登録日:2021/08/15 Sun 10:36:37
更新日:2025/06/29 Sat 08:58:30NEW!
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笑ゥせぇるすまん 笑ゥせぇるすまんエピソード項目 藤子不二雄aブラックユーモア短編 社長 幼稚園 パワハラ 下請けいじめ おでん 村松康雄 幼児化 大人の憩いの場
「社長幼稚園」は、「笑ゥせぇるすまん」45話、および旧アニメ版105話のエピソードである。
サブタイトル及びシチュエーションは、藤子A氏のブラックユーモア短編の一作に由来している。*1
【あらすじ】
会社社長・尾山野大造は、一日の公務を終えたあと、一人で屋台のおでん屋に入っていった。
「プハーッンマーイ!」
「いや~~、ほんとにうまそうですね!」
ビールを飲んで一息つく尾山野に喪黒が話しかける。
「失礼!あまり社長の飲みっぷりがよかったもんで」
喪黒は尾山野が黒塗りの高級車から出たことやその足で屋台へ入ったことから、「仕事に追われた社長が一息つきたくなったんでしょう」と推測する。
図星を突かれた尾山野は感心して、喪黒に愚痴をこぼす。
「全く子供がうらやましいですよ。責任も義務もなく、無邪気に遊んでりゃいいんですから」
「よろしい! 今日は社長業を忘れてガンガンやりましょう!」
意気投合した二人は夜の街へ消えていった。
翌朝、二日酔いの頭で会社に来た尾山野のもとに喪黒が面会にやってきた。
喪黒は尾山野をあるところに連れて行った……
【登場人物】
CV:大平透
おなじみ笑ゥせぇるすまん。
- 尾山野大造
CV:村松康雄
64歳の会社社長。
社長として分刻みのスケジュールに追われ、一人で飲みに行くくらいしか自分の時間がない生活にストレスを感じていたが、喪黒に「憩いの場」を紹介される……別世界でも社長だった。
〇社長幼稚園
喪黒が尾山野の悩みを受け、案内した幼稚園。
「激務に追われる社長たちの憩いの場」というコンセプトのもと、社長たちに幼稚園の頃に戻って遊んでもらうことを目的としている。園児となった社長は一流企業ばかりなので、費用も相当なものと推測される
- 白髪妙子
「社長幼稚園」の園長。文字通り立派な白髪の初老の女性。漫画では園長自らが「園外での地位や権威を幼稚園内に持ち込まないこと」というルールを説明する。
- 花柳先生
尾山野の担任となる、社長幼稚園の先生。美人でソバージュヘアでボディコンでナイスバディという居場所を間違えたかのような容姿の持ち主。お医者さんごっこをするわけではない
- ヤスマサ
社長幼稚園の園児の一人。ガキ大将風の容姿で、尾山野に目をつけていじめるようになった……
【顛末】
喪黒に連れられて尾山野が向かった先は、幼稚園だった。
「ホホホ、当幼稚園へようこそ。園長の白髪妙子でございます」
「は、尾山野大造です」
尾山野を園児にするべく、喪黒が保護者役になったり手続きを買って出ると申し出る。
尾山野は躊躇するが、担任の花柳先生を紹介されると途端にデレ~っとなった。
「ハーイ タイちゃん!」
「きみにはあたしの花組に入ってもらうわ」
スモックの制服に着替えた尾山野は最初は恥ずかしがるが、いざ教室に入って、自分と同年代もしくは上の園児を見て驚く。
尾山野は社長の園児たちから歓迎され、砂場やビニールプールで遊んだり、トンボとりをしたり、花柳先生に膝枕をしてもらったりと、童心に返って一日を過ごしたのだった。
BAR「魔の巣」にて、喪黒と尾山野が語り合う。
尾山野は童心に返って園児たちと遊んだことでストレスが取れたと、喪黒に感謝の意を表す。
「社長業というのはずいぶんストレスがたまるんでしょうねえ。ま、時々あそこへ行って命の洗濯をしてくださいな」
「はい、是非行かせてもらいますよ」
ここで、喪黒が約束事を改めて語る。
「ただし、園長先生からも説明があったと思いますが、世間的な地位や力関係を絶対にあそこへ持ち込まないようにしてください!」
「ええ、そんなもの持ち込みようがありませんから」
会社内では、すれ違う社員に気軽に挨拶するなど、社員から丸くなったと評判にもなったが、幼稚園の中では新たな問題を抱えてしまった。そう、「いじめ」である。
「おい、おまえなまいきだぞ!」
ヤスマサが尾山野に一発くらわす。
「ヤスマサくんが悪いんじゃないか」
「コノヤロー!」
ヤスマサは尾山野の上に馬乗りになり、さらに尻をひっぱたく。
「おい、ウマ! 鳴け! 鳴いたらゆるしてやる!」
「ヒヒーン!」
尾山野は涙目で応じる。
「あーっ! きみたち何してるの!」
花柳先生がちょうど駆けつけてきたため、この場はここで収まった……
アニメ版では花柳先生に泣きついた尾山野がデレ~っとする表情を見せる。ついでに花柳先生が乳首を立たせている
後日、会社で公務についていた尾山野のもとに、新工場の建設に参入したいと『バブル建設』の社長が面会にやってきた。
その社長と会ってみようと、尾山野も通すことにした。
「あ~~~っ!!」
尾山野およびバブル建設の社長━━ヤスマサはお互いに驚く。
「これはどうも……まいりましたな……」
「それで、何の用かね!?」
すっかり腰が低くなったヤスマサに対し、尾山野は高圧的な態度で接するのだった。
「タイちゃん、この前はいじめてごめんね」
その後の幼稚園にて、ヤスマサは尾山野に対し及び腰になっていた。尾山野は無言でヤスマサをにらみつける。
この後、漫画版では尾山野がヤスマサに馬になれと要求する(アニメ版ではヤスマサが「乗っていいよ」と自ら馬になる)。
更に、尾山野は新工場の建設をちらつかせてヤスマサに馬乗りになり、邪悪な表情を見せながら尻をひっぱたく。
ヤスマサは涙目になって「ヒヒーン!」と鳴くのであった……
夕方、会社へ戻った尾山野のもとに喪黒が訪ねてきた。
「尾山野さん……あなた約束を破りましたね!」
「世間的な力関係を幼稚園に持ち込まないようにと言ったのに!」
「あ…あれは……」
尾山野はたじろいでしまう。
「弁解は無用です!」(漫画版)
「こうなったら、いっそのこと会社も幼稚園も一緒にしてください!!」(アニメ版)
「ドーーーーン!!」
秘書が社長室に入るも、人影が見えない。
不思議に思ったところに、椅子から机によじ登ってきた子供が現れた。
「おねえたん おしっこ」
それは赤ん坊までに若返った姿の尾山野だった。
秘書の悲鳴が響き渡る……
「社長業というのは本当にしんどい商売ですなあ。しかし彼はあらゆるストレスから解放されて本当に良かったですねえ。 え? あなたも今から幼稚園に入ってみます? ホーホッホッホッホ」
【余談】
「笑ゥせぇるすまん」において、「大人が童心に返って俗世間を忘れて遊ぶ」というシチュエーションを描いたエピソードは他に「空の上の空地」があるが、こちらは客が心の汚れた女にひっかかって破滅するという落ちで終わっている。
やはり大人が邪な心を捨てて童心に返るなど無理なのかもしれない。
プールでみんなが遊んでいるシーンの中に『チ漢さん』に登場した冬木花衛(CV:野本礼三)が出演している。
また作者の相方藤子・F・不二雄もまた本作と似たコンセプトのアトラクションを短編『やすらぎの館』で描いたが、そっちではブラックな事は起きなかったのに母性に安らぎ過ぎてオチでは社会に帰っても心が幼児退行したままだった。
追記・修正は幼稚園の頃に返りたいと思った人がお願いします。
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▷ コメント欄
- いろいろと皮肉なストーリーですごい覚えてるな…もう少し考えが回ればわざわざ仕事のこと言及しないで無言の圧力かけて馬にするくらいできたろうにとも思うが、いずれこのままだと似たようなこと起こして喪黒から制裁食らってたろうな… -- 名無しさん (2021-08-15 11:09:25)
- ぶっちゃけ社長なんてピンキリで小さい会社の社長なんて普通の社員よりしんどい思いしてる人も少なくない -- 名無しさん (2021-08-15 11:45:49)
- ラストの原作だと普通に可愛らしい感じだったのにアニメだと妙に不気味になってたな(オッサンボイスでキラキラ笑顔) -- 名無しさん (2021-08-15 12:33:13)
- 「 ヤスマサ 」の声優さんは声の感じからして....笹岡 繁蔵さんかな?それとプール遊びの場面にあの「チ漢さん」の「あの人」らしき人物が....!? -- 名無しさん (2021-08-15 13:11:36)
- F先生のマンガにも社長が幼稚園に通う回あったな 向こうもオチはブラック -- 名無しさん (2021-08-15 13:16:06)
- もう一回人生をやり直せることはいいことなのか悪いことなのか -- 名無しさん (2021-08-15 13:42:10)
- ↑↑「皆でお医者さんごっこがしたい」と、園児(大人)が美人の保母さんに迫る場面で終わる奴だっけ -- 名無しさん (2021-08-15 15:15:59)
- ↑それがA先生の短編(この話の元ネタ)です -- 名無しさん (2021-08-15 16:01:46)
- ↑3 「一度だけの人生」だから頑張れるというのはあるでしょうね。ループ物の主人公を見ていると結果を知っている、逆に結果が予想できないから行動できないということになるでしょうし。ただこの社長に関してはそれ以前の問題ですが。 -- 名無しさん (2021-08-15 16:47:51)
- 諸星大二郎の漫画である「子供の王国」は社長幼稚園とは別の方向で大人達が童心に返る内容だった -- 名無しさん (2021-08-15 17:53:00)
- S・F短編集にはこれをだいぶマイルドにしたような話が載ってた -- 名無しさん (2021-08-15 19:28:37)
- 某ゾクガミ「子供(ガキ)になりたきゃ神(オレ)と一緒に暴走(ユメ)でも見りゃあいいだろ?」 -- 名無しさん (2021-08-15 19:55:20)
- 幼児退行と思ってたけどセト神のごとく若返ってたのか -- 名無しさん (2021-08-15 22:14:37)
- 精神退行系は「たのもしい顔」や「点滴症患者」があるけど身体まで幼児化したのはこれくらいか -- 名無しさん (2021-08-15 23:16:53)
↑・8 「やすらぎの館」だね。会社が乗っ取られそうなのに「母ちゃんにメーッて叱ってもらうからいいもん」って幼児退行してるやつ -- 名無しさん (2021-08-16 01:51:59)
- アニメの方はラストのカット見ると実は精神だけおっさんのままのようにも思えてしまう -- 名無しさん (2022-07-15 00:01:55)
- そういやウル忍でも大人のマンが幼稚園に通うことになる話があったような -- 名無しさん (2022-08-15 18:40:32)
- F先生の短編「休日のガンマン」は日常を忘れて西部劇のテーマパークを楽しみに行ったのに上司や得意先がいてちっとも日常を忘れられなかったという話だったな。 -- 名無しさん (2022-08-20 20:44:36)
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