根室薫の生涯

ページ名:根室教授と花巻ちゃん

 

 

プロローグ

死神の女の子めぐるは 奈落街にある「死者史図書館」に来ていた

元来めぐるは本を読むタイプではなく、かといって死神業に専念するワケでもなく ゲームやネットサーフィンが好きな 要は現代っ子であった

そんなめぐるが本を読むということはつまり 仕事もなくゲームも飽きた状態で 活字慣れしていないめぐるからしたらまさに苦肉の策であった

 

というわけでさっきから本を探していたのだが これがもう一向に見つからなく、めぐるは少しイライラしていた

R・Xの生涯とか S・Jの生涯とか そんなんばかり

仕方ないのはわかっている そりゃ、「あの〇〇の秘密の生涯?! 〇〇との関係は?」なんてウサンクサイ雑誌のようなタイトルならば利用者も増えるだろうが 生死を司る場所の公共施設でそれはないだろうと それはわかっている

でもつまらないものはつまらない 本当に気分が悪くなってきためぐるは目を閉じてしゅばっ、と本を取ると タイトルを恐る恐る見てみる

『根室薫の生涯』 今はもう使われていない言語で書かれていた

めぐるは普通は使わない知識ばかりを身につけているので この言語を読むことができた 確か言語名は…忘れた

わざわざ借りるのもめんどくさいと思っためぐるは 近くの椅子に勢いよく座り 本を読み始めた

 

 

第一章 根室薫の幼少期

根室薫は〇〇国□□県△△市に産まれ━━

 

 

「ああっ!めんどくさい!」

頭のイライラメーターが頂点に届き、思わず声を出してしまう

数秒建って、めぐるは周りの鋭い視線で串刺しにされていることに気づき、少し焦って適当にページを開くも進まない

 

なぜか悲しくなってきためぐる

もくじを見て面白そうなとこだけ見るべくページを開いた

はずだったのだが……

 

━━━━━━

 

気がつくとめぐるはある研究室にいた しかし研究室はモノクロで めぐるが囚われているワケでもなかった

 

どこにきてしまったんだろう めぐるはそう思いながら研究室の扉を開けて 外に出ようと手を伸ばす

 

すかっ

 

すかっ

「………あれ、掴めない」

おかしい、何かがおかしい  少し考えためぐるは もしや、と思ってそのまま扉に歩いていく

 

すり抜けた 予想が当たり少し焦るめぐる

どうしようか考えていると左右から誰かが近づいてくる

「根室せんぱーい!」

これは左の声

 

「ん、花巻ちゃんか」

これは右の声

 

ん…?根室…根室…そうだ!

めぐるはてっきりこれが本が退屈すぎて眠ってしまった自分の夢の世界だと思っていたが 考えを変える

…私、本の中に入っちゃったのか……

めぐるは絶望した

最近、本の中に入れるシステムが確立されたと聞いてはいたが まさか実装されているとは思わず、ロクに調べもしなかった… つまり本のなかに閉じ込められたのだ もっとも自分から入ったのだが………

 

しかし逆に考えれば本を読まずとも内容が知れるのではないか?

めぐるは得意の現実逃避を展開したのだった

 

 

第七章 根室薫 38歳

「根室せんぱーい!」

向こうから明るい声が聞こえて 俺はそれに対して片手をだらしなく上げて挨拶をする いい歳にもなってなんでこんな若い子に好かれたのかはサッパリわからないが どうやら好かれているらしい

もうすぐ俺はここを去ることになるのに不思議なものだ

もしかして、枯れ専か?いや、そもそも俺の年齢で枯れ専が成立するのか…?

根室はそう思いながら近づいてきたその若い子 花巻と一緒に研究室に入っていく━━━

 

第八章 根室薫 39歳

あそこから抜けた俺は花巻ちゃんとの関わりも薄くなって 人間関係というものと無縁になっていた

今思えばあの頃は楽しかった 仕方ないことなのだが

そういや、ニュースかなんかで見たが 大昔の巨大地下貯水槽を地下街にしようって計画が進んでるらしい

確か「プロジェクト・8」だったか?恐らく近頃の国際情勢からしてのシェルター作りだと思うが………

 

第九章 根室薫 45歳