aklib_story_不朽

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不朽

まもなく引退だと思っていた最後の日、Castle-3はドクターと一緒に野外で時間を過ごすのだった。


a.m. 6:29 天気/曇天

[Castle-3] 環境を確認――崩壊現場1439号地より、距離3.79キロ。

[Castle-3] 周囲の生命体をスキャンします――八名、ロドスエンジニア部緊急施工チーム所属。

[Castle-3] リスクレベルの評価は、低から中程度となります。

[Castle-3] ドクター様、ここは安全な休憩地点と言えるでしょう。

[ドクター選択肢1] ご苦労様、Castle-3。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] 五分前からとっくに休憩してる。

[エンジニアA] ドクター、この周辺は概ね処理が終わりました。最前線の測量チームから地質レポートが届いたら、次の地点へ向かう準備をしましょう。

[ドクター選択肢1] みんなお疲れ様。

[ドクター選択肢2] 徹夜で大変だったな。

[エンジニアA] ロドスが荒野を航行する限り、ハプニングは付き物ですからね。

[エンジニアA] 航路整備のために、月に数回は夜中の緊急工事に招集されますし、このくらい慣れっこです。

[エンジニアA] それに、今回はドクターが現場で事前に不安定な箇所を洗い出してくださいましたから、普段より効率よく進んでいます。あと二、三時間ほど作業すれば、みんなも船に戻って休めますよ。

[エンジニアA] ドクターもお疲れでは?

[ドクター選択肢1] 当然のことをしたまでだ。

[ドクター選択肢2] 普段外に出ないから、良い気分転換になる。

[エンジニアA] そうだ、それからCastle-3、お前も大手柄だ!

[エンジニアA] この辺りはサンドビーストが多いからな。お前がいなけりゃ、あいつらを追い払うのでヘトヘトになるところだったぜ。

[Castle-3] 引き続き指示に従い、このCastle-3がドクター様と皆さまの安全を保証いたします。

[エンジニアA] ああ、頼むぜ。そういやCastle-3は、エンジニア部に来てもう三年くらいだっけ?

[Castle-3] はい。マスタークロージャが私のアップグレード後に初めてシステムを起動してから、三年十ヶ月と九日が経過しました。

[エンジニアA] もうそんなに経ったんだな……ほとんどのメンバーより古株だ。

[エンジニアB] ドクター、朝食を温めますが、ご一緒にいかがですか?

[ドクター選択肢1] スープをもらおう。

[ドクター選択肢2] お腹は空いていない。水だけでいい。

[エンジニアB] Castle-3――

[Castle-3] お気遣いありがとうございます。今のところ充電は不要です。

[Castle-3] バッテリー残量から判断すると、Castle-3はあと八時間十七分の正常運転が可能です。

[エンジニアB] は……ははは。いや、実は冷凍の燻製肉を温めてもらえるか聞きかけたんだ。よくThermal-EXと一緒に行動してるから、その時の習慣でさ。

[Castle-3] 残念ですが、本モデルは該当の機能をサポートしていません。

[エンジニアB] ああ……気にするな。他の方法を思いついたから。

[エンジニアA] なんだ? おい、誰だよシェーバーのレコーダーをつけたのは。

[エンジニアB] まぁ落ち着け、ちょっと熱が必要だったんだ……

[エンジニアA] そいつは俺たちよりジジイなんだぞ。野営地で爆発なんてオチは勘弁してくれよ!

[ドクター選択肢1] これは本当にレコーダーなのか?

[ドクター選択肢2] 源石爆発物じゃないだろうな!?

[Castle-3] ……筐体の振動周波数から見るに、当該デバイスの内部回路は老朽化が深刻です。わずかながら自然発火する可能性があります。

[Castle-3] ドクター様、ターゲットを排除いたしますか?

[ドクター選択肢1] 慌てなくていい。

[ドクター選択肢2] 少し離れて座っていよう。

「とこしえ……とこしえ……私はとこしえの怒風となる……♪」

[エンジニアB] は、早く押さえろ。レコーダーがバラけちまう!

「とこしえ……とこしえ……私はとこしえの野火となる……♪」

[エンジニアA] 誰かこいつをなんとかしてくれ、耳がいかれちまいそうだ!

[Castle-3] 了解いたしました。

[Castle-3] 脅威は排除されました。

[エンジニアA] ……はぁ。

[エンジニアB] シェーバーが可哀想だな。

[エンジニアA] なぁCastle-3、このレコーダーは完全に壊れたのか?

[Castle-3] いえ、電源を分離させただけです。

[Castle-3] 完全に修理するまでは、使用しないことをおすすめします。

[エンジニアA] 修理か……修理できるなら、俺たちだってとっくにやってるよな?

[エンジニアA] それにシェーバーだって……

[エンジニアA] まぁ、壊れたらそれまでで、残しておきたくても無理なものだってある。

[ドクター選択肢1] レコーダー……

[ドクター選択肢2] シェーバー……

[エンジニアA] ドクター、お察しの通り、このレコーダーはシェーバーの遺品なんです。

[エンジニアA] 覚えていますか? 前回クルビアでディランの「バッドガイ」号を修理してくれた奴です。

[エンジニアA] あの時はまだ元気だったのに、戻っていくらも経たないうちに病状が急激に悪化して、数日で逝ってしまいました。

[エンジニアA] まだ四十過ぎだったのに……いや、この話はやめましょう。鉱石病にかかれば、みんないつかはこうなるってわかっていますから。

[エンジニアA] さぁドクター、食べましょう。

[エンジニアB] そうだな……肉はまだ冷たいが、食事にありつけるだけで十分だ。

[ドクター選択肢1] スープで献杯しよう。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] シェーバーに、乾杯。

[エンジニアB] とこしえ……とこしえ……

[エンジニアA] 食いながらお椀を叩いて歌うのは、シェーバーの真似か?

[エンジニアB] アイツはこのレコーダーみたいに力強く生きた、そうだろ?

[エンジニアA] ……とこしえの野火となる。

「とこしえ……とこしえ……私はとこしえの野火となる……♪」

[Castle-3] ドクター様、皆さまは何をなさっているのですか?

[ドクター選択肢1] 歌を歌っているんだ。

[ドクター選択肢2] 旧友を想っているんだ。

[Castle-3] ブラザーキアーベとの業務中に、酷似した行動を何度も見かけたことがあります。

[Castle-3] ですがドクター様、私はそのスキルを習得することができません。

[Castle-3] マスタークロージャが取り付けてくださった言語モジュールのおかげで、それらの言葉の意味はわかります。

[Castle-3] ですが、言葉がリズムと周波数の高低を伴って表現される時と、普通に発話された時とで、どういった差があるのか理解できないのです。

[ドクター選択肢1] みんなは歌を歌っているんだ。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] 重要なのは感情表現だ。

[Castle-3] とこしえ――

[Castle-3] この言葉の意味も理解しかねます。

[Castle-3] 永遠に壊れることのない物はありません。たとえどんなに頑丈な機械でも、それは同じです。

[キアーベ] Castle-3! 近くにいんのか?

[Castle-3] はい、ブラザーキアーベ。私はドクター様と施工チームと一緒にいます。そちらの測量チームの作業は順調ですか?

[キアーベ] 順調順調、準備は万端だぜ……ええと、つまり、仕事はあとちょっとで終わるってこった。

[キアーベ] えっーっとな、俺様レンチを忘れちまってさ。ちーと持ってきてくんねぇか?

[Castle-3] ブラザーキアーベ、重要な工具を携帯していないのに、どうやって仕事を完了させたのですか?

[キアーベ] ……そんなの気にすんなって。

[キアーベ] (小声)Castle-3、昨日の約束の件をだな――

[Castle-3] 昨日おっしゃっていた、長期の外勤を申請するから、同行してほしいという……

[キアーベ] いや、やっぱお前がこっちに来てから話すわ。ドクターがそばにいんだろ――

[キアーベ] なぁドクター、Castle-3に来てもらいてぇんだけどよ。いいだろ?

[ドクター選択肢1] 異論はないが。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] なんだか怪しいな。

[キアーベ] あーわかったわかった。つまりオッケーってことだな!

[キアーベ] ってことでCastle-3、早く来いよ。前の方で待ってるからな――

[Castle-3] ドクター様、ブラザーキアーベに工具を届けて参ります。ドクター様はこの場所に残られますか、それとも一緒に向かいますか?

[ドクター選択肢1] 一緒に行こう。

[ドクター選択肢2] ちょうど少し歩きたいと思っていた。

[Castle-3] 承知いたしました、ドクター様。

[クロージャ] Castle-3はまだ戻らないのかな?

[クロージャ] もうすぐで期限だから、あたしの所に来て処理するように言っておいたのに。

[クロージャ] そういや、さっきキアーベにCastle-3の居場所を聞いた時、なんかきな臭くなかった?

[クロージャ] マズい、まさかあいつ……Castle-3と駆け落ちするつもり!?

[Castle-3] ドクター様、今日という日にご一緒できて、Castle-3はとても嬉しく思います。

[ドクター選択肢1] 今日という日?

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] Castle-3、君の態度もどこかおかしい。

[Castle-3] ドクター様、今日は私にとって確かに特別な一日なのです。

[Castle-3] 先程皆さまがおっしゃっていたように、私は随分長い間ロドスで働いて参りました。

[Castle-3] 私と同じモデルの作業プラットフォームで、これ以上長く稼働できるものはほとんどございません。

[ドクター選択肢1] 君のボディには削れた痕跡がたくさんある。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] その刻まれたマークのようなものは……

[Castle-3] ドクター様、私の筐体の傷をご覧になっているのですね。

[Castle-3] 由来を知りたいですか?

[ドクター選択肢1] 教えてほしい。

[ドクター選択肢2] ずっと聞きたかった。

[Castle-3] 私はこれらの傷とともに、三年間を駆け抜けてきました。

[Castle-3] どれもそれぞれ違う人物によって刻まれたものです。最初の一つは若い狙撃オペレーターでした。

[狙撃オペレーター] ……くそったれの強盗団め、なんでこんなにいるんだよ?

[狙撃オペレーター] ハッ……また一人仕留めたぜ!

[狙撃オペレーター] この資料は……渡さない! ゴホッ……ゴホゴホ……くそっ。さっきの一撃で肺がやられたか……

[狙撃オペレーター] Castle-3……

[Castle-3] はい。

[狙撃オペレーター] こ……こっちへ来て……ちょっと、手を貸してくれ……

[Castle-3] 横になって休息することをおすすめします。私はただの作戦プラットフォームにすぎませんが、あなたの身体が戦闘を継続できる状態でないことは判別できます。

[狙撃オペレーター] 横になる……か。いや、まだその時じゃない。

[狙撃オペレーター] なぁCastle-3、お前のボディにマークを刻んでもいいか?

[Castle-3] 構いません。筐体上の浅い摩耗であれば、私の機能に影響は出ませんから。

[Castle-3] ですがその行動にどのような意味があるのか、理解できません。

[狙撃オペレーター] いいんだ……ゴホゴホッ……Castle-3、お前も、わかってるんだろ? 俺はもうすぐ死ぬ。

[Castle-3] はい。ただちに治療を受けなければ、あなたの身体は三から五時間以内に機能停止します。

[狙撃オペレーター] 機能停止か……ああ、そうさ。人間は、それを死と呼ぶんだ。

[狙撃オペレーター] お前は俺を寝かせて、そのまま最後の時が来るのを待たせたいのかもしれないが……そいつは無理な相談だ。

[狙撃オペレーター] 残された数時間、俺は歯を食いしばって、やることをやる。

[狙撃オペレーター] ――あの強盗どもときたら、ロドスのモンを奪うだけじゃなく、付近の感染者の村を荒らしてやがるだろ。

[狙撃オペレーター] だから死ぬ前に、せめて俺がヤツらを始末してやるんだ。

[狙撃オペレーター] ……三人目だ。

[狙撃オペレーター] 一人殺すごとに、一本刻む。

[狙撃オペレーター] ――これは、俺の命の証だ。

[狙撃オペレーター] 最後の瞬間が来ても、この傷が教えてくれる。俺の命と死には、意味があったんだって……

[Castle-3] ......

[Castle-3] リカーブ様!

[Castle-3] 私は彼を後部に搭載して、全速力で飛び出しました。しかし残念ながら、ロドスに戻った時には、彼の身体機能は停止していました。

[Castle-3] より適切な言葉を使うなら、彼は「死」を迎えました。

[Castle-3] 私の筐体の傷跡に気づいたマスタークロージャは、それを消そうとしました。しかし私は、残してほしいと頼みました。

[ドクター選択肢1] そのオペレーターを忘れないため?

[ドクター選択肢2] その出来事を忘れないため?

[Castle-3] 申し訳ありません、ドクター様。先ほど同様、「忘れないため」という言葉も、私には理解できません。

[Castle-3] 私はロボットですので、コアが損傷しない限り、あの出来事はメモリに残り続けます。リカーブ様の資料も同様です。

[Castle-3] どうしてこれらの傷を残すことにしたのかと問われれば、明確には答えかねます。

[Castle-3] この事象に対して、マスタークロージャが一つの可能性を提示してくださいました――

[Castle-3] 私は「模倣」しているのではないか、と。

[ドクター選択肢1] そのオペレーターを模倣しているのか?

[ドクター選択肢2] 傷を刻むという行為を模倣しているのか?

[Castle-3] マスタークロージャは我々ロボットに、模倣モジュールを組み込んでくださいました。我々の行動をより人間らしくしたいと望んでおられるのです。

[Castle-3] 私はリカーブ様が刻んだ傷の具体的な意義を完全に理解することはできませんが、彼の行為を受け継いでいくことを、プログラムが決定したのです。

[Castle-3] それ以来、私は作戦に参加するたびに、自身で撃退した敵の数をカウントしています。

[Castle-3] そして作戦終了後、同行したオペレーターにお願いして、私の筐体にその数に応じた傷を刻んでいただいています。

[ドクター選択肢1] 学習しているんだな。

[Castle-3] ドクター様、私はThermal-EXと違って、熱エネルギーを提供することもできませんし、私のプログラムは「学習」のサポートもしていません。

[Castle-3] ですが今日、不確かながら結論が出ました。リカーブ様が私の筐体に刻んだ傷は、シェーバー様のレコーダーと似たようなものなのかもしれません。

[Castle-3] 本体が機能停止しても、私の傷跡だらけの筐体は、しばらく存在し続けます。その場所が、ゴミ捨て場か、マスタークロージャの個人倉庫になるかは不明ですが。

[ドクター選択肢1] 特別な保管庫に残しておいてほしいものだ。

[ドクター選択肢2] 君と経験した一戦一戦を懐かしむだろう。

[Castle-3] ありがとうございます、ドクター様。

[Castle-3] コアが停止すれば、私のメモリ内のデータも消去されます。

[Castle-3] ですが今日お話しくださったことは、私にとって非常に意味のあるものでした。

[キアーベ] Castle-3! 今どこだ?

[キアーベ] 施工チームの奴らが近づいてきてる。あいつらが到着したら面倒なことになるぞ!

[キアーベ] しかもさっきクロージャから連絡が来て、お前と一緒にいるのかって聞かれたんだ……

[キアーベ] Castle-3、早くしねぇと間に合わなくなっちまうぞ!

[Castle-3] ブラザーキアーベ、教えてください――間に合わなくなるとは?

[Castle-3] それから、今レンチの音が聞こえました。実は工具を届ける必要はなかったのでは?

[キアーベ] そんなのただの口実だ……細けぇことは気にすんな!

[キアーベ] とっくにクロージャから聞いてんだよ。お前のコア、もうすぐ壊れるんだろ? っつーことは廃棄されるんじゃねぇのか? 昔俺たちの工場で、エンジンが壊れて廃棄処分になった車みてぇによぉ!

[Castle-3] マスターが今日私の機能を停止させるのではないかというお話であれば、確かにその可能性はあります。

[ドクター選択肢1] なんだって?

[Castle-3] ドクター様、早くにご説明するべきでした。ですが私は任務が第一と判断したのです。

[ドクター選択肢1] だから一緒に行くかと提案してきたのか?

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] だから今日は様子がおかしかったんだな。

[Castle-3] 最後の一瞬まで、Castle-3はあなたの最も頼れる相棒です。

[キアーベ] ……ドクターの声じゃねぇか。なんでドクターも一緒なんだよ?

[キアーベ] おいCastle-3! 一人、じゃなかった、一台で来いって言ったろ!

[キアーベ] ドクターがいたら、お前を連れてトンズラできねぇだろ!

[Castle-3] ブラザーキアーベ、昨日も説明しましたが、長期外勤に同行するという提案は、ほぼ実現しません。

[Castle-3] いちロボットとして、私はマスタークロージャ及びドクター様の指令を最優先します。

[Castle-3] そのうえ、私のコアはもう長くは持ちません。ブラザーキアーベの描いた二人でいくつもの国を渡り歩くという構想は、実現不可能です。

[キアーベ] 遠くへは行けなくても、逃げることはできるじゃねぇか!

[キアーベ] 短ぇ命なら、なおさら今を楽しまなきゃ損だろ――自由に駆け回りながら倒れる方が、ノコノコ戻って作業場でスクラップになるより幸せだろ!?

[キアーベ] 最終的に連れ戻されたところで、せいぜいアオスタにくどくど言われて、クロージャに殴られるだけだ……そんなの気にしねぇよ!

[キアーベ] おい、ドクター。お前もなんか言えよ?

[ドクター選択肢1] キアーベの言う通りだ。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] Castle-3、君はどう思う?

[Castle-3] ……通信完了。

[キアーベ] おいっ、Castle-3――

[ドクター選択肢1] Castle-3、突然どうしたんだ……

[Castle-3] ドクター様、センサーが危険なユニットを探知しました。

[Castle-3] ――サンドビースト、計四匹です。

[Castle-3] Castle-3、命令待機中です。

[ドクター選択肢1] Castle-3、左だ!

[Castle-3] 承知しました!

[Castle-3] 最も近くに迫ったターゲットを撃破しました!

[Castle-3] ドクター様、サンドビーストが後方の岩陰からさらに五匹、こちらに接近中です!

[ドクター選択肢1] Castle-3、前方左三十度、石壁を攻撃!

[Castle-3] 実行します!

[Castle-3] 岩壁粉砕、お気をつけください!

[ドクター選択肢1] 災害がもたらすのは面倒事ばかりではない。

[ドクター選択肢1] Castle-3、この割れ目から脱出だ!

[Castle-3] 承知いたしました。ドクター様、私にお乗りください!

[Castle-3] ドクター様、しっかりつかまっていてください。

[Castle-3] Castle-3、全速前進!

[Castle-3] ドクター様、サンドビーストの群れを振り切りました。

[ドクター選択肢1] よくやった、Castle-3。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] 振り切ったのにまだ全速力だな。

[Castle-3] ドクター様、まだ降りないでください。Castle-3が現在の速度を維持すれば、十分後には本艦に到着しますから。

[ドクター選択肢1] キアーベの所へは行かないのか?

[ドクター選択肢2] 自由とは真逆の方向へ進むのか。

[Castle-3] ドクター様、ブラザーキアーベのおっしゃっていることは理解できます。

[Castle-3] 彼は私が最後まで自由に駆けることを望んでいるのでしょう。

[Castle-3] ですがドクター様、私たちは今この瞬間も駆けているではありませんか。

[ドクター選択肢1] 確かに駆けている。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] すごい風だ。

[Castle-3] ドクター様、あなたと一緒に駆け回ることができて、Castle-3は喜ばしい限りです。

[ドクター選択肢1] とこしえ……

[ドクター選択肢2] 歌にはぴったりのタイミングだ。

[ドクター選択肢3] 私はとこしえの怒風となる。

[Castle-3] 私はとこしえの野火となる。

[ドクター選択肢1] Castle-3、また模倣しているのか?

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] Castle-3、歌えるようになったじゃないか。

[Castle-3] タイヤが荒野を踏みしめ、風が筐体を叩くのを感じます……

[Castle-3] それから、コアに流れる電流も。

[Castle-3] ドクター様、あなたが私にリズムを体感させてくださったのです!

[Castle-3] 電子音で伴奏もできるようになりましたよ――

[ドクター選択肢1] このまま駆け抜けろ、Castle-3。

「私はとこしえの野火となる♪」

「私はとこしえの怒風となる♪」

「私のあばらの間から、駄獣の群れが飛び出して♪」

「威風堂々荒野を突き進む♪」

[クロージャ] Castle-3……あれ、ドクター?

[Castle-3] マスタークロージャ、遅刻ではありませんよね?

[クロージャ] 大丈夫だよ。Castle-3はいつも時間きっかりだもんね!

[Castle-3] はい、マスター。最初から最後まで、Castle-3はマスターを失望させるようなことは致しません。

[Castle-3] 作業室へ行く前に、ドクター様と少しお話させていただいてもよろしいでしょうか。

[クロージャ] いいよ、あたしも急いでないから。

[Castle-3] ――ドクター様。

[Castle-3] Castle-3をお選びいただき、ありがとうございました。

[Castle-3] ドクター様と共に経験した、一つ一つの戦いを誇りに思います。

[Castle-3] Castle-3、スリープモードに入ります。

[クロージャ] Castle-3……?

[クロージャ] 自分で電源を切っちゃった……ドクター、今日は二人で一体何してたの?

[ドクター選択肢1] 一緒に任務を完遂した。

[ドクター選択肢2] 一緒に冒険をした。

[ドクター選択肢3] 一緒に歌を歌った。

[クロージャ] うまく言えないんだけど、なーんか違和感があってさ……

[クロージャ] でもCastle-3はCastle-3のままなんだよね。Lancet-2みたいに感傷的になったりしないし、Thermal-EXみたいに突拍子もないことをするわけでもないし……

[クロージャ] あえて言うなら……ちょっとカッコよくなったかな?

[ドクター選択肢1] 「死」の概念を学んだからかもしれない。

[ドクター選択肢2] 「命」のとこしえを感じたからかもしれない。

[ドクター選択肢3] ロボットとしての一生に満足したからかもしれない。

[クロージャ] ええっ!?

[クロージャ] 驚いたなぁ。でもあたし自身、ドクターがCastle-3からそれを感じたことに驚いてるのか、Castle-3がドクターにそれを感じさせたから驚いてるのか、どっちかわかんないや。

[ドクター選択肢1] 違いはあるのか?

[クロージャ] だって時々感じるんだ……

[クロージャ] AIロボットたちが人間の言語を使って人の行動や考えを理解しようとしてる時、あたしたちも彼らを通して自分を見てるんじゃないかって。

[クロージャ] わっ、急に深い話になっちゃった。あたしらしくないね! Dr.{@nickname}、ホントにあたしと一緒に人工知能生命体の研究をする気はないの?

[ドクター選択肢1] ない。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] また今度考える。

[クロージャ] あっ……こんな話してたら、またアイディアが浮かんできたかも。ということで、そろそろCastle-3を連れてくね。今日は大仕事になるんだ!

[キアーベ] おい、ドクター!

[キアーベ] なぁ、誰が来たと思う――

[Castle-3] Castle-3、ご命令をお待ちしています。

[ドクター選択肢1] Castle-3、無事だったのか?

[ドクター選択肢2] メモリはそのままか?

[Castle-3] すでに三回セルフスキャンプログラムを実行しましたが、いかなる記憶ファイルの消失も検出されませんでした。

[ドクター選択肢1] 本当によかった。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] クロージャがそう簡単に廃棄しないことはわかっていた。

[キアーベ] 大急ぎで戻って来た甲斐があったぜ……あー疲れた!

[キアーベ] Castle-3をほんの少しでも長く引き留められたらって考えてたのに、帰ってきたらバラバラにされてて、あん時はもう……

[ドクター選択肢1] 焦ったか?

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] 泣いたか?

[キアーベ] ……クロージャに怒鳴り散らしかけたぜ。

[Castle-3] ブラザーキアーベ、エンジニア部の方によると、あなたは「怒鳴り散らしかけた」どころではなかったようです。私のメモリ上のスラング集もあなたの語彙の豊富さには及びませんでした……

[キアーベ] あーもういいだろ。お前のことが心配だったからじゃねぇか!

[キアーベ] クロージャにぶっ叩かれた頭のコブはまだジンジンしてるが……俺様は全然後悔してねぇぜ。

[キアーベ] おめぇらは、ロドスで知り合った中でも一番気心の知れた弟分だ。アオスタとブローカの次に仲がいいんだから、一台でも欠けるのは許さねぇからな!

[Castle-3] ありがとうございます、ブラザーキアーベ。あなたも私の良い弟分ですよ。

[キアーベ] ならいいけどよ――

[キアーベ] っておい! 誰が誰の弟分だって? Castle-3、お前いつからそんな意地悪になったんだよ!

[キアーベ] 俺もクロージャも、お前の性格なんていじってねぇぞ……

[Castle-3] ブラザーキアーベ、本デバイスには「意地悪になる」機能は搭載されていません。

[キアーベ] あーもういい。まぁとにかく、ドクターも見た通り、コイツは目覚めた瞬間からお前に会いたがってたんだ。無事だって知らせたかったんだとさ。

[キアーベ] 俺たちが知らなかっただけで、クロージャはCastle-3のコアを駆動させ続けるアップグレードシステムを用意してたんだ。そのおかげでコイツはこれからも――

[キアーベ] っつってもいつまで持つかは知らねぇけど、俺様に残された時間よりも長く駆け回れるかもしれねぇな。

[Castle-3] ブラザーキアーベ、あなたも同じように長い時間、自由に駆け回れるはずです。私は信じていますよ。

[Castle-3] なぜなら私たちはドクター様に寄り添い、ドクター様も私たちに寄り添ってくださるのですから――

[ドクター選択肢1] その通りだ。

[ドクター選択肢2] 一緒にいる。

[ドクター選択肢3] 手放したりしない。

[Castle-3] ところで、ドクター様。マスタークロージャが楽曲の再生機能を実装してくださり、ブラザーキアーベが楽曲ライブラリを更新してくれたので、私もたくさんの歌が歌えるようになりました。

[Castle-3] ――『火山大噴火後のすばらしき絶景』、または『君はこんなに美味しい』、どちらをお聴きになりたいですか?

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