アンダーディフィート

ページ名:アンダーディフィート

登録日:2016/06/07 Tue 11:58:18
更新日:2024/01/23 Tue 13:48:47NEW!
所要時間:約 10 分で読めます



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stg 縦stg グレフ シューティング アーケード ゲーム ドリームキャスト ps3 xbox360 細江慎治 ヘリコプター 名作 不遇の名作 鬱展開 アンダーディフィート 『眼下を撃破』 尋常じゃない火薬の量 プロジェクト・ガンフロンティアの末裔





我が駆るは、天翔る鉄騎兵──





『アンダーディフィート (UNDER DEFEAT) 』は、グレフが開発した縦スクロールシューティングゲーム(縦STG)である。
通称「アンダー」「アンデフ」。2005年10月27日にリリースされ、極々一部のゲーセンで稼働した。
2006年3月23日にドリームキャスト移植版が発売され、更に2012年2月23日にはプレイステーション3&Xbox360移植版『HD』が(パッケージ版&ダウンロード版共に)発売。
更に更に、2013年からはALL.Net P-ras MULTI対応タイトルとして『HD』の逆アーケード移植版『HD+』が配信開始。
現在はネットワーク環境の整った筐体であれば全国どこでもプレイすることが出来る。



影が薄すぎる萌えマインスイーパ『どきどきアイドルスターシーカー』や、リスペクト元から更に訳わからんことになってしまった罪深き力作『ボーダーダウン』、「弾幕対戦アクション」とかいうやっぱり訳わからん隠れた名作『旋光の輪舞』など、ニッチなゲームばかり作ってきたグレフ。
『アンデフ』はそんなグレフにとって4番目のアーケードゲームだが、やはりグレフというべきか、この縦STGは「異常」としか言いようのないクオリティで世に送り出されてしまったのである……。



タイトルの由来は(ヘリが) 眼下UNDER (の戦車)を 撃破DEFEAT する
というもの。元は開発コードだったらしい。





設定

本作はかなりの少人数スタッフで制作されていたため、細かい設定はどんどん後回しになっていった。
そもそもはコナミの『グラディウスV』を作っていたトレジャーの応援に参加した後、手の空いた2人のスタッフが作り始めたものだったという。
その後も一部のボスは外注に出し、設定やビジュアル面では補充スタッフも数名入ったが、ほとんどは2人で作ってしまったらしい。
つまり、直近作の『旋光の輪舞』のスタッフもあんまり関わっていないことになる。どんだけエンジニアの層が厚いんだこの会社……。


現在(この記事を含めた)ファン達がドヤ顔でウンチクを垂れている設定はほとんどが後付で考えられたものである。
公式サイトのQ&Aコーナー「アンダーディフィートのひみつ」では数々の設定の他、色々と身も蓋もない製作者こだわりの製作後記がわかるので、必見。


ストーリー

十数年に渡って続いてきた、大陸を二分する「帝国(ドイツ語圏)」と「連邦(英語圏)」の戦争。
疲弊の極みに達した両陣営は、ある年の夏の終わりにようやく歩み寄り、翌年の春先当たりでの「停戦」に合意する。


しかしいざ停戦日が決まると、両国上層部はそれまでに少しでも相手より優位に立つため、いらぬ気合を入れ始めた。
挙げられるだけの戦果を挙げるべく、着々と進む帝国の攻勢計画。取れるだけのデータを取るべく、続々と投入される連邦の新兵器――
前線の将兵達は何も知らされることなく、ただ淡々と「決戦」への準備を整えていくのみであった。


プレイヤーは帝国軍の試作空中戦車「VKL5.03」を駆る女性パイロットとなり、このかつてない規模の戦いに参戦する。



登場人物

主人公は女性パイロットではあるが「ぶっちゃけ設定いるのか?」と疑いたくなるレベルでストーリーに関わらない。
というか、実はそもそも彼女たちがパイロットなのかも確定していない。ノリで「たぶんパイロットだろう」と言われているだけ。
各面クリア後のリザルト画面では彼女たちの日常風景をスナップした写真が挿入されるが、これは本筋とは全く関係ない(かも)。
キャラグラも素朴な可愛らしさが素晴らしいタッチではあるが、2005年流行の萌画からは正直言って外れている。
スナップ写真も完全にミリタリーな日常系でお堅く、あざとい画は皆無。


……OPデモに女性キャラをとりあえず出しておくアレと同じような、客引きなのだろうか?


名前すら設定されていない……どころか、公式サイトの「CHARACTER」ページには今でも2人のツーショット立ち画だけが放置されている有様。
終いにはファンの「アン子」「デフ美」という通称を公式が使いだすほどだった。
なお、後にサウンドトラックCDのおまけとして封入されたドッグタグ(認識票)に、彼女らの名前が記載されることになった。



◆1P側(アン子)
つんつんピンク髪の元気そうなボーイッシュ娘。ジャケットの内側はカッターシャツに黒ネクタイ。赤いVKL5.03を駆る。
本名アデーレ・フリードリッヒ(Adele Friedrich)。帝国暦774年1月11日生・血液型A型。


◆2P側(デフ美)
白いひっつめ髪の凛々しそうなクール娘。ジャケットの内側はタートルネックセーター。灰のVKL5.03を駆る。
本名ヴィルヘルミーネ・ミューラー(Wilhelmine Muller)。帝国暦770年2月22日生・血液型O型。



以下、アーケード版可動開始日の「ひみつ」より。

Q1.
すいません、銀髪ちゃんの名前を知りたいのですが…。
ゲーム中に出てくるのでしょうか?   H/N 龍咲ぎるくさん
A1.
銀髪ちゃん…あー、左の娘さんですね?
(wiki編者注・「左の娘さん」にツーショット立ち画へのハイパーリンク)
申し訳ありませんが、現時点では名前は秘密です。
秘密にさせていただく理由は、エンディングで少しわかる…か もしれません。
あと、赤髪ちゃんの名前も気にしてあげてください!



メカニック

◆VKE503=試作空中戦車VKL5.03(P)
自機となる帝国軍の試作兵器。詳しい命名規則は「アンダーディフィートのひみつ」にて語られている。
実体はまんま装甲ヘリコプターで、胴体長は7.5m程の小柄な機体。デザインモチーフは特にないらしい。
対地対空両用のメインショット(大口径機関砲)と、対空用の小火力なサブショット(2連機銃)、そして広範囲を焼き払うボムを搭載。
更に一定時間のインターバルを置くことで、バルカン(機銃)・キャノン(速射砲)・ロケット(大型炸裂弾)を発射する子機を展開可能。



劇中では演出&ゲームシステムの一環として、多数の戦車やレシプロ戦闘機が登場する。
一方で連邦側はそうした通常戦力に加え、ボスキャラクターとして多彩な試作兵器を登場させる(帝国側もゲーム外の戦場ではVKE503以外の試作機を繰り出しているのかもしれない)。
ボスキャラの名前はやはり「ひみつ」にて順次公開されていった。


世界観としては「ティルトローターやホバー戦車が実用化され、80cm列車砲並の大きさの巨大自走砲要塞が存在する第二次世界大戦」というようなもの。
外連味が上手いことカバーされたリアル寄りの世界観である。ようはあれだ、『ガンフロンティア』だ。




ゲームシステム

基本

全5面構成で、特定条件を満たすと2周目に突入。『シルフィード』や『レイストーム』と同じく、自機を斜め後方から見るハーフトップビューを採用。
一撃死、残機制のオーソドックスなルール。8方向レバーと2ボタンでVKE503を駆る。
左右方向に移動すると、自機は斜め40°前後まで向きを変える。レバーをニュートラルに戻すとまた正面を向くが、ショット発射中は傾いたままの状態になり、異なる角度の敵を攻撃できる。スタート時にレバーの動きと傾く方向を選択できる。
自機のスピードは固定で、パワーアップアイテムも存在しない。
ボムアイテムが多く出てくるため、取得スコアによる残機加算(スコアエクステンド)は設定されていない。


Aボタンでショットを発射。押しっぱなしでフルオート連射される。一部の敵の攻撃(ミサイルなど)を迎撃可能。
主砲となる太い速射砲(メインショット)と、その両側の極細の機銃(サブショット)が同時連射される。メインショットは対地対空両用で、最寄りの敵に合わせて上下に射線が変わる。つまり空の敵を狙っている時は3門全てが敵を狙い、地上の敵を狙うときはメインショットだけが敵を狙い、サブショットはそのまま空中に垂れ流される。
なお、全火力は常にフルスピードで連射される(「弾切れ」が起こらない)ので、ほとんどのSTGで有効な「敵に張り付いて弾を早く画面から消し、連射力を上げる」戦法は使えない。かといって接近戦が非推奨というわけではないバランスになっている(後述)。


サブショットは実質的に「射線軸の確認」と「ミサイル迎撃」用でしかなく、威力はメインショットの0.25倍しかない。
なので、地上敵を自機と空中の敵で挟むような(下図)位置関係になっていると

自機→→→地上敵→→→空中の中型機

中型機にはサブショットしか飛んで行かず、メインショットが地上敵をやっつけるまでロクにダメージが入らない。
また、メインショットは射線を切り替える時にコンマ数秒のタイムラグが発生する。積み重なるとダメージ効率に結構影響が出てくる。


Bボタンで全画面攻撃のボムを投下。発動中は無敵だが、この間敵を倒してもスコアには加算されない。火力も低い。
さらに、発動時に画面内に友軍の機体がいると誤爆してしまい、クリア評価に悪影響を与えてしまう。
初期ストックは3発、最大取得数は6発。満タン時にボムアイテムを取ると10000点加算。


オプション

ショットを撃たないでいると画面下のオプションゲージが充填され(撃つとリセット)、満タンになった状態でショットを発砲するとオプションが射出される。
オプションの向きは発射時の自機の向きで固定され、自動的に敵を攻撃する。
オプションは弾を撃ち切るか、敵や攻撃に当たると消滅。一切の操作を受け付けない冷却状態に入った後、再び充填可能となる。
ミサイルがぼんぼん飛んでくるところでは積極的にミサイルを迎撃し、オプションを守ってあげよう。空中敵に近すぎる位置でも射出してはいけない。
また、4面以降からは敵砲台が必ず自機に当たる雷撃を発射してくる。これはダメージはないが、オプションが壊され自機の速度が低下してしまう。優先的に排除したい。


オプションは3種類。初期装備はバルカンだが、アイテムキャリアーを破壊すると変更アイテムが出現する。
アイテムは時間経過でバルカン→キャノン→ロケットをローテーションしているので、直ぐに自分の使いたい武器がとれるわけではない。装備しているものと同じ武器を取ると5000点加算。


●バルカン
機銃を7秒間連射する。自機の動きに応じて左右方向に少しだけ追従する。
持続時間が一番長く、充填時間は最短だが、低火力。純粋に自機の火力を強化するような意識で使うとよい。
出来るだけ正面方向に射出し、自由に動ける自機が左右への掃射を行うと無駄がない。
●キャノン
大型砲を8連射する。自動的に敵に照準してくれる。照準制度は中々に優秀。
中型機やトーチカなどの堅い敵に効果的。反面貧弱な敵が多いところでは火力が勿体ない。
自機がザコを優先的に落とすと無駄がない。
●ロケット
射出から1秒間で敵をロックオンし、超高威力の単発弾を発射。
直撃すれば大抵のザコを一撃で潰し、貧弱な敵を薙ぎ払う大規模な爆風が発生する。
特定目標の狙撃で真価を発揮するのだが、そのためには射出タイミングを上手く調整して「狙撃させる」必要がある。画面外に飛んでった時の落胆といったらない。
充填時間も非常に長く、ハイリスク・ハイリターンな武器。慣れれば非常に強力なので中~上級者に好まれる。通称「先生」。


敵配置のTips

メインショットが敵配置によって射線を変えるのは前述したとおりだが、実はこの「相対位置による射線の違い」はよく作りこまれている。
敵機、自機、双方の弾の座標はすべて3Dで計算されており、例えば地上の敵がこちらに発砲した場合、地上から弾が自機の高度まで昇ってくるタイムラグが発生(同高度まで当たり判定が発生しない)するのだ。


自機のメインショットはほぼ真下付近までを掃射できるが、敵の戦車砲や艦砲はそうはいかず、真上を撃つことが出来ない。
このため、ギリギリまで接近するとこちらに照準できない地上敵は攻撃を停止する。
メインショットの射線切り替えラグを最小にするためにも、接近戦を狙う価値は十分にあるのだ。
勿論、空中敵を撃つときにも、射線の分散を避けるために接近して攻撃した方がよい。


また、自機と地上敵の間にトーチカや格納庫などの背の低い障害物が存在する場合、角度によっては自機の対地ショットが障害物に阻まれる。
むしろ敵は射線切りを積極的に狙うように動くため、旋回して横から攻撃するか、ほぼ真上からトップアタックする必要がある。
これはオプションからの発砲も同様。キャノンでこうなると非常にもったいないので注意するべし。


スコアシステムと2周目

オプションで敵を倒すと獲得スコアが2倍(オプションと自機の弾が同時に当たって倒した場合は自機ショット判定)
前述の通りボムの効果時間中は敵の破壊点は0点
前述の通りオプションアイテム重ね取りで5000点、ボム重ね取りで10000点


◆ステージクリアボーナス
ボーナススコアは「賞与」という形で支給される。特定の敵を倒すとアップする「貢献度」パラメータが設定されており、計算に影響する。
基本は中型・大型の敵や、耐久力が高い色違いの敵、各地に点在する弾薬庫、画面外へ逃走する車両などを潰せば加算される。ボムによる友軍誤爆でダウン。


戦闘賞与」は貢献度×(貢献度達成率100%の場合更に×2)×(残機2以上で×1、残り1で×2、残り0で×3)
燃料節約賞与」はボス戦残タイム(秒以下切り捨て)×1000
弾薬節約賞与」はステージクリア時の残存ボム数×10000


そしてスコアとは関係がないが、各面クリア時には敵軍の推定戦死者数が表示される。



また、以下3つの条件を全て満たしていると、5面クリア時から続けて2周目をプレイできる。

  • ノーコンティニュー
  • 助っ人が途中参加していない(最初から2人で遊んだ場合はOK)
  • 全5面での貢献度達成率の平均が95%以上

更にクレジット投入後、レバー上方向+ショットボタンを入力しながらスタートボタンを押す「グレフコマンド」を実行すれば最初から2周目状態で遊べる。
この場合のハイスコアランキングは通常のプレイとは別集計になる。


2周目は全ての敵の配置が左右反転し、攻撃も増加。背景の季節も変化する(1-4は雪が降っているが、2-4は夏あたり)が、ストーリーに一切変化はない。
「ひみつ」曰く、1周目は夏~冬の流れでステージ美術を決めたが、2周目は完全なパラレル扱いで整合性を取っていないとのこと。
更にステージクリア時の写真も、日常的な私服に変化する。




異常たる所以

常識を超えた演出

本作を語る上で外せないのは、恐ろしいまでに作りこまれたグラフィック演出である。
一見すると、タイトーの演出系やケイブのド派手な弾幕系とはかけ離れた『雷電』チックな画面。ぶっちゃけかなり地味。
しかし一度筐体の前に座り、プレイしてみると細部の作り込みがわかる。以下に列記。


  • 自機が木々に近づくと、木々はローター風に煽られて揺れる。ただ一方向に揺れるだけでなく、自機の位置に応じた方向にしっかり揺れる
  • 雨が降ったり、水面の爆発で水しぶきが吹き上げられると、自機のローターが雨や水滴を弾く
  • 水上でショットを撃つと、機体から投下された空薬莢が水面にちゃんと落下している
  • 水たまりや水路など、波が立たない水面では上空のオブジェクト(自機や敵)が映り込む
  • 水上で敵が爆散すると辺り一面に破片が飛び散り、水しぶきを立てる
  • 大型敵が弾を発射すれば薬莢が排出されるし、弾装填まで行っている
  • 戦艦の主砲や副砲は自機の位置に応じてちゃんと砲身の仰角を変えるし、射撃後は再装填のため水平に戻している
  • 移動する敵戦車はちゃんと車体がガタガタ揺れるし、射撃するとやっぱり揺れる
  • 初見ではただの背景としか思えない飛び立ってくる鳥に自機が接触すると、鳥が羽をまき散らして消える
  • ボムを撃つと巻き込まれて爆散する友軍と

それらを彩るのが、やはり尋常じゃなく立ち込める煙と爆発
フツーのSTGならすぐに消えてしまう煙だが、なんと本作で発生する煙は全て爆風計算が行われており、結構長く残る(プレイに支障はない)。
2面の港湾倉庫に並ぶ戦車をどんどん叩いていった時の爽快感は凄い。


背景演出も抜かりない。特に帝国軍の大攻勢が始まる3面では、至る所で友軍機と敵機が火花を散らしている。撃墜された敵機が戦車に突っ込んでしまったり、橋を渡っている途中の友軍戦車が砲撃に巻き込まれてしまう光景は印象に残る。
最後の戦いとなる5面では、逆になりふり構わぬ反撃にでてきた連邦軍に圧殺されていく友軍部隊の姿が涙を誘う。


BGMを担当するのは、元ナムコ所属で現スーパースィープ取締役の名サウンドディレクター、megatenこと細江慎治
熱さと哀愁を両立させたテクノギターのメロディアスな曲調は人気が高い。
いずれの曲も各面にマッチしているが、最大の見せ場(聞かせ場?)は5面「GRAVEYARD」。ゲーム開始から数秒は効果音が発生せず、儚い旋律と共に廃墟と化した都市に斃れていく敵味方が描かれた後、一気に効果音がフェードインし、曲が転調。時折流れ出しの儚い旋律を交えつつ、熱いギターが鳴り響く。
(『プライベート・ライアン』でミラー大尉が一時的な難聴状態に陥ったあのシーンを思い浮かべてもらればわかりやすい)



あ、不毛極まりないストーリーから察した人も多いだろうけど、エンディングもクッソ救いがないのでその点は覚悟しといてね。
そもそも5面のシチュエーションが停戦日は迎えたが、完全な停戦条約発効までに何としてもVKE503を強奪しておきたい」という連邦軍部隊の襲撃である。
名前を秘密にしたかったのはこのためなのだろうか……。



よく言えば骨太、悪く言えば荒行

大抵のSTGは「自機には圧倒的な火力等の「華」を持たせてプレイヤーに爽快感を感じさせる」「敵にはわかりやすく絶望的な攻撃を出させてプレイヤーの危機感を煽る」構成で作られているが、『アンデフ』は「自機は渋く癖を強くする」「敵は地味に嫌らしくする」「足りない爽快感は演出でカバー」という作りになっている。


VKE503は全STGの自機の中でも、相対的にかなり弱い方に入る。ショットの幅が非常に狭く、旋回中の攻撃も不可で、オプションも癖のある動きばかり。
というか地上の敵が全体的に堅く、少し打ち込まないと倒せない。空中の中型機も地上敵に射線を吸われて撃破に手間取ることがある。そんな堅い敵に混ざって一発だけの高速狙撃弾を撃ってくるザコヘリがウザいのなんの……。
(このために一撃必殺&範囲攻撃のロケットが「先生」と信頼され、バルカンはボス戦での低火力で敬遠されがち。キャノンは逆にボス戦で使えるが、空中ザコに無駄撃ちしやすく道中では空気化する)


敵の攻撃はほとんどが自機狙い。そんな敵を複数機組み合わせ、ワインダー(一列連射弾)も織り交ぜて包囲網が作られている。
非力な自機で、如何に敵を上手くいなしていくか。そこがやり込みのポイントであり、快感を感じるポイントになっている。
パターンを覚え、よく狙い、撃つ。流行の弾幕系とは違い、『スペースインベーダー』や『雷電]』などの基礎的なSTGの魅力を、派手過ぎない、しかし迫力のある演出でコーティングしたのが『アンデフ』なのだ。


難点

1.ハーフトップビューによる直感性の薄れ
2.不明瞭な当たり判定
3.見た目には地味


1.は『シルフィード』から続くハーフトップビューの宿命である。描画範囲の広さで通常の縦STGよりも遥かに優れた演出を実現できる代わりに、自機の移動描画と敵の攻撃弾道に微妙な癖がついてしまうのだ。
2.は自機に関する問題。自機の当たり判定は見た目よりかなり狭く(テイルローターに当たってもミスにならないくらい)、一面開始時に当たり判定ガイドも表示されるのだが、それでも自機の見た目がでかすぎるので、必要以上に動いてしまうことが多い。


そしてゲーム自体とはあんまり関係ない3.だが……。
派手な弾幕系がガンガン動いている横で『アンデフ』がポツンと置いてあっても、その地味さではレトロゲーマーくらいしか食指を伸ばさない。『雷電』の時代とは違うのだ。
おまけに、グレフは以前に『ボーダーダウン』で「やらかしていた」ため、地味さと相まって導入店はめちゃくちゃ少なく、まさに知る人ぞ知る名作になってしまったのである。



移植版

移植度はどれもほぼ完璧と言っていい。ドリームキャスト版は生産数も少なかったためにプレミア化し、中古価格が10000円を超えるのもザラだった。
ちなみにドリキャス版は「ドリームキャストの最後を飾るのは、このソフトだ!」と宣伝されていた。マイルストーンの『ラジルギ』が同時期に発売されることを知ったグレフは、わざわざセガに頼んで発売を遅らせたらしい。
後に童の『トリガーハート エグゼリカ』、そして意趣返しとばかりにマイルストーンの『カラス』が出たことで、ドリキャス最後のソフトの座は譲ることになった。


『HD』にはアレンジモードも追加されている。ただやっぱり売り上げは振るわず、中古店でもあんまり見かけない。
ダウンロード版も配信中、しかも安く、練習モードも搭載されているのでこの機会にぜひ。



『HD』『HD+』の追加点

◆アレンジモード「ニューオーダーモード」の実装
◆新自機・幻の重火力試作機「VKL6.02」追加












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  • ボダソはクソゲーじゃないから!!!!(インカムでやらかしてないとは言ってない) -- 名無しさん (2016-06-07 22:00:26)
  • ボダソは出来上がった時にはもう倒産寸前だったらしいなぁ…。でもそれで技術力を評価されたのか、以後は外注で見ることも増えた。実際本作の少数精鋭ぶりがその精強さを示している。 -- 名無しさん (2016-06-09 19:19:09)

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