空の上の空地(笑ゥせぇるすまん)

ページ名:空の上の空地_笑ゥせぇるすまん_

登録日:2021/11/20 Sat 21:56:13
更新日:2025/06/22 Sun 21:05:52NEW!
所要時間:約 6 分で読めます



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笑ゥせぇるすまん 笑ゥせぇるすまんエピソード項目 空き地 大人の憩いの場 大塚芳忠 かないみか 高木渉 ノスタルジー 横領 詐欺 郷愁


「空の上の空地」は『笑ゥせぇるすまん』アニメ版82話のエピソードである。原作漫画が存在しないアニメオリジナルエピソードである。


昭和の子供たちの遊び場として重要な存在だった「空き地」だが、1980年代以降の開発によりどんどん姿を消してしまい、今では作者の相方代表作でしか見かけなくなってしまった。今回は、そんな空き地に郷愁を寄せる男に喪黒が近づく話である。
「大人が童心に返って遊ぶ」というシチュエーションは「社長幼稚園」と同一である。


【あらすじ】

「あんなにたくさんあった空き地も、ここが最後になっちまったなぁ……」
「地価高騰のあおりか……」

賀来大将はかつて空き地だったマンションの建設現場を見つめる。
かつて友達と思い切り遊び回った少年時代を思い出し、目を潤ませる。
しかし、そんな郷愁をぶち壊すかのようにブルドーザーが賀来の目の前を通り過ぎ、土管を撤去し始めた。かつて土管の中におもちゃなどの宝物を隠していた過去を思い出した賀来はいてもたってもいられなくなり、ブルドーザーを止めようと土管の前に立ちはだかる。
工事人たちが賀来を追い出そうとしたとき、突然クレーンが賀来をつまみ上げる。
クレーン車は賀来を吊るしたまま工事現場を飛びだして街中を疾走し、その勢いで川に飛び込んだ。川べりに軟着陸した賀来のもとに、クレーン車を運転していた男━━喪黒が顔を見せた。
「ホーホッホッホッホ。いや~、スカッとしましたなあ」




【登場人物】

  • 喪黒福造

CV:大平透
おなじみ笑ゥせぇるすまん。
彼もまた(A氏の方だが)藤子ワールドの住人ということで、賀来の郷愁に理解を見せる。
空き地が消滅する時代を憂いている賀来に新しい「空き地」を紹介する。


  • 賀来がき大将ひろまさ

CV:大塚芳忠
経理部に勤める46歳のサラリーマン。
都会育ちで、かつて少年時代を過ごした空き地にノスタルジーを感じており、それゆえに開発で空き地がなくなる現状を憂いている。
演じた大塚氏は『笑ゥせぇるすまん』では他に「初恋の人」に出演している。


  • 志津

CV:かないみか
屋上の空き地に通っている、妙齢の美女。空き地に通い始めた賀来と仲良くなる。後述のように喪黒の名前を出すところを見ると、喪黒の仕込みの可能性が高い







【顛末】
魔の巣にて、喪黒がいつもの名刺を渡して自己紹介をする。
「あなたのような方の心の空き地……いやいや、心のスキマをお埋めするのがわたしの仕事なんです」
「しかし、昔はどこにでも空き地があったもんです」

二人は、少年時代に空き地での思い出話に花を咲かせる。*1三角ベースやベーゴマに明け暮れていたこと、そしてビー玉やメンコなどのオモチャを宝物として土管の中に隠していたことを賀来は嬉しそうに語る。

「地方の人が故郷を思い出すように、僕ら都会育ちの者には空き地こそ心の故郷なのです」

賀来はマスターから差し出されたラムネを受け取る。

「しかし、それも今や都市の再開発で消えようとしています」

「お気持ちはわかります! 少年時代の想い出を大切になさるあなたに……」
喪黒はおもむろに急に賀来を指さして驚かせる。
「とっておきの空き地をご案内いたしましょう!」
「え!? どこです?」
「明日の昼休み、西口公園でお待ちしてますよ」



翌日の昼休み、喪黒と賀来はビル街の中を歩く。
「こんなところに空き地があるんですか? とっくに開発されつくしたはずですが……」
「それがあるんですよ」
二人はとある高層ビルの中に入る。
「いくら広くてもこんなところは空き地とは言えませんよ」と賀来は言うが、喪黒は構わずにエレベーターに乗り込む。
「はい、着きましたよ」
屋上にたどり着いた賀来はその光景に仰天する。
ビルの屋上には、広々とした草地、無造作に置かれた土管や角材やタイヤ、端っこに取り残された木など、昔懐かしい空き地が再現されていた。
「ここは、童心を忘れていない人ならだれでも入れる空き地です」
喪黒が説明する。
「ただし、大人の世界の汚れたものだけは持ち込んではいけません!
これが今回の約束事。


続いて、賀来は小屋の中に案内される。
小屋の中には子供服や独楽やボール、メンコ他の遊び道具が所狭しと置かれていた。
「ここで遊ぶ人はこの子供服に着替え、身も心も子供に返っていただくのです」
賀来が子供服に着替えると、空き地にはすでに男女問わず4~50代以上のおっさんおばさんたちが集まって思い思いに遊んでいた。
「わ、私は……」
「さあ、仲間に入れてもらいなさい!」
恥ずかしがる賀来に喪黒が後押しする。
童心に返って遊ぶ大人たちを見て、賀来は昔を思い出し涙を浮かべていた……


「かーんけーりやーるもーのこーのゆーびとーーまれっ!!」


賀来の一声で大人たちが一斉に集まった。
皆が思い思いに隠れる中、賀来はある土管の中に隠れる。
「俺の宝物の隠し場所だ……」
そうつぶやいているところに、一人の女がミニスカートにパンツ丸出しで上から落ちるように入ってきた。
「ごめんなさい……」
彼女は、他の女とは違い、まだ20代くらいの明らかに若い美女だった。
「あたし、志津。一緒に隠れてもいい?」
「いいよ。ぼく、ガキ」
「せまくなっちゃって、ごめんなさい」
「い、いいよ。もっとこっちにおいでよ。外から見えちゃうよ」
「ありがとう……」
二人は土管の中で照れながら寄り添っていた……






それからというものの、賀来は仕事では晴れ晴れとした顔で仕事をこなす一方、空き地では志津だけではなく他の大人たちと思い切り遊ぶなど充実した日々を送っていた。
そんなある日、賀来は夜の繁華街を一人歩く。
「子供に返った目で見ると、大人ってばかばかしいことをしてるものだな……」
夜の街にうごめく大人たちを見て賀来はそうつぶやいていた。
「ねえ~~、5000円ポッキリでいいからあたしと遊んでいきません?」
明日も空地へ行って童心に返ろうとする賀来に女が声をかける。
「放してくれ! 僕は……」
賀来は女を払いのけようとして……
「き、きみは!?」
お互いを見て、賀来も女━━志津も仰天する。
路地裏で、志津は泣きながらこれまでのいきさつを話した。
蒸発した父親の借金を肩代わりしたために夜の街で働くことになったこと、働きずくめでストレスがたまっていたところに喪黒が空き地を紹介したこと……
「志津ちゃん……」
「賀来さん……」
「僕が何とかするよ! 僕が……」
二人は路地裏で抱き合った。喪黒もそれを見つめていた……




+ 翌日……-

「これも志津ちゃんのためだ……」

賀来は震えた手で領収書を書き換えて100万円を横領した。
賀来はシズに手渡すまでの隠し場所として空き地の土管の中に置いてあった宝箱に100万円を収める。その顔は汗だくになっており、明らかに自分の悪事におびえていた。
そんな時、ミニスカートにパンツ丸出しで上からまたもやシズ……









……ではなく、女児用の子供服に三つ編みをつけた喪黒が降りてきた。賀来は何も言えず、驚愕した表情をするばかり。
「あなたは童心を忘れ、大人の世界の汚れたものをここに持ち込みましたね!?」
「な、何のことです?」
賀来はこう返すのが精いっぱい。
「とぼけてもダメです! あなたはもうこの空き地を訪れる資格はありません!」
喪黒は紙巻き火薬のピストルを賀来に向け……
「ドーーーーン!!」


+ そして……-

賀来が目覚めると、空き地では建設工事のためにクレーン車やショベルカーなどの重機が走っていた。高層ビルの屋上にどうやって重機を運んだのだろう
そしてブルドーザーが、100万円その他宝物を隠した土管に向かう。

「やめろ!! やめてくれ!!」

賀来は必死で叫ぶ。

「その中には金が入ってるんだーー!!」


賀来の叫びは重機の音にさえぎられる。

「やめろーーーー!!!」


賀来の叫びもむなしく、土管は破壊された……




ビルの屋上から1万円札が散乱する。
「あら? 1万円札だわ」
ビルの下に止めてあった車の窓から女が手を伸ばして1万円札を手に取る。
「よせよベイビー、そんな汚いの。金ならぼくがいくらでもあげるよ」
運転していた男(CV:高木渉)が10枚以上のカードを女━━志津に見せる。
「フフフ……そうね……フフフ」
車は走り去った……


女━━志津はお金には困っておらず、お金をだまし取ろうとしていたのであった。


「都会の穢れの中で生きている大人たちにとって、童心を取り戻すなんてできっこありませんねえ。わたしも賀来さんの心の空き地を埋められなくてほーんと残念です。ホーホッホッホッホ」




追記・修正は子供の頃に空き地で遊んだ人がお願いします。


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  • 空き地取り壊されて他のおっさんおばさんかわいそう -- 名無しさん (2021-11-20 22:24:54)
  • ロリに化けた喪黒とか誰得だよ -- 名無しさん (2021-11-20 23:31:38)
  • 金は子供だって持ってるしそれ自体が汚いものではないと思う。多分引っかかったのは勝手な都合で子供の楽園を利用しようとする性根じゃないかな。 -- 名無しさん (2021-11-21 08:23:01)
  • ↑というか、そのお金を横領で手に入れた...からかな?.....( 少し関係ないことだけど、喪黒も「 お客様に横領させる 」ように暗躍してたことがあったけど by.後部座席の男 ) -- 名無しさん (2021-11-21 10:07:17)
  • ↑あれは客が欲をかいて渡された金を横領したんじゃなかった? -- 名無しさん (2021-11-21 12:15:44)
  • 万札、女、屋上空間、空がかぶるタイトル、世の楽しみをさらっと出した一作やね -- 名無しさん (2021-11-21 14:15:07)
  • ビルの屋上から降る万札と聞くと龍が如くを思い出す -- 名無しさん (2021-11-22 08:49:31)
  • 喪黒さん、空き地での思い出話とかあるのか…? 福次郎とのエピソードとかが本当にあるのか、それとも適当に話を合わせてるだけなのか…? -- 名無しさん (2021-11-24 20:09:09)
  • もし弟だったらどんな展開になってただろう? -- 名無しさん (2021-11-25 21:45:39)

#comment

*1 ただし、喪黒は自身の思い出は一つも語っていない。やはり人外だから少年時代の思い出はないのだろうか。

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コメント

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