登録日:2017/02/01 (水) 10:04:06
更新日:2024/02/02 Fri 11:14:37NEW!
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富士見ミステリー文庫 小説 ライトノベル 名探偵 異世界 カード マルタ・サギーは探偵ですか? 野梨原花南 富士見l文庫
僕に推理は必要ない。金の粉が現れ消えたら、すでに事件は解決している。
『マルタ・サギーは探偵ですか?』は、野梨原花南による日本のライトノベル。
イラストの担当はすみ兵、長編7巻+短編2巻が富士見ミステリー文庫(富士見書房)より刊行。
2014年より富士見L文庫(富士見書房)から全面改稿および再編集を施した復刊が刊行されている。こちらのイラスト担当は鈴木次郎。
探偵ものであるがミステリーの要素は薄く、ファンタジーな異世界の描写やそこで暮らす人々との交流が主軸となる事が多い。
そもそも主人公がミステリーにおいて禁じ手の1つである超自然的な力(本作の場合、「事件を強制的に解決する」力)を持っているため、
推理のために調べ物をしたり頭を働かせるといった場面が非常に少なく、ミステリーとしては非常に異端な作品である。
どちらかというと異世界を舞台にした主人公の成長譚としての趣が強い。
【ストーリー】
彼の名前はマルタ・サギー。本当は少し違うけれど、オスタスに来てからはそう呼ばれている。
職業は『名探偵』。けれど推理はしないし、できない。マルタにあるのは「事件を強制的に終結」させる力だけ。
彼がその力を行使すると「世界の法則さえ捻じ曲げて事態が解決」してしまうのだ。
彼がどこから来た何者なのか、それは誰も知らない。
名前以外の全てを秘匿された彼について語れる事は1つだけ。
即ち、「マルタ・サギーは名探偵である」
【登場人物】
- マルタ・サギー
本作の主人公。ある日、オスタスにふらっと現れて『名探偵』を営み始めた少年。
童顔で小柄、オスタスでは見かけない黒い髪と黄色の肌が特徴。
同時期に現れた怪盗ドクトル・バーチとはライバル関係であり、2人の対決は何度か紙面を騒がせている。
一方で私生活では身の回りの事にだらしがなくて家事も適当、金銭管理も杜撰なせいで常に貧乏に苦しめられており、
下宿人兼助手のリッツがいなければまともな生活が送れるかも怪しいダメ人間。
女王陛下の庇護によって経歴の全てが秘匿されており、市民達には「名探偵である」という事実しか知られていない。
- ドクトル・バーチ
オスタスで暗躍する正体不明の怪盗。
とある事件でマルタと知り合い、彼を気に入って自身の好敵手として指名する。
奔放かつ振る舞いを見せる気取り屋だが、素の性格は結構ポンコツであり、
新聞での自身の扱いに一喜一憂したり自身の失態に動転したりと非常に忙しない一面を持つ。
マルタへの入れ込みは半端ではなく、彼との交流に心を躍らせる様はまるで恋する乙女のようだが、
拗らせすぎて事務所を監視したり隠れて助力する姿はさすがに部下から呆れられている。
- マリアンナ・ディルベルタ
オスタスで菓子店を営む女性実業家。
美人で聡明な社交界の華であり、マルタとは住む世界も何もかもが違う天上人。
本来ならば手の届かない存在であるが、ひょんな事からマルタと交流を深めていき、
互いに行為を寄せていく。
- リッツ・スミス
名探偵助手。鳶色の髪と青灰色の瞳、顔にそばかすのある人間族の少年。
オスタス市警の紹介でマルタの下に身を寄せ、彼の事務所に下宿する事となる。
まじめな働き者であり、雇い主であるマルタがだらしない事もあって事務所の家事と家計を一手に引き受ける羽目となる苦労性。
そのせいでマルタとは立場が完全に入れ替わっており、さながら保護者のようにマルタの世話を焼き、
ちゃらんぽらんな彼を叱咤する事が日課となってしまう。
- ジョゼフ■■(ジョゼフィーヌ)
マルタが拾ってきた野良犬。性別はメス。
非常に賢くて利口な犬なのだが、何故か夜になると姿を隠してしまう。
名付け親はマルタだが、イントネーションの関係でマルタ以外の者達は「ジョゼフィーヌ」と呼んでいる。
- ウィリアム・デアスミス
フィランシェ教室と呼ばれる犯罪教室の一員。
天才的な犯罪者であり、その手腕はバーチですら手玉に取る程。
とある目的の為にオスタスの闇で暗躍しており、マルタとバーチにとっては共通の敵対者にあたる。
- アウレカ・レーギーダ
謎の男。茶髪で褐色の肌、黄緑の目が特徴の青年。
マルタとは見知った仲であり、憎まれ口や軽口を叩き合う間柄。
少なくともオスタスの人間ではない模様。
「良いですか。何があっても皆さんがお話できるのは一つだけです。即ち、『マルタ・サギーは名探偵である』」
「I'm Marta Saggy!」
「Open your fuck'in gate of THE POWER.」
「I Will use the card・・・・・・・・・"DETECTIVE"!!」
【登場人物】
- 鷺井丸太
本作の主人公。日本の蓑崎に住んでいたごく普通の少年。
通学が面倒くさいという理由で通っていた高校を退学する程、無気力な少年であったが、
偶然に迷い込んだ異世界のコンビニ「アーバーズ」で『名探偵』のカードを手に入れ、カード戦争に巻き込まれてしまう。
アウレカの頼みで『名探偵』のカードを使いカード戦争の主催者を暴こうとした事で異世界であるオスタスへと飛ばされてしまい、
日本へ帰る方法もない事から異郷の地で生きていくために名探偵家業を営む事となる。
カード戦争に参加する際に登録名を出来心で「マルタ・サギー」にしてしまい、オスタスではその名で通す事となる。
- ドクトル・バーチ/マリアンナ・ディルベルタ
本作ヒロイン。正体不明の怪盗にして菓子店を営む実業家。
マルタが初めて解決したスレイリードラゴン誘拐事件のある出来事に打ちのめされていた際に手を差し伸べ、
互いを好敵手として認め合う。以後は怪盗として名探偵と競い合う一方でマリアンナとしてマルタと交流を深めていく。
- リッツ・デアスミス
またの名をリッツ・スミス。名探偵助手にしてウィリアム・デアスミスの実弟。
兄によってその身に『賢者の石』の手がかりを埋め込まれており、
周囲を巻き込んでしまう恐れから異邦人であるマルタの下で下宿する事になる。
その経緯からマルタに対して負い目を感じる事もあるが、マルタにとってはかけがえのない同居人であり、
お互いを家族と呼び合える程の間柄になっていく。
- ジョゼフ犬
マルタの飼犬。ドクトル・バーチからの贈り物。
実は人犬族の少女であり、夜になると人間の姿に変身する。
本当の名前はジョゼフィーヌなのだが、マルタに付けられた日本語の名前を気に入ってそちらを名乗っている。
飼い主であるマルタの事を慕っており、彼やリッツに迷惑をかけまいと自分の食い扶持は自分で稼いでくる名犬。
同じくバーチの事も恩人として慕っており、マルタに不利益が生じない範囲でバーチの手伝いをする事もある。
- アウレカ・レーギーダ
カード使いの青年。
マルタが『名探偵』のカードを手に入れた現場に居合わせ、彼が何も知らない事をいいことにカード戦争に巻き込んだ張本人。
カード戦争の謎を暴くことを目的としており、その無茶苦茶な振る舞いはカード使いの間では色々な意味で有名な模様。
マルタがオスタスに飛ばされた際にはぐれてしまうが、その後も何度か顔を合わせる事になる。
【用語】
- カード戦争
カード使いと呼ばれるプレイヤー達が行っているゲーム。
異世界を探索してカードを手に入れ、自分以外のカード使いと「ストラグル」と呼ばれる戦闘を行ってポイントを稼ぐ。
カード戦争で使われるカードには不可思議な力が宿っており、
戦士やモンスターを召喚して使役するものから超常現象を起こして現実に干渉できるものまで存在する。
純粋にゲームを楽しむ者、カード戦争の由来を調べようとする者、カードの力を悪用する者など様々な思惑を持った人間が参加している。
- 特定カード/イレギュラーカード
特定カードは最初に名前を登録したプレイヤーしか使えない専用のカード。
力を行使するためにはカードが気に入る呪文を唱える必要があり、非常に希少で基本的に強力な力を秘めている。
そのため、カード使いの中には殺してでも奪い取ろうとする過激な者もいる。
イレギュラーカードはそういったカードの中でもゲームの潤滑な進行に支障を来すと判断されたカードの事を指し、
例外なく強力な力を秘めているためカード戦争を運営する委員会から規制の対象となる事もある。
- 『名探偵』
マルタがスクラッチで当てた箱いっぱいのイレギュラーカード。
発動すると時間や因果律にすら作用し、事件を強制的に終結させる。
これによりマルタは推理する事なく犯人を見つけ出す事ができる(というよりは犯人の方からカードの力で勝手に自白してしまう)。
身一つでオスタスへとやってきたマルタの唯一の武器にして相棒。
文字通り解けない謎はないが、あくまで「謎を解いて事件を終結させる」事しかできないので、
犯人を捕まえられるかはまた別の話。加えて謎を解くために桶屋の理論が働くため、
どんな形で効果が及ぶのかマルタ自身にもわからない。
何より使い捨てであり補充も利かないため、気軽に使用できないというデメリットが存在する。
追記・修正は呪文を唱えてからお願いします。
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▷ コメント欄
- また懐かしい名前だ…… -- 名無しさん (2017-02-01 10:22:04)
- ほんと懐かしいな。主人公と怪盗が出会い互いに興味持つようになったきっかけの短編が最後まで収録されないまま終わったような記憶 -- 名無しさん (2017-02-01 16:10:01)
- ミステリー文庫だからミステリーと思ったらミステリーじゃなくて拍子抜けしたけど割と好きだった。 -- 名無しさん (2017-02-01 18:27:19)
- ミステリー文庫でこれだったから面食らったけど、ファンタジーの老舗だしありかなと思ったな -- 名無しさん (2017-02-01 18:44:24)
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