登録日:2020/02/19 Wed 22:43:37
更新日:2024/05/16 Thu 12:45:02NEW!
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幸せ 少し いただきます
全員失業中の一家が目指す、高台の豪邸。
最高の就職先には、誰も知らない秘密があった――。
概要
『パラサイト 半地下の家族(原題:기생충、中題:寄生虫、英題:Parasite)』とは、2019年製作の韓国映画。
日本ではビターズ・エンド配給・PG12指定で2019年12月27日から東京と大阪の映画館2館で先行上映された後、2020年1月10日より全国公開された。
監督は『殺人の追憶』『グエムル 漢江の怪物』『スノーピアサー』等、多彩なジャンルの映画で活躍するポン・ジュノ。
監督とジャンル的に、同邦題のモンスター映画を連想させるが、SFでもホラーでもない。
ビルの半地下で暮らす貧しい一家が、ひょんなことから高台の社長一家に接近していくというストーリー。
しかし、今作ではそこから全く予想だにしない物語が展開されていく。
本作のテーマとなるのは「貧困層と富裕層の差」。貧困層の一家が富裕層の一家に近づき、徐々に侵食していく物語かと思いきや、後半からは物語の主軸が一変。
「計画」の綱渡りといったサスペンス描写だけでなく、貧富の埋まらない格差を描いた社会問題描写、さらに金持ち一家と貧乏一家の「ズレ」をシニカルに描いたブラックジョーク的な笑いを織り交ぜ、怒濤の展開の連続となっている。
ことに、貧富の格差については、ここ数年では日本の『万引き家族』、アメリカの『ジョーカー』、イギリスの『家族を想うとき』などで注目されつつあった題材だ。
なお、ポン・ジュノ監督自らが「兄妹が家庭教師として潜り込んで以降の物語は秘密にして欲しい」とネタバレ戒厳令を敷いているため、それ以降からの物語は本項目では触れないこととする。
今作が世界に与えた影響は計り知れないものだった。
公開前に出品された第72回カンヌ国際映画祭では、審査員の全員一致で最高賞であるパルムドールを韓国映画として初受賞。
この高評価を得て、韓国での観客動員数は1000万人を超え、2019年度の動員数で第2位(国内映画)を記録。
北米で公開された際は、興行収入は3600万ドルを超え、非英語映画の興行収入では歴代6位となった。
更にはゴールデングローブ賞、ニューヨーク映画批評家協会賞といったアメリカの権威ある映画賞を多数受賞し、製作にハリウッドの映画会社が一切関わってない作品でありながらも賞レースで存在感を放った。
そして遂には、世界で最も有名な映画賞の第92回アカデミー賞で、『ジョーカー』や『1917 命をかけた伝令』を抑え、韓国映画、ひいてはアジア映画としては初の作品賞を受賞したのである。
その他にも、国際長編映画賞、監督賞、脚本賞の最多4部門を受賞している。
アカデミー賞の歴史において作品賞と国際長編映画賞を同時に受賞した作品は本作が初となったこともあり、皮肉にも韓国映画のこれからの将来が期待される作品となった。
ストーリー
韓国市街地のビルの半地下の家。
そこには父・母・二人兄妹の四人で暮らすキム一家が住んでいた。
キム一家は大黒柱の父だけでなく、二人の子供すらもフリーターで一家全員が失業中。
スマホの回線も契約できないから他所の弱いWi-Fiを家の中で探す有様だった。
ある日、長男のギウは、友人の大学生から、自分の後任としてお金持ちのお嬢様の家庭教師をやって欲しいと頼まれる。
妹のギジョンの力を借りて偽造書類を作った彼は、エリート大学のアメリカ系韓国人として、その社長一家のパク家に潜り込むことに成功。
パク家の面々に気に入られ味を占めたギウは、パク家の長男が芸術肌であることを知り、美術の家庭教師を斡旋する。
その家庭教師とは、またしても身分を偽ったギジョンだった。
しかし、キム家の「計画」はこれだけでは終わらなかった。そして、そこに思いもよらない落とし穴があったことを、彼らはまだ知らない…。
登場人物
※日本語吹替キャストは映像ソフト版 / 金曜ロードショー版 / BSテレ東版の順に記載
キム家
下町のビルの半地下*1で暮らしている全員フリーターの一家。ポスターでは全員裸足になっている。
キム・ギテク
演:ソン・ガンホ/日本語吹替:山路和弘
図体はデカいが、甲斐性もやる気もまるでなしな大黒柱。
運転手や台湾カステラの屋台など職を転々としていったがほとんど続かずフリーターになった。
自分からはほとんど動かないものの、子供たちのことは信頼している。
キム・チュンスク
演:チャン・ヘジン/日本語吹替:今泉葉子 / 津田真澄
口うるさく、働かない夫や子供たちに不満を垂れ流している主婦。
元ハンマー投げの選手で、キム家の中では一番の腕っぷしを誇り、喧嘩では誰も彼女に敵わない。
キム・ギウ
演:チェ・ウシク/日本語吹替:柳田淳一 / 神木隆之介 / 内山昂輝
大学入試に4回失敗している長男*2。
機転が利き、ずる賢い性格であり、素の頭は良い方。
友人のミニョクからの紹介で身分を「ケビン」というアメリカ系の大学生と偽り、ダヘの新しい家庭教師としてパク家に潜り込む。
キム・ギジョン
演:パク・ソダム/日本語吹替:味里 / 近藤唯
現代っ子らしく年上は敬わない長女。
手先が器用で美術の才能があるが、美大には落ちている。
ギウの紹介で「ジェシカ」という美大生としてダソンの美術の家庭教師となり、ネットの受け売りのような授業を行う。
パク家
高台の豪邸で暮らす、IT企業社長の一家。基本的に全員「アメリカかぶれ」である。
パク・ドンイク
演:イ・ソンギュン/日本語吹替:堀川仁 / 東地宏樹
最先端を行くIT企業の社長。
身なりをきっちり整い、家族にも十分な愛情を注いでいる理想のような父親。
使用人等とはプライベートには踏み込まれない、一定の距離を置くことを望んでいる。
パク・ヨンギョ
演:チョ・ヨジョン/日本語吹替:折笠富美子 / 恒松あゆみ
優雅で貞淑な有閑マダム。
何事も穏やかだが家事は下手。
世間知らずなきらいがあり、ギウやギジョンの他人の受け売りのような「擬態エリート」ぶりに完全に騙され、彼らをすっかり信用する。
パク・ダヘ
演:チョン・ジソ/日本語吹替:松本沙羅 / 早見沙織
大学受験を控えた美人令嬢。
ミニョクと恋仲だった*3が、ケビン(ギウ)の魅力にすっかり惚れ込む。
パク・ダソン
演:チョン・ヒョンジュン/日本語吹替:松本沙羅(ダヘと二役) / 小林由美子
落ち着きがない腕白なお坊ちゃん。
「芸術肌」で通っており、前衛的な絵を描いたり妙な一人遊びに熱中している(ただし、ダヘは「フリ」だと指摘している)。
1年生の頃に何か「事件」を起こしたそうだが…。
周囲の人物
ミニョク
演:パク・ソジュン(特別出演)/日本語吹替:峰晃弘 / 花輪英司
ギウの友人でエリート大学生。
外国に留学することになり、恋仲であるダヘを預かるに足りる人材としてギウを選び、身分詐称を提案しつつ彼に家庭教師の後任を頼んだ。
叔父が石集めが趣味で、お裾分けとして軽石をキム家にプレゼントする。
ムングァン
演:イ・ジョンウン/日本語吹替:斉藤こず恵 / 田村聖子
パク家住み込みの家政婦。
パク家が豪邸に越してくる以前からのベテラン家政婦であり、主人に忠実ではあるものの、時折我が物顔で豪邸内を歩き回っている。
ユン
演:パク・キュンロク/日本語吹替:山本兼平
パク家のお抱え運転手。
若い男らしく、それなりに女に対し下心はある模様。
ナビを見たら8分で家に到着よ。
今からPCを点ければそれまでに追記修正できるわね、ファイト!
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▷ コメント欄
- 産経小欄で話題に出てきたからそんなに凄いのかと思ったが本当に凄そう -- 名無しさん (2020-02-19 22:48:36)
- 荒れそう?な項目だし注意書きしてた方良さそう。 -- 名無しさん (2020-02-19 22:58:31)
- 宣伝からして社会派な印象を受けるが、実際はひたすらクオリティの高いサスペンス。傑作。 -- 名無しさん (2020-02-19 23:37:25)
- 韓国のこの手の映画の質と量は大したもんだ。コレだけは認めざるを得ない -- 名無しさん (2020-02-20 00:19:33)
- アジア人としてアカデミー賞を勝ち取ったのが凄く嬉しい! -- 名無しさん (2020-02-20 01:43:28)
- 何ジャンルかって聞かれても答えにくい。 -- 名無しさん (2020-02-20 01:57:20)
- ノンストップというかシームレスな作品だった、あとカメラワークがいい -- 名無しさん (2020-02-20 04:36:32)
- あの”北のおばさん”ネタは心の中で大爆笑してたわwまあ半地下側にとっては本当にヤバい状況なんだけど… -- 名無しさん (2020-02-20 09:07:00)
- ポンジュノはまあ天才だとは思ってたけどここまでいくとはなあ…… -- 名無しさん (2020-02-20 10:05:04)
- ってかこれもソンガンホ主演なのか……すげぇな韓国の映画史=ソンガンホといっても過言じゃない -- 名無しさん (2020-02-20 13:27:00)
- しかし白人至上主義が未だに根付くアカデミーをねじ伏せたのは大したもんだわ -- 名無しさん (2020-02-20 14:08:13)
- ポスターとかタイトルからして(サイコ)スリラーかと思ってたが思ったより明るいコメディ描写が多くていい意味で期待を裏切られた。かといって単純にコメディ映画という括りにもできない色んな意味での凄みもあるんだよね… -- 名無しさん (2020-02-20 19:23:11)
- 先日見たが素晴らしい映画だった コメ欄が荒れないといいが -- 名無しさん (2020-02-20 19:34:53)
- 監督「最後のあれ500年はかかる」って言ってた -- 名無しさん (2020-02-20 20:01:13)
- 機会があって複数回観た。初回はただただ怒涛の展開に圧倒されて、二回目以降は観る度に強烈な虚しさを叩き込まれる羽目になった。ぶっちゃけ監督の狙い通りなんだが、とかく良い意味で凄くもやもやさせられる作品だった。 -- 名無しさん (2020-02-20 22:24:06)
- 見た後に考えさせられる(考えてしまう)のは良い映画の証拠だが、この映画は正にそれ。見てる最中は息をのむし、見た後はついつい考えてしまう -- 名無しさん (2020-02-21 10:13:21)
- 金持ち一家がマヌケではあるし無意識的な見下しはあるけど純然たる被害者で善人ってのがじわじわ利いてくるよな。そのくせ最後のソン・ガンホのアレに関しては「まあ仕方ないよな…」ってなってしまうという奇妙なバランス -- 名無しさん (2020-02-21 14:03:23)
- ネタバレ禁止かー。とにかくドリフのコントみたいで面白かったので、中盤からの感想を語り合いたい。 -- 名無しさん (2020-02-21 23:47:10)
- 結末は希望持たせといて実は救いがないという…「計画」なんて立てるものじゃないね -- 名無しさん (2020-02-22 15:46:56)
- 凄く身近な汚さをしっかり汚く描いてるのが凄い -- 名無しさん (2020-02-24 20:55:19)
- 久々にやべえと思える映画だった。貧富の差を土地の高低や身なりの汚さで表してるのすごくうまいよね。ところであの金持ち一家今後どうなったんだろう... -- 名無しさん (2020-03-04 00:41:04)
- ↑あの奥さん今まで何不自由なく生活してた&息子も病みがちし夫殺されて病んでしまったんじゃない?映画では「引っ越した」とだけだったけど。まあベタなところで子供二人は母方の実家に預けられたとかで、没落は避けられないでしょう。 -- 名無しさん (2020-03-04 08:49:53)
- 登場人物略全員が被害者であり加害者という凄まじい作品。ジャンルは…何になるんだコレ。 ↑「無計画」で何も考えずに衝動的に行動した結果の末路でもある。つまり詰んでる… -- 名無しさん (2020-03-07 22:23:37)
- パラサイト ハンカチの家族 -- 名無しさん (2020-03-08 00:13:35)
- ジョーカーはアンチヒーロー映画として富裕層がクズキャラとして描かれてたけど、こっちは金持ち一家が全員善人というのがポイントだな。チュンスクは和解するつもりだったし、グンセはパク氏を尊敬していて一つ一つのボタンの掛け違いの構成が見事過ぎる。 -- 名無しさん (2020-08-11 19:45:14)
- 日本の万引き家族は、主人公側が保護制度とか調べようともしないし貧困から脱出する要素あるし学校通わせないとか論外クラス。あれで日本の貧困語られても困ると思った -- 名無しさん (2020-08-11 20:13:56)
- ↑まあそれはこの映画にも言えるわけでパラサイトの貧困層の描写はかなりオーバーに描かれすぎで韓国のリアルな貧困事情とはかなり異なる -- 名無しさん (2020-08-12 23:34:54)
- 上映当初にこぞって考察動画が上がってたけど、漫然と見ても面白くて細かく見始めたらキリがないって娯楽としての完成度が高い。 -- 名無しさん (2020-08-14 07:28:18)
- ↑↑でもこの手の人たちって政府から金もらって映画作ってるんでしょ?政治家批判は必要だから金貰ってるくせに云々は突っ込まないとして、ちゃんと描かなきゃいけないでしょ… -- 名無しさん (2020-08-14 09:49:15)
- 日本語吹替だとあのモノマネはちょっとパンチが足りないから言語字幕版での視聴が一番良いかもと思った。親父の山路さんの吹替も渋くて好きだが -- 名無しさん (2020-08-16 16:04:44)
- 是枝監督がソン・ガンホ出演の映画を撮ると聞いて。 -- 名無しさん (2020-08-26 21:41:00)
- さっきの金ローが初見だったけど… 番組内で何度も注意書きあったとはいえ -- 名無しさん (2021-01-08 23:50:27)
- 途中送信 あったとはいえよく地上波で流せたなと思いましたマル -- 名無しさん (2021-01-08 23:52:11)
- ヘビーな話だからこそ笑える要素がいい仕事をする必要がある。シリアスな笑いの効果的な使い方を知りたければ見るべき。 -- 名無しさん (2021-01-09 00:27:44)
- 一番好きなシーンは集団墓地で掃除ロボットが無機質な音を出してるシーン 貧乏人には静かに故人を偲ぶことすら許されないのかと悲しくなった -- 名無しさん (2021-01-15 18:28:14)
- 画面いっぱいに映るギガパワープレートバーナーLI -- 名無しさん (2021-01-21 21:26:03)
- 住めるようになるのが先か建て替えついでに地下から死体が見つかるのが先か -- 名無しさん (2021-10-04 02:50:51)
- 事件前にやめさせられてさっさと退場した運転手のユンが一番マシな気がする -- 名無しさん (2022-07-04 16:04:32)
- 同じ貧困を扱った「万引家族」と見比べて、観ている側が「ここはこうするだろ!」「そんなこと普通はしないぞ!」という登場人物へのツッコミの隙間がとても少なかったという感じ。やっぱり社会問題を扱った作品で素人でも分かるツッコミ所があるともやもやするよ -- 名無しさん (2022-07-04 22:27:17)
- ポン・ジュノは『殺人の記憶』もそうなんだが、気が滅入るくらい悲惨な話なのに時折シリアスな笑いを入れてくるのが上手いなと思う -- 名無しさん (2022-07-04 22:46:25)
- 前半の工作活動が上手く行きすぎだろとは思ったが、中盤からラストは予想外&怒涛の展開で釘付けになった。しかし「あの2人」がタイムマシーン3号関と中川家礼二に見えて仕方なかったな…… -- 名無しさん (2023-08-19 02:08:58)
#comment
*2 韓国は極端なまでの学歴社会であるため、浪人生も非常に多い。
*3 もっとも、ミニョクがそう発言しているだけで、ダヘの口からミニョクとの関係について言及するシーンはない。
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