ジーグの反乱

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ジーグの反乱

　かつて第三神ジーグはヤーノ神、ヒーロ神らと持つ火の多さで競い合った。火の多さはすなわち力であって他を屈服させるには火が不可欠であった。

 

　３番目の神である彼は自分の持つ火の少なさに苛立って火よりも強い毒の煙を作ろうとしたが対毒大同盟を結んで結託した神々との戦いに激戦の末に敗れた。この時毒の煙を浴びたのが彼が毒と煙の神となった所以である。

 

　ジーグは毒と煙によって更なる力をつけて神々に挑み、それに対して第2回対毒大同盟が結成された。ジーグは当初優位にあったがヤーノ神がけしかけた神人の美女メショの誘惑に負けて目を二つ取られたために戦力を低下させて再び敗北した。

 

　戦いが終わると神々は彼を一方的に裁いて消滅の罰を与えることを決定したが先のことでジーグに情を持ったメショの嘆願により命を免れ、ジーグは人間界に落とされて邪神となり、以降はオーシグゾー（反逆者の意）と呼ばれるようになった。

 

　オーシグゾーは人間界で自身を信奉する教団の強化と拡大に努めた。彼はメショの人を魅力は神人であることが関係しているのではないかと考えてメショを呼び出して問いただしたが、メショは神人が強力な力を持つことを認めるたが神人を作ることは新たな戦いを生むと言って彼を非難した。だが、それを望む彼はその忠告を聞くことはなく人間の女を犯して神人を増やした。また、彼は虐げられた種族を自分の側に取り込み、毒で多数の人間を毒で惑して密かに勢力を広げた。

 

　DT55年、世界評議会連合評議総会でエリモザキ二世が暗殺された。当時大量の地下資源が眠っていると言われたエリモザキ公国に何もなかったのが分かったのもこの年のことだった。これはオーシグゾー教団による犯行であった。

 

　DT137年、当時連合評議総会議長でアイモク共和国大統領のアイモ・アイ・モアイが評議総会でヤノサト王国に宣戦布告した。各国は布告の取り消しとその理由を求めたがアイモは応じずその日の夜に帰国した。アイモは帰国すると軍首脳を召集して緊急集会を開いた。彼は軍首脳の見守る中、突如高笑いして自分の顔の皮を剥いだ。その顔は恨みに歪んだ、よほど人間とは言えない顔で、かつて神々に敗北し人間界に落ち延びたオーシグゾーのものだった。彼は唖然とする軍首脳を毒で操って自らの側に引き入れることに成功した。

 

　その頃各国では次々と反乱が起きていたが、その反乱者の多くは忌み嫌われ社会から遠ざけられた種族の者たちで、扇動者はオーシグゾーの血を引く神人たちだった。その状況下においてもヤノサト王国では対アイモクの制裁戦争が決定され、各国はそれに追随して連合軍が結成された。

 

　当初は連合軍の敗北はありえないと思われていたが邪神の力を持つアイモク軍が意外に強力だったため戦争は泥沼となり、遂には世界上から文明は姿を消した。

 

　神々はこれを人類による身勝手のためと思って放置していたが天界で唯一メショだけはその原因に気付いて神々に報告した。神々は激怒して3回目の戦争が開かれたが、オーシグゾー側は多数の神人を擁し人間を滅ぼしてその血肉から更なる力を得た彼の前に敵はなく、神々は敗れて消滅した。

 

　復讐を完遂した彼は教団を自ら滅ぼして自らの命を絶ったので天界に残されたのはわずかなものだけであった。その一人、メショは必死に世界の復活を天に祈って、5年目についに力を得た。

 

　彼女は時を戻し起こった全てのことを人々の記憶から消したが、自ら命を絶ったオーシグゾーだけは例外でその魂は永遠に彷徨い続けることとなったので彼を愛するメショは自ら命を絶って彷徨い続ける彼の魂と共に永遠を過ごすことにした。