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紅炎遣らう落葉_CF-5_猛る荒くれ者_戦闘前
オペレーターたちが新たな装備へと着替えていたちょうどその時、野営地を訪れた老狩人は過去を思い返していた。しかしそこへ戻ってきたヤトウたちに出くわし、彼らは衝突してしまう。そのさなか、突然姿を現したオトモアイルーが警告するも時すでに遅く、彼らの元へと巨大な影がやってくる。
[???] あんたは乾いた血を嫌っている。矛先を鈍らせるからな。
[???] 今夜もあの日と同じだ。湖の中に月が映ってる。
[???] 軟弱で無能、ただただ隠れてばかりいた……あの時、何かが違ってたら……
[柏生義稜] ……静かだな。
[???] そう見える夜ほど残酷なものだ。忘れてはいけない人を思い出させるから。
[???] 覚えてるよな……俺が言ったこと。俺たちはよく、湖の近くの野営地で休憩を取ってた。焚き火を囲んで、獣どもの対処法について一緒に考えてたんだ。
[柏生義稜] はぜる焚き火に、焼いた肉の匂い、だろう。全部覚えているさ。
[柏生義稜] 俺は……忘れるわけにはいかない。
[???] 時間だ。あの怪物を待たせすぎるなよ。
[柏生義稜] ……あの光は……?
[柏生義稜] ――! 野営地のあった方角だ……
[柏生義稜] 誰かいるのか?
[柏生義稜] ……すでに去ったあと、だな。
[柏生義稜] この焚き火……
[学者アイルー] テラの星空は……一見して、故郷の空と同じようにも見えますが、星の位置が全然違いますニャ。
[学者アイルー] ニャニャ? 変な雲が見えますニャ。おかげで星の光が遮られちゃいましたニャ。にしても、見たこともない雲ですニャ……これは記録する価値がありそうですニャ。
[学者アイルー] ノイルホーンから聞いた話では、テラの気候は故郷と大きく変わらないようですニャ。
[学者アイルー] 風、雷、雨、雪……よく似た生態環境はよく似た自然の循環を生み出しますから、これも摂理ですニャ。
[学者アイルー] 彼は、そのほかにも……「天災」というものがあると言っていましたが、我々の思う「天災」とはどこか違うもののようでしたニャ。
[学者アイルー] 本当にノイルホーンの言葉通りなら、それはアマツマガツチが現れた時のような恐ろしい災害ですニャ。ただ、天災は源石によって引き起こされる現象だと言ってましたしニャ……
[学者アイルー] 石が災害を引き起こすなんて考えられない話ですニャ。そんなこと本当にあるのでしょうかニャ?
[学者アイルー] この目で確かめたことのない現象など、認められませんニャ。ですが……テラの特殊性は概ね、この源石と関係しているようには思いますニャ。
[学者アイルー] 直接天災を観測できる機会があれば良いのですがニャ……
[学者アイルー] ニャ? ノイルホーンたちが帰ってきましたかニャ?
[学者アイルー] って、あれは……! ニャニャ!
かがり火の光が老人の頬を照らす。
長い年月が刻んだ皺に影が落ちる。
それは彼の経験すべてを超える悠久の時を思わせた。
もはやいつのことかすら思い出せずとも、
焚き火はその当時と同じように熱く――
次第にまた、曖昧な声が聞こえてくる。
揺れているのは自分か、大地か……
[柏生義稜] 明……
[柏生義稜] 明。
[柏生明] はあ。爺さん、あんたまだ生きてたのか?
[柏生義稜] 死ぬに死ねなくてな。
[柏生義稜] 醜く愚かな畜生どもに、この俺は殺せない……お前とは違うんだ。
[柏生明] おいおい、しぶとさ自慢かよ。そんな頭刺されても這いずって進む獣みたいな有様で?
[柏生明] 無様にもほどがあるだろうが。
[柏生義稜] 言ってろ……俺は、自分の狩りをやり抜くだけだ。
[柏生義稜] この森に百匹、千匹、いや万匹を超える獣が残っていようが関係ない……奴らを根絶やしにするまで、俺は止まらない。
[柏生義稜] どんな怪物が待ち受けていようとも……俺は奴らを殺す。一匹残らずな。
[柏生義稜] お前と言い争ってる時間はないんだ……俺はあのでかいのを追う。
[柏生義稜] ごほっ――にしても、大した爪痕だな。
[柏生義稜] ここに降りたばかりか。……飢えているらしいな……さぞかし血肉が欲しかろう。
[柏生明] 今夜はもう無理そうだな。
[柏生義稜] 黙れ。
[柏生明] 死ぬ思いして戦ったばかりの怪我した爺さんに何ができるっていうんだ? 雨も降ってるし、あんたを助けてくれる人なんか一人もいないんだぞ。
[柏生明] このまま進めば本当にくたばることになる。何せあんたは、本物の獣じゃないからな。
[柏生義稜] 俺は……お前みたいにヤワじゃない。
[柏生明] 本当は自分でもわかってんだろ。
[柏生義稜] ……落ち葉で痕跡を隠しておけば見つかるまい。
[柏生義稜] これで……奴は俺の、俺だけの獲物だ。
[柏生明] 真面目な話……あんたのやってることに意味なんかあるのか?
[柏生義稜] また俺を責めるのか。
[柏生義稜] 俺はただ、お前の代わりに……お前がやるだろうことをしているだけだ。
[柏生明] 本当にそうか?
[柏生義稜] そうさ。ひたすら森に突っ込んでは獣どもを追いかけて、斬って、刺して、骨に守られた心臓を切り裂き、満身創痍で帰ってくる……
[柏生義稜] 頭の中には狩りしかない。……お前の一番好きなことだろう?
[柏生明] こんなに時間が経ったのに……あんたはまだ俺のことをわかってくれないんだな。
[柏生義稜] ふん……わかってないだと? そういうお前はどうなんだ? 自分のしたことは正しかったと言い切れるのか?
[柏生義稜] お前は一度も俺の話を聞きやしなかった。俺の気持ちを理解しようとしたこともなかったじゃないか。
[柏生義稜] あの夜、お前の石頭が俺の忠告を一言でも聞き入れていたら。
[柏生義稜] こんな森に入らずにいてくれたら……あんな、誰かもわからんような有様にゃならなかっただろうが。
[柏生義稜] ……俺は決して、奴らみたいにお前を見捨てたりはしない。
[柏生明] ……
[柏生義稜] まだわからないのか? 俺がやっていることは全部……お前のためなんだ。
[柏生明] 違う。こんなのあんたの自己満足だ。それ以外の何でもないだろ。
[柏生明] ……本当はわかってるくせに。
[柏生明] もう、あんたの声なんて届かないってこと。
[ヤトウ] また会ったな、柏生さん。
[柏生義稜] 野営してたのはお前らか……
[柏生義稜] 森に入るなと言ったはずだが。
[ヤトウ] ここに入るかどうかなど、我々の自由だ。あなたの言う通りにする必要はないしな。
[柏生義稜] 呆れた連中だ……本当の恐怖ってもんを知らずに入ってくるとは。
[柏生義稜] 命を落とすことになるんだぞ。わかるか? 待っているのは死だ!
[ヤトウ] そうだとしても……どんな恐怖が待ち受けていようと、私たちは任務をまっとうするだけだ。
[ヤトウ] ひとまず背負ってるものを下ろしてくれないか?
[柏生義稜] これは俺の物だ……! 勝手に盗み出しといて何を言う!
[ヤトウ] 申し訳ない。あなたが自分のものを持っていくことに反対するつもりはないが、私たちの物は置いていってほしいんだ。
[柏生義稜] すぐにこの森を出ていくなら、こんな物は必要ないだろう。俺の邪魔をするんじゃない!
[ヤトウ] いいや、出ていくことなどできない。
[柏生義稜] わかったぞ、よーくわかった……お前らは俺の邪魔をしに来たんだな……あいつらみたいに、俺のすべてを奪うつもりなんだろう?
[ヤトウ] 考えすぎだ。私はあなたの身を案じているだけで、それ以外のことに興味はない。
[ヤトウ] 柏生さん。あなたもここに来たということは、やはり我々の目標は同じものであるはずだ。
[ヤトウ] あなたがそういった態度を取る理由は理解できないが、無論教えてくれと言うつもりもない。
[ヤトウ] ただ、一つ提案がある。――暫くの間だけでいい。あなたと共闘させてくれ。これで問題の多くは解決できるはずだ。
[柏生義稜] 黙れ! 奴は俺の獲物だ、お前らには絶対渡さん!
[ヤトウ] だったら、これ以上仕事の邪魔をしないでくれ。
[ヤトウ] 同じ獲物を追っている以上、あなたの行動がこちらの邪魔になるかもしれない。
[ヤトウ] 野営地で朝まで待機し、その後村へ帰るよう勧める。
[ノイルホーン] ヤトウ、そんな言い方すんのは……
[柏生義稜] ッ……よくも……
[柏生義稜] 帰れ! 元いた場所に帰るがいい!
[ヤトウ] 断る。
[ノイルホーン] 待て待て――二人とも落ち着けって!
[柏生義稜] 俺は……お前らを……
[鍛冶屋アイルー] 見えたニャ!
[学者アイルー] 見えたって何がですかニャ?
[???] ハンター諸君、速やかにここから撤退めされよニャ! 焚き火を消し忘れぬようにニャ!
[学者アイルー] あっ! この声は……!
[???] かがり火に惹かれてリオレウスが近付いておるニャ!
[ヤトウ] リオレウスが?
[柏生義稜] 奴が来たのか!
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