aklib_story_距離

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距離

レユニオンの龍門侵略に対抗する作戦の中で、ソラは偶然かつての自分のファンの姿を発見する。その相手と連絡を取りたいと願うものの、手がかりは直筆の手紙数枚だけだった。


[驚いた龍門市民] 何があった!? こ、こいつらは――

[驚いた龍門市民] こいつらは……レユニオン! どうしてここに侵攻してきたんだ?

[苦難の龍門市民] はぁ、はぁ……一体何なの?

[驚いた龍門市民] お前ら……何してるんだ?

[驚いた龍門市民] 止めろ、ここは俺たちが住んでる場所だぞ!

[レユニオン隊員] チッ、面倒に巻き込まれたくなければそこをどけ!

[苦難の龍門市民] うっ――!

[苦難の龍門市民] あなたたち……こんなことしちゃダメよ……

[レユニオン隊員] 何がダメなんだ? お前らはすでに堕落しきった生活を送ってるってことが分からないのか――

[???] そこまでだよ!

[レユニオン隊員] ……誰だ?

[苦難の龍門市民] この声は……まさか……

[ソラ] はぁ……はぁ……間に合ったぁ……

[ソラ] その人たちに暴力を振るわないで。彼らは何も悪くないんだから!

[ソラ] 街道やお店だけじゃあきたらず、罪もない人たちが暮らすアパートまで潰すなんて……ここの人たちは、これからどうやって生活すればいいのよ!

[レユニオン隊員] それが何だと言うんだ?

[レユニオン隊員] 俺たちの知ったことじゃない。邪魔するなら、まずはお前から倒すぞ。

[ソラ] そんな脅しで引き下がるわけないでしょ! みんなが笑顔になれるように、前向きに生きられるよう励ましたい……それがあたしが、ずっとやりたかったことなんだから。

[ソラ] だから、あなたたちがみんなの生活を壊すのなら……あたしが守らなきゃ。あたしにはその力があるの!

[ソラ] それに、今のあたしは一人じゃないからね。

[レユニオン隊員] たわごとを――

[エクシア] (口笛)

[レユニオン隊員] お前らは一体……?

[クロワッサン] かんにんな~、ソラ、ちょいと遅れてもーたわ。

[ソラ] クロワッサン、エクシア、それに……テキサスさん。

[テキサス] この期に及んでなお、非を認めないとはな。

[エクシア] だったらさあ、正義のペンギン急便が一肌脱ぐっきゃないよね! 三分もあれば、ばばん、どどどん、ばっさばさで、キミたちなんかソッコーで片付けてあげるよ。

[レユニオン隊員] 「ペンギン急便」だと? はっ、俺たちに楯突くつもりか?

[エクシア] 緊急事態だから、事前報告は間に合わないね~。でもボスだったら騒ぎを起こす連中を放っておくはずないよね! だってここは、あたしたちのテリトリーなんだからさ。

[ソラ] 気を付けて。あいつらがいつ危険な動きを見せるかわからない――あたしがあいつらの動きを止めるよ。

[テキサス] 分かった。なら私とエクシアでこいつらを倒そう。クロワッサン、住民を安全な場所に退避させてくれ。

[クロワッサン] まかしとき!

[テキサス] まずは東側のルートを確保するか……

[レユニオン隊員] 舐めやがって――

[レユニオン隊員] ……うっ?

[ソラ] ♪~♪~♪~

[レユニオン隊員] なぜだ……う……動けない?

[テキサス] フンッ!

[レユニオン隊員] ぐ、ぐあっ……この歌、アーツなのか? これ以上歌わせるな! まずはあいつを仕留めろ!

[苦難の龍門市民] ハァ、ハァ……

[苦難の龍門市民] あれ……あいつらの動きが止まった?

[エクシア] ほほー……奇襲をかけるつもり? だったらこっちもオーバーロードしちゃうもんね!

[テキサス] 今のうちだ、早く逃げろ。

[レユニオンの術士] 逃げる? そう簡単にいくか……これでも……くらえ――!

[ソラ] ♪~♪~♪~

[レユニオンの術士] ありえない……術さえも発動できないだと……?

[エクシア] へへーん、ソラの実力はまだまだそんなもんじゃないよ! ソラ、いつもの応援よろしく~!

[ソラ] OK、任せて!

[苦難の龍門市民] ソラさん……本当にあなたなの? でも、こんな所に現れるわけがないわ……

[ソラ] ♪~♪~♪~

[エクシア] きたきたきたー! 今だっ、行っくよ~!

[驚いた龍門市民] あなたたちは、一体……?

[エクシア] 早くここを離れて!

[クロワッサン] 考えてる暇はあらへん! はよ行くで。ほら走って! そのまま駆け抜けるんや!

[ソラ] ♪~♪~♪~

[ソラ] (ん? あの人は……)

[苦難の龍門市民] (あ……マズい。今の私を見られちゃダメだ……!)

[クロワッサン] テキサスはん、近衛局の人らがもうすぐ到着するで!

[テキサス] 分かった。エクシア、ソラ――

[ソラ] わ、わかりました……!

[エクシア] 今のうちにとんずらだー! バイバーイ!

[ソラ] さっきの人は……

[ソラ] 多分……ううん、絶対会ったことがある。

[ソラ] ……あの子なの?

[ソラ] 龍門で初めてのファンミーティングを開催した時に、一番目に手紙をくれた人。

[ソラ] 何通かファンレターをくれたあと、急にイベントに来なくなった女の子。

[ソラ] きっと彼女だ。初めてみたファンの子の顔を忘れるわけないもの。

[ソラ] だけど、どうして……彼女がスラム街に?

[ソラ] それに、彼女の手にあったのは源石の結晶……

[ソラ] 彼女は……感染者になったの?

数日後

ペンギン急便オフィス

[エクシア] ふぁ……眠ぅ。

[エクシア] あれ、ソラ。来てたんだ?

[ソラ] あ……エクシア、クロワッサン。うん、今日の特訓が結構早く終わったから。

[エクシア] へ~。あっ、そーだ、これから一緒に出かけない?

[エクシア] こないだ近衛局のお手伝いをしたんだけど、それでボスのところに連絡が来ててさ、「龍門優良団体」の賞状を受け取りに来いって。

[エクシア] 近衛局の前でかっこいい記念写真撮るなんてさ、これからあたしの車を止められる奴なんている~?

[クロワッサン] いやいや。エクシアはんの運転はやっぱ取り締まられるべきやて。せやけどその写真があったら、誰もウチの営業許可証を確認しに来んようになるやろな~……

[エクシア] あんたの個人商売も取り締まられるべきだと思うけどー。

[クロワッサン] へへ、ウチのはささやかな商売やんか。

[クロワッサン] ソラは何してるん? お、これは……手紙?

[ソラ] うん。……ファンの子からの。

[クロワッサン] そういえば、ソラがここに来たばっかりの頃、ペンギン急便の前にはいつも色んなプレゼントが山積みになっとったな。ポストも手紙で溢れ返っとったわ。

[ソラ] あはは……二人は先に行っててよ。あたしはテキサスさんが来たら一緒に行くから。

[エクシア] オッケー、そんじゃ先に行ってる。車は二人に残しとくね。あたしはクロワッサンの車に乗るから~。

[クロワッサン] ええで、一緒に近衛局までドライブしよな、エクシアはん!

[エクシア] 遅刻厳禁だよ~せっかく栄誉市民になれるチャンスなんだからさ。

[ソラ] うん、わかった……ふぅ。

[ソラ] (……やっぱりこの子だ。)

[ソラ] (この手紙の筆跡と文章の綴り方……はっきり覚えてる。)

[ソラ] (あの時の……ファンミーティングに来てた……あたしのファン第一号……)

[テキサス] なんだ、待っていてくれたのか。

[ソラ] ……

[テキサス] ソラ?

[ソラ] え? あ、ごめんなさい、テキサスさん、ボーッとしちゃってた。

[テキサス] そうか。

[テキサス] ……何かあったのか?

[ソラ] あ、いえ……大したことじゃないです……

[ソラ] ……

[ソラ] テキサスさん……数日前にあたしたちがスラム街で助けた人たちって……みんな感染者なんですか?

[テキサス] まだ気にしてるのか?

[ソラ] えーと……

[テキサス] もしかしてあの中に知り合いがいたのか?

[ソラ] 確実じゃないです。一度会っただけかも。でも……

[ソラ] もし本当に彼女なら、スラム街にいた理由はそれしかありません。彼女は元々……あそこの人間じゃありませんから。

[テキサス] ……

[テキサス] 手紙は読んだか?

[ソラ] 手紙?

[テキサス] 今日の午前中、近衛局の通知と一緒に送られてきたんだ。あの時私たちが救出した市民からの感謝状のようだったが。

[テキサス] 彼らの感謝状があったおかげで、今回私たちが龍門から賞状を貰うことになったんだ。

[テキサス] 手に持っているのはその感謝状じゃないのか?

[ソラ] あ、これは……昔のファンからの手紙です。

[テキサス] ファンからの? どうして今それを引っ張り出してきたんだ……?

[ソラ] えっと……特に理由は……

[ソラ] 本当に何でもないんです、テキサスさん。ただの気まぐれで……

[テキサス] ……

[テキサス] 一緒に近衛局へ行くか? 私が運転しよう。

[ソラ] はい……行きます!

[テキサス] では出発だ。

[ソラ] ……テキサスさん。もし――いえ、単なる仮定の話なんですけど、感染者になった龍門市民に、生きていく方法はありますか?

[テキサス] ……龍門での感染者の生き方として、私が思いつくのは二通りだけだな。

[テキサス] 龍門を出て行くか、スラム街へ行くかだ。

[ソラ] ……ですよね。それしかないのは……分かってました。

[ソラ] テキサスさん。

[テキサス] ん?

[ソラ] あたしも……これから、自分で配達に行ってもいいですか? いつも迷惑をかけているから気が済まないんです……ペンギン急便の一員なんだから、みんなと同じことがしたいんです。

[テキサス] 自分の身を守れるのか?

[ソラ] で、できます……!

[テキサス] お前がそれを証明できるのなら、私は止めたりしない。

[ソラ] はい、ありがとうございます。

[ソラ] ……テキサスさんにはいつも「ありがとうございます」って言ってばかりだなぁ。

一週間後

龍門 スラム街某所

[ソラ] こんにちは~お届け物です! 誰かいますか?

[スラム街住民] ……誰?

[ソラ] どうもこんにちは。ペンギン急便のウェブサイトでご注文頂いた荷物をお届けに来ました。受け取りのサインをお願いします!

[スラム街住民] ……玄関に置いといてくれればいいよ。

[ソラ] わかりました!

[ソラ] ……あの、お手数ですがサインをお願いできますか?

[スラム街住民] い、今は外に出られないから……

[ソラ] えっ、何かトラブルですか? お手伝いできることはありますか?

[スラム街住民] そうじゃない……出たくないんだよ……あ、あんたは普通の配達員だろ? 俺は……俺は鉱石病患者だぞ……あんたに感染させるかもしれないし……

[スラム街住民] ペンギン急便さん、届け物してくれてありがとよ。だけど感染させてしまうかもしれないんだ、早く行ってくれ!

[ソラ] お……お客様? 落ち着いてください。

[ソラ] 私たちは感染者のお客様とずっとお付き合いがあります。鉱石病は単純な接触で感染したりはしません。

[ソラ] ご安心ください。ペンギン急便の従業員は高度な鉱石病感染防止訓練を受けていますから。私があなたに感染させられるようなことはありません。

[ソラ] それと、もし助けが必要ならいつでもサービスを提供できますよ。私たちは専門的な製薬会社との共同プロジェクトを請け負ったこともありまして……

[スラム街住民] ……

[ソラ] あの、大丈夫ですか?

[スラム街住民] あんた……本当に俺が怖くないのか?

[ソラ] もちろんです。ペンギン急便は、お客様一人一人に心温まるサービスを誠心誠意提供するのがモットーです!

[スラム街住民] ……やっぱり玄関に置いといてくれ。

[ソラ] ……わかりました。

[スラム街住民] そうだ……今度、アップタウンへ手紙の配達を頼んでもいいか?

[ソラ] もちろん大丈夫です! ペンギン急便は手紙の配達サービスもありますから!

[スラム街住民] ああ……わかった。何人かに近況の報告をしなきゃならないんだ。と言っても、そいつらが返信してくれればの話だがな。

[ソラ] ……お客様、もしよろしければ代理で連絡を取ることも――

[スラム街住民] いや、いい。俺に近づかないでくれ。まだ頭が混乱してるんだ。

[ソラ] えっと……

[ソラ] ……わかりました。

[スラム街住民] そういうことだから、また今度よろしく頼むよ。

[ソラ] ……あの子じゃなかった。

[ソラ] 今日も出会えなかった……もしかしたらもう龍門を離れたのかも。

[ソラ] それか、そもそも見間違いだった可能性も……

[ソラ] だけどペンギン急便に送られてきた感謝状の筆跡は、最初にもらったファンレターと同じだった。

[ソラ] 詳しい住所も、差出人の名前も書かれていない、ただの感謝状でしかなかったけどあたしにはわかる、あれはあなただって。

[ソラ] ……あなたに会いたいよ。せめて、もう一度だけでも……

[ソラ] あなたは会いたくないの? それともあたしは……会うべきじゃないのかな?

[ソラ] あなたに直接会って言いたいことがあるの。絶対にあきらめちゃダメ、希望を持って前を向いてって……

[ソラ] ……明日。明日もまた来よう。

半月後

龍門スラム街 ある配達の途中

[ソラ] 誰かいますか? お届け物でーす!

[???] ......!

[ソラ] こんにちは! ペンギン急便のウェブサイトでご注文頂いた品物をお届けに来ました。受け取りをお願いしま~す。

[ソラ] 誰かいませんか?

[???] ......

[???] (歯を食いしばる)

[ソラ] うーん、お客さんの指定した配達時間ジャストなんだけどな……

[ソラ] うーん……

[ソラ] こんにちはー、本当に誰もいませんか?

[???] (ガタガタ)

[???] ……彼女の声だ。

[???] だけど……

[???] ......

[ソラ] (この部屋で合ってるよね……誰もいないのかな?)

[ソラ] 玄関に置いて、配達完了……よし。

[ソラ] ……

ソラは無意識に手をポケットへ入れ、そっと封筒を握った。

しわくちゃで、何重も折り目のついた古い封筒には「ソラさんへ」と書いてあり、中には手紙が入っている。

皺の回数だけ読み返された手紙の内容は、すでに一字一句違わずソラの心に刻まれている。それでもソラは、折に触れて手紙を開いては、もはや懐かしさすら感じる文字を指でなぞっていた。

自分に感謝を示すファンの言葉、柔らかい筆跡で綴られた思いは、どんな時もソラの心の支えになってきた。

[ソラ] どうして見つからないんだろう。あの時このあたりで見かけたはずなのに……本当にもうここには住んでないのかな?

[???] ......

[ソラ] あたしはやっぱり……あなたに会いたいよ。

[???] ......!

[???] ......

部屋の中の人物は拳をきつく握りしめた。

しかし、扉が開けられることはなかった。

[ソラ] ……でも大丈夫。いつかきっと再会できるはず。

[ソラ] ふう、よしっ! 次のお届け先はっと……

[???] ……もう行ったよね。

[スラム街の感染者] ……

[スラム街の感染者] (しゃがむ)

[スラム街の感染者] (荷物を持ち上げる)

[スラム街の感染者] ……ありがとう、ソラさん。

[スラム街の感染者] あの感謝状も受け取ってくれたみたいね。

[スラム街の感染者] ……本当は、もう一度あなたに会いたいよ。でも今の私は……私の病気は……

[スラム街の感染者] ……

[スラム街の感染者] 私がもう一度自分自身と向き合えるようになれば、あなたもきっと喜んでくれるよね?

[スラム街の感染者] 私……絶対にもう一度あなたのライブに行く。ファンミーティングにも行くから。

[スラム街の感染者] いつの日かきっと。

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