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ウォルモンドの薄暮_TW-2_反乱の前哨_戦闘前
フォリニックはウォルモンドを探索しながら、現地の少女タチヤナにアントについて尋ねた。しかし一行は感染者の集会に居合わせてしまい、その攻撃を受けることとなる。
p.m. 3:59 天気/曇り
移動市街ウォルモンド 感染者居住区 ドデカフォニー通り
[スズラン] フォリニックお姉さん……怒ってるんですか?
[フォリニック] 彼らの態度が何を意味するか、はっきりとわかったから……
[フォリニック] でも、ううん、アントはきっと無事よ。あの子は私たちの誰よりもリターニアに詳しいんだから!
[スズラン] はい! アントお姉さんはきっと無事です。
[スズラン] 無事だと……いいです……
[住民] ……
[住民] ……
[スズラン] この辺は静かすぎて怖いくらいですね……
[フォリニック] ええ、しっかりついて来てね。
[フォリニック] 普通の住民だけじゃなく、感染者もたくさんいるみたいね。でもそれは別に重要じゃない。
[フォリニック] さっき暴徒たちを抑えてるときに思ったの。このエリアは、規模的には小街って感じよね。
[フォリニック] そこにただ感染者たちが集まって生活してるだけで、表面上は非感染者との差別も見られないけど……
[スズラン] はい……
[フォリニック] でも実際は、感染者たちは自由を奪われてるんだと思う。あの「利用価値のある」人たちを除いてね。だってほとんどの感染者は、この小街で一生過ごすんでしょう?
[フォリニック] それって、監獄が一つの街に変わって、監獄仲間が何十倍にも増えただけよ。
[フォリニック] これを見て。このパン屋はどれほど店を開けてないのかしら?
[スズラン] あ……オリジムシが這ってます……かなり不衛生ですね。
[フォリニック] 入口のチリや落ち葉だって掃除してない、この街がまともに機能してない証拠よ。
[フォリニック] 特殊な状況にあるとは言え、街にパンを売り買いする人が一人もいないなんてありえないもの。それに公共の交通機関も止まってる。不自然すぎるでしょ……
[スズラン] も、もしかしたら前の事件で店長さんが逃げちゃったとかかもしれません……
[フォリニック] でも彼らには生きる権利があるのよ、彼らにだって――
[スズラン] 声を落としてください! シーッ! フォリニックお姉さん……!
[住民] ……
[フォリニック] 彼らを責めているわけじゃないわ、ただ……あの「武装感染者」について言ってるだけ。
[スズラン] 彼らは……
[フォリニック] あの憲兵は「サルカズ」って言ってたわよね。まずはそれを確かめないと。
[フォリニック] もしそれが私たちのよく知ってる「感染者武装組織」に関わるものなら、十分に警戒する必要があるわ。ここの状況はもしかすると、あの憲兵が言うよりずっと複雑かもしれない。
[スズラン] えっ、そうなんですか?
[フォリニック] ええ。ここでは感染者が暮らせているといっても、状況がそこまで絶望的じゃないというだけだから。
[フォリニック] やっぱり彼らは、私たちに何か隠してる。
[スズラン] フォリニックお姉さん?
[スズラン] そんなに心配しないでください、アントお姉さんはすごく頭がいい方ですから。
[フォリニック] ええ……でも……
[スズラン] さっきから、お姉さんはすごく怖い顔をしてますよ。きっと大丈夫ですから。
[スズラン] 私たちが頑張れば、うまく解決できるはずです。先輩オペレーターさんたちみたいに!
[スズラン] だからどうかリラックスしてくださいね?
[フォリニック] ……はぁ、またリサちゃんに励まされちゃったわね。私はいったいどうしちゃったのかしら。
[スズラン] えへへ、悩み事に大人も子供もないですよ。
[タチヤナ] お二方、お待ちください――!
[フォリニック] またあなた?
[フォリニック] 手伝いは要らないと言ったはずです。調査する許可さえいただければそれで……
[タチヤナ] 申し訳ありません。状況が状況ですし、お二人ともこちらには詳しくないので、何かあったときのためにと憲兵長が……トラブルが起きてからでは、私たちも責任は負えませんから……
[スズラン] ……フォリニックお姉さん。
[フォリニック] わかりました……現地の方がついていれば、こちらの住民も私たちを怖がらないでしょうし。
[タチヤナ] はい、その通りです! コホン! ドデカフォニー通りは元々ウォルモンドで最大の感染者居住区です……
[フォリニック] ですが今は諸々の事情で、抗議する人の多くがここに集まっているというわけですね。
[タチヤナ] はい。フォリニックさん、今からここで何をされるんですか?
[タチヤナ] あまりこの場所に深入りするのはオススメできません。まぁウォルモンドの現状をより深く理解するためには、適切な所かもしれませんが……
[フォリニック] ……まずは一通り回ってみます。そんなに焦ってはいませんから。
[フォリニック] もしあなたがアントについて語ってくれるのなら、それが一番なんですが。
[タチヤナ] フォリニックさんは……本当にアント先生のことを気にかけているんですね。
[フォリニック] 彼女は私の同期で、数少ない友人の一人で……何より、ロドスには欠かせない存在ですから。
[タチヤナ] ……そうなんですね。
[タチヤナ] あっ、こちらへどうぞ。ブランコ広場に繋がっている道です。
[フォリニック] アントはここで、医者として働いていたんですか?
[タチヤナ] ええっと、そうです……感染者の治療とカウンセリングなどを行っていました。
[タチヤナ] 天災トランスポーターが、大裂溝の発生を予測できず……避難が遅れたウォルモンドは、大きな被害を受けました。
[タチヤナ] アント先生は、ここを離れる選択もできたはずなのに、残ってくださいました。ウォルモンドが現在の位置に停泊してからは、感染者たちがより安心できるようにと、臨時の医療拠点まで建てられて。
[タチヤナ] アント先生は……感染者たちの英雄だったんです。
[フォリニック] ……それが、感染者を救うのが、あの子の仕事ですから。
[フォリニック] それに、本とにらめっこして勉強するよりも、身体を動かす方が好きだったんですよ、あの子。
[タチヤナ] ……
[フォリニック] ……フフ、医師なんて……本当にあの子にピッタリの仕事です。得意げな顔が目に浮かびます。
[タチヤナ] フォリニックさん、ウォルモンドにいらっしゃってから、初めて笑顔を見た気がします。
[フォリニック] ……えっ、そうですか?
[スズラン] はい、今日フォリニックお姉さんはずっと怖い顔をしていました。
[フォリニック] そう……
[スズラン] この先に……たくさん人がいるみたいですね。周辺から集まって来てるんでしょうか?
[フォリニック] ……放っておいていいんですか?
[タチヤナ] ただ集まっているだけなら、捕まえる理由にもなりませんから。
[タチヤナ] こちらに気付いたみたいです……
[住民] ……
[住民] ……
[スズラン] どうして急に静かに?
[フォリニック] おかしいわね。……いえ、彼らは誰かの話を聞いてるわ。
[タチヤナ] えっ?
[フォリニック] 彼らの後ろにいるのは、一番奥のあれは――
[フォリニック] まさか、サルカズ……?
[タチヤナ] サルカズ……?
[スズラン] フォリニックお姉さん!
[フォリニック] わかってる! こっちに向かってきた! ちょっと、あなたも気をつけて!
[タチヤナ] は、はい!
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