麻桶の毛の噂話

ページ名:麻桶の毛の噂話

 

俺はな、俺は……かつらを作ろうと思ったんだ。

いつもならそんな事思いやしねえ。

平常なら俺は善人さ。近所でも評判さ。

そんな俺でもあれを見た瞬間、急に悪人になってしまったから恐ろしいんだ。

あの時の俺なら盗っとになるかどうか悩むまでも無い。

ほしいものは何をしてでも手に入れようとすら思ったんだ。

神社の賽銭箱に隠した。

あの、綺麗な黒髪には、なにか超常の者が憑いてたんじゃねえかって、離れてからようやく気がついた。

怖いけど……またあれを見たくて仕方がねえんだ。

正直男 ジュウケン