aklib_story_追加訓練

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追加訓練

いつもの基礎訓練後、ジュナーは行動予備隊A1のオペレーターたちに実戦形式の訓練を言い渡した。真の知識は実践から生まれるものだ。彼女は子供たちに、もう少し汗をかかせようとしていた。


[ジュナー] お疲れさま、行動予備隊A1の新米さんたち。

[ジュナー] 今日の定例訓練は、これにて終了よ!

[ジュナー] ほんと、よく頑張ったわね!!

[ジュナー] あなたたちが来たばかりの頃なんて、一時間訓練しただけで死にそうになってたのに……

[ジュナー] 今じゃ誰も息切れすらしてないんだもの。

[ジュナー] これは間違いなく、訓練の効果が出てるってことね。

[ビーグル] えへへ、ありがとうございます、教官!

[フェン] ビーグル! ジュナー教官のお話はまだ終わってないよ。ちょっと気が抜けすぎ――

[ジュナー] いいのよ、フェン。ドーベルマンじゃないんだから、そんなに堅苦しくしなくても大丈夫。

[ジュナー] 普段は訓練で疲れてるでしょうし、こんな時くらい少しリラックスしてもいいでしょ。

[フェン] 了解しました!

[ジュナー] ……あなた、ますますドーベルマンに似てきたわね……

[フェン] ハイッ! ――そうですか?

[ジュナー] ほら、背筋をぴんと伸ばして、腕は両脇にぴったりつけて、私の目をまっすぐ見据えてくるでしょ。ドーベルマンそっくりよ。

[ジュナー] 喋ってるときの覇気なんてもう、言うまでもないわよね。

[フェン] あっ……

[クルース] ホントだ、そっくり~。

[ジュナー] けど、それはいいことなのよ。

[ジュナー] 私が軍人だった頃と違って……ロドスは環境が整ってる。予備隊員全員の訓練を担当する教官団があって、所属教官一人一人がそれぞれ独自の特徴を持っているからね。

[ジュナー] 私が教えきれていない部分は、他の教官が気付いて、補習をしてくれる。逆もまた然りよ。

[ジュナー] そうすれば、予備隊の全員がほぼ完璧な訓練課程を履修することができる。バカな兵士一人に何もかも考えさせるのとは大違いね。

[ジュナー] グレース、ファロン、ドーベルマン……それから他の教官たちも。

[ジュナー] 教育課程の実施に於いても、戦場に於いても、信頼に値するいい仲間だわ……

[ジュナー] ……フェン。

[フェン] ハイッ!

[ジュナー] ドーベルマンからすべてを盗めるよう頑張ってね。私たち、もう一人助手が欲しいと思ってるところだから。

[フェン] 了解しました! お心遣いいただき、ありがとうございます!

[ジュナー] それと、これはお願いなんだけど……訓練が終わったら、私にリマインドしてくれないかしら? 管理人に訓練場の修理を依頼するって。

[ジュナー] 私ったらいつも忘れちゃって、それでドーベルマンに叱られるのよね……はぁ……

[ジュナー] だから忘れないでね、フェン。必ず声をかけてちょうだい。

[フェン] 分かりました、教官!

[ジュナー] ふふっ、ありがとう。

[ジュナー] じゃあ、お喋りはここまで。

[ジュナー] 全員――

[ジュナー] 気をつけ――ッ!

[ジュナー] さっきも言った通り、今日の定例訓練はこれで終了よ。

[ジュナー] でも、訓練時間はまだまだ残ってるわよね。

[ジュナー] そういうわけで、次はみんなで楽しい楽しい対抗訓練をやるわよ!

[フェン] …………えっ。

[ビーグル] え……えええええっ!?

[ジュナー] 対抗訓練未経験の隊員がいることも踏まえて、簡単に訓練内容を説明するわね。

[ビーグル] (どど、どうしよう! もうおしまいだよー……)

[ラヴァ] ?

[ジュナー] 要するに実戦形式の模擬訓練よ。あなたたちの用いた作戦を私が評価して、改善策を提案するわ。

[ラヴァ] (小声)なぁ、ハイビス。見ろよ、ビーグルの顔……

[ハイビスカス] (小声)しーっ、まだ教官のお話が終わってないよ。

[ジュナー] あ、もちろん、今回は普通の対抗戦とは違うわよ。

[ジュナー] そうね――全員揃ってることだし、1対5の模擬戦にしましょ。

[ジュナー] ついでだから、みんなの訓練の成果と、チームワークを確認させてもらうわね。

[ジュナー] それじゃあ私は準備してくるから、その間は小休憩ってことで。飴でも舐めてリラックスしなさい。

[ジュナー] 以上――解散っ!

[ビーグル] フェン隊長!

[フェン] な、なに? ビーグル。

[ビーグル] どど、どうしましょう!!

[フェン] そ、そんなの、私が知りたいくらいだよ……!

[クルース] も~う、別にドーベルマン教官が相手じゃないんだしぃ、緊張しすぎだよぉ~。

[ビーグル] た、確かにジュナー教官は普段は怖い人じゃないけど……でも、対抗格闘訓練の時は話が別なの!

[ラヴァ] どういう意味だ?

[ビーグル] ジュナー教官はいつも前衛や重装、先鋒オペレーターの接近戦式対抗訓練に参加してるの。それは、ラヴァちゃんも知ってるよね。

[ラヴァ] ああ。それが?

[ビーグル] その時のジュナー教官がどんな感じなのか……知ってる?

[ラヴァ] アタシらに訓練してくれる時と同じじゃ……ないのか?

[ビーグル] 盾を手放して、二本の剣でずっと攻め続けてくるんだよ! しかもそれが一時間も続くの!

[ビーグル] シュシュシュッって……風みたいに……剣を振ってくるんだよー!

[フェン] でも……そんなのは序の口に過ぎないんだよね。

[フェン] 前までは、ジュナー教官はどんな時も優しい人なんだと思ってたよ……無闇に人を批判しないし、お菓子もくれるしね……

[フェン] けど、初めて対抗格闘訓練を受けた時に気付いたんだ……ジュナー教官は一度指導を始めたら、ドーベルマン教官より厳しい人だってね。……何回か模擬戦をしてたら、槍を持つのも辛くなったよ。

[フェン] 特に恐ろしいのは、教官がいつも盾を持っている方の手……あの手は一度剣を取ると、稲妻みたいな速さで攻めてくるんだよ。

[クルース] あ~っ、それってぇ、メテオお姉ちゃんと訓練場で射ち合いする時みたいな感じかな~?

[ラヴァ] メテオと射ち合いって……

[ラヴァ] やるな、クルース。

[クルース] えへへ~。でもぉ、一分も経たない内に訓練用の矢を五本も喰らったけどね~。

[ラヴァ] ダメダメじゃねぇか……

[クルース] えへへへ~。

[フェン] とにかく、メタメタにやられたくなかったら、間違っても教官を見くびらないこと。

[フェン] なんたって向こうは兵役経験もあるベテランだからね。クルビア軍との諍いがなければ、今頃はまだ現役だったはずだし……

[フェン] ……けど、もし教官が準備から戻ってきた時、剣をもう一本持っていたら……私たちは――

[フェン] …………

[フェン] ハイビス、ちょっと聞きたいんだけど……今朝、外傷を理由に医療部へ来た人はいた?

[ハイビスカス] えっと……

[ハイビスカス] 医療部には、毎日とてもたくさんの人が来てますし……すり傷や青あざを作ってくる人なんて、しょっちゅうですよ?

[フェン] だけど、これはすごく重要なことだから……なんとか思い出して。

[ハイビスカス] うーん……

[ハイビスカス] 私、今朝は病棟の患者さんにお薬を届けてたので、診療室には行かなかったんですよね。

[ハイビスカス] あっ……でも、ススーロさんが……

[ビーグル] 何か言ってたんですか?

[ハイビスカス] 行動予備隊A4の全員が、朝の訓練後、外科に来てたとかって……

[ハイビスカス] ……うん、たしかジュナー教官が連れてきたって言ってました。

[ハイビスカス] でも、こんな話……一体何の関係あるんですか?

[ビーグル] すっっっごくありますよ!

[フェン] メランサとカーディでも、教官を抑えきれないなんて……

[ラヴァ] けどよ、向こうは一人で、こっちは五人もいるんだぞ。

[ハイビスカス] A4も五人だよ、ラヴァちゃん……

[ラヴァ] そ、それが何だってんだ。アタシらはA4より強いだろ。

[ラヴァ] ……だよな? フェン。

[フェン] ……あ、ああ……うん……そうだね……

[フェン] とにかく……みんなで頑張ろう……

[ビーグル] は、はい、頑張りましょう! えい、えい、お~……!

[ラヴァ] 何というか……覇気がないな。そんなに怖いのか?

[ジュナー] 全員――

[ビーグル] き、来たっ!

[ジュナー] 整列!

[みんな] ハイッ!

[ジュナー] うん、みんな準備は出来てるみたいね。よしよし。

[クルース] 教官~、一つ質問してもいーい~?

[フェン] (クク、クルース!?)

[ジュナー] ええ、いいわよ。

[クルース] どうして、剣を二本も持ってるのぉ~?

[ジュナー] それはもちろん、訓練のためよ。

[ジュナー] 実はさっき休憩してる時、急に前の戦い方が懐かしくなっちゃって……それで誰かに付き合って貰いたいなーって思ったのよ。

[ジュナー] ああ、もちろん、私もあなたたちと同じ装備……つまり、訓練用のものを使うわよ。改造電刃は持ってきてないから安心してちょうだい。

[ジュナー] でーも、油断は禁物よ。普段穏やかな人が相手なら、対抗訓練も手加減してくれるだろう……なんて思わないように。

[ジュナー] 痛い目に遭いたくなかったら、きっちり応戦しなさい。

[ジュナー] そういえば、訓練の手引きに書いてある「緊急応戦時の手順」には目を通した?

[みんな] ハイッ!

[ジュナー] そう、よかった。

[ジュナー] それじゃあ、最初の対抗訓練は、あなたたちと向かい合った状態で始めるわね。その後は、フィールド全体を利用した動きに切り替えていくわよ。

[ジュナー] ……んー?

[ジュナー] ほら、ぼーっとしてる場合じゃないわよ。敵に遭遇したら警戒態勢でしょう?

[フェン] あっ、ハイッ!

[フェン] 総員、警戒態勢に入れ!!

[ジュナー] うん、いい反応ね。

[ジュナー] じゃあ一戦目は、あなたたちから仕掛けてきなさい。

[ジュナー] いい? お互いを意識して息を合わせるのよ。そうでなきゃ、一人一人を相手にするのと何も変わらないからね。

[ジュナー] 分かった?

[みんな] 分かりました!

[ジュナー] よし。それじゃ、始めましょ。

[フェン] ……

[フェン] ビーグル、教官から目を離さないで。

[ビーグル] はい……!

[フェン] ラヴァ、クルース、行くよ。

[クルース] は~い。

[ラヴァ] 言われなくても……!

[フェン] ハイビス、適宜治療よろしく。ビーグルの負荷が大きいから、優先的にケアしてあげて。

[ハイビスカス] 分かりました!

[フェン] よし――

[フェン] 撃て!

[ジュナー] ――遅い!

[ビーグル] わわっ!

[フェン] マズい!

[クルース] !

[ジュナー] ふっ――

[フェン] ビーグル、教官を押し返せ!

[ビーグル] もうやってますーっ!

[フェン] みんな、目を離すな! 監視を徹底していれば、教官にチャンスはないはずだ!

[ラヴァ] アタシのアーツを喰らえ!

[ビーグル] きゃあっ!

[フェン] なッ!?

[ラヴァ] ――ッ、危ねえ!!

[ジュナー] はああッ!

[ビーグル] わわっ!

[フェン] ラヴァ、どうし――

[フェン] ――しまった!

[ジュナー] せいッ!

[フェン] うっ……!

[ラヴァ] ――えっ?

[ラヴァ] あ、ぐっ……

[クルース] 狙いはオッケ~、行くよ~!

[ハイビスカス] きゃっ! ううっ……

[ラヴァ] ぐ、ぅッ……

[クルース] あっ。

[クルース] えっと、教官~……?

[クルース] きゅ~……

[ジュナー] ……

[ジュナー] ふぅ。

[ジュナー] さあ、みんな起きて。問題点を整理しましょうか。

[みんな] はい……

[フェン] ラヴァ、あの時チャンスだったのに……

[ラヴァ] 悪い……

[ラヴァ] でも、ビーグルが急に割り込んでくるなんて、普通思わないだろ。

[ジュナー] そこが問題なのよ。そうでしょ?

[ラヴァ] は、ハイッ、教官!

[ラヴァ] (こ、こえぇ……!)

[ジュナー] 確かに今のような平坦な地形では、後列要員が味方を誤射する確率も上がってしまう。

[ジュナー] その上こういった空間では、ラヴァのアーツは特性を十分に発揮しきれないわよね。

[ラヴァ] は、ハイ……その通りです。

[ジュナー] そういう状況なら、アーツを私の背後へ展開させて、行動範囲を狭めてやればよかったのよ。

[ラヴァ] あっ、そうか……

[ジュナー] なのに、敵が仲間のすぐ傍まで接近している状況で……

[ジュナー] どうして敵を狙おうとしたの?

[ラヴァ] うっ……

[ジュナー] ビーグル。

[ビーグル] はい!

[ビーグル] (し、叱られるぅ……)

[ジュナー] 「あの課題」、まだ克服できてないわね。

[ビーグル] はい……

[ジュナー] はぁ……

[ジュナー] まあ、前よりは良くなってるわ。

[ジュナー] でも、まだまだね。

[ジュナー] 例を挙げるなら、カーディは防御の時、よく動くタイプなの。もちろんその分、隙は多くなるけど……でも私がさっき仕掛けたような妨害攻撃は効かないわ。

[ジュナー] 一方、あなたの戦闘スタイルは言うなれば安定感を求める堅守型。けど、妨害攻撃を物ともしないフィジカルが身についてない内は、技術で補う必要があるの。

[ジュナー] ほら、こっちに来なさい。

[ビーグル] 分かりました。

[ジュナー] 盾を構えて。

[ビーグル] はい!

[ジュナー] さっき私がどうやって妨害攻撃をしたか、覚えてる?

[ビーグル] 教官は……わたしの攻撃をブロックしたあと、盾に向かって突撃してきました。それでわたしは、ラヴァちゃんのアーツ軌道上に押し込まれちゃったんです。

[ジュナー] そこでフェンが素早く動いていたら、あなたが盾ごと押し込まれる前に、私を後退させられたでしょうね。

[ジュナー] 最初にクルースがやったみたいに。

[フェン] 申し訳ありません……

[ジュナー] だけど、もし自分一人で私の突撃を受け止めようとするなら……三つの方法を試すといいわ。

[ジュナー] 一つ目。反撃手段を考えてから、回避する。

[ジュナー] これを選べば、瞬間的にとはいえ仲間を敵前に晒すことになるわ。だけど、機会を逃さず私を打ち倒せば、すぐ防御体勢に戻ることができる。

[ジュナー] 二つ目。そのまま盾でぶつかって押し返す。

[ジュナー] 盾も立派な武器の一つよ。衝突の瞬間、あなたもその盾で攻め返すのも選択の内ね。

[ジュナー] ただしこの場合は、常に相手の出方を注視しておくこと。突撃を待たずして自分からぶつかって失敗に終われば、体勢が崩れて、自分の背中と仲間を敵前に晒すことになるわ。

[ジュナー] 三つ目。受け止める方向を変える。

[ジュナー] さっきラヴァのアーツ軌道上まで押し込まれたのは、あなたの姿勢と重心に隙があったからよ。

[ジュナー] だけどもし、この体勢で防御していたら……

[ジュナー] はッ!

[ビーグル] わわっ!

[ビーグル] う……

[ビーグル] あ、あれ?

[ジュナー] どう?

[ジュナー] 後退はするけど……でも、ラヴァとクルースの攻撃軌道上には入らない。これなら邪魔にはならないでしょ?

[ビーグル] はい!

[ジュナー] よし。じゃあ、まずはこの方法から学びなさい。

[ビーグル] 分かりました、教官。

[ジュナー] フェン。

[フェン] ハイッ!

[ジュナー] あなたは、全員を指揮する小隊長の立場にあるわよね。

[フェン] その通りです、教官!

[ジュナー] じゃあ聞くけど……隊員の状況はどうやって把握してるの?

[フェン] 感覚と観察を用いています。

[ジュナー] 観察? どうやって?

[フェン] も、目視です……

[ジュナー] なら、もしあなたが目視で状況を把握しようとしている時に、敵が攻めてくる可能性は?

[フェン] あります……

[ジュナー] 小隊各員の立ち位置は、基礎課程のテキストに準じているの?

[フェン] はい、教官。

[フェン] ですが、一から十までテキスト通り、というわけではありません。

[ジュナー] 実際の戦場は複雑だもの。テキスト通りやろうと拘る方が、ミスに繋がるわ。

[ジュナー] だから、こうするの。

[ジュナー] ハイビス。

[ハイビスカス] はいっ、教官!

[ジュナー] フェンの役割を部分的に受け持ってあげなさい。いいわね?

[ハイビスカス] わ、分かりました!

[ハイビスカス] でも、何をすればいいんですか……?

[ジュナー] フェンの後ろ側の目になるのよ。

[ジュナー] あなた、ラヴァ、クルースの立ち位置が大きく変化した時は、あなたがフェンに知らせるの。

[ジュナー] それから周囲の環境の変化……特に後方ね。何かあったら逐一彼女に報告すること。

[ジュナー] あとは……もしフェンが倒れた時は、あなたが隊を率いるのよ。

[ジュナー] いいわね?

[ハイビスカス] 分かりました、やってみます!

[ジュナー] よし。

[ジュナー] クルース。

[クルース] ごめんなさーい。

[ジュナー] ………………

[クルース] 間違えて、ハイビスちゃんを撃っちゃうなんてぇ~。

[ジュナー] 遠距離オペレーターの専門性や役割については詳しくないから、あんまりとやかくは言わないわ。

[ジュナー] まぁ、チームワークの観点に限って言えば、なかなか上手くやってたと思うけどね。

[クルース] わぁ~、ありがとぉ~。

[ジュナー] よかったら、あなたが対抗射撃訓練に参加した時のことを教えてくれない? 今後の訓練の参考にしたいの。

[クルース] いつもはね~、メテオお姉ちゃんが先生をしてくれるんだけどぉ、弓でしゅしゅしゅ~って撃たれちゃうの~。

[フェン] クルース……ちゃんと話しなよ……

[ジュナー] メテオ、ね――

[ジュナー] ふうん……

[ジュナー] ……うん。分かったわ。

[ジュナー] ほらほら、みんな元気を出して。

[ジュナー] まだ数分しか経ってないじゃない。

[ジュナー] 次は、訓練場の障害物を活用した訓練よ。

[ジュナー] いい? ここは戦場よ。敵が手加減をしてくれることなんて、絶対にないんだからね。

[ジュナー] だからこそ……私を含め、この場にいる全員が一秒でも長くこの場に立っていられるよう祈るわ。

[ジュナー] お互い頑張りましょ、新米さんたち。

一時間後

[フェン] はぁ……はあっ……

[ジュナー] よかった、私の腕もまだまだ捨てたものじゃないみたい。

[ジュナー] さて――そろそろ時間ね。今度こそ、訓練終了よ。

[ジュナー] みんな、お疲れ様!

[ジュナー] ……

[ジュナー] あれ? 拍手はないの?

[ビーグル] す……すみません、教官……

[ジュナー] そうねぇ……じゃあ、今から美味しい物でも食べに行きましょ。私の奢りよ。

[ジュナー] ソーセージなんてどう?

[ジュナー] ちょうど炎国のソーセージが届いたのよ。特製のたれに漬け込んであるから、風味があって美味しいわよ。

[ラヴァ] おお、聞いてるだけで美味そう……!

[ハイビスカス] けど、それって脂っこいんじゃ……

[ジュナー] でもその前に――あなたたちを医療部へ連れて行かなきゃね。

[ジュナー] 念のため診てもらいましょ。その方が私も安心できるもの。

[ビーグル] あっ、それじゃあカーディたちは教官に医療部送りにされたわけではなかったんですね……怖すぎて死にそうでしたよ……

[ジュナー] そんなわけないでしょ。

[ジュナー] 長いこと兵士をやってたんだもの。他の人はともかく、あなたたちの対処法くらいとっくに心得てるわ。

[ジュナー] 勿論、手加減の仕方もね。

[ジュナー] ――だけど……

[ジュナー] みんなに教えたテクニックはどれも、時に実戦で傷つき、時に戦友の命を犠牲にして得てきたものよ。

[ジュナー] だからもし、一人でも教えたことをちゃんと覚えてない人がいたら……次の訓練は電刃を使うから。

[ジュナー] いいわね!

[みんな] わ、わかりました!

[ジュナー] よし! じゃあ行きましょ。早く検査を終えて、ご飯にしなきゃ。

[みんな] はい!

[フェン] (あれ? そういえば、何か忘れているような……)

[フェン] (何だったっけ……?)

[ジュナー] フェン、酸っぱくて辛いものは平気?

[フェン] へ!? あ、はい、食べられます!

[ジュナー] じゃあ、後でおやつをあげるから――

[フェン] ハイ! ありがとうございます、教官!

[ジュナー] ふふっ、もう訓練は終わったわけだし、教官じゃなくていいわよ。

[フェン] あっ、すみません、ジュナーさん……

[ドーベルマン] ……

[ドーベルマン] ちょうど良かった。訓練場の管理は、お前の担当だったな。

[支援オペレーター] は、はい、ドーベルマン教官。どうかなさいましたか?

[ドーベルマン] ジュナーの受け持った小隊が使用していた訓練場で、一部の施設と障害物の破損を確認した。どうやら、高負荷の対抗訓練を実施したようだ。

[ドーベルマン] なので修理を頼む。夜に予備隊オペレーターとの訓練を実施する予定でな。

[支援オペレーター] 分かりました、やっておきます。

[ドーベルマン] 感謝する。

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