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急転直下_4-2_雨の中を歩く_戦闘後
アーミヤは、スラム街でとある子供に出会う。その子は感染者の立場を知りながらも無邪気な夢を語り、そうした姿がアーミヤの心に問いを投げかけた。 彼女はしばし自問自答し、そこでふとチェンの姿を見かける。チェンはスラムの子供と会話をしており、見たことのない眼差しすらをも見せるのだった。
[アーミヤ] ……
[子供] あっ! そ、そこどいてっ!
[アーミヤ] きゃっ!?
[子供] ご、ごめんなさい! ぶつかるつもりじゃなかったんだけど……!
[アーミヤ] ううん、大丈夫。そうしてすぐに謝れるなんて、立派だね。
[子供] わわ、そうかな? えへへ……
[子供] ところで、お姉さんはここで何してるの?
[子供] この辺は雨が降ってるし、雨宿りしたほうがいいんじゃない……?
[アーミヤ] ええっと……ううん、その……少しお散歩してただけだから。
[アーミヤ] それより君、何か手伝ってほしいことがあるんじゃない?
[子供] えっ! どうしてわかったの!?
[アーミヤ] ふふっ、ないしょ。これはお姉さんの秘密だからね。
[子供] ええ~? ……んー、まあいっか!
[子供] じゃあさ、お願いがあるんだけど――
[子供] うーん……でも、やっぱり無理かなあ……お姉さん、背が小さいし……
[アーミヤ] もう、そんなこと言っちゃダメだよ! 君に比べたら、私のほうが背が高いでしょ!
[子供] わわ、ごめんって!
[子供] それじゃ……とりあえず、やってみる? えっとね、この板どかすのを手伝ってほしいんだ。
[子供] 下敷きになってる蓄音機を持って帰りたくてさ。
[アーミヤ] これ? うん、やってみよっか。
[子供] じゃあいくよ。いち……にの……さん! えいっ!
[アーミヤ] ! できた!
[アーミヤ] ……っ、これは……
[子供] わあっ、お姉さん力持ちだね! ありがとう!
[アーミヤ] うん、でも……この蓄音機、壊れてるみたいだよ。
[子供] 大丈夫大丈夫! 見つけた時にはもう壊れてたしね。いつか、これをちゃんと直して使えるようにするつもりなんだ。
[子供] 実は僕、みんなのためにレコードをいっぱい集めててさ。まあ、自分でも、一度も聴いたことないんだけど……
[子供] でも、いつかみんなに聴かせてあげようと思って!
[アーミヤ] ……
[アーミヤ] ……難しい目標のはずなのに、簡単なことみたいに口に出せるなんて……
[アーミヤ] ……私、何のために行動してるのかな。……私にできることって、何だろう……
[子供] ……あのさ、お姉さんは僕のこと、怖くないの?
[アーミヤ] ううん。……どうして、怖がられると思ったの?
[子供] だって僕、鉱石病なんだよ!
[アーミヤ] あははっ、私もそうだよ。
[子供] え~っ! こんなに可愛いのに感染者なんて、もったいない……
[アーミヤ] ――
[アーミヤ] 感染者になったからって、全部台無しになるわけじゃないんだよ。
[アーミヤ] だって、たとえ君が感染者でも、そうじゃなくても――いい子でいたなら、その事実までは変わらないでしょう?
[子供] ん~……そうなの? よくわかんないや……
[子供] (ぐう……)
[アーミヤ] ……もしかして、お腹ぺこぺこ?
[子供] ……うん……
[アーミヤ] ……じゃあ、これあげる。って言っても、これしかないんだけど……
[子供] えっ、いいの? やった、ありがとう!
[子供] ……あれ? そういえば……お姉さんって、なんでここに来たの?
[アーミヤ] それは……
[アーミヤ] ……私が……
[アーミヤ] ある人と、約束したからなんだ。
[子供] ――お姉さん、またね!
[アーミヤ] うん、またね!
[アーミヤ] ……
[アーミヤ] ……
[アーミヤ] あの子みたいな子供でも、結局、最後には……
感染者め。お前たちはもう、人ではない。
[アーミヤ] 私にできることを、もっと……もっと考えないと……
[アーミヤ] ……どうして……全員を守ることは、できないんだろう……
お前にできるはずがない。
[アーミヤ] そんな……
飢餓、迫害、そしていずれ訪れる凄惨な死……
感染者の末路など、ほかにはない。
[アーミヤ] そんなこと、ない……
[アーミヤ] ロドスが、感染者のために立ち続ける限り……!
お前は数少ない恵まれた人間の一人だ。そんなことを言えるのは、そのためでしかない。
[アーミヤ] 違う……! 多くの人が団結して、同じ目標に向かって努力し続けているからこそ、私は……!
この大地は、すでに麻痺してしまったんだ。
[アーミヤ] ……いいえ、まだそうはなってない。
[アーミヤ] 感染者を、絶望の淵に追いやらせはしない……!
アーミヤ。
怒りに身を任せるが良い。
ただのそれだけで――
[アーミヤ] ……ダメ。
[アーミヤ] 絶対に……そんなこと、しない。
[アーミヤ] だって、私は……
[アーミヤ] あの人と、約束したんだから――!
[アーミヤ] ……?
[アーミヤ] この声は……?
[女の子] あのお姉ちゃんが教えてくれたんだ。このお人形は、誰かのために作るから意味があるんだよ、って!
[女の子] だからね、これ、龍のお姉ちゃんのために作ったの!
[女性の声] ――――
[アーミヤ] 今聞こえたのって、もしかして……
[アーミヤ] !
[アーミヤ] やっぱり、あの後ろ姿は――
[アーミヤ] チェンさん?
[女の子] ――――
[女の子] ――――――――
[女の子] ――――! ――――――!
[女の子] ――――――――!
[女性の声] ――――――
[チェン] ん……
[アーミヤ] ……
[チェン] ……
[アーミヤ] あの、チェン隊長……
[チェン] …………
[アーミヤ] ……
[アーミヤ] ここで、何をしていらしたんですか?
[アーミヤ] なんというか、私はてっきり……
[チェン] キミには関係ないだろう。
[チェン] 単に、龍門の問題は、すべて私の管轄下にあるというだけの話だ。
[アーミヤ] ……
[アーミヤ] …………
[アーミヤ] ……チェン隊長……
[アーミヤ] 初めて見た……
[アーミヤ] 彼女が、あんな目をしているところなんて……
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