名探偵コナン ゼロの執行人

ページ名:名探偵コナン ゼロの執行人

登録日:2018/04/27 Fri 17:24:49
更新日:2024/04/23 Tue 22:39:20NEW!
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真実を暴く者vs正義を貫く者


魂がぶつかり合う極秘任務シークレットミッションミステリー



監督:立川譲
脚本:櫻井武晴
主題歌:福山雅治『零 -ZERO-』


『名探偵コナン ゼロの執行人』とは、劇場版『名探偵コナン』シリーズの第22作目のタイトルである。
2018年4月13日公開で上映時間は110分。


最終興行収入は86.3億円で、6作連続でシリーズ最高興収を更新した。
更に映像ソフトも初週売上8.7万枚を記録し、10月22日からは期間限定で4D版が上映され、興収も91億円に増加した。


前作までは土曜日が公開日となっていたが、本作から配給会社の方針により金曜日に封切となっている(同日公開の『クレヨンしんちゃん 爆盛!!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』も同様)。
余談だが、公開日は偶然にも「13日の金曜日」となった。



【概要】
警察庁警備局警備企画課・通称「ゼロ」に所属する捜査官・安室透(降谷零)をメインに据えた作品。
また謎の多い捜査一課管理官・黒田兵衛が本作で劇場版に初登場しており、事件の捜査を指揮する裏で不穏な行動をとっている。
本作の監督は『モブサイコ100』『デス・パレード』を手掛けた立川譲が担当。また脚本は『相棒』『科捜研の女』でお馴染み、『絶海の探偵』『業火の向日葵』『純黒の悪夢』でも脚本を手掛けた櫻井武晴が担当している。


東京サミットが開かれる予定だった施設で爆発事件が発生し、多くの公安警察官が死傷するという前代未聞の事件。
その容疑者として小五郎が公安警察に逮捕され、彼の逮捕を巡ってコナンと安室の掲げる正義が激突する。
本作は、警視庁、警察庁、検察庁に存在する3つの「公安に所属する人間の思惑が複雑に絡み合うハードかつシリアスな内容となっており、警察組織や裁判にまつわる難しい専門用語が多く登場している。「冤罪」がテーマの1つでもある。
また3つの公安の関係性や警察組織の仕組み、検察官が容疑者を送検・起訴するまでの流れなども丁寧に描写されているため、今までと比べて刑事ドラマとしての側面が強い作品となっている。


ちなみに最初に仕上がったストーリーは、これ以上にハードかつ重過ぎる内容であったため、青山先生の提案でもう少し軽めのストーリーとなったらしい。
また毒殺ネタも盛り込もうとしていたそうだが、動機が小さいと言う理由で早い段階でカットとなった*1


本作の前日談を描いたプレストーリー『ケーキが溶けた!』は、本作の公開が金曜日となった関係で、公開の約1週間前である2018年4月7日に放送されている。
この事件の真相が、今回の爆発事件のトリックを解く重要なヒントとなっている。


近年はファンの2世代化やリピーターの増加に伴いシリーズの興行収入が一気に上昇傾向にあったが、
本作では安室透の女性ファンを中心としたリピーターが続出し、スピンオフ漫画「ゼロの日常」が掲載された週刊少年サンデーが品薄になるなど、
ファン層の変化もあって例年になかった盛り上がりを見せた。
公開から2週間後、全世界で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が人気となる中、世界中の誰もが予想できなかったであろう異例の事態が起きた。日本の映画ランキングは週末の動員数で順位が決まるのだが、本作の動員数が『インフィニティ・ウォー』を僅かに上回った結果、日本での同作のランキング1位を阻止したのだった。
これは2015・2016年に同時公開された『スター・ウォーズ』と『妖怪ウォッチ』の関係に似ているが、『妖怪ウォッチ』が初週1位を記録した後は、客層の違いもあって『スター・ウォーズ』の方が上回っていったのに対し、本作は公開から1か月に渡り週末の動員数を維持し続け、熱心なリピーターの影響もあってか、ランキング1位は7週連続に及んだ。
MCUは様々な媒体の多くの作品でユニバースが構成される分、シリーズが進むにつれ新規層が入りづらいイメージが強くなっているのに対し、『コナン』はシリーズ未見の新規層でも楽しめる配慮がされているのも対照的である。




※以下ネタバレが含まれますので、未鑑賞の方はご注意ください。




【ストーリー】
4月28日。コナン達は阿笠邸で阿笠が新開発した高性能ドローンの飛行テストを行なっていた。
同じ頃、テレビでは3日後に迫った東京サミットの会場である統合型リゾート施設「エッジ・オブ・オーシャン」の最新情報や、同じ日に火星から地球に帰還する大型無人探査機「はくちょう」の話題を放送していた。
だが「はくちょう」の話題が放送されていた時に、「エッジ・オブ・オーシャンにある国際会議場で大規模な爆発があった」という臨時ニュースが飛び込んでくる。
サミット当日は2万人を超える警察官が都内の警備に当たる予定であり、今日は警視庁公安部による警備の下見が行なわれていたが、この爆発により下見に来ていた警察官が犠牲となってしまう*2
コナンはテロの可能性を疑うが、なぜサミット当日ではなく今日を選んだのかと疑問を抱く。そして灰原はテレビで流れた映像の中に安室の姿を見つけ、それをコナンに教えた。


すぐに警視庁で捜査会議が開かれ、捜査官の報告で爆発の原因は会議場の地下で起きたガス爆発である事や、ガス栓はネットで遠隔操作が可能な最新型である事が判明する。
これらの事から事故だと考えられたが、そこに公安部の風見が現れ、現場の遺留品から犯人のものと思わしき指紋が検出されたと報告する。
その指紋がかつて警視庁に在籍していた小五郎の指紋と一致したと風見が報告すると、彼を良く知る目暮達捜査一課の面々は声をあげて驚いた。


ほどなくして公安部の主導のもとで毛利探偵事務所の家宅捜索が開始され、小五郎のパソコンからサミットの予定表や会議場の見取り図が発見される。
当然小五郎は身に覚えがないと無実を主張するが、風見は任意同行を拒否した小五郎を手を払ったことを理由に公務執行妨害で逮捕しそのまま連行していった。
小五郎が目の前で逮捕されショックで涙ぐむ蘭。そんな蘭の様子を見たコナンは自分の無力さを痛感し、小五郎を追ってすぐに事務所を飛び出す。するとそこで喫茶ポアロから出てきた安室と出会った。
コナンは小五郎の逮捕を指示したのは安室だと考えており、「どうしてこんな事をするんだ!!」と安室を問いただす。
だが安室は僕には、命に代えても守らなくてはならないものがあるからさ…とだけ答え、それ以上は口を開こうとはしなかった。


4月29日、小五郎のパソコンからガス栓へのアクセスログが見つかった事で、小五郎の東京地検への送検が確実となるが、小五郎の弁護を引き受けてくれる弁護士がなかなか見つからなかった。
そんな時、弁護士を探していた英理の前に橘鏡子という女性弁護士が現れる。
鏡子は事務所を持たない“ケー弁”であり、過去に公安事件を多く扱っているが、公安事件の裁判はほとんど勝ち目がないためその全てで敗訴していた。
しかし他に弁護士がいなかったため、英理は鏡子に弁護の依頼をするが、蘭はどこか頼りない鏡子を見て不安そうな表情を浮かべていた。
同じ頃、東京地検では事件の担当となった公安部の検事・日下部誠が小五郎の取調べを行なっていた。
小五郎はここでも否認を続けるが、日下部は小五郎に事件を起こす動機がない事が引っ掛かり、警察からの資料を根拠に、統括検事の岩井沙世子に警視庁公安部に追加捜査を依頼したいと申し出る。
だが沙世子はこれを却下し、日下部にすぐに小五郎を起訴するよう指示。それでも日下部はその指示に逆らい、密かに捜査一課に追加捜査を依頼した。


4月30日、白鳥の話から日下部が警察に事件の追加捜査を依頼したと知ったコナン達は、小五郎の無実を証明する証拠が出てくるのではないかと期待を寄せる。
しかし鏡子は各公安部の公安的配慮で小五郎は必ず起訴されるだろうとシビアな意見を言った。
その際にコナンは、まるで小五郎の起訴を望んでいるかのような鏡子の口ぶりに違和感を覚え、さらなる情報を得るために警視庁の目暮の元を訪ねる。
そこでコナンは安室と風見に遭遇。そこでの安室の不可解な行動から、コナンは彼に対し疑念を抱くようになり、公安の動きを知るため風見の服に発信機を取りつけた。
その後は鏡子が持ち帰った証拠資料から小五郎の無実を証明する証拠を見つけ出そうとするが、そこに裁判所から公判前整理手続きを明日行なうという連絡が入る。
実は沙世子が独断で話を進め、公安警察の指示のままに手続きの日取りを決めてしまったのである。


そして東京サミット開催当日である5月1日。コナン達は手続きのために東京地方裁判所を訪れる。
そのまま公判の日程が決まるが、発信機の反応から裁判所内に風見がいると知ったコナンは、彼の動向を気にしつつ捜査情報を入手するために警視庁へと向かった。
そして警視庁近くの公園で捜査会議を盗聴するが、そこに安室と風見が現れ盗聴の件が安室にばれていた事に気づく。
安室はすぐに姿を消すが、彼が去った後で風見は「安室という男は人殺しだ…と話す。
その後、更なる捜査によりガス栓の遠隔操作に「Nor」というソフトが使用されていた事が判明するが、その直後、都内のいたるところで電化製品が爆発する事件が発生する。
コナンはこの事件を「IoTテロ」と断定し、会議場爆破の真犯人の仕業だと推理する。
だがこれは真犯人の目論むさらなるテロの序曲に過ぎず、テロで混乱する東京に未曾有の災厄が刻一刻と迫っていた……



【事件関係者】


  • 橘鏡子(たちばな きょうこ)

CV:上戸彩
弁護士。29歳。
事務所を持たず携帯電話で仕事を取る「ケー弁」と呼ばれるフリーの弁護士で、これまでに数多くの公安事件を担当している。
しかし起訴された事件における検察側の勝率は99.9%であるため、過去の裁判は全敗している。
弁護士会で英理が弁護士を探していると聞き、妃法律事務所へ出向き小五郎の弁護を引き受けたいと申し出る。
裁判は負けて当然と考えていたため蘭に不信感を持たれるが、他にいい弁護士がいなかった事と英理が口出ししやすいという理由で小五郎の弁護をする事となった。
小五郎の弁護人であるが、時々小五郎の起訴を望んでいるかのような口ぶりとなり、公安の捜査状況を把握しているようなところも見せる。
また地方裁判所にいた際に風見の近くにいたようだが……
かつては個人事務所を構えていたが、事務員の羽場が窃盗事件で逮捕され、送検された後に拘置所で自殺をした事がきっかけで事務所を閉じている。
なお、過去に『ベイ・オブ・ザ・リベンジ』で橘という弁護士が登場しているが、特に関係はない。


鏡子を演じた上戸彩は2006年に名探偵コナン10周年スペシャルサポーターを務め、10週にわたって10周年記念クイズの出題を担当している。その後で『上戸彩と新一 4年前の約束』に本人役でゲスト出演した。


  • 日下部誠(くさかべ まこと)

CV:川島得愛
東京地方検察庁公安部の検事。40歳。
法曹界では名の知れた公安部の敏腕検事で、鏡子とは違い今まで裁判で一度も負けた事がない。
今回の国際会議場爆破事件の担当検事となり、容疑者として送検されてきた小五郎の取調べを行なう。
その取調べで小五郎に動機が存在しない事が気になり、第三者が彼に罪を着せようとしている可能性を考慮して沙世子に追加捜査の進言をするが、これは公安部の判断だと沙世子に却下された。
それでも秘密裏に捜査一課に追加捜査の依頼をするが、沙世子が彼に無断で話を進め、小五郎の起訴を決定してしまう。


  • 岩井沙世子(いわい さよこ)

CV:冨永みーな
東京地方検察庁公安部の統括検事。40歳。
日下部は同期であり、去年までは主任検事だったが、羽場の窃盗事件を担当した後で統括検事に出世する。
公安警察の言いなりであり、日下部からの進言をことごとく却下して小五郎の起訴を急がせる。
その度に日下部と衝突していたが、IoTテロによって胸元でスマホが発火し服や髪を焼いてしまう。
幸い軽い火傷で済んだものの、大事を取って病院に担ぎ込まれた。


  • 羽場二三一(はば ふみかず)

CV:博多大吉
元司法修習生。故人。
かつて裁判官を目指していたが不採用となり、そのことに納得できず、終了式の際に司法修習長に直談判するという騒ぎを起こす。
その行動が自己満足的な正義感による暴挙と見なされ、裁判官はおろか弁護士への道もなくなってしまう。
その後は鏡子の事務所で事務員として働くようになるが、ゲーム会社へ侵入し携帯ゲーム機を盗もうとして逮捕される。
だがその取調べをなぜか公安警察が担当しており、取調べの後で5月1日に拘置所で自殺を遂げている。


羽場を演じたのは大吉先生こと博多大吉であり、『から紅の恋歌』にゲスト出演した宮川大輔に続いて2年連続の吉本所属芸人からのゲスト出演となった。
余談ではあるが、本作でゲスト出演した上戸彩と博多大吉はM-1グランプリで共演(司会者と審査員)をしており、大吉は本作の前年まで審査員を担当していた。



【レギュラー陣】


ご存知主人公。
爆破テロの犯人として連行された小五郎の無実を証明するべく、独自に捜査を行う。
今回は小五郎の命運がかかっていたため、普段とは違い捜査中に感情的になる場面が多くあった。
事件を追っているうちに安室と対立するようになり、今回の安室さんは敵かもしれないと嫌な予感がよぎる。


黒の組織の一員「バーボン」にして、警察庁警備局警備企画課所属の捜査官「降谷零」。今回のもう1人の主人公。
公安警察としてサミット会場を下見していた際に爆発に巻き込まれ、右頬などにケガを負った。
爆発が事故として処理されることを阻止するため、風見に指示を出して小五郎を犯人に仕立て上げて事件化し、彼が容疑者として捕まっている間に真犯人を挙げようとする。
だがその強引なやり方*3でコナンから反感を買い、彼と対立するようになる。
風見に指示をしてコナンのスマホに遠隔操作アプリを仕込み、コナンの動向を監視。そしてコナンが風見に逆に発信機を仕込んだ事も見抜き、風見に「これでよく公安が務まるな」と冷酷な表情を見せていた。
捜査会議を盗聴しているコナンの前に現れた際には毛利小五郎のことになると君は一生懸命だね。それとも蘭姉ちゃんのためかな?と不敵に笑うが、果たして今回の彼はコナンの敵なのか?それとも……?


ご存知蘭姉ちゃん。
小五郎に爆破テロの容疑がかかった当初は「何かの間違い」だと思っていたが、パソコンから物的証拠が出ると、このままでは小五郎が逮捕されると思い泣きながら新一(コナン)に助けを求める電話をかけた。
後にコナンから新一が必死になって今回の事件を追っていると知ると、「新一、頑張ってくれてるんだね」と嬉しそうな表情を見せていた。


ご存知迷探偵。
爆発現場の遺留品から彼の指紋が検出された事から、公安警察に犯人だと断定される。
現場に行った事がなかったので容疑を否定するものの、自分のパソコンからなぜか次々と不利な証拠が発見され、公務執行妨害を理由に強制連行されてしまう。*4
ちなみに今回でパソコン音痴である事が発覚するが、それを主張しても風見は全く聞き入れなかった。
後に拘留中にIoTテロが発生した事で、裁判に勝てる見込みが見えてくるが……


ご存知哀ちゃん。
テレビで流れた爆発の瞬間の映像の中に安室がいたのを見つけ、コナンにそれを教える。
小五郎が爆破テロの容疑で捕まると出来る限りの協力を行ない、引火原因となった物体がIoT圧力ポットである事を突き止めた。


ご存知天才発明家。
今回は色々な法律に触れそうな高性能のドローンを開発。
それを探偵団に何度かテスト飛行させ、色々と改良を加えていった。
手がかりがないと灰原に当たり散らすコナンを窘める場面も。


ご存知少年探偵団。またの名を「ドローン飛ばし隊」
子供ならではの順応力で、ドローンの操縦がメキメキと上達する。
終盤ではその腕前で、知らないうちに事件解決に貢献する事に。


ご存知蘭の親友。
小五郎が逮捕されそうと言う蘭からの連絡を受け、急いで毛利探偵事務所に駆けつける。
テロ事件の容疑をかけられた小五郎の無実を信じ、動揺して涙ぐむ蘭を支えるが、こんな大事な時に現れない新一に憤りを感じ「こんなときになんであの男は来ないのよ…」と悔しそうに呟いた。


ご存知法曹界のクイーン。
小五郎の無実は信じていたが、身内の弁護は不利になる恐れがあったため別の弁護士を探す事に。
その際に鏡子が現れたので、彼女なら口出ししやすそうという理由で彼女に弁護の依頼をした。


ご存知警部殿。
現場から小五郎の指紋が発見されたと知ると「そんなまさか…」と目を丸くする。
小五郎の潔白を信じていたため、風見の調査結果の報告に何度も異を唱えるが、反論できる材料がなかったので大人しく公安部の方針に従うしかなかった。


ご存知御曹司警部。
妃法律事務所を何度か訪れ、検察庁の方針や日下部からの追加捜査の要請の事などをコナン達に教える。


ご存知一課のマドンナ。
捜査会議にて、爆発事件の当日にエッジ・オブ・オーシャンのネット環境が整う予定だった事や、今回の件でサミットの会場が変更になった事などを報告する。


ご存知高木君。
公安部による毛利探偵事務所の家宅捜索に加わり、コナンに捜査状況や公安部の動向を教える。


ご存知千葉君。
都内各地で家電が爆発する事件が発生した際に、その事を急いで大会議室にいた捜査官達に伝えた。


捜査一課管理官。
小五郎が容疑者として浮上した際には驚いた様子を見せていたものの、その後は淡々と捜査員に指示を出して小五郎を起訴する証拠を固めようとする。
その後はある人物と連絡をとるが……


  • 小田切敏郎

警視庁刑事部部長。
捜査会議の場面で姿が確認できるが、今回は台詞はなし。


『純黒の悪夢』に登場した警視庁公安部の警部補。
サミット会場の下見をしていた際に爆発事件に巻き込まれ、その爆発で多くの仲間が犠牲となり自身もケガを追う。
それでも休む事なく捜査会議に出席し、犯行現場で見つかった指紋から小五郎が犯人だと断定し、任意同行を拒否した小五郎が手を払ったことを理由に公務執行妨害で強制連行する。
安室の命令に従い行動しているが、過去に安室が取調べで羽場を自殺に追い込んだ事があるため彼の事を人殺し同然のように思い畏怖を抱いている。
今回の事件でコナンをただの子供ではないと見抜き、羽場の自殺を話した際には「なぜか君にはこんな話ができてしまう」と不思議な感覚を覚える。
そして日本橋の上で安室が「自分以上に怖い男が2人いると語った時にはついコナンの事を思い浮かべていた。


喫茶ポアロのウエイトレス。
常連の女子高生に安室に言い寄っていると勘違いされSNSが大炎上した事があり、それ以来人目を気にするようになる。
その事を安室に言っていた時に「今の時代どこで誰が聞き耳を立てているか分からない」と彼の耳が痛くなるような事を言っていた。


英理の秘書。
休暇中であったが英理が一大事だと聞き、急いで戻って英理をサポートする。
新一(コナン)から頼み事をされており、彼の頼みで鏡子と昨年発生した窃盗事件の調査を行なっていた。



【用語】


  • エッジ・オブ・オーシャン

東京湾の埋立地に建設された統合型リゾート施設。
シンボルであるカジノタワーは灯台の役割も果たしている。
二本の橋で繋がっており、周囲には高層マンションが立ち並ぶ。
ここにある国際会議場で東京サミットが行なわれる予定だったが、ガス爆発が発生した事で会場が変更される。
爆発は一般公開前に起きたが、警備の下見に来ていた公安警察官が巻き込まれ多くの死傷者が出た。


  • ドローン

阿笠の新たな発明品。
衛星通信を使用する事で高度1万メートルまでの操作が可能で、30分以上も飛行する事が出来る。
カメラが取り付けられており、コントローラーの液晶モニターで映像を確認する事が出来る。
歩美はこれを使って埼玉のおばさんの家まで荷物を届けていた。
欠点は操作が難しすぎる事。後に3人で協力して操作できるようにコントローラーを3つに分離し、それぞれに液晶画面を取り付けた。


  • 無人探査機「はくちょう」

火星を調査するために打ち上げられた、史上最大の無人探査機。
火星からサンプルを採取した後、日本時間の5月1日に地球に帰還する事になっている。
サンプルを積んだカプセルにはGPSが内臓されており、精密誘導システムによって半径200メートル以内に落下地点が収まるようになっている。
計画では日本近海の太平洋上に落下する予定となっている。
モデルはおそらく無人探査機「はやぶさ」
鳥つながりの命名だが、『機動戦士ガンダム』で白鳥が印象的に使われたことになぞらえたのではという推測もある。


  • NAZU(ナズ)

アメリカにおいて宇宙開発に関する計画を進めている政府機関。
昨年に「NAZU不正アクセス事件」が発生しており、これをきっかけにNorのユーザーを追跡できるシステムを開発する。
今回の爆破テロでNorが使用されていたので、日本警察から追跡システムの使用協力を要請される。
モデルはおそらく「NASA」。


  • Nor(ノーア)

IPアドレスを暗号化し、複数のパソコンを経由する事で辿れなくするブラウザソフト。
匿名性が強いシステムだが、ブラウザに構成ミスやバグがあればユーザーを特定できる可能性はある。
モデルはおそらく「Tor(トーア)」。


  • IoT

「Internet of Things」の略で、インターネットに繋がっている物を遠いところから操作できるしくみの事。
最近では電化製品にも多く組み込まれている。
ガス爆発の引火の原因となったのはIoT圧力ポットで、スマホに専用アプリをインストールして圧力、温度、時間などを設定すると様々な料理を調理できる電化製品だった。



以下、事件の真相。さらなるネタバレにご注意ください

























羽場を自殺に追い込んだのは…


いや、殺したのは公安警察だ!!



  • 日下部誠

今回のテロ事件の真犯人。
去年窃盗事件を起こして警察に捕まり、その後拘置所で自殺を遂げた羽場は、公安に協力する民間人・通称協力者の1人であった。
羽場の事を知ったのは、終了式でわめきながら排除されていく羽場を見た時。その時の姿が自分と重なって見えた事で、裁判官への道が絶たれた羽場を「協力者」にし、彼の協力を得て様々な公判で勝訴する。
公安の「協力者」は違法で危険な捜査を余儀なくされる事もあるが、そのような関係であるからこそ両者の関係は肉親よりも強くなっていき、いつしか使命感で繋がった一心同体の関係となっていた。


そんな日々が2年間ほど続いたある日、「NAZU不正アクセス事件」の捜査のために羽場に頼んで被疑者の出入りしていたゲーム会社を調べさせるが、そこに事件を追っていた公安警察が現れる。
公安警察の「協力者」は、通常はすべてゼロに報告され番号で管理されるのだが、公安刑事同士は互いの「協力者」を知らない事がほとんどであり、公安検事に「協力者」がいるというのは前例のない事であった。
そのため、羽場は事情を知らない公安警察にゲーム会社に忍び込んだ窃盗犯として逮捕される事となった。


羽場が逮捕されてすぐに拘置所へ行き、「なぜ私の「協力者」だと言わなかった?」と彼を問いただす。
すると羽場は「私のミスであなたから公安検事の身分を奪うわけにはいかない。身分を奪われるつらさを私は誰よりも知っている」と答え、「自分の人生より、多くの日本人の人生のほうがずっと大切だ」と続ける。
その凛とした羽場の眼差しを前に、彼の意志は揺らがないと悟った日下部は、この窃盗事件を担当する沙世子に全てを話し起訴を思いとどまらせようとする。
だが沙世子は「それでも羽場を起訴する」と言ってきかず、「彼の口からあなたの名前が出ないよううまくやってみせる」と笑みを浮かべて去っていった。


後日、公安警察へ直談判しようと警視庁へ向かうが、正門に着いた途端、沙世子からの電話で「羽場が公安警察の取り調べを受けた後で拘置所で自殺した」と知る。


「羽場を自殺に追いやったのは公安警察…」「公安警察の力が強い限り、公安検事は自らの正義を全うできない…」


羽場の死を知った瞬間その場でうずくまって絶叫し、それと同時に自分の「協力者」だった羽場を自殺に追い込んだ公安警察に憎悪が芽生える。
そして公安警察への復讐心を肝に銘じるためにスマホロックの解除番号を「88231(羽場二三一)」とし、羽場の命日を選んで公安警察を狙った大規模なテロを決行した。


去年担当した「NAZU不正アクセス事件」の公判資料を参考にNorを使って不正アクセスを行ない、まずは公安警察しかいない時を狙って国際会議場を爆破する。
そして羽場の命日である5月1日は丁度「はくちょう」が地球に帰還する日であったため、同様の手口でNAZUに不正アクセスを行ない、「はくちょう」のカプセルを警視庁に落とし、公安警察の威信を完全に失墜させようとした。
だが「はくちょう」を落とす前に、無実の小五郎が公安警察に逮捕されるという想定外の出来事が発生。*5
小五郎をこのまま起訴するわけにはいかなかったので、彼が犯人ではないと証明するためにIoTテロを実行。またNAZUで既に犯人を追跡するシステムが完成しているという新たな誤算が生じたため、バグを作ったNorでアクセスし、ダミーを警察に見つけてもらうために沙世子のスマホを発火させた。
しかし、公判前整理手続きの際に、犯人しか知りえない本当の発火物(IoT圧力ポットの破片)を証拠申請してしまい、それに気づいたコナンに犯人だと見破られる。
東京地検から避難中にコナンと安室と遭遇し、全て彼らにばれていると知るとその場から逃走するが、逃亡の末に安室に取り押さえられ、自分が犯人だと自供した。


民間人を巻き込むつもりはなかったので、公安警察しかいないタイミングで爆破を行ない、死亡者が出にくいIoTテロという方法を取る。
警視庁にカプセルを落とす前に辺りを停電にしてIoTテロを起こしたのも、中にいる民間人を速やかに避難させるためであった。
それでも誰かが犠牲になる可能性は十分あったが、その事をコナンに指摘されると「正義のためには多少の犠牲は仕方が無い」と返す。
するとコナンにそんなの正義じゃない!と自分の信じていた正義を真っ向から否定され、その場で膝をついて今回の犯行の動機を語った。


その後はコナン達に不正アクセスをして変更したコードを言うよう迫られるが「取調べでは一切を黙秘する」と黙秘を続ける。
しかしその後、コナン達に見せられたライブ映像で、死んだと思っていた羽場が生きていると知り、彼が今警視庁の屋上にいると知って激しく取り乱す。
羽場に説得されても「これが公安警察のやり方か!!」と声を荒げるが、警視庁にいる羽場を救うため、変更したコードを「HABA_231」だとコナン達に伝えた。
そのコードで「はくちょう」の軌道は修正されるが、丁度「はくちょう」がブラックアウトした瞬間であったため、確実に修正されているかは分からず、カプセルのパラシュートが開かない可能性もあった。
それを知ると、羽場をすぐに避難させるように訴えながら、急いで彼がいる警視庁の屋上へ向かう。
だがそこには誰もおらず、コナン達に見せられた映像は合成映像で羽場は安全な場所にいると知るとホッと胸を撫で下ろす。
そしてコナンと公安の手によってカプセルのパラシュートが開くと、「私達は今でも一心同体です」と語りかけてくる羽場に優しく微笑んで公安警察に連行されていった。
誤解とはいえ、羽場が自殺した悲しみや公安警察への復讐心には同情できなくはないが、それで大規模なサイバーテロを起こし、結果的に無関係な人間を大勢巻き込んでしまったことは決して許されることではない。


余談として、主役のコナンや安室が目立っていたため、視聴者の多くはあまり気にしていないと思うが…


  • 東京中にあるIoT家電を暴走・爆発・炎上させるサイバーテロを実行。
  • セキュリティが厳重な人工衛星を不正アクセスして乗っ取る。
  • 作中で見る限り、これらをほとんどスマホ一つで行っている。

以上の大規模なサイバーテロをたった1人で、(検事としての通常業務もこなしながら)実行するという、阿笠をも凌駕するハイスペックな犯人である。
本当に検事なんだろうか?




それが私の信じた、あなたの正義なんですか?


  • 羽場二三一

実は公安警察から取り調べを受けた後で、「違法捜査に自らけじめを付ける事のできない公安検事が「協力者」を使っていた」という事実を危険視した公安警察の手により、自殺をした事にして日下部との縁を切りこれまでの人生を放棄するように迫られ、苦渋の決断の末に新たな人生を歩んでいた。
日下部と過ごしたのはたった2年間であったが、今でも人生のどん底から救ってくれた日下部には恩を感じていた。
公安警察から今回の事件の犯人が日下部だと知り、彼にこれ以上罪を重ねさせないために説得を試みようとする。
だが「はくちょう」の落下地点である警視庁は危険であったため、阿笠邸でブルーバックの上に立ち、その映像と警視庁の屋上の映像を合成して1つの映像のように見せていた。
日下部に語りかけても彼はコードを言おうとはしなかったが、羽場のそれが私の信じたあなたの正義なんですか?という言葉で日下部はようやく自分の貫こうとしていた正義が間違いであった事に気づき、コードをコナン達に伝える。
そしてカプセルが警視庁に落ちる心配がなくなった後で「私達は今でも一心同体です」と日下部に語りかけた。



あんたの「協力者」になったのも私の判断!


あんたを裏切ったのも私の判断!


彼を愛したのも私の判断!


私の人生全てをあんた達が操っていたなんて思わないで!!


  • 橘鏡子

実は彼女も公安警察の「協力者」の1人であり、風見から小五郎の弁護を引き受けて無罪にするよう命じられていた。
公安警察は、司法修習生を罷免された羽場を要注意人物としてマークし、鏡子に彼を雇って行動を報告するよう命じていた。
だが羽場と働くうちに、いつしか鏡子は彼に惹かれるようになっていった。
羽場のほうも鏡子に惹かれていたようだが、「NAZU不正アクセス事件」がきっかけで彼女達の関係が突然終わる事となる。
公安から容疑者を有罪にするよう命じられ調査を進めていたが、その矢先に容疑者が出入りするゲーム会社で羽場が逮捕される。
羽場を助けるために必死に公安警察に頼むが、それも叶わず羽場は自殺し、それ以来公安警察を恨むようになった。
ほどなくして事務所を畳み、公安警察に復讐する機会を狙っていたが、そんな時に風見から小五郎を無罪にするよう命じられる。
公安警察の意図は分からなかったが、彼らが無罪を望んでいるのなら逆に有罪にしようと考えたので、度々小五郎の起訴を望むような口ぶりになっていた。
真実を知って公安警察の手で羽場が生きていると分かると、自分が小五郎を有罪にしようとしたせいで被害が拡大した事を深く後悔する。
その後、安室達公安を睨みながら「二三一は何番で呼んでいたの!?」と問いただすが、その途端安室から「あなたを「協力者」から解放する」と告げられる。
そして風見に「羽場はここにいる」と住所が書かれたメモを差し出されるが、「思い上がるな!」と叫んで風見の手を払いのけ、これまでの公安に振り回された人生を激しく否定し、「さよなら」と吐き捨てて泣きながら去っていった。


  • 岩井沙世子

日下部から羽場の起こした窃盗事件の真相を聞いていたが、彼女にとって公安警察の方針は絶対だったため、そのまま彼を起訴して公判に臨もうとする。
その後はこの事件がきっかけで統括検事に出世するが、今でも公安警察の言いなりであったため日下部に黙って起訴を進めたり方針をコロコロと変えたりしていた。
小五郎の不起訴を日下部に告げた直後にスマホが発火して火傷を負うが、もしかしたら日下部が彼女を狙ってIoTテロを起こしたのは、前述の本来の目的以外にも、信念を持たず自分の立身出世のためだけに行動している彼女の検事としてのあり方が許せなかった事もあるのかもしれない。


  • 風見裕也

安室の指示で鏡子を妃法律事務所へ送り込み、彼女を使って小五郎を無罪にしようとしていた。
日本橋で安室に会い、テロの事件化に成功したと言われると、安室の指示で「協力者」の鏡子とスケープゴートの小五郎を解放するために行動を開始する。
この際に羽場が生きている事を知ったため、安室の思惑を知って「降谷さんが怖いです…」とつい漏らしていた。
コナンと安室の活躍でカプセルの軌道が逸れると、鏡子の前に現れて羽場が現在いる阿笠邸の住所を教えようとするが、その際に鏡子に手を振り払われてしまう。
その後、「どんなに憎まれようと最後まで彼女を守れ」と安室から命令を受け、立ち去った鏡子を守るため彼女の後を追った。


  • 安室透

IoTテロが起きた後で日本橋で風見と密会し、自分達がした違法捜査に蹴りをつけるべく風見に「協力者」を解放するよう指示する。
そしてこの後でゼロが掴んだ情報をサイバー犯罪対策課に流し、捜査会議で刑事部に報告させる手筈である事を風見に話した。
これは刑事部のおかげで爆破テロが事件化出来た事への“ご褒美”との事で、この情報がゼロからだという事は「裏の理事官」には既に伝えているようだが、彼の言う「裏の理事官」とは一体……?


その後は都内でコナンを見つけ、再び起きたIoTテロで混乱する街中をRX-7で激走して日下部のいる東京地検へと急ぐ。
その途中で一計を案じ、阿笠に協力を仰いで羽場の合成映像を作成してもらった。
到着後はコナンと協力して日下部を拘束し彼からコードを聞き出すが、聞き出すのが遅かった事で「はくちょう」が確実に軌道を修正するかどうか分からなくなってしまう。
そこでコナンから「太平洋まで軌道を修正できるほどの爆薬がほしい」と頼まれたので、風見に指示して公安が押収した廃棄間近のプラスチック爆弾を用意する。
それを阿笠のドローンで運び、カプセルと衝突するタイミングを狙って爆破。この爆破によってカプセルのパラシュートが開き、警視庁への落下は何とか阻止された。
落下を阻止した後、国際会議場の点検中にテロの可能性を考えて公安鑑識に指示を出していた時に爆発に巻き込まれた事や、爆発を事故として処理されないために小五郎を犯人に仕立て上げた事、そして出来るだけ早く公安警察の言いなりになる公安検察に小五郎を移し事故の線を潰した後で小五郎を解放する手筈だった事をコナンに教える。
その際にコナンに「まだ解けていない事がある」と言われ、ある事を尋ねられそうになるが……


  • 黒田兵衛

IoTテロの発生後に、今回の事件で小五郎のパソコンが不正アクセスの中継点に使われていた事が発覚。
すぐに犯人の使ったサーバーの特定を急がせるが、その後で警視庁を中心に停電が発生する。
そして「はくちょう」のカプセルの落下予測地点が警視庁だと判明すると、冷静な判断力で警視庁を中心とした半径200メートル以内にいる民間人をすぐに退避させるように命じた。
その後は災害対策本部へ出向くが、コナン達が爆弾を積んだドローンを操縦していた頃に会議室を出て行き、ある人物と連絡をとる。
その人物にカプセルが高度3万メートルを通過した事を伝え、最後に「ぬかるなよ、……」とだけ言って電話を切った。
最後に何と言ったかは不明であるが、口の動きからすると「バーボン」もしくは「安室」と言っていた可能性が高い。
もし電話の相手が安室だとすると、「裏の理事官」は黒田の可能性が高くなるが……
口の動きの真相は後の原作の話で明らかになる。


  • 毛利小五郎

拘留中にIoTテロが発生し、自分のパソコンが不正アクセスの中継点に使われていた事が発覚した事で、ようやく無実が証明される。そしてその日のうちに釈放され、警視庁で蘭達と再会した。
だがその時に停電が発生し、警察の指示で蘭達と輸送車に乗り避難先であるエッジ・オブ・オーシャンのカジノタワーへ向かった。
停電となった際には、不安になる蘭に「大丈夫だ俺がついてる」と話しかけ、英理の腕を掴み「俺の側を離れるな」と真剣な表情で彼女を見つめる。
その小五郎のいつになく真剣な表情を見た英理は、思わず頬を赤くし彼の事を見直すのだが……


  • 吉田歩美
  • 小嶋元太
  • 円谷光彦

コナンと安室の作戦でドローンを動かす事となった阿笠だが、彼の操作では心許なかったので変わりに探偵団が操作をする事になる。
だが彼らは夜間飛行を楽しむつもりで動かしていたため、それが日下部に変更したコードを自白させるための作戦だとは夢にも思っていなかった。
日下部が自白した後は、「阿笠の荷物」だと教えられた爆弾をドローンで掴み、カプセルを近くで撮影するつもりでドローンをカプセルまで飛ばす。
阿笠に「近づく物体を察知すると避けるシステムが備わっている」と説明されていたので、カプセルに接近してもそのままドローンをカプセルに近づけた。
だがそれは阿笠のウソであったので、ドローンはカプセルに衝突後、そのタイミングで爆発した爆弾によって跡形もなく粉々になった。
こうして自分達の知らないうちに日本の危機を救ったわけだが、爆発と同時に彼らのコントローラーの画面が真っ暗になったので、状況が飲み込めずに「何も映らなくなった」と残念そうにしていた。



以下、クライマックスにかけてのネタバレにつきご注意ください






安室さん!


今度はボクの「協力者」になってもらうよ!


  • コナンと安室の活躍、そして…

コナン達の活躍でカプセルのパラシュートは開き、カプセルが警視庁に落下する心配はなくなった。
だがその直後、新たな落下予測地点が東京湾の埋立地・エッジ・オブ・オーシャンである事が判明する。
警察はすぐに避難してきた人々を別の場所へ移動させようとするが、情報が錯綜していたせいで一般車両までこちらに避難してきており、時間までに全員を避難させるのは不可能であった。
流石の安室もこの状況に焦りを見せるが、そんな時にコナンに「「協力者」になってほしい」と頼まれ、彼を信じて猛スピードでRX-7を走らせエッジ・オブ・オーシャンを目指す。
その最中、パラシュートのラインが1本切れ、これによりあと5分でカジノタワーにカプセルが激突する事が算出された。
カジノタワーには蘭達が避難しており、このままでは大惨事は免れない。
そこでコナンは安室に国際会議場の隣にある建設中のビルに向かうよう指示。ビルに到着してそのままエレベーターに乗り込んだ後はすぐにネットでカジノタワーの詳細を確認し、最上階に到達する1分後に加速してほしいと安室に頼んだ。
エレベーターが最上階に到達するまでの間、安室はコナンに「愛の力は偉大だな…」と話しかける。
その台詞に思わず間の抜けた返事をするコナンだったが、そこでコナンはある事を安室に尋ねる。


…前から訊きたかったんだけど、安室さんって彼女いるの?


その問いかけに安室は少し考えた様子を見せ、ニヤリと微笑みながらこう答えた。


ふん…僕の恋人は……この国さ!!


その直後にエレベーターは最上階に到達。コナンがカウントダウンを始めた後、両者が「ゼロ!」と叫んだ瞬間に彼らを乗せたRX-7は猛スピードでフロアを突き進んだ。
ボロボロになりながらもRX-7は奥にある階段へと向かい、一気に駆け上がった後で大きく外へと飛び出す。
それと同時にコナンは車外へと飛び出し、車に巻き付けた「伸縮サスペンダー」を掴みながら花火ボールをキック力増強シューズで思い切り蹴った。
RX-7が爆発する中で花火ボールは一直線にカプセル目指して突き進み、そのままカプセルに激突。その瞬間にボールは爆発し、この衝撃で軌道が変わったカプセルはカジノタワーの端に直撃しながらもその先の海へと落下していった。


車外へ飛び出したコナンはそのまま落下していくが、安室はコナンを素早く抱き寄せてガラス張りになっている国際会議場の大屋根に銃弾を浴びせる。
そしてヒビだらけとなったガラスに飛び込み、何とか大屋根へと着地した。


こうして無事に事件を解決し、タワーに避難していた人々を救ったコナンと安室。
着地の際に安室は左肩を負傷していたが、それに構わずコナンに早く蘭達のところに向かうよう言う。
そんな安室にコナンは唯一解けなかった謎である「なぜこの事件に小五郎を巻き込んだのか」という疑問をぶつけた。
安室は立場上、公に捜査をする事が出来ないが、小五郎を事件に巻き込めばコナンが必然的に事件に関わり「協力者」となる。
また身内が冤罪の危機に晒されれば、コナンは何がなんでも無実を立証しようと行動するため、“本気の”コナンの力を借りるために小五郎を犯人に仕立て上げたらしい。


安室が小五郎を巻き込んだ意外な理由につい戸惑うコナンであったが、安室の穏やかな笑顔を見たコナンは苦笑いしつつも安心したような表情を見せながらこう返した。


…買いかぶりすぎだよ…




【エピローグ】
事件後、日下部は国際会議場の爆破やIoTテロなどの容疑で逮捕される。
だが日下部が公安警察を恨んでこれらの犯行を行なった事は公安警察の判断で伏せられたため、世間には「「犯罪の手引書」のような警察の捜査資料に感化されたから」という常軌を逸した動機で犯行に及んだと公表された。実際の動機は同情できるものなのに、犯人とはいえ、不憫である。*6


小五郎が釈放された後、英理は久々に毛利家を訪れ、蘭と小五郎に手料理を振舞う。
この日はコナンが出かけていたため、久々の家族水入らずの休日となったのだが、小五郎は英理の料理を食べた途端、あまりの不味さにそれを吐き出してしまう。
それがきっかけで夫婦喧嘩が始まってしまい、怒った英理は小五郎を頭をお盆で思い切り叩き、大きなたんこぶを作った小五郎はそのまま気絶するのだった。
この様子に蘭が呆れているとエプロン姿の安室がハムサンドとスープを持ってやってくる。その時の安室はこれまでの厳しい面持ちがウソのような爽やかな笑顔を蘭に見せていた。
かくして、希代の冤罪事件に巻き込まれた小五郎達もようやく平穏な日常を取り戻していたのだった。


その頃、コナンは阿笠邸で日下部の逮捕のニュースや「はくちょう」のカプセルが無事帰還したニュースを観ていた。
カプセルの中には「はくちょう」が回収した火星由来の物質が入っており、これにより宇宙の謎の解明が一歩近づいたとNAZUは発表する。
だがカプセルが無事回収されたのは、探偵団がうまくドローンを操作してくれたおかげであったので、コナンも素直に彼らの功績を賞賛した。
そんな事は露知らず、今度はドローンで火星に行ってみたいと言って阿笠に新しく作ってほしいとおねだりする探偵団の3人。
阿笠もまんざらではなく「頑張ってみようかのぉ」と得意げになるが、そんな探偵団と阿笠を見てコナンと灰原は「そりゃ無理だって…」と呆れた様子を見せるのだった……



追記・修正は、Norを使用して複数の端末を経由してお願いします。



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*1 「シネママガジン2018」より。
*2 これまで劇場版のコナンでは、大規模な爆発があっても事件関係者以外の犠牲者はほとんどいなかった為、犠牲者が出たのは非常に珍しい例である。
*3 証拠の捏造、盗聴、でっち上げ逮捕と違法行為のオンパレードである
*4 いわゆる「転び公妨」というやつである。小五郎も「手を払っただけだろーが!」と抗議していた。
*5 小五郎を陥れたのは日下部ではなく安室である。
*6 犯人の動機が政治的にもみ消される後味の悪さは相葉英雄の「震える牛」等を彷彿とさせる。

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