aklib_story_狂人号_SN-2_広場南の道_戦闘後

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狂人号_SN-2_広場南の道_戦闘後

アビサルハンターたちの登場で、邪教徒は散り散りになっていく。ウルピアヌスと名乗る狩人が暗躍し、カルメンとグレイディーアもまた接触を果たす一方で、エリジウムは、邪教徒の残した資料の中から手掛かりを発見したようだ。


[Alty] 助けに行かなくていいの? あのおじいさんのこと。

[ケルシー] そう言う君は、椅子から立ち上がろうともしていないようだが。

[Alty] 私がやる必要はないもの。

[ケルシー] そうか。私も、まだ名目上はイベリアの囚人なのでな。大審問官を心配するような立場でもないんだ。

[ケルシー] ゆえにひとまずは、我々二人の話し合いを進めるとしよう。

[Alty] そうね。私たちはこの町に、まあ……しばらくはいるつもりよ。

[Alty] もしもあなたとアビサルハンターたちが失敗したら、その時はイベリア人を連れてここを離れるわ。そうして、ステージ上の役者たちを移動させるように、彼らにぴったりの場所へ逃がしてあげる。

[Alty] まあ、あのクールなおじいさんが話を聞いてくれれば、ってことにはなるけどね。

[ケルシー] ……君たちは、この大地に生きる人々を助けようというのだな。

[Alty] そうなるかしらね。――私たちの中ではFrostは若いほうで、私とDanは大体同い年、Ayaはちょっとだけ年上って感じなんだけど……

[Alty] こういう長い尺度で生きてると皆、心から愛するものなんて……音楽しか残ってないのよ。

[Alty] だけどその一方、人類のひ弱な身体と脆い精神は、彼らにその短い一生の中で、いわゆる突破口を見つけることを余儀なくさせ――

[Alty] 彼らはそれをやり遂げた。……本当にすごいことだと思わない?

[ケルシー] ……そうだな。

[Alty] でしょ? それなのに、海はヘヴィメタルがお気に召さないみたいでね。

[Alty] つまり、私たちにも選択肢はないのよ。生き残るためって観点からしても、今いる陸地のほうが魅力的だしね。

[ケルシー] ならば、この国に君たちの声を聞かせるのは、難しいことではないだろう。秘密を開示し、彼らの傷に触れ、二度とあのような災厄は起こらないと約束するだけで良い。

[Alty] そんな簡単にいくかしら?

[ケルシー] 無論、その「約束」を以て欺くだけに留まるのならば、事はより簡単に済むだろうな。

[慌てふためく町民] う、うわああっ! か、怪物が……!

[慌てふためく町民] だから裁判所に通報しようって言ったのに! あああ、誰か、誰か助けてくれ……!

[恐魚] ギュ……グギュ……

[慌てふためく町民] ひっ――!

[グレイディーア] ……合流地点を選んだのはケルシーなのだけれど。これでは、お世辞にも素敵な場所とは言ってあげられないわね。

[グレイディーア] 一体何が起きているのかしら?

[慌てふためく町民] あ、ありがとう、助かったよ……あんた、エーギル人だよな? あんたらも外から来たエーギルなのか?

[グレイディーア] ……「も」、ですって?

[グレイディーア] ああ……AUSの皆さんのことね。――あの方々がエーギル人……ですか。

[慌てふためく町民] ……なあ、ひょっとしてあんたら、あの怪物と戦うためにここへ来たとか……? 今だって、あれをあっという間に倒してたしさ……

[グレイディーア] あら。あなた方はエーギル人に対して、よそとは違う態度で接してくださるのね。

[慌てふためく町民] そりゃあ、二十年くらい前までは、ここにもエーギルがたくさんいたからなあ……

[慌てふためく町民] ところで、こう聞くのも失礼かもしれないんだが、あんたとお連れさんは裁判所から派遣されてきたのか? 俺たち……裁判所に救援依頼を出したほうがいいのかな?

[グレイディーア] どうでしょう。私には関わりのないことですから。

[グレイディーア] ともあれ、怪我をしたくないのなら、事態が収束するまでは大人しく隠れていてくださるかしら?

[慌てふためく町民] お、おお、わ……わかったよ。

[スカジ] あいつら、そこら中にいるわよ。

[スカジ] サルヴィエントよりはまだマシとはいえ、妙な感じだわ。

[グレイディーア] ここはまだ腐りきってはいないのでしょうね。見ての通り、あの人たちは普通の生活を送っているようだし。

[スカジ] ……この町は、波の浸食を受けてないみたい。

[グレイディーア] であれば、深海の残党が身を潜めているのね。

[グレイディーア] まあ、それも当然と言えば当然だわ。あの船を目指すのならば、ケルシーがこの場所を選んだことにも理由があるのでしょうし。

[スカジ] じゃあ、二手に分かれましょうか?

[グレイディーア] ええ。私は彼女に会いに行くわ。その間に、あなたとサメであの恐魚たちを片付けてちょうだい。

[スカジ] 了解。

[グレイディーア] 相手は雑魚ばかりだけれど、怪我のないようになさいね。弱いものほど、油断を誘うものなのだから。

[グレイディーア] ……聞いているの? サメ。

[スペクター] ……なんと仰いましたか?

[グレイディーア] ……

[グレイディーア] ……スカジ。この子のこと、お願いね。私はどうにも、今のサメにはまだ慣れなくて。

[スカジ] ええ、言われなくてもわかってる。

[逃げ惑う町民] はぁ、はあっ……なんなの、あの怪物! い、一体どこから来たのよ……!?

[エリジウム] ――お姉さん、こっちだよ! この道を進んで!

[逃げ惑う町民] あっ……は、はい!

[エリジウム] ……あの怪物、数はそこまで多くないけど、明らかに目的を持って動いてるみたいだ。もしかして、誰かが指示を出してるのかな?

[エリジウム] にしても、どうも変だよねえ。まさか、地面から出てきてる……わけないか。あいつら、一体どこに隠れてたんだろう?

[エリジウム] ちょっと探ってみよう……こっちのほうはどうかな?

[エリジウム] (! 誰かいる……近いな。)

[悲しげな深海教徒] ……兄弟たちは皆、次々と身を捨てて戦っている。ただ、時間を稼ぐためだけにな。

[物静かな深海教徒] ……

[悲しげな深海教徒] この地には、大審問官に対抗しうる者などいない。戦いを選べば、死は必然の帰結となるだろう。

[物静かな深海教徒] ……だが、その死は無駄ではない。好機を生みだすものだ。

[悲しげな深海教徒] そうだな。……ひとまず、急いでこの場を離れよう。確かにここはイベリアの眼に最も近い拠点であり、手放すには惜しい場所ではあるが……

[悲しげな深海教徒] あの方がイベリアの眼に辿り着きさえすれは、大いなる変化をもたらしてくださるはず――待て。そこにいるのは誰だ!?

[エリジウム] (っ、まずい!)

[悲しげな深海教徒] リーベリだ! 逃がすな!

[エリジウム] やれやれ、参ったね……!

[アマイア] ……グランファーロは、じきに滅びの時を迎えようとしています。あなたはそれでいいのですか?

[謎の狩人] ……

[アマイア] 我々の利害は一致しているはず。となれば、そのようなことは起きてはならないのでは?

[アマイア] 裁判所とあなたの同族たちの過ぎた行いを止められるのは、あなただけなのですよ。

[謎の狩人] ――アマイア。俺は貴様をすぐにでも殺してやるつもりでいる。

[アマイア] まあ、残念。……こうして名前で呼び合えるくらいには、親しい仲だと思っていたのですけれどね――ウルピアヌス。

[ウルピアヌス] ……

[アマイア] あの灯台へ辿り着いたあとに、私に手を下すかを考えようとお思いなのかもしれませんが……ご存知の通り、あの場所は我々の最終的な目標地点ではありません。

[アマイア] 行くべき場所は、より遠くにあります。その場所でこそ、判断を下しましょう。

[ウルピアヌス] …………

[アマイア] ときに――アビサルハンターというのは、強い絆で結ばれているはずですよね? ならば、どうしてご自分の隊に戻らないのですか?

[アマイア] あなたは一体何をお考えなのでしょう。

[ウルピアヌス] 俺の見たものを貴様は知らんだろう。

[アマイア] ……ええ、仰る通り。……我々の間には、なんと単純な隔たりが存在していることでしょう。ですが、それを見ていないというのは彼女たちとて同じことです。

[アマイア] もしや、あなたたちの間の信頼はすでに失われたのでしょうか?

[ウルピアヌス] エーギルの結束は固く、俺たちの血は繋がっている。

[ウルピアヌス] 同じ目的のために、俺は己を放逐することを選んだ。それだけだ。

[アマイア] ……そうですか。

[ウルピアヌス] ――くれぐれも、彼女たちの計画を妨げんことだな。

[ウルピアヌス] 乾いた陸地にあろうとも、あの三人――グレイディーア、スカジ、そしてローレンティーナの手にかかれば、この小さな町は本のページをめくるがごとく容易く滅ぼされることになるぞ。

[アマイア] ……ふふっ。

アマイアは一瞬、本をめくっていた手を止め――

挑発に怒りを見せるでもなく、ただ自嘲気味に微笑んだ。

[アマイア] 本当にその通りですね。お気遣いに感謝いたします。

[ウルピアヌス] 俺にはあの船が必要だというだけのことだ。

[ウルピアヌス] そのためにも、グレイディーアよりも先んじねばならない。彼女たちを、何も知りえぬままエーギルへ帰すわけにはいかん。

[エリジウム] よし……振り切ったかな!

[エリジウム] しかし、まさかあんなに大勢いるとはね。……この小さな町に隠れられるとは思えないような規模だったけど……

[エリジウム] これ以上北に行ったところで、荒野が広がってるだけだしなあ。

[エリジウム] あの人たち、今まで一体どこにいたんだろう?

[グレイディーア] ……あら。

[聖徒カルメン] ご機嫌よう、レディ。お目にかかれて光栄だ。

[聖徒カルメン] 貴女が、ケルシー女史のいうところの「アビサルハンター」だな。

[グレイディーア] ――これはあなたが?

[聖徒カルメン] ああ、失礼。イベリアは常にここまで無秩序な場所というわけではないのだが、どうかお許し願いたい。

グレイディーアは暫し沈黙した。

彼女は陸地での長い生活の中で、陸上国家の後進性と弱さを目の当たりにしてきたが、同時にサルヴィエントで審問官の実力とその責任を学んでもいた。

そして、ケルシーが言っていたことを思い出し、どのように陸と付き合っていくべきかを考えた。

しばらくの沈黙のあと、彼女は口を開いた。

[グレイディーア] 私はグレイディーアと申します。エーギルの技術執政官であり、アビサルハンターの総戦略設計士を務めておりますの。

彼女がエーギルとして陸の人間と交流するのは、これが初めてのことだった。

その言葉を受けた相手はそれに礼を以て頷くと、レイピアを収め、沈黙した恐魚の死骸を跨いで歩み寄った。

[聖徒カルメン] 私はイベリア裁判所の大審問官を務めている者だ。どうか、カルメンと呼んでくれ。……それにしても、貴女を前にすると、エーギルの伝説は真実だったのだと思わされるものがあるな。

[グレイディーア] ……あなた、ほかの方とは少し違っていますのね。

[聖徒カルメン] 少しばかり長く生きているだけさ。

[グレイディーア] それで、ケルシーはどちらですの?

[聖徒カルメン] 礼拝堂だ。海から来たもう一人の客人と話しているところでね。

それを聞き身を翻したグレイディーアに、カルメンが声を掛けた。

[聖徒カルメン] 執政官殿。貴女がケルシー女史と話をしにきたというのなら、恐らくすでに彼女から同様の情報を聞かされていることだろう。

[グレイディーア] ……そうかもしれませんわね。

[聖徒カルメン] では、彼女の提案についてはどうお思いかな?

[グレイディーア] そのご質問に答える前に、まずはケルシーに会わせてくださらないかしら。無事を確かめてからでなければ、お話はできませんわ。

[聖徒カルメン] 我々は、イベリアを救いたいと心の底から願う人には、危害など加えはしない。

[グレイディーア] 言葉ではどうとでも言えますけれど――

[グレイディーア] 私はこの陸地での短い生活の中で、自らの半生で見てきたそれより多くの愚行を目の当たりにいたしましたもの。

[聖徒カルメン] そう長く暮らしていないというのなら、結論を急ぐこともないだろうに。

[グレイディーア] ですが、大きな災厄に追い詰められた人々が本性を現し、繕いようもなくなったこのイベリアの悲惨な現状こそが、現実というものです。

[グレイディーア] それに、私はあなたと議論するために訪れたわけではございませんのよ。

[グレイディーア] ケルシーはあなたの後ろの礼拝堂の中にいるのですわよね。であれば――

[聖徒カルメン] ――裁判所の協力なくして、イベリアの眼に辿り着くことなどできはしない。

[グレイディーア] ……

[聖徒カルメン] そして、スタルティフィラ号がいまだ沈まずにいるとしても――広大な海からあの船を見つけ出す方法はただ一つ。大いなる静謐をも耐え抜いた、かのイベリアの眼を使うことだけだ。

[グレイディーア] …………

[グレイディーア] イベリア人の協力など必要ありません。私たちだけでも、ほんの少し努力をすれば成し得ることができますもの。

[聖徒カルメン] そうか。ならば、この目でそれを確かめさせていただこう。

[慎重な深海教徒] 残りは何人ほどだ?

[緊張気味の深海教徒] もうほとんど残ってない。……いるとしても四、五人だ。ほかの場所へ逃げ延びた者もいたからな。

[慎重な深海教徒] わかった。……では、資料を片付けている暇はないし、これは燃やしてしまうとしよう。

[緊張気味の深海教徒] ……思えば、昔はこの町を――グランファーロを、故郷だと思っていた。

[慎重な深海教徒] お前、まだそんな雑念を残していたのか。

[緊張気味の深海教徒] いいや……今はもうないさ。さあ、焼いてしまおう。

[慎重な深海教徒] ……裁判所にこれを見られるわけにはいかない。

[慎重な深海教徒] 我々はこの知識を受け入れたことで、真に正しき知見で以て大同の世を実現しようとしているというのに……奴らはその狭い視野での価値判断で、我らを異端と見なすばかりなのだから。

[緊張気味の深海教徒] ……行こう。もう一度、繋がりを作り出す方法を探さなければ。

[緊張気味の深海教徒] 我々はいずれ、海の懐に帰ることになるのだからな。

[エリジウム] (行ったみたいだな……それにしても、単なる寂れた食堂だと思ってたら、ここも連中の拠点だったとはね。……礼拝堂から2ブロックしか離れてないのに、大胆すぎないか?)

[エリジウム] (そういや、今燃やしてたのは……何かの資料かな? 早いとこ火を消さないと!)

[エリジウム] (だいぶ焼けちゃってるけど、間に合いそうな分だけでも――)

[エリジウム] っ、あちちち……!

[エリジウム] ふ~……これは図面かな? 何かの機械に見えるような……でも、文字のところは焦げちゃってるなあ。

[エリジウム] と、こっちは……イベリアの歴史書? それに、海流関係の論文まであるみたいだ……

[エリジウム] ……あの連中、一体何をするつもりなんだか……んー、ここに書かれた名前は……ブレ……オガン? 王室付きの造船技術士……か?

[エリジウム] それから、ここに描かれてるのは……広場にあった彫刻かな……?

[エリジウム] ――ッ!

[ウルピアヌス] その手に持った資料を捨てろ。それは破棄すべきものだ。

[エリジウム] 君は――

本来、対話はエリジウムが自信を持って得意とするところであり、大抵の問題を解決に導いてくれるものだ。

だが、目の前の相手はチャンスを与えてはくれず、すぐさまその刃を閃かせた。

[エリジウム] ちょっと! いきなり何するのさ!

[ウルピアヌス] ……

[エリジウム] ケルシー先生、聞こえますか!? 奴らの目的は――

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