aklib_story_看病

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看病

ラヴァは、ハイビスカスが病気になったことを知る。姉の看病で疲れたラヴァは、目を閉じ一息ついた。目を覚ますと、それが夢だったことに気付く。病気になっていたのは、本当は自分の方だったのだ。


ピピピピ――

ピピピピ――

ピピピピ――

バシッ

[ラヴァ] あぁもう……うっさいなぁ……

[ラヴァ] ハイビス、早く起きろ。

......

[ラヴァ] なんで返事しねぇんだ?

[ラヴァ] まさか起きたくないとか考えてるんじゃないよな。

......

[ラヴァ] 巡回診療に行くから早めに起こしてって、昨夜メッセージ送ってきたのはオマエだろ?

[ラヴァ] それでせっかく人が早起きして起こしてやったのに、当の本人は起きねぇってのかよ。ふぁーあ。

[ラヴァ] はぁ……寝たいんなら寝てろ、アタシは顔洗ってくる。

......

[ラヴァ] ん?

[ラヴァ] ハイビス、いつまで寝てるんだ?

[ラヴァ] 起きろって。

......

[ラヴァ] アタシも外勤から帰ってきたばっかなんだぞ。今回の任務はかなりキツくて、アタシ以外に対応できるヤツはほとんどいなかったからな。

[ラヴァ] アーミヤが数日休みをくれたから、本当なら一日中寝られたのに。

[ラヴァ] オマエを起こすためにわざわざ一、二時間寝ただけで起きてやったんだからな。ふぁーあ……

......

[ラヴァ] 本当に起きないのか?

[ラヴァ] だったら実力行使させてもらうぞ。

[ラヴァ] 昨夜オマエが自分で言ったんだからな。自分はもう医療部の精鋭の一人だから、絶対に遅刻できない、引きずってでも起こせって。

[ラヴァ] まぁそんなふうに言ってきたのは何度もあったけどさ……

[ラヴァ] でも本当にオマエを布団から引っ張り出すなんて初めてだな。

[ラヴァ] フフン。もしアタシがいなかったら、オマエどうするつもりだったんだ?

[ラヴァ] ……

[ラヴァ] まだ起きないのか? 本当に布団をめくるからな! 風邪ひいてもアタシのせいにするなよ。

[ラヴァ] ハイ――

[ラヴァ] ど、どうしたハイビス!?

[ラヴァ] 手がめちゃくちゃ熱いぞ!?

[ハイビスカス] ……

[ラヴァ] ハイビス……姉ちゃん! 冗談やめろよ、オマエいつも健康だろ?

[ラヴァ] どうして急に……

[ラヴァ] 姉ちゃん、姉ちゃん、何か言えよ!

[ハイビスカス] 起きたよ……ラヴァちゃん……

[ハイビスカス] 揺すらないで……

[ラヴァ] あっ、ご、ごめん。

[ラヴァ] 大丈夫か?

[ハイビスカス] ちょっと寒い……力も入らない……

[ハイビスカス] 多分、熱があるんだと思う……

[ラヴァ] 熱って……オマエが熱出すことなんてあるのか?

[ラヴァ] あっ! そんなこと言ってる場合じゃない!

[ラヴァ] ちょっと待ってろ、すぐに医者を呼んでくる!

[ハイビスカス] 大丈夫……大したことないよ、ラヴァちゃん……

[ハイビスカス] はぁ……あの子ったらもう……

十分後

[ラヴァ] ハイビス、医者を連れて来たぞ!

[ラヴァ] アンセル、早く診てくれ! ハイビスは大丈夫なのか!?

[アンセル] ちょ、ちょっと! そんなに慌てないでください。うわっ! 引っ張らないで――

[アンセル] まったく……すごい勢いで連れ出されたから何事かと思ったら、あなたのお姉さんが病気だったんですね。

[ハイビスカス] 私はだい……じょうぶ……

[アンセル] 病人には「大丈夫」なんて言う資格はありませんよ。

[アンセル] うーん……

[アンセル] 体温計はありますか?

[ラヴァ] あ、あると思う!

[ハイビスカス] 救急箱の中に……

[ラヴァ] すぐ取ってくる!

[アンセル] 症状はどんな具合ですか?

[ハイビスカス] ただの……熱です……

[アンセル] うーむ。

[アンセル] やはりちょっと体温が高いですね。

[アンセル] 体に力が入らない、そうでしょう?

[ハイビスカス] はい……

救急箱は? 確かここにあったはずだぞ!

[アンセル] ここ数日の食事や生活に問題はありませんでしたか?

[ハイビスカス] 健……

[アンセル] 健康食ですね。

[アンセル] いいです、今の質問はなかったことにしましょう。

[アンセル] あなたやフォリニックさんは、この手の心配をする必要のない人たちでしたね。

[ハイビスカス] ……

[アンセル] 恐らくここ最近の疲労が蓄積していたのでしょう。

見つけた!

[ハイビスカス] アンセルさん……一応検査を……お願いしてもいいですか……

[ハイビスカス] そうすればあの子も……少しは安心すると思いますから……

[アンセル] わかりました。

[ラヴァ] ほら、体温計だ!

[アンセル] 救急箱ごと持ってきてください。そうすればハイビスさんに基本的な検査を一通りしてあげられます。

[アンセル] ハイビスさんの救急箱なら、必要な器具は揃っているはずです。

[ラヴァ] わかった!

[アンセル] 十分なデータが取れれば、この熱が身体の防衛メカニズムによるものか、それとも別の病気が引き起こした合併症なのかが判断できます。

[アンセル] まずは体温からです。さぁ、口を開けてください。

[アンセル] あーん――

[ラヴァ] ど、どうだ?

[アンセル] 大したことはありませんよ。身体が自律的に調整を行っただけで、今回はそれが少し激しかったようですね。

[アンセル] 過労が主な原因です。

[アンセル] 数日の間ゆっくり休めば、すぐに良くなりますよ。

[アンセル] あっさり目の食事で、塩分や糖分を控え、栄養バランスに注意してください。

[ラヴァ] アタシが健康食を作れってことか……?

[アンセル] いえいえ。食堂でもそういったメニューは提供されてますので、必ずしも自分で作らなければならないというわけではありません。

[アンセル] 他のことについてはハイビスさんがご自分でわかってますから、この辺にしておきましょう。

[アンセル] 医療部の方には私が代わりに病欠と伝えておきますね。フェンさんにも言っておきます。

[アンセル] お二人はこれから数日、外勤やその他の任務はありませんよね?

[ラヴァ] ない。

[ハイビスカス] ありません……

[アンセル] じゃあ特に問題ありませんね。

[アンセル] 他に聞きたいことがなければ、私はもう行きますね。ハイビスさんの看病は任せましたよ、ラヴァさん。

[ラヴァ] はぁ――

[ラヴァ] ……

[ラヴァ] 数日間、オマエを看病するのか。

[ハイビスカス] あの……

[ラヴァ] アタシは看護なんて学んだことないぞ。

[ハイビスカス] ラヴァちゃん……訓練に行くなら……行っていいから……

[ハイビスカス] お姉ちゃんは……お医者さんだし……心配いらないよ……

[ハイビスカス] 自分の面倒は……自分で見られるから……

[ハイビスカス] ゴホッ、ゴホゴホッ……

[ラヴァ] あんまり喋るな! 喉は痛くないか? 水飲むか?

[ハイビスカス] 大丈夫……

[ラヴァ] つまり……えーっと、違うんだ! アタシはオマエの看病をしたくないって言ったわけじゃない!

[ラヴァ] その、あれだ……ア、アタシそういうのやったことないから……

[ラヴァ] もしアタシが何かミスって、嫌だって感じたら……

[ラヴァ] 遠慮なく言ってくれよ。

[ハイビスカス] ラヴァちゃん……

[ハイビスカス] わかった……

[ラヴァ] よし! じゃあまずは、朝ご飯でも食べるか……アタシが作るよ、洗い物もするから。

[ラヴァ] 食欲はあるか?

[ハイビスカス] 大丈夫……

[ラヴァ] よし……

[ラヴァ] じゃあとりあえず洗面器持ってくるから、顔洗って歯磨いてくれ。

[ハイビスカス] (うなずく)

[ラヴァ] ちょっと待ってろ。

[ハイビスカス] (ラヴァの服の裾を引っ張る)

[ラヴァ] あん? 他に何かあるのか?

[ハイビスカス] (ありがとうと口を動かす)

[ラヴァ] 礼なんていらない。オマエが病気になったお陰で、アタシは余計に休めるんだ。儲けもんだろ。

えーっと、洗面器はどこにやったっけな?

......

[ラヴァ] はぁ……ようやく終わった……

[ラヴァ] 看病って大変だな。なんかダサいし。

[ラヴァ] みんなの前でこんなことしなきゃいけなくなったら、アタシは絶対拒否るね。

[ハイビスカス] ……

[ラヴァ] お腹いっぱいになったか?

[ハイビスカス] (うなずく)

[ラヴァ] じゃ、もう寝てな。

[ラヴァ] 目を閉じて、ゆっくり休めよ。

[ラヴァ] アタシは洗面器と食器を洗って、それから――何すりゃいいんだ?

[ラヴァ] はぁ……まぁ、とりあえずはこんなとこかな。もし何かあったら、この目覚まし時計を鳴らせ。音が聞こえたらすぐに来るから。

[ラヴァ] ちゃんと言うこと聞けよ。

[ラヴァ] (ハイビスカスの頬をポンポン叩く)

[ハイビスカス] ……

[ラヴァ] んーと……ブラシに、あとは洗剤。

[ラヴァ] (アタシさっき、ハイビスの頬をポンポンしたのか?)

お父さんとお母さんは、いつもお前たちを想ってるからね。

たくさん連絡するんだよ。

言うこと聞くんだよ。

[ラヴァ] フンッ……

[ラヴァ] (父さんと母さんは、よくアタシたちにああやってたもんな。)

[ラヴァ] (先週送った手紙はもう届いてるかな。)

[ラヴァ] (あ……ハイビスもアタシに同じように接してるのか……)

[ハイビスカス] ちゃんと健康食を食べてね。

[ハイビスカス] 言うこと聞くんだよ。

[ラヴァ] (うーん……)

[ラヴァ] (まあアイツの場合は、ほとんどがアタシに対する命令だけど。)

[ラヴァ] (……)

[ラヴァ] (さっきの肉粥、あれで本当にお腹いっぱいになったのか?)

[ラヴァ] (何か果物でも切ってあげた方がいいのか?)

[ラヴァ] (それとも肉か?)

[ラヴァ] (アイツのベッドの前で焼き肉をやりたい気もする。)

[ラヴァ] (飯テロだ。)

[ラヴァ] (……)

[ラヴァ] (やっぱり果物切ってやるか……)

[ラヴァ] なぁ、果物切ってきたけど、食べるか?

[ハイビスカス] スゥ……

[ラヴァ] よく寝てるな。

[ラヴァ] ……

[ラヴァ] コイツの寝てる姿はそんなにムカつかないな。

[ラヴァ] (ハイビスカスの頬をつまむ)

[ハイビスカス] グゥ……

[ラヴァ] まだ熱い……

[ラヴァ] 早く良くなれよ。でないと安心してイタズラもできない……

[ラヴァ] ふぁーあ……半日動き回ったから、アタシも少し疲れてきた……

[ラヴァ] コイツのそばで一眠りするか……

[ラヴァ] ……

[ラヴァ] グゥ……

ピピピピ――

ピピピピ――

ピピピピ――

[ラヴァ] ん!?

ピピピピ――

バシッ

[ハイビスカス] 起こしちゃった? ごめんね……

[ハイビスカス] ラヴァちゃん用に作ってたお粥のタイマーが鳴っちゃった。

[ラヴァ] アタシは……

[ハイビスカス] 今食べる? それともあとにする?

[ラヴァ] 今食べる。

[ラヴァ] 自分でやる。

[ハイビスカス] ちょちょちょ! 起きちゃダメだって、昨日一日ダウンしてたのにもう動き回る気?

[ハイビスカス] 寝・て・な・さ・い。

[ラヴァ] うぐっ……

[ラヴァ] (ハイビスの奴、いつの間にこんなに力が強くなったんだ?)

[ハイビスカス] 私聞いたよ。Pithさんの特訓でそうなったんでしょ。

[ラヴァ] Pith先生が悪いんじゃない。

[ラヴァ] 元々ハイレベルな訓練なんだ。最初は結構過酷に感じるけど、でも何事も初めは難しいもんだろ。慣れれば大丈夫だ。

[ハイビスカス] だとしても、あそこまでボロボロになるなんて……

[ラヴァ] でもそれだけの価値はある。ああいう訓練を繰り返すと、自分が強くなってるのが分かるんだ。アーツの精度とか……色々な。

[ラヴァ] それに……

[ハイビスカス] それに?

[ラヴァ] 特訓前に初めから言われてたんだ。今回はレベルの高い訓練で過酷なものになるから、心の準備はしとくようにって。

[ラヴァ] だからアタシは教官たちにこう言ってやった。「大丈夫、アタシの姉ちゃんは医療オペレーターだから。たとえ死にかけても、ほんの少しでも息があれば姉ちゃんが助けてくれる」って。

[ハイビスカス] ……

[ラヴァ] そういうことだ、まぁ察してくれよ。

[ハイビスカス] ラヴァちゃん。

[ラヴァ] ん?

[ハイビスカス] 今回はいい。でももし今後、ラヴァちゃんが特訓後に今回みたいな状態になってたら、私は正式に人事部に異議を申し立てるよ。

[ラヴァ] そこまでしなくたって――

[ハイビスカス] その訓練でどれだけラヴァちゃんが強くなろうと関係ない……私はただ、ラヴァちゃんの身体が心配なの。

[ハイビスカス] とても……心配なの。

[ハイビスカス] ……

[ハイビスカス] ごめんね……

[ラヴァ] ハイビス? 姉ちゃん?

[ラヴァ] な、泣くなよ。子供じゃあるまいし。

[ハイビスカス] 私がラヴァちゃんを見つけた時どれだけ心配したかわかってる!?

[ラヴァ] でも大丈夫だっただろ……?

[ラヴァ] ちょっとヘトヘトになって、かすり傷を負っただけだ。

[ハイビスカス] 違う、今回のことじゃなくて……

[ハイビスカス] ラヴァちゃん、自分がどうやってロドスに来たか覚えてる……?

[ラヴァ] それは……

[ラヴァ] 道で商人たちの代わりに盗賊をやっつけて、その時に感染者であることがバレた……

[ラヴァ] その後、キャラバンに置いてかれて最後尾で戦うことになって……確かあの時は誰かに頭を殴られて、気絶したんだ。

[ラヴァ] そして、目が覚めた時にはロドスにいた……

[ラヴァ] 怪我も誰かが治してくれてた。

[ラヴァ] 外勤に出てたオペレーターが、帰るついでにアタシを拾ったって話だろ? 大した怪我じゃなくてよかった、周りにもそんな迷惑かけなくてさ。

[ハイビスカス] 重傷だったんだよ……

[ラヴァ] えっ?

[ハイビスカス] 離れ離れになった後も、またそのうちいつもと同じ、ひねくれ者のラヴァちゃんに会えると思ってた。でも……

[ハイビスカス] 再会したラヴァちゃんは手術台の上に寝てて、ひどい熱で……

[ハイビスカス] でも私は、何もできなくて……

[ハイビスカス] 私が唯一できたのは、手術後の看病だけ……今みたいに。

[ハイビスカス] あの時も、ラヴァちゃんはベッドの上で眠ったままずっと私の名前を呼んでた……

[ラヴァ] なんだって? 待てよ、そんな話今まで一度も……

[ラヴァ] ど、どうして言わなかったんだ――!?

[ハイビスカス] それは、ラヴァちゃんがひねくれ者で、まともに話を聞かないってことを知ってたからだよ。やっとラヴァちゃんに会えたのに、もしその話をしてまた逃げられたらどうしようって……

[ハイビスカス] だから、ラヴァちゃんが意識を取り戻してからロドスに正式加入するまで、私はずっと姿を見せなかったんだよ。

[ハイビスカス] はぁ……

[ラヴァ] いくらアタシだって、そこまでひねくれてるわけないだろ。

[ハイビスカス] そこまでひねくれてるんだよ!

[ハイビスカス] 私たちがヴィクトリアを離れた時だって、ラヴァちゃんが拗ねて、はぐれちゃったんでしょ!

[ラヴァ] あれは、事故だったんだよ……

[ハイビスカス] とにかく、あんなことになるのはもう許さないからね、わかった?

[ラヴァ] (小声)わかったよ……

[ハイビスカス] うん、いい子。

[ハイビスカス] あっそうだ。さっきはどんな夢見てたの?

[ハイビスカス] 嫌じゃなければ、どんな夢だったかお姉ちゃんに教えてくれる? そうすれば気持ちもリフレッシュできるはずだよ。

[ラヴァ] え?

[ハイビスカス] さ、言ってみて。

[ラヴァ] ア……アタシが見た夢は……

[ハイビスカス] ラヴァちゃんが見た夢は?

[ラヴァ] ハイビスが……

[ハイビスカス] 私が、どうしたの?

[ラヴァ] ハイビスが……

[ハイビスカス] うん、言って。聞いてるよ。

[ハイビスカス] (ラヴァの頬をポンポン叩く)

[ラヴァ] ……うん?

[ハイビスカス] 早く言って、一体どんな夢を見たの?

[ラヴァ] (ダメだ、恥ずかしすぎて言えない!)

[ラヴァ] 見てない!

[ラヴァ] 何も見てない!

[ハイビスカス] ちゃんと言うこと聞いて。

[ラヴァ] 聞かない!

[ラヴァ] 夢なんて見てない!

[ハイビスカス] ラヴァちゃん、起きたそばからどうして拗ねちゃうの?

[ハイビスカス] はぁ……

[ハイビスカス] 拗ねるのはいつものことだけど、顔が赤いのはどうして?

[ハイビスカス] もしかしてまた熱でもあるの?

[ラヴァ] ない!

[ハイビスカス] いい子にして横になって、体温測ってあげるから。

[ラヴァ] なんで体温なんか測るんだ?

[ラヴァ] 体温計を持ってくるな、熱なんてない!

[ハイビスカス] 病人には「大丈夫」なんて言う資格はないよ。

[ラヴァ] 顔が赤くなってるのと発熱の区別もつかないのかよオマエは!

[ハイビスカス] どうしてお姉ちゃんを見て顔を赤くするの?

[ラヴァ] そ、それはオマエが夢の中で病気になって、話す元気すらなくて、アタシが看病をしてたんだよ。それをオマエに言ったら恥ずいからに決まってるだろ!

[ラヴァ] あっ……

[ラヴァ] つまり……そんなカンジの夢だ……

[ハイビスカス] へへ、なんだか嬉しいな。

[ラヴァ] だってハイビスは……姉ちゃんはいつも……

[ハイビスカス] 私はそう簡単に倒れないよ。

[ハイビスカス] でも予想外のことは避けられないもんね。だから今後もしかしたら本当にラヴァちゃんの看病が必要になることがあるかも。

[ハイビスカス] もちろん、お姉ちゃんが危ない時はラヴァちゃんが助けてくれるって信じてるけどね。

[ハイビスカス] 普段は言うこと聞かないし、意地っ張りだし、文句ばかり多くて、考えなしに行動するけど。

[ラヴァ] 遠回しにアタシの悪口言ってんのか……?

[ハイビスカス] そうじゃないよ。

[ラヴァ] ハァ……

[ラヴァ] まぁいい。

[ラヴァ] 何か食べるモンないか? 少し腹減った。

[ハイビスカス] あ、あるよ。

[ハイビスカス] わぁ、ラヴァちゃんがこんなに素直だなんて珍しい。

[ハイビスカス] ちょっと待ってて、すぐ持ってくるから。

[ラヴァ] ……

[ラヴァ] (あの時、姉ちゃんもいたのか。)

[ラヴァ] (道理で聞き覚えのある声がすると思ってたんだ。)

[ラヴァ] (……)

[ラヴァ] (もしヨハン先生がいなかったら、アタシはきっとハイビスに会えなかっただろうな……)

[ラヴァ] (先生はリターニアで元気にやってるだろうか。あれだけ才能のある音楽家だし、きっともう有名になってるだろうな。)

[ラヴァ] (手紙……)

[ラヴァ] (父さんと母さんはいつ手紙の返事をくれるだろうか……)

[ラヴァ] (みんな……大変な中で生きてるんだ……)

[ラヴァ] (アタシがもっと強くなれたら……)

[ハイビスカス] はいどーぞ、出来立てほやほやのお粥だよ、熱いうちに食べてね。

[ラヴァ] (くんくん)

[ラヴァ] 何の香りもしないけど、肉粥じゃないのか?

[ハイビスカス] それはラヴァちゃんの夢の中のお話でしょ? これは新しく開発した健康粥だよ。美味しくてヘルシーなんだから!

[ラヴァ] (健康!?)

[ラヴァ] 待て! オマエまさか自分で作ったあの健康パウダーとかいうのをお粥に入れたんじゃないだろうな!?

[ハイビスカス] ピンポーン! その方が吸収が良くなって栄養を素早く取り込めるでしょ。

[ラヴァ] まず聞いてもいいか……オマエ自分で食べたことあんのか……?

[ハイビスカス] もっちろ~ん。

[ハイビスカス] お姉ちゃんは一日三食これを食べてるよ。栄養バランスがとってもいいからね。だから病気になるとしたら、お姉ちゃんじゃなくてラヴァちゃんなんだよ。

[ハイビスカス] ほら食べて、健康が一番大事だよ。

[ラヴァ] 嫌だ、一口だって口に入れるもんか。

[ハイビスカス] 頑張って改良したやつなんだから、食べてよ。

[ラヴァ] そんなの信じられるか! 前回改良したって言ってたやつだって、結局――

[ハイビスカス] えいっ!

[ラヴァ] うぐっ!!!!!

[ラヴァ] ん?

[ラヴァ] ……

[ラヴァ] あれ、意外と、イケる?

[ハイビスカス] でしょ~。

[ラヴァ] うーん……

[ラヴァ] !?!?

[ラヴァ] うっ、ダメだ。

[ラヴァ] いやいや、口に残るこの味、いったいどうなってるんだよ!?

[ラヴァ] おえっ! 改良したってオマエ……これ後から不味さが一気に来るようになっただけじゃないか!

[ハイビスカス] そうだよ。そうすれば一気に食べるしかなくなるでしょ?

[ラヴァ] ハイビス! オマエ――

[ラヴァ] おえぇ……

[ラヴァ] 覚えてろよ、オマエ……おえっ……許さないからな!

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