aklib_story_光冠残蝕_10-10_往日の影_戦闘前

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光冠残蝕_10-10_往日の影_戦闘前

仲間を救うために工場の奥深くへと侵入したフェイストたちはヘドリーに遭遇した。自救軍とアーミヤ小隊の撤退を援護するため、Wがしんがりを買って出る。


[ハイディ] いけない。こちらです、皆様急いでください! 火の光に続いて、煙の中を抜けてください!

[ロンディニウム市民] 魔族……!

[W] ん? それは、何かのミキサー?

[W] そんな馬鹿げたオモチャでサルカズの傭兵を傷つけられると思ってるのかしらね……ロンディニウムのネコちゃん?

[ロンディニウム市民] こ、来ないで!

[ハイディ] ……大丈夫ですよ。こちらへ、私の後ろへ隠れてください。

[ハイディ] こちらの傭兵さんは……良い人には見えませんが、今のところ私たちの味方です。

[W] 「味方」ねぇ? そうだったかしら。あんたもっと疑った方がいいわよ。

[ハイディ] Wさん……私から何らかの情報を得たいのであれば、もう少し協力的な姿勢を見せた方がよろしいと思います。

[W] なんでどいつも脅し文句をいちいちそんな回りくどく言うの?

[W] チッ。あんたもしかして……ケルシーの隠し子とかじゃないでしょうね?

[ハイディ] 何をおっしゃっているの……

[W] まあ、よく見てみると、ちっとも似てないし。それにあの無愛想なクソババアに子供がいるはずないものね?

[W] もういいわ、考えるだけ無駄ね。あんたたちみたいな人はほんと好きになれないわ。

[ハイディ] それはよかったです。私も今夜はこれ以上友人を作るつもりはありませんでしたから。

[W] 安心してちょうだい、ここに長居するつもりはないから。自分の首が他の傭兵からしたらどれだけ値打ちがあるかはわかってるし、慈善事業をするつもりはさらさらないの。

[W] はい、一丁上がり。

[ハイディ] 爆弾……やはりたくさん仕掛けていたのですね。これは……他の入り口から来る道を爆破したのですか?

[ハイディ] お連れの方々は? まだ敷地内の奥でサルカズ兵たちと戦っているのではありませんか?

[W] それって今すぐ答えてほしいことなのかしら?

[ハイディ] ……

[W] 説明しても時間の無駄だから、結論だけ教えてあげる。

[W] ――みんな死んだわ。

[ハイディ] ……死んだ?

[W] あんたの救出が簡単な任務だとでも思ってるの? お嬢さん、あたしがここ数ヶ月ロンディニウムでせっせと味方につけたやつらのほとんど、このボロ工場が死に場になったわよ。

[W] チッ……これ以上赤字にしないでもらいたいわね。それで、もう出発しても大丈夫かしら?

[ハイディ] もう一度人数を数えます……

[ハイディ] はい、南の建物にいた方たちは全員脱出されていますね。

[W] というかね、人数が多すぎるのよ。あたしが受けた任務はあんた一人を迎えに来ること。ケルシーに言っておいてちょうだい、約束した報酬の倍払ってってね。

[W] ウサギちゃん、そこのフード被った化け物を連れてきなさい。そろそろ――ちょっと、あんたたちなにぼうっとしてるの?

[アーミヤ] ……

[アーミヤ] Wさん、前方の道はあなたが爆破したものですか?

[W] あら、でなきゃ何だっていうの? 追っ手に付け入る隙を与えるのが好み?

[アーミヤ] ですが、フェイストさんと彼の小隊がたった今突入して行ってしまいました。

[ドクター選択肢1] 彼らは救助に向かった。

[ドクター選択肢1] クロージャ、彼らと連絡を取ってくれ。

[W] ……子供じゃあるまいし、じっとしてられないわけ?

[ホルン] ブレイク、前方の状況はどう?

[ヴィクトリア兵士] 全員倒れてます。

[ホルン] 了解。そのまま前進して。

[ヴィクトリア兵士] ホルンさん、左!

[サルカズ戦士] ダ……ダブリン……殺す!

[ホルン] 残念だけど、トドメを刺したのはダブリンではないわ。

[ヴィクトリア兵士] ……またか? ここまで来るのにどれだけのサルカズが倒れていたんだ?

[ホルン] 二十六人。

[ヴィクトリア兵士] すべてダブリンがやったのでしょうか?

[ホルン] そうみたいね。

[ヴィクトリア兵士] ホルンさん、こんなこと言うべきかわかりませんが……

[ホルン] ……ダブリンのおかげでだいぶ手間が省けたわ。

[ホルン] それを認めるのは恥ずべきことでも何でもないわ。これまで私と一緒に、どれだけサディアン区に身を潜めていたの、ブレイク? 生き延びるには、利用できるものはすべて利用しなければならない。

[ホルン] 行くわよ、次は左のこの扉。

[ホルン] ――準備はいい?

[ヴィクトリア兵士] ――

[ヴィクトリア兵士] ホルンさん、誰もいません。

[ホルン] よし。では右。

[ホルン] ロッベン、角の方には注意して。敵が廊下から突然現れるなんてサプライズはいらないもの。

[ロッベン] 了解。

[ホルン] 今よ、行って!

[捕虜の兵士] ゴホゴホッ……ゴホゴホゴホッ……来るな、魔族! 俺たちは……俺たちは何も言わねぇぞ!

[ホルン] ……見つけたわ。

[捕虜の兵士] お……お前は……

[ホルン] あなたの同胞よ。

[捕虜の兵士] まさかな……ハハ……戦闘の音が聞こえて、アーツの光が見えたから……また魔族が新しい拷問方法を思いついたのかと思ったぜ……

[ホルン] ひどい目に遭ったわね。

[ホルン] そこのヴィクトリア兵士、立てるかしら?

[捕虜の兵士] 兵士……久しぶりにそう呼ばれたな。

[捕虜の兵士] お前は上位将校か? 何をしに来た? どのツラ下げてここに立っている――

[ホルン] ――

[ロッベン] なんだその言い方は! 私たちはお前を助けに来たのだぞ!

[捕虜の兵士] 助けてどうする? また騙すだけだろ? 俺はお前らが異種族とグルになって考えたロクでもねぇ企みの巻き添えを食らって、死ぬことになるんだろ?

[捕虜の兵士] バカにすんじゃねぇぞ、「将校」さんよ! だったら俺たちはこの尋問室で死んでやるよ!

[ホルン] ……わかったわ。

[ホルン] ロッベン、クロスボウを構えて。

[ロッベン] ……ホルンさん? それって……

[ホルン] 弾薬の無駄遣いはしたくなかったのだけど、仕方ないわね。知ってると思うけど、どんな資源も今の私たちにとっては貴重だから。

[ホルン] でも……彼らは同胞。かつてヴィクトリアのために責務を全うした兵士でもある。

[ホルン] ここで死ぬことが彼らの最後の願いだとしたら、私たちの矢を使うに値するわ。

[捕虜の兵士] ……

[ホルン] ……

[捕虜の兵士] ほんとに殺す気か?

[ホルン] ……ええ。

[ホルン] お望み通りこの暗い部屋の中で死ねるわ。ロンディニウムはあなたを忘れるでしょうね。

[ホルン] そしてもう何年か経てば、この古い工場は誰からも関心を持たれなくなって、腐った塵があなたの骨を完全に覆い隠すでしょう。

[捕虜の兵士] ……

[ホルン] あるいは、引き金を引く前だったら、矢の使い方を変えることはできるわ。あなた、このクロスボウを使う気はある?

[ホルン] これを持って、私たちと一緒にここから出るの。

[ホルン] もちろん、それでもあなたが希望した通り、すぐに敵の砲火で死ぬことになるかもしれない。

[ホルン] でも死ぬ前に、あなたは夜空を眺めて、鉄錆とオイルの匂いに満ちた空気を吸う時間がある――

[ホルン] ついでに、同じ空気を吸っている人たちを想像してみてもいい。あなたが一番生きていてほしい人を。

[ホルン] その人たちはあなたの犠牲を忘れないでしょう。私の命でもってそれを保証するわ。

[捕虜の兵士] ……

[捕虜の兵士] あいつらは……そうだ……あいつらは多分まだ生きている……

[捕虜の兵士] 俺は……

[ホルン] 考えはまとまった? 迷ってる暇はあまりないわ。

[捕虜の兵士] ……

[捕虜の兵士] 俺に武器をくれ。一緒に行く。

[ホルン] ほかの人は? 私たちと一緒に来る気はある?

[ホルン] よし。ブレイク、あなたの小隊は七……ううん、九人増えたわ。

[ホルン] あなたたち、ここを出る前に、私に名前を教えて。

[アーミヤ] クロージャさん、自救軍の小隊に連絡はつきましたか?

[ドローン] ちょっと待って……やっとこのドローンを再起動できたとこだから……前のやつとは作りが違うんだよ!

[アーミヤ] ……私たちは危険な状況にあります。

[アーミヤ] ハイディさん、先にほかの民間人を連れて逃げてください。自救軍第三隊の人が外で待ってい……

[アーミヤ] Wさん!?

[W] チッ、あたしが残してきた地雷が全部爆破されたわ。これが、どういう意味かわかるでしょ? どれだけの兵士があたしたちを追ってるか想像できるかしら?

[W] あんたたち、人だけじゃ飽き足らず、あたしの爆薬の在庫まで全部使い切らせるつもりなの――

[ドクター選択肢1] 五分だ。

[ドクター選択肢2] これ以上は待てない。

[アーミヤ] わかりました、最大であと五分待ちましょう。

[アーミヤ] クロージャさん、すぐにフェイストさんに連絡してもらえますか。あと五分だけ彼とロックロックさんが戻るのを待てます。

[アーミヤ] ドクター、私たちも戦わなければなりません。

[フェイスト] ビル、正直に言ってくれ……太ったろ? どうしてこんなに重てぇんだ……

[ビル] ハ……ハハ……これでどうだ?

[フェイスト] お、ちょっと軽くなった。

[フェイスト] なにこれ、手品かなんか?

[ビル] バカ言うな、兄弟、俺はただ……姿勢を変えただけだ。ゴホゴホッ……

[フェイスト] あー、姿勢なんて変えなくていいから。怪我がもっとひどくなったらどうすんだよ。

[フェイスト] さっき見つけた時、あんなに血が流れてたんだ。俺はもうあんたが……

[ビル] ……死んでるんじゃないかと思ったか?

[ビル] ハッ……ハハッ……あの魔族どもじゃ俺を殺せないさ! あんなのただの……マッサージ……程度……クソ……死ぬほどいてぇ……

[フェイスト] しゃべんな! 頼むから休んどけ!

[フェイスト] ロックロック、出口は見つかった? この辺の部屋はサルカズに改造されてんな、回りすぎて頭がくらくらするぜ。

[ロックロック] 隊長、数分前に、戦闘音が聞こえたよ。

[ロックロック] 恐らく出口はこの近くだと思う……

[ビル] うぅ……

[フェイスト] ……ビル、やっぱり何か話してくれよ。このまま眠られたら嫌だからな。

[フェイスト] こないだ戦いで勝った時にさ、あんた俺に褒美が欲しいって言ってきたろ。何だったか覚えてるか?

[ビル] えぇ……フルーツの缶詰?

[フェイスト] なーにがフルーツの缶詰だ、この野郎。ハガネガニのミニロボットが欲しいって言ってたろ。金融街に住んでる姪に次会った時にあげるんだろ!

[ビル] そうだったな、腹が減りすぎて頭が回らないんだ……お前の記憶力が良くて助かるよ。

[フェイスト] このっ。記憶力が良くてたまるか! あれから何日もちゃんと眠れてないんだ。任務に出る以外はあんたのためにあれをずっと作ってるんだぜ……

[フェイスト] やっとさ、もう少しで完成するんだ。だから俺のためにもここは持ちこたえて、帰ってからさっさと取りに来いよな!

[ビル] ゴホッ……ああ……わかったよ、隊長。

[ロックロック] 足音がする!

[ロックロック] しまった、隊長、サルカズだ――!

[サルカズ戦士] 奴らはどっちへ向かった?

[サルカズ戦士] 見えたか? 地面に血が残ってる。奴らは遠くまでは行けない。追うぞ!

[ロックロック] 早く行かないと。

[フェイスト] うぅ……

[ロックロック] 隊長、あたしも一緒にビルを支えるよ。

[ビル] お前たち二人に支えてもらわないと歩けないなんて、ほんと情けない……

[ロックロック] そんなこと言わないでよ。ビル、あたしたちは家族だって君が言ってたんでしょ。家族は助け合うものだよ。

[自救軍戦士] 隊長! 奴らが追いついてきました!

[フェイスト] ジョニー、できるだけ足止めしてくれ! ガビ、さっき渡した手榴弾は持ってるよな? 頃合いを見て投げてくれ、援護が必要だ――

[自救軍戦士] わかりました!

[フェイスト] ロックロック、このままロック十七号に前方の道を探らせて。俺たちが逃げられるかどうかは、全部……

[ロック十七号] 右だよ、早く!

[フェイスト] よし、右に行くぞ!

[フェイスト] 待て……今誰がしゃべったんだ? ロック十七号? こ……こいつ急にしゃべれるようになったのか?

[ロック十七号] ……それってどこのおバカなエンジニアのジョークかな?

[ロック十七号] 苦労してようやくこのドローンのシステムをハッキングしたんだよ……あ! 誤解しないでねロックロック。改ざんはしてないよ、システムの作りが単純すぎるだけ。

[フェイスト] ……

[ロックロック] ……クロージャさん?

[ロック十七号] そそ、あたしだよ。君のドローンにあたしの音声素材を搭載する時間なんてなかったから、電子部品で発声を真似るしかないんだよね……はぁ、あんま可愛くないよね?

[ロックロック] いや……結構似てると思うけど。

[ロックロック] 次はどっちに行けばいいの?

[ロック十七号] 左……あ、だめだめ、左にサルカズがいるよ。あっ、あたしが言ってるのは敵のサルカズね! 早く後ろに向かって――

[ロックロック] 後ろは敵がもっといる。

[ロック十七号] なら……ならどうしよう……

[ロック十七号] そうだ、上だよ、上に行こう!

[ロックロック] は?

[ロック十七号] えっと、君たち空飛ぶ装置持ってたよね? なんだっけ、そうジップライン! 君たちの真上にちょうど通気口があるの見える? 多分一人通るのに十分な大きさがあるはず――

[フェイスト] ……確証はないってこと?

[フェイスト] クロージャさん、俺たちには重傷者がいんだよ。ミスったら、誰も逃げられないぞ。

[ロック十七号] うーん……ロックロックにドローンの制御を手伝ってほしいんだけど……

[ロックロック] いいよ。

[ロックロック] 言って、あたしはどうすればいいの?

[フェイスト] ロックロック……クロージャさんをそんなに信頼してるのか?

[ロックロック] だったら教えて。他に何か脱出方法はあるの?

[フェイスト] ……

[自救軍戦士] 隊長! 奴らがもう来ます! 先頭のサルカズが見えました!

[フェイスト] 急げ、クロージャさん、ロックロック、通気口を開けてくれ!

[ロック十七号] 了解! ロックロック、早く狙って!

[ロックロック] ロック十七号――

[フェイスト] どうだ? 開いたか?

[ロックロック] あとちょっと。

[フェイスト] もう一回だ! がんばれ!

[ロックロック] ロック……

[ロックロック] 失敗した! そんな……こんな離れてるのに、攻撃が届くなんて……

[???] 今になってようやく逃げ道を見つけたか? 少し遅かったな。

[自救軍戦士] 隊長、俺が押さえます、隊長たちは早く――

[???] 蛮勇は戦場において何ら役に立たないぞ。

[フェイスト] ジョニー!!!

[フェイスト] ロックロック、通気口は――

[ロックロック] ど……どうしようも……

[自救軍戦士] 隊長、私に考えがあります。まだ二つ手榴弾が残っているので、これを使えば、いかに硬いサルカズだろうと……

[自救軍戦士] えっ? そんな……手榴弾を真っ二つに? 爆発すらしないなんて……

[自救軍戦士] 隊長、こいつただのサルカズじゃありません――

[フェイスト] ガビ!

[ヘドリー] 残念だが、俺はただの平凡な傭兵だ。

[ヘドリー] この程度で……お前たちは本当にマンフレッドに、さらにはテレシスに勝とうというのか?

[ヘドリー] 無謀な挑戦だ。

[フェイスト] サルカズ……俺が作ったのは手榴弾だけだと思ってんのか?

[ヘドリー] あんなもの、煙が出る玩具にすぎない。手榴弾とは呼べん。

[ヘドリー] サルカズの身体を吹っ飛ばせる爆弾は、こんなちゃちゃな代物じゃない。

[フェイスト] ……

[ロック十七号] フェイスト、ロックロック、聞こえる? ドローンの調整はし直したよ……でもチャンスは一回だけ……急いで、お願いね!

[フェイスト] ロックロック――

[ロックロック] ――

[ロックロック] やった、成功した! 隊長、脱出できるよ!

[フェイスト] 先に行け!

[ロックロック] いや、ビルと一緒の君から行って――

[フェイスト] ……わかった!

[ロックロック] サルカズ、追わせないよ!

[ロックロック] あたしは家族を守るんだ。君には……君たちには家族を傷つけさせない。絶対に思い通りにはさせない……

[ロックロック] ロック十七号!

[ヘドリー] ドローンが自爆した?

[ヘドリー] だがそれでも……あまりに軽い。そよ風だな。

[ロックロック] 隊長……行って……早く……

[ヘドリー] フェリーン、教えてくれ。一人の戦友を救うために、二人の命……さらにはより多くの命が犠牲になるかもしれない。このような交換は本当に合理的と言えるのか?

[ヘドリー] 彼らはみな死に際に隊長を呼んでいたぞ。

[ヘドリー] お前は彼らの犠牲を背負えるのか?

[フェイスト] ……俺は一人も死なせたくない。

[フェイスト] ロックロック、つかまれ!

[ロックロック] え?

[ヘドリー] ……

[ヘドリー] またワイヤーを使ったか? 賢いな。だが、青い。

[ヘドリー] こんな小細工では……戦場で生き延びることはできない。

[ヘドリー] またすぐに会うだろう、未熟な反乱軍の戦士。お前たちはわかっていない……この煉獄から生きて帰ることなど不可能だ。

[アーミヤ] クロージャさん、フェイストさんたちは来ましたか?

[W] ――四分五十秒が過ぎたわよ。

[W] カウントダウンしてあげようかしら?

[アーミヤ] ……

[アーミヤ] 私たちは……

[フェイスト] アーミヤさん!!

[アーミヤ] 来ました!

[アーミヤ] えっと、フェイストさん、あなたたち三人だけですか? 他のお二人は……

[ロックロック] ……

[フェイスト] ……あいつらは来ない。

[フェイスト] アーミヤさん、すぐにこっから離れよう。

[フェイスト] あのサルカズが来る。あいつはヤバい、それに人数も多くて、俺たち……俺たちは待ち伏せされてた!

[フェイスト] クロージャさんがいなけりゃ、誰も戻れなかったよ……

[フェイスト] 俺たちが行くのを知っていた。あんたたちがここにいるのも、絶対に知っている。あいつら待ってたんだ……罠なんだよ、早く行かないと間に合わなくなる!

[W] チッ、もう間に合ってないわよ。

[W] クソ、今のが最後で、威力が最大の地雷よ。

[ドクター選択肢1] また最後の地雷か?

[ドクター選択肢2] これで何個目の最後の地雷だ?

[W] うっさいわね、{@nickname}。そうよ、まだ爆弾はあるわよ。一個だけね。で、それは誰のために用意したものか当ててみなさい、遠慮しないでいいわよ。

[ドクター選択肢1] 緊張しているのか?

[ドクター選択肢2] 手強い奴なのか?

[W] ……今の爆発、音がおかしかったのに気付かなかったの? あぁ、わかったわ、あんたってフードの下はすっからかんなのね。

[W] サルカズのこわーいお話をしてあげましょうか。あいつはあたしの罠をそもそも踏んでないの。避けただけじゃないわ、地雷のアーツ構造までうまく破壊したのよ。

[W] もう少し説明してあげましょうか? そうよ、これらの地雷を設置するのに大して苦労はしないけど――

[W] 前回、これと同じように地雷を全部不発にしたのは、あの不愉快な龍女なのよ。

[W] タルラがここにいるわけない、でしょ?

[W] ちょっと、ウサギちゃん、その顔は何? だってあの女は……

[W] クソ、{@nickname}、あんたもケルシーも……ほんとクソね!

[W] おめでとう、{@nickname}。たった今、あんたを爆破順番待ちリストの二番目にしたわ。

[ドクター選択肢1] それは怖い知らせだ。

[ドクター選択肢2] ……

[ドクター選択肢3] ありがとう。

[アーミヤ] Wさん、まだ共有できていない情報がたくさんあります。まずは撤退を……

[W] ……撤退? 簡単に言うわね。

[W] 喜びなさい、追っ手はタルラじゃないわ。あのドラコの炎特有の傲慢臭さがないもの。だけど……

[サルカズ傭兵] ここを囲め!

[サルカズ傭兵] ――八隊九隊、壁の向こう側へ行け! あっちの道を塞ぐんだ!

[アーミヤ] ……こんな短時間でこれだけの人数を?

[アーミヤ] いけません、ドクター、ハイディさんたちがまだ完全に脱出できてません!

[フェイスト] ごめんよ、アーミヤさん……

[アーミヤ] 今はその話はやめましょう。話すなら、無事戻ってからにしてください。

[フェイスト] ……わかった。

[アーミヤ] ドクター、ここは私が……ええっ、Wさん、な、なんでつかむんですか?

[W] ウサギちゃん、あんたは体力を温存しておかなきゃでしょ。こいつらを見てみなさい、職人、怪我人、ろくでなし……どいつに戦闘力があるっていうの?

[フェイスト] うっ……確かに間違っちゃいないけど、俺らだって全力を尽くすって……

[ロックロック] あたしたちは……ゴホゴホッ……足を引っ張ったりしない。

[W] やめてちょうだい、あたしの足には、そもそも引っ張られるような余分なお肉はないの。いいから黙って逃げることに体力を使いなさい。

[W] はぁ……こんなことほんとは言いたくないんだけど。ぜんっぜん、あたしっぽくないじゃない。

[W] でもハイディは生きててくれないと。あのクソババアに、はっきりしてもらわなきゃいけないことがあるから。

[アーミヤ] Wさん……

[W] ウサギちゃん、そこどいて。連れて行くべき人を連れて行って、燃えないゴミを残さないようにしてね。

[アーミヤ] ……

[アーミヤ] Wさん!

[W] ん?

[アーミヤ] ……どうかご無事で。私たちはあなたを待ってますから。

[W] 早く行きなさい。それとも爆弾でお見送りしてほしいのかしら?

[W] ……やっといなくなったわね。

[W] 変なことばかり言っちゃって、まるであたしたちが本当に仲良しみたいじゃないの。

[W] それであんたは――

[W] まだ爆破させ足りないわけ? すぐに、このへん何も残らなくなるわよ。

[W] これは……石? 何のつもり? ジョークなら、全然笑えないんだけど?

[W] おめでとう、あんたあたしを怒らせたわ。

[W] チッ……本当は無駄遣いはしたくないんだけど。

[W] さっさと出てきなさい。今言うとおりにしたら、ばらばら死体にしないって約束してあげるわよ?

[W] コホコホッ、あっぶなーい。その剣、あたしに届くまであと爆弾二つ分だったわね。

[???] また随分と成長したな、W。

[W] えっ……なんで――

[W] なんであんたなのよ?

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