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更新日:2024/06/27 Thu 11:20:05NEW!
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京極夏彦 村上健司 郡司聡 唐沢なをき 今野宏美 及川史朗 宮部みゆき ピエール瀧 平山夢明 大沢在昌 水木しげる 怪獣 替え歌 奇祭 菓子パン ウルトラファイト お祭り 時代劇 変人 b級映画 妖怪 怪 ラジオ番組 tbsラジオ 角川書店 所要時間30分以上の項目 パチモン 必殺シリーズ 鳥山石燕 升田尚宏
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『「怪」ラヂヲ~妖怪の周辺~』とは、かつてTBSラジオにて毎週土曜日の午後九時から放送されていた三十分番組。
最初から野球が開幕するまでの間のナイターオフ番組として用意されていたそうで、全二十一回で終了している。
表記は『「怪」ラジオ』ではなく『「怪」ラヂヲ』である点に注意。
角川書店の季刊誌『怪』から誕生した組織である「全日本妖怪推進委員会」が、妖怪の正しい認識や付き合い方について啓蒙・推進することを目的として開始した番組……の筈。
「周辺」と謳っている通り、妖怪そのものではなく関連するであろう何かについて毎回テーマを決めて語るようにしている。
パーソナリティの一人である京極夏彦はその理由として妖怪をドーナツの穴に例えている。ドーナツの項目にも書かれてあるが、「非実在なのに実在する」という矛盾を孕む関係上、どうしても穴そのものではなく周辺の部分をまずは語らざるを得ないのだという。
その結果、一見すると妖怪に関係ないような話題ばかり取り上げているが、ちゃんと妖怪に関わる内容であるらしい。
こんな感じなので堅苦しい感じは全くなく、リスナーもゆるく聴くことが推奨される。
以前はポッドキャストでも配信されていたが、番組内で流れる楽曲などの権利の関係上、その辺りが丸々カットされた「不完全版」となっていた。というか半分以上は削られている。
ちなみに京極氏が当時自身のホームページに書いていた裏話を見る限り、スタジオ入りは午後七時。
二回分ぐらい纏めて収録をして、話が盛り上がった日は終了が午前二時近くになることもザラだったようだ。
レギュラー出演者
京極夏彦
小説家・意匠家。
直木賞や日本推理作家協会賞などを受賞している大物作家なのだが、残念なことに馬鹿馬鹿しい話が三度の飯より大好き。
毎回とても楽しそうにダベっている。
村上健司
妖怪探訪家・ライター。
京極氏に乗っかってボケ発言を被せてくることも。
郡司聡
当時の『怪』編集長。
ボケ倒す作家陣へのツッコミ役。
今野宏美
当時放送中だったアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』にてネコ娘を演じていた声優。番組ではナレーションを担当。
CMの前後に入るジングルでは明らかにネコ娘を意識したセリフや、逆にネコ娘が絶対に言わないであろうセリフをひと言だけ喋っていく。
升田尚宏
TBSラジオアナウンサー。後述する行楽情報の読み上げ担当。
当初は淡々とナレーションを行うだけだったのだが、だんだんと自己主張が激しくなっていき、遂には曲がナレーションに被って聴こえないと文句まで言うようになった。
唐沢なをき
『カスミ伝』や『ウルトラファイト番外地』などで知られる漫画家。
コーナーレギュラーとして出演。
番組冒頭ではその回のトークテーマを紹介する目的でちょっとした寸劇が演じられるが、こちらには角川書店の編集である及川史朗や似田貝大介*1が出演することも。イジられ役なのは小説の中と同じ
また、ゲストが出演したりインタビューが流される回もある。
コーナー
今週の一曲
妖怪……というかその回の話題に沿った曲を流す、非常にシンプルなコーナー。
たまに全く関係ない曲が流される。
ちなみに音源は京極氏の私物を使っているらしい。
昔の人が来た
突如として妖怪に関連する偉人が乱入し、ひと言だけ喋っていくというコーナー。出囃子は『ウルトラQ』のオープニング曲。
早い話が「コンバンハ、豊臣秀吉デス」を毎週やっているようなもの。
人によっては大火傷をして去っていく。
第十三回をもって終了。京極氏は自身のホームページにて「今後は女性も登場するらしい」と告知をしていたが、結局実現はしなかった。
開け!本
村上氏の著書である『日本妖怪大事典』を適当に開いて、そこに掲載されている妖怪について軽く語るというコーナー。
ただし出てきた妖怪によってはかなり辛辣なトークになる。
第六回をもって終了。
怪獣の声の世界
唐沢氏と共にウルトラ怪獣、東宝怪獣、大映怪獣の鳴き声について熱く語るコーナー。
京極氏所有の音源を流して実際に確認を行いながら進行する。
唐沢氏の鳴き声の喩えがあまりにも的確すぎて、確認と同時に笑いが起こることもしばしば。
妖怪替え歌
各回の放送終了時間に、エンディングテーマ代わりに流される。
その名の通りアニソンや歌謡曲などの歌詞を妖怪に関係するものに替えて歌うというもの。
全日本妖怪推進委員会のメンバーの誰かが毎週持ち回りで歌っているが、誰が歌っているかは非公開。
ちなみに音源はカラオケである。
非常に偏った行楽情報
上記の妖怪替え歌が流れている最中に、升田アナが淡々と語る一週間の非常に偏った行楽情報。
一般の観光客が多く訪れる著名なお祭りと奇祭をまんべんなく紹介していく。
各祭りのあまりにも抽象的で実際に見たことのある人以外にはよく分からない紹介は必聴。
当時、『怪』から日本全国の祭りの開催日があらかじめ記入されたスケジュール帳が発売されていたが、間違いなくそれと併用前提。
放送リスト
第一回(2007年11月3日放送)
今週の話題
☆水木しげる
ちょうどこの時期に水木大先生がフランスにてアングレーム国際漫画祭最優秀作品賞を受賞しており、受賞作である『のんのんばあとオレ』のフランス装丁版が国内にて限定発売されている。
それを記念して水木大先生にインタビューを敢行したものが番組内で流された。
「感想……情緒がこう欠乏してるために、あまり出てこないですねえ」
「水木先生は本当に正直な方で……(笑)」
また、水木大先生が自身のルーツである隠岐の島の祭りへ家族旅行に出かけた際、同行していた郡司氏がコメントを収録してきておりそれも一緒に流されている。
「五百年ほど前に来たような感じですワ。確かに五百年前のアレがあるんだなあ」
「祭りの中心にですね、松の巨木があってですね(中略)どうやらその松の樹齢が五百年か六百年ぐらいじゃないかって……」
「松の気持ちになったんだ」
今週の一曲
☆『ゲゲゲの鬼太郎』
アニメ2期の頃に発売された「三波伸介とてんぷくトリオ」によるカバー版という非常にマニアックな選曲。
昔の人が来た
☆平田篤胤
江戸時代の国学者。天狗や妖怪についての著書を多く残している。
開け!本
☆首かじり
作家の佐藤有文による創作妖怪。
「首かじりはですね、本当はいないんですね」
「ま、首をかじる人ぐらいは平安時代にいたかもしれないよね」
「なんで妖怪がカニバリズムになるんですか(苦笑)」
怪獣の声の世界
☆バルタン星人
「(理解の)薄い人が真似をするとバルタン星人ってフォッフォッフォッて言うんですよ。それが子どもの頃から俺、許せなくて……」
妖怪替え歌
☆オボ
「♪足もとにからみつく 獣のような変なモノ」
使われた楽曲は『ルパン三世その2』。
非常に偏った行楽情報
☆徳島県の「妖怪紅葉まつり」 「手作り妖怪コンクールのほか、猪肉を使った妖怪汁の接待があります」
☆徳島県の「祖谷平家まつり」 「平家の落人伝説を再現した武者行列や、粉ひき節日本一大会が行われます」
☆愛知県の「花祭」 「鬼が登場します」
☆愛知県の「参候祭」 「夜を徹して七福神の舞が行われます」
第二回(2007年11月10日放送)
今週の話題
☆うんすんカルタ
現在は熊本県人吉市でのみ伝えられている室町時代の古典遊戯。
「どういうわけかですね、お化け好き、妖怪好きの人になんかこう、うんすんカルタってのは親和性が高い……」
「何なんでしょうね」
「なんかこう、惹かれるもんがあんのよね」
「秘めたものを感じますよね」
遊びたいが資料を漁っても今一つルールが分からず、村上氏がわざわざ現地まで飛んで遊び方を学んできたという。
人吉市では世界大会が現在も開催されており、京極氏たちもチームを結成してプライベートで参加している。
「昔の絵で、なんか分からないものっていうのに惹かれる……」
「なのかな?」
今週の一曲
☆『暗いはしけ』
ポルトガルの「ファド」と呼ばれるジャンルの楽曲。ポルトガルはうんすんカルタを日本に伝えた国である。
昔の人が来た
☆小野蘭山
江戸時代の本草学者。これぞ蘭山というフレーズが見つからなかったらしく、出てきた言葉は「靴下は二つで一組!」。案の定総ツッコミを受けていた。
開け!本
☆カイナデ
学校の怪談に登場する「赤い手 青い手」の原型とされる妖怪。
「便所の妖怪ってのは大体撫でるんですよね」
「見るだけってのもいますよね」*2
「そりゃ変態ですよ、妖怪じゃなくてね」
怪獣の声の世界
☆ネロンガ
「怪獣好きなら(中略)土砂をこうドカンとぶち撒けたようなワイルドな声はちょっと忘れがたいものだと俺は思うんですけどね」
「なるほどねぇ」
妖怪替え歌
☆妖怪の種類について
「♪妖怪いろいろ 爺もいろいろ 女だっていろいろ 化け乱れるの」
使われた楽曲は『人生いろいろ』。
非常に偏った行楽情報
☆鳥取県の「ゲゲゲのゲタつみ大会」 「制限時間二分以内に、いくつのゲタを積み上げられるか競います」
☆茨城県の「ダイダラボウまつり」 「会場は巨人ダイダラボウが造ったという大串貝塚周辺です」
☆高知県の「熊野神社 秋季大祭」 「巨大な牛鬼が町内を練り歩きます」
☆埼玉県の「天狗まつり」 「夜になると小屋に一斉に火を放ち、燃え上がるのを見て騒ぐということです」
第三回(2007年11月17日放送)
今週の話題
☆鳥山石燕
江戸時代の妖怪絵師。水木大先生にも多大な影響を与えた、妖怪好きなら知らない人はいないといっても過言ではないレベルの人物。
ただし京極氏の世代は、佐藤有文の大ベストセラー児童書『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』に烏山石燕と誤表記されていたため、長らくそっちで覚えていたらしい。
「版を重ねても版を重ねても烏山なんですよ」
「直す気がない(苦笑)」
「直す気がないというよりも気が付いてない」
石燕は特定の人物に対するヘイトスピーチを自作の妖怪画に見立てて世間に発表するという食えない行為をやっていた人物。
「嫌なジジイだったんだろうなって思いますけどね」
最近は妖怪画の載った古書の価格が高騰しているという世知辛い話題も。
今週の一曲
☆『ソウル豆腐小僧』
この年の『怪』のイベントに参加した「妖怪プロジェクト」というバンドの楽曲。
昔の人が来た
☆松浦静山
江戸時代に実話怪談集『甲子夜話』を著した人物。前回に引き続きかなり適当な発言を残していく。
開け!本
☆ヤカンヅル
ただ木の上からヤカンが下がってくるだけという妖怪。小説家の宮部みゆきはこの妖怪が一番好きらしい。
「下がり具合によっちゃ頭に当たったりしたら痛いみたいな……」
「それドリフになっちゃう(笑)」
怪獣の声の世界
☆レッドキング
「キングオブ怪獣の鳴き声にしては妙に可愛いところがあるんですよね。あの、ピョーというかピューというか」
妖怪替え歌
☆道に現れる妖怪
「♪夜というのに派手な行列が来る 朝まで唱えよう尊勝陀羅尼」
使われた楽曲は『勝手にしやがれ』。
非常に偏った行楽情報
☆鳥取県の「第2回境港妖怪検定試験」 「今年から初級の他、中級も設定されています」*3
☆島根県の「佐太神社 神在祭」 「出雲に集まった八百万の神を迎える『神迎』で始まり、神を送る『神等去出祭』で終わります」
☆熊本県の「妙見祭」 「頭が蛇、体が亀の亀蛇、通称『ガメ』が登場します」
☆岐阜県の「大矢田ひんここ祭」 「五穀豊穣を祈願する素朴な人形劇が展開されます」
第四回(2007年11月24日放送)
今週の話題
☆菓子パン
「えぇ……妖怪と離れすぎですって」
京極氏や村上氏のような文筆業の人間は、夜中まで作業をしていると小腹を満たすためにコンビニへ菓子パンを買いに行くのが当たり前……らしい。
菓子パンの定義やご当地菓子パンなどについて熱く語っている。
京極氏は山崎製パンの「ナイススティック」というロングサイズの菓子パンが死ぬほど大好きらしく、ほぼその話で終わってしまった。
「日本物怪観光の天野さんが、ナイススティック一本が入るバッグってのを作ってくれて、タグのところに『ナイススティック』って書いてあるんだよ」
「凄い、流石クリエーター!」
「天野さんっていうのはね、日本でも有数の妖怪造形家というか、非常に良い仕事をされる……」
「天野さんもたぶんナイススティッカーであると」
今週の一曲
☆『妖怪横丁ゲゲゲ節』
当時放送中だったアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディングテーマ。
昔の人が来た
☆本居宣長
江戸時代の国学者。この人が『古事記』を研究しなければ日本神話は忘れ去られていたかもしれないし、多くのサブカル作品もどうなっていたか分からない。
開け!本
☆産女
雨の夜に現れ、自分の子を抱くように告げてくる女怪。
「僕は知らないですけどね~。聞いたことないね~」
「夏なのに?」
怪獣の声の世界
☆ガマクジラ
「鳴き真似は難しかったですね。ボボボーとかゲボーとか……」
「それは真似なのかっていう……」
(実際に試聴して)
「確かにこれは真似をしてもえずいてるだけですね(笑)」
「ガマクジラの真似ナンバーワンとか言ってもちっとも嬉しくない」
「イジメだよこれはっていう(笑)」
妖怪替え歌
☆宇宙人
「♪あなたにとって私 ただの怪奇現象」
使われた楽曲は『異邦人』。
非常に偏った行楽情報
☆高知県の「仁井田神社 秋季大祭」 「牛鬼登場のほか、伝統の花取り踊りが行われます」
☆『コミック怪 vol.02』発売
☆宮崎県の「椎葉神楽」 「今回は不土野地区の神楽です」
☆愛知県の「花祭」 「古事記・日本書紀を題材にした舞に注目です」
第五回(2007年12月8日放送)
今週の話題
☆昔の特撮
今週はゲストとして宮部みゆきが出演。ゲーマーとして有名な宮部女史だが、実は特撮好きとしても知られており嬉々として語っている。
「『ガメラ対ギャオス』は劇場で見て、ソノシート買ってもらったの。縁日で買ってもらったんだけどね」
「展望台か何かに乗っけて回すじゃない? あのシーンの音が入ってるんですよ」
「あー」
1960年代から1970年代初頭のテレビや映画の特撮についてが話題の範囲となっている。
「今は『死ね死ね団のテーマ』なんか流せないんじゃない?」
「あれはかなり反社会的な歌ですからね(苦笑)」
「歌詞も言えないですもんね、ここでね」
最終的には『ダイヤモンド・アイ』や『鉄人タイガーセブン』といったマイナー作品のツッコミどころについて盛り上がっていた。
「カッパ原人? サハラ砂漠の? お皿乾いちゃうよね?」
今週の一曲
☆『妖怪マーチ』
映画『妖怪百物語』のイメージソングとして制作された楽曲。当然ながら本編未使用のマイナー楽曲。
昔の人が来た
☆サンフランシスコ・ザビエル
案の定「ナニモンなんだwww」「いずれにしても怪しい人物ですよ」と総ツッコミを食らっていた。*4
開け!本
特撮トークが盛り上がりすぎたので今週はお休み。
怪獣の声の世界
☆ドドンゴ
「何故か妖怪図鑑にドドンゴの名前載ってますよね。妖怪マニアはみんな知ってると思いますから」
「妖怪なんだろうか怪獣なんだろうかというね、どちらともつかない感じのところがまた人気でございまして」
妖怪替え歌
☆天狗
「♪ぱっぱっぱっぱっ! 礫だぴょん!」
使われた楽曲は『ミニモニ。ジャンケンぴょん!』。京極氏のホームページを見る限り、どうやら歌っているのは前述した「妖怪プロジェクト」の面々のようだ。
非常に偏った行楽情報
☆京都府の「鳴滝大根焚」 「親鸞聖人を大根でもてなした故事にちなんでいます」
☆栃木県の「大前恵比寿講祭」 「年に二回しか公開されない恵比寿様と大黒様を拝観できる貴重なチャンスです」
☆京都府の「かくれ念仏」 「住職と四人の僧侶が足を踏み鳴らし、念仏を唱えて回ります」
☆宮城県の「島田飴まつり」 「縁結びに御利益のある島田髷の形をした飴が売られます」
第六回(2007年12月15日放送)
今週の話題
☆ゆるい怪獣
前回に引き続きゲストとして宮部みゆきが出演。
怪獣……というか全編に亘って『ウルトラファイト』の話オンリー。宮部女史は2006年にDVD-BOXが発売された際、即行で買ったという。
「私、感涙にむせんじゃった」
「思考停止しますよ、あんなの見たら」
「僕なんか唖然としちゃいましたよ、買ったって聞いたから」
「だって私、一週間ずーっと朝晩朝晩朝晩『ウルトラファイト』……」
『ウルトラファイト』は第二次怪獣ブームの火付け役であり、これがなければ後のシリーズは存在しなかったと出演者全員なんだかんだで高く評価している。
「イカルスなんて色違うからね」
「光合成しちゃったんじゃない?」
この回の放送では、リスナープレゼントとしてサイン本などが当たるクイズが発表された。
今週の一曲
☆『進め!ウルトラマン』
ご存じ、『ウルトラファイト』のオープニングに使われている曲。
昔の人が来た
☆平賀源内
エレキテルなどで知られる江戸時代の発明家。オネエキャラにされていた。確かに男色説がある人物だが……。
開け!本
☆さがり(クイズの答え)
木の上から馬の首が下がってくるという妖怪。どっち向きに下りてくるのかで話題に。
「切断面から落ちてくるのはこれ、かなり気色悪いですよね」
「どっかの嫌がらせかって感じですよね」
「なんかあの、マフィアの……悪いことしちゃったのか、みたいなね」
怪獣の声の世界
☆ダダ
「自らの名を叫ぶという意味では(仮面ライダーなどの東映怪人の)先駆けだったのではないかと……」
妖怪替え歌
☆最澄
「♪行け 行け 最澄(最澄) 伝教大師」
使われた楽曲は『行け!タイガーマスク』。
非常に偏った行楽情報
☆奈良県の「春日若宮おん祭」 「若宮神社の神霊が神楽や舞楽を楽しみます」
☆愛知県の「どんき祭り」 「狐や天狗の面を着けた人が行列を作り、手にした棒や団扇で人々を叩きます」
☆漫画『魍魎の匣』第1巻発売
☆京都府の「御身拭式」 「法然上人の御影を丁寧に拭います」
第七回(2007年12月22日放送)
今週の話題
☆聞き間違い
村上氏がプライベートで度々聞き間違いを起こすことからこの話題が選ばれた。
『怪』のイベントの前夜祭にて、高級料亭で仲居さんが郡司氏に「ワサビか牛乳か」と尋ねるのを聞いて面食らったというが……。
「高級料亭って凄いなーと思って……牛乳出すんだって思って」
「『ワサビと牛乳』は本当は『アサヒとキリン』だった……」
「なんで『キリン』が『牛乳』になるわけ!?」
ちょうどこの時期、鬼太郎アニメにアマビエが登場したことで話題は聞き間違いから誤表記についてシフトしている。
「全く同じようなことをするアマビコってのがいたと。(中略)コの端がね、力余ってペッと出ちゃったと。エですわね。……そうじゃないかと」
「どうやらそうらしいんだよ、これね。アマビエなんてお化けというか予言獣なんて元々いなくて」
また、某出版社の妖怪図鑑でアマエビと誤記されてライト層からはそう呼ばれているらしいという話に言及した際、過去にも様々な妖怪の名前が書籍で誤記されていたという実例を出している。
「今日はなんか今までの中で一番妖怪の話をしたんじゃないかな」
今週の一曲
☆『金魚の箱』
同日に公開された実写映画版『魍魎の匣』の主題歌。京極氏は遠回しに映画版での内容の詰め込み過ぎについて毒を吐いていた。
昔の人が来た
☆荻生徂徠
江戸時代の儒学者。もう完全に「コンバンハ、豊臣秀吉デス」状態になっている。
怪獣の声の世界
☆キーラ
「よくこんだけバリエーション考えたなっていう」
「どうしてこんなに力が入ってたんでしょうね」
「当時のスタッフのですね、意気込みというか熱意が伝わる名品でございました」
妖怪替え歌
☆以津真天
「♪ヒュルリ ヒュルリララ いつまで、いつまでと 鳴いてます」
使われた楽曲は『越冬つばめ』。
非常に偏った行楽情報
☆映画『魍魎の匣』公開初日
☆京都府の「かぼちゃ供養」 「かぼちゃを擦り、諸病退散を願います」
☆三重県の「伊勢大神楽総舞」 「盛大に神楽を奉納します」
☆和歌山県の「御滝注連縄張替」 「長さ四メートル、重さ二十六キロの注連縄を張り替えます」
☆長野県の「お煤払い」 「瑠璃壇の鳳凰の戸帳を三度撫でるお煤払いの儀が行われます」
第八回(2007年12月29日放送)
今週の話題
☆嘘
家族などへの他愛のない嘘から、教育的な嘘や方便、逆に嘘を吐いてはいけないことなどどんどん膨らませながら話を展開していく。
「社会の中での潤滑油としての嘘ですよ」
しかし京極氏は『怪』の連載小説を水木大先生の名を出されて書かされたことについては今でも許せないとのこと。
「創作妖怪っていうのもいますから。それをしてね、古くから伝わってないから嘘だって言っちゃったら成り立たなくなっちゃう」
「ただあの、『俺が作ったんだぞー』とか言っちゃうとそれはもう妖怪じゃないから」
「妖怪の周辺は嘘にまみれている」
今週の一曲
☆『オシリは嘘つかない』
コロンビアの歌手シャキーラの楽曲。原題は『Hips Don't Lie』。
昔の人が来た
嘘に嘘を重ねてはいけないので今週はお休み。
怪獣の声の世界
☆シーボーズ
「声自体にこう哀しみが内包されているというかですね(中略)この声は毎日聴いていたいなあという」
(実際に試聴して)
「改めて聴いてみると哀しみというよりなんかドアが軋んでるだけかという、そういう声にも聞こえますね(苦笑)」
妖怪替え歌
☆火車
「♪今 火車が来て 君は地獄に落ちる」
使われた楽曲は『なごり雪』。
非常に偏った行楽情報
☆秋田県の「なまはげ」 「子どもや初嫁を探して暴れます」
☆栃木県の「悪態まつり」 「『馬鹿野郎』などと大声で悪口をかけ合いながら山頂を目指します」
☆山形県の「松例祭」 「日本三大火祭りの一つ」
☆除夜の鐘
☆福島県の「西方水かけまつり」 「半裸の青年が水をかけ合います」
第九回(2008年1月5日放送)
今週の話題
☆お祭り
祭りとは本来は地元の人のものであり、そのため振る舞い酒などを頂戴すると共同体の一員として認められたようで嬉しいというお話。
「そうやって参加しないと、やっぱり祭りの良さってのは分からない」
「そうです、あれは遠くから見てても駄目です」
祭りは元々は宗教儀礼であり、面や笠などの顔を隠すものの本来の意味や妖怪・異界との関係についても語り始める。
「妖怪はお祭り好きですよ」
実際に現地へ取材に行ったという「陰陽道いざなぎ流」や「御柱祭」について語る場面も。
今週の一曲
☆『ソバヤ』
タモリがかつてリリースした、伝説のニセ民俗音楽。
昔の人が来た
☆ジョン万次郎
幕末の立役者の一人。誰がどう見ても妖怪とは一切関係のない人が来るようになってしまった。
怪獣の声の世界
☆ペスター
「横にね、二連並んでいる怪獣というのはこれ、ハリウッドでもお目にかかれない斬新奇抜なデザインでね、俺はそれ世界に誇れるデザインではないかと密かに思っているんですよ」
妖怪替え歌
☆小豆とぎ
「♪とぐわ いつまでもとぐわ」
使われた楽曲は『待つわ』。
非常に偏った行楽情報
☆福岡県の「鷽替え」 「夜、明かりを消した境内で木製の鷽を互いに交換します」
☆福岡県の「尻振り祭」 「神官が尻を振って歩きます」
☆兵庫県の「鬼追い」 「赤、青、二匹の鬼が大暴れ。傍若無人の限りを尽くします」
☆千葉県の「ひげなで祭」 「男たちが髭を撫でながら酒を飲みます」
第十回(2008年1月12日放送)
今週の話題
☆古本
番組プロデューサーから今の人は古本屋なんか行かないと言われてショックを受けたという話から始まる。
「おっ、こんな本があったのかっていう発見はやはり店行かないとないですよね」
「あまりにも嬉しくてスキップしたと」
「例えば水木サンの貸本なんかもね、一時期はもう全然なかった。出ると高い。それがいい値段で出てたりするとスキップですよね」
京極氏は学生時代に故郷で買い集めた水木大先生の貸本漫画を、上京後の貧乏時代に古本屋に少しずつ売却することで糊口をしのいでいたという。
売却価格は一冊につき二万円程度だったらしいのだが、後年買い戻そうとしたら高い物だと百万円のプレミアが付いていたそうな。
「俺はなんてことをしたんだろうと。餓死したって売るべきじゃなかった」
古本屋での一冊との出会いは一期一会であり、それに纏わる悲喜こもごもについて実体験を交えながら話は盛り上がっていくのだった。
「古本屋にはね、人生のドラマがね、凝縮されているわけですよ」
今週の一曲
☆『snow tears』
当時放送が開始されたばかりの冬アニメ『墓場鬼太郎』のエンディングテーマ。
昔の人が来た
☆杉田玄白
『解体新書』で知られる江戸時代の医師。
怪獣の声の世界
☆ガラモン
「よくこれがロボットだと言い張ったものだと子ども心にかなり呆れたものですが」
「ただそれでもですね、生物的な声は出さないんですよね」
「これを怪獣の鳴き声と言っていいものかみたいなのは、ちょっと心に引っかかるものがあります」
「まあその辺がセミ人間の思惑なのかもしれません」
妖怪替え歌
☆臨終
「♪死者は闇をぬけて 光の国へ」
使われた楽曲は『銀河鉄道999』。
非常に偏った行楽情報
☆山形県の「やや祭り」 「裸に腰蓑、手に蝋燭を持った男の子が冷水を浴びます」
☆福岡県の「嫁ごの尻たたき」 「子どもたちが花嫁の尻を棒で叩きます」
☆北海道の「寒中みそぎ」 「御神体を抱いて津軽海峡に飛び込みます」
☆新潟県の「むこ投げ」 「前の年に結婚した婿を、雪の崖下へ投げ落とします」
第十一回(2008年1月19日放送)
今週の話題
☆効果音
例えば爆発音一つとっても制作会社によって使われている効果音が違うという非常にマニアックなお話。
時代劇で人が斬られた時のような現実にはあり得ない音についても語っている……のだが、京極氏が大の必殺仕事人マニアだったため話はそっちの方へと自然に転がっていく。
「必殺シリーズの武器は針だったの。針の音どうだろうって話になるじゃん当然」
「必殺シリーズはブスッっていう音を作らなければいけかった。(中略)時代劇効果音の迷走が始まるんです」
京極氏は映像制作の仕事を手掛けていたこともあり、効果音の作り方に異常に詳しい……というか大体の音源を保有しており、実際にそれを聞きながらトークをしていた。
話は漫画の擬音にまで及び、水木作品の特徴的な擬音についても語っている。
「嘘にした方がホントらしく見える」
今週の一曲
☆『風の旅人』
必殺シリーズ第十六作『必殺仕舞人』という、日本滞在時代のセガールが関与しているマイナー作の主題歌。
昔の人が来た
やっぱり嘘に嘘を重ねてはいけないので今週はお休み。
怪獣の声の世界
☆初代ゴジラ
☆三代目ゴジラ
「東宝チャンピオンまつり時代の、もっと軽い鳴き声もこれはこれで好きなんですけどね」
妖怪替え歌
☆河童
「♪かっぱっぱっぱっ! お尻! 狙おう!」
使われた楽曲は『ミニモニ。ジャンケンぴょん!』。二回目の採用。
非常に偏った行楽情報
☆千葉県の「にらめっこおびしゃ」 「向かい合って酒を飲みながらにらめっこをします」
☆福井県の「夷子大黒綱引き」 「夷子側が勝てば今年は大漁、大黒側が勝てば豊作となります」
☆徳島県の「大山寺の力餅」 「お供えをした巨大な鏡餅を抱え、歩いた距離を競います」
☆岩手県の「水しぎ」 「ボロを着た若者たちがブリキ缶を叩きながら町を歩きます」
第十二回(2008年1月26日放送)
今週の話題
☆ダメな親父
今週はゲストとしてピエール瀧が出演。後年の不祥事のことを考えるとテーマが割とシャレにならない
こんなトークテーマだが、年齢を重ねることに対する意識や中年世代のあり方についての話になっている。
「僕はお酒飲めないんですけど(中略)お酒の力を借りたりするのは有効なの?」
「あっという間ですよ」
「色んなモノに吞み込まれるの楽しくないですか?」ダメです
理想の中年像についての話の際、京極氏は自分はあくせく働いているから理想の中年ではないと言い切り、見学に訪れていた各社の担当編集をざわつかせている。
今週の一曲
☆『モノノケダンス』
瀧氏が所属するテクノユニット「電気グルーヴ」が歌う、アニメ『墓場鬼太郎』のオープニングテーマ。
昔の人が来た
ゲストとのトークが盛り上がったので今週はお休み。
怪獣の声の世界
☆アンギラス
「一番最初にゴジラのライバルとして出てきた時は本当に怖い顔してるんですけど……」
「怪獣に歴史ありということで」
妖怪替え歌
☆道に現れる妖怪(二回目)
「♪見越し入道が 忘らりょか ソレ」
使われた楽曲は『ドリフのズンドコ節』。
非常に偏った行楽情報
☆静岡県の「鵺ばらい祭」 「注目は男子中学生が披露する鵺踊りです」
☆東京都の「円空仏公開」 「円空が彫った仏像があるのは都内でここだけ」
☆奈良県の「惣谷狂言」 「この地域に室町時代から伝わる狂言を奉納します」
☆島根県の「物部神社節分祭」 「夜遅く、年男が豆を撒きます」
第十三回(2008年2月2日放送)
今週の話題
☆おじいさん
前回に引き続きゲストとしてピエール瀧が出演。氏が前年に『おじいさん先生』というコメディドラマで主演をしていた関係でこのテーマとなる。
このドラマ、第一話のサブタイが「おじいさん先生死す」と非常にツッコミどころ満載。
「パッと見てですね、お・じ・い・さ・んでもうチェックですよ」
「京極さん、おじいさんが好きだから」
「おじいさん見つけるのは得意ですよね」
京極氏がここまでおじいさんに惹かれるのは、少年時代に見たテレビドラマなどに登場するおじいさんのバイプレイヤーに憧れるようになったからだとか。
妖怪の中には婆は多くても爺は意外と少ないという話も。
今週の一曲
☆『おじいさん先生』
同ドラマの主題歌。
昔の人が来た
☆トーマス・エジソン
「メンロパークの魔術師」と呼ばれた発明家。死者と通信するための研究に着手していたことでも有名。
怪獣の声の世界
☆ドゴラ
「あれは鳴き声なんですかね。なんでしょうね、存在の音ですよね」
「ドゴラという怪獣の不思議さをそのまま表したような音なんで」
(実際に試聴して)
「だから何なんだという(苦笑)」
妖怪替え歌
☆釣り餌 妖怪関係ねえじゃねえか!
「♪残酷な釣り師のために 身を捧げ食われて果てろ」
使われた楽曲は『残酷な天使のテーゼ』。
非常に偏った行楽情報
☆宮城県の「裸たるみこし」 「裸姿の男衆が、樽神輿を担いで商店街を練り歩きます」
☆石川県の「あまめはぎ」 「鬼の面を着けた少年たちが、包丁を手に家を訪れます」
☆和歌山県の「お燈まつり」 「白装束の男たちがおよそ二千人集まり、松明を手に石段を駆け下ります」
☆福岡県の「和布刈神事」 「夜中の三時に関門海峡でワカメを採ります」
第十四回(2008年2月9日放送)
今週の話題
☆困ったお店
「料理の不味い店」や「店構えの変わった店」ではなく「困った店」について話す。
『怪』の面々が湯河原を訪れた際に遭遇した困った居酒屋のお話。
「じゃあ中生ねっつったら、中生ってナニ!? って」
「サラダとかないのみたいな……そしたら、野菜とか切ればイイノ!? って聞くの(苦笑)」
「チューハイくださいって言ったらチューハイってナニ!? って言われるから、僕は厨房に入って自分で淹れましたよ」
「ソフトドリンクありますかって言ったら、そういうモノは聞いたことがナイ……(中略)飲みかけのペットボトル持ってきて(苦笑)」
そんな店があるわけないと口を揃えて言う知人たちを連れて翌年もう一度行ってみたところ、その店は跡形もなくなっていたという。
「夢か化かされたかって感じですよね」
同じく関西でのイベント終わりに立ち寄った店も、店主があまりにも個性が強すぎて困ったという。
「悪気はないんですよ。サービスがないんです」
今週の一曲
☆『有楽町で溶けましょう』
アニメ『墓場鬼太郎』の挿入歌。
怪獣の声の世界
☆モスラ
「いつぞやのドドンゴにやっぱ似ているような気がするんですけど……これ気のせいですかね?」
妖怪替え歌
☆頼豪阿闍梨
「♪攻める頼豪 ネズミの軍団」
使われた楽曲は『レッツゴー!!ライダーキック』。最後のナレーションも完備。
非常に偏った行楽情報
☆三重県の「ごんぼ祭り」 「男性器と女性器の御神体を神輿に乗せてぶつけ合います」
☆奈良県の「砂かけ祭」 「参拝者が入り乱れて砂をかけ合います」
☆『モノノケダンス』CDリリース
☆岡山県の「はだか祭り」 「深夜零時、数千人の裸の群れが二本の木を奪い合います」
第十五回(2008年2月16日放送)
今週の話題
☆旅行
国内旅行は好きだが海外はダメだという京極氏。基本的に言葉が通じないのがダメなのに加え、郷愁を誘う日本の原風景を見るのが好きだからだという。
「僕なんかはあの、ほとんど歩かないので家から出りゃもう旅行なんですよ」
「角を曲がれば旅行」
「角を二回曲がれば知らない町ですよ」
「そこは知っときましょうよ」
旅行そのものではなく、出発前の準備や目的地へ向かう手段についても話を広げて語り始める。
「祭りと同じだと思うんですよね。いわゆる非日常性ですよ、旅人にしてみれば。景色が変わるっていう」
「旅する遺伝子っていうのはあると思うんですよ。(中略)どっかに動こうっていう、そういう本能が備わってるんだと思うんですよ」
「こういうニセ科学的な研究にね、納得しがちなんですよ我々は(笑)」
今週の一曲
☆『遠くへ行きたい』
同名の紀行番組のテーマソング。番組で流れたのは元ちとせが歌うバージョン。
怪獣の声の世界
☆ショッキラス
「鳴いた? 俺全然記憶にないんだけど」
(実際に試聴して)
「思いっきり鳴いてますよこれ」
「深いな、怪獣の鳴き声」
妖怪替え歌
☆地獄
「♪あなたと私が 黄泉の国」
使われた楽曲は『てんとう虫のサンバ』。
非常に偏った行楽情報
☆岐阜県の「豊年祈願祭」 「長さ四メートルの『シナイ』を背負って踊ります」
☆新潟県の「下駄供養祭」 「下駄を十メートルの高さに積み上げ燃やします」
☆『怪 vol.0024』発売
第十六回(2008年2月23日放送)
今週の話題
☆時代劇
今週はゲストとして宮部みゆきが再出演。
大好きなジャンルということもあってか、冒頭の寸劇の時点で京極氏は既にノリノリ。
早速マイナー時代劇について嬉々として語り始めるのだった。
「『翔べ!必殺うらごろし』というオカルト時代劇……。必殺史上最低の視聴率だったんですけど」
「私すっごい好き!」
「なんか宮部さんが好きなのって……(苦笑)」
各作品の監督や演出方法など、どんどんディープな話題になっていき、現在の時代劇の衰退を嘆く一面も。
「当時はだからその、結構な才能が集結してたんですよね」
「だから面白いのができてたというね」
「才能のある人は時代劇を撮ってください」
「私なんか時代もの書きだしたのはやっぱり、紋次郎とか必殺とか絶対そういうものの影響だもん」
この回について京極氏は自身のホームページの裏話にて、「おそろしくカットされてました。つうか語り過ぎたんでしょうね」とコメントしている。
ところが前述のポッドキャストではわざわざ前後編に分けてディレクターズカット版が配信されており、今回ばかりはある意味「完全版」となっていた。
今週の一曲
☆『THE FANG』
時代劇『江戸の牙』のオープニングテーマ。ちなみに京極氏は本作の主人公の長い名乗り口上を当然のように諳んじていた。
怪獣の声の世界
☆キングギドラ
「変化球なんですよね。怪獣らしい鳴き声じゃなくて、なにかあの、本当に宇宙を感じさせる電子音というか……」
「あくまで怪獣というより宇宙のところに比重が置かれているんでしょうね」
妖怪替え歌
☆魍魎
「♪ああ 魍魎さんですね」
使われた楽曲は『高校三年生』。
非常に偏った行楽情報
☆三重県の「汗かき地蔵まつり」 「地蔵尊が白い汗をかけば吉、黒い汗をかけば凶と言われています」
☆千葉県の「和良比はだか祭り」 「褌姿の若者が泥を投げ合い、そのあと騎馬戦。最後は胴上げをします」
☆栃木県の「板荷のアンバ様」 「神輿が大小の天狗と獅子を引き連れ、民家を訪れます」
☆熊本県の「粟嶋神社 春季大祭」 「安産を願い、高さ三十センチの小さな鳥居を潜ります」
第十七回(2008年3月1日放送)
今週の話題
☆ナレーション
前回に引き続きゲストとして宮部みゆきが出演。
「僕なんかテレビで育ったようなもんですから、やはりこの話し方自体がその、テレビのナレーションの影響を色濃く受けているわけですよ」
時代劇のナレーションの名調子について熱く語り、次いで文章を声に出して読んでみることの重要性について話している。
「耳で聞いて格好良いって感じるのは凄い大事なことですけどね」
「音読って大事なんですよ、だから」
「読んでると気持ち良くなってくるんですよね」
「なんかこうトランス……入り込むような感じ?」
最終的には升田アナに無茶振りして、『怪』巻末に掲載されている水木大先生のお言葉を朗読させている。
今週の一曲
☆『あかね雲』
必殺シリーズ第十作『新・必殺仕置人』の主題歌。
怪獣の声の世界
☆ガメラ
「冷静になって聞いてみると、看板を張っている怪獣の声とは思えないような変な声してるんですよね。(中略)ブレーキが壊れた車の効果音……」
妖怪替え歌
☆鬼
「♪たまには良いことするのだぴょん!」
使われた楽曲は『ミニモニ。ジャンケンぴょん!』。よほど替え歌にし易いのか、三回目の採用。
非常に偏った行楽情報
☆和歌山県の「雛流し」 「雛人形をぎっしりと舟に積み上げ、海に流します」
☆新潟県の「越後浦佐毘沙門堂裸押合大祭」 「毘沙門天を誰よりも早く拝もうと、裸の男が激しく押し合います」
☆東京都の「深大寺だるま市」 「日本三大だるま市の一つ」
第十八回(2008年3月8日放送)
今週の話題
☆変な人
今週はゲストとして小説家の平山夢明が出演。もうこの時点で悪い予感しかしない
放送当日は水木大先生のお誕生日ということで、それを記念して自分が知る変な人について語ることに。
「近くの公園で三、四人の女子高生が弁当を口の辺りに持って、ジャンプしながらにこやかに食べてたわけですよ」
「ジャンプしながら弁当食えないでしょ」
「村上さんの聞き間違いと同じ、見間違い……」
「錯覚で女子高生四、五人いませんて!」
そんな中で平山氏が女子高生の体内に虫が湧いて操作をしていたせいだという自説をぶち撒け、完全に話の主導権を握ってしまう。ほら、やっぱり
「その虫をゲットしてれば東京中の女子高生をコントロールできた!」
「大変なことになってますよ今日は(苦笑)」
平山氏のトークは止まることを知らず、完全にホストとゲストの立場が逆転していた。
「すンごい口を吸ってる子いない? 夕方の……夜十時ぐらいになるとさ。こんなして、お前どうしたんだみたいな。お互いがこう、魂を吸い合ってるみたいな」
「野毛山動物園のベンチに座ってた時、おめでとうございますって女の子二人に肩叩かれて、赤いお酒飲まされたことが……」
特に盛り上がったのが、ある冬の日の商店街で芸が全くウケてなかった大道芸のおじさんが、ヤケクソになって積んであった雪にダッシュして飛び込んだ話。
「カチカチになってたんで跳ね返されてしまったんですよね。あぐわあーっ! とか何か言いながら。(中略)人間ってあんなにバウンドするんだっていうの初めて見て」
「バウンドした時、彼の肉体は一つのアートになったんですよ」
「それに対してはお金を払いますよね」
京極氏がホームページに書き込んだ裏話によると、この収録当日京極氏は風邪気味で本調子ではなく、「くっそう、万全の体調で迎え撃ちたかったなあ……」と悔しさを滲ませていた。
今週の一曲
☆『マヴォの歌』
テクノバンド「ヒカシュー」ボーカル、巻上公一のソロ曲。大正時代のヒット曲のカバー。
怪獣の声の世界
☆ギャオス
京極、唐沢両氏ともギャオスを命名した作中のガキんちょについてかなりストレートに暴言を吐いていた。
「ギャオーって鳴くからギャオスだよっていうセリフがあったじゃないですか」
「そんなにギャオギャオ言ってませんよね」
「あの子どもはちょっとおかしいぞ」
「どこで聞いてたんだお前って感じですね」
「あれがギャオって鳴くからギャオスだったらどれもこれも全部ギャオスじゃんっていうね」
「あの子どもはどうかしてるぞ」
妖怪替え歌
☆心霊現象
「♪寝苦しい 夜 霊のせいだよ」
使われた楽曲は『はじめてのチュウ』。歌っているのは声からして宮部女史なのだが、明らかに途中でちょっと笑いそうになっている。
非常に偏った行楽情報
☆宮城県の「石尊神社 火伏せまつり」 「腰藁を着けた裸の男が民家に水をかけます」
☆新潟県の「ほだれ祭」 「巨大な男根状の御神体に初嫁を乗せ、神輿を担ぎます」
☆愛知県の「大縣神社 豊年祭」 「女性器を模ったものが随所に登場します」
☆福岡県の「権現さんの御田植」 「豊作を願い、女装した男の子が舞を奉納します」
第十九回(2008年3月15日放送)
今週の話題
☆アレな映画
前回に引き続きゲストとして平山夢明が出演。平山氏は別名義で映画批評をやっていることでも知られる。
わざわざ「アレ」と言葉を濁しているのに、開始早々「つまらない映画」と言い切ってしまう。しかし他人からつまらないと指摘されると気分を損ねるという拗らせぶりも披露している。メンドくさい
「僕はあの、大抵面白く見るんですよ。大体面白いんです。極めてハードル低いので、僕の場合。だからまず動いてればほぼオッケー的なことはあるんです」
「凄い本数見ますもんね、京極さんはね」
「その僕が如何なものかと思う瞬間がいくつあるかなんだよ」
京極氏が具体例として挙げたのが、知る人ぞ知るZ級映画『尻怪獣アスラ』。
「『尻怪獣アスラ』って名前だけでジャケ買いでしょ? 買ったらもう即見でしょ?(中略)裏期待ですよだから、どんだけひどいかっていう」
つまらないとこき下ろしてはいるが、ガッツリ視聴しているようでかなり細部まで語り愛のあるツッコミを入れ続けていた。
平山氏の映画批評の仕事についての話題も。本当は普通の映画批評がやりたかったらしいのだが、最初のレビューでB級ホラーを書いてしまったばっかりにそっち専門になってしまったという。
「(レンタル店で見かけたパッケージに)『殺人豚』って書いてあったんで、それが僕の第一回目だったんですよ。それで変な方向行っちゃったんです」
「自分で選んだんでしょ(笑)」
話はそのまま、海外ホラー映画のクリーチャーと日本の妖怪伝承との間に見られる共通性という話題にシフトして更に盛り上がっていくことに。
今週の一曲
☆『Mr.BOO!』
同名の香港映画の日本版イメージソング。
怪獣の声の世界
☆ギロン
「ギロンの声となるとですね、実はそんなに記憶にない……」
(実際に試聴して)
「なんか喘息持ちのオッサンみたいな声ですね(苦笑)」
「おじいさん大丈夫ですかって感じでしたよね」
妖怪替え歌
☆死人
「♪もうすぐ夜ですね 化けて出てみませんか」
使われた楽曲は『春一番』。曲の合間合間に生々しいSEや不気味な掛け声が入る。
非常に偏った行楽情報
☆鹿児島県の「太郎太郎祭」 「五歳の子どもが模型の舟を担ぎます」
☆石川県の「平国祭」 「神職ら数十名の行列が五泊六日、三百キロの行程を巡ります」
☆三重県の「種まき権兵衛祭り」 「種まき権兵衛の遺徳を偲び、権兵衛踊りを踊ります」
☆熊本県の「火振り神事」 「松明を縄で縛り、火をつけて振り回します」
第二十回(2008年3月22日放送)
今週の話題
☆パチモン
今週はこちらのトークにも唐沢なをきが出演。
「ニセモノというのは本物であろうと見せかけてるでしょ。パチモンってそれを放棄してません?」
ソフビのような造形物ではなく、ブロマイドやメンコのようなイラスト系を中心に語っていく。
「東京の本社のメーカーさんがですね(中略)文句を言いに来ても逃げちゃうと。それだから名古屋とか地方でパチモンが流行ったんだという説があります」
放送の前年に話題になっていた中国のニセモノだらけの遊園地を引き合いに出しつつ、パチモンの魅力について語っていく。
「最後の最後はやっぱ愛があるかどうかじゃないかなと俺は思うんですよね」
「パチモンにはね、騙すだけの力がないんですよ。人を騙すだけの技術もなければ力もない」
「(妥協して買った)子どもの切ない気持ちみたいなものをね、パチモンはそっと受け止めてくれるんですよ」
今週の一曲
☆『ゴジラのテーマ 〜The Theme of GODZILLA〜』
テレビ番組『ゴジラアイランド』の主題歌として、ゴジラのテーマに歌詞を付けたもの。公式なのにパチモン臭いと話題に。
怪獣の声の世界
☆ガヴァドン
「最初の形の時は口、どこにあるか分からないですよね」
「横についてるのが、あれ本当に目なのかとかよく分からないわけで(中略)あれが口なのかもしれないです」
「どの部分が鳴ってるのかは分からないわけですね。怪獣はやっぱり奥が深いな」
妖怪替え歌
☆妖怪馬鹿
「♪朝から晩まで妖怪読む 朝から晩まで妖怪読む」
使われた楽曲は『スモーキン・ブギ』。
非常に偏った行楽情報
☆秋田県の「御味噌埋式」 「地下三メートルに味噌を詰めた二つの樽を埋めます」
☆神奈川県の「湯立獅子舞」 「参拝客に獅子が熱湯を振りかけます」
☆福岡県の「泥打祭り」 「十二人の子どもが泥を投げつけます」
第二十一回(2008年3月29日放送)
今週の話題
☆妖怪
今週はゲストとして小説家の大沢在昌が出演。京極、宮部両氏の所属事務所のボスである。
「京極やみゆきちゃんがさ、『怪ラヂヲ』でなんか楽しそうにして替え歌とか歌ってると聞いて俺も出たいんだけどって会議で言って」
最終回にしてとうとう妖怪メインの話をすることに。冒頭寸劇にてテーマが発表された時の三名の嫌そうな声が印象的。
「京極君のファンは絶対妖怪の話をしてくれると思って期待して聴いてるわけじゃない」
「妖怪を際立たせる周りの事事……周りがはっきりするとくっきり分かる、そういう仕組みなんですよ。ど真ん中行くと何もないんですよ」
「でも妖怪の周辺がね、菓子パンだったりっつーのは如何なものかと(苦笑)」
「世の中のことほとんどは妖怪の周辺なんです(断言)」
結局脱線して、『怪ラヂヲ』そのものについてのお話に。
「こういうのはね、ライブで聴いてると結構面白いのよ」
「それがあるからちょっと、あとから録音したやつを聴くのはね、怖いわけですよ」ごめんなさい、項目作って文字起こししちゃいました
大沢氏が京極氏に初めて出会った時の話も飛び出した。大沢氏はその時の第一印象として、「天才とは実在するのか」と興奮したという。
それ以外にも大沢氏の小説に対するスタンスや、京極氏のデビュー当時の著者近影についてのツッコミといった話題が出ている。
「何を気取ってんだコイツはと初めて見た時思ったんだよね」
「あれは本当にただ僕のアルバムから編集者が剥がして……」
「アルバムに普通そんな写真貼ってないだろ、墓石の向こう側から片目出してる写真……」
「あの前後の写真を見れば分かるんですよ。鐘の中に頭突っ込んで馬鹿なことやってたりするのが写ってる中の一枚」
結局、京極夏彦もまた妖怪だったという総括で番組は終わりを迎えるのだった。
妖怪替え歌
☆作家
「♪編集が取りに来る トントントン トントントン」
使われた楽曲は『与作』。大沢氏も参加。
非常に偏った行楽情報
☆岐阜県の「雛まつり」 「春の遅い地方では四月三日が雛まつりです」
☆富山県の「親子獅子舞」 「舞の最中に、親獅子から子どもが産まれます」
☆高知県の「どろんこ祭り」 「太鼓が鳴ると、女性が男性の顔に泥を塗ります」
☆愛知県の「犬山祭」 「高さおよそ九メートル、三層構造の車山が十三台繰り出し、からくりを奉納します」
☆静岡県の「大瀬神社 例大祭」 「漁船の上で女装した青年たちが踊ります」
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*1 似田貝氏は当時はメディアファクトリーの社員。*2 おそらく加牟波理入道という妖怪のことを言っているのだろうが、加牟波理入道は「覗く」以外の属性も持っている。
*3 2011年から上級も追加された。中級試験合格者のみが受験可能。論文形式で『怪』編集が審査員を務めるというガチ形式なのでライト層は避けるが無難。
*4 聖フランシスコ・ザビエルだとすれば間違ってはないのだが、何故かビデオデッキの話を始めているのでやっぱこいつパチモンだ!
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