aklib_story_側にいない時間

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側にいない時間

ロドスに救助された後、自宅に戻ったラーダは、外で働いている両親の残した贈り物を思わぬ形で手に入れた。そのことによって、ラーダはオペレーターになると心に決めたのだった。


[ラーダ] 髪留めにコップ、それから抱き枕……

[ラーダ] 全部持って行かなきゃ!

[ラーダ] あとはこの本も持っていこっと。アンナお姉ちゃん、きっと喜ぶだろうなぁ。それからこのプレーヤーもね……ソニアお姉ちゃんが歌を聴くのに使うはず……!

[ラーダ] あれ? この写真は……

[ラーダ] ……

[ラーダ] これ……小学校の卒業式の日に、お父さんとお母さんがわざわざ家に帰ってきてくれて、三人で一緒に撮ったやつだ……

[ラーダ] お父さん、お母さん……

[ロドスオペレーター] ラーダ、準備できたか?

[ロドスオペレーター] 悪いな。もう少し時間を取ってやりたいんだが、ウルサスに長くは留まれない。もし俺たちの正体がバレるとマズいことになる。

[ロドスオペレーター] 輸送隊もそれほど待ってくれないぞ。急ぐんだ。

[ラーダ] あ、ごめんなさい、もうすぐ終わるから!

[ラーダ] 荷物をまとめるのに思ったより時間がかかっちゃったんだ。部屋の中が散らかってて、見つからないものも多くって……

[ロドスオペレーター] はぁ、それにしてもレユニオンの奴らときたら……いきなり市街区を滅茶苦茶にしやがって、今思い出しても腹が立つぜ……

[ロドスオペレーター] ラーダ、他に行きたい場所は? やり残しはないか?

[ラーダ] うーん……もうないかな!

[ラーダ] 元々ね、おばあちゃんが亡くなってから、ずっと一人で暮らしてたんだ。だから大丈夫、荷造りさえ終われば出発できるよ!

[ロドスオペレーター] そうだったのか……その歳で一人暮らしだなんて大変だろうに。

[ラーダ] えへへ、すぐに慣れちゃったし、それほどでもないよ。

[ラーダ] 昔おばあちゃんが料理を教えてくれてね、それからは何年もラーダがおばあちゃんにごはんを作ってあげてたんだ!

[ロドスオペレーター] 偉いな。そういやコンパスたちが嘆いてたなぁ。故郷の料理を作れる子が来たってのに、残念ながらまだありつけてないって……

[ロドスオペレーター] ……だけどな、ラーダ。正直に教えてくれ。本当に俺たちと一緒に来ていいのか?

[ラーダ] どうしたの? 急にそんなこと訊いてくるなんて……

[ラーダ] でも、もう決めたんだ! ラーダはソニアお姉ちゃんたちと一緒にいるって!

[ロドスオペレーター] ははっ、相変わらず仲良しだな。

[ロドスオペレーター] だが……俺が訊きたいのはそういうことじゃないんだ。

[ロドスオペレーター] 今のところ、辺境の移動都市区画は一時的に他の都市の管轄になったから、住民も受け入れ先の収容所に留まるしかない。だが、秩序は戻りつつあるんだ。

[ロドスオペレーター] つまりな、チェルノボーグは遅かれ早かれ再建されるんだ。それまでは収容所で暮らして、それからここへ戻って生活するのも一つの選択だぞ。

[ラーダ] ……うーん……

[ラーダ] 正直言うと……今はただお姉ちゃんたちと一緒にいたいだけなの。だけどその後のことは……まだはっきり分かんないんだ。

[ラーダ] でもね、ニードルおじさん……時々思うんだ。もしアンナお姉ちゃんやソニアお姉ちゃんが、それぞれ自分のやるべき事を見つけて、ロドスを去る決断をしたら──

[ラーダ] そしたらラーダは……ラーダはどこに行けばいいの?

[ロドスオペレーター] それはお前自身で考える問題だ。俺には応えられない。

[ロドスオペレーター] しかしラーダ、お前はアンナたちとは状況が少し違う。お前は両親の具体的な勤務地を知らないと言っていたし、公文書保管所にも記録は残されていなかったが……

[ロドスオペレーター] お前が申請さえ出せば、ロドスも両親の捜索を手伝ってやれる……

[ロドスオペレーター] だからそんなに焦って決める必要はないと思うぞ。

[ラーダ] ……焦ってなんかないもん!

[ロドスオペレーター] おっと。

[ラーダ] ……

[ラーダ] ニードルおじさんが心配してくれてるのは分かってるよ。でも──

[ラーダ] でも今はただお姉ちゃんたちと一緒にいたいの……みんなで一緒にいられるなら、どこでもいいの!

[ラーダ] 先のことは……ラーダも分からないし、考えたこともないよ……

[ロドスオペレーター] ラーダ……

[ロドスオペレーター] だが、お前の両親のことも……

[ラーダ] お父さんもお母さんも……出稼ぎでほとんどお家に帰ってこなかったし、ラーダにどこで働いてるかも教えてくれなかった。手紙すらめったに送ってくれなかったんだ……

[ラーダ] あの悪い人たちが街を襲わなかったとしても、ラーダは元々ずうっとお父さんとお母さんに会えてないんだよ。

[ラーダ] ……

[優しい女性] ラーダ、お父さんとお母さんは仕事に行かなければならないの。

[落ち着いた男性] ラーダはおうちでおばあちゃんの言うことをよく聞いて、いい子にして待ってるんだよ。いいね?

[幼い女の子] ……お父さん、お母さん、またラーダを置いていくの?

[幼い女の子] う……ううっ……

[幼い女の子] 行かないで。ラーダはお父さんとお母さんのいない子になんてなりたくないよ……ううっ……

[優しい女性] ……ラーダ……

[落ち着いた男性] そろそろ出発しなくては。

[落ち着いた男性] ラーダ、お父さんとお母さんはどうしても行かなければならないんだよ。

[幼い女の子] うっ……うわああああん!

[幼い女の子] 行かないで! お父さん、お母さん行かないで……!

[幼い女の子] ラーダを捨てないでよぉ……

[ラーダ] ……だから、ラーダがどこに行くかは自分で決めていいんだよ! どうせ誰も気にしないよ!

[ラーダ] きっとそうだよ!

[ロドスオペレーター] そ、そうか……

[ロドスオペレーター] (この子は今……拗ねてるのか? ふくれっ面なんてして。)

[ロドスオペレーター] 分かったよ。しばらくは俺たちと一緒にいるのもいいだろうさ……たしかに今のここの状況じゃ、お前みたいな年端もいかない子供を一人暮らしさせるのは心許ないからな。

[ロドスオペレーター] もし他に行きたい場所がないんなら、ソニアと同じようにひとまずロドスに留まっても構わない。

[ラーダ] ソニアお姉ちゃんと同じようにって、オペレーターになるの? ……うーん。それはラーダも考えたことがなかったなぁ。

[ロドスオペレーター] 簡単になれるわけでもないぞ。

[ロドスオペレーター] まあいい、荷造りができたら出発しようか?

[ラーダ] うん!

[ラーダ] あとほんのちょっとだけ待ってて! あのフライパンも持っていきたいんだ……!

[ロドスオペレーター] まだ持ってくのか? 重量オーバーには気をつけてくれよ……

[ロドスオペレーター] ふぅ、街を抜けたな。

[ロドスオペレーター] この先が約束の待ち合わせ場所だ。時間もちょうどいいな。

[ラーダ] ニードルおじさん、たくさん持ってくれてありがとう! 入りきらないのは予想外だったんだ……奥にあったキッチン用品だから、制服もホコリだらけになっちゃったし……

[ロドスオペレーター] これが本当の汚れ役ってな。気にするな、損な役回りには慣れてんのさ。

[ラーダ] ?

[ロドスオペレーター] なんでもない、気にするな……おいっ、危ないぞ!

[ラーダ] わぁっ!

[ロドスオペレーター] ラーダ! 大丈夫か?

[ラーダ] へーきへーき……

[ウルサス市民] ……ラーダ?

[ラーダ] え?

[ウルサス市民] ああ、皇帝陛下! 本当にラーダなんだね!

[ラーダ] あ……ポリーナおばあちゃん!

[ロドスオペレーター] 知り合いか?

[ラーダ] うん! お隣のおばあちゃんなんだ! ずっとラーダによくしてくれてたんだよ。

[ラーダ] ポリーナおばあちゃん、無事で良かった!

[ウルサス市民] そりゃあこっちのセリフだよ!

[ウルサス市民] あぁラーダ、無事で良かった……あの時、学生たちは学校に閉じ込められたと聞いてねぇ……その後どこを探してもいないし、みんなとても心配してたんだよ。

[ウルサス市民] 今までどこに行ってたんだい?

[ラーダ] 学校のお姉ちゃんたちと一緒にいたんだ。ロド……じゃなくて、親切な人がラーダたちを助けてくれたんだ。

[ウルサス市民] 親切な人……? 隣の方のことかい?

[ロドスオペレーター] こんにちは、ポリーナさん。

[ウルサス市民] ……どうも。

[ウルサス市民] (見慣れない人だね、怪しい恰好をして……)

[ウルサス市民] (小声)ラーダ、この人は大丈夫なんだろうね? お前さん騙されてやしないかい!?

[ラーダ] (小声)大丈夫だよ。ニードルおじさんはとってもいい人だから!

[ロドスオペレーター] ……あー、ゴホン。

[ラーダ] え、えっと! それよりポリーナおばあちゃんは元気だった?

[ラーダ] 悪い人たちに怪我させられたりしなかった? ゼニアおじさんや、クララお姉ちゃんは?

[ウルサス市民] ああ、心配しないで。みんな無事だよ。

[ウルサス市民] わたしらのとこの警察は行動が早くてねぇ。すぐにみんなを荒地まで避難させてくれて、難を逃れたんだ。

[ウルサス市民] その後、ゼニアが何人か連れて、お前さんたちを探しに学校へ行ったんだけど、誰も見つからなかった……それで仕方なく先に離れたんだよ。

[ウルサス市民] 無事で何よりだよ、ラーダ。本当に皇帝陛下のご加護だねぇ!

[ラーダ] 皇帝陛下のご加護なんかじゃないよ。ラーダとお姉ちゃんたちで、助け合って生き延びたんだから……

[ウルサス市民] ん? ラーダ、何か言ったかい?

[ラーダ] ……なんでもない!

[ラーダ] とにかく、大丈夫だから心配しないで。ラーダ、すっごく強くなったんだよ!

[ラーダ] もし悪い人がみんなをいじめに来たらラーダに言ってね。ラーダが追い払ってあげるから!

[ウルサス市民] ははっ、あのラーダちゃんが、随分頼もしくなったもんだ!

[ラーダ] ふふん。ラーダはこれからもっと強く、もっと頼もしくなるよ!

[ラーダ] それから街をぐちゃぐちゃにした悪い人たちを、一人残らずフライパンでぺちゃんこにしてやるんだから!

[ロドスオペレーター] フライパンってのは……まさか俺が背負ってるやつのことか?

[ラーダ] そうだよ!

[ロドスオペレーター] ……そ、そうか。素晴らしい心構えだ。頑張りたまえ。

[ロドスオペレーター] ラーダ、そろそろ時間だ。

[ラーダ] あ、うん!

[ラーダ] じゃあポリーナおばあちゃん、もう行くね……

[ウルサス市民] 行く? ちょっと待っとくれラーダ。お前さんはわたしらと来るために戻ったんじゃないのかい? どうして行ってしまうんだい?

[ウルサス市民] たしかにわたしらのとこは仮住まいの収容所だけど、住み心地はまあまあだし、もう少し待てば元の家も再建が始まるはずだよ。

[ウルサス市民] ラーダ、お前さんは家を離れてどこへ行くつもりだい?

[ラーダ] ラーダの家は……

[ラーダ] ポリーナおばあちゃん……会えて嬉しかったよ。でも……でもね!

[ラーダ] ラーダ、お姉ちゃんたちと一緒にいたいんだ。アンナお姉ちゃん、ソニアお姉ちゃん、それからナターリアお姉ちゃんにロザリンお姉ちゃん。ラーダはみんなと離れたくないの。

[ラーダ] お姉ちゃんたちと離ればなれになったら、ラーダ……他に何ができるんだろう……そう思うと怖いの……

[ウルサス市民] ラーダ……

[ウルサス市民] もし行く場所がないのなら、わたしらと一緒に住めばいいさ。さあさあ、もうお家に入って休もう。良い子だから、ね?

[ラーダ] ポリーナおばあちゃん。ラーダのお家は壊されちゃって、お父さんとお母さんも帰って来ない……ここにはもうラーダのお家はないんだよ……

[ラーダ] ……でも大丈夫。安心して、ラーダはこれから、とっても安全な場所に行くんだ!

[ラーダ] いい人がたくさんいて、みんなラーダに良くしてくれるよ!

[ラーダ] だよね? ニードルおじさん。

[ロドスオペレーター] ああ。少なくとも安全は保証する。

[ロドスオペレーター] 俺たちはまだ、ラーダのような若い子を危険な目に遭わせるような状況にはなってないからな。ひとまずは守ってやれるさ。

[ラーダ] うわぁ……それ、ソニアお姉ちゃんが聞いたら絶対に怒るよ。

[ラーダ] お姉ちゃんはもう正式なオペレーターになるって決めてるし、誰かに守られるつもりなんてないんだよ。コードネームだって考えてあるみたいだよ!

[ロドスオペレーター] 見逃してくれ、俺だってあの子の前じゃ言えないさ。

[ウルサス市民] ……

[ウルサス市民] どうやらもう決心してるみたいだね……だったら、これ以上は言わないよ。行ってしまっても手紙は出しとくれよ!

[ウルサス市民] お前さんが安全なら、わたしもゼニアも少しは安心できるからね。元気でいられるなら、外の様子を見てみるのも良いもんさ……わたしらの街が復興してから戻ってきても遅くないからね。

[ラーダ] うん……

[ウルサス市民] ああ! 待っておくれ、ラーダ!

[ウルサス市民] 渡したい物があったんだ! すっかり忘れていたよ。いつかお前さんに会えると信じて、ずっと持っていたんだ。

[ウルサス市民] ほら。これは数年前、お前さんのご両親が街を発つ際に、わたしに預けて行ったものなんだよ。

[ラーダ] ……えっ? お父さんとお母さんが?

[ウルサス市民] 本当はね、お前さんが学校を卒業する時になっても二人が帰ってこられなかった場合、渡してやってくれと頼まれてたのさ。

[ウルサス市民] だけどお前さんが行ってしまうのなら、この先いつ再会できるか分からないし、今渡しておくのがいいと思ってね。しっかりしまっておくんだよ。

[ラーダ] ……

[ラーダ] 箱? 何が入ってるの? これは……ビデオテープ?

[ラーダ] それから写真……小学校を卒業した時にみんなで撮った写真だ。ここにラーダとお父さん、お母さんの名前も書いてある……

[ウルサス市民] お前さんあてのプレゼントじゃないかね?

[ウルサス市民] あんなに大きな事件だったのに、ご両親は外で報せを聞いてないのかねぇ。はぁ……出てってからもう何年も経つのに、手紙の一つも寄越さないなんて、どういうつもりなんだか!

[ラーダ] ──違うの!

[ラーダ] お父さんとお母さんはただ……ただお仕事で忙しいだけなの……

[ラーダ] ……

[ウルサス市民] ……そうかい。お前さんがそう思えるなら、それが一番だ。

[ウルサス市民] お前さんのご両親の仕事は……聞くところによると楽じゃなさそうだよ。もしかしたら今のわたしらよりも過酷かもしれないね。

[ラーダ] ……!?

[ウルサス市民] お前さんのおばあちゃんがまだ生きていた頃、心配するあまり時々わたしの所へ話をしに来ていたよ。はぁ……何かの研究をしているらしいけど、家族にすら会えないなんてことがあるのかねぇ?

[ウルサス市民] とにかくラーダ……体には気を付けるんだよ。どこに行こうとも、わたしに無事を知らせるのを忘れないでおくれ。

[ウルサス市民] もう引き留めたりしないから、早くお行き。

[ラーダ] お父さん、お母さん……

[ロドスオペレーター] 大丈夫か? ラーダ。

[ラーダ] ……大丈夫、心配しないで。

[ラーダ] ただ……

[ラーダ] ニードルおじさん、もしかしたらラーダ……これから何をするべきか分かったかも!

[落ち着いた男性] ラーダ、良い子だから泣かないでおくれ。

[落ち着いた男性] お父さんとお母さんは、ウルサスにとってとても重要な仕事をしてるんだ。だからしょっちゅう帰ってきてラーダの側にいてあげることは難しいし、手紙もあまり書けない……

[落ち着いた男性] だけどラーダはお父さんとお母さんの宝物なんだ。決して両親のいない子供なんかならないさ。

[幼い女の子] でも、でも……みんなこう言うよ……

[幼い女の子] ラーダは誰もいらない子だって……

[優しい女性] そんなことないわよ。お父さんとお母さんはラーダのことを愛しているわ。みんなは誤解しているだけよ。

[優しい女性] ラーダ。私たちはしばらく離ればなれになって、会ったり連絡することもできなくなるかもしれない……でも寂しくなった時、ほんの少しの記憶が、きっと私たちを支えてくれるわ。

[優しい女性] あなたの成長に寄り添えないのは、お父さんとお母さんが悪いの。だけど忘れないで、ラーダ。お父さんとお母さんは、永遠にあなたを愛しているわ。

[優しい女性] 私たちがどこにいようと、ラーダが将来どんな道を選ぼうと……

[落ち着いた男性] お父さんとお母さんは、ラーダを応援するよ。

[落ち着いた男性] チャンスがあれば、必ず戻ってくるからね。

小さい頃、ラーダのことをお父さんとお母さんのいない子供だってからかってくる子がいた。

すごく悲しくなって、たまたま珍しく帰って来ていた両親に泣きながら訴えた。

それからしばらくして、理由は分からないけど、みんなはラーダをからかわなくなった。さらにあるとき、お隣のお姉ちゃんがラーダの頭を優しくポンポンしながら、こう言った。

「ラーダのお父さんとお母さんって、すごい研究者だったんだね。今まで本当にごめんね。」

ラーダのお父さんとお母さんは、すごい人なんだ。

だけどめったに会えない。

小学校の卒業式の日、お父さんとお母さんが帰ってきた。

二人はラーダと一緒に卒業式に参加して、写真を撮って、色々な場所へ遊びに連れて行ってくれた。

そして、「ラーダの成長を見逃したくないんだ。だからどんなに難しくても、どうにか時間を作って、せめて大切な日には側にいてあげられるようにしたい」と言ってくれた。

それから、「私たちの生活を理解してもらえるように、記録を残しておくよ。ラーダが寂しくなった時にいつでも寄り添えるように」とも言ってくれた。

……それならラーダが成長し続ければ、いつかお父さんとお母さんに再会できるんじゃないかな?

[ラーダ] フンフン~フフフン~♪

[ラーダ] イースチナお姉ちゃん、撮ってくれた? ラーダ、ついにテストに受かったんだよ!

[イースチナ] 待ってください、ラーダ、走ってはいけません……!

[イースチナ] ふぅ……これでよし。撮れましたよ。ですが、どうして急にライフログを残そうと思い立ったんですか?

[ラーダ] えーっとね……たくさん自分の成長記録を残しておきたいんだ。良いサプライズになるでしょ!?

[イースチナ] ……?

[ラーダ] あ、そうだイースチナお姉ちゃん! テストに合格したんだから、これでもうお姉ちゃんたちと同じ正式なオペレーターだよ! これからはコードネームで呼ばなくちゃダメだからね!

[ラーダ] 「グム」! ラーダのことはグムって呼んでね!

[イースチナ] わかりました、グム。

[イースチナ] ……慣れないものですね。ラーダ、そういうことなら、あなた自身も名乗り方を変えなければいけませんよ。

[グム] そうだった……! 忘れてた!

[グム] グム、頑張る。絶対にお姉ちゃんたちとロドスのみんなを守るよ!

[ロドスオペレーター] おはよう、ラーダ、アンナ。

[イースチナ] おはようございます。

[グム] ニードルおじさん! おはよう!

[グム] もうラーダって呼んじゃだめだよ。グムっていうコードネームがあるの。正式なオペレーターになったんだから!

[ロドスオペレーター] ははっ、すごいじゃないか。おめでとう。

[グム] そうだニードルおじさん。グムね、訊きたいことがあるの。

[ロドスオペレーター] ん? なんだ、言ってみろ。

[グム] ロドスって……学校はある? グムは勉強を続けられるかな?

[イースチナ] グム……? どうして急にそんなことを……

[ロドスオペレーター] 学校みたいな正式な機関はないけど、それに相当するような研修課程と基礎教育課程くらいならあるぞ。

[グム] 本当? それなら勉強を続けられるってことだね!

[ロドスオペレーター] もちろんだ。そんなにやる気満々なら、先生たちが見たらきっと喜ぶぞ。

[ロドスオペレーター] 具体的なことは、お前たちからわざわざ尋ねなくても、いずれ担当オペレーターから通知が来ると思うぞ。

[ロドスオペレーター] こないだドクターがわざわざ、お前たちがしっかり勉強するように見張ってやってくれって言いに来てたんだ。逃げたくても逃げられないぞ。

[イースチナ] ……ズィマーは間違いなく頭を抱えるでしょうね。

[グム] あはは、ズィマーお姉ちゃんなら先生と大戦争を始めちゃいそう!

[グム] お父さんお母さん……ラーダは今、ロドスっていう場所で暮らしてるよ。

[グム] まだ、慣れないこともあるし、思い出すと怖くなっちゃうこともあるけど……

[グム] だけどお姉ちゃんたちと一緒なら、きっと何もかも良くなっていくはずだって信じてる!

[グム] お父さん、お母さん、お仕事頑張ってね。ポリーナおばあちゃんに手紙を書いて、ロドスへの連絡方法を教えるから……

[グム] もし手紙を書く時や、会いに来る時は、ポリーナおばあちゃんに連絡先を教えてもらってね。そうしたらロドスで会えるから!

[グム] ……こんなに長い間放っておかれて、一番怖かった時にだって駆けつけてくれなかったから、ラーダは怒ってるよ!

[グム] すっごくすっごく怒ってる! そう簡単には許してあげられないんだから。だから二人に会えたら、きっと喧嘩しちゃうと思う……!

[グム] ……だけど喧嘩しても、私たちは家族だよね?

[グム] あとね、もし二人が忙しくて時間がないんなら……ラーダが会いに行くよ!

[グム] でも今はまだ無理なの。ラーダはすっごく変わったし、ちょっと良くない習慣もついちゃったから、多分びっくりさせちゃうと思う……

[グム] ラーダね……そんな習慣を全部克服するんだ!

[グム] ここではいろんな人が、一緒に克服するのを手伝ってくれるんだ。アンナお姉ちゃんたちもだよ……きっといつか、ラーダたちは嫌な思い出を全部忘れて、元気に立ち直れるんだ!

[グム] だから待っててね……

[グム] ラーダは頑張って成長するから!

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