いわゆる「こそあど言葉」のうち、「そ」が改まった場面以外では「ほ」となる。
近称 | 中称 | 遠称 | 不定称 | |
---|---|---|---|---|
事物 | ‾これ= |
‾ほれ= ‾それ= |
‾あれ= ‾あ'れ |
‾どれ= |
場所 | _ここ' |
_ほこ' _そこ' |
_あっこ' |
‾どこ= ‾ど'こ(後ろに助詞が続かない場合のみ。特に相手に強く問いただすような場面で) |
方向 |
_こっち' |
_ほっち' _そっち' |
_あっち' | _どっち' |
方向(丁寧) |
_こちら= _こちら' |
_そちら= _そちら' |
_あちら= _あちら' |
_どちら= _どちら' |
連体詞1 | ‾この= |
‾ほの= ‾その= |
‾あの= |
‾どの= |
連体詞2 |
‾こんな= ‾こない'な |
‾ほんな= ‾そんな= ‾ほない'な ‾そない'な |
‾あんな= ‾あない'な |
‾どんな= ‾どない'な |
副詞1 | ‾こー= |
‾ほー= ‾そー= |
‾あー= | ‾どー= |
副詞2 |
‾こんな(に)= ‾こない(に)= |
‾ほんな(に)= ‾そんな(に)= ‾ほない(に)= ‾そない(に)= |
‾あんな(に)= ‾あない(に)= |
‾どんな(に)= ‾どない(に)= |
表には載せたが、筆者にとって「こない」「あない」は理解語彙に近い。「どない」「ほない(そない)」も「どないに」「ほないに(そないに)」という形では使用頻度が低い。「どないな」「ほないな(そないな)」という形ではさらに使用頻度が落ち、日常会話で使うことはほとんどない(祖父母世代もほとんど使わない印象がある)。
連体詞2および副詞2の「ほんな(に)」は、「ほ」が弱化して「んな(に)」や「んーな(に)」のような発音になることもある。
副詞1に断定辞「や」が後続する場合、「‾ほー'や(そーや)」は頻繁に「‾ほ'や(そや)」に短音化し、頻度はぐっと落ちるが「‾どー'や」も「‾ど'や」になることがある。「‾せ'や」という形は筆者には大阪的な言い方という感覚がある。「‾ほーです=(‾そーです=)」「‾どーです(か)=」は「ほです(そです)」「どです」にはならない。
「‾ほれは=(それは)」は頻繁に「‾ほら=(そら)」と縮まる。「ほりゃ(そりゃ)」とは言わない。「‾これは=→‾こら=」も時折あるが、「‾あれは=→あら」は言わない。「[ほれは]{何や}?」「[これは]{たいわ}ん[行ってき]たときの{おみやげ}や」のように、具体的な事物を指す場合には「ほら」「こら」にはならない。
「ほ」から始まる表現の例を下に記す。
- ‾ほ'な:じゃあ。頻度は落ちるが「‾ほ'んなら」とも言う。
- ‾ほ'したら:そうしたら。それでは。「し」が無声化して「‾ほし'たら」とも。
- ‾ほして=:そして。祖父母世代では「‾ほて=」や「‾ほてから=」とも。
- ‾ほ'やで:だから。
- ‾ほんで=:それで。「‾ほいで=」や「‾ほんでに=」とも。
- ‾ほーすっと=:そうすると。「‾ほすと=」「‾ほ(っ)と=」とも言う。祖父母は後ろに「'さいが」をよく付けた。理解語彙。
- ‾ほー'よ、‾ほーよ=:そうだよ。そうだとも。
- ‾ほんな'もん:そんなの。そりゃあもう。筆者はほとんど使わない。
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