aklib_story_お遊びの中で

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お遊びの中で

子供向けのアニメを見終わったポプカルとバブルは暇を持て余していた。お喋りやゲームに興じる中で、意図せずポプカルの眼帯の奥にある「秘密」を見てしまったバブルは――


ロドス本艦 公共休憩エリア廊下

[ポプカル] おしまい~。

[バブル] もう終わりか?

[バブル] それで、次の回はいつ見られるんだ?

[ポプカル] ポプカル、聞いてみる。

[ポプカル] ねぇ、シャマレお姉さん、『フェリタビーズ』の第20話、いつ見られるかな?

[シャマレ] Zzzz……

[バブル] 半分見たあたりから寝てたぞ。

[バブル] 最近はいっつもだ。

[バブル] 『フェリタビーズ』が面白くないのか?

[ポプカル] スポットお兄さんが、『フェリタビーズ』なんて子供の見るものだって言ってたよ。

[ポプカル] シャマレお姉さんは、きっと、ほんとに大きいお姉さんになったんだよ。

[バブル] ボクは信じないぞ!

[バブル] ボクたちそんなに歳離れてないだろ! 前の回はみんなで最後まで見てたのに、どうして今じゃボクたち二人だけになっちゃったんだ!

[ポプカル] ポプカルたちも、すぐに大きくなるよ。『フェリタビーズ』を全部見終わったら、もう大人になれてるかも。

[ポプカル] バブルは大きくなったら、何がしたい?

[バブル] ボク? もちろん部族に戻って、ボクを気に入らない奴を全員ぶっ倒して、部族の勇士になるぞ。

[バブル] 君は?

[ポプカル] ポプカルはね、スーパーヒーローになりたいんだ。悪いやつを一発で殴り倒せて、両目からレーザーが出るんだよ。それで、空を好きに飛ぶの。

[バブル] スーパーヒーローってほんとにいるのか?

[バブル] 目からレーザーを出す奴なんて見たことないぞ。空を飛ぶ奴もだ。

[バブル] 悪者を倒せる奴はいっぱいいるけどな。

[バブル] ボクも倒せるぞ。

[ポプカル] ポプカルは、そうなれたらいいなって思っただけだよ……

[ポプカル] ポプカルの目、ずっと病気なの。だから、いつかスーパーヒーローみたいに、目からレーザーが出たらいいなって思ったんだよ。

[バブル] じゃあ早く目を治しなよ。ボクも君の目を見てみたいし。

[ポプカル] 治ったら、一番最初にバブルに見せるね。

[バブル] 本当か! やったー!!

[ポプカル] へへ。

[ポプカル] うん……

[ポプカル] 今って何時かな?

[ポプカル] うう……

[ポプカル] もう四時半か。

[ポプカル] オーキッドお姉さんが、今日ポプカルは休憩室で二時間だけ遊んでいいって言ってたから、あと30分しかないや。

[バブル] どうして二時間しか遊べないんだ? 時間を全部遊びに使っちゃだめなのか?

[ポプカル] 毎日訓練とか、授業を受けなきゃいけないからだよ。その後は宿題もあって、宿題をやらないと、先生に怒られちゃうの。

[バブル] どうして宿題をしないといけないんだ?

[ポプカル] ちゃんとお勉強すると、いいことがいっぱいあるんだよ。大人たちはみんなそう言うの。

[バブル] ボクは毎日艦内を走りまわってるけど、宿題をしなきゃいけないなんて聞いたことないぞ!

[バブル] それに――宿題ってなんだ?食べれるのか?

[ポプカル] ううん。宿題はね――うーんと……ポプカル、よく分からない。だけど、書いたら頭が良くなるんだって。

[ポプカル] バブル、見てみる?

[バブル] これが宿題ってやつか?

[ポプカル] そうだよ。

[バブル] ただの本じゃないか?

[バブル] この中にゴチャゴチャ書いてあるのは君がやったのか?

[ポプカル] ほとんどはポプカルだよ。

[ポプカル] だけど赤ペンは、先生が直してくれたところだよ。

[バブル] ……

[バブル] 読めないぞ。

[バブル] はい、返す。

[バブル] こんなものを勉強しなきゃいけなくなったら、ボクはすぐにロドスから飛び降りて、パパのいるサルゴンに戻るぞ。

[バブル] もし誰かが邪魔するなら、そいつを突き飛ばす。

[ポプカル] ポプカル聞いたよ、この前ミノスのお姉さんが――

[バブル] ありえないよ、聞き間違えだ!

[バブル] あのフォルテにそんな力はないぞ!

[バブル] ボクが適当に押したら倒れたんだ!

[ポプカル] おー。

[バブル] 全部ほんとだぞ。

[ポプカル] もしバブルが、バブルのお父さんの名前に誓うなら、ポプカルは本当だって信じるよ。

[バブル] う……

[バブル] 誓えばいいんだろ誓えば!

[バブル] ボクはパパの名の下に誓います。あの日ボクは、ミノスのフォルテ姉ちゃんにぜんぜん勝てませんでした。

[ポプカル] やっぱりそうだったんだ。

[バブル] 他の人に言うなよ。本当にボクはそんなに弱くない!

[バブル] ただあのフォルテの姉ちゃんが強すぎただけだ。

[ポプカル] バブルは毎回、誓いのときは本当のことを言うよね。ポプカル、もう分かった。

[バブル] しょ、しょうがないだろ。パパが言ってたんだ。誰かの名前を使って誓うと、誓いの内容はその人にも聞こえるんだ。

[バブル] もしパパに嘘がばれたら、絶対に真っ赤になるまでお尻を叩かれるからな。

[ポプカル] じゃあポプカルが、お父さんの名前で誓ったら、お父さんにも聞こえるかなぁ?

[バブル] 知らない。試してみれば?

[ポプカル] お父さんの名前はね――

[ポプカル] うん……

[ポプカル] ポプカル、お父さんの名前、覚えてないんだ。

[バブル] ママはどうだ。ママでもいいんだぞ。

[ポプカル] 覚えてないよ。

[ポプカル] ケルシー先生は、ポプカルは泥んこをこねて作られたって言うんだけどね。

[ポプカル] だけどポプカル、お父さんとお母さんがいると思ってるんだ。

[ポプカル] みんなにいるんだから、ポプカルだけいないのは変だよ。

[バブル] そうだな。

[バブル] あの白衣の医者、君を騙したんじゃないのか?

[ポプカル] ケルシー先生は、人を騙したりしないよ、たぶん。

[バブル] あのフェリーンの医者はいつもムスッとしてて、見るからに悪そうだぞ。ボクの故郷のシャーマンおじさんは違うんだよ、誰に会っても笑ってて、一目でいい人だって分かるぞ。

[ポプカル] 冷静は、悪じゃないよ。

[ポプカル] シャマレお姉さんを見て。

[ポプカル] お姉さんも、ずっと無表情だよ。でもお姉さん、すごく面倒見がいいよ。

[ポプカル] 前にバブルがサボテン食べて口の中が棘だらけになったとき、シャマレお姉さんがバブルを気絶させて、一本一本棘を抜いてから、お医者さんに連れて行ったんだよ。

[バブル] あ……

[ポプカル] それにシャマレお姉さんは、大きくて、甘くて、サクサクのリンゴを選ぶのが得意だよ。

[バブル] そうか、だから持ってくるリンゴはおいしいのか。

[バブル] わかった。今は君の言うことを認めてやる。シャマレは悪い奴じゃない、医者も悪い奴じゃない。

[バブル] だけどみんな悪くなくて、医者も君を騙してないなら、どうしてパパやママのことを覚えてないんだ?

[ポプカル] ポプカルは記憶力が悪いから、それでたくさんのことを覚えきれないのかも。

[ポプカル] でもね、ポプカルにも、忘れられないことがあるよ。

[ポプカル] 採掘場のカーン、カーンっていう音、ロドスよりもすごく大きな鉄の街、それからたくさんの人に囲まれた塔。

[ポプカル] 白衣を着たお医者さん、ピカピカの鉄の塊たち、静かな小部屋。

[ポプカル] それからまっ白な大きなお部屋と、真ん中にあるベッド。

[バブル] いっぱい覚えてるじゃないか。

[ポプカル] だけどお父さんとお母さんの名前は、思い出せないの……

[ポプカル] うう……

[バブル] 頭を叩いたら思い出すかもしれないぞ。ボクはよくそうやって思い出すんだ。

[バブル] 手伝ってほしいなら、ボクが叩いてやるぞ。

[バブル] ボクは力がとっても強いからな。

[バブル] ゴンゴンゴンゴン!

[ポプカル] バブルは強いから、叩かれたらきっとおかしくなっちゃうよ。

[バブル] そうか? じゃあやめとこう。

ピピ、ピピ。

[シャマレ] うーん……

[バブル] つまんないなー。シャマレは寝言まで言ってるし――ポプカル、君のキュィーンで遊んでいいか?

[ポプカル] いいよ。でもね、キュィーンは今日は回れないんだよ。

[バブル] なんでだ?

[ポプカル] 中の回るところが修理中なんだ。

[ポプカル] ポプカルが、お兄さんお姉さんたちにものを切ってあげてた時に壊れちゃったの。

[バブル] そうなのか。

[バブル] じゃあ他の遊びを考えよう。

[バブル] ポプカルもさ、ボクみたいにいっぱい遊ぶべきだよ。訓練や授業なんて行くなよ、面白くないし。

[ポプカル] でもちゃんと訓練してないと、悪い人をやっつけに行くとき、あっさり痛い目にあっちゃうんだよ。

[ポプカル] それにポプカル、オーキッドお姉さんたちのお仕事のお手伝いをしないといけないからね。

[バブル] 素直すぎるんだよ。ボクみたいにすればいいのに。盾を持って、ドドドーッて突っ込むだけでいいんだぞ。

[ポプカル] バブル、それじゃあすぐに怪我しちゃうよ。

[ポプカル] 最初はポプカルもわからなかった。キュィーンを持って、とにかく振り回してた。それで時々、お兄さんやお姉さんたちも傷つけちゃうんだ。

[ポプカル] だけど訓練をして、ポプカルはオーキッドお姉さんの言うことが分かるようになったんだよ。お姉さんが考える係で、ポプカルは話を聞く係なんだ。

[ポプカル] そしたらポプカルも痛くならないし、お兄さんやお姉さんも傷つかないんだよ。前よりずっといいよ。

[バブル] 君の兄ちゃんや姉ちゃんは、強いのか? ボクのパパくらい強い?

[ポプカル] ううん。だけどお兄さんやお姉さんたちは、ポプカルにとっても優しくしてくれるんだよ。

[ポプカル] オーキッドお姉さんは髪をすいてくれるし、ミッドナイトお兄さんは服を選んでくれるの。

[ポプカル] カタパルトお姉さんはおいしいお菓子をくれるし、スポットお兄さんは面白い漫画を選んでくれるんだ。

[バブル] おお――なんか楽しそうだな。今度ドクターに頼んでボクもたくさんの人に面倒を見てもらおう。

[バブル] じゃあどうしてキュィーンを持ってみんなを追いかけるんだ?

[ポプカル] キュィーン? 追いかける?

[ポプカル] ポプカルはそんなことしてないよ。

[バブル] シャマレもそうだ。いつも自分は大人だから、頭を撫でられちゃいけないって言ってる。

[バブル] だけど撫でられると、すごく嬉しそうだよな。

[バブル] シャマレ?

[バブル] ……そうだ!

[バブル] ボク思いついたぞ! シャマレの尻尾って面白そうだから、あれで遊ぼうよ。

[バブル] 柔らかくてすべすべなんだ。パパの椅子の毛皮でも、あんなにすべすべじゃないぞ。

[ポプカル] そんなことしたら、シャマレお姉さんが怒っちゃうよ。

[バブル] まだ起きてないから、気づかないよ!

[ポプカル] もし起きたらどうするの!

[バブル] ちぇっ。

[バブル] じゃあもう一回考えよう……

[バブル] プロレスごっこはどうだ?

[ポプカル] オーキッドお姉さんが、休憩室で暴れちゃダメって言ってたよ。他の人の邪魔になっちゃうから。

[バブル] なんでそんなにいい子ちゃんなんだよ。つまんない……

[シャマレ] 私が彼女を……しっかり見てるから……

[シャマレ] ……

[バブル] ほら、シャマレも暇すぎて寝言を言い続けてるぞ。

[バブル] なにか一緒に面白い遊びができないかな……

[バブル] ……

[バブル] そうだ!

[バブル] 腕相撲、腕相撲ならいいだろ。

[バブル] 静かだし、力比べもできるし、それに何より――

[バブル] ボクたちは勝負したことがない。

[ポプカル] いいかもね。

[バブル] このテーブルでやろう。

[バブル] ボクは準備万端だ!

[ポプカル] ポプカルもだよ。

[バブル] 三!

[ポプカル] 二!

[ポプカル&バブル] 一!

[バブル] ふんっ!!!!

[ポプカル] やぁ!

[シャマレ] ……

[バブル] ボク、腕相撲は、負けたことないんだぞっ……

[ポプカル] ふん!!! やぁ!!!

[バブル] パパの名にかけて!

[バブル] 腕相撲じゃ絶対に負けられないんだ!

[バブル] はぁ!

[ポプカル] やぁ!

[ポプカル] テ、テーブルがぺしゃんこになっちゃった……

[バブル] ……

[ポプカル] (小声)ど、どうしよう?

[バブル] (小声)知らないよ!

[シャマレ] Zzzz……

[バブル] よかった、起こさずに済んだぞ。

[バブル] もしシャマレを起こしてしまったら、絶対に変な呪文をかけられてたよ。

[ポプカル] でも、テ、テーブルは?

[バブル] 掃除のおじさんに片付けてもらおう。

[ポプカル] もしおじさんが何か聞いてきたら、その、なんて言うの?

[バブル] もちろん勝手に壊れたって言うんだ。

[ポプカル] 嘘はよくないよ……

[バブル] 嘘つかないとお尻を叩かれちゃうだろ!

[バブル] もっとよくないじゃないか!

[ポプカル] うぅ……

[バブル] いいか、後から大人たちが来たら、テーブルは自分で壊れたって言うんだ。約束だぞ!

[ポプカル] わかったよ……

[バブル] あ、眼帯がちょっとずれてるぞ。

[バブル] 中がまっ黒だ……

[ポプカル] (慌てて眼帯を着け直す)

[バブル] あの黒いのは、悪い石か?

[ポプカル] 多分ね。ポプカルも触ったことがないんだ。

[ポプカル] オーキッドお姉さんとケルシー先生がポプカルに言ったの。絶対に眼帯を外したらだめだよって。

[バブル] なんでだ?

[ポプカル] よく覚えてない……

[バブル] じゃあ見せてよ。ちょっとだけ、な? 一瞬見てすぐに着ければ、絶対大丈夫だって。

[ポプカル] うう……

[バブル] キャンディをあげるから。先週、紫色の太ったヴァルポのお姉さんのとこでもらった、おいしいやつだ。

[バブル] それに君が大好きな、クリームビスケットもあるぞ。

[バブル] どうだ?

[ポプカル] わかったよ……

[ポプカル] ちょっとだけだよ。

[バブル] うん!

[バブル] へへ!

[ポプカル] ううっ……

[バブル] どうした?

[ポプカル] ま、まぶしすぎて……

[バブル] 待った、電気を消してくる!

[シャマレ] (目を覚ます)……

[バブル] これでいいか?

[ポプカル] うん……

[ポプカル] (眼帯を外す)

[バブル] うわぁ、すごいきれい!

[ポプカル] 本当?

[バブル] きれいだし、カッコいい!

[ポプカル] どうなってるの?

[バブル] わかんない。でもすっごくカッコいいぞ。

[バブル] うん? なんだか中がキラキラしてるな。

[ポプカル] あ――

[バブル] わぁ、どんどん明るくなってきた!

[バブル] 君の目、本当にすごいな!

[ポプカル] ……

[バブル] 何だかちょっと熱いな。

[ポプカル] ……!

[ポプカル] 何が起きてるの?

[バブル] ?

[シャマレ] 眼帯を着けなさい。

[ポプカル] はい、シャマレお姉さん。

[バブル] あっ、シャマレ、どうして――

[ポプカル] あれ?

[シャマレ] オーキッドはもう入り口に来てるよ。あまり待たせないことね。

[ポプカル] オーキッドお姉さん、もう来てるんですか。すぐ行きます!

[ポプカル] でもバブルはどうしましょう?

[シャマレ] アタシが宿舎に連れて帰るよ。

[ポプカル] わかりました。

[ポプカル] じゃあお先に失礼します。さようなら!

[シャマレ] またね。

[シャマレ] ふぅ……

ピピ、ピピ。

[シャマレ] うん。

[シャマレ] ポプカルは問題ないよ。

[シャマレ] うん。

[シャマレ] 今からバブルを連れて行くね。

[シャマレ] 行こう、モルテ。バブルを医療部まで引きずって行くよ。

[シャマレ] 今回で多少懲りてくれたらいいんだけど。

[モルテ] ?

[シャマレ] そう、引きずるの。この子は重すぎるから、アタシたちじゃ背負えないよ。

[シャマレ] 行こう。

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