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苦難揺籃_7-18_愛国者の死_戦闘前
パトリオットはロドスの前に立ちはだかっている。彼を越えるには彼を倒すしかない。
[ケルシー] 久しぶりだな、ボジョカスティ。
[パトリオット] 貴方は……
[パトリオット] ケルシー、士爵?
[パトリオット] 何故、貴方は……歳を取って、いない?
[パトリオット] 盾兵。遊撃隊、そこで、待機。全員ここに、来る必要は、ない。
[盾兵] はっ。
[パトリオット] 士爵。
[ケルシー] その話し方……病変は喉か?
[パトリオット] いや。ただ、長引いた、結果だ。うまく、話せなく、なっている。
[パトリオット] 士爵……まさか、再び、貴方に会える、とは。
[パトリオット] なんとなく、覚えている。私と一族が、離れようと、した時、貴方と殿下は、止めなかった。
[ケルシー] ずいぶん昔の話だ。
[パトリオット] 当時の、私の行動は、若気の、至りによる、ものだ。全てが、勢い任せの、行為だった。私は、殿下のことを、誤解していた。
[ケルシー] ……まだ彼女のことを殿下と呼ぶのだな。
[パトリオット] 王は、王だ。
[パトリオット] 私がかの地を、離れた時、彼女が、まだ王座に、君臨して、いなくとも。そして今、既に亡くなっていると、しても。
[アーミヤ] …………
[ケルシー] カズデルの君主とウルサスの皇帝を、今でもはっきり別物と考えているのだな。
[パトリオット] 私なりに、考えは、ある。この考えは、戦争に左右、されるもの、ではない。私が仕えた、者たちは、皆この世を、去った。
[パトリオット] 私は既に、ウルサスを、祖国と思って、いる。私の陛下も、ウルサスの、広い大地に、還った。
[パトリオット] 遠い昔だ、士爵。私たちが、離れた時……
[パトリオット] あの頃はまだ、我が一族は、ここまで、没落して、いなかったが、虫の息も同然だった。
[パトリオット] だが貴方は、変わっていない。歳月は、貴方を、変えられぬのか。
[ケルシー] いや、私たちは変わったのだ、ボジョカスティ。私はもう過去の私ではない。
[ケルシー] ボジョカスティ……何故カズデルを離れた?
[パトリオット] 離れた、理由か……それを言えば、笑われる、かもしれない。
[パトリオット] カズデルを、離れたのは、人を殺すのが、嫌だった、からだ。
[パトリオット] ……しかし、それからの、私の一生は、皮肉にも、人を殺し、続ける日々、だった。
[ケルシー] 君の意志は世情に左右されず、血管には熱い血が流れ続けている。笑われるようなことではない。君は尊敬に値する。
[パトリオット] 買い被り、過ぎだ、士爵。私の犯した、殺人について、否定する、ことはできない。確かに私は、大勢の人を、殺した。
[パトリオット] 士爵、知っているか? 私のこの呼び名が、どういう理由で、つけられた、ものかを。
[ケルシー] 君の部下は、君こそがウルサスのために戦う戦士だと思っている。君はウルサスの未来のために、不公平、迫害、暴虐と戦ってきた。
[ケルシー] そうじゃないとでも言うのか?
[パトリオット] (首を振る)
[パトリオット] たとえ戦いが、必然のもので、正義の名を、冠したとしても、忌々しいものに、変わりはない。
[パトリオット] 多くの、虐げられた者、のために、我々は戦争を、起こす。だが、戦争は、また多くの、人を殺す。
[パトリオット] 戦争が、終われば、もし本当に、終わることが、できれば、我々は全員、死罪だ。
[ケルシー] だが、戦争は永遠に終わらない。
[パトリオット] それでも私は、死ぬ。
[パトリオット] ただ、価値のある死、を望む。感染者と、ウルサスの、今とは、異なる未来、少しでも、マシな未来の、ために。
[パトリオット] 何度か、同胞に、カズデルのこと、を尋ねた。貴方と殿下は、長く共にいたと、聞いた。彼女は、貴方を信頼、していた。
[パトリオット] ならば、私も貴方を、信じよう。
[パトリオット] 貴方が、ロドスを、ここまで、導いたのは、血を流す、ためでは、ない。
[パトリオット] ……後ろの、二人から、私の娘の、死の匂いが、するとしても。
[ケルシー] ――!
[ドクター選択肢1] 自分と……アーミヤから……?
[アーミヤ] パトリオットさん……
[ドクター選択肢1] フロストノヴァは自分たちに試練を――
[パトリオット] いい。それ以上、言うな。
[ケルシー] ロドスに報復するか、「パトリオット」?
[パトリオット] いや、士爵。そのような、ことを、するつもりは、ない。
[パトリオット] 何故、彼女の、個人的行為の、ために、他人に報復、する必要が、ある?
[パトリオット] あれは、彼女自身が、選んだ道。それが、どこに続くと、しても。
[ドクター選択肢1] 貴方の娘は全力で戦った!
[ドクター選択肢2] 彼女は強かった。
[ドクター選択肢3] フロストノヴァの意志は固かった。
[ドクター選択肢1] 彼女は我々を認めてくれた。
[パトリオット] 黙れ。
[ドクター選択肢1] ……何?
[アーミヤ] ……パトリオットさん?
[パトリオット] あの子の、年齢では、誰彼構わず、無闇に信頼を、寄せるような、愚行を犯して、しまう。
[パトリオット] 事実、私たちが、信じてきた、ものは皆、最終的に、馬脚を現した……全て、善人の、皮を被った、悪党だった。
[ドクター選択肢1] 何だと……!?
[アーミヤ] でもパトリオットさん! フロストノヴァさんは、アーツも、自分の命までも、全部、全部……
[アーミヤ] 彼女は全てを投げ出してまで、自分自身を……その怒りを、理想を証明しようとしたんです!
[アーミヤ] 彼女の命には価値があるんです!
[パトリオット] 言うな。君にそんな、ことを、言う資格は、ない。
[アーミヤ] あ……
[ケルシー] (アーミヤ、やめるんだ。これ以上は言うな。)
[パトリオット] 君に、何が、わかる?
[パトリオット] 娘の病が、重症でなければ、諸君を、簡単に殺せた。鎌で稲穂を、刈り取るよう、に。
[パトリオット] だが、諸君と娘の、間に、何が起こった、のかは、興味がない。
[パトリオット] そんなことは、どうでもいい。何の証明にも、ならない。
[ドクター選択肢1] タルラが、この中枢区画を龍門にぶつけようとしてるんだ!
[パトリオット] そして、この移動都市が、ウルサスの領土、だと、主張している、のだろう?
[ドクター選択肢1] なぜそれを知っている!?
[ドクター選択肢2] …………
[ドクター選択肢3] わざわざ教える必要はなかったようだな。
[アーミヤ] パトリオットさん……じゃあどうして……
[パトリオット] 策略家の、やり口は、幾つも、知っている。そして、策略家の、考えは、どれも大して、変わりがない。
[パトリオット] だが私は、道を譲る、わけには、いかない。レユニオンは、自壊しては、ならないのだ。
[パトリオット] 私まで、裏切り者に、なっては、いけない。私が裏切ったら、全ての感染者、全ての、闘争から、大義が失われ、敗北に、終わる。
[パトリオット] タルラが、既に、狂気に陥って、いるとしても……
[パトリオット] 感染者たちに、どう伝えると、いうのだ? 私たちを、導く者は、狂人、あるいは、裏切り者だ、と?
[パトリオット] かつては、正しかったが、今は、間違っている。今まで、従っていた者を、処刑しろ、と?
[パトリオット] 未来の、歴史書の、レユニオンの、説明に、「感染者が、内乱を、起こし、後に、消滅」、などと、記される……そんな、ことは、許さない。許すわけには、いかない。
[ケルシー] だがその前に、レユニオンは自身の重みを支えきれなくなるのだ。既にタルラは、裏でレユニオンを内部分裂させてしまった。
[パトリオット] 貴方の、言う通りだ、士爵。
[パトリオット] だから、貴方はここに、来ている。
[パトリオット] 私は、あらゆる敵と、向き合う準備が、できていた。
[パトリオット] だがまさか、その敵が、結局、感染者だとは。
[ケルシー] ……本当にそう決まったと思うか?
[ケルシー] ボジョカスティ……君には命を投げ出すという選択肢以外にも道はあるはずだ。
[パトリオット] 選択肢? 私の選択は、一つのみ、だ。
[パトリオット] 貴方たちを、殺す。
[アーミヤ] パトリオットさん、今は無駄な犠牲を増やすべきではありません。この戦い……フロストノヴァさんの時と違って、どちらが負けても敵の思惑通りになってしまいます!
[パトリオット] 違うな。
[パトリオット] コータス人の、娘よ、これは、戦争だ。
[パトリオット] 私にやめろと、言うが、何故私が、やめなくては、ならない?
[パトリオット] あまりに、多くの戦争を、経験してきた。ウルサスの、ウェンディゴとして……
[パトリオット] 野蛮な種族、骨肉を、食い尽くす、畜生の、群れを、我々は、浄化した。
[パトリオット] 生臭い、手足、百の眼、千の指、醜い怪物を、我々は、殲滅した。
[パトリオット] ヴィクトリアの、蒸気の甲冑。カジミエーシュの、銀槍の天翔馬。ラテラーノ城の、教皇銃騎士。無数の戦士に、我々は、全勝した。
[パトリオット] しかし、我々は、自身には、勝てない。帝国の、貪欲さには、勝てない。同胞の死には、勝てない。
[パトリオット] 我々、ウェンディゴは、サルカズの中で、最も死に、近い。
[パトリオット] 貴方たちは、私の娘に、死を与えた。
[パトリオット] この大地には、死よりも、残酷な運命が、ある。
[パトリオット] 何故私は、戦いを、やめるべき、なのだ? 人としての、道徳を、誰が私に、求めている?
[パトリオット] 私は、正義だと、評されて、いるから、素直に、受け入れる、べきだという、のか?
[パトリオット] 私は、運命に、弱者とされて、いるから、全てを、受け入れる、べきか? それとも、強者と、されているから、全てを、背負うべきなのか?
[パトリオット] 裏切り者、反逆者、虐殺者、守護者……
[パトリオット] 呼び名など、全て、「パトリオット」と、同じ、ただの、戦争の、残滓だ。
[パトリオット] ロドスよ……
[パトリオット] 諸君は、私の娘を、殺した。私も、諸君を、殺す。
[パトリオット] 報復のため、ではない。復讐心など、私には、ない。
[パトリオット] 私の娘は、抗うことを、諦めた、だけだ。
[ドクター選択肢1] 違う!
[ドクター選択肢2] …………
[ドクター選択肢3] そうじゃない。
[パトリオット] 彼女が諦めて、いなかったので、あれば、命を落とした、挙句に、諸君を取り逃がす、はずはない!
[パトリオット] 私は、信じない。
[パトリオット] 目に見えるもの、しか、信じない。手に触れるもの、しか、信じはしない。
[パトリオット] 私の、娘の、ために、諸君と、敵対する、つもりは、ない。
[パトリオット] ……だが、私は、運命が、憎い。
[パトリオット] それを、打ち砕き、灰にする。
[パトリオット] もし、運命が、諸君を介して、私を、変節させようと、するのならば……
[パトリオット] 私は、永遠に、振り返る権利を、放棄する。
[盾兵] ……大尉! まさか……
[パトリオット] 私の行為が、不名誉だと、思う者が、いれば、挑戦を、受ける!
[パトリオット] だが、命が惜しいと、言うならば……ここで、別れよう。
[パトリオット] お前たちを、無駄死にさせたく、ない。私はあまりに、多くの、勝利を手に、してきた。そう、勝利し、過ぎたのだ。その道理は、嫌というほど、わかっている。
[アーミヤ] まさか……
[ケルシー] ボジョカスティ、君は生きていていいのだ。愚かな行動はよせ。
[パトリオット] 士爵、貴方も、失う気持ち、を知っている、はずだ。
[パトリオット] 貴方が、私の立場なら、何もせずに、いられるか?
[ケルシー] ボジョカスティ……
[パトリオット] 私の血脈が、忠誠を、誓っているのは、もうあの方では、ない。今の私の、祖国は……ウルサスだ。
[パトリオット] だが、あの方が、亡くなる時、我々は聴いた。あの。長く響く……嘆きを。
[ケルシー] …………
[ケルシー] まさか君にも感じられたとは……
[ケルシー] あれは彼女のアーツを含んだ波動エネルギーが、大地を通じて全てのサルカズの体内に響き渡った瞬間だ。
[ケルシー] ほんの一瞬だったが、君がそれを感じ取ったということは……君の血脈が十分に古のものだということを意味する。
[パトリオット] ……今と、なっては、血の繋がりの、ある者すら、いないほどだ。
[パトリオット] カズデルに、生まれたのに、鉱石病に、感染しなかった。まさか、老いて、初めて、感染者に、なろうとは、思いも、しなかった。
[パトリオット] これは、正しいこと、なのか?
[パトリオット] 士爵、我々は皆、知っている。この大地の、全ては、正しいから、起きている、わけではない。
[パトリオット] 逆に、この大地の、大半のことは、間違いでしか、ない。
[パトリオット] 戦士たちは、みな口々に、私ならば、過ちを知り、改めることが、できると、言う。しかし私は、もう引き返せない。
[パトリオット] 貴方は、失ったものの、ために、ここまで、戦ってきたのか?
[パトリオット] 私は、そうではないと、思う。
[パトリオット] 貴方は、失ったからこそ、もう二度と、失わないようにと、心に決めた。
[ケルシー] …………
[パトリオット] 私の娘は、もういない。
[パトリオット] 私は、死んだ彼女の、ためには、戦わない。生きている、全ての、感染者のため、最後まで戦う。
[パトリオット] レユニオンは、敗北できない。
[パトリオット] レユニオンは、全ての感染者を、解放しなければ、ならない。
[サルカズ傭兵] 彼と彼の兵士に情報を伝えたい……だと?
[サルカズ傭兵] 何を伝えるんだ?
[ロドス前衛オペレーター?] お前たちは遊撃隊を陥れようとしてる……他のウルサス人感染者を扇動して、彼らを殺させようとしている。
[ロドス前衛オペレーター?] 彼らが一般人に手を出さないと知っているから。
[サルカズ傭兵] 憎しみこそが最強の武器なんだ。そいつに狙われたら誰も生きちゃいられない。
[ロドス前衛オペレーター?] でも彼は死なない。
[ロドス前衛オペレーター?] 彼はパトリオットだ……全ての伝説は最後は一つに帰結する。彼の鎧も、武器を振るう姿も、俺は見たことがある。
[ロドス前衛オペレーター?] 彼は絶対に死なない。彼と彼の部隊こそが、レユニオンの最も屈強な戦士だ!
[ロドス前衛オペレーター?] お前たちは感染者を害するつもりだろう。お前たちサルカズは人の命をなんとも思ってないようだが、彼は違う!
[ロドス前衛オペレーター?] 彼はウルサス人で、サルカズで、感染者だ! しかし彼はどの立場であっても、悪辣な真似は絶対にしない!
[ロドス前衛オペレーター?] ……彼はただのウルサス人でも、サルカズでも、感染者でもない。彼はパトリオット、愛国者だ。そう名乗れるのは彼しかいない。
[ロドス前衛オペレーター?] 彼は、お前たちの攻撃を防ぎ、侮蔑を一蹴し、打ち負かすだろう。そして感染者を立て直し、彼らの憎しみを振り払う……
[ロドス前衛オペレーター?] 彼はパトリオットだ。彼は死なない。
[ロドス前衛オペレーター?] そしてお前たちは、策略家に飼われた卑劣な蛆虫に過ぎない。
[サルカズ傭兵] …………
[サルカズ傭兵] お前は自分がここで死ぬと感じてるから、そんな事を言うんだな。
[サルカズ傭兵] その予感は当たってるよ。
[サルカズ傭兵] パトリオットはしぶといだろうが、お前は違う。死んでもらうぞ。
[パトリオット] だから私は、ここを一歩も、譲らない。
[パトリオット] 中央エリアを、通りたければ、私を殺せ。
[パトリオット] たとえ逃げても、遊撃隊は、どこまでも、諸君を追う、だろう。しかしそうは、ならない。私が諸君を、逃さない。
[パトリオット] 諸君は、私に、殺される。
[パトリオット] 諸君の価値は、私を殺した、後に、証明される。もしもそれが、できなければ、諸君は、ただの、侵入者だ。
[ドクター選択肢1] 一体何を考えている!?
[ドクター選択肢2] ……理解に苦しむ。
[ドクター選択肢3] 言ってることが意味不明だ。
[パトリオット] 諸君に、価値があるとは、微塵も、思わない。
[パトリオット] 諸君が、どうやって、我が一族の、巫術に、対抗できたかは、知らないが、これ以上、ウルサスの、戦術を前に、諸君は、太刀打ち、できない。
[ドクター選択肢1] そこまで自分たちが憎いのか?
[パトリオット] 彼かを、憎んでなど、いない。
[パトリオット] ただ、諸君を、信じない。信じるはずが、ない。
[パトリオット] たとえ士爵、貴方が率いて、いるとしても……
[ケルシー] 君は私たちを認めない、と。
[パトリオット] 運命の作った、偶然など、何一つ、信じない。
[パトリオット] 戦争。
[パトリオット] 戦争には、正しいも、間違いも、ない。
[パトリオット] 被災者も、迫害される、者も、奴隷にされる、者も、戦場には、いない。戦場の外には、いるが、ここには、いない。
[パトリオット] 戦場に出る、なら、覚悟をする、べきだ。
[パトリオット] 強いて言えば、死んだ方が、間違いで、生き残った方が、正しい。
[ロスモンティス] この人を理解するのは、無理……
[オペレーター] 何の話……? どうして戦うかって話?
[パトリオット] 諸君が、戦わなければ、踏み潰される。
[パトリオット] 諸君が、抗っても、踏み潰される。
[パトリオット] 私に、勝てなければ、な……
[パトリオット] もし運命が、私の味方、なら、諸君を、殺してから、そいつをも、殺す。そいつが、誰かを、二度と、嘲笑えなく、なるように。
[パトリオット] もし、運命が、諸君と共に、在るのなら……
[パトリオット] 私はただ、足を踏み出す、のみ——
[ケルシー] ——!!
[ケルシー] オペレーター全員、直ちに退避!
[パトリオット] 私は、進軍する。
[ケルシー] 我々の交戦相手は、レユニオンの指揮官、通称「パトリオット」!
[ケルシー] 彼の鎧、彼の力、彼の身体は、君たちの戦士に対する想像を遥かに凌駕する。
[ケルシー] 彼は感染者だ。おそらく源石が、既に彼の生理機能の多くを奪っている。喉にある結晶は……全身の高い源石融合率の証明だ。
[ケルシー] 以上が、各データから導き出された結論だ。
[ケルシー] 通常は致命傷となる攻撃も、彼に実質的ダメージを与えられない。源石が絶え間なく増殖し、宿主の体組織を代替するからだ!
[ケルシー] ウェンディゴの身体は、元々並外れた強靭さと修復力を持つ。だが感染が彼にもたらしたものが、病なのかそれとも進化か、我々には知り得ない。
[ケルシー] しかし、どんなに彼が強靭でも、我々は彼を倒すしかない。
[ケルシー] 彼を倒して初めて、我々は中央エリアを抜け、ブリッジに向かい、レユニオンを利用しようとする真の敵の元へ行けるのだ!
[ケルシー] 彼の衛兵たちは、まだ彼の突発的な行動によって混乱状態にある。今が最初で最後のチャンスだ。
[アーミヤ] 先生……
[ドクター選択肢1] どういうことだ?
[ドクター選択肢2] ……なぜだ?
[ドクター選択肢3] どうしてこうなった?
[ケルシー] ……我々は彼の歩む道の途上にある一つの分岐点に過ぎない。我々の目的は、彼にとって何の意味もない。
[ケルシー] 彼にとって、我々との戦争と、「今すぐタルラを殺しに行くこと」とは並列の事象であるはずだ。だが彼からしてみれば、後者の方がより重要であり、考慮する価値があるらしい。
[ケルシー] 平たく言えば、彼は我々を見下しているのだ。
[アーミヤ] 先生がいても、ですか……?
[ケルシー] たとえ帝国の皇帝であっても、彼に頭を下げさせることはできないのだ。ましてや私など。
[ケルシー] それでもやる以外に道はない。彼自身の死をもって……刮目させ、耳を傾けさせて、我々の成す全てのことに価値があると気づかせ、我々が彼よりも強いと認めさせるのだ。
[ケルシー] だが彼自身が変わることは決してない。戦争以外の全て……君たちが大切に思う全てが、彼にとってはあまりに脆過ぎた。彼の重圧に耐えられないほどに脆い……
[ケルシー] アザゼルのヘラグは、このサルカズの性質を見誤った。
[ケルシー] ボジョカスティがどんなに高尚な人間でも、どれほど多くのものを背負っていても、その前に彼は、一人の屈強な戦士だ。
[ケルシー] フロストノヴァは、君たちを信じたからこそ、最後の時間を君たちに預けたが……彼は違う。
[ケルシー] 彼は他の誰も信じない。自分自身しか信じないのだ。
[ケルシー] (……それが表向きだけだとしても。)
[ケルシー] 戦闘準備だ。戦争だけが結果を決められる。
[ケルシー] ――戦争でしか彼を殺せないのだ。
[パトリオット] 英断だ、士爵。
[パトリオット] 遊撃隊も、もうすぐ態勢を、立て直す。
[パトリオット] 諸君に、許された時間は、あと数分しか、ない。
[パトリオット] これ以上は、語らない。
[パトリオット] 私は、理解を、求めない。ただ戦争に、勝つのみだ。
永遠に理解されることのない、「怪物」と呼ばれる恐ろしい戦士が目前に立ちはだかる。
だがあなたは思い出す。隣にも同じように「怪物」と呼ばれるが、全てを理解できる戦士がいることを……
アーミヤは、あなたの手を握り締めた。
[パトリオット] ロドスよ、私は進軍する。
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