ホルンさん、我々はどうしますか？

[ホルン] 昨日私たちと戻った兵士の中に、元々ここの都市防衛軍だった人が何人かいるでしょう？

[ホルン] 彼らを呼んできて。一番いい装備を持たせるのよ。

[ホルン] 彼らに伝えてちょうだい――私たちの城壁をサルカズの手から奪還すべき時が来たと。

[フェイスト] もう少しで着く。

[クロージャ] 気を付けて、こんなとこでこけないでね――

[クロージャ] 君、大丈夫？

[フェイスト] ハッ……良いとは言えないな。

[クロージャ] はぁ、わかるよ。

[クロージャ] あたしも大きなヘマしたことがあってさ、信じちゃいけない人を信じちゃったんだ。

[クロージャ] それから一ヶ月以上の間、立ち止まらないよう自分を追い込むしかなかったよ。

[クロージャ] 立ち止まったら、あたしは……えっと、アーミヤちゃんの目を直視できなくなっちゃう気がして。

[フェイスト] ああ、戦いはまだ終わってない。

[フェイスト] みんな一息入れる暇もないんだ。悼んだり自分を疑ったりしたいなんてのは、贅沢すぎる話だって。

[アーミヤ] フェイストさん、感情を落ち着かせたいならお力になりますよ。

[フェイスト] 感情を落ち着かせる？ それもなんかのアーツか？

[アーミヤ] そんなところです。

[フェイスト] あんたは普段から……戦士のためにそういった心理療法をやってるのか？

[アーミヤ] もし彼ら自身が必要だと感じればですが……

[フェイスト] えっと……

[ドクター選択肢1] 誤解しなくていい、アーミヤはみなを気にかけているんだ。

[ドクター選択肢2] アーミヤはオペレーターを感情のない戦闘マシンにしたいわけではない。

[アーミヤ] フェイストさん、誤解を与えてしまいましたか？

[フェイスト] コホンッ、いやそんなことはない。ただアーツってほんとに不思議だなと思ってさ。

[フェイスト] ロンディニウムのようなデカい都市で生まれても、見たことないものはたくさんあるもんだな。

[フェイスト] アーミヤさん、親切にありがとな。だけど、俺まださっきの光景を頭から追い出したくないんだ。少なくとも今はまだ。

[クロージャ] じゃあ続けて仕事する？

[フェイスト] おうよ。

[クロージャ] ドローンによると、あたしたちの頭上の防御用基礎構造層は……とても分厚い。

[アーミヤ] 爆破できますか？

[クロージャ] 可能性は低いよ。もしロンディニウムの都市防衛システムがそんな簡単に爆破できるなら……うん、昨日のうちにはザ・シャードに攻め込めるはずだったね。

[ドクター選択肢1] 君なら方法を見つけられる。

[ドクター選択肢2] クロージャを信じている。

[クロージャ] ドクター、信頼してくれてありがと。でもそういうのって部下に仕事を押し付ける言葉っぽいよ～。

[クロージャ] うん……昇降機をスキャンできた。いい感じの隙間が見つかりさえすれば、ドローンを押し込んで、昇降機の制御を乗っ取れると思う……

[クロージャ] もちろん、まずは自分たちが上へ向かうための、より大きな隙間を見つける必要があるけどね。

[クロージャ] ドクター、信号を送ってMiseryに来てもらう？

[ドクター選択肢1] 彼にはほかの任務がある。

[クロージャ] そっか、どうやらあたしたちはサボれないみたいだね。

[クロージャ] 地元民さん、なんかアドバイスちょうだい。

[フェイスト] 支柱構造を見つけて、そこに超強力な外圧を加えられたら、隙間ができるはず……

[クロージャ] ……何かがものすごいスピードでこっちに近づいてるよ！

[アーミヤ] サルカズに気付かれたのでしょうか？

[クロージャ] そんなの気にしてられないよ。ドローンに源石爆弾を搭載するよ！

[クロージャ] フェイスト、位置を計算して。爆発の効果を増幅させる方法を考えよう――

[アーミヤ] 来ました！

[アーミヤ] ……ヘドリーさん。

[ヘドリー] また会ったな、ロドスのリーダー。

[アーミヤ] Wさんは……

[ヘドリー] 本当に今その話をしたいのか？ お前たちに時間はないと聞いているが。

[アーミヤ] その件は今は不問にしてもいいです。チェルノボーグやScoutさんのことについても……ひとまず置いておきましょう。

[アーミヤ] ですが、もし今ここで私たちの道を阻むというのなら、私はためらいなくアーツを発動させます。

[ヘドリー] あの殿下の継承者の手で死ねるとは、一傭兵からしたら、それもある種の栄誉と言える。

[クロージャ] アーミヤちゃん、急いで！

[クロージャ] たった今、あたしの爆弾がカウントダウンを始めたよ――

[クロージャ] 一分だからね、最大で一分しかないよ！

[アーミヤ] 私がヘドリーを止めます……

[フェイスト] ……いんや。アーミヤさん、この傭兵は俺に任せてくれ。

[アーミヤ] フェイストさん？

[フェイスト] 支柱の位置は見つけた。俺に考えがある。上手くいくかはわかんないけど……成功したら、ドクターと急いで壁を登ってくれ。

[ヘドリー] お前のことは知っている、若き戦士。

[ヘドリー] お前のその表情も知っている。ようやく自分がどれだけ失ったかを知り、自らの決定の正当性を疑い、迷っているだろう。

[フェイスト] 迷い？

[フェイスト] ごめんな～、たとえ時間があったとしても、殺し屋と語り合おうとは思わないんだ。

[フェイスト] これを見ろよ――

[ヘドリー] ……また発煙弾か？

[ヘドリー] 動かせる腕が一本減ろうと、このような道具は俺に効かん。

[フェイスト] 来いよ、サルカズ、俺を斬ってみな！

[フェイスト] あんたの剣、あんたの刀、ぜんぶ使ってみろよ――

[ヘドリー] 俺をおびき寄せるつもりか？ 賢い策略とは言えんな。

[ヘドリー] 客観性に欠けた孤独な蛮勇では奇跡など起こせない。

[ヘドリー] お前の手下が全員ここにいたとしても、俺に勝つすべはない。

[フェイスト] うっ……

[ヘドリー] 逃げる姿がますます無様になってきたな。助けてくれる者がいなければ、お前などすぐに血を流して死ぬ。

[ヘドリー] 所詮、ただの職人にすぎない。レンチやハンマーなどを振り回すだけで、長年戦いの中で鍛え上げたサルカズの剣に立ち向かうだと？

[ヘドリー] あそこの魔王に助けを求めろ。彼女にやらせるんだ。

[フェイスト] ……魔王？

[フェイスト] あんた……何言ってやがんだ……

[フェイスト] サルカズが……あんたたちがロンディニウムに戦火を広げたんだ……

[フェイスト] だったら、これは俺たちの戦争なんだよ！！

[クロージャ] 三十秒！

[ドクター選択肢1] アーミヤ、エネルギーを集中するんだ。

[アーミヤ] ドクター、私につかまっててください！

[アーミヤ] フェイストさん、どこに狙いを定めればいいか教えてください――

[フェイスト] 傭兵……こいつが見えるかよ？

[ヘドリー] ……今度はどんな目くらましだ？ もう足掻くのはやめろ、お前では俺の目は誤魔化せない。

[フェイスト] そうだ、それでいい――

[フェイスト] もっと力を込めてくれよ……！

[ヘドリー] これは……機械のハガネガニ？ フン、またこんな小細工でやり過ごす気か？

[フェイスト] いいや……！ そいつはあんたらが俺から奪っていった一番大切なものだ。

[フェイスト] 俺は一人なんかじゃない……

[フェイスト] ほら、またビルが助けてくれたぜ。傭兵、あんたの疑り深さのおかげでもあるがな。

[ヘドリー] 俺の疑り深さだと？ お前……

[ヘドリー] 俺の攻撃を利用したのか――！

[フェイスト] ハ……ハハ！ やっとわかった？

[フェイスト] 俺への斬撃は全部、あんたらの敗北に繋がってんだよ！

[クロージャ] アーミヤちゃん、ヘドリーの攻撃で基礎構造層に隙間ができたよ！

[クロージャ] 早く、あそこを狙って、爆弾がもうすぐで爆発する！

[クロージャ] 三、二、一――

[アーミヤ] くっ――

[クロージャ] 開いた――この隙間の大きさならいける！ ドローン、行け――

[クロージャ] よし！ 昇降機をコントロールできたよ！

[アーミヤ] ドクター、行きましょう！

[クロージャ] フェイスト、まだ力は残ってる？ ジップラインを掴んで、あたしたちもついてくよ――

[ヘドリー] 行かせん――！

[フェイスト] クロージャさん、まだ爆弾はある？

[クロージャ] あるよ、はい！

[ヘドリー] お前ら……

[フェイスト] ……手助けサンキューな、傭兵さんよ。