aklib_story_淬火煙塵_11-17_答えよ_戦闘前

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淬火煙塵_11-17_答えよ_戦闘前

ロドスと自救軍の連合軍が撤退する中、アーミヤはサルカズの魂の声に影響を受ける。またその時、テレシスも戦場に現れたのだった。


[サルカズ戦士] ――

[ヴィクトリア傭兵] *ヴィクトリアスラング*、新しく湧いてきた敵はなんでこんなに硬いんだ!?

[自救軍戦士] 構うな、一斉にかかれ! 行け……行くんだ……

[フェイスト] 俺につかまれ!

[ヴィクトリア傭兵] 来るな! 近付くんじゃない! 死んだ奴から離れろ……離れ……

[フェイスト] ゴホゴホッ……ど、どういうことだ……

倒れた戦士の周囲には、これまで見たことのない力が戦場で充満していた。

彼らの皮膚、目、耳や鼻から何かが出続けている。それは血でも、何かしらの器官組織でもない。

それは恐怖であるのかもしれない。死後が未知であることに対する一種の恐怖だ。抗うことのできない恐怖が、彼らの生命力を急速に奪っていく。

[シャイニング] 下がってください!

[フェイスト] うぅ……ハァッ……

[フェイスト] やっと息ができた! ありがとう、ロドスの……お医者の先生? クロージャさんが、あんたのこと医者って言ってたけど……合ってるよな?

[シャイニング] ……皆さん、私の後ろに下がってください。

[ドクター選択肢1] これは……巫術?

[ドクター選択肢2] ウェンディゴの祭壇と同様の香りがする。

[シャイニング] ……サルカズの古の巫術は、いずれも似たような起源を持ちます。

[シャイニング] それは「死」です。

[シャイニング] ……ウェンディゴ、ナハツェーラー、ブラッドブルード、アンズーリシック、リッチ……さらにはバンシーも。死は大多数の生物の終点ですが、多くのサルカズにとっては力の根源です。

[ドクター選択肢1] 君の剣が……汚染の蔓延を止めたのか?

[シャイニング] ……死と生とは表裏一体なのです。

[シャイニング] ですが、私に止められる時には限りがあります。我々では、このナハツェーラーの軍に対抗することはできません、たとえここに到着したのが彼の配下の先鋒にすぎなかったとしてもです。

[シャイニング] あの古のサルカズは、戦場で腐敗と死にとぐろを巻かせます。私も過去にいくつかの伝説を聞いただけですが。

[シャイニング] ……急がなければなりません。

[ドクター選択肢1] わかっている。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] ケルシーがすでに明確な撤退合図を出している。

[Mon3tr] (切迫した雄たけび)

[ドクター選択肢1] クロージャ、すぐにドローンを回収するんだ。

[クロージャ] はぁ……もう他に方法はないんだよね?

[クロージャ] 取得データ……70%……まぁ、こんなもんかな。

[ドクター選択肢1] フェイスト、クロヴィシアの所へ行ってくれ。

[フェイスト] はいよ、ドクター。

[フェイスト] 全員、俺についてこい!

[ドクター選択肢1] ロドス各位、Mon3trに続け!

[ドクター選択肢2] ロドス各位、計画通り自救軍の撤退を援護!

[ロドスオペレーター] 了解だ、ドクター。

[ドクター選択肢1] それとアーミヤたち。

[ドクター選択肢2] アーミヤとLogos、それにアスカロンに連絡を。

[ドクター選択肢1] ......

返事はない。

あなたの呼びかけに応じる者はいない。

おかしい。どれだけ激しい戦闘でも、アーミヤがあなたの声をそう簡単に無視するはずがない。

PRTSではオペレーターの状況を示すことはできない。しかしあなたは彼女がどれだけの危機に直面しているかわかっていた。

[ドクター選択肢1] アーミヤ!?

[アーミヤ] うっ……

[Logos] アーミヤ、ナハツェーラーが予想よりも早く到着しおった。

[アスカロン] ……撤退するぞ。

[アスカロン] ケルシーの速度は十分速いが、リッチの足止めはもう限界だ。

[アスカロン] ナハツェーラー配下の兵は、いかなるサルカズの勢力よりもはるかに団結力がある。奴らの動きは非常に速い。

[アーミヤ] ……

[アスカロン] アーミヤ?

撤退?

いや。

彼らには逃れることはできない。ブラッドブルードの血の束縛は裂けても、ナハツェーラーの死の侵食は防げても、この大地から逃れられない限り、暗雲の視線から逃れることはできない。

なぜなら、サルカズの恨みと悲痛は大地の隅々にまで存在するからである。

[アーミヤ] ……

無数の声が、彼女の頭の中になだれ込む。

彼女は聞いた。戦争の中で両親を失った子供が廃墟の中を歩きながらむせび泣いているのを。

彼女は聞いた。未熟な戦士が初めて敵の頭に剣を振った時の、剣先から伝わるくぐもった音を。

彼女は聞いた。バンシーが銀色の月光を身にまとい、汚れた異形の都市に向かって、学んだばかりの呪文を何度も唱えているのを。

彼女は聞いた。ブラッドブルードのかすかな笑いを。彼は一人峡谷に佇み、サルカズの集落に突き進む無数の敵を血の海に変えた。

彼女は聞いた。死んでいった魂たちが空を背にし、大地に向かって大声で叫んでいるのを。

なにゆえ私たちは死ぬべきなのか?

私たちがサルカズだからか?

黒い糸が彼女の目、口、鼻から暴走したように噴き出し、伸び続けて絡み合う。

サルカズたちはみな、心臓が黒い糸に一瞬つかみ取られたような気がした。

[アスカロン] ……

[Logos] アーミヤ。影響を受けるでない。

[クロージャ] どういうこと、ドクター? なんか……なんか音が聞こえるよ……

[クロージャ] *サルカズ某部族の言語*

[クロージャ] 地下は闇で溢れている。

[クロージャ] 闇は悪を生み出す。

[クロージャ] 悪は苦痛を与える。

[クロージャ] *サルカズ某部族の言語*

[ロドスオペレーター] クロージャさん何言ってるんだ? 意味がよくわからないが……

[クロージャ] あたしにも……わかんない……

[クロージャ] く……くらくらする……あたしの頭……おかしくなっちゃった?

[ロドスオペレーター] ドクター、サルカズの巫術が俺たちを攻撃しているのか?

[ロドスオペレーター] だが俺は何も感じないぞ……ん? 見ろ、敵まで……

[サルカズ戦士] ……

[サルカズ戦士] 闇……苦痛を……

[サルカズ戦士] 分かち合う……

[ドクター選択肢1] この言葉は聞いたことがある。

[ドクター選択肢2] 似たような言葉を聞いたことがある。

[ドクター選択肢1] 特殊な暗示だ。

[ドクター選択肢2] 通常とは異なるアーツだ。

[シャイニング] ……ドクター、すぐに自救軍と他のオペレーターに続いて撤退してください。

[ドクター選択肢1] しかしアーミヤが……

[シャイニング] ……

[ドクター選択肢1] シャイニング……

[ドクター選択肢2] 君も影響を受けているのか?

[シャイニング] 暴走した力が、全てのサルカズの心を蝕んでいます。

[シャイニング] 聴罪師ですら抵抗できません……私なら一時的に耐えることができたとしても。

[ドクター選択肢1] 暴走した力?

[ドクター選択肢2] まさか……

[シャイニング] サルカズの君主だけが、将兵たちが渇望する光景を慰めの幻影として形作り、また裏切り者たちの心の奥底にある恐怖を懲罰として呼び起こすことができるのです。

[シャイニング] 「魔王」だけが。

[ドクター選択肢1] ......

[シャイニング] あなたが何を考えているかはわかります、ドクター。

[シャイニング] あなたは……今すべてのサルカズに無差別に攻撃しているのは、一体どちらの魔王なのかと考えているのでしょう。

[ドクター選択肢1] アーミヤが危険だ。

[ドクター選択肢1] これは一番恐れていた事態だ。

[ドクター選択肢2] これを行っているのがテレジアかどうかにかかわらず。

[ブラッドブルードの大君] 魔王の力ですか……

[ブラッドブルードの大君] あなたのような鍛えられていない身体では、サルカズの万年の記憶に耐えられるはずなどない。

[ブラッドブルードの大君] なるほど……なるほど。

[ブラッドブルードの大君] 耐えられては、いないのですね。

[ブラッドブルードの大君] あなたの手にある指輪……テレジアから与えられたものですね。

[ブラッドブルードの大君] あなた方はそうすることで、贈与と呪いを一時に繋ぎ止められるものと考えているのでしょうが、贈られた物はまた取り返すことができるというのを忘れています。

[アスカロン] ……

[Logos] アスカロン、うぬも感づいておろう。

[アスカロン] ……アーミヤに影響を与えているのは殿下だ。

[Logos] これ以上戦いを延ばしてはならぬ。ナハツェーラーとテレシスがいつ現れるやもしれぬ。

[Logos] 必要とあらば、無理やりにでもアーミヤを連れていかねばならぬ。

[アスカロン] アーミヤ……

[アーミヤ] ……

指輪に亀裂や変色はない。

それらはただ震えている。なぜなら彼女が震えているからだ。

[ブラッドブルードの大君] コータス、あなたはテレジアが与えた王冠に相応しくない。

[ブラッドブルードの大君] あなたがコータスであるからではなく、ひとえにあなたがサルカズの本質を理解しようとしたことがないからです。

[ブラッドブルードの大君] あなたはテレジア同様、あのケルシーを名乗る化け物に両目を覆われているのです。

[ブラッドブルードの大君] あなたは、サルカズもフェリーンと同じく、近しい血によって一つに繋がった何かしらの種族だと思っています。

[ブラッドブルードの大君] 我々の怒りの原因が、不公平な扱いだけであると思っている。我々の彼らへの抵抗を、国家間の戦争と見なしています。

[ブラッドブルードの大君] しかし本当にそうでしょうか?

[ブラッドブルードの大君] どうぞ私の憤怒を直視してごらんなさい、「魔王」。

[ブラッドブルードの大君] さあ……頭上の暗雲の中の慟哭をよく聴いてごらんなさい。

[ブラッドブルードの大君] 彼らが教えてくれるでしょう。サルカズは、あれらの恥ずべき侵略者たち……あなた方の言う神民や先民とは同類であったことなどないのです。

[ブラッドブルードの大君] カズデルは都市であったことも、国家であったこともありません。

[ブラッドブルードの大君] サルカズがまだティカズと呼ばれ、故郷を有していた時代では――カズデルとは、我々の視界が及ぶ全世界を指していたのです。

[ブラッドブルードの大君] カズデルとは本来テラと同義なのです。

[アーミヤ] ……

果てしない悲哀が彼女を包み込む。彼女の手足に絡みつき、口と鼻を塞ぐ。

彼女がどこを見ようと、視界は暗雲で埋め尽くされている。

どうすれば逃れられるだろう? なぜ逃れられると思うのか?

彼女には聴くことしかできない。

一人のサルカズが城壁に登る。

彼の背後には鈍色の都市、彼の頭上には黒色の旗がなびいている。

傷だらけの戦士たちが、目の前で陣を構える。彼とそれほど年齢の変わらぬ、訓練を受けていないサルカズは手に錆びた武器を持ち城壁を守っている。

また彼の背後には無数の同胞が立っている。あるいは年老いあるいは年若く、握っているのは恐らく狩猟用のクロスボウだけだろう。

しかし敵はすでに荒野を越え、彼らの都市に迫ってきていた。

彼は高塔の術師のアーツユニットが一斉に空を切る音を聞こえた。

彼はガリアの砲兵が源石砲の方向を操作する音を聞こえた。

彼は、蒸気甲冑が進軍する時の重々しい足音と、疾走する時の噴射音を聞こえた。

彼は、風がはためかせた将校のマントが甲冑とぶつかり、発せられた冷たい音を聞こえた。

あのフェリーンは誰だ? 蒸気騎士が彼女の背後に立っている。彼女はヴィクトリアの将校か? しかし高塔の術師とガリアの砲兵までも彼女の指揮に従っている。

彼は、彼女がサルカズの罪を言い渡すのを聞こえた。

「私はサルカズが企てている大望を余すことなく知っている。憎しみは不治の病であり、君たちの復讐は大地に癒えることのない傷跡をもたらすだろう。」

「周辺諸国の安定のため、今後二百年の平和のため、野心は事前に滅ぼされなければならない。」

大火があらゆる方向からカズデルに襲い来る。また一つ、カズデルがもうまもなく廃墟と化す。無数のサルカズがこの大火の中で次々と亡くなり、逃れた者にはさらなる不幸が訪れるだけだ。

なぜ私を殺すのか?

我々の起源が異なるからか? この大地はもう我々の恨みを担いきれず、それゆえに事前に我々全員を消し去ろうというのか?

六名の英雄が廃墟の中から立ち上がる。彼らは燃えるカズデルの旗を掲げ、目の前の大軍へと突き進む。

甘んじて死を受け入れるサルカズなど、誰一人としていない。たった今倒れた幾万というサルカズたちの叫びが陣太鼓となり、英雄たちの足音に続いて敵軍へと向かう。

答えよ、仇敵よ!

お前は何者だ、なにゆえカズデルは滅ぶべきと定める?

お前は何者だ、なにゆえカズデルの行いを裁くのか?

なぜ言葉を発さぬのだ?

なぜ私の問いに答えぬのだ?

ケルシー……ケルシー!

[アーミヤ] ……

カズデルの城壁が崩壊する。瓦礫や灰塵と共に、死んだサルカズも落ちていく。

彼女が落ちていく。

[クロージャ] めまいが治ってきた……うぅ、目が見えるようになってきたよ……

[クロージャ] 待って、塔の上!

[ドクター選択肢1] アーミヤ!!

[ドクター選択肢1] クロージャ、ドローンだ!

暗殺者がブラッドブルードの追撃を防いだ。

呪術師が落下する速度を遅らせた。

ワイヤーをあなたの身体に結び、ドローンがあなたを引っ張って戦場を抜ける。

アーミヤの身体が地面に触れる直前、あなたは彼女の手をつかんで抱きしめた。

[アーミヤ] ケルシー……先生……

[クロージャ] ドクター、どうして……アーミヤちゃんはずっとケルシーの名前を呼んでるんだろう?

あなたはアーミヤの目尻に悲しげな涙を見たが、きつく寄せられた眉からは怒りも見て取れた。

彼女は一体何を見て、何を聞いたんだ?

[クロージャ] ヤバい、ドクター、何かがすごいスピードで近づいて――って、もう近くに!? どこ!? 探して!

[クロージャ] いや……違う……

[クロージャ] あ……あいつは……最初から……そ、そこにいたの?

人影。

一人のサルカズが、声を発することなく視線をこちらへ投げる。

ブラッドブルードの粘りつくような殺意ではない。聴罪師のような傲慢な蔑みも、ナハツェーラーのような恐ろしい気配もない。あのウェンディゴと比べれば、彼の身体は小柄でさえある。

サルカズがただ一人。軍隊も、従者もいない。玉座から突然に立ち上がり、意に介したこともない権力を置いて、ここまでゆっくりと歩いてきた。

そして、二百年余りの歳月の中で最も冷酷な視線を向けてきた。

[テレシス] ――

あなたが彼の姿を認識する前に、彼の剣はすでに目の前にあった。

アーミヤは死ぬ。アーミヤを放さなければ、あなたも確実に死ぬ。

この戦場に足を踏み入れたその瞬間から、彼の目標はただ一つ――あなたの胸の中に落ちた「魔王」を殺すことである。

見慣れた姿があなたとアーミヤの前に立った。

[Mon3tr] (ひどく辛そうな雄たけび)

赤く温かい液体があなたの頬、そして抱きかかえたアーミヤの手に飛び散った。

ケルシー!

その言葉が口をついて出た。

彼女が死に直面している。あるいは次の瞬間に彼女は死ぬ。

今までにその可能性をここまではっきりと感じたことはない。

[ケルシー] Dr.{@nickname}……

[ケルシー] アーミヤを連れて……撤退するんだ。

[Mon3tr] (全力の雄たけび)

[シャイニング] ケルシー先生!

シャイニングの全力の迎撃は、平凡極まりないようにしか見えない長剣をいくらかそらしただけだった。

クロージャが必死にあなたを引っ張り、あなたはアーミヤを抱きかかえる。

あなたたちは、ドローンに引かれて素早く後退した。そして血まみれのケルシーは……いまだあなたたちを庇ったまま。

[ケルシー] ……テレシス……

[Mon3tr] (弱々しくもがく)

[テレシス] ……お前は再びサルカズを敵に回すことを選択したか。

[テレシス] 二百年前、お前がテレジアのそばで生き返るのを私は見ていた。一度はカズデルを滅ぼした諸悪の根源、老いを飼い慣らした不滅の者よ。

[テレシス] お前は彼女のために多くのことを成し、我々では永遠に見ることのできないはるか遠くの幻を語った……

[テレシス] どれほど口惜しいことか。

[ケルシー] ゴホッ……ゴホゴホッ……

[ケルシー] ……き……君はただ、破滅へのプロセスを加速させているだけだ。

[シャイニング] ケルシー先生、これ以上は――

[シャイニング] うっ!

[テレシス] 己の行いがなんたるかは理解している。だがサルカズは、先んじて破滅を迎える。お前たちの冷酷な計画により生存の権利を奪われるのではなく。

[ケルシー] ……違う!

[テレシス] もはや話す力もあるまい。お前はリッチのトランスポーターを阻止した、大したものだ。軍事委員会は彼奴らの痕跡さえ見つからぬ。

[テレシス] だが、お前たちの対話が決して愉快なものではなかったことは見て取れる。

[テレシス] あの時、私がお前に警告したように――

[テレシス] 私はいま一度お前を葬るぞ、ケルシー。

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