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更新日:2023/08/10 Thu 12:06:07NEW!
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やってやる!いくら装甲が厚くたって…!
見せてもらおうか、連邦軍のMSの性能とやらを!
ザクⅡとは、『機動戦士ガンダム』においてジオン公国軍が開発した量産型モビルスーツ(MS)である。
ちなみに「ザクⅡ」という呼称は後付け設定であり、TVアニメ本編では単に「ザク」と呼ばれている。
▽目次
概要
一年戦争序盤には、MSならではの優れた汎用性と運動性により従来兵器を擁する連邦軍を圧倒し、ジオン軍快進撃の立役者となった。
モデルは恐らくゼロ戦。
また、一部設定にはⅣ号戦車が参考にされている。
名前は歩兵の歩く音(ザク、ザク、ザク)から取られているとされている。決して「雑魚」をもじった訳ではない*1。
『機動戦士ガンダム』以前のロボットアニメにおいて、敵役ロボは巨大ヒーローものの怪獣の延長上にある存在であったが、
本機は「兵器=戦場で兵士が使う道具」として描かれ、そのデザインも「機械仕掛けの巨人兵士」というイメージでまとめられている。
本格的ミリタリーアクションとしての要素を持ったロボットアニメとして一世を風靡したガンダムの個性を象徴する、ロボットアニメの歴史を変えた敵役ロボである。
●スペック(F型)
全高:17.5m
重量:56.2t(67.1t)
出力:976kw
推力:43,300kg
装甲:超硬スチール合金*2
●由来
独立戦争開戦の準備を進めていたジオン軍は、世界初の実戦型MS・ザクⅠ(旧ザク、旧型ザク)を開発、量産した。
しかし最初期の機体なためにトラブルや運用面での問題も多く、早々に後継機の開発が行われ、その結果完成したのがこちらのザクⅡである。
本機はザクⅠをベースとしながらも実際の運用で得られたデータを基に、内蔵されていた動力パイプの再配置や格闘戦用装備ヒートホークの搭載などの改良が加えられ、兵器としての完成度や信頼性が格段に高められた。
また、ザクⅠとほぼ同じ操縦方式であったためか機種転換も比較的容易に行えたのもポイント。
こうして完成した本機は大量に生産され、ジオン公国は開戦へと踏み切るのであった。
●外見
頭部のモノアイと呼ばれるメインカメラは、スリット状の溝に沿ってレンズが左右に動き、広範囲を見渡す事が出来る。
連邦軍からは「一つ目」として恐れられた。
他にも丸い頭にタコのような口、エネルギーを要所に巡らせるための動力パイプといった外観はジオンMSの象徴として受け継がれていく。
アニメとしてのデザインは他のメカともども大河原邦男氏が担当。
ガンダムのデザインに難航していた際に息抜きとしてのびのびと描いたところ採用されたという事で、思い入れの深いデザインであるという。
よくネタにされる「右手に武器を持つのにシールドも右肩にある*3」のは設定画の都合(左前方からの視点だけで描く)である点が大きいが、以後もザク及びその系譜を受け継ぐMSの伝統となった。
●実戦
開戦と同時に投入された本機は、一週間戦争やルウム戦役において連邦軍艦隊を圧倒。
MSの威力を見せ付け、それまでの兵器体系を大きく塗り替えた。
かつて航空機が大艦巨砲主義を過去の遺物とした様に…
しかし「V作戦」発動により完成したガンダムを始めとする連邦軍の新型MSが登場してくると状況は一転、旧式化の一途を辿る。
よって、機動戦士ガンダム劇中においての役割は
[[やられ役>かませ犬]]
である。
また、宇宙戦闘では活躍したものの、地上戦では関節部にかかる負荷が無視できないレベルで高く、機動力も思う様にはいかなかった。
そのため、ザクに代わる地上用MSは開戦前から開発が始まっている。
また、いくらザクでも連邦軍主力・61式戦車の誇る155mm連装砲の火力は脅威であり、
更に戦争中盤からは連邦側が既存兵器によるMSへの対策を編み出してきたため、戦場のいたるところで撃破されるザクが増えてきた。(ファン・ファンによる誘導後の待ち伏せ攻撃や装甲の薄い背部に回り込んでの砲撃等)
…もっともこれらのケースも「こちらに有利な地点で待ち伏せして集中砲撃」が基本であり連邦側の犠牲者も少なくなく、やはりまともにぶつかるのは無謀な相手だったのは事実ではあったようだ。
だが、連邦軍がいよいよ本格的量産MSジムの生産・配備に踏み切ると、ザクの優位はあっという間に急落していった。
防御力の低さも問題点で、至近距離で不意を突かれたとはいえ60mmバルカン(連邦MSの頭部バルカン砲)で蜂の巣になり爆砕する程に脆弱。
上記の61式戦車の155mm砲にもまず耐えられなかったろうし、機動力でもザクを上回るジムには、ビームスプレーガンはもとより90mmマシンガン装備でも致命傷となる。
作中では横転してマゼラ・アタックによりかかっただけで、マゼラ・アタック共々大爆発などという有様であった。
それもあってかグフやドムといった後継機は一律に装甲が強化されている。
そのドムもフライマンタの30mm砲やガンダムの60mmバルカンで正面装甲から粉砕されており*4、ザクの防御力はやはり低いものであった。
機動力面では、宇宙空間ではともかく地上では思ったよりも遅く、61式戦車と同等かやや劣るぐらいだった。
おおむね85~88km/hとされ*5、61式戦車の最高速度90km/hにやや及ばない。
これに上述した関節部の故障率の高さが加わり、地上では苦戦することが多かった。
が、基本設計は優秀であり、終戦までリック・ドムなどと共に実質的な主力機であり続けた。
一年戦争を通して「ジオンの顔」だったこの機体が後世に残した影響は大きく、「ジオン=ザク」のイメージが定着し、デザインを組織の求心力向上に利用されたりもした。
また、後述の様に指揮官機(FS型、S型)はマルチ・ブレード・アンテナを標準装備していた事から「角付き」とも呼ばれ、以降のジオン軍の指揮官機や隊長機もマルチ・ブレード・アンテナや角飾り装備が伝統となった。
なぜ戦争末期にも活躍できたのか
先述の通り、後継機が続々と開発される中でも、ザクは主力の一角を担い続けた
後継機たるゲルググの開発が難航した事や、MSの生産能力そのものが落ちていて旧式のザクでも使わなければならなかったという理由も大きいが、それでもジオン公国軍を最後まで支え続けた存在感は無視できるものではない。
パイロットの腕次第ではジムとも互角以上に渡り合い、ア・バオア・クー攻防戦においても多数の機体が投入されている。
むしろ、キシリアによると後継機であるリック・ドムやゲルググよりも活躍していたようだ。
当時のMSの中では旧式かつ非力な方であるザクがこれほど活躍できたのには、一年戦争終盤には腕利きパイロットがザクに好んで搭乗したという理由も大きい。
(機体性能よりもパイロットの腕でゲルググやリック・ドムより活躍した、と言い換えてもいい)
だが、それでも歴戦のエースパイロット達が専用のリック・ドムやゲルググを受領し戦果を挙げている事からわかるように、これはザクがドムやゲルググより優れていたから……といった話ではない。
当時のジオンのMSは機種ごとに操縦系統が異なり、乗り換えには機種転換訓練を必要とした*6。
しかし当時のジオンは連邦の反撃により、軍の再編成や再訓練を行う時間的余裕は無かった。
結果として多くのベテランパイロットは、いくら高性能でも操作性の異なるドムやゲルググを忌避し、慣れ親しんだザクに乗る事を選んだ。
逆にリック・ドムやゲルググには、とりあえずの戦力として新兵や学徒動員兵等、訓練を終えたばかりで実戦経験もほとんどない少年兵達が配備され、結果としてザクと他のMSでパイロットの質に大きな格差ができてしまったというのが実情。
なお新兵や学徒動員兵の中でもパイロット適性の高い者は古参兵との連携を期待して、ドムやゲルググではなくザクを与えられていた*7。
それによってザクの練度は上がったが、他の機体の練度は落ちてしまった。
ザクの活躍とはゲルググ、ドムの不振と表裏一体だったのである。
●各種型式
TVアニメ時代はザクはすべて「ザク」であり、ドム/リックドムの様な見た目の違いも存在しない。
「~型」の設定は書籍「ガンダムセンチュリー」で名付けられたもの。
現在の解像度の高いアニメ作品では、違いが描き込まれている事もある。
以下は直系の機体のみ掲載。
- A型(MS-06A)
最初期の量産機。
ザクⅠからの過渡期のため、肩のシールドとスパイクが無い。
バズーカの弾が先込め式等、後々のMSの装備から考えると特異な面が多い。
すぐに下記のC型に移行したため大した数は生産されず、もっぱら実習訓練に用いられた。
その後は戦況の悪化によって数少ない機体も殆どがC型やF型にレトロフィットされて前線に送り出されたため、実機は現存していないものと思われていたが、戦後に教導機動隊で教習に用いられていた機体が現存していたのが確認され、静態保存されている。
教導隊で用いられていた機体には卒業生がコクピットのシートに自分達のサインを書くという慣習があり、発見後にA型であるかどうか確認するためにサインが書かれていた人物に連絡を取った所ほとんどが消息不明になっていたという悲しい話がある。
- C型(MS-06C)
初期量産機。
キシリアの進言で対MS戦を意識しシールドやスパイクが取り付けられ、ヒートホークが装備された。
そして本機種最大の目玉は核弾頭を通常兵器として搭載していた点。核攻撃用の機体は肩を赤く塗られていた。
外見的には普通のザクだが、自分の撃った核バズーカの放射能で自滅しないよう、対放射能装備を持つためデブ気味。
大戦初期の一週間戦争等に参戦したジオン軍で名を馳せたエースパイロットの多くは、本機を使用して多大な戦果を挙げた。
最も著名なのはレビル将軍を捕虜にした黒い三連星(ガイア、オルテガ、マッシュ)。
一年戦争のザクシリーズで最も敵を撃破した機体であると共に、
軍人・民間人問わず最も多くの人間を虐殺し、最も多くのコロニーを破壊し、コロニーを落として地球そのものに破滅的損害を与えた血の機体。
またコロニー落としの時は重機としても使われたのだが、稼働時間延長のために冷却タンクや燃料タンクを更に背負ったところ、
ただでさえ鈍重なのが更に動きにくくなり、連邦艦隊の砲撃でかなりの機体が宇宙の藻屑になってしまったらしい。
一週間戦争で「旧式の連邦艦隊を圧倒した」割に、ジオン側の開戦前からのベテランパイロットが多く戦死してしまったのはこれが原因。
ガンダムセンチュリーにおいて設定され、ギレンの野望などのゲームに初期型ザクIIとして登場するのはこのC型。
存在のデカさと活躍の華々しさの割にガンダム本編にほとんど出てこない事もあって扱いに恵まれていなかった。
分かりやすく言うと、『機動戦士ガンダム』第1話のコロニー落としのシーンで写ってるザクがこれである。
『THE ORIGIN』のルウム編およびアニメ版への出演にともない、念願の商品化が多数なされた。
- F型(MS-06F)
中期量産型。
本編で出てきた機体は大体こいつ。
単に「ザク」と言えば大体この型。
耐放射能装備を排除したからか、C型から30t以上の軽量化に成功しており、C型の問題点だった運動性が向上している。
また、その気になれば地上(コロニー内部)でも問題なく使用できる。
著名なパイロットは白狼ことシン・マツナガ中尉、真紅の稲妻ジョニー・ライデン大尉、そしてガンダムにアムロを乗せる元凶となったジーン伍長など。
『機動戦士ガンダムΖΖ』の時代では、宇宙内で漂っていたこの機体をジュドー達が偶然見つけ、
頭部を急遽Ζガンダム本体に取り付けて応急処置を施した(名付けて「Ζザク」)。
ネオ・ジオン側でも、コックピットを360°リニアシートと全天周モニターに改修して使用されていたが、とても戦闘には使えず、もっぱら哨戒用がいい所であった。
こんなもので当時の連邦側最強機体であるΖΖガンダムに戦いを命じられた兵士たちの面持ちは推して知るべしである。
『機動戦士ガンダムUC』では、インダストリアル7内にコックピットに穴の空いたこの機体が静態保存されているのが確認される。
『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』ではズム戦争特別博物館に動態保存されていた*8機体がフォント・ボーに持ち出され、"蛇の足"に合流。
小型モビルスーツ全盛の時代における前世代の巨体である事からか"グランパ(爺ちゃん)"の愛称で呼ばれる。
クロスボーンガンダムどころではない旧式機なので流石に戦力としては数えられていないものの、パイロットの強運とハッタリにより戦闘を切り抜けている。
最終的にファントムの偽装用外装として用いられ、その超硬スチールの分厚い装甲が世界を救う事になった。
- FS型(MS-06FS)
指揮官用に開発されたF型のカスタム機。頭部に40mmバルカン砲を搭載。
マルチ・ブレード・アンテナを標準装備しているが、S型と違いアンテナとして機能しない只の飾りである機体が多かった。
主に小隊長から中隊長クラスに配備された。
地球方面軍司令ガルマ・ザビ大佐の茶色の機体が有名。
- J型(MS-06J)
F型から宇宙戦用装備を排除したタイプ。
陸戦型ザクⅡとも言われているが、陸戦型ガンダムや陸戦型ジムとは異なり外見にそんなに宇宙用と差があるわけではない。
区別がつきにくいが、地上に居るザクは大体こいつらという認識で問題ない。
マゼラ・トップ砲やミサイルポッドも使う。また対人用兵器Sマインも装備。
グフとは違う。
宇宙用の装備がないため、宇宙では[[溺れる>機動戦士ガンダム MS IGLOO]]。その場合ボールのエサ。かつての設定では短時間程度なら宇宙でも使えるはずだったのだが……
マイナーチェンジタイプに東部方面用のJC型(MS-06JC)がある。
著名なパイロットは北米キャリフォルニアベース所属キリー・ギャレット少佐。
『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場したトップ小隊は黄色に塗装したJ型を使用していた。
- JC型(MS-06JC)
J型またはC型を高温多湿の東南アジア戦線向けに現地改修したモデル。
『第08MS小隊』に登場。
湿度の高い地域では気密性が高いと逆に故障が多かったので主にコックピット周りを改修し、
胸部の前面装甲が開閉式となって昇降用のホイストとクレーンが追加されて運用性が高められた。
一部の機体はショルダーシールドにもスパイクを追加している。
主なパイロットはノリス・パッカード大佐。
作品展開初期は単にJ型という設定だったが、途中からJC型に設定が改められた。
- F2型(MS-06F-2)
後期生産型。『0083』に登場。
統合整備計画に沿って開発された第二期生産型。
対MS戦を目的とした改良が施され、優秀な性能となっている。
カタログスペック上はグフとほぼ互角。
戦後はデラーズ・フリートや接収した連邦軍によって運用され、主にソロモン、及びアフリカ方面軍に配備された。
クリーム色の連邦仕様や緑のデラーズ軍仕様、茶色のキンバライト基地所属機など、カラーリングの豊富な機体でもある。
またキンバライド基地所属機にはアップリケアーマーを頭部に施した機体や
バックパック両脇に補助推進ブースターのラケーテン・ガルデン(見た目は小型ロケットに近い)を追加した機体、
パーツの共食いで上半身と下半身の色が異なる機体が存在した。
ノイエン・ビッター専用機はバックパックを中心に改修が施されている。
- FZ型(MS-06FZ)
最終量産型。
詳しくはザクⅡ改を参照。
- S型(MS-06S)
中隊長クラスや熟練パイロットに配備されたカスタム機。俗に「指揮官用」と呼ばれる。
通常のザクよりも、機体の軽量化やリミッター解除等を施して推力が30%アップしたじゃじゃ馬で、ベテラン以外には乗りこなせなかった。
マルチ・ブレード・アンテナ(こちらはほとんどの機体が機能していた)を標準装備している事から「角付き」とも呼ばれる。
後のR型に連なる機体であり、本機に搭乗したエースパイロットの多くが後にR型に乗り換えた。
有名な使用者は赤い彗星シャア・アズナブル少佐。
その他にも黒い三連星、“真紅の稲妻”ジョニー・ライデン、ロバート・ギリアム、ギャビー・ハザード、ダグ・シュナイドなど。
エースパイロットを中心に与えられた為にシャアザクのような専用カラーの機体が多く、むしろノーマルカラーが見当たらない。
ちなみにシャア専用機は通常1本のスティックを2本用いて自在に操るという独特のセッティングがされており、他のパイロットではエースであっても扱えないらしい。
●派生/発展機
直系以外にも多数の派生機を持つ。
詳しくはザクⅡの派生機一覧を参照。
後継機としては
などが挙げられる。
- ボルジャーノン
∀ガンダムに登場。ルジャーノ・ミリシャが発掘・使用する。
外見はザクによく似ているが、ホバー機能がある事などからおそらく再生産された機体と思われる。下半身はツィマッド社製だったりして。
黒歴史の映像を見たルジャーノ兵の『ギャバン隊長!ボルジャーノンはいつの時代も大活躍ですぜ!』は、言い替えればいつの時代もザクは大活躍ということに他ならない。
まさに黒歴史すらも超えた名機中の名機といえる。
●装備
汎用性の高さから多彩な携行火器、オプション武装が開発されている。
- 120mmマシンガン(ザク・マシンガン)
型式番号:M-120A1
ザクの武装でも最もポピュラーな武器。
ザクⅡが用いたのは主にM-120A1というタイプだが、MS黎明期の武装なので色々と問題も多く、様々なバリエーションが開発・運用された。
詳しくは項目を参照。
- ヒートホーク
型式番号:HEAT HAWK Type5
近接戦用の実体斧。
ザクに限らずマニピュレーターの規格が合えばグフなどでも使用出来る。
一見するとMSサイズの片手斧だが、セラミック系分子化合物で構成されたブレードを赤熱・プラズマ化して対象物を溶断する。
しかし、赤熱化はそう何度も行う事は出来ず、おおよそ4〜5回もすれば壊れるので基本的には使い捨てとなる。
その為、継戦重視で赤熱化しないで使われるケースもあった。
本来は宇宙戦艦の装甲や建造物を破壊する為の物だが、赤熱化時にプラズマ化した副次効果で磁場を纏うので、ビームサーベルの形成に用いられるIフィールドと反発し合う効果があった事からビームサーベルとの鍔迫り合いが可能となっており、MSとの接近戦でも多用された。
ザクⅡが使用するのは主にType5という型の物だが、このタイプは切断力ではビームサーベルに及ばず、劇中描写ではガンダムのシールドを破壊することが出来ても本体はなかなか破壊出来なかった。
また、ビームサーベルに比べれば実体であるが故に切断方向やリーチにも問題があった。
この点を改善したものがドムのヒートサーベルやザクⅡ改のヒートホーク等の新型武器であり、ルナ・チタニウム(ガンダリウム合金)を一瞬で切断可能なまでに改良されている。
- 280mmバズーカ(ザク・バズーカ)
型式番号:H&L-SB25K/280mmA-P
対艦戦闘用に開発された大口径無反動砲。
口径に関しては240mmという説もある。
装弾数は単発または5、6発。
対艦兵器なだけあって大火力を誇り、ザクの火器ではヒートホークと並んでガンダムにも有効だが、弾速の遅さからMSに直撃させるのは難しい。
元々は核弾頭を運用する為の物で、一年戦争開戦初期は時限信管の核弾頭を撃ちまくり、連邦側のコロニーや艦隊を血祭りに上げた。*9
が、流石に殺り過ぎたので南極条約で核兵器の使用を禁じられると通常弾頭を運用するようになった。
よく知られているのはマガジンの無いB1型で、バリエーションとしてバナナマガジン採用のB2型やB2型をショートバレル化したC1型、2、3個を一纏めにした連結バズーカなども運用された。
右肩に固定された複合装甲の盾。
固定配置且つ装備箇所の都合で防御しながら火器を撃てない問題を抱えるが、防御力はそれなりに高く、ザクはおろかリック・ドムの装甲をも貫通するガンダムの60mmバルカン砲を弾くだけの堅牢さを誇る。
ラッチを増設してウェポンラックにしたり、外したシールド裏にグリップを取り付けて手持ち式に改造、スパイクを付けてスパイクシールドとして運用したりと利用法は多岐に渡る。
その頑丈さを買われてか、とあるガンダムの胸部装甲の部材に加工されたことも。
- ショルダースパイク
左肩のトゲトゲは格闘戦でのショルダータックルを想定した物。
ザクⅠを開発した時点でMSへの対抗兵器の開発が現れることを予見したキシリア・ザビの提言でC型以降に標準装備された。
また、ドズル専用機のように右肩もスパイクアーマーに換装した例も散見されている。
- 3連装ミサイルポッド
型式番号:Zi-Me/Triple Missile Pod Mk.IV
主にJ型が装備する追加装備。
専用ベルトを介して脚部側面のウェポンラッチに増設するので携帯火器を保持したまま使えることから、地上戦での副武装として重宝された。
脚部にあるので移動しながらの使用は出来ず射角も限られている為、主に大型目標や火力支援に用いられた。
ザク以外でもグフ、イフリートなどが装備可能であるらしい。
- クラッカー
型式番号:MIP-B6
これもJ型が使用する。
MSサイズの手榴弾で、投擲すると6つの突起が子弾として発射され、爆発を広範囲に広げる。
爆薬だけでなく閃光弾タイプも存在している。
一気に爆発するのではなく分裂して爆発する都合で上手く直撃させないと爆風が散って威力が出ないのが難点で、直接的な破壊よりも面制圧など牽制に使用された。
- マゼラ・トップ砲
型式番号:ZIM/M・T-K175C
マゼラアタックの主砲を手持ち式の無反動砲として転用した物。
制式な装備ではなく現地改修品だが、前線では割と知られた装備だった模様。
- Sマイン
J型などの地上用ザクに装備された対人兵器。
機体各部に設けられたマルチランチャーから発射された小型弾頭が空中で炸裂して無数の金属球を雨のように降らせるもので、射程こそ長くないものの、人間や車両のようなソフトスキンを一挙に殲滅することが出来る。
描写されなかったが、食らった人間は相当エグい死体だったことだろう。
ククルス・ドアンのザク専用武器(大嘘)。
実際は脱走兵なので碌な装備の無いドアンザクがその辺の岩を武器代わりに投げただけである。
とはいえ、いざとなればそこらにある物を武器に出来るのはMSの汎用性の高さを示す描写であった。
IGLOOでは連邦軍の車両を投げ飛ばしたこともあった。
- 拳
モビルスーツの格闘技というものを見せてやる。よーく見て覚えておけ!
- ラケーテン・ガルデン(ロケットブースター)
バックパックも左右両側面に増備する重力下用の補助ロケット。
これを使用することで一時的ではあるが跳躍力が飛躍的にアップする。
『0083』でビッター少将のザクがアルビオンの艦橋に肉薄するのに使用した他、『UC』に登場したジオン残党のデザートゲルググが装備していた。
- その他
- ジャイアント・バズ
- mmp80(90mm)マシンガン
- ショットガン
- アサルトライフル
- 各種グレネード(スタン、ヒート、スモーク等)
- シュツルムファウスト
など、ジオン軍製の火器ならビーム兵器以外は概ね使用出来る。
■ガンプラ
ガンダムシリーズを代表する機体とあって、ほぼ全てのブランドで発売されている*10。
また派生機もかなり数が多いため、RGやMGでは特に発売から長い年月を経ってもプレミアムバンダイで専用機が登場する事も珍しくはない。
というか同じザクⅡでも作品毎に異なるデザインで設定されるのが珍しくないため、HGのザクⅡと言ってもサブアームが付いている機体やかなりモールドの多い機体など、母ちゃんで無くとも混乱してしまう様な商品ラインナップを誇る。中川「全部同じじゃないですか!?」
ただガンダムシリーズを象徴する機体とあってか、商品販売されるたびに気合が入っているのは間違いない。HGUCのリファイン版では腰部装甲に軟質素材版を封入し自然な膝立ちを表現できるなど、大胆な設計をするケースもある。
MGのVer.2.0に至っては経産省の推進する新日本様式100選で2007年に受賞しており、高い技術力を持って誕生きたキットだと評価された。それを証明するように、発売から10年以上経つにも関わらず本キットのフレームを流用したザクシリーズは次々と発売され、その系譜は今もなお続いている。
■ゲームでの活躍
・スーパーロボット大戦シリーズ
当然ながらガンダムシリーズの敵MSの中では群を抜いて弱い最弱の機体とされる。(まあ、ドラッツェがいる場合は更に下になるのだが)
大半の作品で1stが登場する場合には0080も一緒に参戦するので、序盤で早々にザク改に切り替わって以降登場せず、というのが多い。
またシャア専用ザクは更に出番が少なく、『F完結編』で登場した時にはただの赤く塗っただけのザク改*11で、しかもシャアが「もういらないから」とすぐさまバーニィに渡してしまった。
おまけに強さは大したことない…と思いきや、本当にザク改の3倍の移動力(12マス)と3倍弱くらいの運動性を持っているというギャグのようなユニットである。
このため、ガンダムF91より運動性が高い。えぇ……?
さすがに火力だけはザク改相当だが、こと囮役としては頼りになる機体と言える。
なお、シャアザクは出番は少ないと言ったが、この後もシャアザクが参戦するスパロボでは結構な割合でシャアザクが入手可能だったりする。
・Gジェネ
MSの基本形だけあって序盤でザクⅡを鹵獲する機会は多く、高機動型ザクⅡやザクⅡF2型、ザクⅡ改などに開発していける。
サイコミュシステム高機動試験機やビショップへつなげれば強力なモビルアーマーへの道も開ける。
趣味でザクのまま使っていきたい場合もマシンガンとバズーカを併せ持つおかげで下手なビームライフル持ちよりは戦いやすい。
・機動戦士ガンダム Extreme vs.
当初はCPU専用機体として登場。
だがEXVSFBの家庭用では、ザクⅡ(ドアン搭乗機)がDLC発売され、そのとんでもないピックアップに多くのユーザーが困惑した。
武装も原作を反映しているのか、メイン射撃&サブ射撃は岩投げ、特殊射撃はコアファイターとかなり貧弱。格闘もヒートホークを持っていないので徒手空拳で殴り掛かる。
しかし本機の強みはEXバースト中の覚醒技にあり、ドアン正拳突きという一応原作再現の爆発付きパンチを繰り出す。
この覚醒技、追従性能がそこそこに強く追従中はSA付き、なまじ単発なのでコンボ締めに使っても火力が伸びやすいという脅威の性能を有している。
そのロックな仕様に多くのイカれたプレイヤーを魅了し、続編のEXVSMBでアーケード参戦した時には、Fドライヴ&EXバーストで突撃する謎のザクが続出した。
EXVS2ではエクストラ機体全削除によりこの機体も消え去った……のだが、再度エクストラ機体として復活。
なんとSA付き突撃コマンドや、コアファイター呼出がガンダム呼出に進化するなどかなりの強化点を貰っている。
ドアンザクがEXVSFBで参戦し、それに遅れる形でEXVSMBにシャア専用ザクⅡが参戦。
標準通りのザクマシンガンやザクバズーカを使うザクらしい武装センスの機体……と思いきや、特殊射撃でズゴックに乗り換えて攻撃する。
瞬間的なもののため攻撃行動が終わればザクⅡに再度変わるのだが、しっかり攻撃中は名称もズゴックになり、撃破されればズゴックが爆散し、勝利すれば勝利画面もズゴックになる。
なまじこの特殊射撃が強く本機の主力武装扱いなため、結構な頻度でズゴックの勝利ポーズを見る人もいたのではないだろうか。
特殊格闘は通常の3倍という技で、隕石を蹴り機動力が増加する強化武装。弾数が2発あり、二度使用すると機動力強化が乗算されるので、通常の9倍と称されている。
この強化中はピンク色のオーラを帯びるようになり、地上に落下するまで効果は継続される。
暫くはこの圧倒的な機動力とズゴックの性能で上手くやってきたのだが、EXVS2XBでサブ射撃もズゴックの武装になり、もはやどっちの機体だか分からなくなってきた。
余談だが、デュバルが登場するとボロカスに言われるのがお約束になっている。
・GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH
おそらく、歴代でも類を見ないほどザクⅡが強い作品。というのも、
- ザク・マシンガンの威力が強力で
更にはガンダムの装甲が動く棺桶レベルに諸いので、軽く一斉射しただけでガンダムがハチの巣になる。 - こちらのバルカンの一斉射にも一回だけなら耐えてしまう。
- ヒートホークが盾で防がれてもガンダムをよろけさせるぐらいはパワーがある。
- 至近距離でエンジンが爆発すればガンダムは助からない。
- 機動力もガンダムと互角、ガンダムタンク形態が相手なら圧勝であっという間にハチの巣。
等々本作品のガンダムのポンコツぶりも手伝って量産型ですら相手するのが命がけの強敵である。アゴい赤い彗星のシャアが乗る赤いS型に至ってはガンダムをサバ折りやパンチで容易く爆散させ、取っ組み合えば一方的に競り勝てるほどの高性能機。
勝率は1%を軽く下回り、全部のQTEを成功させてようやく腕を損傷させて撤退させるのが精いっぱい。
・GUNDAM EVOLUTION
2022年正式稼働予定のFPSゲーム。先行体験で量産型ザクⅡが実装されている。
武装はザク・マシンガンとクラッカーとスモーク・ディスチャージャーの3つ。ザク・マシンガンは精密射撃こそできないが、そこそこの集弾性能とカートリッジ式武装では最多の30発*12装填という強みを持つ。クラッカーは投擲すると時限式で起爆するタイプで、スモーク・ディスチャージャーは使用すると1秒間だけ敵機からの攻撃を一切無効化する。
G_MANEWVERはヒートホーク一閃。単純だが超高速で敵機を斬り抜けるので非常に使い勝手に優れ、ヒットすると相手は短時間スタンするので追撃もしやすい。
ブーストゲージが3ゲージあり、これは先行体験機体中最多の量を誇る。
ユニットスキンにシャア専用カラーが存在し、こちらにするとしっかり頭部に指揮官用アンテナが付く。
「ザクはジオンの誇りだ。その項目を追記・修正しないとは…断じて許さん」
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*2 企画段階では鋼鉄製、よって重量も300t強になる予定だった。『機動戦士ガンダムさん』でザクさんが語ったところによれば「本来ならガンダムだってペチャンコなんです」
*3 ガンダムやジム、ゲルググの様に左手の盾で身を守りながら右手で銃を撃つ事ができない。
*4 一応ガンダムのバルカンに対しては数秒持ちこたえており、装甲の硬さはドム>ザクなのは確かな模様。
*5 「ガンダムセンチュリー」のみ160km/hとなっているが、この資料でのザクはほかの資料と比べて出力が十倍、推力が五倍というオーバースペックなので例外とみられる。
*6 シャア・アズナブルはゲルググを初めて使った時「慣らし運転もしないで使うと……!」と発言している。まぁこれはアムロが駆るガンダムに完敗を喫した際の言い訳でもあるのでゲルググの操作性が悪いとかそういう話ではない。
*7 つまりアムロによってもののついでのようにジオングの盾にされたあの学徒動員とおぼしきパイロットは結構腕が良かった事になる。
*8 終戦記念日の式典で行われるパフォーマンス用の機体でシールドにキマイラ隊の隊章がある。一年戦争当時のオリジナルかは不明。
*9 ただし、この設定は近年では無かったことにされつつある。
*10 唯一の例外と言ってもいいのは、Re/100の様なマニアック機体前提のブランドのみ。それでもザクⅡFZ型は出たが……
*11 が、シャアは「私がロンド・ベルと戦っていた頃に乗っていた機体」と断言している。
*12 シーズン2では28発と下方修正を受けているが、相変わらず総弾数では随一
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