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怒号光明_R8-4_一触即滅の「火種」_戦闘後
監視隊を撃退したタルラは、命拾いした村人たちにもてなされた。そして、タルラはこの経験をアリーナに話して聞かせるのだった。
[アリーナ] それで、その人たちを追い払ったの?
[タルラ] ああ。
[アリーナ] 私は一緒に行かなくて正解だったみたいね。人が焼けるにおい……あんなものをまた嗅いだら、きっと吐いてしまうもの。
[タルラ] アリーナ、無理して私と一緒にいようとしなくていいんだ。
[アリーナ] ううん……私は自分からあなたについていくって言い出したのよ。あなたと一緒に行きたいの。
[タルラ] ああ。私がお前たち感染者たちを守り抜いてみせるさ。
[アリーナ] 違うの。私は守ってほしいなんて――
[タルラ] わかってるさ。アリーナがいないと、物資や情報の収集もままならないからな。
[アリーナ] それより、誰と連絡を取ってたの? よかったら教えてくれない?
[タルラ] ……
[アリーナ] 私がウルサスのスパイじゃないかって疑っているの?
[タルラ] 違う、アリーナをこんなことに巻き込みたくないだけだ。
[アリーナ] 感染者になった時点で、これ以上悪くなることなんてないわ。
[タルラ] ……連絡を取っていたのは、他の都市の感染者だ。
[タルラ] 彼らから都市の動向を探り、凍原で苦労している感染者をなんとか助けたいと思っている。
[アリーナ] すごいことを……しているのね。
[アリーナ] その正義感は一体どこから来ているの? 誰かに教わったもの?
[タルラ] 違う。
[タルラ] 私が受けた教育は、邪悪で狂っていた。統治の傲慢さと権力の恐怖に満ちていた。
[タルラ] だからそいつを反面教師にした。奴らの偽善的な仮面を剥ぎ取り、力を誇示するためだけの貴族都市を一つ一つ破壊して、この雪原に生きる全ての人に真実を伝えたい……
[タルラ] そして、私たちは自らの手で自身の運命を決めるのさ。
[タルラ] この大地を切り拓き、自分たちの楽園を作り上げる。邪魔するものは何だろうと排除する。
[タルラ] そもそもこの大地は感染者のものでもある……大地の全ては、元よりこの地に生きるもの全員に与えられたものだ。
[アリーナ] ……もっと現実を見て、タルラ。その考えは手の届かない話よ。
[アリーナ] タルラ、あなたがそんなことをすれば、この村はもう本当におしまいよ。帰る場所を失って、監視隊に追われ続ける身になってしまうわ。
[タルラ] 私が何もしなくても、あの村は荒廃の一途をたどるだけだ。
[アリーナ] 誰もがあなたのように戦士になれるわけじゃないわ。たとえ痩せた土地でも老人、子供、病人にとっては生きていくために必要なの。捨て去ることなんてできないのよ。
[タルラ] わかっている、アリーナ。だからこそ新たな土地を見つけなければならない。
[タルラ] さぁ、こっちだアリーナ。今晩は泊まる場所があるんだ。
[アリーナ] はぁ……
[タルラ] 泊めていただいて感謝する。
[感染者] とんでもない! 君がいなかったら、みんな死んでいたところだ。まあ、今でも死人同然の生活だがな。
[感染者] 最初はきつく当たって悪かったな。しかも武器まで向けた。こんな腑抜けを許してくれ。
[感染者] もてなすほどの物は残ってないが、麦粥が少しある。食べてくれ。
[アリーナ] ありがとうございます。でも、大丈夫です。
[感染者] いや、どうせ余り物だ。持ってあと数日、大して変わらないよ。
[感染者] 平和に暮らせる村を作ろうとこんなに遠くまで来てみたが……意味なんてなかった。
[感染者] 逃げ切れるわけがないんだ。ウルサスは広いと言っても監視官はあちこちにいるし、他に受け入れてくれる場所もない……俺たちに行くあてなんてないのさ。
[タルラ] それなら、私と行かないか?
[感染者] ……行くってどこに? 今からか?
[タルラ] 今でなくてもいい。
[タルラ] 考えが決まれば――もしくは本当に八方塞がりになって、それでも生きていきたいなら、私か仲間に連絡をくれ。
[タルラ] 凍原での暮らしは……厳しさを増す一方だ。
[タルラ] 私たちにはまだ行ける場所が、未開の地がある。田畑を耕して収穫が見込める土地を見つければいい。それに、仲間もたくさんいる。それぞれの村で助け合いながら商売をすれば、収入も得られる。
[タルラ] いずれにしても、生き延びることができる。
[感染者] でも、監視隊がまた来たらどうするんだ?
[タルラ] ――奴らを打ち負かせばいい。
[感染者] 何だって?
[感染者] ……冗談だよな?
[タルラ] 私にはできるし、お前たちにもできる。あの時、私に武器を向けたことも決して間違いではない。
[タルラ] 略奪者は、団結して追い払うまで。感染者にだってその力はある。
[タルラ] 少しずつでいい。私たち感染者も自分の人生を取り戻すんだ。
[タルラ] まず手始めに必要なのはパン。それから……火だ。
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