トリッキングとは?
トリッキングとは、武術(マーシャルアーツ)、ダンス、アクロバット等、様々な身体表現を組み合わせて行うスポーツ、カルチャーです。基本的には、複数の技(トリック)を連続して行う「コンボ」と言われる一連の動きを行い、動作での表現を行います。トリッキングの実施者を「トリッカー」「プレーヤー」と呼称します。
トリッキングにおける代表的な技にとしては、コークスクリュー(コーク)、ゲイナー、540キック、720キック等が挙げられれます。
表現
表現については、自分らしさや自分の求める目的に向かう自己表現や、対象物や現象を身体で表現を行う形象表現などが考えられますが、既存表現様式からの逸脱や、そもそも何か表現することを意図しない場合もあります。
組み合わせる身体表現には制限がなく、テコンドー、カポエイラ、躰道、体操、ブレイクダンス、コンテンポラリーダンスにおける表現など様々です。また、明文化された技単体の禁止項目はなく、例えば体操競技では禁止・削除となっている技でもトリッキングでは実施されるケースもあります。
また、原則は「コンボ」において、複数の技を連続して行うことが多いですが、それらの形式はある種の型のようなものであり、規定ではありません。そのため、意図して単発の技のみ実施することや、コンボ途中で動きの停滞が伴う行動や失敗があったとしても、トリッキングは成立します。
トリッキングにおける代表的な技にとしては、コークスクリュー(コーク)、ゲイナー、540キック、720キック等が挙げられれます。
ルール
トリッキングには正式なルールや禁止技などの規制、点数が無ありませんが、技には大きく分けて、キック、フリップ、ツイストの3つに分類され、それらを複数個組み合わせた「コンボ」を構成してその出来栄えを競う「バトル」が存在します。バトルでは上記3つの分類の他にも、あらゆる技や動作が取り入れられます。
バトルのジャッジ(判定)にも正式な規定はありませんが、主に複数人によるジャッジが多く行われます。ジャッジの基準について、便宜的表現を行うと「どちらのプレーヤーが優れた実施を行ったか?」という点で行われることが多いと考えられます。判定の要素は、客観性の高いものとして、「実施技の難易度、トランジション(繋)の難易度、着地方法、停滞・失敗の有無」などが挙げられ、主観性の高い部分として、「美しさ、表現力、全体の流れ・構成、プレーヤーのキャラクター、場の支配性」など、客観的および主観的判定要素は列挙しきれない程に存在します。
また、評価基準はジャッジの嗜好性、オーディエンスの状況にも関与することが考えられ、相対的な部分も多く存在しているものとして認識されており、これは他の演技系スポーツと比較して競技的な特徴と言えます。そのため、前述の「どちらのプレーヤーが優れた実施を行ったか?」という基準における「優れている」の表現が、絶対的な基準として必ずしも当てはまるものとも言えません。なお、このことから、そういったファジーな部分を読み行動を選択することはトリッカーのテクニックとして考えることができます。
バトルはムーブ(コンボ)を1本交互に行う「ラウンド」毎にジャッジが行われ、規定の本数のラウンドを取った者が勝者となります。ジャッジには引き分けも存在し、その場合は再度ラウンドを行うこととなります。
最終的に勝敗が決まりますが、これは勝者を称賛するものではありますが、敗者を貶めるものではありません。バトルの前提として、競技者および観客を含めた参加者全員が楽しむ事を目的ものという側面があります。
源流
マーシャルアーツとトリッキング
トリッキングの源流には、 マーシャルアーツという東洋の武術を示す概念があり、西洋文化に根を持つ術技体系以外の武術全般を指す言葉として用られます。また、この語には単に東洋の武術としての意味だけではなく、文脈によっては「外国人が解釈した東洋の武術」という側面が見られることもあります。マーシャルアーツという言葉が用いられる背景には、東洋文化への憧れや好奇心、興味などから生じたオリエンタリズムの思考様式が関与していると考えられます。トリッキングのカルチャーにおいても、日本のサブカルチャーへの関与、日本語由来の技名など、様々な部分でそうした「外国人の解釈が伴うもの」としての名残を見ることができます。
エクストリームマーシャルアーツとトリッキング
本来、実戦での格闘や自衛を目的としたマーシャルアーツは、1960年代以降、実戦を目的としたものとは異なる、跳躍や回転を伴う視覚的に派手で複雑な技、つまり魅せる技を取り入れた演舞・パフォーマンスを実施ようになり、空手やテコンドー、カンフーの等、様々な大会でその傾向がみられるようになりました。
1990年代、北米ではマーシャルアーツが大流行し、マーシャルアーツとアクロバットを組み合わせた競技は北米の様々な武道大会で一部門として行われることとなります。しかしながら、当時は武術とアクロバット伴に高いレベルが要求されるスポーツとして、競技へ入るためのハードルが高い状況にありました。
このような状況の中、ジェイソン・チャン(Jason Chan)はマーシャルアーツやトリックを段階的に示すなど、体系化したエクストリームマーシャルアーツ(XMA)を作り上げました。
トリッキングの原初的発生は、エクストリームマーシャルアーツの黎明期と考えられます。
インターネットとトリッキング
トリッキングは主にインターネットを通して広がっていきました。2000年初頭は特定のサイトに対してパフォーマンスや技の動画を投稿しアップロードされる一方方向での形式でしたが、後期にはYouTubeの登場により多くの人が動画をアップロードして情報を共有し合う、より広いオンラインコミュニティの形成が行われていきます。
現代ではスマートフォンの普及により、インスタグラムやツイッターなどの様々な人々が気軽に使用できるSNSをプラットフォームとして、日本国内のみならず、世界各国との交流が盛んとなっています。
こうした背景の中、インターネットを前提とした、特徴的な文化的行動様式が成立していきます。例えば、「サンプラー」と呼ばれる、トリッキングと音楽を組み合わせた動画作品の作成,希少または高難易度の技の成立を撮影しトリッキングにおける記録として共有または競い合うこと等が挙げられます。多くのスポーツが試合などにおける本番での実施が重視される中で、インターネットを前提とした、この文化的行動様式はトリッキングにおける特色と言うことができます。
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