aklib_story_ウォルモンドの薄暮_TW-7_山脈の崩落_戦闘前

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ウォルモンドの薄暮_TW-7_山脈の崩落_戦闘前

スズランが新たな手がかりを皆に共有し、それについて議論を交わしていると、怒りに満ちた市民が独断でドデカフォニー通りを包囲しに行ったとの報せが入る。市民の脅威に気づいたマドロック小隊もウォルモンドに歩を進め、事態は悪化の一途をたどる。


[フォリニック] セベリンさん、天災トランスポーターだったというビーダーマンさんの資料を全部見せてください。

[セベリン] ビーダーマン……? どうして君が彼のことを?

[スズラン] あるおじいさんが、ビーダーマンさんが暴動の指揮を執り、動力炉を破壊したと教えてくれたんです。

[セベリン] ……それは、確かなのか?

[スズラン] おじいさんは、自分のことを最後の「冬霊人」だと言っていました……

[セベリン] ……彼が、まだ生きていただと? いや、偽物が嘘を騙っている可能性が高い。

[スズラン] ……私の直感ですが、あの人は嘘はついてないと思います。

[スズラン] これは、おじいさんの日記とナイフです。証拠になるかもしれないと思って、お借りしました。

[セベリン] だが、彼は……

[セベリン] 本当に、予想外のことばかり起こる……彼も、その仲間も皆……湖に身を投げたものだとばかり思っていた。

[セベリン] 会いたい……だが……私は彼に会うべきなのだろうか?

[スズラン] おじいさんは、冬霊人は諸悪の根源ではないと言っていました。

[スズラン] そして、あなたを恨んではいませんでした。たくさんお話をしてくださる間、何を語るときも、すごく落ち着いておられました。

[セベリン] 冬霊人が元凶ではないという言い分も理解できない訳ではないが……あの反乱者たちは、確かに「冬霊」と口にしていた。

[スズラン] ですから、それはただの口実で――

[セベリン] ただの口実であっても「冬霊」の名を出した彼らが、残虐行為を働いたことには変わりない。次には、食料庫を開け、全てを奪い尽くすだろう。

[セベリン] それに、冬霊の血脈はとうの昔にウォルモンドの住民と一体となっている。今となっては……ゴホゴホッ……

[セベリン] つまるところ、こちら側も反乱者も、互いに相手を信用せず、自らの生命線を握られることを良しとしていないだけだ。

[フォリニック] 死んだはずの天災トランスポーターが、生きていたばかりか、みんなを欺き、反乱を扇動した……

[フォリニック] これまでの事実を全て繋げて考えると、彼が黒幕である可能性は高いと思います。

[セベリン] ……ああ、そう考えれば納得がいく。もしビーダーマンが生きていたならば、この反乱を煽ることは可能だ。彼もウォルモンドが飢饉の危機に瀕していることは、知っていたからな。

[フォリニック] では、動機はなんでしょうか?

[セベリン] ……大裂溝。

[セベリン] あの天災後、多くの人々が街の損失の責任を、彼になすりつけた。

[セベリン] ほんの数ヶ月の間に、我々は少なくとも七回、彼への暴力事件を止めた……詳細不明の小さな事件は、それ以上に起きている。

[セベリン] 彼は自宅に閉じこもり酒に溺れると、暴力に走る傾向が見られた……アント先生が彼の家のドアを破壊するまで。

[スズラン] は、破壊?

[セベリン] アント先生は、落ち込み引きこもっていたビーダーマンに手を差し伸べた。それから、ビーダーマンはたびたび、アント先生の仕事の手伝いをするようになったんだ。

[スズラン] なんだか……悪い関係には思えません。

[セベリン] 表面上はな。だから私は、彼を疑わなかったんだ……彼は元々暗い性格だったから、アント先生と仕事をしているときにすら、笑顔を見せることはなかったとしても。

[セベリン] 良識ある住民は私と同じように、天災トランスポーターと言えども万能ではないと理解を示していたよ。だが心ない住民たちの行いのせいで、彼は復讐を考えるようになったのかもしれない……

[セベリン] 彼の気持ちを考えれば、復讐したくなるのも当然だ。もちろん、それを説明したところで、何かが解決するわけではないがな。

[セベリン] ほとんどの人々は、誰かに復讐をする想いや理由を少なからず持っているものだ。

[フォリニック] ……復讐、また復讐なの?

[フォリニック] ……あなたも分析は結構ですが、自分とは無関係だと言わんばかりの態度は止めてください。ビーダーマンさんが亡くなったと言ったのはあなたですよ。

[フォリニック] あなたは死者の身元確認を疎かにして、彼が生存している可能性をないがしろにしたんです。

[セベリン] だが彼が今も生きていると決めつけることもできん――ゴホッ――ゴホゴホッ――

[スズラン] 大丈夫ですか――

[セベリン] ――待て、外の叫び声が急に静かになった。

[セベリン] 何事だ?

[タチヤナ] 憲兵長!

[タチヤナ] 住民たちが、ドデカフォニー通りを取り囲みに行くと……!

[セベリン] 馬鹿なことを! すぐにやめさせろ!

[セベリン] ドデカフォニー通りに何が潜んでいるか、まだわからないんだ。もし「レユニオン」が潜伏していたらどうする!?

[タチヤナ] で、ですが皆さん興奮していて、私では抑えられず――!

[タチヤナ] それに、どこからか「レユニオン」のことも知ったようです……!

[セベリン] チッ……騒ぐことしか能のない馬鹿どもめ!

[マドロック] 街の動きが大きい。

[マドロック] それだけでなく……この場所を見つけた者もいるようだ。

[マドロック] 民兵団を組織して街の周囲を捜索するとは……彼らは、戦争を始める気でいるということか。

[サルカズ戦士] ……あの住民たちは、俺たちを焼き殺すつもりだ。

[マドロック] ……焼き殺す?

[サルカズ戦士] アーツはリターニアの義務教育の一環でもあるんだ。ここじゃ街の車引きですら、簡単なアーツは使える。火を放つくらいはやってのけるだろう。

[サルカズ戦士] ……ここに留まるのはもう難しい。ロドスが住民を引き連れているんだろうか?

[マドロック] ……それはないだろう。

[マドロック] 私が思うに……あの怒り狂った者たちが単独で、私たちを極悪非道の主犯格と決めつけ、駆逐に乗り出したのだろう。

[マドロック] それだけのことだ。

[サルカズ戦士] ……マドロック。

[サルカズ戦士] 忘れるな、俺たちの仲間はこの街で命を落としている。

[サルカズ戦士] 俺たちはあんたの選択を尊重する。だがあんたはその選択の意味を理解していない……まだ若いからな。

[サルカズ戦士] 言っておくが、俺たちはあんたほど、温厚ではいられない。

[マドロック] ……一度手を出せば、私たちは都市全体から追われる身となる。

[サルカズ戦士] たとえ、彼らに背を向け逃げおおせたとしても、放火殺人に反乱の扇動、街の略奪の主犯格だ。追われるのは同じことだろう。

[マドロック] ……

[サルカズ戦士] 普通のサルカズのやり方に従って、この街を破壊し尽くしてやればいい。難しいことじゃない。

[サルカズ戦士] 防衛設備の自律式アーツユニットは厄介だったが、それも彼ら自身の内紛で、もう使い物にならないはずだ。

[サルカズ戦士] あんたが一言命令を下せば、月は冬霊山脈の頭上に輝き続けることになる……春はもう訪れないだろう。

[マドロック] ……今年の冬は、長くなる。

[サルカズ戦士] さあ、決断してくれ。マドロック。

[住民] 俺たちの故郷を取り戻すぞ! 感染者と賊徒を追い出せ!

[住民] 武器を配るぞ! 男は全員受け取れ、アーツに自信のある奴はついてこい!

[カシャ] どういうこと? ホントに戦争しに行くみたい。

[グレースロート] そうね。

[カシャ] うわっ! グレースロート姉さん、いつも音を立てずに急に出てくるのはやめてよ。

[グレースロート] 少なくとも彼ら自身は……これを戦争と思っているはず。

[カシャ] 何があったの? 他のみんなの状況は?

[グレースロート] ……あまり良くない。あの攻勢はどうやらセベリンの決定じゃないみたい。もう事態は手に負えなくなってきてる……

[グレースロート] だけど、フォリニックが手がかりを見つけた。この写真を見て。彼はビーダーマン、今一番重要な容疑者の一人よ。

[グレースロート] エアースカーペはもう単独で調査を始めてる。この男の居場所をおさえてほしい。かなりの確率で、今回の反乱の発起人よ。

[カシャ] 人探しだね! わかった!

[グレースロート] ――レユニオンの状況は?

[カシャ] 廃村になった小さな狩猟村を占領してるみたい。毎日人の出入りはあるけど、あのデッカイ奴はじっとしてる。

[カシャ] あ……それと、道を探してるときに、街の外をパトロールしてる人たちを見た。

[グレースロート] まさか……

[住民] あ、あれは何だ――!?

[住民] 岩でできた巨人? アーツで――火は使うな! 岩に効くはずないだろ!

[住民] 火以外のアーツを使える奴はいないか!? あの怪物を止めろ! 早く!

[住民] だめだ! 効かない、アーツが全く効いてない! 止まらないぞ!

[住民] あんたたち劣等生はこれだから――攻撃したって止まるわけない、命がないんだもの。あれはアーツで固めた巨大な岩を動かしてるだけ!

[住民] まずはあれを操ってる人を見つけ出さないと。「蓄音機」を取り返して、それで倒しちゃえばいいわ!

[反乱する感染者] 黙って行かせると思ったか!?

[反乱する感染者] 諦めな! 何が俺たちをここまで追い詰めたのか、何がウォルモンドを瓦礫の山にしようとしてるのか、その目でしっかり見やがれ!

[住民] それはお前たちだろ!? 感染者と結託して街を奪おうとしている分際で! 死すべき冬霊人たちめ!

[反乱する感染者] この馬鹿どもが! 頭の中にゃ音楽と絵の具しか入ってねぇのか! ウォルモンドが死のうとしてるのがわからねぇのか!?

[住民] わかってるさ。だが街をお前たちに引き渡せば、その死が近づくだけだ。

[反乱する感染者] セベリンが食料備蓄量について話したことはあるか!? いつ正規の運行ルートに戻れるか説明したことはあるか? ないだろ! 俺たちにもう希望はないんだ!

[住民] あんたたちが私の家を壊したんじゃない――!

[反乱する住民] だからなんだ! お前らみたいにお高くとまった貴族様たちが、俺たちをここまで追いつめたんだ!

[住民] それが、好き放題に凶行を働く免罪符になるっていうの!?

[スズラン] ――

[スズラン] フォリニックお姉さん! 皆さんを止めましょう!

[スズラン] 私たちはもう犯人の手がかりを掴んでます。戦う必要がないのに、傷つけ合うのは良くありません!

[スズラン] 皆さんを説得して、あの議事堂に向かおうとしている人たちも止めましょう。皆さんは……ロドスのことを知っています。きっと何か良い方法が――

[スズラン] ――フォリニック……お姉さん?

[スズラン] どうして……止めるんですか?

[フォリニック] ……

[スズラン] でも今すぐ皆さんを止めないと――

[フォリニック] ……(無言で首を振る)

[スズラン] ……お姉さん……?

戦場では、一瞬という恐ろしい速さで、命が流れ去っていく。本来議論や罵り合いをする余地などない。

――いや、違う。

戦う人々は、お互いに、何を言い争うべきかすらわからないのだ。

戦場に出る意味も、無駄死にする理由も、わからない……

……武器を掲げてなお、揺るぎない理想を持ち続けられる者は、実はほんの一握りなのだから。

しかし今、私の前で彼らは争い、互いを殺そうとしている一方で、罵声を浴びせ、罪をなすりつけ、責任を押し付け合っている。

不思議なものだ。

[マドロック] ……行くぞ。

[サルカズ戦士] その態度……やっぱり嫌々なのか。

[マドロック] 嫌々……? 私たちの当初の目的はただ……いや、目的など、ウォルモンドに足を踏み入れた瞬間から、意味を成さなくなってしまった。

[マドロック] ……私たちは火災で四名の感染者を失った。私は多くを制止してきたが、ここまでの事態となったなら、他の感染者に……態度を示さなければいけない。

[マドロック] そうでなければ、我々はすぐにでも瓦解し散り散りになるだろう。怒りの炎と欲望では慰めは得られない、あの頃に逆戻りしてしまう可能性すらある……

[サルカズ戦士] あんたは本当にレユニオンのことが嫌いなんだな。じゃあそもそもどうしてレユニオンに加入したんだ?

[マドロック] レユニオンならば……

[マドロック] いや、なんでもない。

[マドロック] 戦いの時だ。

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