物語 - 辺境日誌 三人の女の子

ページ名:辺境日誌 三人の女の子

月が一番大きな日

豚が柵を壊して逃走

兵士総出で追いかける

 

その次の日

国境歩哨台の修理完了 使うことがあるのか

のどかなるかな辺境警備

花の都が懐かしい

 

その次の日

こんな辺境に珍しく客が来た

都からの辞令だと思って騒いだのに兵士たちはかまってくれなかった

レレカと名乗るその客は旅をしているらしい

目的を聞いてみたが特に思いつかない様子であった

かわいこちゃんが来たのを記念して村に連れて行き宴会を催す

酒とお菓子を差し出すとお菓子をぐいぐい食べ始めた

兵どもが焼いたパイとかもあらかた食べたので兵はとても喜んだ

客はヤノサトの首都を目指すらしい

四つ角街道に続く道を教える 都まで片道一週間

目的のない旅人なんぞ見て剣を抜かなかったあたり俺も辺境に毒されてきたか

 

……

 

また月が満ちたくらい

日付くらいちゃんと書いておくべきだったと思う

またこの辺境に客が来た

あの女の子に見えたので話しかけたがどうやら別人のようである

見た目はどうみても彼女である まあ世界には同じ顔の人が三人いるらしいからそんなもんだろう

ひどく警戒心が強い  お嬢さんと呼ぶと不思議な顔をする

旅の目的を聞いてみると自分探しらしい

夢を探す若者っておぢさん応援したくなっちゃう

かわいこちゃんが来たので宴会を開く

酒とお菓子を差し出すと酒をかぱかぱ飲みだした

そして泣いて兵に絡んでいた

普段弱みを見せないような努力が節々からうかがえる

この若さで相当の苦労をしたらしい

次の日には旅立った 旅の荷物がひどく質素であった

兵どもが弁当を作って彼女に渡した

また来てほしいと頼んだ時彼女は初めて笑顔を見せた

子供が泣く時には必ず理由があるものだ

 

……

 

月が無い夜

今が何年か思い出せない事に気が付いた

季節しか気にしていなかった はやく都に帰りたい

また客が来た なぜか森の奥の方で呆けていたのを兵が発見した

見た目の同じ女の子だ 三人目がやってきたらしい

だが今回は色が違った 銀髪赤目

旅の目的は憂いなく仲間の所へ行くことだと言う

こんな見た目の種族の集落があるのかもしれない

かわいこちゃんは宴会を呼ぶ

酒とお菓子を差し出すと酒をちびちび飲んだ

お菓子は嫌いらしかった 兵はしょんぼりしていた

先の二人とは全く違う性格だ どこか手ごたえを感じていないようだ

夜遅くに二人で飲むことにする

遊びで世界を殺せる力はどこか世界を空虚にすると言う

これほどの魔力ならそうなのかもしれない

善良な客を演じてくれていることに感謝する

俺も年甲斐もなく語ってしまった

こんな辺境にいる歴史になんの関りも持たない人々だって毎日悩んだり怒ったりする

お菓子好きな兵隊やたまに来てくれる客がいたりする

辺境の一人一人がそれぞれ違うことを考えている

話を続けていた時、客はすこし笑った 先の二人と同じ笑顔だった

次の日にはいなくなっていた

兵どもは寂しがっていた 自分たちを観光地のガイドか何かだと思ってるのだろうか

 

次の日

この日誌を兵どもが村で音読して回った

村人どもが俺になれなれしく話しかけている

うるさい おれは辺きょーに愛ちゃくなんかもってない

ついでに酒がへっていたぶんを兵どもが飲みたがった

うるへー はやく都にかえりてー