aklib_story_ドッソレスホリデー_DH-3_銃を手に_戦闘前

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ドッソレスホリデー_DH-3_銃を手に_戦闘前

大会が次第に白熱していく中、ユーシャは危険分子の痕跡を見つけた。しかし、彼女はその場においては深追いしないと決めたようだ。 一方その頃、チェンはミヅキという名の選手を助けるべく、路地で派手な戦いを繰り広げるのだった。


[D.D.D.] 大会をご覧のエブリバディ! 現在、試合開始から三十分以上が経過してるよ。だけど驚くべきことに、金塊を手に入れたどのチームも、試合をさっさと終わらせようとは思ってないみたいだね。

[D.D.D.] どうやら、今回の参加者たちは全員欲張りさんってことらしい!

[D.D.D.] パンチョさん、この状況をどう思う?

[パンチョ] 今年の大会はとても熾烈なものになりそうだ。期待しているよ。

[D.D.D.] まったく仰る通りだね! きっと観客の皆も、パンチョさんと同じ気持ちでいるはずさ。

[D.D.D.] ちなみに、各サブステージでは引き続き各チームの動向を追っているよ。皆が華麗なバトルのすべてを見逃さないように、ね!

[D.D.D.] それからもう一つ! 皆、きっと見ているだけじゃ気持ちが収まらないよね! さあ、この興奮を一票に変えて、お気に入りの選手に投票しよう!

[D.D.D.] じゃんじゃんお金を注ぎ込んでこそ、選手に対する本当の愛情表現になるってもんだからね!

[面倒臭がりな女性選手] ダーリン、助けてー!

[せっかちな男性選手] 安心しろ、ハニー! 今助けに行くよ!

[苛立っている選手] チッ、このカップルはコメディ枠だと思ったのによ……! どうしてこんなに強いんだ!?

[せっかちな男性選手] ああ……ハニー、よかった! 君を失ってしまうかと思ったよ……(小声)お前、自分で何とかできるだろうが!?

[面倒臭がりな女性選手] あ~ん、怖かったあ~……(小声)*ボリバルスラング*! 私はか弱い女の子って設定なの! 無茶言わないでよ!

[せっかちな男性選手] 大丈夫、もう何の心配もいらないぞ。俺があいつらを懲らしめてやるからね! ……(小声)チッ、お前も少しは働けっての。

[面倒臭がりな女性選手] ダーリンっ……! やっぱりダーリンは最高だわ! ……(小声)何よその態度!?

[ユーシャ] (あの二人組はかなり腕が立つようね。動きが軍人めいてるし、元兵士ってところかしら。)

[ユーシャ] (カップルを装っているのは、観客からの好感度を上げるための作戦でしょうね。)

[ユーシャ] (あのイチャつき具合はやりすぎだけど、確かに、一つの手段ではあるわ。)

[ユーシャ] (本当にやりすぎだけど。)

[ユーシャ] (もしスワイヤーが見ていたら……自分もこの手の大会で、ああいう役を演じたい、なんて浮かれたことを言うんでしょうね。)

[ユーシャ] (……そう思うと、スワイヤーに知らせなくて正解だったわ。)

[ユーシャ] (とにかく、このカップルが勝つのを見ていたところで少しも面白くないし、この辺りには金塊もないみたいだから、さっさと次へ行きましょう。)

[ユーシャ] (……多分、金塊20個のほとんどが、ランドマークになるような建物とか、目立つ場所に置かれているでしょうね。そういう場所は倍率が高いに決まってるわ。)

[ユーシャ] (そんなものをわざわざ奪いに行く必要なんてない。)

[ユーシャ] (隅の方に隠されている金塊を探した方がいいわね。)

[ユーシャ] (だけど……もし、大会の騒ぎに乗じて混乱を起こそうとする連中が本当にいるとしたら。彼らは恐らく、ドローンとカメラの死角を確認してから行動するはず。そうなると、調査も進めないと。)

[ユーシャ] (同時進行になるわね……やっぱり、まずはチェン・フェイゼとも相談するべきだったかしら。うーん、さっさと置いてきたのは少し早計だったかも。)

[ユーシャ] (まあいいわ、あんな幼稚な女に相談なんてしたくないし。様子を見つつ、臨機応変に進めるとしましょう。)

[エルネスト] ねえ、チェンさん。聞いてもいいかな?

[チェン] ああ、構わないが。

[エルネスト] リンさんとは、元々友達だったんだよね?

[チェン] ……なぜ、そう思った?

[エルネスト] だって二人は、敵同士ってほど険悪じゃないでしょ。それに、確執がある割には、お互いのことをよくわかってるみたいだしさ。

[チェン] ……まあ、そうだな。

[チェン] 私たちは子供の頃、同じ小学校に通っていた同級生でな。共通の友人だっている。

[チェン] つまり、キミの推測はかなり的を射たものだ。

[チェン] だが、なぜ彼女と折り合いが悪いのかという点について、キミに話すつもりはない。

[エルネスト] 大丈夫、俺も詳しく聞きたいってわけじゃないから。チェンさんたちみたいな二人の間の確執とか、きっとそんなに単純な話じゃないだろうしね。ただの話題探しだよ。

[エルネスト] でもさ。二人はお互いに、相手がここへ来るなんて思ってなかったんだよね?

[エルネスト] だったら、何はともあれ、これも一つの縁ってヤツでしょ。リンさんともう一度、関係を築こうと思ったりはしないの?

[チェン] キミはそんなにこの件に関心があるのか?

[エルネスト] そういうわけじゃ……うーん、いや。そうなのかもしれないね。……何せこの街では皆、朝から晩までお金のことしか考えてないのが普通だからさ。友情なんてものは、すごい贅沢品なんだよ。

[チェン] ……だが、これは私が、あるいは彼女が関係を改善したいと思ったところで、簡単にそれが叶うような問題でもないんだ。

[エルネスト] ――っと、待った。チェンさん、あっちの路地を見て。

[ミヅキ] うーん……ちょっと面倒なことになっちゃったなぁ。

[ミヅキ] 周りにカメラがたくさんあるから、こっちから手を出して、やりすぎちゃうといけないし。

[苛立っている選手] チッ、さっきから何なんだよ、おい! どうやってんのか知らねえがよ、このガキ、まるで攻撃が当たらねえぞ!

[怒っている選手] なめやがって、クソガキがッ! お前ら、一斉にかかるぞ!

[エルネスト] 見た感じ、単独参加してるあの選手、待ち伏せされちゃってたみたいだね。

[エルネスト] チェンさん、どうする? 事が収まるのを待つって手もあるけど……

[チェン] ……いや。

[エルネスト] もしかして、助けに行くつもり?

[エルネスト] そんなことしても、何のメリットもないよ。この大会で赤の他人を助ける人なんてまずいないし……正々堂々、なんて考えはここじゃ通用しないんだからさ。

[チェン] わかっている。だからキミは来なくていい、ここで待っていろ。

そう言い終えるや否や、チェンは飛び出していく。

[エルネスト] ……

エルネストは少し考えたあと、チェンを追うのをやめた。

[ユーシャ] (こんな隅の方にまでカメラを配置するなんて、大会の様子を中継することだけが目的ってわけでもなさそうね。)

[ユーシャ] (だけど、さすがに一般の家屋にまでは設置しきれていないはず。多分、民家の中を撮れるのは、そこへ入った選手を追うドローンだけってところでしょう。)

[ユーシャ] (つまり、家の中であれば、そこへ入る瞬間を撮られない限り、大会側から発見されずに済む可能性が高い。)

[ユーシャ] (これを利用するのなら……ん? あれは……)

[ユーシャ] (……ふふっ、思った通り。)

[ラファエラ] 上手くいった?

[参加選手?] ああ。俺たちの方の爆弾は仕掛け終えたよ。

[ラファエラ] そう。わたしの方も、もう終わらせといたから……

[ラファエラ] うん。次のポイントに行こうか。

[参加選手?] いや、待ってくれ、さっきCチームの奴から、援護が欲しいって連絡があったんだ。手強い相手に当たったらしくてな。

[ラファエラ] 手強い相手って……誰のこと?

[参加選手?] あの『龍威鼠心』のチェンさ。

[ラファエラ] ……厄介な相手に挑むのはやめろって、お兄ちゃんが言ってたはずだけど?

[ラファエラ] やるなら、近くのチームを一つ目立たないように向かわせて。それと勝てないようなら諦めること。大事なのは仕事の方だから、戦いにこだわっちゃダメだよ。

[参加選手?] 了解。

ラファエラと青年がその場を去った後、リン・ユーシャは音も立てずに家の梁から飛び降りて、彼らがいた場所へと現れた。

その手の工作に精通している彼女は、先ほどラファエラたちが話していた爆弾をいともたやすく見つけた。

[ユーシャ] (……これ、本物だわ。となると、向こうは本気で何かを企んでるみたいね。)

[ユーシャ] (それにしても、まさかあの女の子まで関わってるとは思わなかったけど。)

[ユーシャ] (彼らが言ってた「仕事」っていうのは、多分こうして爆弾を仕掛け続けることでしょうね。ほかのチームから連絡があったとも言っていたし、単独犯ではないわね。)

[ユーシャ] (通信機器の使用は、ルール上禁止されているはずだけど、彼らは何らかの形で連絡を取り合う方法を持っているみたい。)

[ユーシャ] (まだ何か隠していることもありそうだし、このまま後をつけたところで大した意味はないでしょう。勘付かれるリスクがある以上、今はここが引き際ね。)

[ユーシャ] (さっき聞いた「爆弾」に「お兄ちゃん」というキーワード、それに「私たちを知っている」という事実。それさえわかれば今のところは十分だわ。)

[ユーシャ] (……集合の時間まであと少し。ちょうどいいわ。チェン・フェイゼの様子でも見に行きましょう。)

試合のための住民避難を抜きにしても、普段から人気の少ない路地裏が、今日この時ばかりは異様な賑わいを見せていた。

住宅の屋根、窓、ベランダ、フェンス……そこら中から、選手たちの敵意に満ちた目が、路地の中央に立つチェンを冷ややかに見つめていた。

しかし、彼女は微塵も恐れを見せることなく、高圧水銃を握りなおした。

路地の入り口には、先ほどチェンに助けられたミヅキがエルネストと共に立っている。ミヅキは驚きを顔に貼り付けていたが、エルネストの方は――どこか葛藤しているような表情であった。

だが、そんな彼らに注意を払っている者など、今のこの場に居はしない。

時が止まったかのように、路地裏は沈黙している。

唯一、湿り気を帯びた熱風に揺らされる髪だけが、この光景が静止画でないことを証明していた。

――ポタッ。

緩んだままの蛇口から一滴の水が落ち、流し台にぶつかるかすかな音が、どこからか響いてきた。――それは、穏やかな湖面に突然石が投げ入れられるのと同義だった。

瞬間、周囲の選手たちが、一斉にチェンへと襲いかかる。チェンもまた、大きく足を踏み出す。

戦いのさなかこの場に駆けつけたリン・ユーシャは、住宅の屋根から周囲の状況を冷静に確認していた。

[ユーシャ] (チェン・フェイゼの奴、相変わらずのヒーロー気取りね。)

[ユーシャ] (まったく、いつまで経っても学ばないんだから。手伝う気にもなれないわ。)

[ユーシャ] (だけど、騒ぎを聞きつけた周りのチームが、こっちへ向かってきてるわね。)

[ユーシャ] (……妨害しておきましょう。注意を引きすぎるのはあまりよくないし。)

ユーシャは準備運動とばかりに手首を軽く回すと、屋根からひらりと飛び降り、路地の入り口に着地した。

既に人影が近付いている。彼女は、小さく息を吐いて身構えた。

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