aklib_story_黙して語らず

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黙して語らず

思わぬ形でロドスにやってきたマンティコアの少女は、閉ざされた扉の向こうで黙り込んでいる。しかし扉の外の会話は、彼女の心に届いていた。


ロドス司令室

[Stormeye] 彼女を連れ帰ったのは私のミスです。申し訳ありません。

[ケルシー] 何があったか詳しく教えてくれ。

[Stormeye] 報告書に書いた通りです。セーフハウスの近くで、砂にまみれて虫の息で倒れている彼女を発見したのが始まりです。砂漠で天災に遭遇したのかと思うような状態でした。

[Stormeye] そこで、彼女に水を飲ませてやることにしたんです。昔からの習慣と言いますか……

[ケルシー] 慈善の精神を否定はしないが、それには相応の責任が伴う。

[Stormeye] はい、相手がどんな人物であるかまでは考えが及びませんでした。完全に私の落ち度です。

[Stormeye] それから彼女に生理食塩水を飲ませて、村近くの涼しい場所に残してきた……はずでした。

[Stormeye] 次に彼女を見たのは、飛行ユニットの中です。

[Stormeye] どうやら、後をつけられていたようです。

[ケルシー] 君も全く気づかなかった、ということか?

[Stormeye] ええ。飛び立つ前に機内をくまなく点検しましたが、異常は認められませんでした。

[Stormeye] 彼女は道中で突然現れたとしか言いようがないんです。離陸時から飛行ユニット内に潜伏していたのかどうかすらわかりません。

[Stormeye] もし彼女が衰弱していなければ、私に攻撃をかわせた自信はありません。

[ケルシー] 目下の情報では、確かに彼女はステルスの類いのアーツを操れるようだ。さらに詳しい情報があれば、彼女への対処もいくらか楽になるのだが。

[Stormeye] すみません、それ以上の情報はありません。

[Stormeye] 砂漠に足跡すら残っていなかったんです。

[ケルシー] それも有力な情報になるかもしれないな。

[ケルシー] 襲われた理由について、心当たりは?

[Stormeye] どこかで恨みを買っていたのかもしれませんし、何かの誤解かもしれません。あるいは、砂漠を越えた後に発現したストレス反応の可能性もあります。

[ドクター選択肢1] 君に姿を見られたことが原因かもしれない。

[Stormeye] それは私も考えました。

[ケルシー] ロドスは引き続き彼女の素性を調査するが、本人に聞かないとわからないこともあるだろうな。

[ケルシー] とは言え安心してほしい、Stormeye。彼女はロドスに来てから誰も傷つけていない。

[ケルシー] 身体検査を受けた後、点滴中に自ら針を抜いて医療部を離れたが、その後は個室の宿舎に移された。

[ケルシー] サーベイランスマシンのフィードバックデータによれば、現状命の危険はないようだ。

[ケルシー] ただ、彼女は我々との対話を拒否している。

[Stormeye] わかりました。

[ケルシー] では、次は君の関心事についてだ、{@nickname}。

[ケルシー] 彼女が所持していたIDタグを調べたが、その多くは本人の年齢を上回るもので、数十年前に発生した地域間の衝突の遺留品だった。

[ケルシー] わかったことと言えば、彼女の活動範囲がサルゴンの大部分に渡ることぐらいだ。それ以外では、IDタグ同士には深い関連性は見られなかった。

[ケルシー] 彼女の持っていた武器に関しても調査を行った。そこから、彼女の戦闘方針は暗殺を中心とするものと断定された。

[ケルシー] そして彼女の所持していた精巧な小道具の数々は、作りから見て自作ではないものと見られる。

[ケルシー] だが、それらの武器や毒薬の入手ルートは追えていない。我々の情報網では、何もつかめないのが現状だ。

[ケルシー] また、サルゴンにおける暗殺計画は珍しいものではないため、彼女の行動を特定の事件に結びつけることもできない。

[ケルシー] 最後に、ロドスと接触した後の彼女の行動から鑑みれば、本人から直接情報を聞き出すことも難しいだろう。

[ケルシー] 意識が戻って三日も経つが、彼女は出された食べ物と水を口にすることすら拒否している。

[ケルシー] 彼女の過去に対する忠誠心がそこまでのものであるならば、果たしてロドスと協力関係を築けるだろうか?

[ケルシー] ――{@nickname}、これについては君に判断を任せる。もし時間があるなら、会いに行くといい。

[ケルシー] ロドスから見れば、第一に彼女は感染者だ。彼女の過去が如何なるものであっても、その点は変わらない。

[ケルシー] もしも彼女に協力の意向があれば、ロドスは受け入れる。

[白いマスクの人物] しきたりの通り、酒瓶を回す。

[白いマスクの人物] 瓶の口が指し示した者が、任務を受けるんだ。

一同は黙ったまま、輪になって酒瓶を囲む。酒瓶は誰を選ぶかなど気にしない。誰だろうと同じなのだから。

酒瓶の口は彼女の前で止まった。彼女は瓶から紙を取り出すと、静かに輪を抜けた。

[白いマスクの人物] 指令は全て瓶の中の紙に書いてある。

隊長は毎回同じように説明する。まるでこの場に新入りがいるみたいに。

実際、これまでに誰が来て誰が去ったのか、彼女は一切知らない。あるときは三、四人、多いときは十数人がここに集まる。

きっと隊長も知らないだろう、と彼女は思う。なぜなら、あの白いマスクの人の声すら、以前とは違うのだから。

[マンティコア族の少女] ふわぁ……

[マンティコア族の少女] (危なかった……もう少しで、うっかり寝る、ところだった……)

[マンティコア族の少女] (あれ……この上着、なに? 変な生地……)

[外の声A] マンティコアなど何年も見ておらぬぞ! あの小娘はまだ出たがらないのか?

[マンティコア族の少女] (監視が、来た……)

[外の声B] 落ち着いてください、ワルファリン先生。あなたに縛……ええと、手術台に乗せられたら、あの子にトラウマを植え付けてしまうかもしれません。

[外の声A] なに?

[外の声A] ならばケルシーはどうするつもりだ? 最新の医療技術があるとはいえ、ドアを隔てての治療などできんぞ。

[外の声B] ケルシー先生は、もう少し時間を与えると仰っていました……彼女が自分でドアを開けない限り、私たちには何もできませんよ。

[外の声B] ちなみに彼女には古い制服のコートを着せておきました。前に着ていたものは、もう着られないので。

[外の声B] あの血と砂にまみれた服を換えてからは、随分元気そうになりましたよ。

[外の声B] 心配いりません。ワルファリン先生の実験対象……いや、先生が気にかけている患者さんは、きっとすぐに回復しますから。

[マンティコア族の少女] ……静かになった。

[マンティコア族の少女] 監視の人、行った?

[マンティコア族の少女] あの人たち、知ってる……わたしが感染者だって。

[マンティコア族の少女] 投降を、待ってるんだ……治療の約束で、騙して、投降させようとしてる。

[マンティコア族の少女] ううっ……!

[マンティコア族の少女] やっぱり、触ってもわからないはず……体、痛いくらい押しても、中の源石までは、届かない……

[マンティコア族の少女] だから、わたしが感染者だって知ってるなら、きっと上の人だ。

[マンティコア族の少女] 気付かれた? わたしがあの兵士を、殺せなかったから……

[マンティコア族の少女] わたしを、試してる……まだ使えるか、知りたいんだ。

[マンティコア族の少女] それなら、よかった……もう、何日も、指令、受けてない……

[マンティコア族の少女] 自分を証明してみせる……

[マンティコア族の少女] 脚に、変なリングがついてる……移動都市にしかない、技術みたい……

[マンティコア族の少女] ここ、柔らかいベッドがある……壁の隙間に、砂も見えない……

[マンティコア族の少女] 夢の中の、生活みたい……まさかもう、あのパーディシャーの、そばにいるの?

[外の声A] おーい、ごめんくださーい。寝てるの? 起きたかな~?

[外の声A] あのね……長い間お腹が減ってたら、一気にたくさんは食べちゃだめなの。だから薄いお粥を炊いたよ。

[外の声A] ……まだ寝てるのかな。じゃあ窓のとこに置いておくね。

[外の声B] あれ、グムちゃんじゃーん。今日の朝食の当番? 知ってたら早起きしたんだけどなー。

[外の声B] あ、もしかしてグムちゃんも新人ちゃんに会いに来たの? 昨日から一緒にネイルセットを買わないか聞こうと思っててさー。でも全然出てきてくれないんだよね。

[外の声A] 医療部の人が、しっかり休ませる必要があるから邪魔しちゃだめって言ってたよ。

[外の声B] 別に押し売りするつもりはないよ。出てきてないかな~って様子を見に来ただけ。

[外の声B] せっかく青系のマニキュアが似合いそうな子を見つけたんだもん、このチャンスを逃すわけにはいかないでしょ。

[外の声A] うぅ、ウタゲお姉ちゃん、獲物を見つけたみたいな顔しないでよ。

[マンティコア族の少女] (名前で呼び合ってる……演技でもなさそう。)

[マンティコア族の少女] (つまり、わたしを捕まえたのは、敵……)

[マンティコア族の少女] (武器は取られたし……鋭い家具も、ここにはない……)

[マンティコア族の少女] (この人たち、尋問の準備ができてるんだ。それまではわたしを……逃してくれないはず……)

[マンティコア族の少女] (それに、ここに来てから、たくさんの人に姿を見られた……わたしはもう、役に立たない。)

[マンティコア族の少女] (でも大丈夫。いつかはこうなるって、知ってた……)

[外の声A] そうだ、昨日と一昨日ここに置いておいたご飯も、受け取らなかったのかな?

[外の声B] そうみたいだよ。ヴイーヴルみたいに、時々食事を抜いても平気なのかな?

[外の声A] どうなんだろう……お腹が減ってつらくないのかな? それに食べ物を無駄しちゃうのはもったいないよ。

[外の声A] ……こんなこと言っててもしょうがないね。新人さんはまだ寝てるみたいだし、やっぱり邪魔しないでおこう。

[マンティコア族の少女] ……彼女たち、行った。

[マンティコア族の少女] さっきの話……わざとわたしに言い聞かせてる?

[アンセル] ドクター、宿舎にまでいらっしゃる時間なんてあったんですね。

[アンセル] ドクターの執務室を通りかかると、いつもデスクに資料や書類が山積みになっているのが見えるので……

[ドクター選択肢1] ケルシーから時間があれば彼女を見に行けと言われた。

[ドクター選択肢2] 彼女の様子が気になる。

[ドクター選択肢3] デスクを離れて歩くのも鍛錬になる。

[アンセル] ケルシー先生はドクターにまでお願いしていたんですね……

[アンセル] ああ、なるほど。医療部があのマンティコアの女の子を受け入れてからというもの、皆さん彼女を気にかけていますからね。

[アンセル] ……ドクターが私の忠告を受け入れてくれたのは嬉しいですが、ただ歩くだけでは鍛錬とは呼べないかもしれませんよ。

[アンセル] まあ、まずはあのマンティコアの女の子の事情を話しておきます。

[アンセル] 医療オペレーターの視点で言えば、私たちは彼女を助けたいと思っています。

[アンセル] 彼女の感染状況はすでに中期に達していますが、現在のロドスの技術ならば、進行状況をコントロールし、更なる悪化を防ぐことができる範囲です。

[アンセル] サーベイランスマシンが収集したデータによると、彼女の体内の源石結晶はやや活発化の傾向にあり、当の本人も絶食によって非常に衰弱しています。

[アンセル] 病人がこんな風に消耗していく様子を見たくはありません……

[アンセル] ですが、突然見知らぬ環境に連れてこられて、目覚めたら手術台に寝かされていたのです。恐れるのも無理はないでしょう。

[アンセル] それで、ええと、ハイビスカスさんの作った健康食を持ってきたんです。彼女に挨拶して、こちらの善意を示したいのですが……

[アンセル] ドクター、何かアドバイスはありませんか?

[ドクター選択肢1] ロドスなら彼女を守ることができると伝えよう。

[ドクター選択肢2] 善意を示すならその健康食はやめた方がいい。

[ドクター選択肢3] ロドスは彼女の能力を必要としていると伝えよう。

[アンセル] 守る? ドクター、それはつまり……彼女が恐れているのは、得体の知れないロドスだけじゃないということですか?

[アンセル] うーん……となると、鉱石病も怖いのかもしれませんね。ですが医療オペレーターとして、私たちが彼女の命の安全を保証します。

[アンセル] なるほど、確かにそうですね。健康食は冷たい料理が多いですし、何日も食事をしていない彼女には刺激が強すぎます。なにより、迅速なエネルギー補給には適しません。

[アンセル] えっ、つまり、ドクターは彼女も予備オペレーターになれるとお考えですか?

[アンセル] 姿形の見えない彼女が演習相手になるのなら、こちらも間違いなく緊張してしまいますね。はは。

[アンセル] ふぅ、とにかくドクターがいれば、説得しやすくなりそうですね。

[ドクター選択肢1] そうだ、ロドスの仕事をあまり恐ろしく語らないように。

[ドクター選択肢2] 君がロドスを信頼している理由を話すといい。

[アンセル] わかりました、ドクター。

[アンセル] そもそも私は予備オペレーターですから、先輩方やドクターがどんな恐ろしい思いや苦労をしてきたのかを知りません……

[アンセル] ですが、多くの人がドクターに救われたと語っています。

[アンセル] 私のですか? 私は、鉱石病を治療するというロドスの信念を信じていますし、ケルシー先生の知識と実力を尊敬しています。

[アンセル] それに危険な作戦中に負傷者の応急手当をしている際は、ドクターの指揮を信じているからこそ、医療オペレーターとしての仕事に集中できているんです。

[アンセル] そういったことを伝えてみますね。

[アンセル] ドクター、一緒に行きますか?

[白いマスクの人物] ここに隠れて、もう何日だ?

[マンティコア族の少女] うわっ!

[白いマスクの人物] お前は獣を狩って食料を得ることすらできない。違うか?

[マンティコア族の少女] わ……わたし、そんなこと、したくない……それに、わざと隠れてるんじゃない。みんな、わたしが見えない、だけ……

[マンティコア族の少女] わたし……武器、持ってない、触ったことすらない……

[白いマスクの人物] 生まれつきの武器があるだろう。

[マンティコア族の少女] これは、ずっと気をつけてる……わたしの尻尾、誰も傷つけたことない!

[白いマスクの人物] か弱いふりをして誰の同情を引くつもりだ? もう誰もお前を見ていないぞ。

[白いマスクの人物] 鉱石病がこんなにも進行しているというのに、まだ普通に街で働いて食いぶちを得られると思っているのか?

[マンティコア族の少女] な……なんで、知ってるの……あなた、誰?

[白いマスクの人物] お前も自覚しているはずだ。以前のような生活の中に、もうお前の居場所はない。

[白いマスクの人物] 武器を持つことを覚えろ。それが今のお前が自分に与えてやれる唯一の価値だ。

[マンティコア族の少女] で……できない……

[白いマスクの人物] 見ろ、鉱石病の鎮痛剤だ。

[白いマスクの人物] 生きたいんだろう?

[白いマスクの人物] うちの隊ならば、お前のような怪物も受け入れることができる。

[白いマスクの人物] 仲間に加われ。リーダーがお前を救ってくれるだろう。

[マンティコア族の少女] うう……

なじみ深い飢餓感と脱水症状の中、意識が徐々におぼろげになっていく。

長期間潜伏していると、こういった状況はよく起こる。これが任務遂行中であれば、まだ失敗には至らない程度の衰弱であることを、彼女は判断できている。

これまでの任務では報告地点が指定されていて、そこにたどり着きさえすれば休むことができた。しかし――

[マンティコア族の少女] 今回の紙には、書いてなかった……

[マンティコア族の少女] あぁ……もう用済みなのに、まだ助かりたいって、思ってる……

[マンティコア族の少女] とっくに、わかってたのに……隊長は、嘘をついてるって……

[外の声] すみません……

[アンセル] こんにちは、アンセルといいます。

[アンセル] すみません、何とお呼びすればいいでしょうか。ロドスには本名を明かさず、コードネームを通名として使用する方も多くいます。ご希望であればあなたもご自身で決めて構いません。

[マンティコア族の少女] (みんな、ここはロドスだって、言ってる。ロドスって、どこ?)

[マンティコア族の少女] (この服にも、そう書いてある……)

[アンセル] 目覚めたら見知らぬ場所にいたので、気が気でないのでしょう。お気持ちはわかりますが……私たちに敵意はないことを先にお伝えしておきますね。

[アンセル] 私はあなたを保護した際に記録をつけていたアシスタントです。怪しいと思われるかもしれませんが、どうか誤解しないでください。

[アンセル] 私たちはテラ各地の感染者を救済することを目的とした、どの国にも属さない医療会社です。

[アンセル] あなたは自ら治療を求めて来たのではなく、偶然ロドスに連れてこられたわけですが、保護直後から症状が芳しくなかったので、医者という立場から、あなたの身体検査を行わせていただきました。

[マンティコア族の少女] (この人も、医療会社って、言ってる……クルビア人が、ここで開いた会社?)

[アンセル] 私たちは心からあなたを助けたいと思っています……ですがあなたが受け入れたくないのであれば、無理強いはしません。

[アンセル] ただ残念ながら、ロドスは今、サルゴンの外にいます。

[マンティコア族の少女] (サルゴンの……外?)

[アンセル] ですからもし戻りたいのであれば、次に移動都市に停泊した際にあなたを降ろしますので、それからご自身で帰路を見つけていただくしかありません。

[アンセル] もちろん、ここに残っていただけるのであればそれに越したことはありません。えっと、ここでの身体検査があなたのプライバシーを侵害することもありませんよ。

[アンセル] それと、もう「ドクター」のことは耳に入っているかと思います。

[マンティコア族の少女] (ドクター……確かに、よく聞こえてくる名前……)

[アンセル] ドクターは、戦術によってはあなたの能力が生きるとおっしゃっていました。

[アンセル] 感染者の置かれている状況は、とても良好とは言えません。彼らを救出するためには、衝突は免れないのです。

[アンセル] そこで、戦う意志と力のある仲間に、ほかの人を守ってもらう必要があるんです。

[マンティコア族の少女] (必要、って……わたし、まだ役に立てる?)

[アンセル] あっ、いきなり実戦ではなく、私のようにまずは予備オペレーターとして経験を積めるはずですから、怖がらないでくださいね。

[アンセル] それに先輩方は、口を揃えてドクターの指揮は信頼できると太鼓判を押しています。

[アンセル] 絶体絶命の危機から生還した多くの先輩が、ドクターが連れて帰ってくれたとおっしゃっているほどですから。

[マンティコア族の少女] (……ほんとに?)

[マンティコア族の少女] (わたしを、捨て駒にしないの?)

[マンティコア族の少女] コホンッ……こ、こんにちは。

[アンセル] ……ドクター。やはり反応がありません。先に戻られますか?

[マンティコア族の少女] 違う、待って……

[アンセル] 部屋の中からは何も物音が聞こえませんし、眠っているのかもしれませんね。

[マンティコア族の少女] 行かないで……自分を、証明できるから……

[マンティコア族の少女] 指揮官、わたしを、置いてかないで……

[アンセル] 彼女のことは心配ですが、今は刺激しない方がいいでしょう。

[マンティコア族の少女] ここにいる……気づいて……

[マンティコア族の少女] わたしは、生きたい……

[ドクター選択肢1] ドアが少し動いたみたいだ。

[ドクター選択肢2] 彼女は聞いていると思う。

......

[ドクター選択肢1] うまく話せないなら、まずはコードネームを考えてみて。

[ドクター選択肢2] 何と呼べばいい?

[ドクター選択肢1] (持っていたメモ用紙とペンを部屋の中に滑らせる)

[ドーベルマン] ああ、ドクター。ロドスのオペレーターならば、本来そういった奇襲への対処もできてしかるべきだ。

[ドーベルマン] そのため、経験不足のオペレーターを今回の演習へ参加させることには反論するつもりはない。いざ戦場でその手の伏兵に腰を抜かしてもらっては困るからな。

[ドーベルマン] だが問題は、この「マンティコア」を名乗る者について、我々はまだ何も知らないということだ。

[ドーベルマン] 彼女のメモ書きを正式な入職申請と見なすことはできないぞ。対抗演習の参加申請と見なすなどもってのほかだ。

[ドーベルマン] これまで彼女は自分の過去を語らず、身元調査で得られた情報にも確かなものはなかった。

[ドクター選択肢1] 過去を一切語らないからこそ信用できる。

[ドーベルマン] つまり、仲間に引き入れさえすれば、絶対に裏切らないということか――わかった。

[ドーベルマン] しかしまずは、どうやって彼女を取り込む?

[ドクター選択肢1] この演習で。

[ケルシー] こちらのオペレーターが彼女の奇襲を防御ないしは反撃する能力を有していることを見せつければ、演習戦はむしろロドスが彼女に誠意を示す手段になるだろう。

[ケルシー] 刺客が相手の枕元にナイフを置いて、いつでも相手を殺せるがそうするつもりはない、と意思表示するのと同じ理屈だ。

[ケルシー] 彼女ならきっとその意味を理解できるだろう。

[ドーベルマン] ……わかった。受け入れよう。

[ドーベルマン] 今回の演習は全て録画し、彼女のプロファイルの一部として保管することとする。

[ドーベルマン] ドクターなら、きっとそこから我々の必要とする多くの情報を読み取れるはずだ。

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