登録日:2022/01/18 Tue 20:43:28
更新日:2024/06/17 Mon 13:41:23NEW!
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200系新幹線電車とは、国鉄が開発し国鉄及びJR東日本が運用した新幹線電車である。
概要
東北・上越新幹線用の初代車両。
全国新幹線網計画に向けた試作車961形を元にした、962形をベースとして設計された車両である。
発表は100系よりも早い1980年であるが、「東北・上越系統の車両には百の位に偶数のものを使う」という付番体系に則ったため、100系よりも数字の大きい「200系」となっている。
先頭車のデザインは、0系に似た丸みを帯びたものと、100系に似たシャークノーズの2種類があるが、機構や性能的にはどちらも同じである。
団子鼻の先輩である0系よりも出っ張っていないことから「鼻高美人」と呼ばれていた。
後述する最新技術を多用したことから、新幹線電車では初のローレル賞を受賞している。
仕様・構造
仕様
編成 8・10・12・13・16連
車体 アルミニウム製
軌間 1435mm
電気方式 交流25000V 50Hz
制御方式 サイリスタ位相制御(不等6分割バーニア制御)
主電動機 MT201 直流直巻電動機 出力230kW
駆動方式 WN駆動
ギア比 1:2.17
起動加速度 1.6km/h/s
最高運転速度 210km/h(E・G編成)・240km/h(F・K編成)・245km/h(H編成)・275km/h(F9x編成)
設計最高速度 250km/h
減速度 2.6km/h/s
(特に初期車は)外見だけ見れば0系の色違いのように見えるが、内部的には全く別物の車両である。
ピーチとデイジーなんてものではない、ロイとクロムくらいには別物になっている。でもあろうことか青梅鉄道公園の本物の0系は一時期200系カラーにされていた。
- その1:車体の材質が変わりました
文字通り見た目だけでは分かりづらい部分だろうが、まずいちばん変わったのがここ。
0系の鋼製車体、つまり鉄から、アルミ合金になって軽量化が図られている。
…但し、耐寒耐雪装備の盛り込みなどで総重量は増えており、思ったよりも軽量化はなされてないともいうが。
いや、むしろ耐寒耐雪装備で重くなることが予想されたからこそ、軽量なアルミ合金を使用したのだ。
また二階建て車両は強度の面などから従来どおりの鋼製である。
- その2:制御方式が変わりました
0系は主変圧器の出力巻線を切り替えることで電圧を制御する「低圧タップ制御」を使っていたが、
200系は整流回路のサイリスタをONにするタイミングを調整することで出力を制御する「サイリスタ位相制御」を採用。
ただ、源流が全国新幹線網計画向け、つまり50/60Hz対応の961形にまで遡れることや、或いは当初は本当に東海道新幹線直通も視野に入れていたなどと言われることから、あまり一般的ではない「不等6分割バーニア制御」という何やら物々しい名前のシステムを採用している。
- その3:モーターがパワーアップしました
主電動機は0系の185kWから、230kWに強化。
- その4:ボディマウント構造採用しました
0系は床下機器がむき出しであったが、最初から雪の多い地域を走ることが前提となっていた200系はボディマウント構造を採用。
平たく言えば、床下機器をカバーで覆ってしまうのである。
0系は床下機器がむき出しのダイナマイツな爆乳ボディだったが、200系はつるぺたのひんぬーなのだ。
- その5:客室装備がグレードアップしました
0系から客室装備も進歩している。
特に座席は人間工学を考慮した、快適性の増したものとなった。
普通車も当初からリクライニングシートとしたが、3列シートの方は回転させることが出来なかった。
- その6:メーター類がグレードアップしました
運転席のメーター類は電光表示式が多用されている。
また、国鉄の車両では初めて車両モニタを採用した。
とはいえ、今の電車のような高機能なものではなく、ドットマトリクスの画面に文字で状態を表示するだけというシンプルなものであるが。
色以外の外見では、人によっては車端部に謎のエアインテークがあることにも気づくだろう。
これは主電動機の冷却のための吸気口である。
この中にはサイクロン式固体分離装置、平たく言えばダイソン掃除機のお化けが入っており、空気と雪を分離している。
というより工業用などで使っているサイクロン式固体分離装置を掃除機に転用したのがダイソンなのだが。
「オレはあと2回のスピードアップを残している…わかるな?」
雪国向けの車両として設計された200系だが、「豪雪地帯への対応」や「将来的に東海道新幹線への直通も考慮する」などで様々な装備が盛り込まれている。
だが、これが後年、とりわけスピードアップにおいてとんでもない余地を残す結果となっている。
- うわっ…私の空気抵抗、少なすぎ!?
200系は機器類への着雪を防ぐため、貧n…じゃなかった、ボディマウント構造を採用している。
これが功を奏し、車体の空気抵抗が予想よりも遥かに少なくなっているのだ。
空気抵抗が少ないということは、スピードアップへの障害が減るというのと同義であるのはわかるだろう。
- 高速でも出力が落ちない…だと!?
200系は制御装置にサイリスタ位相制御を使用しているが、もっと厳密に突っ込めば「不等6分割バーニア位相制御」というシステムを採用している。
これはものすごく乱暴に言うと、変圧器の出力巻線に高圧と低圧の2種類を用意し、きめ細かく位相制御を行うものである。
で、なんでこんなややこしいものが採用されたかというと。
200系は先述の通り、全国新幹線網計画向けの961形を源流とする車両である。
その後直接の試作車に当たる962形で仕様的には簡略化され、東北・上越特化の設計になったものの、一部では将来的な東海道直通も視野に入れていたとされる。
しかし、そうすると面倒が出てくる。
サイリスタ位相制御は、いわば電流を途中で「ブチッ」と切ってしまう動作をするので、その「ブチッ」の部分が高調波になってしまう。どうしても高調波のノイズが出てきて、周囲に悪影響を与える可能性がある。
一方で東海道新幹線は60Hz、東北・上越新幹線は50Hzと周波数が違うので、両者に対応できる高調波フィルタを設けるのが困難だった。
そういうわけで「逆に考えるんだ、地上にフィルターを置けないならそもそも高調波が少ない車両を作ってしまえばいいんだ」となり、200系には不等6分割制御が採用された。
だが、この不等6分割バーニア制御にはとんでもない特徴があった。
平たく言うと高速でも出力が下がらないのである。
高速でも出力が下がらないというのは、当然高速域での加速能力が高まるということでもある。
スピードアップではなく様々な難問を抱えたがゆえの装備であったが、結果的に後年のスピードアップにつながるという結果にもなっている。
国内最速、275km/hへ
1983年にE編成の一部が改造され、またF編成は当初から対応していたということもあり、東北新幹線で一部列車に限って当時国内最速の240km/h運転が実施される。
そして1990年、上越新幹線の上毛高原-浦佐間下りで、275km/h運転を開始。
この区間は長い下り勾配が続いていることからスピードアップは容易と判断されたなどもあり、時間短縮(とTGVへの対抗意識)などの点から専用編成による275km/h運転が実施されることとなった。
275km/h運転の「専用機」たるF9x編成には、以下の改造が施されている。
- ATCの240信号を275に読み替えるトランスポンダ(変換器)の搭載
- 72%弱め界磁制御の追加
- トップスピードからのフルブレーキの際に(発電ブレーキ用の)抵抗器の過熱を防ぐため、ブレーキカム進段停止装置の追加。過熱防止のためにブレーキにも「リミッター」を追加した、と思えばいいだろう。
- 222形先頭車の計器盤をデジタル化*1
- ブレーキ距離確保のためにブレーキのパターンを変更
- パンタグラフは通常時は4、10号車のみ使用。また騒音防止のカバーを装着
- 運転台側窓を
ツルペタ平滑化 - 発電ブレーキの容量強化
- ディスクブレーキの圧力強化、ブレーキディスクとライニングを鋳鉄から鍛鉄に変更
- 空転・滑走検知装置の出力調整の変更
- 厳密には「改造」ではないが、車輪の検査の厳格化。通常はデフォルト値の910mmから850mmにすり減った時点で交換となるが、F9x編成に限っては880mmに減った時点で交換することになった。
ここまで来るともはやその頭に「魔」のつく改造であるが、そもそも200系の設計最高速度が250km/hであったことを考えると、「当初の限界を超えた運用をするために必要な措置」とも言えるだろう。
…ちなみに、この「275km/h」という数値にはちょっとばかりのトリックがある。
実は東海道・山陽の「270km/h」と、東北・上越の「275km/h」は実質的には同じ数字であると言われている。
理由は、東海道系統は平たく言うとATCで表示される信号は「この速度で走ってね。+5km/hまでは余裕を設けているけど、それを超えたら自動ブレーキが作動するよ」というルール、
東北系統は「この速度に達すると問答無用でブレーキかけるよ」というルールになっていることに由来する。
東海道・山陽は「制限速度+5km/hの余裕」、東北・上越系統は「制限速度そのもの」という違いがあるのだ。
これ故、東海道の「270km/h」は、実際には「270km+5km/hの余裕=実質275km/h」となっており、実質的に同じ値となっている。
…とはいえ、200系に関してはそれを承知の上で、「自動ブレーキがかかるギリギリの速度」でかっ飛ばしていたわけで、当時国内最速には嘘偽りはないと言ってよかっただろう。
長野が動き出す。
1998年の長野オリンピックの臨時輸送に200系が使われたこともある。
理由は至極単純であり、「北陸新幹線用のE2系が不足したから」である。
F80編成をモーターを山岳用に強化し、発電ブレーキも強化。
さらに、電源周波数は50/60Hz両対応となった。
市販の時刻表においては当該列車は「200系で運転」と明記されていた。
オリンピック輸送の客からしてみれば、当時最新型のE2系と比べると確かに見劣りのする旧型だったかもしれないが、両周波数対応化改造を施されたというのは200系の源流たる961形の悲願を果たしたと言えるかもしれない。
編成バリエーション
E編成
最初に登場した基本タイプ。12両編成で先頭形状は団子鼻。最高速度は210km/h。
F編成
E編成を最高240km/h運転に対応させたタイプ。12両編成で先頭形状は団子鼻orシャークノーズ。
同じシャークノーズであるH編成との違いは
- ピンストライプが入っていない。
- 二階建て車両が編成されてない。
の2点。
G編成
E編成の一部を10両編成→8両編成へ減車したタイプ。先頭形状は団子鼻で最高速度は210km/h。
H編成
中間に2階建て車を2両連結した16両編成で先頭形状はシャークノーズ。最高速度は245km/h。
塗装もラインの下にピンストライプが入り別格感が漂うエース仕様。
なお、登場からしばらくは団子鼻が先頭車だった。
K編成
F編成を8両編成に短縮し、盛岡・新潟方先頭車に400系・E3系併結用連結器を搭載したタイプ。先頭形状は団子鼻で最高速度は240km/h。
秋田新幹線開通時に10両編成へ増結された。
延命工事
1999年~2002年にかけてK編成にリニューアル工事を実施。
内装は当時最新鋭のE2系に準じたものとし、外観もE2系に準じた白と青のツートンに緑帯が入るものとなった。
延命工事の実施は新幹線電車では珍しくないが、最大の特徴は前頭部周りを原形よりも平滑なものにしたこと。
新幹線電車でのこの手の工事を行った事例は本形式が唯一である。
K47編成は後年、オリジナル塗装に戻されて運用された。
去就
前述のリニューアル車と並行して1998年から原型車の廃車が開始され、2008年までに原型車は消滅。
リニューアル編成は新潟県中越地震によるK25編成の事故廃車以降動きがなかったが、E5系の投入により運用離脱が始まった。
2011年11月のE5系3編成投入により、東北新幹線での定期運転を終了。
2012年9月には上越系統の一部もE4系に差し替えられた。
さらに2013年1月から残りの運用のE2系に置き換えられ、同年3月に定期運用から完全に引退。
上り最終はとき342号、下り最終列車はとき347号。
その後、幾つかの臨時列車で運用された後、2013年3月の「春満喫TYO号」をもって営業運転を完全に終了。
充当されたのは最後の一本であるK51編成であり、同年6月3日に廃車されたことで200系は廃系列となった。
最後の列車が春の東京方面への行楽客のための団体列車というのは、少しばかり感慨深いだろう。
前述した装備のおかげか他の新幹線よりも長生きであり、300系~E1系が先に引退している。
なお、八戸開業以前は試験走行も行っていた関係から盛岡~八戸間はホームが12両まで対応している。
(八戸以北は10両)
保存車両
200系には、保存後解体されたものを含め以下の保存車両が存在する。
尚シャークノーズの保存車両は存在しない。
- 221-1、237-1
所在地:宮城県宮城郡利府町 新幹線総合車両センター
F30編成の1号車と9号車。見ての通りトップナンバー車両である。
かつては226-1、215-1、222-1(F30編成2、11、12号車)、249-5(H5編成9号車)も保管されていたが現存せず。
- 222-35
所在地:埼玉県さいたま市大宮区 鉄道博物館
K31編成の10号車。館内に展示されており、車内や床下機器が見学出来る他、併結用連結器の展開・格納の実演も行われる。
- 221-1505
所在地:福島県白河市 事故の歴史展示館
上記の中越地震被災編成であるK25編成の先頭車両。
過去に起きた鉄道事故についての資料を集め、教訓とするための施設に事故時の姿そのままに展示されている。
鉄道関係者にのみ公開されている施設のため一般人の見学は出来ない。
- 221-1510
所在地:新潟県新潟市秋葉区 新潟市新津鉄道資料館
K47編成の1号車。2013年6月よりC57形蒸気機関車19号機と共に一般公開された。
かつては200系の実物大モックアップ(レプリカ)が展示されていたが本物と入れ替わる形で撤去された。
保存後解体
- 221-15、215-15、222-15
所在地:北海道亀田郡七飯町 函館本線流山温泉駅
F37編成の1、11、12号車。北海道新幹線の開通を願い保存されたが、北海道新幹線の札幌延伸が決まった2013年に解体された。
その後流山温泉自体が廃止となり、駅も2022年3月で廃止された。
アニオタ的には
アニオタ的にはなんと言っても「勇者エクスカイザー」に登場する、グリーンレイカーのモチーフとして知られる形式だろう。
また、現実ではディズニーや、ポケモンの塗装を施されたことも注目すべき点かもしれない。
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- これで0系から700系まで出揃ったか。子供の頃親に撮ってもらった200系とのツーショットは大切にしてる。 -- DF200-205 (2022-01-18 22:44:48)
- 寒冷地用新幹線とはいえ、動態保存されてたとしても極寒地では願うだけで走ることはできなかったろうだろうな -- 名無しさん (2022-01-19 22:43:21)
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