踊り場いっぱいにひまわりの花が…!!
『1/2の殺人者』とは、『金田一少年の事件簿』での事件の1つであり、金田一少年がかつて解決した事件の一つ。
短編集2作目に収録され、問題編と解決編の2話構成となっている。
テレビアニメでは第68話として1998年11月9日に放送された。
アニメ版では「剣持警部の秘密(ファイル1)」と改題されている。
「金田一少年の事件簿」の中でも後味の悪い事件の一つである。
【あらすじ】
追試に悩む一たちの前に現れたのは、美人刑事の茅杏子。
彼女が持つ箱の中身を見せることと引き換えに、横浜で起きた殺人事件の捜査を手伝うよう依頼される。
被害者の口の中には犯人の髪の毛が入っていたため、DNA鑑定により犯人が特定されるのは時間の問題かと思われた。
しかしそのDNAの持ち主は2人いた。被害者の娘で一卵性双生児の双子の姉妹が容疑者となっていたのである。
【以下ネタバレにご注意下さい】
【登場人物】
桐沢香四郎(きりさわ こうしろう)
前衛的な生け花の流派として知られる、夢月流の家元。54歳。
横浜ブランカホテルの2615号室に宿泊していたが、深夜に何者かともみ合いになり、後頭部を刺されて26階の非常階段から突き落とされ、1時間後に失血死した。
死体の口内には犯人のものと思われる頭髪が入っており、非常口の踊り場には25階に生けられていた向日葵の花がぶちまけられていた。
桐沢紅子(きりさわ べにこ)
CV:笠原弘子
桐沢香四郎の娘で、緑子の双子の姉。20歳。
おとなしく控えめな性格で、緑子とは利き手も性格も正反対であるが、姉妹仲は良い。
昔ジャングルジムから落ちて骨折したことがあるらしく、それ以来性格が暗くなったという。
香四郎の前妻の連れ子であり、血縁関係はない。
事件当時は205号室に泊まっていた。
桐沢緑子(きりさわ みどりこ)
CV:加藤優子(現:加藤有生子)
桐沢香四郎の娘で、紅子の双子の妹。20歳。
やや男勝りで乱暴な口調が特徴で、紅子とは利き手も性格も正反対であるが、姉妹仲は良い。
蝶が嫌いらしく、「蝶を連想する」という理由で生け花には消極的。爪を噛む癖がある。
香四郎の前妻の連れ子であり、血縁関係はない。
事件当時は2513号室に泊まっていた。
冬堂あけみ(とうどう -)
CV:富沢美智恵
桐沢香四郎の婚約者で、元弟子。36歳。
桐沢父子のことを気にかけており、姉妹が殺人を犯すことは考えられないと語る。
事件当時は2614号室に泊まっていた。
【その他の人物】
金田一一
毎度お馴染み主人公。
追試を控える中、茅のお色気交渉に引っ掛かり…と言うよりはむしろ例の箱の中身を見たいがために事件の捜査に協力する。
七瀬美雪
毎度お馴染みヒロイン。
茅にデレデレする一の指をナイフで切ろうとする猟奇的ツッコミに走る
当初は一の追試もあるので事件捜査協力に反対の立場だったが、例の箱の中身を見たいがために(ry
それ以外には特に活躍無し。
佐木竜二
一と美雪と一緒にいたところを巻き込まれる形でついてくる。
ビデオは回していないが、アシスト業務をこなす。
茅とは今回の事件が初共演だが、例の箱の中身を(ry
茅杏子
『秘宝島殺人事件』で登場した警視庁の警部。
再登場の今回も正体不明の箱を所持しており、事あるごとに一を誘惑するエロリストテロリスト。
箱の中身を見せることを条件に、一に捜査の協力を依頼する。
【以下事件の核心】
あんな男……大嫌いだった……!!
桐沢紅子
この事件の真犯人。
桐沢香四郎が母親に気があったことを知り、彼が母親を父親から奪ったと思っていた彼女は心底香四郎を憎んでいた。
そして彼がしたことと同じように、「桐沢」の名と財産を奪うために「おしとやかな娘」を演じていた。
しかし母親が死に、香四郎が今度は冬堂と再婚することを聞いた紅子は、彼女に子供ができれば血のつながりも生け花の才能もない自分は追放されると考え、
その前に香四郎を殺す計画を立てたのである。
非常階段で香四郎ともみ合いになり彼を突き落としたが、ジャングルジムから落ちた経験から高所恐怖症になっていた彼女は、
非常口から死角の位置で倒れた彼の生死を確かめに行くことが出来なかった。
それ故に関係者の中で一人だけ低い階層に部屋を取っていたことが、犯人である決め手になった。
真相を暴かれた後は緑子以上に粗暴な性格に豹変し、彼女のことも「態度がいい加減なのに生け花などの腕がいつも自分より上」だからと「気に食わなかった」とぶちまけるなど完全に崩壊した。
しかし、冬堂から2人は香四郎の本当の娘であることを明かされ、緑子と共にその場に崩れ落ちて慟哭した。
犯行後にわざわざ25階に生けられた向日葵の花を撒いたのは、ツインタワーの隣のビルから香四郎の生死を早く確認するための目印として目立つ花を選んだからと、風に飛ばされないように大きくて重たい花を選んだため。
だが一は、香四郎を本能的に父と慕っていた紅子が無意識の内に手向けた弔いの意味もあったのではないかと推察している。
桐沢香四郎
紅子と緑子は、二人の母親が前夫と結婚する前に彼と犯した一度きりの過ちの末に産まれた姉妹である。
前夫は香四郎の友人でもあったため、罪の意識にさいなまれた彼は2人と暮らすようになってからも一切そのことを口にしなかった。
しかし、彼の貞淑な考えは紅子に対し深い誤解を生むこととなり、それが悲劇の引き金となってしまった。
彼が娘たちに真実を打ち明けていれば事件は起こらなかった可能性はあるが、それはそれで関係が余計拗れた可能性もある。
冬堂あけみ
香四郎から娘たちの真実を打ち明けられていたが、彼の意を汲んで彼女たちには黙っていた。
紅子は彼女と香四郎の間に子供が出来ることを危惧していたが、婚約者にもかかわらずホテルで別々の部屋を取っていたので
男女の関係というよりは香四郎を公私ともに支えるパートナーとしての婚約だったのかもしれない。
茅杏子
事件の後、約束通りに箱の中身を一たちに見せるが、箱の中には更に一回り小さい箱が入っていた。
そして「『箱を開けていい』とは言ったけど『中のこの子を見せる』とは言っていない」という屁理屈で逃げた。
結局中身の「子」がなんであるかについては言及されないまま、事件は幕を閉じる。
「今度はホントに見せたげるからその時まで…ね♡」と言い残したが…
【アニメ版との違い】
茅杏子の代わりに剣持警部が登場する。
次話「共犯者X」とセットで「剣持警部の秘密」と改題。剣持は誰かと最上階の部屋に宿泊していたらしい。そこは次話で明かされる。
剣持はたまたま宿泊中に犯行現場を目撃し、捜査に協力する。
それに伴い剣持に「高所恐怖症」という、原作には無かった設定が追加された。
紅子と緑子の事情聴取は原作では一が一人で行っていたが、アニメ版では剣持警部も立ち会っている。
佐木は登場しない。そのため謎解きの際剣持警部が代わりに香四郎の役を担い、そこで高所恐怖症だということが発覚する。
容疑者特定の理由が、DNA鑑定からボーイの目撃証言によるものに変更。
桐沢緑子の宿泊フロアが24階に変更。
桐沢紅子がジャングルジムで怪我をしたエピソードはカット。代わりに剣持警部が高所恐怖症になったきっかけとして「子供の頃にターザンごっこをやっていて怪我をした」というエピソードが追加。
この話はこの後に放送された、「剣持警部の秘密(ファイル2)」(原作版:共犯者X)に続いていくことになる。
たとえ高いところが怖いとしても、追記修正お願いします。
▷ コメント欄
- 妹嫌いだったのはやる気ない妹の方が華道の才能を評価されてた、というのもあった。だからこそ「自分だけ追い出される」という幻想にとらわれてしまったわけで -- 名無しさん (2014-07-24 22:25:26)
- 姉妹の誕生を「一度きりの過ち」って言うなよ・・・。 -- 名無しさん (2014-07-28 14:36:49)
- ↑「彼女の子らをわたしは憐れまない、淫行の子らだから。そうだ、彼らの母は淫行を行い彼らを生んだ者は恥ずべきことをした。」岩波文庫 1967年1月16日初版 関根正雄訳「旧約聖書 十二小預言書上巻」から引用。 -- 名無しさん (2014-07-28 16:28:25)
- 緑子はショックだっただろうけど、憎悪を吐くだけだったからまだマシかも。異人館ホテル殺人事件の北見蓮子みたいに殺すレベルまで行っちゃったらもう手遅れ。 -- 名無しさん (2014-08-22 16:40:01)
- 今だと、一卵性の双子でもDNAが微妙に違う事が証明されてるんだよね -- 名無しさん (2014-12-01 18:42:41)
- この話の犯人、裏能条タイプだな。 -- 名無しさん (2015-07-13 19:29:12)
- ララとナナとモモ「容疑者、納得できない!!」 -- 名無しさん (2015-08-08 18:46:49)
- 男乱馬・女らんま・あかね「タイトル変えて」 -- 名無しさん (2015-08-09 16:52:09)
- 箱の中身冗談抜きで気になる -- 名無しさん (2015-09-02 17:18:49)
- 言っちゃ悪いが、桐沢は性的にどうしようもない通り越してどうかしてるとしか。だって親友の嫁寝取る(しかも嫁合意=嫁を口説いた上で寝取った)だけじゃ飽き足らず、その嫁が死んだらすぐに新嫁見つけてくるって、どんな女好きだよ。まあ東堂の話しぶりやら桐沢が彼女にはスキャンダラスな秘密を話してた事やら踏まえると、東堂とは友情婚・世話係婚の可能性もありえなくはないが。 -- 名無しさん (2016-05-25 18:43:10)
- ↑婚約者なのに部屋を別々に取ってるあたり友情婚・世話係婚の可能性も十分ありそう。というか香四郎は前妻のこと愛してなかったのでは?前妻に押し切られてとか子供の実父だから責任取ったまでで。 -- 名無しさん (2016-05-29 18:22:30)
- ドラマでしてもおかしくないけど短編だからしていないのか -- 名無しさん (2018-03-09 10:46:24)
- 名門華道家の双子姉妹を巡る事件としては『37歳』の『京都美人華道家殺人事件』にも通じるものがあるな -- 名無しさん (2019-10-26 14:49:39)
- 箱の中身は逆に動いてる分安心するけど20年後の再登場はあるのかな -- 名無しさん (2019-12-19 19:54:55)
- QEDの鏡像にも似た不満は感じたけど、普段呼び捨てにしてる癖に最後だけ急にこれ見よがしに「姉ちゃん」呼びするせいであざとく見えてしょうがない。普段から姉ちゃん呼びするか最後まで名前で呼ぶか一貫して欲しかった。 -- 名無しさん (2020-05-30 20:00:25)
- いや、ちょっとまて。実の子で実は愛していたなら、なぜ髪の毛をかみちぎったのよ。むしろ「犯人は別の人間だ」と見せかけて、でも失敗するというパターンじゃないとダメでしょ。これ。 -- 名無しさん (2022-07-10 16:17:20)
- ↑被害者は犯人の証拠を残すべく髪の毛ちぎったんじゃなくて、刃物持った娘に殺されそうになって揉み合ったなかで髪の毛噛みちぎったという経緯。流石に愛する娘で罪悪感を抱えていても殺されることを受け入れられないでしょう -- 名無しさん (2023-05-06 08:05:16)
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