aklib_story_局部壊死_6-3_二人の迷い子_戦闘後

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局部壊死_6-3_二人の迷い子_戦闘後

グレースロートはファウストと遭遇した。緊張の局面だが、ファウストはグレースロートのシンプルさに思うところがあるようだ。 結局ファウストは引き金を引かずに、グレースロートをその場から逃すのだった。


どれだけの人が、お前の目の前で命を落とした?

[ファウスト] ……。

[レユニオン構成員] (ウルサス語)

[ファウスト] ああ。俺が持って帰るよ。

[レユニオン構成員] ……(ウルサス語)……?

[ファウスト] そうだ。チェルノボーグへは行かない。

[ファウスト] 安心してくれ。

[レユニオン構成員] ……。

[ファウスト] ここは安全だ。

[ファウスト] 少し眠れ。

どれだけの人が、俺の目の前で命を落とした?

[???] 武器を下ろせ!

[グレースロート] ……一人だけ?

[ファウスト] ……。

[グレースロート] 振り向かないで。動けば撃つ!

[ファウスト] 狙撃手なら、まず撃ってから喋るものだ。

[グレースロート] なっ? 身体が……消えた?

[グレースロート] 違う……情報資料に書いてあった。あんたは敵指揮官の一人、ファウスト。そんなアーツじゃ私を欺けない!

[グレースロート] あんたのアーツは視覚上のものに過ぎないって知ってる。私が引き金を引けば、あんたはどちらにせよ貫かれる。

[ファウスト] いいや。

[グレースロート] ——!

[ファウスト] 姿の見えない俺の動きが読めるのか?

[グレースロート] ……。

[ファウスト] 俺たちは、どちらもはぐれものの狙撃手だ。ここで同時に引き金を引けば、どちらも死ぬ。

[ファウスト] 名前は?

[グレースロート] コードネームはグレースロート。いつの間に私の後ろに?

[ファウスト] お前が三度目の瞬きをしたときだ。

[ファウスト] ……実直な奴だな。

[グレースロート] あんたも自分のチームとはぐれたんでしょう。私は敵意のない人を傷つけたくない。

[ファウスト] 俺たちは敵同士だ。

[グレースロート] ロドスは感染者を救おうとしている。それに私はあんたが感染者を助けているのだって見た。

[ファウスト] ……あれは俺の戦友だからな。だがお前は敵だ。

[ファウスト] ロドスになぜこんな幼稚な奴がいるんだ?

[グレースロート] そうね、私は幼稚かもね。命令に従うことしかできないから。自分で決断をしようとしても、何もできない。

[ファウスト] それなら、覚えておけ。

[グレースロート] 指を離して!

[グレースロート] あんたのクロスボウに連射機能はない。だから私があんたの一発を躱したら、あんただけが死ぬ。撃たないほうがいい。

[ファウスト] ただ命令に従い、誰かに追従するだけの奴は、最後には皆恐ろしいものに変わる。

[グレースロート] どうして?

[ファウスト] そんな奴らのほとんどは、盲目的に従いこそすれ、たじろぎ、震えることもあるだろう。誰かに依存しきっているというよりは、ただ考えることを止めているだけなんだ。

[ファウスト] ……そうやって自分の方向を失った奴らは、他人の願望を叶えることで達成感と存在感を得るだけの機械と同じだ。

[ファウスト] 機械のように起動して、作動し続けて、投げ込まれた願望を実現させて、周りのものを全てを喰らい、願望を投げ込んだ奴まで喰らい尽くす。

[グレースロート] 私は違う。

[ファウスト] お前はまだ経験が浅い。

[グレースロート] あんたがさっきの感染者と話していたのを聞いた。あんたは正しいことをしてる。

[ファウスト] お前が正しいと思うかどうかは、俺には関係ない。

[グレースロート] ファウスト、あんたはずっと近衛局を避けて行動している。それに孤立した近衛局員を見つけても、撃とうとしなかった。私はそれを一部始終見ていたから。

[ファウスト] ……俺の忍耐を軟弱さだと履き違えるな。もし待ち伏せしていたのが俺じゃなければ、お前は今ごろ死んでいる。

[グレースロート] でもあんたはそうしなかった。

[グレースロート] あんたは疲れてる。同じ武器を使う者として、その疲労は手に取るように分かる。強く張り詰めたままのワイヤーは、いつか切れてしまうでしょうね。

[ファウスト] ……お前は狙撃手のくせに、口数が多すぎる。

[グレースロート] あんたもあの特殊な感染者に遭遇したんでしょ。何か対処方法を考えた方がいい。

[ファウスト] お前の言う通りかもしれない。

[グレースロート] 待って!

[ファウスト] だが、方法なんてものはないんだ。

[グレースロート] (動き始めと同時に消えた!? ……これじゃ動きを読めない!)

[グレースロート] ……。

[グレースロート] ……えっ?

[グレースロート] どうして私を殺さないの?

[ファウスト] お前は俺を撃たなかった。だから俺も撃たない。

[ファウスト] だが次はこうは行かない。お前が俺を殺さなければ、俺がお前を殺すだけだ。

[グレースロート] 私に敵意はない!

[ファウスト] それが一番悲しいことさ。

[ファウスト] ……お前には答えを教えてくれる人が必要なのかもしれない。そうでなければ、お前には理解できない。

[ファウスト] 簡単な話だ。殺して、殺されて、そんなことは日常茶飯事だろう。お前たちロドスだってそこからは抜け出せない。

[グレースロート] ……どうして私たちと一緒に彼らを助けてあげられないの?

[ファウスト] ——そうしたいのは山々だが、それは無理だ。

[ファウスト] もう俺を追うな。

[ファウスト] お前は奴らのことを知らなすぎる。頭の中にあるのは、誤解と錯覚だけだ。

[ファウスト] ……だが俺には、もう何も方法は残されていない。

どれだけの人が、俺が何かしたせいで死んだ? どれだけの人が、俺が何もしなかったせいで死んだ?

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